八咫烏シリーズ
日本の小説シリーズ、メディアミックス作品
八咫烏シリーズ(やたがらすシリーズ)は、阿部智里によるファンタジー小説のシリーズ作品[1]。2012年6月より文藝春秋にて刊行され、2018年6月に『イブニング』で漫画化された。
八咫烏シリーズ | |
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ジャンル | 和風ファンタジー |
小説:八咫烏シリーズ(第一部) | |
著者 | 阿部智里 |
イラスト | 苗村さとみ/名司生 |
出版社 | 文藝春秋 |
レーベル | 文春文庫 |
刊行期間 | 2012年6月 - 2019年5月 |
巻数 | 6巻(第一部終了) |
小説:八咫烏シリーズ(第二部) | |
著者 | 阿部智里 |
出版社 | 文藝春秋 |
レーベル | 文春文庫 |
刊行期間 | 2020年9月 - |
漫画:烏に単は似合わない | |
原作・原案など | 阿部智里 |
作画 | 松崎夏未 |
出版社 | 講談社 |
掲載サイト | コミックDAYS |
レーベル | イブニングKC |
発表期間 | 2018年6月23日 - 2020年4月11日 |
巻数 | 4巻(連載終了) |
話数 | 39話(0話~38話) |
漫画:烏は主を選ばない | |
原作・原案など | 阿部智里 |
作画 | 松崎夏未 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | イブニング コミックDAYS |
発表期間 | 2020年8月25日 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 文学・漫画 |
概要
「八咫烏シリーズ」は、『烏に単は似合わない』以降の和風ファンタジー小説シリーズであり、第6巻発表をもって第一部が完結した。なお、阿部は『烏に単は似合わない』で、早稲田大学在学中に松本清張賞を史上最年少で受賞している[2]。2020年9月3日には第二部の第1巻にあたる『楽園の烏』が刊行。2018年には松崎夏未作画の漫画『烏に単は似合わない』がコミックDAYSに連載され、こちらも2020年8月25日に第二作がイブニングにて連載開始[3]。
世界観
人の姿に転身できる八咫烏(やたがらす)を中心として物語が進行する。彼らは人間界とは隔絶された山の中に創られた山内(やまうち)と呼ばれる世界に住み、人間同様の暮らしを営んでいる。そこは平安朝を彷彿とさせる世界で、八咫烏の長である金烏(きんう)を中心とする朝廷が民を統治する。八咫烏たちは各所に寺院や神社を建て、山内を開いたとされる神・山神を信仰する。
あらすじ
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主な登場人物
- 雪哉(ゆきや)
- 本シリーズの主人公(第二巻以降)。北領垂氷郷出身の地方貴族で、北家当主の孫でもある。日嗣の御子・奈月彦に仕える。
- 奈月彦(なづきひこ)
- 本シリーズのもう一人の主人公。若宮・日嗣の御子で、「真の金烏」である。
- 浜木綿(はまゆう)
- 奈月彦の正室(「桜の君」)。第一巻の妃選びにて奈月彦に選ばれた。南家の姫で背が高く、男勝り。
- 真赭の薄 (ますほのすすき)
- 西家の姫。かつては若宮の正室になることを望んでいたが、出家をして浜木綿付きの筆頭女房になる。
- 長束 (なつか)
- 若宮の腹違いの兄。明鏡院院主。
- 路近 (ろこん)
- 長束の護衛であり、明鏡院所属の神官。
- 澄尾(すみお)
- 若宮の護衛筆頭を務める山内衆。
用語
- 山内(やまうち)
- 八咫烏たちが住まう、山神によって開かれたと伝えられる世界。本シリーズの主な舞台。人間界にある山の中にある。山自体はそれほど大きくないが、山内に入ると広大に感じられる。一般の民は外界と山内とを自由に行き来することが出来ないが、外界への正規ルートである朱雀門で、天狗を介しての交易が行われている。金烏が住まう中央山を中心とした「中央」と、「北領」「東領」「南領」「西領」の四地方に分けられる。中央は金烏が直接統治するが、四領は中央貴族「北家」「東家」「南家」「西家」の四家がそれぞれ治める。
- 八咫烏(やたがらす)
- 山内の世界の住人たち。人の形に転身できる三本足の烏。通常は人間と同じ姿で生活を営む。烏の姿を鳥形(ちょうけい)といい、人の姿を人形(じんけい)という。鳥形と人形の身長は同じくらいである。卵として産み落とされ、孵化して暫くのち、人形をとることができるようになる。三本の足のうち一本は山神から賜った神性の象徴とされ、これを切り落とされると人形をとれなくなる。上流階級では鳥形を人前で見せることは憚られるが、転身すれば長距離を飛行できるため、庶民や軍人・護衛官も好んで鳥形を取る。これら鳥形を多用する者は、羽衣(うえ)という黒い着物を編む。これは自らの意図で生み出す体の一部と言えるもので、羽衣を身に纏えば裸にならずとも転身可能である。
- 金烏(きんう)
- 山内の君主にして宗家の長。作中では「すべての八咫烏の長」「すべての八咫烏の父であり、母である」と説明される。厳密には「真の金烏」と「金烏代」の二種類に分けられる。中央山内部に御所を構える。在位中の金烏を今上帝や主上と称する。敬称は陛下。
- 真の金烏(しんのきんう)
- 数十年に一度、宗家の家系に産まれるとされる存在。普通の八咫烏にはない不思議な力を持つと言われている。真の金烏が産まれると、皇位の長子相続制の例外として、必ず金烏に即位する。
- 金烏代(きんうだい)
- 真の金烏が産まれるまでに金烏の座にある者。宗家の中で長子が皇位を継承する。
- 上皇(じょうこう)
- 譲位した金烏の称号。上皇は中央山を出て凌雲山に移り、凌雲院と呼ばれる御所に住む。
- 桜の君(さくらのきみ)
- 日嗣の御子の正妃(皇太子妃)。四家がそれぞれ推薦した四人の娘から選ばれる。宗家には含まれない。
- 宗家(そうけ)
- 金烏・上皇や皇族の総称。なお、ここに桜の君は含まれない。
- 山神(やまがみ)
- 山内を創造した神。金烏は山神に対する祭祀を行い、他の八咫烏たちも各所に寺院・神社を建立して崇拝する。
- 山内衆(やまうちしゅう)
- 宗家の近衛隊。養成所で上級武官候補として厳しい訓練がほどこされ、優秀な成績を収めたものだけが護衛の資格を与えられる。
- 勁草院 (けいそういん)
- 山内衆の養成所。
- 羽林天軍 (うりんてんぐん)
- 北家当主が大将軍として君臨する、中央鎮護のために編まれた軍。別名「羽の林(はねのはやし)」とも呼ばれる。
書籍情報
小説
単行本
- 第一部
- 第二部
- 第一巻『楽園の烏』(2020年9月 文藝春秋)
雑誌掲載作品
- 「しのぶひと 八咫烏シリーズ外伝」 - 『オール讀物』(2016年7月号)
- 「ふゆきにおもう 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2017年1月号)
- 「すみのさくら 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2017年7月号)
- 「まつばちりて 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2018年1月号)
- 「あきのあやぎぬ 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2018年6月号)
- 「ふゆのことら 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2019年1月号)
- 「なつのゆうばえ 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2019年6月号)
- 「ちはやのだんまり 八咫烏外伝」 - 『オール讀物』(2020年6月号)
漫画
- 『烏に単は似合わない(1)』(2018年11月14日 講談社)
- 『烏に単は似合わない(2)』(2019年05月07日 講談社)
- 『烏に単は似合わない(3)』(2019年10月09日 講談社)
- 『烏に単は似合わない(4)』(2020年06月10日 講談社)
脚注
- ^ 文藝春秋BOOKS 八咫烏シリーズ
- ^ “作家の読書道 第176回:阿部智里さん - 作家の読書道”. 本の雑誌社・博報堂 (2016年9月21日). 2016年9月21日閲覧。
- ^ 文藝春秋BOOKS 作家の羽休み――「第8回:お待たせしました!」