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[[File:Samuel e david.jpg|thumb|[[サムエル]]に油を注がれる[[ダビデ]]。[[3世紀]]、[[ドゥラ・エウロポス]]の壁画]]▼
'''メシア'''は、[[ヘブライ語]]のマシアハ({{
▲[[File:Samuel e david.jpg|thumb|[[サムエル]]に油を注がれる[[ダビデ]]。3世紀、[[ドゥラ・エウロポス]]の壁画]]
▲'''メシア'''は、[[ヘブライ語]]のマシアハ({{lang|he|משיח}})に由来し、「(油<ref>聖別に用いられる油は[[ナルド]](日本ではナード、またはスパイクナードと呼ばれる)のアロマであり、女郎花科のナルドスタキス・ジャターマンシーから抽出された香料(日本でもお香の材料に使われる)をオリーブ油に溶いたものとされる。1500年前に絶滅した「バルサム樹(バルサムの木)」から採取した「[[バルサム|バルサム油]]」とする説もある。</ref>を)塗られた者」の意。
[[出エジプト記]]には祭司が<ref>出エジプト記 28:41</ref>、[[サムエル記]]下には王が<ref>サムエル記下 2:4</ref>、その就任の際に油を塗られたことが書かれている。後にそれは理想的な統治をする為政者を意味するようになり、さらに神的な救済者を指すようになった。
メシアの[[ギリシャ語]]訳がクリストス({{lang|el|Χριστός}})で、「[[キリスト]]」はその日本語的表記である<ref>[[ヨハネによる福音書]] 1:41</ref>。[[キリスト教徒]]は[[ナザレのイエス]]がそのメシアであると考えている。イエスをメシアとして認めた場合の呼称が[[イエス・キリスト]]である。[[イスラム教徒]]もイエスをメシア(マスィーフ)と呼ぶが、キリスト教とは捉え方が異なっている。▼
== 概説 ==▼
▲ヘブライ語マシアハがギリシア語にはいってメシアス({{lang|grc|μεσσίας}})となった。日本語のメシアはメシアスに由来する。[[メサイア]]は同じ語に由来する英語。
ヘブライ語における{{hebrew|המשיח}}(mashiach)という単語は、直訳すると「油をそそがれた」という意味をもち、誰かあるいは何かを聖油によって聖別することを指す。
メシアの語は旧約聖書のいたるところで見られ、[[ユダヤ人]]の王、[[ラビ]]、[[預言者]]、祭壇、無発酵[[パン]]などの様々な人物や事物に対して用いられている。
▲==概説==
対象はユダヤ人やユダヤ人社会に属するものであるとは限らず、イザヤ書では異教徒である[[アケメネス朝]]の[[キュロス2世]]がメシアと呼ばれている<ref>"[http://jewishencyclopedia.com/articles/4828-cyrus#anchor7 Cyrus]". ''Jewish Encyclopedia'' (1906). "This prophet, Cyrus, through whom were to be redeemed His chosen people, whom he would glorify before all the world, was the promised Messiah, 'the shepherd of Yhwh' (xliv. 28, xlv. 1)."</ref>。
各時代にメシアを称した者(保守派や、大多数の者からは「偽メシア」ということになる)は、当然[[ユダヤ教]]内部でも解釈が分かれ、分派を形成した。また、これに賛同した[[キリスト教]]徒・[[イスラム教]]徒もいた。また、こちらも当然ながらユダヤ教からはイエスは偽メシアとして見られている。[[メシアニック・ジュダイズム]]のようにユダヤ教を自称し、ユダヤ教的様式の典礼を実践しつつイエスをメシアと認める教派も存在するが、彼ら自身を除いて主流派ユダヤ教やキリスト教両者側からもユダヤ教ではなくキリスト教の一派と認識されている事の方が多い。▼
メシアの到来を信ずることは[[ユダヤ教]]の信仰の中で重要な部分をなし、たとえばマイモニデスによる13の信仰箇条の中にも含まれている。
[[イスラーム]]でもユダヤ教、キリスト教からメシアの概念は継承されており、[[アラビア語]]で「マスィーフ」( مسيح masīḥ、油等を塗る意味の動詞の派生語)と呼ばれ、イエスのことを指す。イスラームにおいてはイエス自身は[[預言者]]にして預言者[[ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ|ムハンマド]]に先行する[[神]]([[アッラーフ]])の[[使徒]]とされており、また神が派遣したメシアであることも認識されている。[[クルアーン]]の記述から「マスィーフ」(救済者、メシア)は[[ダビデ]]の子孫から出現するとされ、人々を苦難から救済し[[アッラーフ]](神)の支配を確立する者としている。[[終末]]のときに神の代理人として出現し偽メシアを討伐するといい、これらもユダヤ教、キリスト教のメシア像から受継がれている。イスラームにおいて「マスィーフ」は人類の救世主であるのに対し、[[イスラム共同体]]のみにおける救世主(指導者)は「[[マフディー]]」(「正しく導かれる者」の意味)と称する。単に「アル=マスィーフ」(al-Masīḥ)、「マスィーフッラーフ」( مسيح اللّهMasīḥ Allāh ;神のメシア)と呼ぶ場合、イエス自身を指す尊称である。<br />▼
「イーサー」として彼を意味する、最後から2番目の''メシア''として[[クルアーン]]は[[イエス]]を位置づける。<ref name = "thesis">{{ cite web | last = Albert | first = Alexander | title = Orientating, Developing, and Promoting an Islamic Christology | url = http://digitalcommons.fiu.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1226&context=etd | publisher = FIU Electronic Theses and Dissertations | accessdate = 1 May 2014 }}</ref>ノア、アブラハム、モーゼ、そしてムハンマドと共に、イスラムの伝統ではイエスは最も重要な預言者のひとりである。<ref group = "クルアーン" > 第33章7節 {{ cite web | title = 部族連合| url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura33.html | accessdate = 2016-12-16 }} </ref> <ref group = "クルアーン">第42章13-14節{{ cite web | title = 相談 | url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura42.html | accessdate = 2016-12-16 }}</ref> <ref group = "クルアーン">第57章26節 {{ cite web | title = 鉄 | url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura57.html | accessdate = 2016-12-16 }}</ref> <ref name = "thesis"/>キリスト教徒と異なり、イスラム教徒は神ではなくひとりの預言者としてのみイエスを理解する。人間的な形での予言はイスラムでは十分である、しかしキリスト教信仰でのイエスが行うものとしての神の真の力を意味しない。<ref>{{ cite book | last = Siddiqui | first = Mona | title = Christians, Muslims, and Jesus | year = 2013 | publisher = Yale University Press | page = 12}}</ref><br />▼
▲各時代にメシアを称した者([[保守]]派や、大多数の者からは「偽メシア」ということになる)は、当然
クルアーンはイーサーが、マルヤムの息子(英:Son of Mariam、アラビア:''Isa ibn Maryam'')であり、イスラエルの子孫に送られたメシアそして預言者であることを明記する。<ref group = "クルアーン">第3章45節{{ cite web | title = イムラーン家 | url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura3.html | accessdate = 2016-12-16 }}</ref>イサの誕生がクルアーンの19章1-33節<ref group = "クルアーン" >第19章1-33節{{ cite web | title = マルヤム | url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura19.html | accessdate = 2016-12-16 }}</ref>に、そしてイーサーがマルヤムの息子として4章171節<ref group = "クルアーン" >第4章171節{{ cite web | title = 婦人 | url = http://islaam.ninja-x.jp/quranjp/sura4.html | accessdate = 2016-12-16 }}</ref>に明示的に明記される。多くのイスラム教徒はイーサーが天国に生きていることとそして{{ 仮リンク | ''ヤウム・アル‐キヤーマ'' | en | Qiyamah }}(「復活の日」)の前にまもなく現れる者である、キリスト教信仰での[[反キリスト]]と姿が似ている、{{ 仮リンク | マシーフッダジャール | en | Mashih ad-dajjal }}(偽のメシア)を撃破するよう地上に帰ってくるのを信じる。<ref name = MC_1>{{ cite web | url = http://muttaqun.com/dajjal.html | title = Muttaqun OnLine - Dajjal (The Anti - Christ): According to Quran and Aunnah | accessdate = 9 November 2012}}</ref>ダジャールを滅ぼしてから後、彼の最後の仕事はイスラム教徒の主導者となることだろう。支持者たちによる分派と逸脱が終わることによって、イーサーは純粋なイスラムでの唯一のアッラーの崇拝の共通の目的のもとにイスラム教徒の[[ウンマ (イスラム) | ウンマ]](イスラムの信奉者)を統一するだろう。主流のイスラム教徒はこのときのイーサーのキリスト教徒とユダヤ教徒の彼についての主張を追い払うことを信じる。▼
▲メシアの[[ギリシャ語]]訳がクリストス({{lang|el|Χριστός}})で、「[[キリスト]]」はその日本語的表記である<ref>[[ヨハネによる福音書]] 1:41</ref>。[[キリスト教徒]]は[[ナザレのイエス]]がそのメシアであると考えている。イエスをメシアとして認めた場合の呼称が[[イエス・キリスト]]である。[[ムスリム|イスラム教徒]]もイエスをメシア(マスィーフ)と呼ぶが、[[キリスト教]]とは捉え方が異なっている。
=== イスラーム ===
▲[[イスラム教|イスラーム]]でもユダヤ教、キリスト教からメシアの概念は継承されており、[[アラビア語]]で「マスィーフ」(
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== ユダヤ教の文脈においてメシアを自称した者たち ==
*[[ナザレのイエス]] - [[キリスト教]]にとってのメシア/[[神]]/神の子([[イエス・キリスト]])、イスラム教にとっての[[預言者]]。分派を形成
*[[メナヘム (ガリラヤ)|ユダの子メナヘム]] - [[第1次ユダヤ戦争]]を指揮、父であるガリラヤ人ユダは[[熱心党]]の創始者
*[[バル・コクバ]] - [[第2次ユダヤ戦争]]を指揮し、エルサレムで2年半の間全イスラエルを統治
*クレタのモーセ
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*[[メナヘム・メンデル・シュネールソン]] - 現在、解釈が分かれている
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*[[出口王仁三郎]] - 自分を、再臨(再来)のキリストだと主張
*[[金百文]](キム・ベンムン) - 自分が再臨のキリストであると主張。[[文鮮明]]に影響を与える
*[[朴泰善]](パク・テソン) - [[1960年代]]に、キリストが雲に乗ってくると言って、多くの信徒を連れて閉鎖的な信仰村を作った。キリストが来ると予言した日には何も起こらず、信徒たちは離れて行った。自分こそが再臨のキリストであると主張
*[[文鮮明]] - [[1992年]]に公にメシアであると
*[[麻原彰晃]] - [[1991年]]に「キリスト宣言」を出して、自分だけが世界を救済することのできる「救世主・キリスト」であると
*[[又吉イエス]] - 日本の政治運動家。選挙演説などで再来のキリストと主張
==脚注==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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=== クルアーンの原典からの出典情報 ===
{{Reflist | group = "クルアーン"}}
== 関連項目 ==
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▲*[[キリスト]]
*[[救世主]]
*[[メシアニズム]]▼
*[[w:List of messiah claimants|List of messiah claimants]]
*[[メサイアコンプレックス]]
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== 外部リンク ==
{{Wiktionary|メシア|משיח}}
*{{kotobank}}
*{{kotobank|メシア思想}}
*{{kotobank|メシアニズム}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:めしあ}}
[[Category:聖書]]
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