「自動車化狙撃兵 (ロシア陸軍)」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
テンプレート内パラメータ修正など。
 
(20人の利用者による、間の25版が非表示)
1行目:
[[ロシア陸軍]]における'''自動車化狙撃兵'''(じどうしゃかそげきへい、{{lang-ru|Мотострелковые войска}})は、[[ロシア陸軍]]における兵科({{lang-ru|рода войск}})の一つで、軍{{Efn2|name=狙撃兵|この「狙撃部」([[:ru:Стрелковые войска|{{Lang|en|стрелковые войска}}]])の構成員({{Lang|ru|стрелок}})は「小銃手」おけ相当し、「[[狙撃手]]」({{Lang|ru|снайпер}})とは異な[[重装歩兵]]や[[戦列歩兵]]の流れを汲む古典的な歩兵[[:ru:Пехота|{{Lang|ru|пехота}}]])に対して、[[散兵]]戦術を旨として軽快な[[軽歩兵]]を区別するために生じた概念である<ref>{{Citation|url=http://alcala.ru/bse/izbrannoe/slovar-S/S16175.shtml|chapter=Стрелковые войска|lang=ru|title=[[ソビエト大百科事典|Большая советская энциклопедия]]|edition=3rd}}</ref>。}}。他国軍での[[自動車化歩兵]]・[[機械化歩兵]]相当の呼称である。
 
[[旅団]]等の基幹部隊となり、各種戦術行動において主として[[近接戦闘]]により、敵を撃破又は捕捉し、あるいは必要な地域を占領確保するのが使命である。通常、[[AK-74|AK-74Mか旧型の[[AK-74]]、AKS-74]]、[[AK-47|AKM]]、AKMS]]を装備する。完全に[[機械化]]されており、通常、[[歩兵戦闘車]]([[BMP-1]]、[[BMP-2]]、[[BMP-3]])か、[[装甲兵員輸送車]]([[BTR-60|BTR]]、MT-LBV)で行動する。
 
ロシア陸軍の中では最も基本となる兵科で、人員も多い。他国の歩兵と同様、他兵科の行動も調整する地位にあるため、軍事教育施設では、'''諸兵科共通'''又は'''諸兵科連合'''({{lang-ru|общевойсковое}})の用語も用いられる。
 
*== [[独立自動車化狙撃(ロシア陸軍)]]==
== 語源 ==
{{main|師団#ソ連陸軍}}
1953年の[[ヨシフ・スターリンの死と国葬|スターリンの死]]を受けて左遷を解かれた[[ゲオルギー・ジューコフ|ジューコフ元帥]]は、1955年に[[ソビエト連邦の軍部大臣一覧|国防大臣]]に就任すると、既に[[ソ連軍参謀本部|参謀総長]]の職にあった[[ワシーリー・ソコロフスキー|ソコロフスキー元帥]]と協力して、[[ソ連地上軍]]を核戦場に適応できるように改編する事業に着手した{{Sfn|葛原|2021|pp=239-242}}{{Sfn|House|2024|pp=249-255}}。そしてこの改編の一環として、従来の機械化師団([[:ru:Мотострелковая дивизия#1945—1957|{{Lang|ru|Механизированная дивизия}}]])や狙撃師団([[:ru:Стрелковая дивизия РККА|{{Lang|ru|Стрелковая дивизия}}]]){{Efn2|name=狙撃兵}}を一括して代替する編制として導入されたのが、自動車化狙撃師団であった{{Sfn|House|2024|pp=249-255}}。
 
1958年までに、ソ連軍の戦力組成に残っていたのは、戦車、自動車化狙撃および空挺狙撃の3種類だけとなった{{Sfn|House|2024|pp=249-255}}。
 
* 自動車化狙撃師団(人員13,498名){{Sfn|Dunnigan|1992|pp=47-51}}
** 師団司令部(320名)
** 3個自動車化狙撃連隊(各2,300名)
** 戦車連隊(1,101名)
** 砲兵群(1,800名: 100mm砲12門、122mmロケット弾発射機24基、自走対戦車ミサイル12両、SS-21ミサイル4基、152mm自走榴弾砲72両)
** 防空連隊(302名: SA-8BないしSA-6地対空ミサイル20基)
** 独立戦車大隊(241名: 戦車51両)
** 偵察大隊(300名: 戦車6両、装甲車28両、オートバイなど)
** 工兵大隊(380名)
** 通信大隊(294名)
** 化学防護大隊(150名)
** 整備大隊(294名)
** 衛生大隊(158名)
** 輸送大隊(217名)
** 航空支援中隊(220名: Mi-2ヘリコプター6機、Mi-8ヘリコプター8機、Mi-24ヘリコプター8機)
** 交通管理中隊(60名)
 
== 自動車化狙撃旅団 ==
詳細は、[[{{main|独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍)]]を参照。|師団#ロシア陸軍}}
自動車化狙撃大隊(機械化歩兵)を3個大隊、自走榴弾砲大隊を2個大隊、戦車大隊を1個大隊、その他いくつかの戦闘支援/後方支援部隊(大隊から小隊規模)を保有する諸兵科連合部隊であり、ロシア陸軍の基本的な展開部隊である。
[[ソビエト連邦の崩壊]]後の[[ロシア陸軍]]も基本的にソ連陸軍の編制を踏襲していたが、[[2007年]]に[[アナトーリー・セルジュコフ]]が国防相に就任すると、即応性の改善と組織・人員の合理化などを主眼とする大規模な改編が行われた{{Sfn|小泉|2016|pp=211-216}}。この一環として基本作戦単位が師団から旅団に変更されることになり、自動車化狙撃師団も旅団へと改編された{{Sfn|小泉|2016|pp=241-246}}。
 
自動車化狙撃[[大隊]](機械化歩兵)を3個大隊、[[自走砲|自走榴弾砲]]大隊を2個大隊、[[戦車]]大隊を1個大隊、その他いくつかの戦闘支援/後方支援部隊(大隊から[[小隊]]規模)を保有する諸兵科連合部隊であり、ロシア陸軍の基本的な展開部隊である。
詳細は、[[独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍)]]を参照。
 
=== 自動車化狙撃大隊の編成 ===
自動車化狙撃大隊を構成する部隊は、下記のとおりである(2008年12月に承認された「定員表第5/60号」(MT-LBV装備)に従う。)。
*大隊司令部:大隊長、教育業務担当副大隊長、兵器担当副大隊長
20 ⟶ 41行目:
*自動車化狙撃中隊×3:96人(中隊本部(9人)+3個小隊)
**自動車化狙撃小隊×3:29人(小隊長、副小隊長+3個分隊)
***自動車化狙撃[[分隊]]×3:9人(分隊長、専任狙撃兵、照準手(車載機関銃)、照準手([[PK (機関銃)|PKM]])、班員(PKM)、擲弾筒手、狙撃兵/擲弾筒主補佐、[[狙撃手|狙撃兵]]、操縦手)
*[[迫撃砲]]中隊
**火器小隊×2:[[2S12 {{仮リンク|120mm 迫撃砲システム2S12|en|2S12]] Sani}}装備
**統制小隊
***砲兵偵察分隊
***通信分隊
*[[グレネードランチャー擲弾発射器|擲弾筒]]小隊
**擲弾筒分隊×3
*対戦車小隊
53 ⟶ 74行目:
**負傷兵集結・後送分隊×3
}}
 
== 関連項目 ==
* [[独立自動車化狙撃旅団 (ロシア陸軍)]]
* [[ロシア陸軍の師団・旅団等一覧]]
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 語源注釈 ===
<references/>
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
[[Category:ロシア陸軍の兵科|しとうしやかそけきへい]]
* {{Citation|和書|authorlink=葛原和三|last=葛原|first=和三|year=2021|title=機甲戦: 用兵思想と系譜|publisher=[[作品社]]|isbn=978-4861828607}}
* {{Citation|和書|authorlink=小泉悠|last=小泉|first=悠|year=2016|title=軍事大国ロシア|publisher=作品社|isbn=978-4861825804}}
* {{Cite book|和書|authorlink=:en:Jim Dunnigan|first=James F.|last=Dunnigan|year=1992|origyear=1988|others=岡芳輝 (訳)|title=新・戦争のテクノロジー|publisher=[[河出書房新社]]|isbn=978-4309241357|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|authorlink=ジョナサン・M・ハウス|last=House|first=Jonathan M.|year=2024|origyear=2001|title=諸兵科連合の歴史: 100年にわたる戦争での戦術、ドクトリン、兵器および編制の進化|others=梅田宗法 (翻訳)|publisher=作品社|isbn=978-4867930441|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
* [[ロシア陸軍の師団・旅団等一覧]]
 
{{ロシア連邦軍}}
{{gunji-stub}}
 
{{DEFAULTSORT:しとうしやそけきへい}}
[[Category:ロシア陸軍の兵科|しとうしやかそけきへい]]