「諸行無常」の版間の差分
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[[File:2013-01-05 Wood stûpa Graves in Ogo,Kobe,Hyogo prefecture 神戸市北区淡河町の墓地と木製卒塔婆 DSCF4051.JPG|thumb|240px|
{{出典の明記|date=2015年8月2日 (日) 13:44 (UTC)}}▼
'''諸行無常'''
* [[三法印]]<ref name=daichido>{{大正新脩大蔵経|title=大智度論 |no=1509|vol=25|page=0222a27}}</ref>、[[四法印]]のひとつ
[[宋代]]の[[仏教書]]『[[景徳伝灯録]]』によれば、[[釈迦牟尼仏]]が[[入滅]]に際し、[[沙羅双樹]]の木の下で説いた言葉と伝えられる<ref name="kotowaza">[http://kotowaza-allguide.com/si/syogyoumujyou.html 故事ことわざ辞典]</ref>。▼
* [[上座部仏教]]における[[三相 (仏教)|三相]]のひとつ<ref name=muga/>
[[諸法無我]]と並べられるが、行は[[因縁]]によって起こるこの世の[[サンカーラ|現象]]を指すのに対し、法は[[涅槃]]すらも含むあらゆる事象を指している<ref name=muga/>。
▲[[宋代]]の
{{Quote|▼
== 仏典の記載 ==
[[アッギヴェッサナ]]よ、私はこのように弟子たちを戒める。このように頻繁に語る。<br>▼
▲{{Quote|
「比丘たちよ、色は無常、受は無常、想は無常、行は無常、識は無常である。<br>▼
▲「比丘たちよ、[[色 (仏教)|色]]は無常、[[受]]は無常、[[想]]は無常、[[サンスカーラ|行]]は無常、[[識]]は無常である。<br>
比丘たちよ、色は無我、受は無我、想は無我、行は無我、識は無我である。<br>
すべての[[サンスカーラ|行]]は無常である、すべての法は無我である。」と。
| {{SLTP| [[中部 (パーリ)|中部]]
{{Quote|
「一切の形成されたものは無常である」(諸行無常)と <br>
明らかな[[般若|智慧]]をもって観るときに、ひとは苦から厭い離れる。これが清浄への道である。
| {{SLTP| [[ダンマパダ]] 20章277}} }}
{{Quote|
Aniccā vata saṅkhārā uppādavayadhammino, <br>
諸行無常 是生滅法<br>
生滅滅已 寂滅為楽
実に[[サンスカーラ|諸行]]は無常である、生じては滅する性質である<br>
生じて滅する、これらが鎮まるのが[[楽 (仏教)|楽]]である。
| {{SLTP|長部16, [[大般涅槃経 (上座部)|大般涅槃経]] }} }}
== 解説 ==
▲[[File:2013-01-05 Wood stûpa Graves in Ogo,Kobe,Hyogo prefecture 神戸市北区淡河町の墓地と木製卒塔婆 DSCF4051.JPG|thumb|240px|left|木製卒塔婆に書かれた「諸行無常是生滅法」([[神戸市]]北区淡河町の[[墓地]])]]
[[ファイル:Hange Shashin-zu by Kubota Beisen.jpg|thumb|200px|[[久保田米僊]]筆「半偈捨身図」。ヒマラヤで修行していた雪山童子は「諸行無常」の半偈(前半部)を[[羅刹]]から聞いた。童子は半偈の続きを羅刹に求めたが、生きた人肉を食す羅刹は空腹のため、続きを説くことはできないと答えた。童子は残りの半偈を聞くため自身を捨て、あなたに捧げると答えた。羅刹は後半部の半偈を童子に教え、童子は羅刹の口元に飛び込んだ。ところが羅刹は童子を食べずに[[帝釈天]]へと変わり、[[煩悩]]を一切持たない童子が将来に無上菩提となることを喜んだ<ref>{{Cite journal|和書|author =岡本英夫|date =2001-4|title =雪山童子の求道|journal =まなざし|issue =26|pages =1-17|publisher =沖縄聞法通信|url =https://web.archive.org/web/20150217060819/http://homepage3.nifty.com/Tannisho/manazasi_pdf/Sessendouji_Kyuudou.pdf|format =PDF|accessdate =2016-1-29}}</ref>。]]▼
[[仏教]]の根本思想をなすもので、あらゆるものは[[刹那]](一瞬=きわめて短い時間)の間にも変化をくり返している([[有為法]])。仏法の
「諸行は[[無常]]であってこれは生滅の法であり、生滅の法は苦である。」この半偈は流転門。
「この生と滅とを滅しおわって、生なく滅なきを寂滅とす。寂滅は即ち涅槃、是れ楽なり。」「為楽」というのは、涅槃楽を受けるというのではない。有為の[[苦_(仏教)|苦]]に対して寂滅を[[楽 (仏教)|楽]]といっているだけである。後半偈は還滅門。
▲[[ファイル:Hange Shashin-zu by Kubota Beisen.jpg|thumb|200px|[[久保田米僊]]筆「半偈捨身図」。ヒマラヤで修行していた雪山童子は「諸行無常」の半偈(前半部)を[[羅刹]]から聞いた。童子は半偈の続きを羅刹に求めたが、生きた人肉を食す羅刹は空腹のため、続きを説くことはできないと答えた。童子は残りの半偈を聞くため自身を捨て、あなたに捧げると答えた。羅刹は後半部の半偈を童子に教え、童子は羅刹の口元に飛び込んだ。ところが羅刹は童子を食べずに[[帝釈天]]へと変わり、[[煩悩]]を一切持たない童子が将来に無上菩提となることを喜んだ<ref>{{Cite journal|和書|author =岡本英夫|date =2001-4|title =雪山童子の求道|journal =まなざし|issue =26|pages =1-17|publisher =沖縄聞法通信|url =https://web.archive.org/web/20150217060819/http://homepage3.nifty.com/Tannisho/manazasi_pdf/Sessendouji_Kyuudou.pdf|format =PDF|accessdate =2016-1-29}}</ref>。]]
:生滅の法は[[苦]]であるとされているが、生滅するから苦なのではない。生滅する存在であるにもかかわらず、それを常住なものであると観るから苦が生じるのである。この点を忘れてはならないとするのが仏教の基本的立場である。▼
▲:生滅の法は
なお涅槃経では、この諸行無常の理念をベースとしつつ、この世にあって、仏こそが常住不変であり、涅槃の世界こそ「[[常楽我浄]]」であると説いている。▼
▲なお『[[大乗涅槃経]]』では、この諸行無常の理念をベースとしつつ、この世にあって、仏こそが常住不変であり、涅槃の世界こそ「[[常楽我浄]]」であると説いている。
三法印・四法印は[[釈迦]]の[[悟り]]の内容であるとされているが、釈迦が「諸行無常」を感じて出家したという記述が、初期の『[[阿含経]]』に多く残されている。▼
== 日本文化への普及 ==
しばしば[[空海]]に帰せられてきた『[[いろは歌]]』は、この偈を詠んだものであると一説では言われているという。▼
▲しばしば[[空海]]に帰せられてきた『[[いろは歌]]』は、この偈を詠んだものであると言われている。
いろはにほへどちりぬるを 諸行無常
わがよたれぞつねならむ 是生滅法
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あさきゆめみじゑひもせず 寂滅為楽
さらに[[平家物語]]の冒頭にも引用されている<ref>{{Cite book|和書|title=学大国文 |volume=32 |publisher=大阪教育大学国語教育講座・日本・アジア言語文化コース |date=1989-02 |doi=10.11501/6023483 |page=65}}</ref>。
▲ 寂滅為楽 {{unicode|tesaṃ vūpasamo sukho}}
{{Quote|
▲三法印・四法印は[[釈迦]]の[[悟り]]の内容であるとされているが、釈迦が「諸行無常」を感じて出家したという記述が、初期の『[[阿含経]]』に多く残されている。
▲:''「[[祇園精舎]]の[[鐘]]の声、諸行無常の響きあり、[[沙羅双樹]]の花の色、盛者必衰の[[理]](ことわり)をあらわす」''
祇園精舎の鐘の音は、一切万物がみな無常であると響き、沙羅双樹の花の色は、盛んな者の必ずや衰え滅びるという道理をあらわしている。<ref>{{Cite book|和書|author=箕輪香村 |author2=高橋哲也 |title=鉄道職員採用試験問題模範解答集 中等学校卒業程度 |publisher=文憲堂書店 |date=1935 |doi=10.11501/1025664 |page=28}}</ref>
}}
{{-}}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
==関連項目==
{{Wiktionary}}
* [[無常]]
* [[いろは歌]]
* [[白骨 (御文)|『御文(御文章)』「白骨」]]
* [[祇園精舎]]
* [[十二因縁]]
* [[演繹|演繹法]]
** [[数学的帰納法]]
{{Buddhism2}}
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[[Category:涅槃経]]
[[Category:慣用句]]
[[Category:変化]]
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