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[[ファイル:Superhet-Upper.svg|thumb|400px|上側ヘテロダインの場合の図。発振周波数''f''<sub>O</sub>と受信電波の周波数''f''<sub>L</sub>の差が中間周波数。]]
'''中間周波数'''(ちゅうかんしゅうはすう、Intermediate Frequency:'''IF''')とは、[[送信機]]や[[受信機]]の中間段階で送信信号あるいは受信信号の周波数を変換した[[周波数]]である。
== スーパーヘテロダイン受信機 ==
[[ファイル:RF1-IF2-receiver.png|thumb|200px|スーパーヘテロダイン受信機]]
[[スーパーヘテロダイン受信機]]では、[[局部発振器]](ローカルオシレータ)と目的の信号を'''[[混合器 (ヘテロダイン)|混合器]]'''で混合し、それぞれの周波数の差{{Efn|AMラジオなどの低い周波数で使用する場合は、それぞれの周波数の和を使用することもある。}}を、濾波・増幅等の処理を施して使用する周波数を中間周波数という。中間周波数をミキサによりさらに別の中間周波数に変換する場合があり、その場合、第1中間周波数(1st IF)、第2中間周波数(2nd IF)、…と区別して呼ばれる。
従来の技術常識よりも低いIFを使ったシステムの場合、ローIFと呼ばれることがある。[[ダイレクトコンバージョン
== 一般的な周波数 ==
中間周波数は設計の最初の段階で決定される。送信機や受信機の性能やコストに大きく影響するため、メーカにとっては戦略的要素をもつ。また、選定を誤ると後々[[スプリアス]]輻射や外来波との混信、
=== テレビ ===
*
** 映像 27MHz、音声 22.5MHz - 日本でテレビ放送が始まった[[1953年]]に、[[電波技術協会]]TV調査委員会中間周波数選定小委員会が暫定案として提案<ref name="Television1961">{{Cite journal|和書|author=鈴木一雄 |title=TV受信機中間周波数の選定 |journal=テレビジョン |issn=03743470 |publisher=映像情報メディア学会 |year=1961 |volume=15 |issue=6 |pages=358-361 |naid=110003677072 |doi=10.3169/itej1954.15.358 |url=https://doi.org/10.3169/itej1954.15.358}}<!--通常、執筆者の所属機関・肩書は記載しない--></ref>。
** 映像 26.75MHz、音声 22.25MHz - チャンネル数がVHF6チャンネルから12チャンネルに拡大したことにより、チューナーのイメージ混信と局部発振周波数妨害の影響を最小限にするため、1960年に策定。アナログテレビで採用<ref name="Television1961" /><ref>JIS C 6006-1960</ref>。
** 映像 58.75MHz、音声 54.25MHz - UHFチャンネルの混信対策で1967年に策定。VHF・UHF帯両対応(オールチャネル)のアナログテレビで採用<ref>JIS C 6006-1974(2016年3月廃止)</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=成田昭 |title=受信技術 |journal=テレビジョン |issn=03743470 |publisher=映像情報メディア学会 |year=1970 |volume=24 |issue=7 |pages=543-553 |naid=110003695190 |doi=10.3169/itej1954.24.543 |url=https://doi.org/10.3169/itej1954.24.543}}</ref>。
** 57MHz - 地上デジタル放送で採用。
* BS
** 10.678GHz - 奇数トランスポンダ番号(右旋円偏波)のチャンネルで使用。
** 9.505GHz - 偶数トランスポンダ番号(左旋円偏波)のチャンネルで使用。
* CS
** 10.678GHz - 偶数トランスポンダ番号(右旋円偏波)のチャンネルで使用。
** 9.505GHz - 奇数トランスポンダ番号(左旋円偏波)のチャンネルで使用。
=== AMラジオ ===
* 463kHz - 1950年までに使用されていた。
* 455kHz<ref name="JISc6004" /> - 国際電気通信条約の承認に伴い、1950年から使用。
* 450kHz - [[AMステレオ放送|AMステレオ]]対応受信機や、日本国外で設計されたラジオなどで使用。
=== FMラジオ ===
* 10.7MHz<ref name="JISc6004">JIS C 6004-1974(2019年3月廃止)</ref>
=== MCA無線機(800MHz帯) ===
* 55.025MHz
=== アマチュア無線機 ===
* 8.83MHz<ref>{{Cite web|和書|url=https://www2.jvckenwood.com/products/amateur/hf_allmode/hf_ts950sdx_end.html|title=HFトランシーバー TS-950SDX|publisher=JVC KENWOOD|accessdate=2014-11-27}}</ref> その他多数あり
{{anchors|BS-IF|CS-IF}}
== 衛星放送・通信衛星 ==
[[画像:Faît des Marnes, parabole Visiosat.jpg|thumb|減衰を防ぐため、アームの先に受信部とLNBダウンコンバータを一体化したものが設置されている]]
日本の衛星放送([[放送衛星|BS]])や通信衛星(CS)では、主に[[Kuバンド]]の12 - [[Kバンド]]の20GHz帯が使われている。[[マイクロ波]]は減衰しやすい性質を持っており、またBS・CSの周波数は一般的な[[同軸ケーブル]]の周波数特性の限界をはるかに越えていることもあり、[[パラボラアンテナ]]で受信したBS・CSの電波をそのまま同軸ケーブルに流すと実用にならないレベルの減衰が発生し、放送・通信が受信できなくなってしまう。そこで受信アンテナにLNB(Low Noise Block)ダウンコンバータ(BSコンバータ・CSコンバータとも言う)を設置して1.0 - 2.6GHzの低い周波数に変換することで、電波の減衰を抑える工夫がなされている。この周波数変換された電波のことを'''BS-IF'''(BS中間周波)、'''CS-IF'''(CS中間周波)と呼ぶ。日本で用いられている局部発振周波数は、BSでは偶数トランスポンダ番号の右旋円偏波では10.678GHz、奇数トランスポンダ番号の左旋円偏波では9.505GHzが用いられる。
{{See2|BS-IF・CS-IFの周波数については[[テレビ周波数チャンネル#衛星基幹放送のIFと論理チャンネル]]を}}
== 電波障害 ==
配線・端子の施工不良やLNB・ブースターの不具合により局部発信機周波・中間周波が外部に漏出すると、その機器や他の無線機器に電波障害を与えてしまうことがある(局部発信周波妨害・中間周波妨害)<ref name="soumu170519">情報通信審議会 情報通信技術分科会放送システム委員会「[https://www.soumu.go.jp/main_content/000486244.pdf 衛星放送用受信設備に関する技術的条件」の検討状況について]」『総務省』 総務省、2017年5月19日</ref><ref>「よくある質問と答え [https://digital.catv.or.jp/faq/details/28.html BS・110度CS放送と他の無線サービス等との周波数共用]」『共同受信施設についてのデジタル放送受信相談室』 日本CATV技術協会、2018年</ref>。特に衛星放送の中間周波が外部に漏出して同じ周波数を使う携帯電話([[eXtended Global Platform|XGP]]方式のソフトバンク[[ULTRA SPEED]])の通信速度低下の原因となったり<ref>「お知らせ [http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/info/2012/20120222_01/ BSデジタル追加チャンネルの放送によるモバイルデータ通信(ULTRA SPEED等)への影響について]」『ソフトバンク』 ソフトバンクモバイル、2012年2月22日</ref>、[[WiMAX]]・[[衛星電話]][[ワイドスター]]・[[無線LAN]]・[[気象レーダー]]などに悪影響を及ぼすことが懸念されている<ref name="soumu170519" /><ref>国立研究開発法人情報通信研究機構「{{PDFlink|[https://www.soumu.go.jp/main_content/000616544.pdf 衛星放送受信設備との共用検討の状況]」}}『総務省 [https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/idou/weather_radar/02kiban12_04000255.html 情報通信審議会情報通信技術分科会陸上無線通信委員会 気象レーダー作業班X帯サブ・ワーキング・グループ(第8回)]』 総務省、2019年4月9日</ref>。また逆に外来波のアマチュア無線・携帯電話の電波や電子レンジのマイクロ波を拾ってしまい、これらと混信することによる受信障害(いわゆるTVI)<ref>「[https://www.jarl.org/Japanese/7_Technical/clean-env/bs-1200.htm 衛星放送に与える電波障害の原因と対策(1200MHz帯)]」『日本アマチュア無線連盟』 日本アマチュア無線連盟、2011年</ref><ref>「[https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/89300.html 700MHz帯の周波数再編と地デジテレビブースター対策について]」『総務省の情報通信政策に関するポータルサイト』 総務省</ref>が起きた例も報告されている。
[[画像:Japanese BS and CS 110° intermediate frequency and radio systems2021.svg|thumb|center|1000px|BS・110゜CSの中間周波数と、同帯域を使う無線システム。]]
== 歴史 ==
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では[[1930年代]]からスーパー
[[戦後]]、[[1947年]]に[[アトランティックシティ]]で開催された[[国際電気通信連合]]会議で、中波の放送周波数が535
スーパー
以下に、中波ラジオの中間周波数の変遷を示す。真空管回路の技術の向上などにより、年を追うごとにより高い中間周波数が実装されるようになったようすがうかがえる。
{| class="wikitable"
!発売年!!メーカー名!!型番!!中間周波数[kHz]
|-
|1927||Silver Marchall||?||112
|-
|1928||[[RCA]]||Radiola 60||180
|-
|1929||Remler||29||130
|-
|rowspan="3"|1933||Atwater Kent||82Q||170
|-
|[[:en:Powel Crosley, Jr.#Crosley Radios|Crosley]]||158||191.5
|-
|RCA||140||455
|-
|rowspan="2"|1934||Crosley||6V2||181.5
|-
|Atwater Kent||387||264
|-
|1935||Imperial||Case 601||262.5
|-
|rowspan="3"|1936||Detrola||7ZM||370
|-
|Croseley||516||450
|-
|RCA||7T1||460
|-
|rowspan="2"|1937||Kadette||120||448
|-
|Grunow||572||465
|-
|1938||[[:en:Philco|Philco]]||38-655B||470
|-
|1941||Midwest||181||465
|}
* 井端 一雅(いばた かずまさ)「懐かシリーズ 中間周波数の話」『CQ ham radio』2009年4月号、CQ 出版社、2009年、144-145頁。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
* 中間周波増幅器(IF AMP)
* IF[[フィルタ]](セラミックフィルタ、クリスタルフィルタ、[[表面弾性波フィルター|SAWフィルタ]])
* 中間周波トランス(IFT)
{{
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ちゆうかんしゆうはすう}}
[[Category:
[[Category:無線工学]]
[[Category:通信工学]]
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