「Berkeley Open Infrastructure for Network Computing」の版間の差分

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現在アカウント作成・稼働可能なプロジェクト一覧: SZTAKI DesktopGridの活動内容が判明(BOINC本家サイトのニュース欄より)したので記述。プロジェクトのリストを最新の参加人数に並
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{{Infobox software
[[画像:BOINC.png|thumb|200px|BOINC]]
| name = BOINC
'''Berkeley Open Infrastructure for Network Computing'''(バークレー オープン インフラストラクチャ フォー ネットワーク コンピューティング)とは、[[分散コンピューティング]]プロジェクトの[[プラットフォーム]]として開発された[[プログラム]]である。開発元は[[カリフォルニア大学]]。略称は'''BOINC'''。
| logo = BOINC logo July 2007.svg
| logo size = 200px
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| screenshot = BOINCconproyectos.png
| caption = [[macOS]]上で動作するBOINC Manager 7.6.22
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| developer = [[カリフォルニア大学バークレー校]]
| released = {{Start date and age|2002|04|10|df=yes}}
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[https://boinc.berkeley.edu/download_all.php 7.16.13] [[macOS]]
[[地球外知的生命体探査#SETI@home|SETI@home]]の運用実績をもとに、より柔軟で汎用的なシステムを目指している。BOINCの公開後、SETI@homeはBOINCベースへと移行し、元のSETI@homeは[[2005年]][[12月]]に運用を終了した。
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[https://boinc.berkeley.edu/download_all.php 7.4.22] [[Linux]]
== BOINCの特徴 ==
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[https://boinc.berkeley.edu/download_all.php 7.4.53] [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]
=== 参加者側からみて ===
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[https://boinc.berkeley.edu/download_all.php 7.16.3] [[Android (オペレーティングシステム)|Android]]
各プロジェクトの核となる[[クライアント]]ソフトと、プロジェクトの運用サーバとの送受信やプロジェクト自体の管理を司るクライアントソフトとが分離されている。前者は'''コアクライアント'''、後者は'''BOINCクライアント'''と呼ばれる。[[Microsoft Windows|Windows]]用や、[[Mac OS X]]用の標準[[グラフィカルユーザインターフェース|GUI]]版ではさらに[[スクリーンセーバー]]が付属し、旧来のSETI@homeでもあったようなグラフィカルな動作画面が表示される(対応プロジェクトのみ)。
{{Start date and age|2019|10|10|df=yes}}
| programming language = [[C++]] (client/server)<br />[[PHP (プログラミング言語)|PHP]] (project CMS)<br />[[Java]]/[[Kotlin]] (Android client)
| operating system = [[Microsoft Windows|Windows]]<br />[[macOS]]<br />[[Linux]]<br />[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]
| platform =
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| language count = <!-- Number only -->
| language footnote =
| genre = [[グリッド・コンピューティング]]
[[ボランティア・コンピューティング]]
| license = [[GNU Lesser General Public License]]<ref>{{citation|title= BOINC is now distributed under the Lesser GPL|url= https://boinc.berkeley.edu/legal.html|publisher= BOINC, [[University of California, Berkeley]]|date= 2005-01-15|accessdate= 2012-08-19|archive-url= https://web.archive.org/web/20160304185434/https://boinc.berkeley.edu/legal.html|archive-date= 2016-03-04|url-status= dead}}</ref><br />Project licensing varies
| website = {{URL|https://boinc.berkeley.edu/}}
| standard =
| AsOf =
}}
 
'''Berkeley Open Infrastructure for Network Computing'''(バークレー・オープン・インフラストラクチャ・フォー・ネットワーク・コンピューティング)、略称 '''BOINC'''(ボインク、発音 {{IPAc-en|b|ɔɪ|ŋ|k}}<ref>{{cite web|url=https://www.youtube.com/watch?v=GzATbET3g54|title=Rosetta@home|date=7 January 2007|editor1-last=Gonzalez|editor1-first=Laura Lynn|website=YouTube|publisher=Rosetta@home|access-date=26 August 2015}}
BOINCベースの分散コンピューティングプロジェクトへの参加者は、まずBOINCクライアントを入手し、プロジェクトへの参加手続きはBOINCクライアントを通じて行う。参加手続きが終わるとただちにそのプロジェクトのコアクライアントと最初の仕事が自動的にダウンロードされ、運用が始まる仕組みである。コアクライアントの新しいバージョンがリリースされた際も、BOINCクライアントが自動的にダウンロードする。稼動の一時停止や再開、プロジェクトからの脱退は、BOINCクライアント上で指示できる。
</ref>)は、[[ボランティア・コンピューティング]]と[[グリッド・コンピューティング]]のための[[オープンソース]]の[[ミドルウェア]]・システムである。もともとはSETI@homeプロジェクト(2020年3月31日終了)をサポートするために開発されたが、数学、言語学、医学、分子生物学、気候学、環境科学、宇宙物理学などの多様な分野で、他の[[分散コンピューティング|分散アプリケーション]]のためのプラットフォームとして一般化された<ref>{{Cite news|url=https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/05/aliens-on-your-packard-bell/527445/|title=A Brief History of SETI@Home|last=Scoles|first=Sarah|work=The Atlantic|access-date=2017-06-01|language=en-US}}</ref>。BOINCは、研究者が世界中の複数の[[パーソナルコンピュータ]]の膨大な{{仮リンク|処理資源|en|Computer performance|label=}}を利用できるようにすることを目的としている。
 
BOINCの開発は、[[カリフォルニア大学バークレー校]]の宇宙科学研究所([[:en:Space Sciences Laboratory]], SSL)に拠点を置き、SETI@homeのリーダーでもある{{仮リンク|デビッド・P・アンダーソン|en|David P. Anderson|label=}}(David P. Anderson)が率いるチームから始まった<ref>{{Cite journal|last=Anderson|first=David P.|date=2020-03-01|title=BOINC: A Platform for Volunteer Computing|url=https://doi.org/10.1007/s10723-019-09497-9|journal=Journal of Grid Computing|volume=18|issue=1|pages=99–122|language=en|doi=10.1007/s10723-019-09497-9|issn=1572-9184}}</ref>。高性能分散コンピューティング・プラットフォームとして、BOINCは、2020年3月17日時点で、世界中の約137,805人のアクティブな参加者と791,443台のアクティブなコンピュータ (ホスト) を集め、平均41.548ペタ[[フロップス]]で処理する<ref>{{cite web|url=https://boinc.berkeley.edu/|title=BOINC|last=|first=|date=|website=|publisher=Boinc.berkeley.edu|accessdate=2018-06-09}}</ref> (スーパーコンピュータ[[TOP500]]リスト上の個々のスーパーコンピュータと比較した場合、世界で5番目に大きな処理能力となる)。[[アメリカ国立科学財団|全米科学財団]] (NSF) は、SCI/0221529<ref>[https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward.do?AwardNumber=0221529 Research and Infrastructure Development for Public-Resource Scientific Computing], The National Science Foundation</ref>、SCI/0438443<ref>[https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward.do?AwardNumber=0438443 SCI: NMI Development for Public-Resource Computing and Storage], The National Science Foundation</ref>、SCI/0721124<ref>[https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward.do?AwardNumber=0721124 SDCI NMI Improvement: Middleware for Volunteer Computing], The National Science Foundation</ref>の各賞を通じてBOINCに資金を提供している。[[ギネス世界記録]]では、BOINCは世界最大の計算グリッドとしてランク付けしている<ref>{{Cite web |title = Largest computing grid |url = https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/largest-computing-grid |website = Guinness World Records |accessdate = 2016-01-04}}</ref>。
複数のプロジェクトに同時に参加する場合も、BOINCクライアント上から参加手続きをすればよい。同時に稼動できるプロジェクトはCPUコア一つにつき一プロジェクトのみだが、一定時間ごとにBOINCクライアントが自動的に切り替える。
 
BOINCのコードは、[[Microsoft Windows]]、[[macOS]]、[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]<ref>{{cite web|url=https://secure.worldcommunitygrid.org/about_us/viewNewsArticle.do?articleId=318|title=Put your Android device to work on World Community Grid!|date=July 22, 2013|accessdate=2020-07-23|publisher=}}</ref>、Linux、FreeBSD<ref>{{cite web|url=https://people.freebsd.org/~pav/boinc.html|title=Manual sites of FreeBSD system|date=January 2, 2015|accessdate=2020-07-23|publisher=}}</ref>を含む様々なオペレーティングシステム上で動作する。BOINCは[[GNU Lesser General Public License]] (LGPL)の条件でリリースされたフリーソフトウェアである。
BOINCクライアントの設定や各プロジェクトの設定、プロジェクト間の稼動比率の設定は、現状ではBOINCクライアント上からは設定できない。プロジェクトのウェブサイトに設けられたユーザーページ上で設定変更し、後ほど変更情報をBOINCクライアントに取り込む方法が採られている。
 
== BOINC の特徴 ==
=== プロジェクト側からみて ===
=== 参加者側からみた特徴 ===
参加者が最初に導入するのは、後述する''' BOINC クライアント'''であるが、ここではクライアント側ソフトウェアの構造から説明を始める。
まず、参加者側に配置される[[クライアント (コンピュータ)|クライアント]]・ソフトウェアが稼動するのに必須な部分は以下の2つである。
*(a) '''アプリケーション''': [[分散コンピューティング]]・プロジェクトのそれぞれが目的とする計算をする部分
*(b) '''コア・クライアント''': どのプロジェクトでも使う共通部分(運用サーバとの送受信機能や 上記の(a)部分から呼び出すライブラリ機能)
前者(a)'''アプリケーション'''は、各プロジェクトのサーバから参加者側へダウンロードされて複数プロジェクトが共存できる。
 
上記の必須部分 (a)+(b) に加えて、操作を楽にするための GUI が追加できる。GUI 部分と、(a)、そして(b)はこのように構造上分離されているが、今ではほとんどのプラットフォーム向けにそれぞれ GUI が用意されている。このため参加者からみると GUI がオプションであるとは意識されていないことがほとんどである。配布に際しても (b)'''コア・クライアント'''と GUI は一体として配られているので、コア・クライアント+ GUI を''' BOINC クライアント'''と呼ぶことが多い。つまり、
*(c) ''' BOINC クライアント''': コア・クライアント+ GUI 部分
である。たとえば、[[Microsoft Windows|Windows]]用や、[[macOS]]用の標準[[グラフィカルユーザインターフェース|GUI]]版の BOINC クライアントがある。GUI の中には、機能を絞ったシンプルな画面と細かい操作のできる Advanced View の 2層構造になっているものもある。
'''コア・クライアント'''には、スクリーンセイバーを組込む仕組みが用意されており、旧来の SETI@home でもあったようなグラフィカルな動作画面が表示される。スクリーンセイバーは '''アプリケーション'''ごとに用意するものなので、スクリーンセイバーが表示されないプロジェクトもある。以下では'''BOINC クライアント'''を、主にコア・クライアント + GUI の意味で使うが、さらにおおまかに、(a)も集合的に含めたクライアント側ソフトウェア全体を意味することもある。
 
BOINC ベースの分散コンピューティングプロジェクトへの参加者は、まず BOINC クライアントを入手し、プロジェクトへの参加登録は BOINC クライアントを通じて行う <ref>BOINC クライアントのバージョン4までは、まずプロジェクトのウェブサイト上で参加登録を行い、メールで送られてきたアカウントキーを BOINC クライアントに入力する必要があった。一部プラットフォームではバージョン5 以降の BOINC クライアントが提供されておらず、ウェブサイト上での参加登録ページは現在も残されている。</ref>。参加登録が終わるとただちにそのプロジェクトのアプリケーションと最初の仕事が自動的にダウンロードされ、運用が始まる仕組みである。アプリケーションの新しいバージョンがリリースされた際も、BOINC クライアントが自動的にダウンロードする。稼動の一時停止や再開、プロジェクトからの脱退は、BOINC クライアント上で指示できる。
 
複数のプロジェクトに同時に参加する場合も、BOINC クライアント上から参加手続きをすればよい。同時に稼動できるプロジェクトは CPUコア1つ(INTELCPUのHTが有効時は二分の一つ)につき一プロジェクトのみだが、一定時間ごとに BOINC クライアントが自動的にプロジェクトを切り替える。
 
BOINC クライアントの設定や各プロジェクトの設定、プロジェクト間の稼動比率の設定は、現状では BOINC クライアント上からは設定できない。プロジェクトのウェブサイトに設けられたユーザーページ上で設定変更し、後ほど変更情報を BOINC クライアントに取り込む方法が採られている。
 
=== プロジェクト側からみた特徴 ===
サーバ運用の手法が確立しているため、新たにプロジェクトを起こす際に一から[[インフラストラクチャー|インフラ]]部分を整備する労力を要しない。また、関連プログラムは[[オープンソース]]化されている。
 
SETI@home で得られた分散コンピューティングの運用ノウハウを他の科学研究にも役立てることを主眼としているため、サーバ運用の省力化を念頭に置いて開発されている。通常、分散コンピューティングでは計算結果の信頼性を高めるため、同一の仕事を複数の参加者に配布して返却された計算結果を比較している。この、仕事の複製 → 配布 → 計算結果の回収 → 真偽判定 → 参加者への功績値の付与 → 不要ファイルの抹消、という一連の運用が自動化されている。
 
旧SETI@home では、終了直前の仕事を複製しておき不正に功績値を稼ぐ[[チート]]行為が問題となったが、個々の仕事がどの参加者のどのコンピュータに配布されたかを把握している BOINC ではこのようなことはない。
 
BOINC クライアントでは、自身が走っているコンピュータの情報を細かく調べてプロジェクト側に申告している。これにより、特定のプラットフォームや CPU の計算能力、プロジェクトに提供するメモリやハードディスク容量の多寡によって、参加の可否や配布する仕事の軽重を選択できるようになっている。
 
==設計と構造==
== 現在アカウント作成・稼働可能なプロジェクト一覧 ==
BOINCは、プロジェクト主催者が運営する[[サーバ|サーバー]]システムと、ボランティアが所有するコンピュータ上で動作するクライアントソフトウェアで構成され、相互に通信して作業単位(ワークユニット; Work Unitと呼ぶ)を分配および処理し、結果を返却する仕組みになっている。
 
===プロジェクトサーバシステム===
(参加人数順)
プロジェクト主催者のサーバは、次のような構成をとる。
*[http://setiathome.berkeley.edu/ SETI@home] [[地球外知的生命体探査]]
 
*[http://einstein.phys.uwm.edu/ Einstein@home] [[重力波]]の探査
* プロジェクト・バックエンドサーバ 参加クライアントに配布するプログラムや計算ユニットをデータサーバに供給する、また参加者から送られてきた計算結果を処理するサーバ
*[http://climateprediction.net/ ClimatePrediction.net] 長期的気候予測技術の改善・[[地球温暖化]]気温変動調査
* BOINCサーバ群
*[http://predictor.scripps.edu/ Predictor@home] [[蛋白質|たんぱく質]]構造の予測
** スケジューリングサーバ群 参加クライアントと通信を行う。
*[http://boinc.bakerlab.org/rosetta/ Rosetta@home] たんぱく質構造の予測
** 計算ユニット、計算結果、参加者アカウントを管理する関係データベースサーバ
*[http://lhcathome.cern.ch/ LHC@home] [[粒子加速器]]の改善
** バックエンドサーバとBOINCサーバ群を連携するユーティリティ
*[http://szdg.lpds.sztaki.hu/szdg/ SZTAKI DesktopGrid] 11次元までの一般化された2進数系(generalized binary number system)の探索
** プロジェクト参加者や開発者のためのWebインタフェース
*[http://boinc.bio.wzw.tum.de/boincsimap/ SIMAP] たんぱく質の類似性データベースの構築
** データサーバ群 参加クライアントへのファイル配信と計算結果の収集を行う。これらの通信はHTTPを使って行う。
*[http://pirates.spy-hill.net/ Pirates@Home] テストプロジェクト
 
*[http://www.ufluids.net/ uFluids] 微重力状態での流体工学研究
===クライアントソフトウェア===
*[http://www.primegrid.com/ PrimeGrid] PerlベースでBOINCシステムを開発する試み「PerlBOINC」の動作試験
 
*[http://burp.boinc.dk/ BURP] 3Dアニメーション[[レンダリング]]の公共システム開発
[[File:BOINC Manager Screenshot.jpg|thumb|344x344px|[[SETI@home]]プロジェクトに取り組んでいるBOINCマネージャ(v 7.6.22)|代替文=]]
*[http://setiweb.ssl.berkeley.edu/beta/ SETI@home Beta] SETI@home次期バージョンのβテスト
{{Main|[[BOINCクライアント-サーバ技術]]}}
<!--*[http://lhcathome-alpha.cern.ch/ LHC@home alpha] LHC@home次期バージョンのαテスト-->
[[File:BOINCManager.png|thumb|right|BOINCマネージャのアイコン ]]
<!--*[http://africa-home4.cern.ch/malariaControl Malaria Control] 臨床疫学の確率論的なモデリング-->
BOINCは本質的に、[[コンピュータ]]で未使用の[[CPU]]や[[Graphics Processing Unit|GPU]]のサイクルを科学計算に利用できる[[ソフトウェア]]であり、個人が自分のコンピュータを使わない分をBOINCが利用する。2008年末、BOINCの公式ウェブサイトでは、[[NVIDIA]]が科学計算にGPUを利用する[[CUDA]]と呼ばれるシステムを開発したと発表した。NVIDIAの支援により、現在、BOINCベースのいくつかのプロジェクト ([[SETI@home]]、[[MilkyWay@home]]など) では、CUDAを使用してNVIDIAのGPU上で動作するアプリケーションが含まれるようになった。2009年10月から、BOINCは[[ATI Technologies|ATI]]/[[Advanced Micro Devices|AMD]]ファミリのGPUのサポートも追加した。これらのアプリケーションは、以前のCPUのみのバージョンよりも2倍から10倍速く動作する。7.xプレビュー版では、AMD Radeonグラフィックカードを搭載した[[MacOS|Mac OS X]]コンピュータのGPUサポート ([[OpenCL]]経由) が追加された。
 
====ユーザインタフェース====
BOINCは、[[リモートプロシージャコール]] (RPC)、[[コマンドラインインタフェース|コマンドライン]]、BOINCアカウントマネージャからリモートで制御できる。
 
BOINCマネージャには現在、''アドバンストビュー''と''簡易GUI''という2つの「ビュー」がある。''グリッドビュー''は冗長だったため、6.6.xクライアントでは削除された。
 
簡易GUIの外観([[スキン (GUI)|スキン]])は、ユーザが独自のデザインを作成できるように、ユーザがカスタマイズすることができる。
 
====モバイルアプリケーション====
Android用のBOINCアプリも存在し、スマートフォン、タブレット、KindleなどのAndroid端末を所有している全ての人が、未使用のコンピューティングパワーを共有することができる。ユーザは、アプリの利用可能なプロジェクトリストから、支援したい研究プロジェクトを選択することができる。
 
デフォルトでは、デバイスがWiFiネットワークに接続され、充電されており、バッテリーの充電が少なくとも90%以上の場合にのみ、アプリケーションはコンピューティングを許可する<ref>{{cite web|url=http://boinc.berkeley.edu/wiki/Android_FAQ|title= Android FAQ |author=<!--Not stated--> |date= 12 April 2018 |website= BOINC |publisher= UC Berkeley |access-date= 29 June 2018 |quote=}}</ref>。これらの設定の一部は、ユーザのニーズに合わせて変更できる。ただし、すべてのBOINCプロジェクトが利用できるわけではなく<ref name="Projects">{{cite web|title=Projects|url=http://boinc.berkeley.edu/projects.php|website=BOINC|accessdate=2020-07-23|publisher=}}</ref>、一部のプロジェクトはすべてのバージョンのAndroid OSに対応していなかったり、作業が断続的であったりする。現在利用可能なプロジェクトと対応するプラットフォームは、BOINCプロジェクトのWebサイトに掲載されている{{R|"Projects"}}。
 
====アカウントマネージャ====
BOINCアカウントマネージャは、複数のコンピュータ (CPU) とオペレーティングシステムにわたって、複数のBOINCプロジェクトアカウントを管理するアプリケーションである。アカウントマネージャーは、BOINCを初めて利用するユーザや、複数のコンピュータを複数のプロジェクトに参加させているユーザ向けに設計されている。アカウントマネージャーのコンセプトは、GridRepublicとBOINCが共同で考案・開発したものである。現在および過去のアカウントマネージャーは次の通りである:
 
* BAM! (BOINC Account Manager) -  2006年5月30日に公開された最初の公開アカウントマネージャー
* {{仮リンク|GridRepublic|en|GridRepublic|label=}} - アカウント管理に関しては、シンプルな状態を維持し、きちんとした状態を維持するという考えに従っている
* {{仮リンク|Charity Engine|en|Charity Engine|label=}}(チャリティーエンジン) - 非営利のアカウントマネージャーを雇い、懸賞の抽選や継続的なチャリティー募金活動を利用して、人々のグリッドへの参加意欲を高める
* Dazzler (ダズラー) - オープンソースのアカウントマネージャー、制度的な経営資源を楽にする
===クレジットシステム===
{{Main|[[BOINCクレジットシステム]]}}
 
BOINCクレジットシステムは、クレジットを付与する前に結果を検証することで、不正行為を避けるように設計されている。
 
* クレジット管理システムは、ユーザが科学的にも統計的にも正確な結果を返していることを確認するのに役立つ。
* オンライン分散コンピューティングは、ほとんどボランティアの努力によって成り立っている。このような理由から、プロジェクトは新規ユーザ、長期ユーザ、引退するユーザの複雑で変動性のある組み合わせに依存している。
 
== 歴史 ==
* 2000年 - SETI@homeの今後の計画として、SETI@home IIを計画中であることを表明。
* 2002年8月 - BOINCを開発中であることを表明。
* 2003年
**4月 - [[United Devices]]社(UD)から、BOINCのソースコードの公開差し止めを求めて訴訟を起こされる。開発主任のデビッド・アンダーソン博士がかつてUD社に勤めていたことを理由に、UD社の企業秘密を流用してUD社の脅威となるソフトウェアを開発していると主張。
** 7月 - UD社との和解が成立。完全なオープンソースでの配布を断念し、商用利用を不可とするライセンスにすることで合意<ref>{{Cite web |url=http://boinc.berkeley.edu/legal.html |title=Why the BOINC public license has been modified |access-date=2017-09-21 |publisher=University of California |archive-url=https://web.archive.org/web/20170921045713/https://boinc.berkeley.edu/legal.html |archive-date=2017-09-21 |date=2003-07-25}}</ref>。
* 2004年
**6月
***SETI@home/BOINCを一般公開。
*** Climateprediction.netがBOINCを採用。
*** Predictor@homeがBOINCを採用。
** 9月 - LHC@homeがBOINCを採用。
** 11月 - Einstein@HomeがBOINCを採用。
* 2005年
**1月 - UD社との和解が期限切れを迎え、[[GNU Lesser General Public License|Lesser GPL]]のライセンスでの配布が可能となる。
** 6月
***Rosetta@homeがBOINCを採用。
***SETI@homeのウェブサイトをSETI@home/BOINCのものに差し替え。半年の移行期間を設けてSETI@homeクラシックを運用終了することを宣言。
** 11月 - SETI@homeクラシックを1ヶ月後に運用終了すると表明。
** 12月 - SETI@homeクラシックが運用終了。
*2013年7月 - Android用BOINCクライアント公開<ref>{{Cite web|和書|title=BOINCプロジェクトがAndroidに対応 - スマホで新星の発見や病気研究を支援|url=https://news.mynavi.jp/techplus/article/20130725-a187/|website=マイナビニュース|date=2013-07-25|accessdate=2019-02-26|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=SETI@home開発者の新たな挑戦:今度はAndroid端末で|WIRED.jp|url=https://wired.jp/2013/03/31/android-boinc/|website=WIRED.jp|accessdate=2019-02-26|language=ja-jp}}</ref>。
*2020年3月31日 - SETI@home/BOINC運用終了。
 
== プロジェクト一覧 ==
=== 現在アカウント作成・稼働可能なもの ===
オープンβのプロジェクトも含む。
==== 天文学 ====
*[[Asteroids@home]]
**太陽系内小惑星の物理的特性を導出する。
 
*{{仮リンク|Cosmology@home|en|Cosmology@home}}
**[[宇宙背景放射|宇宙マイクロ波背景放射]]の非等方性についての研究。観測結果により良く適合する[[宇宙モデル]]を構築する。
*[[Einstein@home]]
**[[重力波 (相対論)|重力波]]の検出を試みる。
*[[MilkyWay@home]]
**[[銀河系|天の川銀河]]の進化モデルを構築。[[スローン・デジタル・スカイサーベイ]][http://www.sdss.org/]によってもたらされたデータを基とし、天の川銀河の精密な三次元モデルを構築する。また、銀河同士の衝突により天の川銀河が作られた過程や渦巻構造が作られた方法についての知見を得る。
**
 
*[[Universe@Home]]
**超高輝度X線源・重力波・超新星Iaなどを研究する。
==== 気候学 ====
*{{仮リンク|ClimatePrediction.net|en|ClimatePrediction.net}}
**長期的気候予測技術の改善・[[気候変動]]調査
**CPDN Beta
***Climateprediction.net 次期バージョンのβテスト。
 
==== 地震学 ====
*[[Quake-Catcher Network|Quake-Catcher Network Seismic Monitoring]]
**簡易[[地震計]]ネットワークを構築する。
 
==== 数学 ====
*[http://boinc.thesonntags.com/collatz/ Collatz Conjecture]
**[[数論]]の未解決問題の一つ、[[コラッツの問題]]を解決する。
*[http://goldbach.pl/ Goldbach's Conjecture]
**[[ゴールドバッハの予想]]で2*10^1346以下のものを解く。
*[[PrimeGrid]]
**[[素数]]探索全般。
*[http://dist.ist.tugraz.at/cape5/ Rectilinear Crossing Number]
**幾何学的な命題のひとつ、線分の交わる個数の最も少なくなるような頂点の配置を求める。
*{{仮リンク|SZTAKI Desktop Grid|en|SZTAKI Desktop Grid}}
**11次元までの一般化された2進数系 (generalized binary number system) の探索。
*WEP-M+2
**[[メルセンヌ数]]+2の形式の素数を探索。
 
==== 物理学 ====
*[[AQUA@home]]
**超伝導断熱量子コンピュータの性能予測。
*[[LHC@home]]
**[[粒子加速器]]の改善。[[欧州原子核研究機構]] (CERN) の[[大型ハドロン衝突型加速器]] (LHC) の稼動シミュレーションを行う。
*[[μFluids@Home]]
**[[無重量状態|微小重力状態]]での[[流体力学|流体工学]]研究。
 
==== 化学 ====
*[http://hydrogenathome.org/ Hydrogen@home]
**[[水素]]生産の研究。
*{{仮リンク|Leiden Classical|en|Leiden Classical}}
**[[古典力学]]全般。現在は[[分子動力学法]]に基づく水分子の運動モデルの検証が主。
*[http://kinetic.dnsalias.org/magnetism/ Magnetism@home]
**ナノスケールの磁気現象を研究。
*{{仮リンク|QMC@home|en|QMC@home}}
**[[モンテカルロ法]]を用いて[[量子化学]]方程式を解く。
*{{仮リンク|Spinhenge@home|en|Spinhenge@home}}
**[[分子磁石]]およびナノスケールの磁気現象を研究。
 
==== 構造生物学 ====
*[[Docking@Home]]
**タンパク質の[[リガンド]]を探索、および探索方法そのものの新規開拓。
*[[GPUGRID]]
**[[CUDA]]対応の[[Graphics Processing Unit|GPU]]やLinuxを導入した[[PlayStation 3|プレイステーション3]]を用いて[[分子動力学法|分子動力学]]に基づくシミュレーションを行う。
*{{仮リンク|POEM@home|en|POEM@home}}
**[[タンパク質構造予測]]。
*{{仮リンク|proteins@home|en|proteins@home}}
**タンパク質構造予測。
*[[Rosetta@home]]
**タンパク質構造予測。
**RALPH@home
***Rosetta@home次期バージョンのαテスト。
*[[SIMAP]]
**タンパク質の[[相似 (生物学)|相似性]]データベースの構築。
*{{仮リンク|The Lattice Project|en|The Lattice Project}}
**タンパク質構造予測、ほか[[分子生物学]]全般。
 
==== 分子生物学 ====
*[http://cbl-boinc-server2.cs.technion.ac.il/superlinkattechnion/ Superlink@Technion]
**[[糖尿病]]、[[高血圧]]、[[悪性腫瘍|癌]]、[[統合失調症]]などの原因となる[[遺伝子]]を発見する。
 
==== 疫学 ====
*[[Malaria Control Project]]
**[[臨床疫学]]の確率論的なモデリング。
 
==== 認知科学 ====
*{{仮リンク|MindModeling@home|en|MindModeling@home}}
**MindModeling@homeのβテスト。[[ACT-R]]上での認知モデルの構築とその評価を行う。
 
==== 計算機科学 ====
*[http://boinc.freerainbowtables.com/distrrtgen/ DistrRTgen]
**[[ハッシュ関数]]の逆引きを可能とする、巨大な[[レインボーテーブル]]の作成。
*[http://www.enigmaathome.net/ Enigma@home]
**[[M4 Project]]にBOINCクライアントから参加できるように仲介するラッピングプロジェクト。ナチス・ドイツの暗号機「[[エニグマ (暗号機)|エニグマ]]」で作成された未解読の暗号文を解読する。
*[http://freehal.net/freehal_at_home/ FreeHAL@home]
**[[人工無能]]の研究。構文解析やタグ付けを行っている。
*[http://genlife.is-a-geek.org/genlife/ Genetic Life]
**[[進化的アルゴリズム]]の研究。[[Tierra (コンピュータプログラム)|Tierra]]を分散コンピューティング上で動作させる。
*[http://boinc.iaik.tugraz.at/sha1_coll_search SHA-1 Collision Search Graz]
**[[SHA-1]][[ハッシュ関数]]の脆弱性を見つけ出す。
 
==== アニメーションレンダリング ====
*[[:en:Big and Ugly Rendering Project]](BURP)
**3Dアニメーション[[レンダリング (コンピュータ)|レンダリング]]の公共システム開発。
 
==== パズル ====
*[http://nqueens.ing.udec.cl/ NQueens Project]
**チェスの盤面を使ったパズル「[[エイト・クイーン|Nクイーン問題]]」の解を求める。
*[http://dist2.ist.tugraz.at/sudoku/ Sudoku]
**[[ペンシルパズル]]の[[数独|ナンバープレース(数独)]]における数学的命題、問題として成立する最も少ない初期配置を求める。
 
==== テスト、その他 ====
*[http://www.gerasim.boinc.ru/Gerasim/ Gerasim@home]
*Pirates@Home
**テストプロジェクト。もともとはEinstein@homeのスクリーンセーバ用画像を制作するプロジェクトだったが、現在は分散コンピューティングについて理解するための学習教材に転用されている。
*[http://boinc.vgtu.lt/vtuathome/ VTU@home]
**テストプロジェクト。本格的なプロジェクトを立ち上げる前の運用習熟で、素因数分解の単純な総当り式による素数探索を行うダミーワークが配布されている。
 
==== オムニバス ====
*World Community Grid
**[[#World Community Grid]]を参照。
*[http://www.rechenkraft.net/yoyo/ yoyo@home]
**BOINCを採用していない分散コンピューティングプロジェクトに対し、BOINC クライアントで参加できるよう仲介するラッピングプロジェクト。以下のプロジェクトに対応している。
**[[distributed.net]] の OGR (最短ゴロム定規) 探索プロジェクト
***最短[[ゴロム定規]]を求める。
**ECM
***[[素因数分解]]の{{仮リンク|楕円曲線法|en|Lenstra_elliptic_curve_factorization}}に関する研究。
**{{仮リンク|evolution@home|en|Evolution@Home}}
***[[進化]]の研究。[[有性生殖#マラーのラチェット|マラーのラチェット]]の定量化を試みる。
**Muon1 Distributed Particle Accelerator Design
***[[ミュー粒子]]の研究。粒子加速器のシミュレーションを行う。
*{{仮リンク|Ibercivis|en|Ibercivis}}
**複数の分散コンピューティングの受け皿となるプロジェクト。
**adsorcion
**docking
**fusion
**nanoluz
**nanotest
**neurosim
**materiales (16、32、64、128、24、48)
*[http://boinc.almeregrid.nl/ AlmereGrid Boinc Grid]
**複数の分散コンピューティングの受け皿となるプロジェクト。世界最初の'''市営'''分散コンピューティングプロジェクトでもある。運営元はオランダ・[[フレヴォラント州]]にある町[[アルメレ]]である。
**[http://server1.almeregrid.nl/testgrid/ AlmereGrid TestGrid]
***AlmereGridのαテスト
**Statistical analysis of twins - test version
 
=== 参加者の募集を停止中のもの ===
クローズドβ、あるいは参加者数を限定して運用しているプロジェクト群。
*[http://www.chess960athome.org/alpha/ Chess960@home]
**[[変則チェス]]の一種、[[チェス960]]での[[定石|定跡]]を探る。
*[http://climateapps1.oucs.ox.ac.uk/beta/ Climateprediction.net Beta]
**Climateprediction.net次期バージョンのβテスト。オープンβは別サイトに移動した。
*[http://impfarm.imp.org/boinc/ IMP@home]
**既に終了したプロジェクトIMPFarmの後続。
*[http://maxwell.dhcp.umsl.edu/brats/ BRaTS@home]
**[[重力レンズ]]風の視覚効果を用いた[[レイトレーシング]]を作成。
*[http://cbl-boinc-server1.cs.technion.ac.il/superlinkatclusters/ Superlink@clusters]
**Superlink@Technionのαテスト。一般の参加はできない。
*[http://mindmodeling.org/boinc/ MindModeling@home]
**[[認知科学]]の研究。[[ACT-R]]上での認知モデルの構築とその評価を行う。現在はβテスト専用のプロジェクトでのみ運用。
*[http://isaac.ssl.berkeley.edu/alpha/ BOINC Alpha]
**BOINC自体のαテスト。一般の参加はできない。
*[http://docktest.cis.udel.edu/ DockTest@Home]
**Docking@Homeのテスト。
 
=== 運用にむけて準備中のもの ===
参加者登録は可能なものの、まだワークの配布が始まっていないプロジェクト。
*[http://grid.ncssm.edu/ncssm_grid/ NCSSM Grid Computing Project]
*[http://193.144.240.190/nnsimu/ NNSIMU Project]
*[http://sat.math.umu.se/sat/ Satisfaction@home]
*[http://evil.podzone.org/decs/ DECS]
*[http://www.mapthegap.com/ MapTheGap Project]
*[http://cancergrid.lpds.sztaki.hu/cancergrid/ CancerGrid]
*[http://140.110.240.195/bioinfo/ Bioinfo@Home]
*[http://sctr.i3a.uclm.es/prob/ Prob]
*[http://eon.raunvis.hi.is/EON2v1/ EON]
*[http://eaps-at-home-alpha.gotdns.org/eaps/ EAPS@HOME]
*[http://elm.cis.uncw.edu/ddas/ UNCW's Distributed Data Analysis System]
*[http://202.191.56.60/VCP/ Volunteer Computing Platform]
 
=== 活動を休止中のもの ===
長期に渡って運用停止していたり、運営側が休止を宣言したプロジェクト。
*[[ABC@home]]
**[[ABC予想]]に関連する数の組を探索する。2011年に<math>c\leq10^{18}</math>を満たす組、15年には<math>c\leq2^{63}</math>までの約2380万個の組を求め、プロジェクトは終了した。<ref>{{Cite web |title=Bart de Smit - ABC triples |url=https://www.math.leidenuniv.nl/~desmit/abc/index.php?set=1 |website=www.math.leidenuniv.nl |access-date=2022-10-14}}</ref>
*[http://www.apsathome.org/ APS@home]
**生態系から発するガスなどの流動体が、計測地点に到達するまでにどのような軌跡を辿ったかを求める。
*{{仮リンク|Artificial Intelligence System|en|Artificial Intelligence System}}
**将来の大規模な[[人工知能]]システム構築の参考にするため、巨大な[[ニューラルネットワーク]]を構築する。
*BBC Climate Change Experiment
**[[#BBC Climate Change Experiment]]参照。
*[http://boinc.vanderbilt.edu/CSB/ BCL@Home]
**タンパク質構造予測。新薬候補の探索を主眼においている。
*Cels@home
**[[細胞接着]]のメカニズムを、それを原因とした疾患(癌細胞の転移やウイルス感染、[[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]感染など)を防止する観点から研究する。
*[http://attribution.cpdn.org/ climateprediction.net Seasonal Attribution Project]
**climateprediction.net の1プロジェクト。2000年秋に英国で発生した[[洪水]]のシミュレーションを試みる。
*[http://isaac.ssl.berkeley.edu/cplan/ Cunning Plan]
*[http://www.depspid.net/ DepSpid]
**[[クローラ|ウェブクローラー]]を分散コンピューティングで構築。
*Distributed Rainbow Table Generator
**[[ハッシュ関数]]の逆引きを可能とする、巨大な[[レインボーテーブル]]の作成。
*[http://eternity2.net/ EternityII.net]
**懸賞金の掛けられたパズル{{仮リンク|Eternity II Puzzle|en|Eternity II Puzzle}}の早解きを行う。
*{{仮リンク|HashClash@home|en|HashClash@home}}
**[[MD5|MD5ハッシュ関数]]の脆弱性を見つけ出す。
*[http://www.nanohive-1.org/atHome/ NanoHive@home]
**[[ナノテクノロジー]]の研究。
*[[Orbit@home]]
**[[地球近傍小惑星]]の[[軌道 (力学)|軌道]]をモニタリング。
*pPot Tables
**[[ポーカー]] ([[テキサス・ホールデム]]) に強い[[人工知能|AI]]を作成するための[[ルックアップテーブル]]を構築する。
*{{仮リンク|Predictor@home|en|Predictor@home}}
**タンパク質構造予測。
*Project Neuron
**分散コンピューティングプロジェクトの効率性評価手法の確立。
*[http://www.ramseyathome.com/ramsey/ Ramsey@home]
**[[ラムゼーの定理|ラムゼー数]]の探索。
*RenderFarm@home
**アニメーションのレンダリングを行うプロジェクト。
*Reversi
**[[オセロ (ボードゲーム)|リバーシ]]の最善手を探索し、完全に解くことを目指す。
*[[Riesel Sieve]]
**509203よりも小さい[[シェルピンスキー数#リーゼル数|リーゼル数]]が存在するかを探索。
*RND@home
**[[基地局|無線基地局]]の効率よい配置・運用を行うためのシミュレーション。
*[http://www.scilinc.org/SciLINC/ SciLINC]
**[[植物学]]に関する膨大な文献をデータベース化する。
*[[SETI@home]]
**[[地球外知的生命体探査]]。[[天球]]上の一点から届く狭帯域信号を検出する。
**SETI@home beta
***SETI@home 次期バージョンの[[ベータ版]]。
 
*
*[[TANPAKU]]
**タンパク質の構造と機能を{{仮リンク|ブラウン動力学法|en|Brownian dynamics}}を用いて研究。
*[http://bob.myisland.as/tsp/ TSP]
**[[巡回セールスマン問題]]の研究。[[遺伝的アルゴリズム]]のほか、さまざまな検索アルゴリズムをテストする。
*[http://boinc.cs.uct.ac.za/malaria/ UCT : malariacontrol.net]
**malariacontrol.netのβテスト。
*[http://vcsc.cs.uh.edu/second-computing/ UH Second Computing]
**複数の分散コンピューティングの受け皿となるプロジェクト。
*[http://vcsc.cs.uh.edu/virtual-prairie/ Virtual Prairie]
**広大な[[プレーリー]]全体をシミュレートし、繰り返される放牧や伐採といった[[擾乱]]に対して生態学的にどれほどの復元力があるかの知見を得る。
*XtremLab
**分散コンピューティングのパフォーマンス向上を目的とした BOINC 自体の研究・分析。
*Zebra RSA Bruteforce
**[[スマートカード]]で使われる[[RSA暗号]]を[[総当たり攻撃|ブルートフォース(総当たり)]]によって無力化。
*Zivis Superordenador Ciudadano
 
== BOINCの技術をベースにした分散コンピューティングプロジェクト ==
=== World Community Grid ===
{{Main|World Community Grid}}IBM社の支援の下、複数の医療系プロジェクトを展開している。既にいくつかのプロジェクトが完了、もしくはフェーズ2に移行している。
 
[[United Devices]]社のシステムで運用されているプロジェクトであったが、UD社のクライアントのサポートは2008年6月で中止され<ref> {{Cite web|author=Community Advisor|date=2008-06-04|url=http://www.worldcommunitygrid.org/forums/wcg/viewthread?thread=20703|title=2008年6月26日をもってUDクライアントからBOINCクライアントに全て移行完了|publisher=World Community Grid|language=[[英語]]|accessdate=2009-01-11}}</ref>、一方これと平行して2005年11月からBOINCクライアントからも参加できるようになり、現在はBOINCクライアントのみのサポートとなった<ref name=UDstop>{{Cite web|url=http://www.worldcommunitygrid.org/newsletter/07Q1/viewNewsletter.do|title=World Community GridのBOINCクライアントの使用開始2005年11月|publisher=World Community Grid|language=[[英語]]|accessdate=2009-01-11}}</ref>。当初は脇役的な扱いでBOINCからの参加方法も解りづらかったが、[[United Devices Cancer Research Project|grid.org]] の終了前後から主客が逆転し、ウェブサイトでの参加登録後に現れるクライアントダウンロードページでも BOINCクライアントが上位に表示されるなど、UDクライアントの方が脇へと追いやられているという変遷もあった。
独自のクライアントソフトを用いるため、前項のプロジェクト群とは同一PC内で共存不可能である。
 
*[http://www.cellcomputing.net/ cell computing βirth]
WCGサイトからの参加手続きは通常とは若干異なるが、これは初心者に対する配慮からWCGプロジェクトに参加した状態でのインストールになっていることによる。そのため、BOINCでWCGに参加する場合は、WCGサイトからインストールするのが最も簡単で手間がかからない。またBOINCクライアントは最新版が使用されており、インストール後にWCG以外のプロジェクトを追加する場合も特に制限はなく、別途BOINCに参加した人との差異はないと言って良い。
**[http://www.cellcomputing.net/simple/project/02.php CHRONOS] ヒトゲノム染色体間法則性解明プロジェクト
 
*[http://www.worldcommunitygrid.org/ World Community Grid]
[[2007年]]10月3日BOINCクライアントからの功績値は68.8%に達し、[[2008年]]6月26日には100%となり、UDクライアントは使命を終えた。
*:Linuxのみ、BOINCでHuman Proteomeが動作可能。他OS用ソフトは現在開発中
 
**[http://www.worldcommunitygrid.org/projects_showcase/viewFaahResearch.do FightAIDS@Home] [[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]の新薬開発
特徴としてはBOINCでの功績値(クレジット)とは別に、過去のUDクライアントによる功績値との整合性を取る必要性からポイント(1クレジット=7ポイント)による功績値集計を行っている。なおBOINC Stats等では、BOINCクライアントによる功績値のみが通常のクレジットで集計される。
**[http://www.worldcommunitygrid.org/projects_showcase/viewHpfResearch.do Human Proteome] たんぱく質構造の予測
 
グラフィック表示可能。(ただしグラフィックサイズは640×480px)
 
BOINCと違い、プロジェクト単位でのユーザー登録ではなく、World Community Gridで1つのアカウントを作成する仕組みである。1つのアカウントの元でWCG全てのプロジェクトに参加するか、個々のプロジェクトに参加するかの選択設定も行える。またWCGでは新規プロジェクトの始動と終了が比較的に頻繁に行われるが、新規プロジェクトを自動的に追加する設定がプロファイル設定に存在し、これにより自動で参加プロジェクトを増やせる。
 
* FightAIDS@Home ([[2005年]][[11月21日]]発足)- [[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]の新しい候補薬の特定。
* Human Proteome Folding - Phase 2(ヒトたんぱく質解析フェーズ 2 [[2006年]][[6月23日]]発足) - 特定の[[人間|ヒト]]・タンパク質と病原タンパク質の分解構造を得ることとタンパク質構造予測の限界探索。生物学的なことと生物物理的なことへも対処。
* Help Conquer Cancer(がん撲滅支援 2007年[[11月6日]]発足) - [[悪性腫瘍|がん]]治療のためのたんぱく質解析。
* Help Fight Childhood Cancer([[ファイト!小児がんプロジェクト]] [[2009年]][[3月16日]]発足) - [[神経芽細胞腫|神経芽腫]]に関連する3つの特定のタンパク質と、それを不活化させる為の薬剤候補との仮想結合実験。[[千葉県がんセンター]]及び[[千葉大学]]の研究者が主宰。
* Help Cure Muscular Dystrophy - Phase 2([[筋ジストロフィー]]治療支援フェーズ2 2009年[[5月13日]]発足) - 神経筋疾患を引き起こす遺伝子に対応するタンパク質の分子モデリング解析。
* The Clean Energy Project - Phase (2010年6月30日発足) - 炭素ベースの光発電効率を高める新素材の探索。[[ハーバード大学]]の化学・生物化学部が主催。当初はLinux版のみで開始。
* Computing for Clean Water:(2010年9月20日発足) - 新たなフィルター素材での効率的な[[水]][[分子]]の流れの様相探索。低価格、高効率の水浄化フィルター開発を目標とする。
* Drug Search for Leishmaniasis (2011年9月7日発足)- [[リーシュマニア症]]の治療法に結びつく有望な合成物の探索。[[コロンビア|コロンビア共和国]][[メデジン|メデジン市]]の[[アンティオキア大学]]の研究者が主催。
 
なお、最新のプロジェクト状況については[[World Community Grid]]を参照。
 
=== cell computing βirth ===
BOINCをベースに運用されている商用プロジェクト。2008年3月末をもってすべての活動を終了した。[[Cell computing|cell computing βirth]]の項も参照のこと。
 
BOINC標準クライアントからの参加はできないが、cell computing βirthのクライアントから各BOINCプロジェクトへの参加は可能。ただしクライアントがBOINCクライアント ver.4をベースとしているため、ver.5以降のクライアントを前提としたBOINCプロジェクトには参加できない。
<!-- *[http://www.cellcomputing.net/simple/project/02.php CHRONOS] -->
*CHRONOS
**ヒトゲノム染色体間法則性解明プロジェクト
 
<!-- *[http://www.cellcomputing.net/sekigahara/project/ sekigahara(セキガハラ)] -->
*sekigahara(セキガハラ)
**関ヶ原の合戦映像製作プロジェクト
 
=== BBC Climate Change Experiment ===
ClimatePrediction.netの[[英国放送協会|BBC]]協賛版。1920年から2080年までの160年間もの気候変動をシミュレートする。
 
ウェブサイトでは独自クライアントをダウンロードするよう誘導されるが、BOINC標準クライアントからも問題なく参加できる。
 
ワークの配布は2007年1月で打ち切られ、運用結果をもとにイギリス本国で特番が放映された(ダイジェスト版は[[YouTube]]で閲覧可能<ref>{{YouTube|mNud-goRBgE|climateprediction.net - Results Programme Documentary}}</ref>。既に参加者登録は終了しており、現在は解析中ワークの返却のみ受け付けている)。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
 
== 関連項目 ==
* [[BOINCクレジットシステム]]
*[[BOINCクライアント-サーバ技術]]
* [[分散コンピューティング]]
* [[Cell computing|cell computing βirth]]
* [[Team2ch]]
* [[Folding@home]]
* [[Rosetta@home]]
* [[World Community Grid]]
 
== 外部リンク ==
* [httphttps://boinc.berkeley.edu/ Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]{{en ([http://boinc.oocp.org/indexj.php 日本語訳])icon}}
** BOINC の開発元サイト。BOINC クライアントの配布のほか、BOINC に関する詳細な解説を参加者・プロジェクト運営者双方にむけて公開している。
* 惑星協会による記事
* SETI@homeによるBOINC開発時の記事
** [http://www.planetary.or.jp/setiathome/UPDATES/Update_091602.htm SETI@homeが他の分野にインターネット分散コンピューティングをもたらす]
** [http://seticlassic.ssl.berkeley.edu/setifuture.html Future directions of SETI@home]{{en icon}}
** [http://www.planetary.or.jp/setiathome/UPDATES/Update_092503.htm 新しい,改良された SETI@home が分散コンピューティング ネットワークのバックボーンを形成するだろう]
=== チュートリアル(使い方の指導) ===
* [https://team2ch.net/ Team 2ch - BOINC Team 2ch Wiki]
** [[2ちゃんねらー]]有志のチーム「Team 2ch」のうち、[[United Devices Cancer Research Project|UDがん研究プロジェクト]]の運営終了をきっかけにBOINCに移ってきた一派が拠点とするサイト。なお、SETI@homeクラシックからBOINCに移ってきた一派については別に拠点サイト[http://setiathome.web.fc2.com/]がある。
 
=== 外部統計サイト ===
{{commonscat|BOINC}}
* [https://www.boincstats.com/ BOINCstats]{{en icon}}
** 各 BOINC プロジェクトが XML データで提供する貢献値データを定期収集し、個人別・チーム別・国別でのランキング、貢献値獲得の履歴やランキング変動履歴の提供を行う統計サイトのひとつ。プロジェクト横断での功績値合算にも対応しており完成度が高い。
* [https://www.allprojectstats.com/ All Project Stats]{{en icon}}
 
{{BOINC topics}}
[[Category:分散処理]]
{{comp-stub}}
 
{{Normdaten}}
[[cs:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[Category:分散コンピューティングプロジェクト]]
[[da:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[Category:ネットワークソフト]]
[[de:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[Category:コンピューティング]]
[[en:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[fiCategory:BOINCGPGPU]]
[[Category:長大な項目名]]
[[fr:Berkeley Open infrastructure for Network Computing]]
[[hu:BOINC - Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[it:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[nl:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[pl:BOINC]]
[[pt:BOINC]]
[[ru:BOINC]]
[[sk:BOINC]]
[[sv:Berkeley Open Infrastructure for Network Computing]]
[[zh:BOINC]]