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{{otheruseslist|日本の民俗文化財|その他の民俗文化財|民俗文化財 (曖昧さ回避)}}
{{出典の明記|date=2020年4月}}
'''民俗文化財'''(みんぞくぶんかざい)とは、[[民俗資料]]のうち、とくに資料性が高く、保存措置が必要だったり、あるいは、保存のための措置や施策が功を奏すると期待される資料を、[[国]]や[[地方公共団体]]が[[文化遺産保護制度]]の一環として指定した[[文化財]]である。本項では主に日本における事例について述べる。▼
▲'''民俗文化財'''(みんぞくぶんかざい)とは、[[民俗資料]]のうち、
日本の民俗文化財は'''有形の民俗文化財'''と'''無形の民俗文化財'''に大別される。それぞれに'''[[重要有形民俗文化財]]'''、'''[[重要無形民俗文化財]]'''の指定制度があり、指定制度を補完するものとして'''[[登録有形民俗文化財]]'''と'''[[選択無形民俗文化財]]'''(通称)がある。保護のしかたや取り扱いには違いがある。▼
本項では主に日本における事例について述べる。
==種類==
日本の民俗文化財は'''有形の民俗文化財'''と'''無形の民俗文化財'''に大別される。
▲
保護の仕方や取り扱いには違いがある。
== 日本における民俗文化財制度の整備 ==
日本において、民俗文化財が文化財保護の対象となったのは、[[1950年]]([[昭和]]25年)の[[文化財保護法]]制定においてであった。このとき、現在の民俗文化財は「民俗資料」として「建造物」や「美術工芸品」と並んだ[[有形文化財]]のひとつとされた。[[1954年]](昭和29年)の文化財保護法改正(通称「第一次改正」)において、有形の民俗資料の保護に関する制度を有形文化財の指定制度から切り離し、「重要民俗資料」の指定制度が発足した。あわせて、無形の民俗資料について「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗資料」選択制度が発足した。[[1975年]](昭和50年)の同法改正(通称「第二次改正」)では、従来の「民俗資料」が「民俗文化財」と改称されて、従来の重要民俗資料は重要有形民俗文化財と位置づけられ、また、新たに重要無形民俗文化財の指定制度が設けられるなど、民俗文化財制度が整備された。[[2005年]]([[平成]]17年)の同法改正施行において、重要有形民俗文化財指定制度を補完する登録有形民俗文化財制度が発足した。さらに、[[2021年]]([[令和]]3年)の同法改正によって、重要無形民俗文化財指定制度を補完する登録無形民俗文化財制度が発足した。
現行の文化財保護法では、民俗文化財については、第2条第1項第3号で
*衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの
と規定している。これは、1954年改正時の条文に「民俗芸能」(1975年改正時追加)と「民俗技術」(2004年改正時追加)を付け加わえたものである<ref name="hogohou50" />。民俗技術とは、生活や生産のための用具・用品などの製作技術のことである<ref name="hogohou50">[[#保護法|『最新改正 文化財保護法』(2006)pp.50-55]]</ref><ref name="hogohou110">[[#保護法|『最新改正 文化財保護法』(2006)pp.110-115]]</ref>{{refnest|group="注釈"|保存されるべき民俗技術の例としては、[[津軽海峡]]及び周辺地域における[[和船]]製作技術([[青森県]])、[[上総掘り]]の技術([[千葉県]])、[[別府温泉|別府]][[明礬温泉]]の[[湯の花]]製造技術([[大分県]])などがある<ref name="hogohou50" />。}}。
== 有形の民俗文化財 ==
=== 重要有形民俗文化財 ===
日本では、有形の民俗文化財のうち特に重要なものを'''[[重要有形民俗文化財]]'''として国が指定し、保護措置を講じている。
*衣食住に用いられるもの (29件)
*生産、生業に用いられるもの
*交通・運輸・通信に用いられるもの (19件)
*交易に用いられるもの (1件)
*社会生活に用いられるもの (1件)
*信仰に用いられるもの
*民俗知識に関して用いられるもの (7件)
*民俗芸能、娯楽、遊戯に用いられるもの (23件)
*人の一生に関して用いられるもの (3件)
*年中行事に用いられるもの(3件)
=== 登録有形民俗文化財 ===
2004年の文化財保護法改正によって民俗文化財の登録制度が発足し、国または地方公共団体の指定を受けていない有形民俗文化財のうち、保存と活用が特に必要なものを'''[[登録有形民俗文化財]]'''として登録することになった。
*衣食住に用いられるもの
*生産、生業に用いられるもの
*
*信仰に用いられるもの (1件)
*民俗芸能、娯楽、遊戯に用いられるもの(5件)
*人の一生に関して用いられるもの(1件)
=== 地方公共団体指定等 ===
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== 無形の民俗文化財 ==
=== 重要無形民俗文化財 ===
日本では、無形の民俗文化財のうち特に重要なものを'''[[重要無形民俗文化財]]'''として国が指定し保存措置を講じている。
*風俗慣習
**生産・生業
**人生・儀礼 (6件)
**娯楽・競技
**社会生活(民俗知識) (2件)
**年中行事 (34件)
**祭礼(信仰) (70件)
*[[民俗芸能]]
**神楽 (41件)
**田楽 (25件)
**風流
**語り物・祝福芸 (5件)
**延年・おこない (7件)
**渡来芸・舞台芸 (40件)
**その他
*民俗技術
**生産・生業 (17件)
**衣食住 (2件)
2021年の文化財保護法改正によって民俗文化財の登録制度が拡充し、国または地方公共団体の指定を受けていない無形の民俗文化財のうち、保存と活用が特に必要なものを'''[[登録無形民俗文化財]]'''として登録することになった。2023年3月22日現在、次の4件が登録されている。
*民俗技術
**生産・生業 (4件)
=== 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財 ===
重要無形民俗文化財および登録無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、特に必要のあるものを[[文化庁]]長官が「'''[[記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財]]'''」(通称
▲=== 選択無形民俗文化財 ===
▲重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、特に必要のあるものを[[文化庁]]長官が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」(通称'''[[選択無形民俗文化財]]''')として選択し、地方公共団体の行う調査事業や記録作成の事業に助成を行っている。2017年3月3日現在、次の628件が選択されている。
*風俗慣習
**生産・生業 (49件)
**人生・儀礼 (15件)
**娯楽・競技
**社会生活(民俗知識)(12件)
**年中行事
**祭礼(信仰) (110件)
**衣食住(1件)<!--「長野県下の代表的民家の間取・使い方」-->
*民俗芸能
**神楽 (67件)
**田楽 (44件)
**風流 (124件)
**語り物・祝福芸 (8件)
**延年・おこない (14件)
**渡来芸・舞台芸 (81件)
**その他
*民俗技術
**生産・生業 (11件)
**衣食住 (1件)
**その他 (0件)
=== 地方公共団体指定等 ===
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それゆえ、日本の文化財保護法においては、無形民俗文化財はあくまでも「民俗文化財」の範疇に含まれるのであり、「無形文化財」には属さない。ただし、[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]の[[無形文化遺産]]では、日本におけるような「無形文化財」と「無形民俗文化財」の区別は設けていない。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=注釈}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=文化財保護法研究会(編著)|year=2006|month=5|title=最新改正 文化財保護法|publisher=[[ぎょうせい]]|series=|isbn=4-324-07873-4|ref=保護法}}
* {{Cite book|和書|author=文化庁内民俗文化財研究会(編著)|year=1979|month=4|title=民俗文化財の手引き―調査・収集・保存・活用のために―|publisher=[[第一法規]]|series=|isbn=4-474-06110-1|ref=手引き}}
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
{{ウィキプロジェクトリンク|文化遺産保護制度}}
* [
* [
** [
** [
▲* [http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/shitei.html 文化庁「文化財指定等の件数」]
{{日本の文化財}}
{{
[[Category:
[[Category:日本の民俗文化財|*]]
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