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{{日本の法令
|題名=銀行法
|提出区分=閣法
|効力=現行法
|種類=[[金融法]]
|所管=([[大蔵省]]→)<br>(金融監督庁→)<br>[[金融庁]]<br>[[[銀行局]]→銀行保険局→金融局→銀行局→監督部→[[監督局]]]
|内容=[[銀行]]をめぐる法律関係を規定する法律
|関連=[[日本銀行法]]<br>[[準備預金制度に関する法律]]<br>[[預金保険法]]<br>[[銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律]]<br>[[資金決済に関する法律|資金決済法]]<br>など
|リンク={{Egov law}}
}}
'''銀行法'''(ぎんこうほう、昭和56年6月1日法律第59号)は、[[銀行]]に関する[[日本]]の[[法律]]である。
[[1981年]](昭和56年)[[6月1日]]に公布され、旧法である銀行法(昭和2年法律第21号)を全改正する形で制定された。
本法に基づく銀行を[[長期信用銀行]]などから特に区別する場合、「[[普通銀行]]」と呼ぶ。
== 主務官庁 ==
* [[金融庁]][[監督局]]<ref>[https://www.fsa.go.jp/common/about/organization/fsa_responsibility.pdf 金融庁の各局等の所掌事務(令和6年7月)] - 金融庁Webサイト。</ref><ref>[https://www.fsa.go.jp/common/law/hourei.xlsx 金融庁所管法令一覧(令和6年7月1日現在)] - 金融庁Webサイト。</ref>
** 銀行第一課 - 普通銀行([[メガバンク]]・[[都市銀行|旧都市銀行]]・[[長期信用銀行|旧長信銀]]転換2行)・[[信託銀行]]・[[新たな形態の銀行|新業態行]]を監督
** 銀行第二課 - [[地方銀行|第一地方銀行]]・[[第二地方銀行]]([[相互銀行|旧相互銀行]])を監督
*** 協同組織金融室 - [[信用金庫]]・[[信用協同組合|信用組合]] ・[[労働金庫]]を監督
** 郵便貯金・保険監督総括参事官室 - [[ゆうちょ銀行]]を監督
ノンバンクを担当する[[金融庁総合政策局|同庁総合政策局]]リスク分析総括課、[[JAバンク]]・[[JFマリンバンク]]を所掌する[[農林水産省]][[経営局]]金融調整課など他省庁と連携して執行にあたる。
== 構成 ==
*第一章 総則(第一条―第九条)
*第二章 業務(第十条―第十六条)
*第二章の二 等子会社等(第十六条の二
*第三章 経理(第十七条―第二十三条)
*第四章 監督(第二十四条―第二十九条)
*第五章 合併、会社分割又は事業の譲渡
*第六章 廃業及び解散(第三十七条―第四十六条)
*第七章 外国銀行支店(第四十七条―第五十二条)
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**第三節 銀行持株会社に係る特例
***第一款 通則(第五十二条の十七―第五十二条の二十)
***第二款 業務
***第三款 経理(第五十二条の二十六―第五十二条の三十)
***第四款 監督(第五十二条の三十一―第五十二条の三十四)
***第五款 雑則(第五十二条の三十五)
**第七章の四 銀行代理業
**第一節 通則(第五十二条の三十六―第五十二条の四十一)
**第二節 業務(第五十二条の四十二―第五十二条の四十八)
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**第五節 所属銀行等(第五十二条の五十八―第五十二条の六十)
**第六節 雑則(第五十二条の六十一)
*第七章の五 電子決済等代行業
**第
**第二節 業務(第五十二条の六十一の八―第五十二条の六十一の十一)
**第三節 監督(第五十二条の六十一の十二―第五十二条の六十一の十八)
**第四節 認定電子決済等代行事業者協会(第五十二条の六十一の十九―第五十二条の六十一の二十九)
**第五節 雑則(第五十二条の六十一の三十)
*第七章の六 指定紛争解決機関
**第一節 通則(第五十二条の六十二―第五十二条の六十四)
**第二節 業務(第五十二条の六十五―第五十二条の七十七)
**第三節 監督(第五十二条の七十八―第五十二条の八十四)
*第八章 雑則(第五十三条―第六十条)
*第九章 罰則(第六十一条―第六十七条)
*第十章 没収に関する手続等の特例(第六十八条―第七十条)
*附則
=== 関連する規則等 ===
*{{Egov law|357CO0000000040|銀行法施行令}}
*{{Egov law|357M50000040010|銀行法施行規則}}
*主要行等向けの総合的な監督指針
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*預金等受入金融機関に係る検査マニュアル
*預金等受入金融機関に係る検査評定制度
(上記監督指針等については[
== 沿革と主要な改正 ==
=== 前史 ===
* [[1872年]](明治5年)
** [[国立銀行条例]]公布
* [[1876年]](明治9年)
** 国立銀行条例改正
* [[1890年]](明治23年)8月
** 銀行条例公布
* [[1927年]](昭和2年)
** 旧銀行法(昭和二年法律第二十一号)公布
**:銀行の兼業が大幅に制限された([[銀証分離]])。[[倉庫業]]や[[証券会社|証券業]]、[[短資会社|ビルブローカー業]]等を兼営できなくなったため、銀行業の廃止や分離が行われた。
* [[1981年]](昭和56年)6月1日
** 全改正 新銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)公布
=== 新銀行法下 ===
*2001年
**[https://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/ginkou/f-20011115-2.html 特定取引勘定の設置に係る認可の廃止]
*2002年
**[https://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/ginkou/f-20020328-1.html 銀行の主要株主及び議決権大量保有者]
**[https://www.fsa.go.jp/news/newsj/14/hoken/f-20020830-1.html 保険商品窓口販売の拡大]
*2004年
**[https://www.fsa.go.jp/news/newsj/15/ginkou/f-20040330-1.html 子会社におけるネットワーク上のプリペイド事業の解禁等]
*2006年
**[https://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/ginkou/20060517-1.html 銀行代理業等]
*2008年
**[https://www.fsa.go.jp/news/20/20081202-1.html 外国銀行代理業等]
**平成20年金商法改正(平成20年法律第65号)に伴い、証券会社・銀行・保険会社のファイアーウォール規制の緩和等が行われた(平成21年6月1日施行)[https://www.fsa.go.jp/news/20/syouken/20090120-1.html 規則][https://www.fsa.go.jp/news/20/20090130-5.html 監督指針][https://www.fsa.go.jp/news/20/20090520-1.html 検査マニュアル]
*2009年
**平成21年金商法改正に伴い、金融ADR制度が導入された[https://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html 法案]
*2016年
**情報通信技術の進展等の環境変化に対応するため、銀行法等の一部を改正する法律が施行された。
*2021年
** デジタル化や地方創生への貢献を図るため、業務範囲規制の見直し、出資規制の見直しなどを内容とする一部改正が行われた<ref>{{Cite web|和書|title= 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案説明資料|date=2021-3|url= https://www.fsa.go.jp/common/diet/204/01/setsumei.pdf|format=pdf|accessdate=2021-08-05|publisher=金融庁}}</ref>。
== 銀行の業務範囲 ==
{{Main|普通銀行#業務の範囲}}
銀行の業務は次の各条文に規定されるものに限られている。
*固有業務(第10条第1項)
**預金
**資金の貸付け
**為替取引
*付随業務(第10条第2項)
**列挙された付随業務
***債務の保証
**その他付随業務
***判断基準
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****勧誘行為をせず単に顧客を金融商品取引業者に紹介する業務(監督指針V-3-2(1)(注1))
****個人の財産形成に応ずる業務(監督指針V-3-2(注2))
****[[排出権取引|排出権]]<ref>[[地球温暖化対策の推進に関する法律|温暖化対策推進法]]第2条第7項に基づく算定割当量</ref>の[[仲介|媒介]]・コンサルティング業務(平成19年7月31日金商法パブコメ596頁1番)
****電子マネーの発行に係る業務(監督指針V-3-2(2))
*投資助言業務(第11条第1号)
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*法定他業(第12条):担保付社債信託法による担保付社債の信託業務、兼営法による信託業務など
=== 銀行グループの業務範囲 ===
銀行グループの業務範囲も限定されている。
#子会社の業務範囲(第16条の2第1項)
#子法人等、関連法人等及び特定出資会社の業務範囲(主要行等向けの総合的な監督指針V-3-3)
==銀行の業務に関する規制==
=== 銀行・銀行持株会社の議決権保有 ===
*銀行議決権保有者
**5%を超えて'''銀行'''
*銀行主要株主
**主要株主基準値(原則20%)以上の'''銀行'''
*銀行持株会社
**銀行を子会社とする'''持株会社'''(独占禁止法9条5項1号の持株会社をいう)になろうとする会社
また、銀行持株会社になると、報告命令・立入検査の対象となるほか、措置命令・改善計画提出要求等の対象にもなり(第52条の31から第52条の34)、さらに業務範囲・子会社・議決権を保有できる会社の範囲が制限され(52条21、52条の23、52条の24)、業務報告・貸借対照表等の公告・説明書類の縦覧(52条の27~52条の29)の義務その他の規制が課される。
=== 銀行法上のアームズレングスルール ===
*銀行は、特定関係者
**銀行は、その'''特定関係者'''との間で、次の取引
**#銀行に不利な条件で行われる取引(銀行法第13条の2第1号、銀行法施行規則第14条の10)
**#特定関係者に不当に不利益を与える条件で行われる取引(銀行法第13条の2第2号、銀行法施行規則第14条の11第2号)
**#何らの名義によってするかを問わず、銀行法第13条の2の規定による禁止を免れる取引
**銀行は、その'''特定関係者の顧客'''との間で、次の取引
**#銀行に不利な条件で行われる取引(特定関係者と特定関係者の顧客が当該特定関係者が営む業務に係る契約を締結することをその取引の条件としているものに限る(銀行法第13条の2第2号、銀行法施行規則第14条の11第1号)
**#何らの名義によってするかを問わず、銀行法第13条の2の規定による禁止を免れる取引
**特定関係者(銀行法施行令第4条の2第1項)とは以下などである。
**#子会社
115 ⟶ 174行目:
**#銀行持株会社
=== 禁止行為 ===
銀行は、顧客<ref group=注釈>
#虚偽告知(13条の3第1号)
#断定的判断の提供等(13条の3第2号)
#不当に、特定関係者その他密接関係者の営む業務に係る取引を行うことを条件として、信用供与
#重要事実の不告知等(13条の3第4号、銀行法施行規則14条の11の3第1号)
#不当に、自己の指定する事業者と取引を行うことを条件として、信用供与
#優越的地位の濫用(同条第3号)
=== 預金等の受入れに関する規制 ===
*情報提供義務(12条の2第1項)
*特定預金契約に係る契約締結前交付書面の交付等の義務(13条の4)
=== 信用供与に関する規制 ===
*大口信用供与規制(13条)
*取締役等に対する信用の供与(14条)
=== 自己資本比率規制 ===
{{節スタブ}}
*'''[
*'''バーゼルⅡ第1の柱(最低所要自己資本比率)'''
**銀行
***14条の2
***[
***[
**銀行持株会社
***52条の25
***[
***[
**[
*'''バーゼルⅡ第2の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)'''
**主要行等監督指針Ⅲ-2-1
152 ⟶ 211行目:
***第21条第1項、第2項(説明書類)
***銀行法施行規則第19条の2第1項第5号二、第19条の3第3号ハ「自己資本の充実の状況について金融庁長官が別に定める事項」
***[
**銀行持株会社
***第52条の29第1項(説明書類)
***銀行法施行規則第34条の26第1項第4号ハ「自己資本の充実の状況について金融庁長官が別に定める事項」
***[
*'''[
=== 銀行に対する検査・処分 ===
#検査
##原則
170 ⟶ 229行目:
上記以外にも、銀行法には、銀行主要株主、銀行持株会社等、銀行代理業者に関する検査・処分について規定が置かれている。
=== 商号規制 ===
*第6条
**[[ **明文規 **[[整理回収機構]]は銀行免許を持っているが、預金保険法の一部を改正する法律(平成10年法律第133号)附則第11条第1項により商号規制の例外となる。
*6条2項は「銀行でない者は、その名称または商号中に銀行であることを示す文字を使用してはならない。」と規定している。
**[[日本銀行]]・[[日本政策投資銀行]]・[[国際協力銀行]]は、それぞれの根拠法([[日本銀行法]]・[[株式会社日本政策投資銀行法]]・[[株式会社国際協力銀行法]])で銀行法の商号規定が除外されており、それぞれの根拠法に商号に関する規定が直接置かれている。
**外国為替銀行・[[相互銀行]]・[[長期信用銀行]]は、それぞれの根拠法([[外国為替銀行法]]・[[相互銀行法]]・[[長期信用銀行法]])で銀行法の商号規定が除外されており、銀行法上の銀行ではなくとも「銀行」の文字を含む称号を名乗ることが可能であり、また名乗ることが義務付けられていた。これらの金融機関は、[[2006年]]に長期信用銀行であった[[あおぞら銀行]]が普通銀行へ転換したのを最後にすべて消滅している。なお、外国為替銀行法および相互銀行法は廃止されたが、長期信用銀行法は廃止されていないため、今後新規に長期信用銀行が設立される可能性は理論的には残っている。
**[[信用協同組合]]や[[信用金庫]]は業務が重なるものの銀行を名乗ることができない。したがって、信用組合である[[朝銀信用組合|朝銀]]や[[商銀信用組合|商銀]]は、商号に「銀」の字は用いても「銀行」とは名乗っていない。
== 銀行法上の免許・資格 ==
*[[銀行]]免許(法4条)
*[[外国銀行]]免許(法47条)
216 ⟶ 245行目:
*[[銀行持株会社]]の認可(法第52条の17)
*銀行代理業の許可(法第52条の36)
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
===注釈===
{{notelist}}
===出典===
{{reflist}}
== 関連文献 ==
*{{cite book|和書|author=小山嘉昭|title=詳解銀行法|publisher=金融財政事情研究会|year=2004|ref=harv|isbn= 4322105386}}:銀行法に関して最も引用される文献だが、その後の改正や解釈の変更については別の文献等を参照する必要がある
*{{cite book|和書|author=小山嘉昭|title=詳解銀行法|edition=全訂版|publisher=金融財政事情研究会|year=2012|ref=harv|isbn=9784322121605}}
== 関連項目 ==
223 ⟶ 264行目:
*[[金融機関の信託業務の兼営等に関する法律]]
*[[BIS規制]]
*[[金融機能強化法]]
*[[銀行の証券子会社]]
*[[クレジットカード]] - 1982年までは、銀行法の規制により銀行自体がクレジットカードを発行することができなかったため、その名残で関連のカード会社([[貸金業|ノンバンク]])を通じて発行されることが主流となっている。また、クレジットカードを用いたキャッシングについては、銀行自体が発行するものは[[貸金業法]]ではなく銀行法の規制を受ける。
{{law-stub}}
{{Bank-stub}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:きんこうほう}}
[[Category:日本の法律]]
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