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=== RMAの推進 ===
[[ファイル:MQ-9 Reaper in flight (2007).jpg|thumb|250px|[[MQ-9 リーパー]]無人攻撃機。]]
1980〜1990年代から進められてきた新たな兵器の開発が、21世紀に入り成果を産みはじめ、[[軍事用ロボット|無人兵器]]に代表される従来の兵器とは異なる軍事技術が実用化されるようになってきた。長距離を無着陸で米本土から世界中を高精度で爆撃できる技術<ref group="注">[[コソボ紛争]]時には[[B-2 (航空機)|B-2爆撃機]]によって米国本土から無着陸で飛行し[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]/[[慣性航法装置|INS]]による精密[[誘導爆弾]]の[[JDAM]]によって空爆した。</ref>により、従来の[[戦略爆撃]]と同様の用兵で[[戦術爆撃]]や近接航空支援<ref group="注">[[アフガニスタン]]と[[イラク]]では地上の米特殊部隊員の指示で高空の[[B-52 (航空機)|B-52爆撃機]]からのレーザー誘導爆弾(LJDAM)によって1m程度の誤差での爆撃が行なわれている。</ref>が行なえるようになっている。また、[[無人航空機]]による偵察<ref group="注">[[RQ-4 (航空機)|RQ-4 グローバルホーク]]や[[MQ-8 ファイアスカウト]]といった[[無人航空機]]が偵察任務を危険の少ないものにしている。グローバルホークは12,000マイルの距離を35時間飛行できる。</ref>や攻撃<ref group="注">無人偵察機から派生した[[RQ-1 プレデター|MQ-1 プレデター]]のような無人攻撃機が実用化されている。</ref>も実用段階にあり、さらに改良が加えられている。海や空から発射される[[巡航ミサイル]]は、GPS誘導だけでなく目標画像による識別能力が備わっている<ref group="注">[[トマホーク (ミサイル)#タクティカル・トマホーク|タクティカル・トマホーク・ミサイル]]はTVカメラを備えて画像認識により目標の指定の位置に突入し、その画像はリアルタイムで衛星経由で遠く離れた地球の裏側からでも見ることが出来る。</ref>。21世現在では[[人工衛星]]による通信ネットワークが軍用・民間用ともに充実しているため、指揮や誘導のために前線や前線に近い場所に居る必要性が薄れていて、[[偵察衛星]]による監視能力の向上もこれを支えている。
 
民主主義世界の先進国では、戦闘によって死亡する兵士が多いと政権の不安定化に結びつくことが多く、戦場での兵士数を最小にしたまま無人兵器によって遠隔攻撃する戦闘形態は、将兵の損耗が避けられ、軍隊と国民の支持が得やすいと考えられる。また、海外派兵の多くは将兵が家族と長期に渡り引き離される場合が多く、この改善は誰からも喜ばれる。また、米国の[[軍需産業]]も高機能(で高価)な兵器の大量使用によって人的損耗を避けるという選択は、冷戦後に急速に減少した兵器需要を支えるものとして歓迎し、[[軍産複合体]]を米軍再編へと突き動かす動機となる。
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;漸進的改革意見(急速な改革に反対)
:兵器技術の著しい向上や国際社会の環境の変化に対応して軍の海外展開政策の変更は必要だとするものの、急速な改革には反対する意見がある。
:[[制空権]]の維持には海外の航空基地は、少なくとも今後しばらくは必要である。<ref group="注">[[F-22 (戦闘航空機)|F-22 ラプター]]のような[[アメリカ空軍]]の最新の高性能戦闘機は、[[航空母艦]]から運用出来ず、敵の高性能戦闘機に対するには戦場近くに使用可能な滑走路が必要である。</ref>また、友好国が侵略を受けた場合に再編計画で言われているように必要な地上戦力を短時間で本国から輸送できるか疑問がある<ref group="注">60トン以上の[[M1エイブラムス|M1A2 エイブラムス戦車]]のような重量級の戦車を空輸するのはほとんど現実的ではなく、米本土から船で運ぶか紛争地域近くの洋上などにあらかじめ[[事前集積船]]を配置することになる。</ref>。また、最低限、海外の港を使えるように小さくとも海軍基地を残すべきであるという意見もある。最後に、「仕掛け線」としての機能を求める考えがある。つまり、友好国に侵略しようとする国は、駐留米軍基地という存在によって米国との戦争開戦を覚悟する必要があり、それが侵略を抑止するという考えである<ref name = "米軍再編の政治学">[[ケント・カルダー|ケント・E・カルダー]]著 武井揚一訳 『米軍再編の政治学』 日本経済新聞出版社 2008年5月20日1版1刷 ISBN 978-4-532-35308-7 第9章</ref>。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2017年1月|section=1}}
* {{Cite web|和書|author=福田毅||date=2005年6月||url=https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999888_po_065303.pdf?contentNo=1||title=米軍の変革とグローバル・ポスチャー・レヴュー (在外米軍の再編)||format=PDF||accessdate=2010-11-18}}
* {{Cite web|和書|author=大嶋康弘/宮内由幸/古本和彦/吉田則之/岩下寛/佐藤明/大江健太郎||date=2007年9月||url=httphttps://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j10_1_2.pdf||title=米国のトランスフォーメーションと我が国の防衛力の在り方||format=PDF||accessdate=2010-11-18}}
* [https://web.archive.org/web/20070315205547/gunnzihyouronn.web.fc2.com/saihenn.htm 米軍再編](MILITARY REPORE 米軍再編)
* [[中村好寿]] 『軍事革命(RMA)-「情報」が戦争を変える』 中央公論新社〈中公新書〉、2001年。ISBN 4-12-101601-7