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[[ファイルFile:Water molecule 3D(1).svg|200px|right|thumb|DHMOupright=1|一酸化二水素は、2つ[[水素]]原子と1つの[[酸素]]原子からなる水分子模型。の名前である({{chem2|H2O}})]]
{{読み仮名_ruby不使用|'''DHMO'''|ディー・エイチ・エム・オー|{{lang-en-short|dihydrogen monoxide}}='''ジヒドロゲンモノオキシド''')}}とは、化学式 H<sub>2</sub>O で表される[[水素]]と[[酸素]]の化合物であり、和訳ればなわち'''[[水]]'''を[[IUPAC命名法]]により言い換えたものである。DHMOを同じ命名法に従って日本語で表現した場合は'''一酸化二水素'''(いっさんかすいそ)、すわち'''る<ref name="dia210306">{{Cite web |url=https://diamond.jp/articles/-/262945 |title=恐ろしげな化学物質「ジハイドロゲンモノオキサイド」の正体とは? |author=[[左巻健男]]'''そのもの|publisher =ダイヤモンド社『世界史は化学できてい』より抜粋 |date=2021-03-06 |accessdate=2024-07-07}}</ref>
 
これは水であることを敢えて分かりにくくして危険な[[化学物質]]であるかのように[[錯覚]]させるため、[[元素]]の構成に基づく化合物名として表現したものである。科学論文などでこの表現が使われることはまずなく、[[心理]]実験や[[科学ジョーク]]{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=19}}のひとつとして使われる。
 
== 概要 ==
[[File:Danger sign hydrogen.jpg|thumb|upright=1|[[:en:Tongue-in-cheek|皮肉]]な警告標識「危険!水には高濃度の水素が含まれています。立入禁止」([[ルイビル_(ケンタッキー州)|ケンタッキー州、ルイビル]])<ref name="ACSMag">{{cite magazine |url=http://cen.acs.org/articles/84/i43/Newscripts.html |title=Danger! H in H<sub>2</sub>O |first=Bethany |last=Halford |magazine=[[Chemical & Engineering News]] |volume=84 |issue=43 |access-date=November 25, 2018 |archive-date=April 19, 2016 |archive-url=https://web.archive.org/web/20160419232204/http://cen.acs.org/articles/84/i43/Newscripts.html |url-status=live }}</ref>]]
水を難解な言い方で相手を煙に巻くような表現は昔から存在する。例えば1965年に公開された日米合作映画『[[怪獣大戦争]]』の中には、「酸化水素?なんだ、水のことじゃないか」との台詞がある。
DHMOのジョークが初めて登場したのは、{{仮リンク|Durand Express|en|Durand Express}}紙が1983年に掲載した[[エイプリルフール]]記事であったという。その中では、DHMOは「水道管で発見された」「気化ガスを吸い込むと水ぶくれができる」{{efn|水であるから水道管を流れているのは当然であり、気化ガスすなわち100℃を超える水蒸気を吸い込めば火傷により水ぶくれができることもまた当然である{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=20}}。}}というシンプルな説明のみがなされ、記事の末尾において種明かしがされたという{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=20}}。
 
DHMO名称は後、インターネットの普及と共にDHMOジョークも人口に膾炙していき、1990年にはアメリカの[[カリフォルニア大学サンタクルーズ校]]ルームメイトだったエリック・レヒナーとラース・ノーフェン、マシュー・カウフマンらがDHMOの危険性を主張する記事をインターネット上よって考えられ掲載し{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=20}}さらに1994年には、同校の学生だったクレイグ・ジャクソンによって改訂されDHMOThe Coalition to Ban DHMO(DHMO を禁止する会)なる団体を立ち上げると共つい、世界で初めの最初DHMOのジョーク[[ウェブサイト|サイト]]「[https://dhmo.org/ DHMO.org]」が作られを開設した。
 
その後、1997年にアメリカ合衆国[[アイダホ州]]の当時14歳の中学生だったネイサン・ゾナーが実施した、「人間はいかにだまされやすいか?」<ref>{{lang-en-short|How Gullible Are We?}})<ref>{{Cite web |url=https://journals.sagepub.com/doi/10.1037/gpr0000111 |title=How Gullible are We? A Review of the Evidence from Psychology and Social Science |website= |publisher=Hugo Mercier |date=2017-06-01 |accessdate=2021-01-05}}</ref>という調査に用いたことがきっかけで世界中にられてDHMOはまったとさく知ら。この調査では、同級生50人を対象に「DHMOは、水酸の一種であり、常温で液体の物質である」「DHMOは、[[溶媒]][[冷媒]]などによく用いられる」などのように、被験者にとって非日常的な科学技術用語を用いて水を解説し、さらに毒性や性質について否定的かつ感情的な言葉で説明を加える。そ、「この物質は法で規制すべきか」と50人に質問をすると、した。結果は43人が賛成してしまい、6人が回答を留保したのを除き、DHMOが水であることを見抜いたのは1人だけだであった。ゾナーの研究は、[[イーグルロック]]の科学博覧会から賞を与えられた{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=20}}
 
後ウェブ上インターネット上でDHMOの危険性をもっともらしく訴えるウェブサイトが数多く作成され、2003年にはアメリ[[リフォルニア州]]の[[アリソ・ビエホ (カリフォルニア州)|アリソ・ビエホ市]]の議会で、ウェブサイトのジョークを真に受けた担当者らがDHMO規制の決議を試みるという出来事が起き。決議自体は用語DHMOがジョークであるこ判明したためにて採決は中止された<ref name="NG">{{cite newsnews2 | author=John Roach & Ted Chamberlain | date=2010-04-02 | title=エイプリルフールとインターネット |last=Roach |first=John |last2=Chamberlain |first2=Ted |name-list-style=amp |date=2010-04-02 |url=http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100402002&expand |url-status=usurped publisher|work=[[ナショナルジオグラフィック (雑誌)|ナショナルジオグラフィック]] ニュース | accessdatelanguage=2010-04-04ja | archiveurl archive-url= https://web.archive.org/web/20140302112331/http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100402002&expand | archivedate archive-date= 2014-03-02 |access-date=2010-04-04}}</ref>。
 
2013年に[[フロリダ州]][[ラジオ放送局|ラジオ局]]がエイプリルフールのジョーク企画で水道管に満たされているDHMOの危険性について放送したするころ、水道局に問合せが殺到し、ラジオ局は[[謝罪]]番組のDJ二[[ディスクジョッキー]]2人を無期限[[謹慎]]処分とする事態となった<ref>{{Cite web |和書|date= 2013-05-15 |url= httphttps://wired.jp/2013/05/15/dihydrogen-monoxide-joke-gets-djs-suspended/ |title= 「一酸化二水素」ジョークで、米国のラジオ番組DJが無期限謹慎処分に |publisher= WIRED.jp |accessdate=20162021-0501-1505}}</ref>。
 
日本でも、小学5年生の児童39名を対象にDHMOの危険性を説明し、規制すべきかを問うた研究({{harvnb|孕石泰孝|2014}})があり、その中では6割の被験者が「規制すべき」との意見を述べた{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|p=20}}。また、2021年には、日本の[[大学生]]を対象に、DHMOに加えて、[[アルコール]]を「エチルハイドレート」、[[塩]]を「ソディウムクロライド」、[[カフェイン]]を「1,3,7-トリメチルキサンチン」、[[砂糖]]を「[[スクロース]]」と呼称したうえで、グループごとに与えるネガティブな情報の量と内容を変化させ、規制すべきかを尋ねる実験が行われたところ、一般的な名称が用いられたグループと比較して、「規制すべき」という意見が[[統計学|統計]]的に有意に多くなった。すなわち、「1) 耳なじみのない名称で呼び,さらに,2) その物質の持つネガティブな性質を限定的に提示すること」により、人はその物質を「規制すべき」と捉えてしまう現象が生じることが科学的に確認された{{sfn|小松佐穂子|良元裕太|2021|pp=21-29}}。
== DHMOの説明の例 ==
DHMOの説明は、視点をかなり限定して水についての性質を並べ立てることで、聞き手に否定的な印象を与えるよう工夫されている。
 
== DHMOの明の例 ==
ジャクソンによって初めてWebに投稿されたジョークの内容は次の通りである<ref>[http://www.snopes.com/science/dhmo.asp snopes.com: Dihydrogen Monoxide] (英語、1997年収集)</ref>。(原文は[[英語]])
[[File:Drinking water.jpg|thumb|液体状の一酸化二水素]]
DHMOのは、視点をかなり限定しについての性質を並べ立てることで列し、聞き手に否定的な印象を与えるよう工夫されている。
 
クレイグ・ジャクソンが世界初のDHMOサイトに掲載したジョーク<ref>{{Cite web |url=https://www.snopes.com/fact-check/dangers-dihydrogen-monoxide/ |title=Is Dihydrogen Monoxide Dangerous? |website=snopes |publisher=David Mikkelson |date=1999-06-22 |accessdate=2021-01-05|language=英語}}</ref>を下記する。原文は[[英語]]である点に注意。
<!-- 編集する方へ:以下の文章は前述のウェブサイト上の記述から翻訳しての引用であるため、内容を改変しないようにお願いします。 -->
{{quotation|
DHMOとは、
* 水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
* 温室効果を引き起こす。
* 重篤なやけどの原因となりる。
* 地形の侵食を引き起こす。
* 多くの材料の腐食を進行させ、さび付かせる。
* 電気事故の原因となり、自動車のブレーキの効果を低下させる。
* 末期がん患者の悪性腫瘍から検出される。
 
その危険性に反して、DHMOは頻繁に用いられている。
* 工業用の溶媒、冷媒として用いられる。
* 原子力発電所で用いられる。
* 発泡スチロールの製造に用いられる。
* 防火剤として用いられる。
* 各種の残酷な動物実験に用いられる。
* 防虫剤の散布に用いられる。洗浄した後も産物はDHMOによる汚染状態のままである。
* 各種のジャンクフードや、その他の食品に添加されている。
}}
 
他に溺死を「吸引すると死亡する」(水死のこ)などの表現した文言<ref name="NG" />など付け加えられることもある。これらの説明は全て真実であるが、それ一読では対象が水であることに気づかなを見抜ればそのような危険な物質規制すべきである考えてしまいがちであ容易に誤解される。
 
== 類似の冗談 ==
類似の冗談として「パンは危険な食べ物」というものがある。以下の説明は、パン食が一般的である地域にしか当てはまらないものもあるが、パンについて誤ったことは言っておらず、パンは危険な食べ物という印象を与える。
* 犯罪者の98%はパンを食べている。
* パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下である。
* 暴力的犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている。
* パンは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はパンと水を与え、後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにパンを異常にほしがる。
* 新生児にパンを与えると、のどをつまらせて苦しがる。
* 18世紀、どの家も各自でパンを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった。
* パンを食べている人々の死亡率は100%。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
==参考文献==
*{{cite journal |和書 |title=リスク・ベネフィットをふまえた環境教育プログラムの開発 : 「化学物質DHMO,いかにすべきか」の授業 |author=孕石泰孝 |journal=日本理科教育学会全国大会要項 |pages=191- |date=2014-08-23 |publisher=日本理科教育学会 |ref=harv |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10415689}}
*{{cite journal |和書 |url=http://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/tu/1040 |title=物質の名称の不明瞭さが人の判断に及ぼす影響 : DHMO は,規制すべき物質か? |journal=徳山大学総合研究所紀要 |volume=43 |pages=19-30 |date=2021-03 |ref=harv |author=小松佐穂子 |author2=良元裕太}}
 
== 関連項目 ==
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* [[情報操作]]
* [[フードファディズム]]
* [[エコテロリズム]]
* [[ココナッツによる死]]
* [[詭弁#含みのある言葉 (loaded language)]]
 
== 外部リンク ==
* [{{Cite web |url=https://dhmo.org/ |title=DHMO.org] |website=DHMO.org |author=DHMO.org |accessdate=2023-02-13}}
* [{{Cite web|和書|url=https://www.komazawa-ukazov.ac.jp/~kazovsite/Nis/etc/DHMO.html |title=DHMO (Dihydrogen Monoxide) に反対しよう] |author=phoenix◎fa2.so-net.ne.jp |date=2004-03-23 |accessdate=2023-02-13}}
* [{{Cite web|和書|url=http://tanukiyama.fc2web.com/Oxidane-chousa01.HTM |title=オキシダン関連統計調査の一例] |author=狸山鉄道 |accessdate=2023-02-13}}
 
{{DEFAULTSORT:DHMOていいえいちえむおお}}
[[Category:水]]
[[Category:ジョーク]]