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{{Redirect|戦場|その他}}{{出典の明記|date=2015年1月}}
{{otheruses||小説|ラ・バタイユ (クロード・ファレールの小説)}}
[[File:Battle_of_Waterloo_1815.PNG|thumb|300px|[[ワーテルローの戦い]]は[[陸戦]](1815年)]]
{{redirect|戦場|1949年の映画作品|戦場 (1949年の映画)}}
 
{{出典の明記|date=2015年1月}}
'''戦闘'''(せんとう、{{Lang-en-short|Combat, Battle}}、{{lang-la-short|proelium}}プロエリウム)は、相互に敵対する二つの勢力 による[[暴力]]の[[相互作用]]である。戦斗、戰闘とも
 
戦闘が行われている場所を'''戦場'''(せんじょう)、'''戦地'''といい、歴史的に戦闘(合戦など)が行われた場所は'''古戦場'''(こせんじょう)と呼ぶことがある。歴史的な慣習によって、「―の戦い」、「―の合戦」、「―の会戦」という用語も用いられる。
 
ここでは戦闘一般に関する[[軍事学]]の研究を概説する。{{Main2For2|個々の戦闘の事例|戦闘一覧|戦闘を指導する方法|戦術|戦闘を遂行するための技術|戦闘技術}}
 
戦闘とは一般的に敵対している部隊が特定の目的を達成するために[[戦闘力]]を行使する行動、またはその行動によって引き起こされる一連の交戦状況であり、具体的には発見([[索敵]]、[[機動]]、[[攻撃 (戦術論軍事)|攻撃]]・[[防御]]、追撃・[[後退|後退行動]]と段階的に進展する。戦闘において部隊を指導するのは[[戦術]]であり、戦闘の目的や投入される戦力の装備、規模は[[作戦]]計画によって決定される。戦闘では敵と敵施設に対して[[武器]]、[[兵器]]を使用して殺傷することによって抵抗行動を排除、[[破壊]]し、作戦目標を達成することが主要な作業となる。戦闘当事者である[[兵士]]たちは非常に強い肉体的・精神的な[[ストレス (生体)|ストレス]]を受けながら戦闘行動をとることになるため、被弾や被爆で[[死]][[傷]]するだけでなく、衝撃的な経験から[[心的外傷後ストレス障害|PTSD]]などの[[精神疾患]]を患う場合もある。また戦闘は戦闘当事者双方ともに生死の狭間という極限状況において活動するため、[[戦場心理]]と呼ばれる特別な[[心理]]状態になることもある。そのため、[[戦闘力]]の要素として火力や機動力などのほかに[[軍事的リーダーシップ]]が含まれると考えられている。
 
== 研究史 ==
=== 古典的研究 ===
戦闘を構成する諸要素や相互の関係性、そして戦闘の形態や構造、原理に関する最古の研究として古代中国における[[孫武|孫子]](紀元前535年 - ?)による研究業績が挙げられるが、彼の後に研究が発展することはなかった。ヨーロッパにおいても[[ナポレオン戦争]]が発生する前には[[ヴェゲティウス]](4世紀頃)、[[マウリキウス]](539 - 602)、[[レオ]]、[[モーリス・ド・サックス|ド・サックス]]、[[フリードリヒ2世 (プロイセン王)|フリードリヒ2世]]などの先駆的な研究がある。だが、近代的な戦闘理論が成立したのはナポレオンの時代に入ってからである。[[ナポレオン・ボナパルト]](1769 - 1821)は軍事理論に関する論文を執筆しなかったが、[[士気]]が物的要素に対して三倍の効果をもたらすこと、また機動的に戦力を運用する重要性を指摘するなどの研究成果を残した。ナポレオンの幕僚でもあった[[アントワーヌ・アンリ・ジョミニ]]はナポレオンの軍事思想の本質を理論化し{{要出典|date=2011年3月}}、戦闘を規定する[[戦いの原則]]を確立した。それは主力をある決定的な地点、敵の側面や背後に対して集中させるという普遍的な原則である。またナポレオン戦争で参加した[[カール・フォン・クラウゼヴィッツ]](1780 - 1831)はジョミニとは別のアプローチでナポレオンの軍事思想を解釈し、独自のアプローチで戦闘の法則、戦闘力の要素、攻撃や防御の行動を体系化した。クラウゼヴィッツの戦闘理論は敵の殲滅を目的とする暴力的な行動によって定義されるものであり、戦闘力の優劣によって勝敗が決定されるものと定式化される。
 
=== 近代の研究 ===
ジョミニやクラウゼヴィッツに影響を受けた研究者たちは後に戦闘の研究を理論的に発展させるための研究成果を残してきた。アメリカでは[[デニス・ハート・マハン]](1802-1871)はジョミニの影響の下で戦闘にいて依拠するべき原則を提示し、ドイツでは[[ヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケ]]は[[訓令戦術]]と包囲を重視した[[機動]]理論を提起した。一方のフランスでは[[チャールズ・アルダン・ドゥ・ピッグ]]によって戦闘における士気という心理的要素を解明して戦闘理論の研究に寄与した。海上戦闘の研究者である[[アルフレッド・セイヤー・マハン]](1840 - 1914)はジョミニや父親のデニス・ハート・マハンの影響の下で陸上戦闘の研究を海上戦闘に応用することに成果を挙げ、戦闘の一般理論が地理的環境の変化にも適応可能であることを示した。またモルトケの研究を受け継いだ[[アルフレート・フォン・シュリーフェン]](1833 - 1913)は戦闘における殲滅の原理を発展させて包囲殲滅の教義を確立し、その研究成果は[[シュリーフェンプラン]]として結実した。[[コルマール・フォン・デア・ゴルツ]]はモルトケやシュリーフェンの影響の下でそれまでのドイツにおける戦闘の研究を総合し、フランスやイギリスに紹介する役割を果たした。[[フェルディナン・フォッシュ]]はドゥ・ピッグの研究に影響を受けるとともにドイツの殲滅の原理を受容しており、特に士気などの精神的要素を戦闘の理論において位置づけた。航空戦闘に戦闘の理論を始めて応用した[[ジュリオ・ドゥーエ]]は陸上や海上とは異なる地理的、技術的条件の下で行われる戦闘が理論的にどのような作戦を可能とするかを明らかにした。また[[ジョン・フレデリック・チャールズ・フラー]]は現代の戦闘の理論を研究するための科学的な方法論を準備し、戦いの原則を現代の戦闘の形態に応じて発展させた。[[フレデリック・ランチェスター]](1868 - 1946)は戦闘の数学的モデル化に取組み、特に戦闘力と戦闘結果の因果的な関係を定式化した。
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=== 陸上戦闘 ===
{{Main|陸戦}}
陸戦は陸上で実施される戦闘である。徒歩、装輪などの複数の機動手段と部隊編制、多様な[[攻撃 (戦術論軍事)|攻撃]]・[[防御]]・[[後退行動]]の戦術行動、火器が発達した現代では長短射程、直曲射弾道射撃などを有機的に組み合わせて行われる。また陸地は人間の生活基盤が存在するため、陸戦は複雑な心理的影響を与える。加えて[[陸戦]]は非常に多様な側面を持っており、[[作戦]]、[[地形]]、[[気候]]、時間帯、[[戦術]]などにより様々に分類することができる。
* {{Visible anchor|野戦}} <!--独立記事が作成されていないため。--> - 人工建築物がほとんど存在しない地域における陸上戦闘。
* [[{{Visible anchor|陣地戦]]}} <!--独立記事が作成されていないため。--> - いくつもの[[野戦築城]]・[[陣地]]が準備された地域で行われる戦闘。戦線が膠着し、その野戦陣地が逐次増強されてきている場合に発生する([[塹壕戦]]はこれに含まれる)。
* [[攻城戦]] - 一方が[[要塞]]・城砦に立て篭もって防勢をとり、敵対する戦力がそれに対して[[攻撃 (戦術論軍事)|攻撃]]して起こる戦闘(近代以降は要塞戦と呼ばれる)。
** [[籠城戦]] - 攻撃を仕掛けてくる敵に対し要塞・城砦に立て篭もって迎え撃つ戦闘。攻城戦の守勢側からの呼称(因みに、ではあるが南北戦争で目と鼻の先にある要塞同士で戦闘が行われた事例があった)。
* [[森林ゲリラ|遊撃戦]]<!--TVドラマへの転送があるため。--> - [[熱帯雨林]]など植生が濃い敵戦力の後方または敵の支配地域における陸上戦闘(ゲリラ戦とほぼ同義)
* *[[湿地森林戦]] - 湿地[[熱帯雨林]]などの湿り気の多植生が濃場所での地域における陸上戦闘。
** [[山岳戦]] - 高低起伏が激しい山岳地域における戦闘。
* *[[市街戦]] - 人工建築物が密集する都市部における戦闘。
* {{Visible anchor|湿地戦}} <!--独立記事が作成されていないため。-->- 湿地などの湿り気の多い場所での戦闘。
* [[雪中戦]] - 寒冷地における戦闘。
* [[山岳戦]] - 高低起伏が激しい山岳地域における戦闘。
* [[砂漠戦]] - [[砂漠]]地域における戦闘。
* [[上陸戦]] - 上陸を試みる戦力とそれを阻止しようとする戦力が衝突する海岸・川岸における戦闘。
* [[機動戦]] - 部隊が機動しながら遂行される戦闘<ref group="注">旧軍用語では運動戦。</ref>。
* [[市街戦]] - 人工建築物が密集する都市部における戦闘。
* 機動戦 - 部隊が機動しながら遂行される戦闘<ref>旧軍用語では運動戦。</ref>。
* [[遊撃戦]] - 敵戦力の後方または敵の支配地域における戦闘([[ゲリラ戦]]とほぼ同義)。
* [[会戦]] - 大規模な部隊が決戦を目的として準備した上で、戦場で対峙してから行われる戦闘。主に近代の世界大戦以前の戦闘を指す。
* [[遭遇戦]] - 機動中に敵と不用意に接触して起こる戦闘をいう。会戦の対義語。
* [[白兵戦]] - 近接戦闘部隊による[[突撃]]を主要な戦術行動とした戦闘<ref>旧軍用語では遠戦・火戦(火器を用いた戦闘)と対比されることがある。</ref>。
 
=== 海上戦闘 ===
{{Main|海戦}}
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
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**マハン著、北村謙一訳『マハン海上権力史論』原書房、2008年
*Paret, P., ed. 1986. Makers of modern strategy. princeton, N.J.: Princeton Univ. Press.
**ピーターパレット編、防衛大学校「戦争・戦略の変遷」研究会訳『現代戦略思想の系譜 マキャヴェリから核時代まで』ダイヤモンド社、1989年
*Schilieffen, A. G. von. 1931. Cannae. Fort Leavenworth, Kans.: Command and General Staff School Press.
*Trythall, A. J. 1977. Boney Fuller: The intellectual general. London: Cassell.
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{{Commonscat|Battles}}
* [[陸戦]] - [[海戦]] - [[航空戦]]
* [[武装]] - [[武装権]]
* [[戦闘技術]]
* [[戦術]] - [[攻撃 (戦術論軍事)|攻撃]] - [[防御]] - [[後退]]
* [[戦争]] - [[戦役]] - [[作戦]]
* [[軍事史]] - [[戦争一覧]] - [[日本の合戦一覧]] - [[軍事指揮官の一覧]] - [[軍事著作家一覧]] - [[兵器一覧]]
* {{ill2|戦跡考古学|en|Battlefield archaeology}}
* [[戦闘服]] - [[軍服]]
* [[交戦団体]]
* [[決闘]]
* [[バトル]] - [[格闘漫画|バトル漫画]]
* [[アクション]] - [[アクション漫画]]
* [[救世軍]] - 軍隊組織・用語を採る[[プロテスタント]]([[メソジスト]])系[[キリスト教会]]。伝道開始を「開戦」、[[野外説教]]を「野戦」、夜の伝道活動を「夜襲」と言う。
 
<!-- == 外部リンク == -->
{{Normdaten}}
 
{{Gunji-stub}}
 
{{デフォルトソート:せんとう}}
[[Category:戦闘|*]]
[[Category:戦術]]
[[Category:軍事戦略]]
[[Category:軍事学]]