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▲{{子記事|氷と炎の歌}}
{{Portal|文学}}
'''氷と炎の歌の世界'''(こおりとほのおのうたのせかい)では、[[ジョージ・R・R・マーティン]]著の[[ファンタジー]]小説シリーズである『[[氷と炎の歌]]』の中に現れる、架空の世界について述べる。小説に基づき、[[HBO]]ドラマシリーズ『[[ゲーム・オブ・スローンズ]]』とその前日譚『[[ハウス・オブ・ザ・ドラゴン]]』が放映されている。
『氷と炎の歌』の物語は、[[氷と炎の歌の世界#ウェスタロス|ウェスタロス]]と呼ばれる大陸と、[[氷と炎の歌の世界#エッソス|エッソス]]と呼ばれる大陸を主とした架空世界を舞台としている。物語には3つの主要な筋があり、次第に絡み合うようになる。第一は諸名家によるウェスタロスの王座を巡る争い、第二はウェスタロスの国境となる巨大な氷の[[氷と炎の歌の世界#壁|〈壁〉]]の北での[[氷と炎の歌の世界#異形|〈異形〉]]と呼ばれる脅威の増大、第三は13年前の内戦で殺された王の娘である[[デナーリス・ターガリエン]]のウェスタロスへの帰還と玉座を求める野望である。なお、ドラマシリーズでは、内戦は17年前に起きたことになっている。
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==ウェスタロス==
''氷と炎の歌''の物語は、おもにウェスタロス大陸が舞台である。その広さは南アメリカ大陸にほぼ等しい。しかし、極度の低温と、〈野人〉(〈野性人〉)として知られる敵意に充ちた住民のために、極北の地は未踏のままである。北部は南部よりも人口が少ない。
〈征服戦争〉の前は七つの独立した王国に分かれていたが、 [[ターガリエン家]]の主権のもとに統一され、各領域はそれぞれ一つの名家によって統治され
七王国の統治は、現代の内閣にあたる常設の小評議会が王のもとで統治する。小評議会の成員は固定ではないが、王自身のほか、首相にあたる〈王の手〉、法相、蔵相、海相、スパイの頭、グランド・メイスター、〈王の盾〉総帥などが参加する。重要な議題を決定する際には、まれにウェスタロス中の貴族を招集した大評議会が開かれることもある。
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ホワイト・ハーバーの街は繁栄した港として描かれている。北部の北の境は、アリセーン女王によって〈冥夜の守人〉(〈夜警団〉)に永久に与えられたニューギフトであり、南北50リーグ(240キロメートル)ほどの幅で東西に広がる。
ネック(地峡)の湿地が北部と南部の境界である。ネックの沼地には、小柄な湖上生活者が住み、スターク家の旗主(旗手)である〈灰色沼の物見城〉(グレイウォーター・ウォッチ)のリード家に治められている。狭く通行困難な土地であり、難攻不落のモウト・ケイリン城も備えるがゆえに、この地域は自然境界であり、南部からの侵略に対する防衛線となっている。このため、北部は〈最初の人々〉の習慣を色濃く残す土地とな
その他の主な城はボルトン家のドレッドフォート、スターク家の親戚であるカースターク家のカーホールド、トールハート家のトーレンズスクエア、アンバー家の〈最後の炉端城〉(ラスト・ハース)、グローヴァー家の〈森林の小丘城〉などである。
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;{{Anchors|壁}}壁
:[[File:Milecastle 39 on Hadrian's Wall.jpg|thumb|〈壁〉はイングランド北部の[[ハドリアヌスの長城]]に発想を得ている]]
:七王国の北の境界にある巨大な石と氷と魔法の壁。伝説によれば、北からの脅威から七王国を守るために、8000年前にブランドン建設王ひきいる〈最初の人々〉により、巨人の助けを得て作られ
:〈壁〉の北側には七王国の法が及ばない。〈誓約の兄弟〉とも呼ばれる'''〈冥夜の守人〉'''が〈壁〉を守備し、北の脅威から人間の領域を守る。もともとは超自然的な〈異形〉(〈異形人〉)から〈壁〉を守っていたが、後には〈壁〉の北に住む、七王国の刑罰や徴税から逃れた自由民とその子孫である〈野人〉から守るようにな
:〈壁〉の南には'''ギフト'''、'''ニューギフト'''と呼ばれる細長い土地がある。〈冥夜の守人〉はこの土地に補給を頼る。北部に境界を接しながらも、〈壁〉とギフト、ニューギフトは七王国から法的に独立しており、法の及ばない土地である。〈壁〉の防衛の補給のため、〈冥夜の守人〉はギフトの管理を数千年間続けており、[[ターガリエン家]]が[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]を征服して七王国を統一した時に、ターガリエン家に名目上の忠誠を誓わせただけで、〈冥夜の守人〉にギフトの管理を続けさせ、後にニューギフトを加増
;{{Anchors|冥夜の守人}}冥夜の守人
{{Otheruses|同ドラマシリーズおよび[[ジョージ・R・R・マーティン]]の小説シリーズ『[[氷と炎の歌]]』に出て来る架空の組織|ドラマシリーズ『[[ゲーム・オブ・スローンズ]]』のエピソード|冥夜の守人 (ゲーム・オブ・スローンズ)}}
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:『[[王狼たちの戦旗]]』では[[#壁|〈壁〉]]の向こう側が描かれるが、最初の五部ではそれほど詳しく描かれていない。だが最後の二部ではより詳しく〈壁〉の向こう側が描かれる予定である。ドラマシリーズでは[[アイスランド]]で〈壁〉の向こう側の撮影が行われたが、原作者によれば〈壁〉の向こう側はアイスランドよりも大きく、[[グリーンランド]]よりも大きい。〈壁〉の近くには木の密生する森が広がるため、[[カナダ]]のような環境である。北に向かうにつれて景観は変わり、ツンドラと氷原が見られるようになり、極地方の環境となる。片側には平原があり、別の側には高い山々がある。
:〈壁〉の向こう側には'''〈野人〉'''が住む。〈野人〉は〈最初の人々〉、および七王国の刑罰や税から逃れた自由民の子孫である。〈野人〉はしばしば〈壁〉を襲撃し、また〈壁〉を通ってその南の七王国に向かおうとするため、これを阻止することが〈冥夜の守人〉の主たる任務となっている。〈冥夜の守人〉はしばしば〈壁〉の北を偵察し、〈野人〉の動向を探る。〈野人〉の中には、[[クラスター (氷と炎の歌)|クラスター]]など、〈冥夜の守人〉と友好関係を保つ者もいる。
:〈壁〉の向こう側には、かつて〈最初の人々〉および[[森の子ら|〈森の子ら〉]]と戦った[[#異形|〈異形〉]]も住むと伝えられるが、物語の開始時点では、数千年間も姿を見られていない。
;{{Anchors|ウィンターフェル}}ウィンターフェル
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鉄(くろがね)諸島はウェスタロス大陸の西岸沖の〈鉄人の入江〉(〈鉄人の湾〉)にある荒涼たる7つの島-パイク、グレート・ウィック、オールド・ウィック、ハーロー、ソルトクリフ、ブラックタイド、オークモント-からなる。これらの島の居住者たちは、ウェスタロス人からは〈鉄(くろがね)人〉と呼ばれ、みずからは〈鉄諸島生まれ〉と名乗っている。気候は風が強く、冷涼で湿気が多い。〈鉄人〉達は、あきらかに[[ヴァイキング]]をモデルとしており、その船は[[ロングシップ]]と呼ばれる高速船である。
パイクの[[グレイジョイ家]]が最上位の領主家である。グレイジョイ家は、〈征服戦争〉中にハレン暗黒王(色黒王)の血統が絶えた後、〈鉄人〉たち自身によって選ばれ
主な城としてテン・タワーズなどがある。
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:[[File:Ballintoy Harbour - geograph.org.uk - 19750.jpg|thumb|[[北アイルランド]]のBallintoyでパイクのシーンが撮影された]]
:長年鉄諸島を治めて来た[[グレイジョイ家]]の本拠。パイク島の岩がちの半島の先端に作られている。〈五王の戦い〉以後、パイクの玉座は〈海の石の御座〉(海の石の玉座)と呼ばれる。止むことなく打ちつける波の衝撃が、もともとパイク城が建っていた岩を砕いてしまったため、今や城は、本島に建つ主城と海の中の岩に建ついくつもの小さな塔に分断されている。これらの塔は岩の城や揺れるロープの吊り橋でつながれている。ローズポートは島のもう一方の端にある村で、ボトリー家の城が見下ろす位置にある。
:グレイジョイ家の反乱の際、ローズポートとボトリー家の砦は[[ロバート・バラシオン]]によって破壊され、パイクは包囲され征服され
===リヴァーランド===
トライデント河流域に広がる肥沃で人口の多い土地。[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]の9つの領域のひとつではあるが、8番目の王国となることはなく、他の王国の支配下にあることが多
主な城として[[#リヴァーラン|リヴァーラン]]、シーガード、メイドンプール、[[#双子城|双子城]]、[[#ハレンの巨城|〈ハレンの巨城〉]](ハレンホール)などがある。
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;{{Anchors|ハレンの巨城}}ハレンの巨城
{{Otheruses|同ドラマシリーズおよび[[ジョージ・R・R・マーティン]]の小説シリーズ『[[氷と炎の歌]]』に出て来る架空の場所|ドラマシリーズ『[[ゲーム・オブ・スローンズ]]』のエピソード|ハレンの巨城 (ゲーム・オブ・スローンズ)}}
:ウェスタロスの中央部の湖である〈神の目〉の北岸に位置し、当時リヴァーランドをも支配していた鉄諸島のハレン暗黒王によって、史上最大の城として建設され
:ハレンの破滅の後、この城は様々な家によって所有され
:『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の時代には、ほぼ廃墟となってはいるが、ストロング家が領主となり城代を置いている。内戦〈双竜の舞踏〉では、デイモン・ターガリエンがこの城にリヴァーランドの諸侯の兵を集める。
:〈五王の戦い〉の初め、〈ハレンの巨城〉は荒れ果て、城のごく一部だけが手入れされている。[[タイウィン・ラニスター]]がこの城を奪ったとき、[[サーセイ・ラニスター|サーセイ]]王妃は所有権をジャノス・スリントに与えるが、弟で〈王の手〉の[[ティリオン・ラニスター]]は即座にこの報酬を取り上げ、スリントを[[#壁|〈壁〉]]に送る。タイウィンは代りに城を[[ピーター・ベイリッシュ]](ベーリッシュ)に与え、それ以来、彼が名目上の所有権を保持しているが、一度も足を踏み入れたことはない。
:戦争が進むにつれて、〈ハレンの巨城〉には次々と所有者が現れ、幾度となく残虐行為が行われる。〈勇武党〉(〈勇敢組〉)の傭兵たちが城の[[ラニスター家]]の守備隊を裏切った後、[[ルース・ボルトン]]が城を乗っ取る。ボルトンが城を捨てた後は、[[グレガー・クレゲイン]]が〈勇武党〉を粉砕して城をラニスター家に取り戻す。
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:[[アリン家]]の古からの本拠。[[ノイシュヴァンシュタイン城]]に着想を得ている。<ref>{{cite web |url=http://www.westeros.org/Citadel/ssm/category/heraldry/p435/P615 |title=So Spake Martin: KEPLER’S AND CODY’S SIGNINGS (CALIFORNIA; NOVEMBER 9 AND 11) |last1=Martin |first1=George R.R. |date= November 11, 2000 |website=Westeros.org|accessdate=August 28, 2014}}</ref> 城は〈巨人の槍〉として知られる山の上にあり、[[ラバ]]のための細い道でしか行くことが出来ず、〈月の門〉と3つの小さな関門-石城砦、雪城砦、空城砦-で守られている。
:高巣城は巨城と呼ばれる城の中では最小であり、7つの細い塔からなっている。あらゆる食料は下の谷間から運んで来られる。最も上にある関門である空城砦からは巨大なリフトが備えられている。[[ライサ・タリー|ライサ・アリン]](リサ・アリン)など多くの者が、山に囲まれた高巣城は難攻不落だと主張するが、冬は雪で城への補給が不可能になるため、永久に難攻不落であるわけではない。高巣城の牢は〈天空房〉(〈空の独房〉)として知られ、極めて悪名高い。冷たい空に向かって開け、床は外に向かって傾き、囚人たちは寝ている間に滑って端から落ちてしまうことを恐れる。多くの囚人たちが、囚われの身でいるよりも自殺することを選んだ場所である。高巣城での処刑は、広間の〈月の扉〉から山の岩までの身もよだつような600フィート(180メートル)の落下である。〈神々の森〉がないことも高巣城の特徴である。
:[[ジョン・アリン]]の居城であったが、ジョンは〈簒奪者の戦争〉の前に、[[エダード・スターク]]と[[ロバート・バラシオン]]を里子として育て
===西部===
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===河間平野===
ハイガーデンの[[タイレル家]](ティレル家)が治める、マンダー河流域の肥沃な土地。エイゴン征服王による征服戦争以前、タイレル家は河間平野(リーチ)の王であったガードナー家の執政
ドーンとの境界地方(マーチ、ドーンの辺境)は、河間平野と[[#ドーン|ドーン]]の国境の北側にあり、タイレル家に忠誠を誓う辺境の諸公たちが居住する。これらの旗主たちは、しばしば南部のドーン家の旗主たちと争いをおこす。河間平野の最も重要な都市は[[#オールドタウン|オールドタウン]]である。河間平野に生まれた高貴な私生児は“フラワーズ”姓を与えられる。
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;{{Anchors|オールドタウン}}オールドタウン
:[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]で最大の都市の一つであり、アンダル人の侵略以前に〈最初の人々〉によって建設された最古の都市。アンダル人に反抗せず歓迎することでその侵略を生き延び
:助言者、医者、学者、そして通信係として七王国に仕えるメイスター(マイスター)の結社の本拠である、〈知識の城〉(〈大城砦〉)のある都市として最も有名である。〈星の聖堂〉(〈星の神殿〉)は、[[#キングズランディング|キングズランディング]]にベーラー大聖堂が建設されるまでは[[#七神正教|七神正教]]の本拠であ
:オールドタウンはまた、七王国で最も重要な港の一つでもある。[[#夏諸島|夏諸島]]、[[#自由都市|自由都市]]、その東にある都市、そしてウェスタロス中からの貿易船で常に埠頭がにぎわう。街そのものが美しく、多くの川や運河が、玉石を敷き詰めた道と交差し、息をのむような石造りの大邸宅が林立する。 [[#キングズランディング|キングズランディング]]にウェスタロス最大の都市としての地位は譲り渡しているが、この街にキングズランディングの汚らしさは見られない。
:ハイタワー城は街で最大の建物であり、かつウェスタロスで最も高い建造物でもある。これは巨大な階層状の灯台であって、空に向かって800フィート(240メートル)も伸び、頂きには何マイルも先の海上からも見える巨大な篝火が置かれる。ハイタワー城のハイタワー家によって治められている。ハイタワー家は、もとは王であったが、のちにハイガーデンのガードナー家に忠誠を誓い、さらに侵略戦争の後にはタイレル家の家臣とな
:オールドタウンは〈五王の戦い〉には巻き込まれなかったが、のちに[[ユーロン・グレイジョイ]]王の下で〈鉄人〉が沿岸に大規模な攻撃を仕掛け、〈盾諸島〉とアーバー島の一部を征服し、さらにハニーワイン川の河口を封鎖しようとする。だが埠頭への攻撃は、市の守備隊によって退けられる。オールドタウンはその後も〈鉄人〉からの脅威にさらされ続けている。
===ストームランド===
[[#キングズランディング|キングズランディング]]とドーン海の間の領域。東はシップブレーカー湾であり、南はドーン海である。エイゴンの征服以前は、〈嵐の王〉によって治められ、その後は[[ターガリエン家]]の私生児に始まる家系である[[バラシオン家]]によって治められ
主な城としてイーブンフォールホール、レインウッドなどがある。
;{{Anchors|ストームズエンド}}ストームズエンド
:[[バラシオン家]]の本拠であるが、それ以前は数千年に渡って〈嵐の王〉の古の本拠地であ
:極めて強固な城であり、七王国の時代には包囲にも嵐にも屈したことはない。その外側の防御は100フィート(30メートル)の高さの巨大な幕壁であり、最も薄い側面でも40[[フィート]](12メートル)の厚さであり、海側の厚さは80フィート(24メートル)近くある。幕壁は砂と瓦礫の内核を二層の石積みが覆っている。幕壁は滑らかで丸くカーブしており、石があまりに巧妙に配置されているために、風が入り込むような石の間の割れ目すらない。海側の城壁の下には150フィート(45メートル)の崖がある。
:城そのものは、最上部に恐るべき[[狭間]]胸壁がある巨大な円筒形の塔であり、遠くの敵には、反抗の意思を込めて空に向かって突きあげる、棘のついた巨大な拳のように見える。巨大な塔の中には馬屋、兵舎、兵器庫そして君主の居室が全て入っている。
:また、敵の魔法に対する防御として、幕壁に呪文が織り込まれていると言われている。
:戦いで落城したことはないが、ストームズエンドは近年の歴史でも何度か包囲戦に遭っている。エイゴン征服王の〈征服戦争〉の間、最後の〈嵐の王〉であるアージラック傲慢王は城を出てしまい、ターガリエン家の傍系オーリス・バラシオンと戦場で戦って敗北
===ドーン===
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[[File:Spain Andalusia Cordoba BW 2015-10-27 12-11-57.jpg|thumb|left|ドラマシリーズでドーンのシーンが撮影された[[コルドバ (スペイン)|コルドバ]]のローマ橋]]
[[File:Castillo de Zafra - Exterior.JPG|thumb|right|ドラマシリーズで〈喜びの塔〉のシーンが撮影された[[グアダラハラ県]]のザフラ城]]
[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]最南部で最も人口希薄な土地。中心のサンスピアはドーンを統治する[[マーテル家]]の本拠地である。その郊外にはマーテル家の夏の宮殿であるウォーターガーデンズがある。ドーン辺境の高い山々(赤い山脈)から大陸の南岸までがドーンである。北にはドーン海があり、東には〈踏み石諸島〉(ステップストーン諸島が)あり、南の沿岸は〈夏の海〉に面する。ウェスタロスで最も暑い地域であり、岩だらけで山も多く、乾燥した気候で大陸唯一の砂漠がある。だが川の周りには肥沃な土地が広がり、ドーンを居住可能な土地としている。内陸では水が金と同じ程の価値を持ち、井戸は厳しく警備されている。主な城としては、デイン家のスターフォール城、マーテル家の最も強力な旗主であるアイアンウッド家のアイアンウッド城などがある。
ドーン人は熱血さで知られる。過去に[[エッソス]]の[[ヴァリリア]]から逃げて来たロイン(ローイン)人による大規模な移住があったため、ドーン人は文化的にも人種的にも他のウェスタロス人とは異なっている。男女平等の長子相続制など、ロイン人の習慣も多く取り入れている。ドーンはエイゴン征服王に抵抗することに成功した、ウェスタロスで唯一の王国である。その後、征服戦争の一世紀以上後になって、通婚によって七王国の一部とな
ドーン人は3種類に分かれるとされる。"塩のドーン人"は沿岸にすみ、ロイン人の血が最も色濃く残り、肌はオリーブ色で髪は黒い。"砂のドーン人"は砂漠および川の沿岸に住み、肌はさらに黒く、スカーフを頭に巻いて日差しを避けるがよく日焼けしている。"岩のドーン人"はロイン人の血が最も薄く、北の山岳地方に住み、肌は白く髪の毛は茶髪あるいは金髪であり、アンダル人および〈最初の人々〉の血を色濃く残す。
乾燥した風土およびロイン人の影響など、ドーンは[[後ウマイヤ朝]]の支配を受けた[[スペイン]]をモデルとしており、ドラマシリーズのシーンもスペインで撮影されている。
; {{Anchors|踏み石諸島}}〈踏み石諸島〉(ステップストーン)
〈踏み石諸島〉はドーンとエッソスの間に連なる群島であり、この諸島の支配はエッソス南部及び東部への航海権を握ることになるため、しばしば抗争の舞台となる。小説『[[炎と血 (小説)|炎と血]]』およびドラマシリーズ『[[ハウス・オブ・ザ・ドラゴン]]』においては、[[エッソス]]の[[自由都市 (氷と炎の歌)|自由都市]][[ライス (氷と炎の歌)|ライス]]、[[ミア (氷と炎の歌)|ミア]]、[[タイロシュ]]の連合である三頭市およびこれに味方する[[ドーン (氷と炎の歌)|ドーン]]の領主クォーレン・マーテルと、これに対抗する[[デイモン・ターガリエン]]王子、ヴェラリオン家、さらには[[#ペントス|ペントス]]がその支配をめぐって戦う。
===王室領===
[[#キングズランディング|キングズランディング]]の周辺の土地は〈鉄の玉座〉の王権によって直接統治される。王室領には、ウェスタロス最大の都市であるキングズランディングのほかに、ロズビー、ストークワースとダスケンデールの街などが含まれる。王室領は[[#アリンの谷間|アリンの谷間]]の南、[[#リヴァーランド|リヴァーランド]]の南東、[[#西部|西部]]の東、そして[[#河間平野|河間平野]]および[[#ストームランド|ストームランド]]の北に位置する。〈征服戦争〉後、[[#ウェスタ
;{{Anchors|ドラゴンストーン}}ドラゴンストーン
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:[[File:Downhill Strand, Derry - Londonderry - geograph.org.uk - 222956.jpg|thumb|ドラマシリーズでは[[北アイルランド]]のDownhill Strandでドラゴンストーンの浜辺のシーンが撮影された]]
:[[File:Gaztelugatxe_4199995260.jpg|thumb|ドラマシリーズのシーズン7では[[スペイン]]の[[ガステルガチェ]]でドラゴンストーンのシーンが撮影された]]
:かつては古代ヴァリリア永世領(古代ヴァリリア自由保有地)の最西端の前哨地であ
:ドラゴンストーンは同名の島の大部分を占拠する、巨大な恐るべき砦である。この城の珍しいところは、ヴァリリアの石工がドラゴンの形に刻んだ塔と、恐ろしいガーゴイルの像で覆われた城壁である。城の地下深くにいくばくかの火山活動が残っているために、城の低層階は意外に暖かい。城の外には小さな港と街がある。
:『[[ハウス・オブ・ザ・ドラゴン]]』では、[[レイニラ・ターガリエン]]がこの城を本拠として黒装派を率い、キングズランディングの翠装派に対抗する。
:〈簒奪者の戦争〉の間、[[#キングズランディング|キングズランディング]]の略奪以前に、妊娠していたターガリエンの王妃レイラ(レーラ)と息子の[[ヴィセーリス・ターガリエン|ヴィセーリス]]( ヴァイセリス)はターガリエン艦隊の一部と忠実な兵士たちの守備隊と共にドラゴンストーンに送られ
:ロバートの死後、スタニスは、王妃[[サーセイ・ラニスター|サーセイ]]の子供たちが[[近親相姦]]による私生児であると非難し、自らが王であると宣言する。ドラゴンストーンは彼の本拠地になる。〈キングズランディングの戦い〉で壊滅的な敗北をした後も、スタニスは当地に戻る。スタニスの助言者である女祭司、[[#アッシャイ|アッシャイ]]の[[メリサンドル]]は、血の魔法によって城の〈石のドラゴン〉を甦らせるようにスタニスの説得を試みるが、[[ダヴォス・シーワース]]公が、北の〈壁〉に赴き〈野人〉と[[#異形|〈異形〉]]に対する戦いを助けるようスタニスを説いたために、メリサンドルの説得は失敗する。スタニスがドラゴンストーンを去ったあと、摂政太后[[サーセイ・ラニスター]]は島を封鎖するために艦隊を送り、城を包囲するよう命じる。だが、サー・[[ロラス・タイレル]]は故郷のハイガーデン城を守るために艦隊を包囲戦から解放しようと急ぎ、ドラゴンストーンを正面攻撃する。ロラスは城を手に入れるが、何千人もの兵士を失い、報告によれば彼自身も重傷を負う。その後ドラゴンストーンは再び〈鉄の玉座〉に属する。
;{{Anchors|ドリフトマーク}}ドリフトマーク
:ドリフトマーク島は、ブラックウォーター湾の中、ドラゴンストーン島よりも西方の、よりキングズランディングに近く位置する島である。しばしば王に強大な艦隊を提供する、ヴァリリア人の子孫でターガリエン家の姻戚であるヴェラリオン家の領地である。『[[炎と血 (小説)|炎と血]]』および『[[ハウス・オブ・ザ・ドラゴン]]』に登場する[[コアリーズ・ヴェラリオン]]は、〈双竜の舞踏〉の時期の、ヴェラリオン家の当主である。
;{{Anchors|キングズランディング}}キングズランディング
{{multiple image |footer=ドラマシリーズでは、[[マルタ]]の[[イムディーナ]](左絵)と[[クロアチア]]の[[ドゥブロヴニク]](右絵)でキングズランディングのシーンが撮影された |image1=Mdina007.jpg |image2=Dubrovnik from walls.JPG}}
:[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]および七王国の首都。ブラックウォーター川河口の、エイゴン征服王と姉妹妻がその征服を始めるためにウェスタロスに上陸した地点に位置している。市は城壁に囲まれ、〈金マント〉として知られる〈王都の守人〉(都市警備隊)によって守られている。城壁の内側に目立つ自然景観は3つの丘であり、エイゴンとその二人の姉妹妻にちなんで名づけられている。貧しい庶民は城壁の外側の掘立小屋に住む。キングズランディングは極めて人口が多いが、醜く汚い。市の廃棄物の悪臭ははるか城壁の外にも届く。
:王城は〈赤の王城〉(〈赤い城〉)と呼ばれ、エイゴンの丘に建ち、王の宮廷がある。城には七王国の玉座である〈鉄の玉座〉がある。エイゴン征服王は、破った敵の剣から玉座を作ることを命じ
:キングズランディングにはまた、聖王ベイラーの建設したベイラー大聖堂があり、〈篤信卿〉が総司祭のもとに集まる。もっとも神聖なる[[七神正教]]の聖堂である。キングズランディングの貧民街は〈蚤の溜まり場〉と呼ばれ、住民はあまりに貧乏であるため、子犬や殺された人間の肉が入っていると噂される、〈茶色がゆ〉と呼ばれる謎のシチューで生き延びている。
: [[オベリン・マーテル]]の来訪時に出迎えた[[ティリオン・ラニスター|ティリオン]]の言によると、キングズランディングは、50万を超える人口があると推測されている。
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ライス、ミア、ペントス、ブレーヴォス、ロラス、ノーヴォス、クォホール、ヴォランティス(ヴォランテス)、タイロシュの九つの都市。これらの独立した都市国家はエッソス大陸西部の、島もしくは大陸沿岸にある。自由都市の東側にある山々が西岸と[[#ドスラクの海|ドスラクの海]]の平原を隔てているが、ドスラクの民は山の間の峡谷を通って自由都市に来ることができる。
自由都市の多くは、かつて古代[[#ヴァリリア|ヴァリリア]]永世領によって建設された植民地であったが、ヴァリリアの〈破滅〉のあと独立を宣言し、その結果、これらの都市の言語は高地ヴァリリア語の派生語とな
自由都市はロイン川流域にも広がる。その流域は、ロイン川を“母なるロイン”として崇拝するロイン人の故郷である。ロイン川の支流の源流は、ブレーヴォスとペントスの間の、アンダル人の故郷アンダロスにある。ロイン川は川賊が島陰に隠れる湖を過ぎたところで南に向かい、さらに支流を集めてヴォランティス付近の三角州で〈夏の海〉に注ぎ込む。
;{{Anchors|ブレーヴォス}}ブレーヴォス
:自由都市の中では唯一[[#ヴァリリア|ヴァリリア]]の植民地ではなく、ヴァリリアの拡大から逃げた避難民によって密かに建設され
:ブレーヴォス人は派手な色の装いをするが、豊かで力を持つ人々は黒あるいは黒っぽい濃い青を着る。ブレーヴォスは高級娼婦でも名高い。全ての高級娼婦は屋形船と召使を抱え、著名な高級娼婦の美しさは多くの歌で讃えられる。金細工の贈り物が雨あられと差し出され、職人たちはひいきにしてもらうことを請う。貴族や豊かな商人は種々の行事で同伴してもらうためだけに大枚をはたく。かつてのブレーヴォスの第一剣士である[[シリオ・フォレル]]は、〈水のダンス〉と呼ばれるブレーヴォス独特の剣技を[[アリア・スターク]]に教える。この剣技は剣士が横向きに立って細身の剣を振るう、フェンシングの発展形である。街には好戦的な刺客があふれ、決闘でその技を見せびらかす。
:アリアを助けた謎の暗殺者[[ジャクェン・フ=ガー]]はブレーヴォスの〈黒と白の館〉を中心とする〈顔のない男たち〉と呼ばれる暗殺者のギルドの一員である。
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:南方の島々にまたがる都市である。他の自由都市の住民と異なり、ライス人は背が高く色白で青い瞳を持つ。歓楽の館で有名であり、愛の技を教えこまれた奴隷が、愛人や性奴隷として売られる。ステップストーン諸島や他の係争地に関して他国としばしば争う。デナーリスの召使であるドリアと海賊の[[サラドール・サーン]]はライス人である。[[エドリック・ストーム]]が護衛の騎士と共に隠れ住む。
;{{Anchors|ミア}}ミア
:レンズ職人、精妙に織られたレース、美しいカーペットで有名な沿岸都市である。暗い色の瞳と濃い色の肌をしたミア人は、ノーヴォスやペントスと同様に豪商たちによって支配され、ドスラクのカラザールに貢納する。ミアは奴隷と薄緑色の飲料ネクタルの交易の中心である。係争地の支配をめぐって他国としばしば争う。[[#ル
;{{Anchors|ノーヴォス}}ノーヴォス
:西岸から大陸内部に入った都市であり、高い丘陵から川沿いの低地に広がっている。街には独自の名前と音色をもつ、3つの大きな鐘がある。郊外には丘がうねるように並び、段々畑と白漆喰の壁の村があり、気候は温暖である。ノーヴォスの男は染めてカーブさせた口髭をする。街は豪商の委員会によって支配され、委員会は[[#ドスラクの海|ドスラク]]のカラザールが通過するたびに貢納する。ここにはまた、エリート護衛を訓練する〈顎髭の導師〉たちがいる。護衛たちは服従を誓い、自らは特徴的な長柄斧と結婚したものと見なす。[[ドーラン・マーテル|ドーラン(ドラン)・マーテル]]の妻メラリオとドーランの護衛[[アリオ・ホター]]はノーヴォスの出身である。
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===奴隷商人湾===
奴隷商人湾は[[#ドスラクの海|ドスラクの海]]の南、[[#ラザール|ラザール]]の西、[[#自由都市|自由都市]]の数千リーグ東に位置し、〈夏の海〉に面する。気候は過酷なほど暑い。 [[#ユンカイ|ユンカイ]]、[[#ミーリーン|ミーリーン]](ミイリーン)、[[#アスタポア|アスタポア]](アスタポール)と呼ばれる三つの港湾都市国家がある。これらの都市は、『[[氷と炎の歌]]』の出来事の数千年前に[[#ヴァリリア|ヴァリリア]]の好敵手であったが、のちに滅ぼされた古代ギスカル帝国の瓦礫の中から、建設され
3都市全てにおいて、職業兵士は奇怪な装いと髪型をしており、戦闘の効率は犠牲にされている。実際の戦闘においては、3都市は奴隷および傭兵の別軍に大きく依存している。
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:エッソス大陸南東部の、〈夏の海〉と〈翡翠海〉をつなぐ海峡を見下ろす位置にある。東西南北をつなぐ商業と文化の架け橋である都市。富を誇示するその建築物は壮大な景観となる。それぞれ30フィート(9メートル)、40フィート(12メートル)、50フィート(15メートル)の高さの三重の壁に囲まれ、それぞれの壁は種々の動物、戦争の場面、そしてさまざまな男女の交わりの彫刻で飾られる。街の建物は薔薇、菫そして琥珀などの色合いを帯びる。高く細い塔が街中に聳え立ち、あらゆる広場を噴水が飾る。幾千もの鳥や木々や花々が街を埋め尽くす。
:クァース人は、麻織物と絹織物と虎の皮をまとった丈高く色白の人々だと描かれ、女性は一方の乳房をむき出しにしたガウンを纏い、男性はビーズ飾りのついた絹のスカートをはく。奴隷たちがクァース人に奉仕する。古代の王と女王の子孫である〈純粋人〉たちが街を統治し、防衛もつかさどる。市の覇権を巡って、3つの主な豪商達のグループがお互いに競い合い、〈純粋人〉に対抗している。〈十三人組〉、〈トルマリン協会〉、〈古来の薬味者ギルド〉(〈古来の薬味者組合〉)の3つのグループである。
:クァースは東方のあらゆる場所でいまだに恐れられ敬われる、唇が青に染めた黒魔導師(黒魔術師)で有名であるが、彼らの力と威信は年月と共に衰えて来
===エッソスの未踏の地===
物語上で言及はされるものの、直接は登場しない地域。その多くがウェスタロスから遠く離れており、名前以外は
;{{Anchors|アッシャイ}}アッシャイ
:しばしば“影に触れるアッシャイ”(“影のほとりのアッシャイ”)と呼ばれ、エッソス大陸のはるか東、[[#ドスラクの海|ドスラクの海]]の南にある港湾都市。アッシャイに行くことは“影の下を通る”と表現されることもある。アッシャイは翡翠海に面して賑わう交易地であり、黒アメジスト、琥珀、黒曜石(ドラゴングラス)を輸出する。当地には多くの秘密の知識が蓄えられている。他のどの地よりも、[[#ドラゴン|ドラゴン]]に関する伝承を伝えているらしい。アッシャイには [[#ウェスタロス|ウェスタロス]]のメイスターも住む。また、アッシャイの古代の書には、[[#ル
;{{Anchors|イ・ティ}}イ・ティ
:クァースから山脈と海峡を隔てた東にある地。南東部が影の
;{{Anchors|ジョゴス・ナイ}}ジョゴス・ナイ
:イ・ティの北方に広がる広大な平原とそこに住む遊牧民。『The World of Ice & Fire』で言及される。イ・ティの帝国はしばしばこの地を支配下に納めようと試みてきたが、大抵の場合失敗するか一時的なものに終わっている。その関係は歴代の中国王朝とモンゴル等の北方騎馬民族との関係に類似している。ドスラクの海とは山脈で隔てられており、この地の民が山脈の西側に来ることは滅多に無いものの、奴隷商人湾の諸都市の奴隷や剣闘士の中に少数ながら見られる。
;{{Anchors|イッベン}}イッベン
:エッソス本土から鯨湾を隔てた北の海に浮かぶ島々。最大の島はイブ島でイッベンの港と都市イブ=ノールがある。かつては神王と呼ばれる君主が統治していたが、ヴァリリアの崩壊後は貴族、司祭及び豪商からなる影の評議会によって治められている。ドラマの中でティリオンがマンモスの徘徊する地として言及し、その後小説でも名前が登場
;{{Anchors|影の土地}}影の土地
:はるか東の土地。既知の世界の東の端に位置し、[[#アッシャイ|アッシャイ]]の隣あるいは向こう側にある。西方世界では〈影の土地〉に関する種々の物語が語られるが、どこまでが真実なのかは明らかでない。石化した[[#ドラゴン|ドラゴン]]の卵は〈影の土地〉からもたらされ、ドラゴン自身が〈影の土地〉に起源を持つと言われている。[[#ドスラクの海|ドスラク]]人は、〈幽霊草〉が〈影の土地〉を覆い、その茎は闇に光り、馬上の人よりも高く育つと信じている。この土地に生まれたものは〈影の人々〉と呼ばれ、体を刺青で覆い、赤い漆塗りの木の仮面をつける。彼らは陰気で恐ろしい存在として描かれている。彼らの中には、血の犠牲を必要とする呪文を用いる、血の魔法を使う者もいる。〈影の土地〉と[[#アッシャイ|アッシャイ]]は合わせて〈影〉と呼ばれることが多い。
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:直訳すると千諸島。Mossovyの沿岸一帯の島々。既知の世界の北東の端。緑がかった肌の住民が住んでいるとされる。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。
;{{Anchors|Ulthos}}Ulthos
:影の地から狭い海峡を隔てた南の土地。深い密林に覆われている事以外は何も知られていない。島なのか、
;{{Anchors|夏諸島}}夏諸島
:エッソスと[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]の南側にある〈夏の海〉に浮かぶ、一つの国家をなす島々。美しい鳥、類人猿、そして猿が住む。〈高木の町〉(〈高い木の町〉)の港は首都の役割を負う。夏諸島の住民は、独自の言語を話し、しばしば明るい色の羽毛のマントを着る。肌は黒く、魚と果物を食する。ウェスタロスにはワイン、香辛料、羽毛、そして弓を作る特殊な木材を輸出する。弓術は夏諸島人にとって重要な武技である。その独特な弓は他の弓よりも飛距離が長く、海賊から商船を守るすぐれた防御となる。性は神々からの贈り物と見なし、愛の行為によって神々を崇拝する。高貴な生まれの若い男女の多くは、神々を讃えるために売春施設に数年間勤める。
;{{Anchors|ヴァリリア}}ヴァリリア
:[[File:Destruction of Pompeii and Herculaneum.jpg|thumb|ヴァリリアを滅ぼした〈破滅〉は[[ポンペイ]]や[[ヘルクラネウム]]の火山による破壊にたとえられる (1822年[[ジョン・マーティン]]画『ポンペイとヘルクラネウムの壊滅』)]]
:かつて古代ヴァリリア永世領と呼ばれる大帝国の首都であったが、以来廃墟となっているかつての驚異の都市。絶頂期において、古代ヴァリリア永世領は最先端の文明であり、既知の世界では圧倒的な軍事と文化の力を保有してい
:かつては強力なギスカル帝国がヴァリリアの拡大を阻止しようとして5回の戦争を戦ったが、いずれもヴァリリアが勝利
:古代ヴァリリアは、 『[[氷と炎の歌]]』の出来事の数百年前、〈破滅〉が訪れた時に崩壊
:ヴァリリアは、ドラゴンを育成して戦争の兵器として使うという、特殊な力によって記憶されている。その軍事力のほとんどはドラゴンの戦場での有効性に負うものであり、〈征服戦争〉において[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]の王たちの数多の恐るべき軍を破ったのは、エイゴン・ターガリエンとその姉妹たちの、ドラゴンを支配する力であ
==宗教==
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;{{Anchors|古の神々}}古の神々
:〈最初の人々〉が[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]に初めて移住して来た時、[[#森の子ら|〈森の子ら〉]]に出会うことにな
;{{Anchors|七神正教}}七神正教
:[[File:Fridolin Leiber - Pater noster.jpg|thumb|〈七神正教〉はカトリックの[[三位一体]]から発想されている]]
:[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]最大の宗教であり、アンダル人が大陸を征服した時にこの地にもたらされたる。ウェスタロスの大部分で信仰されているが、[[#鉄諸島|鉄諸島]]および[[#北部|北部]]にはあまり信者がいない。〈正教〉は中世ヨーロッパのカトリック教会に類似している。七つの側面を持つ神の崇拝に基礎を置いており、カトリックの[[三位一体]]の代わりとなっている。この“七にして一なる”神は一家の形態をとるが、独自の個人名を持つわけではない。七神とは〈厳父〉、〈慈母〉、〈乙女〉、〈老嫗〉、〈戦士〉、〈鍛冶〉、〈異客〉(〈父の神〉、〈母の神〉、〈乙女の神〉、〈老婆の神〉、〈戦士の神〉、〈鍛冶屋の神〉、〈異邦の神〉)である。このうち〈慈母〉、〈乙女〉、〈老嫗〉は女性的側面を象徴し、〈厳父〉、〈戦士〉、〈鍛冶〉は男性的側面を象徴する。〈異客〉は男性でも女性でもなく、謎と死を象徴する。
:〈正教〉の多くの側面は素数3ではなく、素数7に基づく。たとえば、この宗教の重要な図像は、水晶のプリズムに射し込んで7色の虹を作る光線である。〈司祭〉(〈神官〉)は〈厳父〉に仕える男性の神職でありセプトンと呼ばれ、〈司祭女〉(〈女神官〉)は〈慈母〉に仕える女性の神職でありセプタと呼ばれる。〈七神正教〉には、いくつかの経典があるが、最も重要な経典の一つは〈七芒星典〉であって、多くの書に分かれている。聖職者たちは、明らかに神の側面に従って分かれている。〈異客〉、またの名を“死と未知なるものの神”、に仕える女性だけの組織は〈沈黙の修道女〉(〈沈黙の尼僧〉)と呼ばれ、沈黙を守り死骸の世話を行う。神の他の側面にもそれぞれ神職の組織があるのかどうかは明らかではない。〈七神正教〉の長は教皇に類似した総司祭であり、枢機卿会に類似した〈篤信卿会〉として知られる高位の聖職者の会議で選ばれる。総司祭と〈篤信卿会〉は何千年も[[#オールドタウン|オールドタウン]]に置かれたが、[[ターガリエン家]]が七王国を征服し王都[[#キングズランディング|キングズランディング]]を建設した時、その本拠を王都に移動
:〈七神正教〉はウェスタロスの文化における概念である〈騎士〉の基礎をなすが、宗教の側に立つ戦士である〈聖兵〉は、〈騎士〉とは異なる存在である。〈五王の戦い〉の時点では何世紀もの間、解体されていたが、王室の借財の免除と引き換えに、ふたたび〈戦士の子ら〉と呼ばれる組織を作ることを許される。
;{{Anchors|溺神}}溺神
:[[#鉄諸島|鉄諸島]]の独自の宗教。アンダル人が[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]を侵略した時、多くはその地の〈最初の人々〉が[[#七神正教|〈七神正教〉]]に改宗することを強制したが、鉄諸島を侵略したアンダル人は地元の宗教と文化を取り入れ
;{{Anchors|母なるロイン}}母なるロイン
:東方の大陸からのロイン人の避難民が[[#ドーン|ドーン]]に上陸した時(『[[氷と炎の歌]]』の出来事の約1000年前)、彼らはこの地のアンダル人と混じりあ
;{{Anchors|ル=ロール}}<!--半角「=」では転送が正しく機能しないため全角「=」を使用-->ル=ロール
:ル=ロールは〈紅い神〉や〈光の王〉(光の神)として知られ、主に〈狭い海〉の向こう側で信じられている宗教であるが、〈鉄の玉座〉に仕える[[ミアのソロス]]など、ル=ロールの司祭は七王国にも在住している。ル=ロールの崇拝には火の儀式が含まれ、その多くは犠牲を必要とする。〈光の王〉の司祭は、ソロスの剣を燃え立たせるトリックや、[[メリサンドル]]の邪悪な呪文などの神秘的な力をしばしば見せる。メリサンドルの影響のもとで、自らを七王国の王と宣言する[[スタニス・バラシオン]]はこの宗教に改宗し、ル=ロールの暗黒の儀式の力を借りて〈鉄の玉座〉を探求している。ル=ロールの信仰の中には、[[#壁|〈壁〉]]の北に住む[[#異形|〈異形〉]]に関する予言も含まれ、〈歩く白魔〉(〈白い歩行者〉)はル=ロールの永遠の敵である〈偉大なる異形〉(〈偉大なる他者〉)の信奉者であると主張する。
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:〈巨人〉は壁の外の極北のみで見られる、絶滅しつつある種族である。〈巨人〉は二足歩行の類人猿にやや似た、巨大で毛むくじゃらのヒト型生物である。人間よりも若干低い知性しかない。〈最初の人々〉の言語を話すが、[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]の共通語を理解する者もいる。戦いではマンモスに乗り、丸太より若干ましな程度の粗雑な作りの棍棒を振う。中には〈野人〉たちと緩やかな同盟を結ぼうとしたものもいる。多くの〈巨人〉が〈壁の向こうの王〉[[マンス・レイダー]]の〈野人〉の大群に加わり、[[#異形|〈異形〉]]から逃れるために〈壁〉の南側に押し通ろうする。
;{{Anchors|森の子ら}}森の子ら
:〈森の子ら〉は[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]の本来の住民であるとされる。〈森の子ら〉はしばしば言及されるが、何千年も姿を見られていな
:〈森の子ら〉はウィアウッドを通して他の場所の出来事を見ることが出来
;{{Anchors|異形}}異形
:ホワイト・ウォーカー(白い歩行者、白き魔物)とも呼ばれる〈異形〉は[[#壁|〈壁〉]]の北側で発見された邪悪な生物である。彼らは夜の間だけしか目撃されておらず、つねに激しい寒さと共に現れる。〈異形〉は背が高く、痩せていて、光る青い目を持つ優美なヒト型生物である。かれらは一歩ごとに色を変える鎧をまとい、鋼さえ砕く冷たい刃をそなえた薄い水晶の剣を振う。静かに動くが、その声は氷を割るかのように響く。独自の言語を持つことがほのめかされている。〈異形〉に対して鉄の武器は無力であり、[[黒曜石]](ドラゴングラスとしても知られる)あるいはヴァリリア鋼によって作られた武器によってのみ倒すことができる。死ぬと、彼らは溶けて、極めて冷たい液体の水たまりとなる。
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;{{Anchors|ドラゴン}}ドラゴン
:ドラゴンは物語の上で重要な役割を果たす。エイゴン征服王は3頭を[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]に連れてきて七王国の統一に用い
:この物語のドラゴンは、鱗があり、炎を吐く、動物程度の知性を持つ爬虫類である。ドラゴンには前足に蝙蝠のような皮の翼がある。氷と炎の歌の挿絵では4本の足と、独立した翼が描かれているが、作者の[[ジョージ・R・R・マーティン]]はこれらの絵が不正確であると繰り返し強調している。ドラゴンには誰でも乗れるわけではなく、乗りこなそうとして多くの人間が命を落と
;{{Anchors|鴉}}鴉
:『[[氷と炎の歌]]』の鴉は、鳩と同様に[[帰巣本能]]が強く、かつ体が大きく猛禽類から襲われにくいため、手紙の運搬に用いられる。多くの鴉は一つの城に行くよう訓練されているが、中には口頭の命令で複数の城のうちの一つを選んで飛べる鴉もいる。鴉の中には、人語を解するだけでなくオウムのように限られた人語を話すものもあり、ペットとして飼われる場合もある。
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;{{Anchors|ウィアウッド}}ウィアウッド
:ウィアウッドは[[#ウェスタロス|ウェスタロス]]中に自生する落葉樹であり、5つの先端を持つ葉や樹液は血のように赤く、太い樹を覆うなめらかな樹皮や木材は骨のように白い。ほとんどのウィアウッドには[[#古の神々|〈古の神々〉]]の顔が彫られているが、これは古くは[[#森の子ら|〈森の子ら〉]]によって彫られ、現在は〈野人〉や〈最初の人々〉の子孫たちの[[#北部|北部人]]が彫るものである。顔の彫られた溝に樹液が集まり、木が赤い眼から涙を流しているように見える。
:〈古の神々〉たちはウィアウッドに彫られた顔の目を通して、多くの出来事を見守っていると言われる。〈森の子ら〉の〈緑視者〉たちも顔の目を通して見ることが出来るが、木には時間の観念がないために、過去や未来を覗き込むことがある。ウェアウッドは森に自生する。〈最初の人々〉は〈森の子ら〉にならって〈古の神々〉を信じるようになり、城や村に〈神々の森〉を作
:アンダル人が[[#七神正教|〈七神正教〉]]を携えてウェスタロスを侵略した時、ウィアウッドは〈古の神々〉の象徴とされ、多くが切り倒されるか燃やされ
:ウィアウッドは腐らないため、貴重な建設材や家具材となる。また槍、弓、矢の材料にも用いられる。
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{{デフォルトソート:こおりとほのおのうたのせかい}}
[[Category:氷と炎の歌|*せかい]]
[[Category:架空の土地の一覧]]
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