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入国管理について
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[[画像:Laos.Visa.JPG|right|thumb|200px|[[ラオス]]の[[スタンプ]]タイプの査証。滞在期限が満了する前に隣接国に出国し、査証を取得するビザラン({{en|Visa Run}})と呼ばれるもの。見た目は入国許可・出国許可のスタンプと変わらない]]
[[画像:Visa usa.jpg|right|thumb|200px|[[アメリカ合衆国]]の査証。]]
'''査証'''(さしょう)または '''ビザ'''({{lang-en-short|'''Visa''' , Travel visa}})とは、[[国家]]が自国民以外に対して、その人物の所持する[[パスポート|旅券]]が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す[[証書]]である<ref group="注釈">[[海外渡航の自由]]がない国家において、自国民に対する出国許可を「出国ビザ」と称する場合がある</ref>。
 
査証が発行国の入国を保証するものではなく、[[出入国管理|入国許可]](上陸許可)申請に必要な書類の一部となっている。大多数の国家が同様の制度を運用しているが、同時に一定の条件内で'''査証免除'''が行われている場合が多い。
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査証は主に各国に駐在する領事機関(総領事館、領事館、大使館領事部など)が発行し、入国審査は出入国管理当局が行う。したがって渡航前に領事館等へ出頭し、申請・取得するのが原則である。[[旅行代理店]]などによる代理申請を認めるケースもある。
 
査証の発給を受けた者は入国したい国の政府から入国してもかまわないと推薦を受けた状態であり、実際の入国・滞在までは保証されない<ref name=":0">{{Cite web |和書|title=米空港で理不尽な対応、身をもって知った「外国人であるということ」 |url=https://www.yomiuri.co.jp/column/civil02/20230620-OYT8T50077/ |website=読売新聞オンライン |date=2023-06-23 |access-date=2023-06-25 |language=ja}}</ref>。いわば「入国審査の予備審査を通過した証明書」とも換言できる。したがって査証を持っていても入国審査において追加の身分証明が必要になったり<ref name=":0" />、入国を拒否されることがある。査証がない場合は原則として入国許可審査自体が受けられず、審査結果である「入国許可(或いは不許可)」といった判定も得られない。
 
留学、就業などの長期滞在では必須の書類である一方、観光、商談などの短期滞在においては'''査証免除'''(ノービザ)が多数の国で行われており、必ずしも必要な書類とはいえなくなっている。
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査証の発行には旅券・申請書のほか、[[証明写真]]が必要であることが多く、その他にも国家や旅券の種類によって申請に必要なものが異なることがある。同一国の同一種類の旅券であっても、発行場所によって申請に必要なものが異なることさえある。
 
近年では、査証受付業務を大使館外の民間企業に[[アウトソーシング]]している例もある(これらは「ビザ申請センター」を名乗ることが多い。前述の旅行代理店などによる代理申請とは異なる)。この場合、査証手数料のほかに、別途手数料が徴収される。ただし、ビザ申請センターでは受付、受領業務のみを行い、実際の審査、発行業務は従来通り大使館が行う。
 
また、後述の電子データ形式の査証の普及により、大使館窓口での受付を終了したり(インターネットによる申請、もしくは郵送による申請)、近隣諸国間の大使館で審査窓口の一本化などがおこなれている(例えば、[[駐日オーストラリア大使館]]では査証業務を行なっておらず、日本における査証業務は駐韓国オーストラリア大使館が管轄している)。
== 査証発行の格差 ==
 
== 査証発行・免除に関する国家格差 ==
=== 査証免除 ===
{{see also|ビザ免除プログラム}}
一部の国家には、観光目的かつ短期間の滞在なら、パスポートの残存期間に応じて査証の発行を受けずに入国できる。ただし入国審査において査証が無くとも良いという意味であり、在留許可は別に必要である。また査証免除を認めている国家では、[[旅行会社]]による代理申請を認めている場合もある。
 
ビザ無しで渡航できる国家の数は、所持するパスポートの発行国により異なる。コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズは[[国際航空運送協会]](IATA)の資料に基づき2008年以降、ビザ無し渡航できる国数を示す「パスポート指数」を公表している。2022202471月時点では、[[フランス]]・[[ドイツ]]・[[イタリア]]・[[日本]]・[[シンガポール]]・[[スペイン]]が首位(193('''194カ国''')で、[[フィンランド]]・[[韓国]]シンガポ[[スウェル(192デン]](193カ国)、[[ドイツオーストリア]]・スペ[[デンマーク]]・[[アルラ(190ド]]・[[オランダ]](192カ国)が続き、最低が[[アフガニスタン(27]]('''28カ国''')である<ref>{{Cite news |和書 |title=日本の世界で最も強いパスポート世界最強、ビザなし・到着ビザで193[2024年版]…日本を含めて6カ国にアクセスがトップ |newspaper=[[ブルームバーグテレビネスイサイダー|BlombergBusiness Insider]] |date=20222024-701-2018 |author=AngusMarielle WhitleyDescalsota |url=https://www.bloomberg.cobusinessinsider.jp/newsarticle/articles/2022-07-20281129/RFAV4PDWX2PU01 |access-date=20222024-1201-2526}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://cdn.henleyglobal.com/storage/app/media/HPI/HENLEY_PASSPORT_INDEX_2022_Q3_INFOGRAPHIC_GLOBAL_RANKING_220705_1Henley%20Passport%20Index%202024%20January%20Global%20Ranking.pdf |title=The Henley Passport Index: Q32024 2022January Global Ranking |format=PDF |publisher=Henley & Partners Holdings Ltd |accessdate=20222024-1201-2526}}</ref>。国家の経済水準や治安、対外政策・政治体制による差が大きい。
* 滞在国の[[永住権]]を持っている場合。この場合は、母国の旅券と永住権を付与された国家の許可証を提示することになり、出入国管理上はそれぞれの国への“帰国”。
* [[欧州連合]](EU)加盟国(未加盟国の[[スイス]]や[[ノルウェー]]も含む)の国民は、査証申請をせずに別の欧州連合加盟国に居住し、就労することが可能である。
* 当該国間で密接な友好関係がある場合。当該国間で渡航者が非常に多く、大きなトラブルを起こさず、商業上重要な関係を持っている場合、短期の渡航については、[[相互主義]]により査証取得が免除される<ref group="注釈">2020年、日本政府が防疫上の理由により、全ての査証免除国に対して査証免除措置を一時停止した際、その措置を不当と見なした韓国政府から、報復措置として日本人に対する査証免除措置が停止された事例があ。</ref>
** 例 : [[日本]]と[[アメリカ合衆国]]・[[シェンゲン協定]]締結各国間の査証相互免除。
** 例:[[アジア太平洋経済協力]]参加各国による「[[APECビジネストラベルカード]]」保持者への査証相互免除。発給申請の際には全ての国が承認・不承認の意思表示を行なう。
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* 政治上の理由(情報統制や国家体制維持など)による場合
** 例:[[中国共産党]]や中国政府に対して、批判的な報道、中国共産党に対して不利な報道・国家転覆行為などをした国外のメディア人物に対して、[[中華人民共和国]]が意図的に査証を発行しない例。
** [[大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国|社会主義人民リビア・アラブ国]]は2007年11月11日以降、旅券に[[アラビア語]]併記がされていない人物については、通過さえも認められていなかったが、[[ムアンマル・アル=カッザーフィー|カダフィ]]政権が崩壊し、[[リビア|リビア国]]となってからは、旅券のアラビア語併記は不要となった<ref>[https://web.archive.org/web/20130928031157/http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=125 海外安全基礎データ リビア] 外務省 2013年8月10日閲覧</ref>。
* 宗教上の理由による場合
** 例 : [[サウジアラビア]]は非[[ムスリム]]の個人訪問に対して、2019年9月までは観光ビザを発行していなかった<ref>[https://www.ksa.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000225.html サウジアラビア政府による日本国民を含む一部外国人に対する観光ビザ発給開始の発表] - 在サウジアラビア日本国大使館 令和元年9月27日</ref>。
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=== 日本 ===
[[File:Japan Double Transit Visa.jpg|thumb|日本国の通過査証(2012年)]]
[[File:1940 issued visa by consul Sugihara in Lithuania.jpg|thumb|1940年8月に在[[カウナス]]日本領事館領事代理の[[杉原千畝]]により発給された通過査証]]
[[在留資格]]については報道や教育、スポーツ関係など個々のケース毎に細かく規定されているため、詳細は後述の外務省サイトを参照のこと。
* 就労が認められる在留資格
** 外交査証
** 公用査証
** 高度専門職査証
** 就業査証
** 起業(スタートアップ)査証
** 留学査証(学業が本来の目的なので、1週間28時間迄の労働制限時間が付く)
** 一般査証
*** 留学(学業が本来の目的なので、1週間28時間迄の労働制限時間が付く)
** 特定査証(日本人の配偶者、日本人の実子、永住者の配偶者、報酬を伴うインターンシップ、ワーキングホリデー入国者など)
* 就労が認められない在留資格
** 観光査証
** 一般査証
*** 文化活動 (例:無報酬のインターンシップ、茶道・華道の研究者など)
** 短期滞在査証
*** 研修 (例:企業・自治体等の研修生、実務作業を伴わない研修)
*** 家族滞在 (例:長期滞在外国人の扶養を受ける配偶者及び子)
** 短期滞在査証(観光、商用、知人・親族訪問等90日以内の滞在)
** 通過査証
** [[医療滞在査証]]
** 特定査証(観光・保養を目的とするロングステイなど)
* 就労が認められるかどうかは個々の許可内容によるもの
** 特定査証
 
=== アメリカ合衆国 ===
* 外交官等 (A)
* 非移民査証
** 外交官・領事またはその直近家族 (A-1)<ref name="石原淳">{{Cite web |url=https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2014pdf/20141209068.pdf |title=米国ビザ(査証)制度 |author=石原淳 |date=2014-12 |format=pdf |publisher=[[参議院]](日本)||accessdate=2024-02-15}}</ref>
** 外交 (A)
** 外国政府関係機関職員またはその直近家族 (A-2)<ref name="石原淳" />
** 短期商用 (B-1)
** 外交官等の被雇用者または直近家族 (A-3)<ref name="石原淳" />
** 短期観光 (B-2)
* 短期滞在者等 (B)
** 通過 (C)
** 商用短期 (B-1)<ref name="石原淳" />
** 乗務員 (D)
** 観光短期 (B-2)<ref name="石原淳" />
** 商用駐在員・貿易家 (E-1)
* 通過 (C)
** 商用駐在員・投資家 (E-2)
** 一般通過 (C-1)<ref name="石原淳" />
** 国連本部訪問および国連職員による国連本部から米国を経由して第三国へ出国 (C-2)
** 外国政府関係者 (C-3)
* 乗務員 (D)
** 到着時と同一船舶等で出国 (D-1)<ref name="石原淳" />
** 到着時と別船舶等で出国 (D-2)<ref name="石原淳" />
* 短期就労者 (E)
** 条約貿易業者 (E-1)<ref name="石原淳" />
** 条約投資者 (E-2)<ref name="石原淳" />
** 商用駐在員・オーストラリア人専用 ([[E-3ビザ|E-3]])
** 非職業訓練校の学徒 (F-1)
** 非職業訓練学校の学徒 (F-1)
** 国際機関関係者 (G)
** 非職業訓練学校の学徒の配偶者または子 (F-2)
** 短期就労者・専門職 (H-1B)
** カナダもしくはメキシコに居住しながら、米国の学校へ通学する非職業訓練学校の学徒 (F-3)
* 国際機関関係者 (G)
** 国際機関の加盟国政府首席駐在代表・随員またはその直近家族 (G-1)<ref name="石原淳" />
** 国際機関の加盟国政府代表またはその直近家族 (G-2)<ref name="石原淳" />
** 国際機関の非加盟国・非承認国政府代表またはその直近家族 (G-3)<ref name="石原淳" />
** 国際機関の職員またはその直近家族 (G-4)<ref name="石原淳" />
** G-1 - G-4の被雇用者またはその直近家族 (G-5)<ref name="石原淳" />
* 労働者 (H)
** 専門職 (H-1B)<ref name="石原淳" />
** 看護婦 (H-1C)<ref name="石原淳" />
** 季節農業従事者 (H-2A)
** 短期就労者 (H-2B)
** 研修 (H-3)
** 報道関係者 (I-1)
** 文化交流訪問者 (J-1)
** 婚約者本人 (KJ-1)
** J-1の配偶者および扶養家族 (J-2)
** 系列企業内転勤・管理職 (L-1A)
* アメリカ国民の婚約者 (K)
** 系列企業内転勤・専門職 (L-1B)
** 専門学校生アメリカ国民の婚約者 (MK-1)
** 特別移アメリカ国関係の婚約の子 (NK-2)
* 国際企業の転勤者 (L)
** 卓越能力 (O-1)
** 管理職 (L-1A)
** 運動競技者・芸能家 (P)
** 専門職 (L-1B)
** 認定プログラム参加者 (Q)
** L-1の配偶者または子 (L-2)
** 宗教活動家 (R)
* 職業訓練学校の学徒 (M)
** 奴隷貿易被害者 (T)
** 職業訓練学校の学徒 (M-1)
** 職業訓練学校の学徒の配偶者または子 (M-1)
* 特別移民関係者 (N)
* [[NATO]]関係者 (NATO)
* 特殊技能者(科学・芸術・スポーツ・教育・映画、O)
** 特殊技能者 (O-1)
** 特殊技能者の補助事務従事者 (O-2)
** O-1・O-2の配偶者または子 (O-3)
* 運動競技者・芸能家 (P)
* 国際文化交流参加者 (Q)
* 宗教 (R)
** 宗教活動家 (R-1)<ref name="石原淳" />
** 宗教活動家の配偶者または子 (R-2)<ref name="石原淳" />
* 情報提供者 (S)
** 組織的犯罪情報提供者 (S-5)<ref name="石原淳" />
** テロ行為情報提供者 (S-6)<ref name="石原淳" />
* 人身売買被害者({{仮リンク|Tビザ|en|T visa}})
** 人身売買被害者本人 (T-1)
** T-1の配偶者 (T-2)
** T-1の子 (T-3)
** T-1の親(T-1が未成年である場合に限る) (T-4)
** T-1の兄弟(18歳未満かつ未婚に限る) (T-5)
* 犯罪捜査に協力する意思のある犯罪被害者({{仮リンク|Uビザ|en|U visa}})
** 犯罪被害者本人 (U-1)
** U-1の配偶者 (U-2)
** U-1の子 (U-3)
** U-1の親(U-1申請者が未婚かつ21歳未満である場合に限る) (U-1)
** U-1の兄弟(U-1申請者が未婚かつ21歳未満である場合に限り、その兄弟も未成年である場合に限る) (U-5)
* 移民査証([[永住権]]を参照)
** 家族呼び寄せ
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[[File:Colombian Electronic Visa.jpg|thumb|コロンビアの電子査証表示イメージ図]]
[[インターネット]]の発達により、生まれた形式。インターネットなどで提出された査証申請により、査証を[[サーバ]]上に保存し、入国時などの必要な時に、端末操作により取り出す。この形式も、旅券には記録が残らない。
このような形式の査証を電子渡航認証と呼ばれ、申請から受取まですべて電子的に行われる。この分類には<ref>[https://esta.cbp.dhs.gov/esta 米国のESTA]</ref>米国のESTAや、<ref>[https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/visit-canada/eta/apply-ja.html カナダのeTA]</ref>カナダのeTA、<ref>[https://www.eta.homeaffairs.gov.au/ETAS3/etas?locale=ja&submit=cancel オーストラリアのETA]</ref>オーストラリアのETAなどがある。
カナダのeTA]</ref>カナダのeTA、<ref>[https://www.eta.homeaffairs.gov.au/ETAS3/etas?locale=ja&submit=cancel オーストラリアのETA]</ref>オーストラリアのETAなどがある。
 
2020年現在、オーストラリアが「ETA(Electronic Travel Authorization)」として短期滞在者などを対象に採用したのを皮切りに、世界各国で徐々に広がりつつある。申請者は予めウェブから必要事項を入力し、クレジットカードで料金を支払う。入国審査時は読取機械に旅券をかざすと同時に顔写真を比較される。なお、国によっては入国時に当局より発行された(通常、本人宛てにメール、もしくはビザ申請サイトなどで電子的に発行される)ビザ発行済み証を印刷して持参する必要がある。また、必要時にはビザ申請サイトにログインすることで、いつでもビザステータスを確認することができる。
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
<references />
 
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{{Commonscat|Visas}}
* [[パスポート]](旅券)
* [[ETIAS]] 2025年から[[ヨーロッパ]]への渡航で必要となる。
* [[犯罪経歴証明書]]
* [[パスポート自由度ランキング]]
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* [[シェンゲン協定]] - [[シェンゲン圏]]
* [[ワーキング・ホリデー]]
* [[在留資格]] -- 査証と混同されがちな概念とその制度
* [[移住]]
* [[移民]]