「伊奈忠順」の版間の差分

2017年9月11日 (月) 06:18時点における版

2025年9月15日 (月) 08:02時点における最新版

(8人の利用者による、間の8版が非表示)

1行目:

{{複数の問題|出典の明記=2021年7月|参照方法=2021年7月}}

'''伊奈 忠順'''（いな ただのぶ<ref>名諱の読みは「ただゆき」とも。</ref>、生年不詳? - [[正徳 (日本)|正徳]]2年[[2月29日 (旧暦)|2月29日]]（[[1712年]][[4月4日]]））は、[[江戸時代]]中期の[[関東郡代]]。[[仮名 (通称)|通称]]は半左衛門。関東郡代・[[伊奈忠常]]の次男。兄に[[伊奈忠篤|忠篤]]。室は[[折井正辰]]の娘。嫡男に[[伊奈忠辰|忠辰]]。また、[[伊奈貞長]]の次男・[[伊奈忠逵|忠逵]]を養子とした。

はじめ[[稲葉正篤]]の養子となり、兄・忠篤が死去すると兄の養子として、関東郡代職と[[武蔵国]]赤山（現在の[[埼玉県]][[川口市]]赤山）4000石の[[赤山城]]の遺領を継いだ。[[伊奈氏]]の代々の仕事を引き継ぎ、幕府代官として架橋工事、治水工事を主に行った。大正4年（1915年）、[[従五位]]を追贈された<ref>田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』（近藤出版社、1975年）特旨贈位年表 p.39</ref>。

== 業績 ==

*[[元禄]]11年（[[1698年]]） 深川[[永代橋]]架橋工事

*:5代将軍・[[徳川綱吉|綱吉]]の50歳の誕生日を記念して架けられた。

*元禄13年（[[1700年]]） 深川埋め立て工事

*[[宝永]]元年（[[1704年]]） 江戸本所堤防修築

14 ⟶ 15行目:

宝永4年（1707年）11月に発生した[[宝永大噴火|富士山の噴火]]は実に620年ぶりの空前の大噴火で、現在も富士山の東南斜面に巨大な噴火口を残し、盛り上がった部分は[[宝永山]]と呼ばれる。約半月にも及んだ噴火により、[[小田原藩]]の全領約10万石のうち、6割が大量の火山灰に埋まり、遠く江戸でも2寸積もったという記録が残る大被害となる。

忠順はこの噴火に対し、砂除川浚（すなよけかわざらい）奉行と呼ばれる災害対策の最高責任者に任じられ、主に川底に火山灰が堆積していた[[酒匂川]]の砂除け、堤防修復などに従事した。しかし、もっとも被害の酷かった駿東郡[[足柄]]・御厨地方へ幕府の支援が一切行われず、59もの村が「亡所」とされ、放棄され飢餓に苦しむ者が続出している悲惨な状況となっていた。忠順は酒匂川の改修工事に被害農民を雇い入れることで生活の安定を図り、農地を回復させるための土壌改良にも取り組んだ<ref name="historia20130306">{{Cite web |和書|date= |url=https://web.archive.org/web/20160310135726/http://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/21311/627770/ |title=歴史秘話ヒストリア 江戸の復興代官 奇跡の4年〜巨大地震・富士山噴火からの再生 |publisher=株式会社ワイヤーアクション |accessdate=2016-03-09}}</ref>。忠順は復興開始から4年後、事業半ばで死去。墓所は源長寺（現在の川口市）。戒名は嶺頂院殿松誉泰運哲翁大居士。

忠順の救済により救われた農民たちは、その遺徳を偲び[[慶応]]3年（[[1867年]]）に祠を建て、その後、須走村（現在の[[静岡県]][[駿東郡]][[小山町]]須走）に[[伊奈神社]]を建立し忠順の菩提を弔った。伊奈神社には忠順の像も立つ。[[大正]]時代になって忠順の業績を称えて[[従五位]]下に叙せられている。

なお、記録はないが<ref name="historia20130306" /><ref>公式記録としては『[[徳川実紀]]』の正徳2年5月26日の記述に「関東郡代伊奈半左衛門忠順死ければ。養子十蔵忠逵に家つがしめ。父の原職を命ぜらる。忠順実子造酒之助忠辰幼稚なれば。忠逵が子となすべしと仰下る」とあるのみである。</ref>、「忠順は見て見ぬふりができず、独断で駿府紺屋町の幕府の米倉を開き、1万3000石を村々の飢民へ分配した。結果的に[[目付]]によってこの無断行為を咎められ、忠順は罷免。後に[[切腹]]を命じられ、享年40」とする伝承が駿州御厨地方に残されている。

== 伊奈忠順を題材とした作品 ==

== 関連文献 ==

*[[新田次郎]]『怒る富士(上)』（[[（1980年5月25日、文藝春秋 文春文庫]]上下、改版2007年、ISBN 416-7112361、ISBN）ISBN 416-711237X）9784167112202

**新田次郎『怒る富士(下)』（1980年5月25日、文藝春秋 文春文庫）ISBN 9784167112219

:忠順を主人公に富士山宝永の大噴火を描いた長編[[時代小説]]。[[静岡新聞]]に[[昭和]]47年（[[1972年]]）[[3月1日]]から同48年（[[1973年]]）[[2月8日]]まで連載された。

**新田次郎『怒る富士 新装版(上)』（2007年9月3日、文藝春秋 文春文庫）ISBN 9784167112363

**新田次郎『怒る富士 新装版(下)』（2007年9月10日、文藝春秋 文春文庫）ISBN 9784167112370

*:忠順を主人公に富士山宝永の大噴火を描いた長編[[時代小説]]。『[[静岡新聞]]』に[[昭和]]47年（[[1972年]]）[[3月1日]]から同48年（[[1973年]]）[[2月8日]]まで連載された。

== テレビ番組 ==

* [[歴史秘話ヒストリア]] 江戸の復興代官 奇跡の４年～巨大地震・富士山噴火からの再生（2013年3月6日、NHK）<ref>[https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201303062200001302100 江戸の復興代官 奇跡の４年～巨大地震・富士山噴火からの再生] - NHKアーカイブス 2013年3月6日</ref>

== 脚注 ==

{{Reflist}}

== 関連文献項目 ==

*[[イナハンザー]] - 伊奈忠順をモチーフとした、静岡県の[[ローカルヒーロー]]

== 外部リンク ==

31 ⟶ 41行目:

{{DEFAULTSORT:いな たたのふ}}

[[Category:伊奈氏半十郎家|たたのふ]]

[[Category:稲葉氏]]

[[Category:江戸幕府旗本]]

[[Category:関東郡代]]

[[Category:日本の神 (人物神 江戸時代)]]

[[Category:従五位受位者]]

[[Category:武蔵国の人物]]

[[Category:17世紀生]]

[[Category:1712年没]]