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{{鉄道車両
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▲|形式= JR西日本キヤ143形気動車
| 文字色 = #ffffff
| 画像 = KiYa 143-2 Kanazawa Depot open day 20160821.jpg
| 画像説明 = キヤ143-2ラッセル形態<BR>金沢総合車両所一般公開時に撮影
|編成 = 単行▼
| 運用者 = [[西日本旅客鉄道]]<br/>[[IRいしかわ鉄道]]<br/>[[ハピラインふくい]]
|営業最高速度 = 75 km/h<ref name = "RF637_56" />▼
|
| 製造年 = 2014年 -
|減速度(常用最大)= 3.1 km/h/s<ref name = "RF637_56" />▼
| 製造数 =
|減速度(非常) = 3.1 km/h/s<ref name = "RF637_56" />▼
|全長 = 19,860 mm(事業用形態)<br />26,825 mm(ラッセル形態)<ref name = "RF637_56" />▼
| 軌間 = 1,067 mm([[3フィート6インチ軌間|狭軌]])
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| 起動加速度 =
|
|車体材質 = 普通鋼▼
| 車両
| 自重 = 55.4トン(ラッセル形態/ATS-P搭載車)<br />51.8トン(事業用形態/ATS-P搭載車)<br />55.1トン(ラッセル形態/ATS-P未搭載車)<br />51.5トン(事業用形態/ATS-P未搭載車)<ref name = "RF637_56" /> ▲|軸配置 = Bo - Bo
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| 床面高さ = 1,500 mm
| 台車
|制動方式 = [[電気指令式ブレーキ]](直通予備、救援、耐雪、抑速、機関、排気、応荷重、滑走検知、駐車、凍結防止ブレーキ付)<ref name = "RT210_36" />▼
| 動力伝達方式 = [[気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式#液体式(流体式)|液体式]]
|保安装置 = [[自動列車停止装置#ATS-S改良形(ATS-Sx形)|ATS-SW]]/[[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P]]<ref name = "pressPDF" />▼
|
| 機関出力 = 450 PS/2,100 rpm(連続定格)<ref name = "RF637_56" /> x2<ref name = "RF637_56" />
|備考 = ▼
|備考全幅 = ▼
▲| 制動
▲| 保安装置
}}
[[File:
'''キヤ143形気動車'''(キヤ143がたきどうしゃ)は、[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)の[[事業用車|事業用]][[気動車]]
JR西日本では、JR発足以降でJR他社も含めて最初に新製されるラッセル車両であるとしている。<ref name = "press20140214" />ただし、[[2000年]]には[[北海道旅客鉄道|JR北海道]]が[[モーターカー]]からの仕様変更で、ラッセル/ロータリー兼用除雪車の[[JR北海道DBR600形ディーゼル機関車|DBR600形ディーゼル機関車]]を製造している(ただし2014年7月に廃形式となり現存しない)。▼
== 導入の背景 ==
JR西日本では、[[日本国有鉄道]](国鉄)時代に製作された[[国鉄DD15形ディーゼル機関車|DD15形]]や[[国鉄DE15形ディーゼル機関車|DE15形]]などの除雪用[[ディーゼル機関車]]を除雪目的で使用してきた。
しかし車両が老朽化し[[機関車]]としての使用も減少したこと、さらに機関車を運転できる職員の多くが高齢化して技能の伝承も困難になっていることなどから、他の[[電車]]や[[気動車]]と同様の操作体系を持つ除雪車両が望まれるようになってきた。そこで、JR西日本管内の北陸・山陰方面での除雪用として ▲JR西日本
[[北海道旅客鉄道|JR北海道]]の[[JR北海道キハ141系気動車|キハ143形気動車]]とは無関係で、番号の重複もない。
==
[[ファイル:KiYa 143 35 series test run 20170630.jpg|thumb|試運転で[[JR西日本35系客車|35系客車]]を牽引するキヤ143形事業用形態]]
キヤ143形はラッセル車としての運用が前提であるため、1両単独で運行することを基本とした両運転台形式で設計されている。ただし、冬期以外には除雪翼を取り外して、キヤ143形を2両連結して運転したり、他の事業用車両を挟み込んで[[動力集中方式#プッシュプル方式|プッシュプル形態]]で運転したりすることもできるようになっている<ref name = "RF637_52" />。なお、[[JR西日本35系客車|35系客車]]は本形式による牽引に対応<ref name="response20170604">{{Cite news |date=2017-06-04 |url=https://response.jp/article/2017/06/04/295701.html |title=新しい旧型客車「35系」完成…JR西日本『SLやまぐち号』に導入 |newspaper=[[Response.]] |accessdate=2017-06-05}}</ref>しており、2017年6月11日に試運転が行われた<ref name="railf20170612">{{Cite news |date=2017-06-12 |url=http://railf.jp/news/2017/06/12/170000.html |title=35系客車の回送にキヤ143形が使用される|newspaper=railf.jp |accessdate=2017-08-15}}</ref>。▼
=== 車体 ===
除雪目的の車両であるため、[[台枠]]に鋼製厚板を採用して、構体を堅牢な構造としている。除雪時の視界を確保し、床下への雪の影響を考慮して、床面高さは既存の旅客車と比べて高い1,500ミリメートルに設定している。車体側面は直断面形状を採用しており、床面が高いこともあって[[車両限界]]で許される限度まで上部を高くしている。屋上機器の設置と室内空間を考慮した屋根高さとして、雪が屋根に溜まりにくいように半径5,000ミリメートルの曲線形状を屋根に付けてある<ref name = "RT210_38" />。車体は乗務員室、機器室、機関室に区分されている<ref name = "RT210_38" />。
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車体の中央部は機関室となっており、[[内燃機関|エンジン]]、[[トランスミッション|変速機]]、[[ラジエーター]]が配置されている。除雪時に駆動系統が雪の影響を極力受けないようにすることを目的とした配置がされており、床を貫いて設置されている機器以外は床板を張って、防水・防塵対策がなされている。機関室と乗務員室の間は自閉式の開き戸が設置され、防音対策も行われている。万一の際の非常事態を乗務員室に通報できるように、機関室の両側面にSOSスイッチが設けられている。両側面中央には集光を目的とした窓が設置されている。また側面に開閉可能な吸気用大型ルーバーが設置されており、[[ルーバー]]を跳ね上げることで可搬式の機材を機器室へ搬出入ができるようになっている。屋根にも機関室・機器室部に複数の点検ぶたが設けられており、クレーンを用いて車内の機器を搬出入できるようになっている。ラジエーターは両端部に設置され、駅停車時にプラットホームにいる旅客に影響しないように、床下で斜め下向きに排気するようになっている。機関室には火災に備えて、人体に無害な高圧ウォーターミストを噴射する消火装置が設置されている<ref name = "RT210_38-39" />。
▲
== 主要機器 ==▼
駆動用エンジンは、[[JR西日本キハ189系気動車|キハ189系気動車]]と同じ[[コモンレール]]式[[ディーゼルエンジン]]である、[[小松製作所]]製SA6D140HE-2(450 [[馬力|ps]]/2,100 rpm)を2台搭載している<ref name = "RT210_36" /><ref name = "RT210_39" /><ref name = "RP890_74" />。機関や変速機が故障しても、最低限の移動が可能なように構成し、また既に運用されている車両と可能な限り部品の共通化を図っている<ref name = "RT210_39" />。動力伝達装置は[[液体変速機]]のTDCBN-33-2001型(変速3段・直結1段、ブレーキクラッチ付)を2台搭載している<ref name = "RT210_36" />。▼
▲=== 主要機器 ===
▲駆動用エンジンは、[[JR西日本キハ189系気動車|キハ189系気動車]]と同じ[[コモンレール]]式[[ディーゼルエンジン]]である、[[小松製作所]]製[[DMF15HZ系エンジン|SA6D140HE-
ブレーキシステムは、キハ189系気動車と同じシステム構成の[[電気指令式ブレーキ]]で、台車単位でブレーキ力制御を行って冗長性を確保する設計となっている<ref name = "RT210_39" />。直通予備、救援、耐雪、抑速、機関、排気、応荷重、滑走検知、駐車、凍結防止ブレーキの機能を備えている<ref name = "RT210_36" />。
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最高運転速度は75 [[キロメートル毎時|km/h]]、最高設計速度は80 km/hで、5 km/hでの定速度制御機能を持っている。勾配起動条件として、35[[パーミル]]勾配で150トンを牽引して起動可能となっている。重連またはプッシュプル時は300トンまで牽引可能としている<ref name = "RT210_36" />。
=== 除雪機能 ===
従来の除雪車両では、[[単線]]区間用と[[複線]]区間用でそれぞれ専用のラッセル車両を用意していたが、キヤ143形ではラッセル翼を可変翼とし、乗務員室のラッセル操作卓からのスイッチ操作で翼の形態を変更して、単線区間と複線区間の両方に対応できるようになっている<ref name = "RT210_39" />。単線区間では雪を両側に掻き出し、複線区間では進行方向左側に雪を掻き出す。単線形態時には進行方向前方の複線用ラッセル翼を前方に折りたたみ、前方ラッセル装置後部に搭載された小型の両側翼を展開する事で両側に排雪可の状態を作り出す事で車体側面の雪を両側に跳ね飛ばし、後ろ側のラッセル翼を大きく外側に展開する事で前方のラッセル翼とフランジャーで除雪した雪を線路両側に排出する<ref name = "RF637_55" /><ref group="注">この方式は、新潟トランシス製の
除雪能力は最大で1時間当たり10万立方メートル(比重0.20時)で、最大除雪幅は4,500ミリメートルである。また3,500ミリメートルに半開した状態で固定する機能がある。地点検知により自動でラッセル翼を開閉する機構は準備工事となっている<ref name = "RT210_36" />。
==
2016年10月19日にキヤ143-3が[[福知山電車区]]豊岡支所に配置され<ref name="railfan201707">
2017年1月26日から27日にかけて新潟トランシスで落成したキヤ143-6・7が松任駅へ甲種輸送されている<ref name = "railf20170128">
さらに2017年3月15日にキヤ143-8が後藤総合車両所に、同月21日にはキヤ143-9が敦賀地域鉄道部敦賀運転センターに、それぞれ配置された<ref name="railfan201707"/>。
2017年度冬期から除雪運用を開始している。
2024年3月16日、北陸新幹線の[[金沢駅]] - [[敦賀駅]]間延伸開業に伴い、北陸本線の同駅間が第三セクターの[[IRいしかわ鉄道]]と[[ハピラインふくい]]へ移管され、敦賀地域鉄道部敦賀運転センターに所属していたキヤ143-9がIRいしかわ鉄道へ、キヤ143-5がハピラインふくいへ譲渡された。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|2|refs=▼
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
<ref name = "RF637_52">[[#RF637|「キヤ143形事業用内燃動車」p.52]]</ref>
<ref name = "RF637_53">[[#RF637|「キヤ143形事業用内燃動車」p.53]]</ref>
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<ref name = "RT210_39-40">[[#RT210|「JR西日本143形事業用内燃動車の新製について」pp.39 - 40]]</ref>
<ref name = "RF639-2">[[#RF639-2|『JR旅客会社の車両配置表』p.45]]</ref>
<ref name = "press20140214">{{Cite web
<ref name = "pressPDF">{{Cite web
<ref name = "railf20140221">{{Cite web
<ref name = "railf20140313">{{Cite web
<ref name = "railf20161004">{{Cite web
}}
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== 関連項目 ==
{{Commonscat}}
* [[モーターカー#投排雪保守用車(ENR‐1000)|ENR-1000形投排雪保守用車]] - 新潟トランシス製の投排雪用[[モーターカー]]。
* [[JR北海道キヤ291形気動車]] - JR北海道がENR-1000を基に開発した除雪用気動車。
== 外部リンク ==
* 編集長敬白:[https://web.archive.org/web/20190502135707/http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2014/03/12_12.html 新型ラッセル車輌キヤ143形登場。 - 鉄道ホビダス](インターネットアーカイブ)
{{JR西日本の車両リスト}}
{{リダイレクトの所属カテゴリ
|redirect1=ハピラインふくいキヤ143形気動車
|1-1=ハピラインふくい
|1-2=JR西日本から譲渡された鉄道車両
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{{デフォルトソート:しえいああるにしにほんきや143}}
[[Category:西日本旅客鉄道の気動車|143]]
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