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{{参照方法|date=2017年6月}}
{{Expand English|date=2024年6月}}
{{人類学}}
'''社会化'''(しゃかいか)とは、[[社会学]]の用語で、[[子供]]や、その[[社会]]の新規参入者が、その社会の[[文化]]、特に[[価値]]と[[規範]]を身に付けることを指す。[[遺伝子]]により先天的に獲得されたものではなく、[[学習]]により後天的に獲得されるものである。
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: [[幼児]]期から、[[児童]]期にかけて行われる。[[言語]]や、基本的な[[生活習慣]]を習得する。この時期に社会化された事柄は、その後の学習の基本になる。社会化の担い手は、主に[[家族]]である。特に、生まれたばかりの赤ん坊にとっての社会とは、母親との1対1の関係であり、そこから次第に社会が広がっていく。
; 第2次社会化
: 児童期後期から、成熟期にかけて行なわれる。この時期には、[[社会的役割]]を習得する。社会化の担い手は、家族を離れ、[[学校]]・[[同世代]]・[[メディア (媒体)|メディア]]・[[職場]]となる。
== 社会化の具体例 ==
* ある[[児童]]が
*一方で、[[ジェンダー * ある児童が
== 社会化に関する諸理論 ==
社会化の形成過程について、社会学や[[心理学]]の分野から、多くの[[理論]]が提出されている。社会化の本質は価値の[[内面化]]であり、自分が[[尊敬]]する誰かを[[模倣]]したい、という点では共通している。
{{see|エミール・デュルケーム|ブリエル・タルド|ピエール・ボヴェ|マウラー|ジャン・ピアジェ}}
===
社会的拘束理論を提唱し、社会化とは、価値の習得だとする。社会化には、社会化される人を強制する契機(拘束)があり、モデルは社会化される人にとって尊敬の対象であると同時に、社会の[[権威]]の代理であるとする。
===
モデル即ち社会化の担い手に、社会化される自発的契機があるとする。社会化される人と社会化の担い手は、必ずしも上下関係ではなく、同等の[[個人]]による相互行為だと説く。
===
ジンメルは「社会 ({{Lang-de-short|Gesellschaft}}) 」を固定的な実体ではなく、人間相互の関係が一定の形式をとって展開する過程として理解した{{Sfn|社会学史|2020|p=64}}。彼はこの過程を「社会化」と名づけ、社会的現象は人間同士の相互作用が織りなす「形式 ({{Lang-de-short|Form}}) 」のなかに現れると考えた{{Sfn|思索|2004|p=59}}。「競争」「支配と服従」「分業」「社交」などがこうした形式の具体例である{{Sfn|思索|2004|pages=59-60}}。
=== ピエール・ボヴェ ===
デュルケームの理論を、ピアジェに繋いでいる。
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ボヴェによれば、模倣だけでは義務感は発生しない。義務感を発生させるためには、[[命令]]・[[禁止]]が必要である。ただし、命令者の権威は社会にはなく、むしろ命令者と禁止者の間の、[[感情]]的な[[依存]]関係が重要だとした。また、子供にとって究極の尊敬の対象は[[親]]であり、親に対する感情は[[愛]]と[[恐怖]]の両面を抱くとした。
===
模倣が社会化の基礎であるとした上で、行動様式の習得には、モデルと学習者の[[同一化]]を要するとの立場を取る。
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親による[[しつけ]]である。親との間には、既に愛着は成立しているから、発達の基礎となる同一化は素通りできる。子供は、親なくして存在できないのであり、自己中心と親による保護を両立させるために、親と同一化し、親の価値観を受容する。また、子供は、尊敬する人格が有する行動様式を、望ましいとする。
===
概ねボヴェの学説を肯定しながらも、尊敬の対象が一方的である場合は、義務感しか発生させないのに対して、相互的である場合には、[[善]]となるとする。
== 社会化の規範性 ==
エミール・デュルケームは、著書
* [[行為]]や[[思考]]の型は、個人に外在するだけでなく、命令と強制の力を付与されている。
* 自分の[[意思]]で同調するときには、強制を感じることはない。
* [[抵抗]]しようとした途端に、強制は[[事実]]となって現れる。
* 例えば[[服装]]の[[慣習]]を無視したら、人々の嘲笑・反感を招く。[[刑罰]]に近い効果もある。
* 産業経営者が、前世紀的な工程や方法で労働させることを禁ずるものはないが、敢えてそれをしたら、[[破産]]を招くだけである。
* 首尾よく突破できても、闘争は避けられない。
* 最終的に勝ったとしても、反対や抵抗により拘束力は感じられる。
* 現実的には教育現場が崩壊している[[教育困難校]]が存在しているなかで、そのような子どもの学力や将来を閉ざすような学校の文化に対しても社会化が要請される場合がある。それに抵抗するためには、対人関係が解消されることもある。
==
{{reflist}}
==
* [[作田啓一]]「価値の社会学」岩波書店(1972年)
* [[アンソニー・ギデンズ]]「社会学」而立書房(1992年)
* エミール・デュルケーム「社会学的方法の規準」岩波書店(1978年)
* {{Cite book|和書
| author1 = [[松野弘]]
| author2 = [[仲川秀樹]]
| author3 = 池田祥英
| author4 = 挟本佳代
| author5 = 早川洋行
| author6 = 清水強志
| author7 = 井腰圭介
| author8 = 飯島祐介
| author9 = [[鈴木健之 (社会学者)|鈴木健之]]
| author10 = [[小谷敏]]
| author11 = [[伊奈正人]]
| author12 = 大黒正伸
| author13 = 浜田栄司
| author14 = 渕元哲
| editor = 松野弘
| title = 社会学史入門―黎明期から現代的展開まで―
| publisher = [[ミネルヴァ書房]]
| series =
| volume =
| edition = 初版
| date =2020 <!-- 2020-04-20 -->
| pages =
| isbn = 978-4-623-08829-4
| ref = {{Sfnref|社会学史|2020}}
}}
* {{Cite book|和書
| author = 岡澤憲一郎
| editor =
| title = ゲオルク・ジンメルの思索―社会学と哲学―
| publisher = 文化書房博文社
| series =
| volume =
| edition = 初版
| date =2004 <!-- 2004-09-10 -->
| pages =
| isbn = 4-8301-1019-8
| ref = {{Sfnref|思索|2004}}
}}
== 関連項目 ==
* [[社会規範]]
* [[洗脳]]
* [[教化]]
* [[無意図教育]]
* [[非公式教育]]
* [[内面化]]
* [[搾取]]
{{社会学}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:しやかいか}}
[[Category:社会
[[Category:発達心理学]]
[[Category:マインドコントロール]]
[[Category:教育学]]
[[Category:同調]]
[[Category:逸脱 (社会学)]]
[[Category:教育問題]]
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