「言語的相対論」の版間の差分
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== 概要 ==
この理論は何度も提案され、[[議論]]を重ねてきた。時には
ウォーフの理論が批判されるのは、ウォーフが「言語が思考を決定付ける」と主張していると見なされているからであろう。しかし、ウォーフ自身は「言語は認識に影響を与える思考の'''習性'''を提供する」としか述べていない。
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その正当性の議論は別にして、言語的相対論は[[言語学]]以外で具体的な応用を生んでいる。[[ダグラス・エンゲルバート]]は、この理論の影響もあって、[[ハイパーテキスト]]、[[グラフィカルユーザインターフェース]]、[[マウス (コンピュータ)|マウス]]など様々なものを発明した。
[[ドイツ語圏]]ではヨハン・ゴットフリート・ヘルダーが、その『近代ドイツ文学断想
== 来歴 ==
言語が[[思考]]の基盤であるとする立場はもともと[[18世紀]]後半から[[19世紀]]前半にかけて[[ドイツ]]の[[思想家]]達が深めたものであった。早いものでは[[イマヌエル・カント]]、[[ヨハン・ゲオルク・ハーマン]]、[[ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー]]の著作において言及がみられる。擁護論は[[ヴィルヘルム・フォン・フンボルト]]の論文
彼らの見解は次第にドイツを越えて流布していった。[[カール・ケレーニイ]]は1976年の『ディオニューソス』の英語訳を次のような序文で紹介した
{{Quotation|The interdependence of thought and speech makes it clear that languages are not so much a means of expressing truth that has already been established, but are a means of discovering truth that was previously unknown. Their diversity is a diversity not of sounds and signs but of ways of looking at the world.<ref>{{cite book |author=Kerényi, Carl; translated from the German by Ralph Manheim |title=Dionysos: Archetypal Image of Indestructible Life |publisher=Princeton University Press |___location=Princeton, N.J |year=1996 |pages=xxxi}}</ref><br>思考と発話とが相互依存することからわかるように、言語は、既成の事実を捉えるための手段というよりも、未知なる真実を見つけ出すための手段である。その多様性は、音声や記号ではなく世界観の多様性なのだ。}}
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言語と思考のこのような関係にたいする身近な認識を積極的に深めたものとしての SWH の起源は、[[フランツ・ボアズ]](合衆国における[[人類学]]の父)の研究にあるとされる。ボアズは19世紀後半にドイツで修学している。[[エルンスト・マッハ]]や[[ルートヴィッヒ・ボルツマン]]らが感覚の[[生理学]]を研究していたころである。
[[哲学]]の潮流としてはカントの著作にたいする関心が大きく復興していた。カントによると、[[知識]]とは、個人がめいめいに携わる具体的な[[認識|認識行為]]の結果である。個人にとっての「現実」とは、常に流動している感覚要素を一時的・一部的に抽出した直感的なものであり、これを自身の
同じ事物を異なる現実として解釈させるこの知的範型の相違と、同じ事物を異なる形式で解釈させる言語の文法カテゴリーの相違との類似にボアズは着目した。研究材料は彼が合衆国にて出会った数々の[[アメリカ・インディアン諸語]]である。これらは皆、当時の西洋[[言語学]]における一般の研究対象であった[[セム語派]]や[[インド・ヨーロッパ語族]]のものとは大きく異なる性格をしていた。ボアズはそのなかで、生活様式と言語様式というものが地域によってどれだけ多様であるか、そして両者の間にどれだけ強い結びつきがあるのかを悟った。ここに、人々の生活観は言語に反映されるのだという彼の結論が生まれた。
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== 批判 ==
現代の言語学(言語科学)の主流派である[[ノーム・チョムスキー]]や[[スティーブン・ピンカー]]など[[生成文法]]に近い立場からは、
たとえば[[スティーブン・ピンカー|ピンカー]]『
== 関連著作 ==
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== 脚注 ==
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[[Category:エポニム]]
[[Category:認識]]
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