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'''匿名・流動型犯罪グループ'''(とくめい・りゅうどうがたはんざいグループ)は、2023年7月に[[警察庁]]が「[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]を通じて募集する[[闇バイト]]など緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団」と定義した[[組織犯罪]]の類型<ref name=":0" /><ref>{{Cite web |url=https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240221-OYTNT50050/ |title=新形態「匿名・流動型犯罪グループ」に対応…福岡県警が「組織犯罪捜査課」組織横断で新部署 |website=読売新聞オンライン|date=2024-02-21 |access-date=2024-03-03}}</ref><ref>{{Cite web |last=日本放送協会 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230703/k10014117011000.html |title=闇バイトなど対策強化 警察庁 全国の警察に組織運営見直し指示 | NHK |website=NHKニュース |publisher=NHK|date=2023-07-03|access-date=2024-03-03|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230712191045/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230703/k10014117011000.html|archivedate=2023-07-12}}</ref>。略称は'''匿流'''<ref name=":1">{{Cite web |url=https://www.asahi.com/articles/AST5F1V0ST5FUTIL00QM.html |title=「匿流対策が治安の最重要課題」 司令塔会議で警察庁長官が指示:朝日新聞 |website=朝日新聞 |date=2025-05-13 |access-date=2025-05-13}}</ref>(とくりゅう、'''トクリュウ''')<ref name="fnn20240323">{{Cite web|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032100395 |title=犯罪集団「トクリュウ」摘発数が1万人超え治安上の脅威に 暴力団組員数は過去最少更新 大麻検挙数は過去最多で覚せい剤上回る |publisher=時事ドットコムニュース|accessdate=2024-05-25|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240525005458/https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032100395|archivedate=2024-05-25}}</ref>。
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2024年3月には、2021‐2024年の3年間の累計で検挙された人数が1万人を超え、捜査が強化されている<ref name="fnn20240323" />。内訳は[[特殊詐欺]]が6170人、薬物営利犯が2292人、犯罪インフラ犯(旅券偽造、不法就労助長、[[地下銀行]]など)が1721人、[[闇バイト]]関係(強盗や窃盗などの実行犯)が195人となっている<ref name="fnn20240323" />。また、匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような集団の中には暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの結節点の役割を果たす者が存在するとみられている<ref name=":0" />。またSNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺、[[インターネットバンキング]]の不正送金、クレジットカードの不正利用に関与しているとみられている<ref name=":1" />。一部報道によると、特定の[[デモ活動]]への[[サクラ (おとり)|サクラ]]の動員にも関与しているという<ref>{{Cite web |author=松岡紳顕 |authorlink=松岡紳顕|url=https://www.fnn.jp/articles/-/773852?display=full |title=【独自】「サクラは800人超」反ワクチンデモで動員を証言…背景に歌舞伎町拠点の“トクリュウ”か【ファクトチェック調査報道】|FNNプライムオンライン |website=FNNプライムオンライン |date=2024-10-17 |access-date=2025-04-16}}</ref>。
 
2025年4月に公表された警察庁のまとめでは、2024年の1年で摘発人数が全国で1万105人となった。そのうち実行役を集める「リクルーター」や指示役らは1011人で、末端の実行役はほぼ使い捨てで9094人であった。罪種別の内訳では、銀行口座の譲渡など[[犯罪による収益の移転防止に関する法律|犯罪収益移転防止法]]違反が3293人、詐欺が2655人、窃盗が991人、麻薬取締法違反などの薬物事犯が917人である<ref>{{Cite web |url=https://mainichi.jp/articles/20250402/k00/00m/040/257000c |title=トクリュウ1万105人摘発 9割は実行役 警察庁、2024年まとめ |website=毎日新聞|access-date=2025-04-03}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE012QG0R00C25A4000000/ |title=投資詐欺、カジノ…伸びるトクリュウの触手、摘発1万人 |website=日本経済新聞|date=2025-04-03 |access-date=2025-04-03}}</ref>。
 
== 主な事件 ==
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{{Main|ルフィ広域強盗事件}}
2022年5月から2023年1月にかけて、日本全国で発生した一連の強盗および強盗殺人事件。指示役たちはフィリピンを拠点として、[[インスタントメッセンジャー]]「[[テレグラム]]」を使い日本国内の実行役を募り、指示していた。トクリュウの代表的なケースとされる<ref>{{Cite web|和書|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81451|title=ルフィ事件が警察に与えた「トクリュウ」の衝撃、SNSで離合集散する闇バイト摘発に壁…特殊詐欺から殺人まで(1/6)|publisher=JBpress|date=2024-06-11|accessdate=2024-07-26}}</ref>。
 
=== 海田町事件 ===
{{Main|海田町事件}}
2022年6月、[[広島県]][[安芸郡 (広島県)|安芸郡]][[海田町]]で発生した強盗致死・監禁・死体遺棄事件。被害者男性は投資金の返還を名目に監禁され、長時間にわたり暴行を受け死亡したとされ、遺体は未発見である。事件では「回収屋」や「釈迦憎」を名乗るグループがSNS等を通じて威圧・脅迫を繰り返し、暴力的に債権回収を行っていたと報道された<ref>{{Cite news|publisher=RCC中国放送|title=“遺体なき強盗致死事件”7人送検 「あばら全部折ってくからな」音声などの証拠を積み上げ|url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rcc/329333?display=1|date=2023-02-15|access-date=2025-08-09}}</ref><ref>{{Cite news|publisher=文春オンライン|title=《遺体なき強盗致死事件》「あばら全部折ってくからな」…回収屋“釈迦憎”が会社経営者を“16時間集団リンチ”|url=https://bunshun.jp/articles/-/60818|date=2023-02-17|access-date=2025-08-09}}</ref>。
 
主犯格の今泉俊太は2024年10月10日に[[広島地方裁判所]]で無期懲役判決を受け、2025年7月22日に[[広島高等裁判所]]で控訴棄却となり判決が確定した<ref>{{Cite news|publisher=広島ホームテレビ|title=「上等だこら、なめんじゃねえぞ」不規則発言繰り返し退廷 広島高裁は主犯格の被告の控訴棄却|url=https://www.home-tv.co.jp/news/content/?news_id=20250722311655|date=2025-07-22|access-date=2025-08-09}}</ref>。
 
この事件では、X(旧Twitter)を利用した匿名アカウント群による組織的な脅迫や虚偽情報の流布も確認されており、こうした匿名性と流動性を持つネットワーク構造、実行役・補助役を分担して反復継続的に違法行為を行う形態は、警察庁が定義する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の特徴と合致すると考えられている<ref>{{Cite web|title=非弁行為とは|url=https://www.toben.or.jp/know/iinkai/hiben/dishonesty/|website=東京弁護士会|access-date=2025-08-09}}</ref>。
 
=== 首都圏連続強盗事件 ===
{{Main|首都圏連続強盗事件}}
2024年8月以降、[[関東地方]]で発生している一連の強盗および強盗殺人事件。闇バイトを実行役としている。
 
=== 2025年の抗争事件 ===
[[2025年]]、名古屋のグループが大阪のグループを襲撃する手前で検挙される事件が続発。名古屋のメンバーが[[凶器準備集合罪]]などで逮捕され<ref>{{Cite web |url=https://www.sankei.com/article/20250604-C42Y7JJIHVLJPOITSA5FHUVNPQ/ |title=ホストがトクリュウ「ブラック・アウト」に資金提供か 大阪府警、名古屋のクラブ家宅捜索 |publisher=産経新聞 |date=2025-06-04 |accessdate=2025-06-13}}</ref>、同年6月には警察に任意の解散届を提出した。なお、警察は解散の確証がないとして、今後もグループの捜査を続けるとしている<ref>{{Cite web |url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2025061200829&g=soc |title=「ブラックアウト」が解散届 愛知拠点のトクリュウ―大阪府警 |publisher=時事通信 |date=2025-06-12 |accessdate=2025-06-13}}</ref>。
 
== 警察の対応 ==
2025年に第31代[[警察庁長官]]に就任した[[楠芳伸]]は就任会見においてトクリュウ対策の強化を表明した<ref name="日経20250127">{{Cite web ja |date=2025-01-27 |title=トクリュウの違法ビジネスを解体 警察庁長官、楠芳伸氏 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE261UN0W5A120C2000000/ |access-date=2025-04-19 |website=日本経済新聞}}</ref>。
 
=== 全国的な特殊詐欺連合捜査体制の構築 ===
2024年4月から、他の都道府県警察から依頼を受けて管轄区域内で捜査を遂行する「特殊詐欺連合捜査班」を、各都道府県警察に構築<ref name="npa">{{Cite web |url=https://www.npa.go.jp/hakusyo/r06/pdf/02_tokushu.pdf |title=匿名・流動型犯罪グループに対する 警察の取組|publisher=警察庁|access-date=2025-04-27}}</ref>。また、警視庁約200名、埼玉県警約70名、千葉県警約70名、神奈川県警約60名、愛知県警約30名、大阪府警約40名、福岡県警約25名からなる計500名の専従の捜査員を配置<ref>{{Cite web |first=外崎 晃彦 |last=橋本 昌宗|url=https://www.sankei.com/article/20231213-H67A65EDENJ5JLBRKYOY53DVVM/ |title=全国に特殊詐欺「連合捜査班」設置 来年4月 捜査効率化で摘発強化website=産経新聞:産経ニュース |date=2023-12-13 |access-date=2025-04-29}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE13AWE0T11C23A2000000/ |title=連合捜査班「TAIT」で全国一丸に 特殊詐欺巡り警察庁 |website=日本経済新聞 |date=2023-12-13 |access-date=2025-04-29}}</ref>。また、2025年10月から警察庁にトクリュウ対策の司令塔となる情報分析室を設置。さらに捜査の主力を担う警視庁の対策本部には、46道府県警から捜査員200人を出向させることとした<ref>{{Cite web |url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20250522-OYT1T50073/ |title=「トクリュウ」対策強化、首謀者摘発へ警察庁に司令塔…警視庁には全国から捜査員200人出向 |publisher=読売新聞 |date=2025-05-22 |accessdate=2025-07-18}}</ref>。
 
=== 新部署の設置 ===
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警察は、闇バイトに応募した人から「指示役に個人情報を知られ、脅されている」などと相談を受けた場合、本人や家族を保護するとしている。そのような相談を受け保護したケースは、2024年11月末までに全国で125件に上る。そのうち、7割が10代から20代である一方、50代以上も1割いる<ref>{{Cite news|和書|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241205/k10014659231000.html|title=闇バイト 警察が応募者や家族を保護したケース 全国で125件 応募は中高年層にも広がる|newspaper=NHK|date=2024-12-05|accessdate=2024-12-08}}</ref>。
 
== 出典 脚注==
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===出典===
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