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== 映画 ==
『[[人間の証明#映画|人間の証明]]』に続き、森村誠一が[[角川春樹]]の依頼により映画化を前提として執筆した原作を、[[角川書店]]が映画化。原作には無かった主人公と自衛隊との戦闘シーンが作品後半に追加された。この作品がデビュー作となる[[薬師丸ひろ子]]の「お父さん、怖いよ。何か来るよ。大勢でお父さんを殺しに来るよ」の[[台詞]]はTV[[コマーシャルメッセージ|CM]]で流された。当時の[[自衛隊]]は映画やドラマに協力することはなく、ましてや、『野性の証明』では自衛隊は敵として描かれていることもあり、しかも、反体制的な人間が多かった当時の映画側から自衛隊へ撮影協力を依頼することもなかった<ref name="nakagawa2014">[[中川右介]]『すべては、角川映画からはじまった。』[[KADOKAWA]]〈デジタルWalker〉、2014年10月27日。([[Kindle]]版、{{ASIN|B00OLCSKSC}}、33%、「第八回 「野性の証明」その2」、2019年3月10日ダウンロード)</ref>。結局、最後の戦闘シーンのロケは日本では不可能だったので、角川映画は自前で
{{Infobox Film
|作品名=野性の証明
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|監督=[[佐藤純彌]]
|製作総指揮=
|製作={{Ubl|[[角川春樹]]
|脚本=[[高田宏治]]
|原作=[[森村誠一]]
|出演者={{Ubl|[[高倉健]]
|音楽=[[大野雄二]]
|主題歌=[[町田義人]]「[[戦士の休息]]」
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|編集=[[鍋島惇]]
|製作会社 = [[角川映画|角川春樹事務所]]
|配給={{ubl|[[日本ヘラルド映画]]
|公開={{flagicon|JPN}} [[1978年]][[10月7日]]
|上映時間=143分
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|制作費=
|興行収入=
|配給収入=21億8000万円<ref>[[中川右介]]『角川映画 1976-1986 日本を変えた10年』[[KADOKAWA]]、2014年、280頁。
|前作=
|次作=
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==== 味沢と関わる主な人たち ====
* 越智美佐子(姉)・ 越智朋子(妹)(二役):[[中野良子]]
*: 美佐子は冒頭で登山に訪れた時に運悪く虐殺事件に巻き込まれて死ぬ。 朋子は羽代新報の記者。同僚の事故死に疑いを持ち、数日後知り合った味沢と一緒に調査をするようになる。
* 北野隆正:[[夏八木勲|夏木勲]]
*: 宮野署の捜査課。虐殺事件の捜査にあたり、味沢が事件に関わっていると疑い事件直後に自衛隊を辞めた彼を調べ始める。その後羽代市に訪れて単独で捜査を続け、味沢こそが部落民の大量虐殺事件の犯人だと決めつけるに至り、彼を逮捕することに執念を燃やす。
* 大場一成:[[三國連太郎]]([[特別出演]])
*: 大場グループの会長。多岐にわたる事業を展開し羽代市の発展に貢献してきた大物。味沢の上司によると羽代市の住民の約8割の人が大場グループの恩恵を受けているとのこと。子供の剣道教室の指導などもしており、市民に慕われているほどの名士だが、地元暴力団の黒幕としての顔を持つ地方ボス。
*: 味沢の類まれな資質に惚れこんでおり、自分の部下に引き入れようと画策する。
* 大場成明(なるあき):[[舘ひろし]]
*: 一成の息子。姉が3人おり自身は末っ子。姉たちとは違い、一成から跡取りとして溺愛されている。甘やかされてきた分、気に食わない事があると逆上しやすい気質で、学校を出ると父親のコネで一成の会社に見習いで入ったが、学生気分が抜けきれず、社会人でありながら暴走族のリーダーとして暴走行為を繰り返している。
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* 吉田県警本部長:[[渡辺文雄 (俳優)|渡辺文雄]]
*: 冒頭の[[磐梯高原|裏磐梯]]の米大使山荘で起きた立てこもり事件について野村に状況を説明する。
* 鈴木警察庁長官:[[
* 宮野署事務員:[[桑野ゆみ]]
* 機動隊隊長:[[金親保雄]]
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==== 頼子と関わる人たち ====
* 長井孫一(まごいち):[[江角英明]]
*: 頼子の父。発狂して部落で大量殺人を引き起こし、最後に自らの娘である頼子も手にかけようとしたが、その
* 頼子の担任の先生:[[佐藤オリエ]]
*: 頼子の学校での様子で彼女の予知能力などを心配して味沢に助言する。
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=== 製作 ===
* 脚本には「[[日本の首領|日本の首領シリーズ]]」(1977年ー1978年)を観た角川春樹が[[高田宏治]]を起用した<ref>[
* 演技経験の無かった薬師丸は、映画の撮影の前に『[[敵か?味方か?3対3]]』でドラマ・デビューし演技経験を積んだ<ref name="DOCUMENT1981">{{Cite journal|和書|year=1981|title=1978 - 1981 HIROKO DOCUMENT|journal=[[バラエティ (日本の雑誌)|バラエティ]]|issue=[[1981年]]([[昭和]]56年)[[8月]]臨時増刊号|page=73|publisher=[[角川書店]]}}</ref>。ドラマの後半の撮影と映画が重なり忙しい日々を過ごした<ref name="DOCUMENT1981" />。
* たくさんの[[戦車]]や[[ヘリコプター]]が登場する演習シーンは、[[アメリカ]]・[[カリフォルニア州]]の[[陸軍州兵]]が訓練施設として使用する[[パソロブレス (カリフォルニア州)|パソロブレス]]の[[:en:Camp Roberts, California|キャンプ・ロバーツ]]で撮影された。これは作品の内容の関係で、防衛庁(当時)から協力を断られた事情があったため<ref name=":0">{{Cite web|date=2023-01-04|title=『ゴジラ』ではやられ役、悪の集団に描かれることも…昭和の自衛隊イメージ|website=MAMOR-WEB|url=https://mamor-web.jp/_ct/17544128|access-date=2025-09-12|author=相澤輝昭}}</ref>(この当時、自衛隊に悪感情を抱く地域が多い時代でもあった)で、劇中で使用されている[[戦車]]は自衛隊は導入していない[[M48パットン|M48A5]]であり、また自衛隊機として登場するヘリコプターの中には、当時は自衛隊への導入前であった[[CH-47 (航空機)|CH-47]]大型輸送ヘリや、現実には導入していない[[ベル 206]]が登場しているが、マーキングは当時の[[陸上自衛隊]]仕様に塗り替えられている。
* クライマックスのトロッコ・シーンの撮影については[[コロラド州]]の山奥にある[[アラモサ郡|アラモサ]]へ移動して行なわれている。しかし高倉健と薬師丸ひろ子がトンネルから出てくるラストシーンの部分だけは日本国内の[[静岡県]][[井川]]にある[[大井川鉄道井川線]]のトンネルを使っての撮影だった。
* 高倉健と暴走族の乱闘シーンや運送会社で刑事役の夏木勲が梅宮辰夫とのシーンは富山県の[[高岡市]]で、ラストの特殊工作隊とのクライマックス・シーンの一部撮影は長野県の[[菅平]]でそれぞれ行なわれている。
* 架空の地方都市([[福島県]]羽代市)のロケはおもに[[石川県]][[金沢市]]で行われた。一場面に登場するパレードは同市の[[金沢百万石まつり]]の模様である。
* 撮影されたもののカットされた没シーンがDVD版のクレジットで見ることができる<ref group="注釈">自宅での味沢の裁縫シーンや、頼子がぬいぐるみを持って味沢を驚かすシーン、頼子と朋子がブランコを漕ぐシーン、味沢と朋子と渡会がちゃぶ台で三人で座るシーンなどである。</ref>。
==== 野性軍団 ====
自衛隊員役の[[エキストラ]]を一般から募集した<ref name="kinema19780901" />。100メートルの[[ウサギ跳び]]やフィールドアスレチック競技などによる選考を行い、全国の応募者から選ばれた合格者200人は「野性軍団」と呼ばれ、ロケ地であるアメリカへの旅費と小遣い10万円が支給された<ref name="kinema19780901" />。頭を[[丸刈り#一般的な丸刈りの長さの基準|五分刈り]]にした野性軍団は、[[千葉県]]にある陸上自衛隊・[[第1空挺団 (陸上自衛隊)|第1空挺団]]への体験入隊を経た後渡米し、キャンプ・ロバーツでの撮影に臨んだ<ref name=":0" /><ref name="kinema19780901">{{Cite journal|和書 |author=冷泉さとし|year = 1978|title = 「野性の証明」アメリカ・ロケ 体験[[ルポルタージュ|ルポ]] |journal = [[キネマ旬報]] |issue = [[1978年]]([[昭和]]53年)[[9月]]上旬号|pages = 102 - 105 |publisher = [[キネマ旬報社]]}}</ref>。
=== 逸話 ===
* 1978年9月29日の20:00からフジテレビ系「[[金曜ファミリーアワー]]」の番組枠で「野性の証明スペシャル ネバー・ギブアップ! 決死の上陸大作戦!」という映画公開直前スペシャル番組が制作され放送された。出演者は高倉健、中野良子、薬師丸ひろ子、夏木勲、松方弘樹、角川春樹。またその1週間後の同年10月6日には、「[[ゴールデン洋画劇場]]」(当時は金曜21:00 - 22:54)で本作公開を記念し、『[[人間の証明#映画|人間の証明]]』を20:00 - 22:48の拡大版で放送した。
* 1979年12月14日に[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の「ゴールデン洋画劇場」枠で地上波初放送されたが、「完全ノーカット」との宣伝にもかかわらず約20ヶ所の音声が削除された。削除されたのは「[[部落]]」という語だが、本作では単に「[[集落]]」の意味合いであり、「[[被差別部落]]」のことではない。近年の地上波放映(主に深夜放送)では、「部落」という台詞箇所はノーカットでオンエアされている。
* 劇中で特殊工作隊員をはじめとする陸上自衛隊員
* オープニングの特殊部隊訓練で味沢をはじめ隊員たちが「レンジャー」と叫んでいるが、実際の陸上自衛隊の[[レンジャー (陸上自衛隊)|レンジャー]]訓練においても同様に命令に対して「レンジャー」と応答するように指導されている。<!-- 作中の特殊工作員訓練のシーンは上映当時の部隊レンジャー教育そのものである。但しアドバイザーとして米軍士官が参加しているのは、米軍が指導育成したレンジャー教育創設時の模様を参考としていると思われる。 尚、参考までに部隊レンジャー教育で死亡者を出したのは昭和
* 2000年にDVD版、2011年にDVDデジタル・リマスター版、2012年に[[Blu-ray Disc]]版がリリースされている。
* 本作の後半に高倉、薬師丸、夏木による逃避行のシーンがあるが、撮影中高倉が演出上の理由から薬師丸と2人で逃げる案への変更を希望した。しかし夏木が反論して話し合った末結局予定通り3人での逃避行となった<ref>週刊現代2021年5月1日、5月8日号「昭和の怪物」研究その114 夏八木勲「病気を隠し、最後まで演じ続けた」p34</ref>。
* 夏木はアメリカロケの際、出番がない時も疲弊したエキストラたちに声をかけるなど、常に周りの役者やスタッフに気を配った。そして自身の撮影中は、毎朝ランニングと筋トレを欠かさないルーティンを続け、そんな夏木を主演の高倉は眩しそうに見つめ、製作者の角川は映画『[[白昼の死角]]』の主演に抜擢したという<ref>『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P146</ref>。
=== サウンドトラック ===
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==== アルバム ====
=== 映像ソフト ===
{| class="wikitable" style="font-size:small;"
!発売日
!レーベル
310行目:
|-
|2016年1月29日
| rowspan="
|DVD
|DABA-91104
319行目:
|DAXA-91504
|「角川映画 THE BEST」
|-
|2024年11月8日
|[[Ultra HD|4K Ultra HD Blu-ray]]
Blu-ray+CD
|DAXA-5934
|4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray【HDR版】
|}
=== 参考文献 ===
* 佐藤純彌、聞き手:野村正昭 + 増當竜也『映画監督 佐藤純彌 映画 (シネマ) よ憤怒の河を渉れ』[[DU BOOKS]](原著2018年11月23日)。
{{佐藤純彌監督作品}}
328 ⟶ 334行目:
== テレビドラマ ==
{{節スタブ}}
=== 1979年版 ===
{{基礎情報 テレビ番組
| 番組名 = 森村誠一シリーズII 野性の証明
| ジャンル = [[テレビドラマ]]
| 原作 = [[森村誠一]]
| 原案 =
| 企画 = 角川春樹事務所<br />[[毎日放送|MBS]]
| 構成 =
| 脚本 = [[長谷川公之]]<br />[[須崎勝弥]]
| 総監督 =
| 監督 = [[井上昭]]<br />[[永野靖忠]]<br />[[村山新治]]
| 演出 =
| 出演者 = [[林隆三]]<br />[[三輪里香]]<br />[[浅茅陽子]]<br />[[佐藤慶]]<br />[[小川眞由美|小川真由美]]
| 声の出演 =
| テーマ曲作者 =
| 作曲 =
| OPテーマ =
| EDテーマ = [[町田義人]] 『[[戦士の休息]]』
<!--「製作」ヘッダ-->
| 製作総指揮 =
| プロデューサー = [[桑原秀郎]]<br />[[岡田裕介]]<br />青木民男(MBS)
| 制作プロデューサー =
| 撮影監督 = 工藤矩雄
| 撮影体制 =
| 編集 = [[菅野順吉]]
| 制作 = [[東映]]、[[毎日放送|MBS]]
| 製作 =
<!--「放送」ヘッダ-->
| ヘッダ = 放送 <!--既定値は「放送」-->
| ネット配信 =
| 放送チャンネル = [[毎日放送|MBS]]、[[TBSテレビジョン|TBS]]
| 映像形式 =
| 音声形式 = [[モノラル放送]]
| 放送国 = {{JP}}
| 放送期間 = [[1979年]][[1月6日]] – [[3月31日]]
| 放送時間 = 22:00 - 22:55
| 放送枠 = 森村誠一シリーズII
| 放送分 = 55
| 放送回数 = 13回
| 外部リンク =
| 外部リンク名 = <!--既定値は「公式ウェブサイト」-->
<!--「番組年表」ヘッダ-->
| 前作 = [[青春の証明]]
| 次作 =
| 関連番組 =
<!--脚注-->
| 特記事項 =
}}
[[毎日放送]]ほかで下記の期間放送。
* 放映期間:1979年1月6日 - 1979年3月31日 (全13話)
* 放送時間:毎週土曜日 22:00 - 22:55(「森村誠一シリーズII」として)
==== 原作や映画版との違い ====
* 主人公・味沢は自衛隊出身者ではない。ストーリーに自衛隊は一切登場しない。
340 ⟶ 396行目:
* 大場一成は映画版のような地方帝国確立をもくろむ人物ではなく、典型的な悪人。長男・成太にある程度権力を移譲していた。
* 味沢の過去を追うのは北野刑事ではなく村長刑事。北野は村長の助手的立場。
* 羽代市は[[野性の証明#映画|角川映画版]]ほど大場の支配度は強くなく、羽代署も一部をのぞいて公正な捜査を行う。
* 原作では味沢が軟腐病に罹って発狂するが、映画では病気に罹らず発狂もしない。
==== スタッフ ====
* 企画:
* 脚本:[[長谷川公之]]、[[須崎勝弥]]
▲* 音楽:[[広瀬量平]]
* 監督:[[井上昭]]、[[永野靖忠]]、[[村山新治]]
* 助監督:[[原田昌樹]]、高橋正治
* 撮影:工藤矩雄
* 照明:酒井信雄
* 録音:岩田広一
* 編集:[[菅野順吉]]
* 美術:藤田博
* 三味線指導:原田夏木
* 音楽:[[広瀬量平]]
* 制作:[[生田篤]]、[[小迫進]]
* プロデューサー:[[桑原秀郎]]、[[岡田裕介]]、[[青木民男]]([[毎日放送]])
* 製作:毎日放送、東映
==== キャスト ====
* [[林隆三]]:味沢岳史
* [[三輪里香]]:長井頼子
401 ⟶ 464行目:
* [[天知茂]](友情出演):乾(東京地検検事)
==== 主題歌 ====
「[[戦士の休息]]」[[町田義人]]
==== 映像ソフト ====
{| class="wikitable"
!発売日
419 ⟶ 482行目:
|}
====前後番組====
{{前後番組|
放送局=[[TBSテレビ|TBS]]系|
425 ⟶ 488行目:
番組名=森村誠一シリーズII・野性の証明|
前番組=[[森村誠一]]シリーズII・[[青春の証明]]|
次番組=[[高木彬光]]シリーズ・[[検事霧島三郎#
{{TBS土曜10時枠の連続ドラマ}}
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[[Category:日本の推理小説]]
[[Category:小説 野性時代]]
[[Category:1978年の小説]]
[[Category:陰謀を題材とした作品]]
[[Category:1978年の映画]]
[[Category:日本のサスペンス映画]]
[[Category:日本のアクション映画]]
[[Category:佐藤純彌の監督映画]]
[[Category:自衛隊を題材とした作品]]
[[Category:自衛隊を題材とした映画作品]]
[[Category:自衛隊を題材としたテレビドラマ]]
[[Category:森村誠一原作の映画作品]]
[[Category:大野雄二の作曲映画]]
470 ⟶ 536行目:
[[Category:上田市で製作された映画作品]]
[[Category:カリフォルニア州で製作された映画作品]]
[[Category:角川映画の映画作品]]
[[Category:東映配給の映画]]
[[Category:1979年のテレビドラマ]]
476 ⟶ 542行目:
[[Category:東映のテレビドラマ]]
[[Category:森村誠一原作のテレビドラマ]]
[[Category:角川映画のテレビドラマ]]
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