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'''列車愛称'''(れっしゃあいしょう)とは、[[列車]]に付けられる[[愛称]]のことである。似たものに[[鉄道車両愛称|車両愛称]]があるが、車両愛称が[[鉄道車両]]そのものやそのグループ(形式)を象徴する物として付けられるのに対し、列車愛称はあくまで列車([[国土交通省]]の[[鉄道に関する技術上の基準を定める省令]]では「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両」のこと。運行されるに当たっての呼称といえる)につけられるところが異なる。
 
類似のものとして、座席指定などの[[高速バス]]などの[[バス (交通機関)|バス]]にも、列車と同様の愛称名が付けられることがある。本項では[[#バスの愛称|バスの愛称]]についても一部記述する。
 
== 列車愛称の意義 ==
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* [[植物]]の名前:「[[あやめ (列車)|あやめ]]」・「[[さくら (新幹線)|さくら]]」・「[[はまなす (列車)|はまなす]]」など
* [[人間|人物]]の名前や愛称:「[[いさぶろう・しんぺい|いさぶろう]]」・「[[かいおう]]」・「[[こまち (列車)|こまち]]」など
* [[神話]]関連:「[[カムイ (列車)|カムイ]]」・「[[スーパーまつかぜ (列車)|くにびき]]」・「[[やくも]]」など
* 物語・文学から:「[[指宿のたまて箱]]」・「[[踊り子 (列車)|踊り子]]」・「[[みすず (列車)|みすず]]」など
* 地名
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***「[[紀伊 (列車)|紀伊]]」、「[[南紀 (列車)|紀州]]」、「[[きのくに (列車)|きのくに]]」のように異称別称含め全部が、それも同時期に別個の列車愛称となった例もある。
* [[天体]]関連:「[[銀河 (列車)|銀河]]」・「[[彗星 (列車)|彗星]]」・「[[北斗星 (列車)|北斗星]]」など
** 性格上、古くから[[夜行列車]]に多く使われている。ただし「[[北斗 (列車)|北斗]]」など例外もある。
* 物体・[[現象]]名:「[[こだま (列車)|こだま]]」・「[[ひかり (列車)|ひかり]]」・「[[やまびこ (列車)|やまびこ]]」など
* 列車の性格を示したもの:「[[九州横断特急]]」・「[[成田エクスプレス]]」・「[[信越 (列車)|らくらくホームトレイン]]」など
* 空港に関連するもの:「[[スカイライナー]]」「[[成田エクスプレス]]」「[[エアポート (列車)|エアポート]]」「ミュースカイ」など
* 願望などから:「[[のぞみ (列車)|のぞみ]]」・「[[はるか (列車)|はるか]]」・「[[へいわ]]」など
* 使用車両の愛称:「[[篠栗線|赤い快速]]」・「[[ソニック (列車)|ソニック]]」・「[[はやとの風]]」など
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主に特急列車においては、既存の愛称の前に接頭辞を加えた列車愛称が設定されることがある。
 
特に「'''スーパー'''」を冠した列車は国鉄時代から多数設定された。主に上級の設備を持つ車両で運転されるもの(「[[やくも|スーパーやくも]]」・「[[サンダーバード (列車)|スーパー雷鳥]]」など)、新型車両で運転されるもの(「[[こまち (列車)|スーパーこまち]]」・「[[つがる (列車)|スーパーはつかり]]」など)を区別するために用いられたが、中には「[[スーパーまつかぜ]]」のように新規設定の愛称であるにもかかわらず付された例もある。しかし使用車両の統一や合理化のために「スーパー」を冠する列車は減少傾向にあり、2024年現在では[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)の「[[スーパーはくと]]」「[[いなば (列車)|スーパーいなば]]」(以上[[智頭急行]]直通)「[[スーパーまつかぜ]]」「[[おき (列車)|スーパーおき]]」、[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の「[[つがる (列車)|スーパーつがる]]」、小田急電鉄の「[[はこね (列車)|スーパーはこね]]」の6列車が運行されるのみとなっている。
 
しかし使用車両の統一や合理化のために「スーパー」を冠する列車は減少傾向にあり、2021年現在ではJR西日本の「スーパーはくと」「スーパーいなば」(以上[[智頭急行]]直通)「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」、小田急電鉄の「スーパーはこね」の5列車が運行されるのみとなっている。
 
また「[[とき (列車)|Maxとき]]」・「[[さざなみ (列車)|ビューさざなみ]]」のように使用車両の愛称を付したものや、「[[ひたち (列車)|ウィークエンドフレッシュひたち]]」・「[[あかぎ (列車)|スワローあかぎ]]」のように列車の性質やサービスを冠した例もある。
 
[[東海旅客鉄道]](JR東海)では管内在来線特急列車の名称の大半に「ワイドビュー」の接頭辞を付けていたが、現在はなくなっている。
 
JR西日本では通勤特急と称する列車を「らくラク○○」の名前で統一し、運行している。大阪駅 - [[姫路駅]]間で運行を開始した「[[らくラクはりま]]」に端を発し、以降他線区にも波及した。また、朝夕[[ラッシュ時]]に運行される特急列車や座席指定列車ではその時間帯を表す接頭辞がつけられる。[[京浜急行電鉄]]の「[[ウィング号 (京急)|モーニング・ウィング号]]」や[[四国旅客鉄道]](JR四国)の「[[いしづち (列車)|ミッドナイトEXP高松・松山]]」などがある。
 
[[小田急ロマンスカー]]では[[小田急60000形電車|60000形「MSE」]]を使用し[[東京メトロ千代田線]]内を発着する列車に対し「メトロ○○」の名前がつけられている。
 
=== 選定に際して ===
基本的には、運行会社の裁量に任せられることから関係者以外では窺い知ることが出来ない。しかし、[[日本国有鉄道|旧国鉄]]が命名した列車名では「かつて国鉄では列車名の命名には[[日本国有鉄道の地方機関|鉄道管理局]]を2局以上跨って走行する列車と基本的に支社・管理局内のみの走行する列車とで、命名基準・命名者が決められていた。但し規定は存在しないが暗黙の決めごとであった。」とされ、1.読み易く発音し易い事、2.文字にして書き易く短くて簡単な事、3.覚え易く他の愛称と紛らわしくない事の三点に留意する事としていた。ただし、[[新幹線]]では日本の代表的な名称・交通の王者を象徴する斬新な物を、[[列車]]では[[鳥]]や[[花]]ないしは自然現象に由来するもの、[[夜行列車]]・[[寝台列車]]では[[天体]]に依拠するもの、[[急行列車]](急行)では運転区間に関係する有名な山・川・海・地名・史跡や地方の特色ある自然現象が用いられ、おおむね[[東京]]から見て下り方向の目的地に関連した物があてがわれる事例が多かった。この点については、[[#日本における沿革|下記]]も参照されたい。
 
列車の新設に際して一般公募で名称を募集する事例があるが、この場合必ずしも得票数が1位の候補が採用されるわけではない。たとえば、「[[北斗星_(列車)|北斗星]]」の公募第1位は「北海」であったとされる。[[東海道新幹線]]の列車愛称も「ひかり」は1位であったが、「こだま」は10位であった。[[東北新幹線]]開通以前に[[常磐線]]を経由して[[上野駅]][[青森駅]]を結んでいた特急列車に使用されていた「みちのく」は、同新幹線開業及びその延伸前に何度か行われた愛称公募で常に得票数第1位になっているが、2016年現在使用されていない。
 
なお、一般公募で高い応募数を得ながら採用されない愛称として「いなづま」という名前がある。東海道本線特急列車に使われていた「ひびき」は[[東海道新幹線]]の第三の愛称候補に挙げられることもあったが、後に[[騒音]]・[[振動]]問題が取りざたされるようになってからは沙汰やみとなった。
 
「[[はやて (列車)|はやて]]」も「はやて(疾風)」が農作物に被害をもたらす[[やませ|風]]や[[疫病]]の異名でもあるためといわれこの例に近かったが、[[2002年]][[平成]]14年)の東北新幹線]][[八戸駅|八戸]]延伸に際して[[東京駅]] - [[八戸駅]]間直通列車の名称で使用されることとなった<ref group="注">2020年現在は[[北海道新幹線]]に直通する盛岡以北の列車に使用。</ref>
 
また、著名の場所・物であるにもかかわらず、語呂・語感が悪いなどの理由で採用されなかった愛称も存在するといわれる。<!--事例明示を避けるための言い回し。こうしないと延々と訳の分からないものが挙がってくるおそれがあるため。-->
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しかし、[[#戦後の展開|後述]]するが[[1968年]]実施の[[ヨンサントオ|国鉄ダイヤ改正]]により、[[座席指定席]]管理[[システム]]である[[マルス_(システム)|マルスシステム]]の拡充の障害となることから、こういった事例は解消された。
 
:ただし、指定席を連結しない列車においては重複が存在した。例えば「[[ふじさん|あさぎり]]」が[[御殿場線]]直通[[小田急ロマンスカー|小田急連絡急行]]と[[日田彦山線]][[急行列車]]とで長らく使用されていたほか、「[[ライナー列車|ホームライナー]]」が[[北海道旅客鉄道|JR]](JR北海道]]と[[九州旅客鉄道|JR]](JR九州]]で同時に運転されていた。
 
また、「[[しおかぜ_(列車)|しおかぜ]]」や「[[いそかぜ (列車)|いそかぜ]]」の様に当初は[[海水浴]]臨時列車として使用され、[[ダイヤグラム#定期列車・定期便|定期列車]]の初例として[[山陽本線優等列車沿革|山陽本線特急列車]]から前者は[[予讃線|予讃(本)線]]特急列車→[[瀬戸大橋線]]直通予讃線[[エル特急]]、後者は[[いそかぜ_(列車)|山陰対九州連絡特急列車]]となった事例もある。
 
この他、公募による列車愛称選定の結果として全く運行路線区にゆかりがないものの、著名であった列車名が復活する形になる場合もある。例としては「[[白鳥_(列車)|白鳥]]」が[[津軽海峡線]][[スーパー白鳥|直通特急列車]]の愛称となったほか、[[九州]]方面の[[ブルートレイン (日本)|寝台特急列車]]で使用されていた「[[はやぶさ (列車)|はやぶさ]]」が東北新幹線の[[はやぶさ (新幹線)|最速達列車の愛称]]として復活した。
 
=== 非公式の愛称 ===
列車に付けられる愛称の中には[[鉄道事業者]]が公式に定めたものではなく、利用者や[[鉄道ファン]]の間で非公式に付けられたものが定着したものもある。例えば、[[東海道本線]]東京駅 - [[大垣駅]]間で運行されていた夜行快速列車「[[ムーンライトながら]]」は、以前は特に愛称がつけられておらず“'''大垣夜行'''”と呼ばれていた。国鉄では[[座席指定席|指定席]]車両を連結したもの以外で[[ダイヤグラム#定期列車・定期便|定期]][[普通列車]]・[[快速列車]]に愛称を付けることはまれであったため、利用者が列車を指す際に便宜上用いたものが根付いたとされる。同じように[[紀勢本線]]のそれは“'''太公望列車・新宮夜行'''”、[[中央本線]]のそれは“'''山男列車'''・'''山岳夜行'''・'''[[上諏訪駅|上諏訪]]夜行'''<ref group="注">ダイヤ改正により運転区間の変化があることから愛称も「上諏訪夜行」「松本夜行」などと変化がある。</ref>”などと呼ばれていた。
 
また国鉄本社が正式に認めた愛称のほかに支局が独自に愛称を付けたものの当局側で認められなかったため、改称を余儀なくされた例もある。たとえば、広島[[鉄道管理局]]では東京 - [[広島駅]]間を運行する急行列車に一時“'''ひばり'''”の愛称を公募で付けていたが、前述のように鳥類の愛称は特急列車に付けるのが原則となっていたため後に「[[あさかぜ (列車)|安芸]]」と改称させられた。
 
近い例として、大阪鉄道管理局が東京駅 - [[大阪駅]]間を運行する夜行急行列車のうち1往復に「'''流星'''」の愛称を与えたが、これは後に「[[東海道本線優等列車沿革|彗星]]」が正式な名称となっている。ただし列車番号による解釈の相違により意見が異なり、同時に大阪鉄道管理局が与えた「[[東海道本線優等列車沿革|明星]]」がこれにあたるともされている。
 
=== 貨物列車の愛称 ===
列車愛称は主に[[旅客列車]]に対して付けられるが、[[貨物列車]]にも存在する。
* 貨物列車に列車愛称が付与された最初の例は[[1959年]] (昭和34年) 11月に運転を開始した[[日本のコンテナ輸送#鉄道コンテナ輸送|コンテナ貨物]]列車「[[たから (列車)|たから]]」である。「たから」の愛称は顧客(流通事業者)への[[鉄道貨物輸送]]のイメージアップのために採用され、最後尾の[[車掌車]]には電照式のテールマークが取り付けられた。その後、コンテナ取扱列車の運転拡大に伴い「西たから」(梅田駅 - [[吉塚駅]]間)や「ほっかい」([[隅田川駅]] - [[東札幌駅 (国鉄)|東札幌駅]]間)、「こがね」(隅田川駅 - [[万代駅]]間)等の愛称が登場<ref group="注">後に[[東北新幹線]]の列車愛称となる「はやて」はこの時梅田駅 - [[広島駅]]・[[福岡港駅]]間の列車名として採用されている。</ref> 、更に[[鮮魚貨物列車]]として「とびうお」([[幡生駅]] - [[東京市場駅]]間)、「ぎんりん」([[博多港駅]] - [[大阪市場駅]]間)等も登場した。
* その後、コンテナ取扱列車の増加や鮮魚貨物列車の全廃などがあり、貨物列車への愛称付与は途絶えていたが、[[1982年11月15日国鉄ダイヤ改正]]に伴い、事業者向けへの営業上の観点から高速貨物・拠点間直行貨物列車に愛称付与を再開する事となり、事業者から列車愛称を公募した。この時「たから」「こがね」等が復活した他、かつて特急・急行の愛称だった「いしかり」、旧国名・地名由来の「仙台」、地方色を反映した「しゃちほこ」などが登場した。
 
== 日本における沿革 ==
日本における列車愛称は、[[戦前]]の[[1929年]](昭和4年)9月に[[日本国有鉄道|鉄道省]]が公募の結果に基き、[[東京駅]] - [[下関駅]]間を運行する[[列車|特急列車]]2往復にそれぞれ「'''[[富士 (列車)|富士(ふじ)]]'''」・「'''[[さくら (列車)|櫻(さくら)]]'''」という愛称を与えたことが始まりとされる。[[戦中]]は一時中断したが、国鉄においては[[戦後]]の[[1949年]](昭和24年)に特急・急行・準急それぞれで「'''[[特別急行列車#太平洋戦争後の復活とその後の展開|へいわ]]'''」・「'''[[銀河 (列車)|銀河]]'''」・「'''[[踊り子 (列車)#終戦直後の湘南準急「いでゆ」「いこい」|いでゆ]]'''」といった列車愛称を復活させ、その後国鉄・[[私鉄]]ともに日本全国へ広まっていった。
 
=== 戦前期における展開 ===
* [[1929年]](昭和4年)9月:[[昭和金融恐慌]]など[[関東大震災]]以来の不況が続き、利用客が減少していた[[鉄道]]に活況をもたらそうと、[[日本国有鉄道|鉄道省]]は当時[[欧米]]で広まっていた「'''列車愛称'''」を日本の列車にもつけて親しみを持ってもらおうと考えた。その結果、当時日本で[[東京駅]] - [[下関駅]]間の2往復(1・2列車と3・4列車)しか存在せず、文字どおり「'''特別'''」な存在であった「'''[[特別急行列車]]'''」(特急列車)に、一般公募によって愛称をつけることになった。
** 公募には19,902票がよせられ、1位の「富士(ふじ)」が1,007票、2位の「燕(つばめ)」が882票、3位の「櫻(さくら)」が834票の順であった(以後10位まで、「旭(あさひ)」、「隼(はやぶさ)」、「鳩(はと)」、「大和(やまと)」、「鴎(かもめ)」、「千鳥(ちどり)」、「疾風(はやて)」と続く)。そして[[一等車]]と[[二等車]]のみで編成され、当時「日本一の豪華列車」であった1・2列車に1位の「'''[[富士 (列車)|富士(ふじ)]]'''」、[[普通車 (鉄道車両)|三等車]]のみで編成され、どちらかといえば「大衆向け」と言うべき3・4列車に3位の「'''[[さくら (列車)|櫻(さくら)]]'''」の愛称を与えた。なお2位の「'''[[つばめ (列車)|燕(つばめ)]]'''」は、翌[[1930年]](昭和5年)10月に運行を開始し、「[[超特急]]」とよばれる程の高速運転を行ったことで有名となった特急列車の名称に採用された。また3 - 10位の愛称についても、その後日本支配下の[[朝鮮半島]]・[[中国大陸]]において運行された列車や、戦前から戦後に日本で設定された列車の名前にすべて採用された。なお投票の中には、「弥次喜多」・「気早の江戸っ子」といった奇をてらったものもあった。
** 以後、戦前の国鉄が[[優等列車]]につけた愛称は[[1937年]](昭和12年)7月に運転を開始した特急列車「'''[[かもめ (列車)|&#40407;(かもめ)]]'''」のみにとどまり、[[急行列車]]には愛称の付けられることなく終戦を迎えるが、[[臨時列車|臨時]][[快速列車|準急行・快速度列車]]を含む[[普通列車]]では地方局が宣伝のために独自に命名したものがある。以下に事例を述べる。<ref>「水郷めぐり」以外は1934年(昭和9年)夏季発行の東京鉄道局パンフレット「暑熱を越えて」による。</ref>
*** [[湘南]]・[[江島]]向け([[藤沢駅|藤沢]]行き)の[[海水浴]]客用の列車には「'''かもめ'''」。
*** 千葉地区(現在の[[内房線]]・[[外房線]]など)の[[海水浴]]客用の列車には「'''[[さざなみ (列車)|漣(さざなみ)]]'''」・「'''[[わかしお (列車)|潮(うしお)]]'''」
*** [[成田線]]の水郷観光用の「'''[[あやめ (列車)|水郷めぐり]]'''」
*** [[中央本線]]の[[登山]]客・[[観光]]客用の列車に[[あずさ (列車)|「'''高嶺(たかね)'''」・「'''アルプス'''」]]
*** [[信越本線]]の避暑客用の列車に[[あさま|「'''高原列車'''」・「'''涼風(すずかぜ)'''」]]
** 私鉄では[[大阪電気軌道|大阪電気軌道]]・参宮急行電鉄]]の[[近鉄特急#伊勢神宮との関わりについて|「'''いすず'''」・「'''神風'''」]]、[[伊勢電気鉄道]]の[[近鉄特急史#伊勢電気鉄道|「'''はつひ'''」・「'''かみち'''」]]、[[京阪電気鉄道]]の「'''[[京阪60形電車|びわこ]]'''」、[[愛知電気鉄道]]の「'''[[名鉄特急#超特急「あさひ」|あさひ]]'''」・「'''[[伊那路 (列車)#天龍号|天龍]]'''」などといった愛称が、いずれも[[昭和]]前期に付けられていた。なかには、[[阪和電気鉄道]]・[[南海電気鉄道|南海鉄道]]の両社から[[紀勢本線|紀勢西線]]に直通する[[温泉]]客用の列車に付けられた「'''[[黒潮号]]'''」という、国鉄・私鉄をまたぐ愛称も存在した。
** さらに、当時日本の領土であった[[朝鮮]]や、日本の[[傀儡政権]]だ影響下にあったと言われる[[満国]](日本本土を「[[内地]]」というのに対し、これらの地域は「[[外地]]」とよばれた)の[[南満鉄道]]を走る列車にも、「'''[[あかつき (列車)|あかつき]]'''」・「'''[[ひかり (列車)|ひかり]]'''」・「'''[[のぞみ (列車)|のぞみ]]'''」・[[華北交通#優等列車|「'''大陸'''」・「'''興亜'''」]]・「'''[[朝日#あさひ|あさひ]]'''」<!--「あさひ (列車)」は「朝日」へのリダイレクト-->・「'''[[あじあ (列車)|あじあ]]'''」・「'''[[つばめ (列車)#南満鉄道「はと」|はと]]'''」といった[[日本語]]による愛称が付けられていた。これには、日本人支配を現地人に植え付ける目的もあったとされる。[[日中戦争]]によって[[南京市|南京]]・[[上海市|上海]]といった地域も日本軍が占領すると、それら地域の鉄道を運営した日本の国策会社である[[華中鉄道]]では、南京 - 上海間に急行列車を走らせ、それに「'''天馬'''」・「'''飛龍'''」といった愛称をつけた。
* [[1944年]](昭和19年)4月:「富士」を最後に特急列車が全廃、他の愛称列車もこのころまでには戦況の悪化で全廃され、内地での列車愛称は消滅した。
* [[1945年]](昭和20年)8月:「ひかり」・「興亜」を最後に、外地での列車愛称も敗戦によって消滅。
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=== 戦後の展開 ===
* [[1949年]](昭和24年)6月:[[公共企業体]][[日本国有鉄道]]発足。
* 1949年(昭和24年)9月:戦後の混乱も次第に落ち着いてきたこの時、特急列車を東京 - [[大阪駅]]間で1往復復活させることになった。愛称は暫定的に加賀山国鉄副総裁(初代[[総裁]]の[[下山定則]]は[[下山事件]]で亡くなったため。9月に第2代総裁となる)が[[平和]]を願うという意味で定めた「'''[[特別急行列車#太平洋戦争後の復活とその後の展開|へいわ]]'''」とされたが、後に公募によって正式な愛称を決定することにした。またこの時、同区間を運行していた夜行急行列車1往復にも「'''[[銀河 (列車)|銀河]]'''」という愛称が付けられ、初めて本土の国鉄で急行列車に愛称が付けられた。
* 1949年(昭和24年)10月:東京駅 - [[伊東駅]]間を運行する週末運行の温泉客向け[[準急列車]]に、「'''[[踊り子 (列車)#戦後|いでゆ]]'''」と命名。国鉄準急列車初の愛称となった。2ヵ月後には、その姉妹列車として「'''[[踊り子 (列車)#戦後|いこい]]'''」も設定されている。
* [[1950年]](昭和25年)1月:「へいわ」を予定どおり公募結果に基いて「'''[[つばめ (列車)#東海道本線特急「つばめ」「はと」|つばめ]]'''」と改称。戦前の優等列車の名前が復活(戦後は[[平仮名]]書きだが)した。同年6月には、その姉妹列車として「'''[[つばめ (列車)#東海道本線特急「つばめ」「はと」|はと]]'''」も新設された。
* 1950年(昭和25年)ごろ:国鉄快速列車でも、「'''[[あかぎ (列車)|あかぎ]]'''」などの愛称をつけた列車が登場。
* 1950年(昭和25年)11月:急行列車1213往復に「'''[[東海道本線優等列車沿革#戦後復興時代|明星]]'''」・「彗星」・「阿蘇」・「霧島」・「雲仙」・「筑紫」・「安芸」・「大和」・「みちのく」・「北斗」・「青葉」・「'''[[日本海 (列車)|日本海]]'''」など・「北陸」の愛称を与える。以後、特急列車・急行列車に関しては原則として愛称が付けられるようになり、準急列車・快速列車[[普通列車]]でも[[観光地]]列車には愛称が付けられることが多くなった。
** なお特急列車には日本を象徴するものか[[鳥]]の名前が、[[ダイヤグラム#昼行と夜行|昼行]]急行列車(昼行と夜行の両時間帯にまたがるものも)には地域名や名物が、[[夜行列車|夜行]]急行列車には[[天体]]名が付けられることが原則となっていった。
* [[1957年]](昭和32年)10月:準急列車「'''[[東海 (列車)|東海]]'''」が運行を開始。同列車は、「○○1号」・「○○2号」といった番号による列車識別を初めて採用した(それまでは、各列車ごとに別の愛称をつけて区分していた)。
* [[1958年]](昭和33年)11月:[[国鉄151系・161系・181系電車|151系]][[特急形車両|特急形電車]]を用いた「'''[[こだま (列車)#東海道本線電車特急「こだま」|こだま]]'''」が運行を開始。これに際して、公募を行い以下の名称が佳作として選された。この列車名は後に特急列車に用いることになった。
**「はやぶさ」・「さくら」・「平和」・「初雁」(はつかり)
* [[1961年]](昭和36年)10月:「'''[[サンロクトオ|サン・ロク・トオ]]'''」と呼ばれる大規模[[ダイヤ改正]]により列車が大増発されるが、このころより愛称の原則も崩れ始めた。その原因としては、以下のことなどがあげられる。
*# 同一区間を走る同一種類・車両の列車でもそれぞれ別の愛称を与えることが多かった([[東海道本線優等列車沿革|東海道急行列車]]の「なにわ」・「よど」・「せっつ」・・・・・など)。
*# 1.により愛称の数が増えたことから、愛称の題材も尽きてきていた。
*# 地域からの要望による命名が増えた。
*: また、発車する順に番号をつけて識別する方法も、前述した「東海」以来次第に試みられて来ていたが、「第1○○」・「第2○○」とする方法と、「○○1号」・「○○2号」とする方法が混在したりして(基本的には[[座席指定席|指定席]]のある列車は「第1○○」方式、そうでないものは「○○1号」方式とされたが、徹底されてはおらず例外が多数存在した)いて、さらに命名基準の統一も図られていなかった。
* [[1964年]](昭和39年)10月:[[東海道新幹線]]が開通する。この時、[[新幹線]]だけでなく[[在来線]]での以後の愛称付け方針にも重要な影響を与える画期的な命名法が同路線ではとられた。それは下記のようなものである。
*# 愛称を速達タイプ(当時の呼称としては[[超特急]])のものに「'''[[ひかり (列車)|ひかり]]'''」、[[各駅停車]]タイプ(当時としては[[特別急行列車|特急]])のものに「'''[[こだま (列車)|こだま]]'''」というように、最小限識別に必要なものだけに絞る。
*# 列車個々の識別を「○○号」方式による番号識別とし、発車順に下り列車には[[奇数]]番号、上り列車には[[偶数]]番号をつける。
* [[1966年]](昭和41年)3月:運行距離が100kmを超える準急列車がこの時すべて急行列車に格上げされることになったが、それにより若干の運行距離の違いで準急・急行がわかれ、結果的に別の愛称を増やさなければならない事態(「[[ふじかわ (列車)|富士川]]」→「富士川」・「白糸」など)や、上りと下りで同一愛称でも準急・急行と種別が異なる事態(「[[つやま (列車)|ひるぜん]]」など)も発生し、無秩序・不統一による氾濫で、国鉄在来線列車の愛称の数はこのころピークを迎えた。
* [[1968年]](昭和43年)10月:「'''[[ヨンサントオ|ヨン・サン・トオ]]'''」と呼ばれる大ダイヤ改正が行われ、国鉄では準急列車が消滅し、代わって特急列車・急行列車の大増発が図られた。そして国鉄では[[マルス (システム)|マルス]]による指定券販売の支障になる事から氾濫を極めた列車愛称の整理をこれを機に断行し、列車愛称はそれまでの359種類から91種類減らした268種類になった。その整理方法は以下のとおりである。
*# 似通った運行系統・区間ごとに、できるだけ愛称をまとめる。
*# 同一区間を走る列車に関して、特急列車では昼行と夜行で原則として別愛称、急行列車では同一愛称をつける。
*# [[ダイヤグラム#定期列車・定期便|定期列車]]と季節列車(この時誕生した[[臨時列車]]の呼び名)は原則として同一愛称とする。(それまでは別愛称をつけたり、「臨時わかさ」のように「臨時」をつけて区分したこともあった。)
*# 同一系統・種類の列車が多数(1往復超)存在する場合、発車時刻順に番号によって区分する。それまでは、「第1○○」・「第2○○」と「○○1号」・「○○2号」のように2種類の番号区分があったが、後者に統一する。なお新幹線のように「下り奇数・上り偶数」とはまだせず、上り下り両方に1号・2号が存在した。また、その系統の列車が一つしか存在しない場合は番号は付けられなかった。
*# 臨時列車には、「○○51号」と50番台で始まる列車番号を発車時刻順につける。
* [[1974年]](昭和49年)7月:指定席のある普通列車に愛称がつけられ、マルスでの予約が可能になる。
* [[1978年]](昭和53年)10月:「'''[[ゴーサントオ|ゴー・サン・トオ]]'''」よばれる大規模ダイヤ改正を実施。在来線でも新幹線同様、識別番号を「下り奇数・上り偶数」とした。この方式は在来線でも[[1967年]](昭和42年)10月から1968年(昭和43年)10月に特急列車「[[くろしお (列車)|くろしお]]」で試験的に導入されたことがあったが、かえって混乱を招いたため取りやめられていた。この時の国鉄の列車愛称は262種類である。
*: この後は、急行列車の特急格上げによる統合などで愛称は減って行き、[[国鉄分割民営化]]直前の[[1986年]](昭和61年)11月ダイヤ改正時には132種類となった。<!--
*: 現在では優等列車の愛称はさらに減っている。-->
* [[1988年]](昭和63年)以降:「スーパー○○」や「おはよう○○」・「ホームタウン○○」など冠詞を重ねるものも存在するようになった。この場合、「[[JR九州783系電車|ハイパーサルーン]]」など車両愛称を重ねる事例もあったため、総体的に優等列車愛称の減少傾向があることは否めない。<!--本来はカウントが必要-->
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=== 私鉄における展開 ===
[[私鉄]]の方でも[[小田急電鉄]]や[[東武鉄道]]などでは、同じような理由で多種の愛称が存在していた。それは、小田急電鉄では現在の「[[はこね (列車)|はこね]]」に相当する[[小田急小田原線|小田原線]]系統で「あしのこ」・「明星」・「あしがら」・「さがみ」…、東武鉄道では現在の[[スペーシア|「きぬ」・「けごん」]]に相当する[[東武日光線|日光線]]系統で「さち」・「きりふり」・「おじか」・「かわじ」…、といった具合であった。しかし、以下の時期に列車愛称の整理が行われた。
* 東武鉄道:[[1969年]](昭和44年)3月
* 小田急電鉄:[[1963年]](昭和38年)4月、[[1966年]](昭和41年)6月、[[1968年]](昭和43年)7月、[[1999年]](平成11年)7月、[[2004年]](平成16年)12月
またかつては[[近畿日本鉄道]]([[近鉄特急]])、[[名古屋鉄道]]([[名鉄特急]])にもあったが、近鉄は1960年1月20日[[近畿日本鉄道のダイヤ変更|改正]]で<ref group="注">その後1970年3月のダイヤ改正で一部列車に「パールズ」の愛称が復活したが、[[1970年代]]の間に再び廃止された。</ref>、名古屋は2000年(平成12年)に廃止されている(なお、名古屋鉄道の[[ミュースカイ]]は列車種別、近畿日本の[[アーバンライナー]]や[[近鉄23000系電車|伊勢志摩ライナー]]などは車両の愛称である)。
 
なお名古屋鉄道ではパノラマカー(7000系列の車両)が特急列車として運行していた時代には列車の行先が列車愛称となっていた。たとえば、[[内海駅 (愛知県)|内海]]ゆき特急列車の場合は『内海○○号』という具合になっていた。
 
== 日本国外における列車の愛称 ==
日本国外においても列車愛称は存在する。その扱いは日本と同様のものから、愛称が列車種別を示す韓国や台湾のような例など、国によって様々である。
 
ただし、近年は特にヨーロッパにおいては[[高速列車]]の登場や、それに伴う鉄道ダイヤの合理化などにより、個別の列車愛称は廃れつつある。その一方でヨーロッパおよびアメリカでは[[機関車]][[客車]]1両ごとに車両愛称を付ける習慣は根強く残っており、後述するイタリアの例のように車両愛称から列車愛称になった名もある。こうした感覚は日本で言えば船舶に対する命名に似ているといえる。
 
日本では鉄道創業期に機関車ごとに愛称を付けた事例はあったが、車両増加や適当な愛称の払底に伴い廃れていった。現在機関車や、一般旅客向けの個々の車両に命名する例はほとんど見られないが、保有する車両の少ない[[流鉄]]のような民鉄や、旧国鉄およびJRではお座敷列車などの[[ジョイフルトレイン]]に類例がある。
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=== ヨーロッパ ===
[[ヨーロッパ]]でも昔から優等列車にはおおむね愛称が付けられていた。日本と同様に、[[地名]]や[[自然現象]]、[[天体]]の名前が多いが、日本に比べて[[人名]]が多いのが特徴である。
 
また、ヨーロッパでは列車1便ごとに愛称が付けられるのが主流である(日本でも、特急列車を運行開始して間もない頃の近鉄で同様の付け方を採用していた)。
 
==== 国際列車 ====
'''Friedrich Schiller'''(「[[フリードリヒ・フォン・シラー|フリードリヒ・シラー]]」)、'''Heinrich Heine'''(「[[ハインリヒ・ハイネ]]」)、'''Erasmus'''(「[[デジデリウス・エラスムス|エラスムス]]」)、'''Rembrandt'''(「[[レンブラント・ファン・レイン|レンブラント]]」)、'''Goethe'''(「[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ|ゲーテ]]」)、'''Rubens'''(「[[ピーテル・パウル・ルーベンス|ルーベンス]]」)など、[[日本人]]にも良く知られたこれらの著名人の名前は、いずれも[[TEE]]列車の愛称として使用されたもので、現在も[[ユーロシティ]](EC)などに引き継がれているものがある。
 
伝統的な長距離[[夜行列車]]は末尾にExpressの語を入れることが多く、その代表例が'''Orient Express'''「[[オリエント急行]]」である。
 
==== ドイツ ====
[[ドイツ]]もまた人名の採用が多く、具体的には[[ICE]]の多くの愛称に、連絡する[[都市]]にゆかりのある人物名が採用されている。ただし、近年は車両愛称の命名が主で、ICEの列車愛称は国際列車を除き廃止された。
 
かつては[[作曲家]]や[[画家]]、[[詩人]]や[[文豪]]といった[[芸術家]]や、芸術家の遺した作品名やその登場人物名の採用がほとんどだったが、近年は[[科学者]]や[[君主]]を含む[[政治家]]、[[慈善事業]]家、[[社会運動|社会活動]]家の名なども採用されている。たとえば、ドイツには以前'''Wilhelm Röntgen'''(「[[ヴィルヘルム・レントゲン]]」)というICEが運転されていた。これは、大惨事となった[[1998年]]の[[エシェデ鉄道事故]]の列車に付けられていた愛称でもある。また政治家というよりは[[富豪]]に過ぎない'''Jakob Fugger'''(「[[フッガー家|ヤーコブ・フッガー]]」)といったICEも設定されていた。
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フランスでは自然現象や天体の名前を採用したものが多く、'''[[ル・ミストラル (列車)|Le Mistral]]'''(「[[ミストラル]]」)や'''L'Etoile du Nord'''(「エトワール・デュ・ノール」、[[北極星]])があった。<!--また旅の郷愁を誘うような愛称も散見され、'''L'oiseau Bleu'''(「ワゾー・ブルー」、青い鳥)、'''[[:fr:Le Train bleu (train)|Le Train bleu]]'''(「ル・トラン・ブルー」、「[[青列車]]」)など、いずれも青色が多く関わっている。ドイツでも'''[[:de:Blauer Enzian (Zug)|Blauer Enzian]]'''(「ブラウェル・エンツィアン」、「[[リンドウ|青りんどう]]」)という青に関わる列車名がある。--><!-- 独自研究 -->
 
[[寝台車 (鉄道)|寝台車]]の車体色に由来するものとしては'''[[:fr:Le Train bleu (train)|Le Train bleu]]'''(「ル・トラン・ブルー」、「[[青列車]]」)がある。この青で統一された[[寝台列車]]は、[[ブルートレイン (日本)|日本のブルートレイン]]の誕生にも影響を与えている。
 
'''Jules Verne'''(「[[ジュール・ヴェルヌ]]」)など、ドイツ同様人名の採用もある程度見られる。
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ヨーロッパにおける列車愛称の変り種としては、ドイツの[[ベルリン]]発着のICEに'''Blauer Engel'''という、[[ドイツの映画|ドイツ映画]]のタイトルを冠した列車が存在した。これは邦題は「[[嘆きの天使]]」として知られる。日本で言えば、文学作品から採用された「[[踊り子 (列車)|踊り子]]号」と近い発想である。
 
また、ルーマニアには、1989年の[[ルーマニア革命 (1989年)|ルーマニア革命]]にちなんだ特急列車'''Timişoara 89'''([[ティミショアラ]]89号)というものもある。ただし、[[ティミショアラ]]はルーマニア革命のきっかけとなった都市の名前でもあり、都市名にちなんでいるとすればそれほど珍しいとは言えない。
 
[[オーストリア]]では列車愛称の[[命名権]]を[[競売]]しており、一例を挙げると[[ウィーン]] - [[インスブルック]]間といった[[幹線]]には'''Westen Bayern Radio'''(「西バイエルンラジオ放送」)といった名前の列車が走っている。
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==== 中国 ====
一部の長距離列車には愛称があり、[[:zh:T7/6、T8/5次列车|T7/6·T8/5次列車]]「天府之星号」、[[:zh:Z5/6次列车|Z5/6次列車]]「劉三姐号」、[[:zh:Z15/16次列车|Z15/16次列車]]「騰竜号」などがある。
中国には、共産党軍の軍事行動を記念した「長征号」がある。
 
==== 韓国・台湾 ====
韓国・台湾の場合、列車愛称は[[列車種別]]の区分を兼ねている。
 
たとえば、[[JR]]の[[列車]]に相当するものとしては、韓国は「[[セマウル号]]」、台湾は「[[自強号]]」といった愛称が与えられるが、個々の運行区間ごとや運行時間帯などでの差異はない。
 
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[[アメリカ合衆国]]でも'''[[:en:Empire builder|Empire builder]]'''(エンパイア・ビルダー、「帝国建国者」の意味)、'''[[:en:20th Century Limited|20th Century Limited]]'''([[20世紀特急]])などといった愛称が存在する。
 
アメリカの列車愛称は[[19世紀]]から存在し、日本の列車に愛称をつけるきっかけともなった。アメリカでは列車の愛称のほかに、車両や編成、路線の愛称的をつけることも多かった。なお、[[流線形車両]]を中心とした画期的な車両編成には、シカゴ北海岸線の'''[[:en:Electroliner|Electroliner]]'''(エレクトロ・ライナー)や、シカゴ・バーリントン・クインシー鉄道の'''Zephyr'''(ゼファー、「[[西風]]」の意味)のように編成単位で愛称が与えられた。
 
Zephyrについては、[[Z]]が[[頭文字]]となる語感や語彙から、"○○Zephyr"として派生した列車が存在する。これについては[[ゼファー#乗り物|「ゼファー」と名が付く乗り物]]も参照されたい。
 
<!--なお、プルマン社の[[寝台車 (鉄道)|寝台車]]にはすべて固有名称が与えられたが、全盛期には1万両もの車両が存在したため、画一的なものが多かったとされる。[[鉄道の車両愛称]]では-->
 
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== バスの愛称 ==
列車の愛称名と同様の理由で、特に全席指定席の[[高速バス]]を中心に、バス便に対する愛称が付けられることが多い。特に、「[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]」などJRの[[みどりの窓口]]で発売されるものには、[[マルス (システム)|マルス]]への収録のために鉄道の列車同様に愛称が必要となり、JRの列車と同じ体系(例:「[[ドリームなごや号|ドリームなごやX号]]」)を持っている。由来としては、目的地に由来したものよりは、願望やフィーリングが多い。
 
: なお、国鉄・JRバスの場合、マルスへの収録のため、国鉄・JRの列車愛称と同一の愛称は当然ながら使用が出来ない。たとえば、[[防長線]]特急バスである[[はぎ号]]は、運行にさいして、従来[[いそかぜ (列車)#山陰対九州間連絡優等列車沿革|米子 - 長門市間急行列車]]に使用していた「はぎ」の愛称を「ながと」に変更している。
 
[[JRバス]]以外の高速バスのように、JRのみどりの窓口で発売されないバスについては、必ずしも愛称名を持っていないか、個々のバス便ではなく、高速バス路線(事業)全体に対しての愛称名がある(例:「[[プリンセスロード号|プリンセスロード]]」・「[[やまと号|やまと]]」・「[[サラダエクスプレス]]」など)場合が多い。
 
なお、全席指定席でない(事前予約を取らない)場合には、路線としての愛称(例:「[[つくば号]]」など)が付けられることが多い。
 
高速バス以外にも一般の[[路線バス]]や地方の[[コミュニティバス]]にも愛称を付けているケースがある。特にレトロバスなどを使用している観光を目的とした路線には愛称が付けられているケースが多い。
 
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
* [[日本の列車愛称一覧]]
* [[鉄道車両愛称]]
* [[列車種別]]
 
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{{DEFAULTSORT:れつしやあいしよう}}
[[Category:鉄道関連の愛称|れつしや*]]
[[Category:列車|あいしよう]]
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[[Category:鉄道と文化]]
[[Category:鉄道運転業務]]
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