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|社名=BAE システムズ
|英文社名=BAE Systems plc
|ロゴ=[[File:BAE SYSTEMSSystems logo.svg|180px|]]
|種類=[[公開有限会社]](plc,パブリック・リミテッド・カンパニー)<br/>{{lse|BA.}}
|市場情報=
|設立=1999年11月30日
|略称=
|国籍={{GBR}}
|本社郵便番号=
|本社所在地=[[ファーンボロバラ (ハンプシャ)|ファーンバラ]]
|事業地域=世界各国(ワールドワイド)
|設立=1999年11月30日
|業種=[[航空宇宙産業|航空宇宙]]・[[情報セキュリティ]]・[[軍需産業|国防]]
|業種=その他製品
|事業内容=民間・軍事航空宇宙関連製品<br/>国防関連電子工学製品<br/>[[軍艦|艦船]]<br/>[[弾薬|軍用品]]<br/>[[装甲戦闘車両|陸上戦システム]]
|代表者=[[:en:Ian King (BAE Systems)|Ian King]](CEO)<br />[[:en:Dick Olver]](Chairman)
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|従業員数=93,500人<br />(2011年12月末時点)<ref>[http://bae-systems-investor-relations-v2.production.investis.com/~/media/Files/B/BAE-Systems-Investor-Relations-V2/PDFs/results-and-reports/reports/2012a/ar-2011.pdf BAE Systems>Investors>IR Library>Annual Reports>2011 Annual Reports>PDFの3Page>employees]</ref>
|決算期=[[12月31日|12月末日]]
|関係する人物=
|外部リンク=[http://www.baesystems.com/ www.baesystems.com]
}}
'''BAEシステムズ'''([[英語]]:{{lang-en|'''BAE Systems plc'''}}は、[[1999年]]に設立された[[イギリス]]の[[国防]]・[[情報セキュリティ]]・[[航空宇宙産業|航空宇宙]]関連企業である。本社は[[ハンプシャー州]][[ファーンバラ (ハンプシャー)|ファーンバラ]]にある旧[[ブリティッシュ・エアロスペース]]本社だが、登記上の本社所在地は[[ロンドン]][[シティ・オブ・ウェストミンスター]]である。
 
2017年現在、[[製造業]]に携わる企業としてはイギリス国内で最大で、2017年5月に英財務省からテロ組織と[[麻薬カルテル]]の金融犯罪を捜査する際の支援者に選ばれた<ref>Homeland Preparedness News, "[https://homelandprepnews.com/stories/22400-bae-systems-selected-treasury-department-assist-investigating-financial-crimes-terrorist-organizations-drug-cartels/ BAE Systems selected by Treasury Department to assist in investigating financial crimes from terrorist organizations, drug cartels]", Monday, May 15, 2017</ref>。
本社は[[ハンプシャー州]][[ファーンボロー]]にある旧[[ブリティッシュ・エアロスペース]]本社だが、登記上の本社所在地は[[ロンドン]][[シティ・オブ・ウェストミンスター]]である。
 
北アメリカに進出した子会社の{{仮リンク|BAEシステムズ・インク|en|BAE Systems Inc.|label=米BAEシステムズ}}を介して世界的な影響力を持ち、2020年現在も防衛関連企業として世界7位の事業規模を誇る。
北アメリカに進出した子会社の[[BAEシステムズ・インク]]([[:en:BAE Systems Inc.|BAE Systems Inc.]])を介して世界的な影響力を持つ。航空宇宙関連企業としては[[ヨーロッパ]]最大の規模を有すほか、[[軍需産業|軍需]]・国防分野においても、2008年に売上高が[[アメリカ・ドル|米ドル]]ベースで約324億2000万ドルを記録、[[ボーイング]]や[[ロッキード・マーティン]]など[[アメリカ合衆国|アメリカ]]系の企業を抑えて同分野の売上高世界第1位を記録するなど、事業規模の大きな企業として知られる<ref>{{cite web |url=http://www.guardian.co.uk/business/2010/apr/12/bae-systems-weapons-arms-manufacturers |title=BAE tops global list of largest arms manufacturers |year=2010 |work=guardian.co.uk |publisher=[[The Guardian]] |accessdate=15 April 2010}}</ref><ref>{{cite news |url=http://www.forbes.com/feeds/ap/2010/04/12/business-industrials-eu-sweden-weapons-sales_7504946.html?boxes=Homepagebusinessnews |title= Britain's BAE Systems tops global arms sales |accessdate=2010-04-12 |publisher=Forbes |date=2010-04-12}}</ref>。2009年についても、売上高1位の座はロッキードに明け渡したものの、売上高約332億5000万ドル(米ドルベース,英ポンドベースでは約224億ポンド)でロッキードに次ぐ2位に付けている<ref>[http://www.sipri.org/research/armaments/production/Top100 ストックホルム国際平和研究所が公表している世界の軍事・国防系企業の売上高ランキング]{{en icon}}</ref>。
 
'''BAEシステムズ'''が英語の社名に従ったより正確な表記であるが、しばしば'''BAEシステム'''とも表記される。多くの場合、傘下の多数の企業を含めた単一の[[コングロマリット]]として扱われる。BAEは[[アクサ]](9.02%)、[[バークレイズ]](3.98%)、[[フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ|フランクリン・リソーシズ]]及び系列会社(4.92%)、[[リーガル・アンド・&ジェネラル]](4.07%)、[[ブラックロック]](4.96%)が、自社にとって重要な株主だと発表した。
<!--
{{see also|ジョージ・ピーボディ#ビジネス}}
何の関係が? -->
 
== 概要 ==
BAEは、[[戦車]]、[[戦闘機]]、[[潜水艦]]などを開発、製造する国防産業を擁する。[[1981年]]の[[マーガレット・サッチャー|サッチャー]]政権下での[[国営企業]]の民営化政策の1つとして、[[ブリティッシュ・エアロスペース]] (BAe) は51.7%の株式が市場へ売却され、半官半民の株式会社として上場した後、[[1985年]]に政府の株式はほぼ売却され、民営化が完了した。[[1999年]]には、ブリティッシュ・エアロスペースと[[マルコーニ・エレクトロニック・システムズ]]の合併により、BAEシステムズが設立された。
 
BAEは、[[戦車]]、[[戦闘機]]、[[潜水艦]]などを開発、製造する国防産業を擁する。[[1981年]]の[[マーガレット・サッチャー|サッチャー]]政権下での[[国営企業]]の民営化政策の1つとして、[[ブリティッシュ・エアロスペース]] (BAe) は51.7%の株式が市場へ売却され、半官半民の株式会社として上場した後、[[1985年]]に政府の株式はほぼ売却され、民営化が完了した。[[1999年]]にはBAEはブリティッシュ・エアロスペースと[[{{仮リンク|マルコーニ・エレクトロニック・システムズ|en|Marconi Electronic Systems}}([[グリエルモ・マルコーニ]]も参照)の合併により、BAEシステムズが設立された。
[[2000年]]から[[2001年]]にかけて、BAEは[[宇宙]]分野の部門をヨーロッパ航空宇宙企業[[EADS]]への売却や[[ミサイル]]部門の[[MBDA]]への売却で整理が行われた。[[2004年]]に[[軍用車両]]メーカー[[アルヴィス plc]]を買収し、[[2005年]]に[[ユナイテッド・ディフェンス・インダストリーズ]] (UDI) も買収することで、軍用車両の大手企業となった。一方で、株式20%を保有していた[[エアバス]]を[[2006年]]に80%の株式を保有していたEADSへ売却した。
 
[[2000年]]から[[2001年]]にかけて、BAEは[[宇宙]]分野の部門をヨーロッパ航空宇宙企業[[エアバス|EADS]]への売却や[[ミサイル]]部門の[[MBDA]]への売却で整理が行われた。[[2004年]]に[[軍用車両]]メーカー[[アルヴィス plc]]を買収し、[[2005年]]に[[{{仮リンク|ユナイテッド・ディフェンス・インダストリーズ]]|en|United Defense}} (UDI) も買収することで、軍用車両の大手企業となった。同年プラムツリー・ソフトウェアも買収し、[[アクセンチュア]]との提携関係を継承した。一方で、株式20%を保有していた[[エアバス]]を[[2006年]]に80%の株式を保有していたEADSへ売却した。
 
BAEの2007年度の国防分野の売上は298億[[米ドル]]で、[[アメリカ合衆国]]の[[ロッキード・マーティン]]社や[[ボーイング]]社に次いで国防産業売上で世界第3位であった<ref>{{ Cite web | url = http://www.defensenews.com/static/features/top100/charts/top100_08.php | title = Defense News Top 100 |language = 英語 | accessdate = 2009-10-15 | publisher = Defense News }} - ディフェンス・ニュース 2008年度ランキング</ref>。
 
BAE の2010年度の国防分野のおける売り上げは324億ドルであり、国防産業としての世界での地位は、固たるものとなった<ref>{{ Cite web | url = httphttps://www.guardiantheguardian.co.ukcom/business/2010/apr/12/bae-systems-weapons-arms-manufacturers | title = BAE tops global list of largest arms manufacturers |language = 英語 | accessdate = 2010-04-12 | publisher = The Guardian }} </ref>。
 
== 起源社史 ==
=== ===
[[1999年]][[11月30日]]に[[ブリティッシュ・エアロスペース]]と[[マルコーニ・エレクトロニック・システムズ]]の合併によって<!-- 77億ポンド? -->設立された<ref name="scotsman2000">{{ Cite news | first = Andrew | last = Turpin | title = BAE Eyes US Targets After Profit Rockets | work = The Scotsman| publisher = The Scotsman Publications | page = 26 | date = 2000-03-04 | language = 英語 | accessdate = 2007-09-07 }}</ref>。この合併によって、多くの有名なイギリスの航空機メーカー、電子機器メーカー、造船メーカーの後継企業となった。それらの中には、世界初のジェット旅客機[[コメット]]や垂直離着陸機の[[ホーカー・シドレー ハリアー|ハリアー]]、その発展型[[BAe シーハリアー|シーハリアー]]に搭載される草分け的なブルーヴィクセン・レーダー、[[ユーロファイター タイフーン|ユーロファイター]]のCAPTORレーダー、[[アエロスパシアル]]と共同開発した超音速旅客機[[コンコルド]]などに携わった企業が含まれている<ref>{{ Cite news | first = James | last = Dow | title = Edinburgh's first line of defence | url = http://thescotsman.scotsman.com/business.cfm?id=840772004 | work = The Scotsman | date = 2004-07-23 | language = 英語 | accessdate=2007-09-26}}</ref>。
[[File:BOAC Comet 1952 Entebbe.jpg|thumb|世界初ジェット旅客機コメット]]
[[1999年]][[11月30日]]に[[ブリティッシュ・エアロスペース]] (BAe) [[マルコーニ・エレクトロニック・システムズ]]の合併によって<!-- 77億ポンド? -->設立された<ref name="scotsman2000">{{ Cite news | first = Andrew | last = Turpin | title = BAE Eyes US Targets After Profit Rockets | work = The Scotsman| publisher = The Scotsman Publications | page = 26 | date = 2000-03-04 | language = 英語 | accessdate = 2007-09-07 }}</ref>。この合併によって、多くの有名なイギリスの航空機メーカー、電子機器メーカー、造船メーカーの後継企業となった。それらの中には、世界初のジェット旅客機[[デ・ハビランド DH.106 コメット|DH.106 コメット]]や垂直離着陸機の[[ホーカー・シドレー ハリアー|ハリアー]]、その発展型[[BAe シーハリアー|シーハリアー]]に搭載される草分け的なブルーヴィクセン・レーダー、[[ユーロファイター タイフーン|ユーロファイター]]のCAPTORレーダー、[[アエロスパシアル]]と共同開発した超音速旅客機[[コンコルド]]などに携わった企業が含まれている<ref>{{ Cite news | first = James | last = Dow | title = Edinburgh's first line of defence | url = http://thescotsman.scotsman.com/business.cfm?id=840772004 | work = The Scotsman | date = 2004-07-23 | language = 英語 | accessdate=2007-09-26}}</ref>。ただし、造船においては[[ブリティッシュ・シップビルダーズ]]から様々に分岐した事業の一つにすぎない
 
民間・軍用機メーカーであったブリティッシュ・エアロスペースは、[[第二次世界大戦]]の終結後に始まったイギリスにおける航空機メーカーの大統合から誕生した。その設立は[[1977年]][[4月29日]]で、国有化された[[ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション]](BAC)と[[ホーカー・シドレー]]、[[スコティッシュ・アビエーション]]との合併により設立された。ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーションとホーカー・シドレー自体も航空機メーカーの合併と買収の結果である。
 
マルコーニ・エレクトロニック・システムズは[[ゼネラル・エレクトリック・カンパニー]]の子会社であった。同社では、主に海軍や陸軍向けの[[システムインテグレーター]]を扱っていた。マルコーニの起源は、1897年に設立されたグリエルモ・マルコーニ・ワイヤレス・テレグラフ・アンド・シグナル・カンパニーにさかのぼる。ゼネラル・エレクトリック・カンパニーは、1968年にマルコーニを傘下に収めていた[[イングリッシュ・エレクトリック]]を買収し、その国防産業向けにマルコーニのブランドを使用した。
 
ゼネラル・エレクトリック・カンパニー自体は[[第一次世界大戦]]時に無線や気球を開発、製造していた。特に同社は[[レーダー]]用の[[マグネトロン]]に携わり、重要技術の発展に貢献したことから、第二次世界大戦では、その地位を高めることに成功した。ゼネラル・エレクトリック・カンパニーは、1967年に[[{{仮リンク|アソシエイティド・エレクトリカル・インダストリーズ]]|en|Associated Electrical Industries}}、1985年に[[ヤーロウ・シップビルダーズ]]、1989年に[[{{仮リンク|プレッシー・カンパニー]]|en|Plessey}}、1990年に[[フェランティ]]の国防部門、1995年に[[{{仮リンク|ヴィッカース・シップビルディング・アンド・エンジニアリング]]|en|Vickers Shipbuilding and Engineering}}、1999年に[[ノルウェーの{{仮リンク|クバーナー|en|Kværner}}社からゴーヴァン造船所]]を獲得した。
 
== 社史 ==
=== 設立 ===
[[File:FarnboroughAerospaceCentre panorama.jpg|thumb|BAEシステムズ・ファーンバラー開発センター]]
1995年にブリティッシュ・エアロスペース (BAe) と[[ドイツ]]と[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の航空宇宙・国防企業[[ダイムラークライスラー・ロスペース]] (DASA) が合併による国際航空宇宙企業の設立が構想されていると報じられていた<ref>{{ Cite news | first = Adam | last = Jones | title = Europe cries foul as New BAe emerges | work = The Times | publisher = Times Newspapers | date = 1999-01-20 | language = 英語 | accessdate = 2007-09-12 }}</ref>。アメリカでも[[ロッキード・マーティン]]が誕生し、[[1997年]]には[[ボーイング]]が[[マクドネル・ダグラス]]を買収し、ブリティッシュ・エアロスペースのジョン・ウェストンを筆頭にアメリカ国防産業によるヨーロッパ進出の拡大が懸念されていた<ref>{{ Cite news | first = Andrea | last = Rothman | coauthorslast2 = Landberg, |first2=Reed | title = Europe Defense Firms Feel Pressure to Unite | url = http://community.seattletimes.nwsource.com/archive/?date=19970615&slug=2544541 | work = The Seattle Times | date = 1997-06-15 | language = 英語 | accessdate = 2007-09-12 }}</ref>。BAeとDASAの2社は、民営化の後、[[フランス]]の[[アエロスパシアル]]やヨーロッパの主要な航空宇宙・国防企業の受け入れを示唆したが、新たに統合された企業に[[エアバス]]が完全子会社化されることを巡り、BAeとDASAは、アエロスパシアルとの協議で難航した<ref name="BAeDASArelations">{{cite news |first=Bernard|last=Gray|coauthorslast2=Skapinker, |first2=Michael|title=Giant waiting in the wings: Bernard Gray and Michael Skapinker ask if Europe's defence industry can consolidate in time to challenge US dominance|work=Financial Times|date=1997-06-24|language=英語|accessdate=2007-09-12}}</ref>。1998年7月にBAeとDASAが合併協議をはじめた頃、アエロスパシアルと[[マトラ]]の合併が発表された。BAeとDASAは、1998年12月に合意に達した。
 
[[イギリス]]のゼネラル・エレクトリック・カンパニー (GEC) は、整理統合の必要に迫られていたため、[[1996年]]に常務へジョージ・シンプソンを任命した。アナリスト達はジョージ・シンプソンが握るブリティッシュ・エアロスペースの内部情報が任命の鍵で、GECはアメリカ国防企業に対抗するためにBAeとイギリス最大の国防グループを作ることに賛同しているとインディペンデントが報じた<ref>{{cite news |first=Russell|last=Hotten |title=GEC confirms Simpson job|work=The Independent |publisher=Newspaper Pub | page=17| date=1996-03-19 | language = 英語 | accessdate=2007-09-14}}</ref>。[[1998年]][[12月22日]]にGECが同社傘下のマルコーニ・エレクトロニック・システムズの売却を検討していることが発表されたことで、BAeは、DASAとの合併を断念した。[[1999年]][[1月19日]]には、BAeとMESの合併が発表された。対照的にDASAとの合併は決裂し、[[エアバス・グループ|EADS]]の設立にあたって、DASAはアエロスパシアルとの合併が決定した。
 
<!-- この特別な1株は[[黄金株]]と呼ばれ保有する株主つまり、この場合は英政府に拒否権を与えるものである。また外国人や外国企業の株式保有も29.5%以下に制限されている。 -->
BAEには、ブリティッシュ・エアロスペースから民営化された際に特別な株式の権利を引き継いだ。この特別株は、1ポンドの額面で、貿易産業大臣によって保持され、大臣の許可なしには、定款の一部を改訂することはできないよう意図されたものである<ref name="compcomm">{{ Cite web | url = http://www.competition-commission.org.uk/rep_pub/reports/1991/fulltext/296c2.pdf | title = BAe and Thomson-CSF SA: A report on the proposed merger | publisher = Competition Commission | date = 1991-02-06 | language = 英語 | accessdate = 2005-12-08 | format = PDF }}</ref>。この定款は、経営に参加しているイギリス国外の者や組織が15%以上の株式を持つことや役員会の大部分を占める事態を抑止し、CEOや会長にイギリス国民が就くことを義務づける。
 
=== 統廃合 ===
[[ファイル:Astute2cropped.jpg|thumb|就役に備えた状態のイギリス潜水艦 HMS アスチュート, S119]]
最初の年次報告書では、発展に必要な重要な分野としてエアバスと空軍、陸軍、海軍向けのサポートサービスやシステムインテグレーターを報告された。また、北アメリカでの拡大、ヨーロッパで次世代共同体への参加という展望が記載された<ref>{{ Cite web | url = http://production.investis.com/investors/news/rp/rp2001/ar00/ar00.pdf | title = BAE Systems 2000 Annual Report | publisher = BAE Systems | pages = 6 | language = 英語 | accessdate = 2007-10-05 | format = PDF }}</ref>。
 
2000年、BAEとマトラが共同出資していたマトラ・マルコーニ・スペースは、DASAへ売却され、[[EADS アストリ]]となった。その後もBAEは、欠損続きの状態であったため、組織再編を実施した。これらには、2001年1月に行われたエアバスのコンソーシアム脱却や2001年11月に発表したウッドフォードの[[BAe 146|アブロ RJ]]製造ライン閉鎖、その次世代機アブロ RJXの開発中止がある。BAEとアレーニア・マルコーニが出資するマトラ BAe ダイナミクスのミサイル部門は、同年12月に[[MBDA]]へ売却された。最終的には、2003年6月16日に8400万ポンドでEADSへ自社の株式25%を売却した。
 
2002年12月11日に新型哨戒機[[BAE ニムロッド|ニムロッド]]と[[アスチュート級原子力潜水艦]]の開発費超過から、BAEは業績予想の下方修正を発表した。BAEの請求に対して国防省は、7億ポンドの支払いに同意した。また、政府は論争の末、2003年7月に練習機[[BAEBAe ホーク|ホーク]] 24機とオプション20機を発注した。この取引は、2004年3月のインドによるホーク 66機の発注に繋がった。
 
=== 拡張 ===
2003年7月、BAEと[[レオナルド S.p.A|フィンメッカニカ]]は、3つの合併企業、それらを統括するユーロシステムズを設立すると発表した。これらの会社は、航空電子工学2社、C4ISTAR、通信社が含まれた。しかし、業務の複雑化を懸念されたことから、再検討された結果、この構想は、AMSの分散と解体、[[SELEX センサーズ]]と[[エアボーン・システムズ]]の設立となった。2007年3月にBAEは、4億ユーロ(約2億70007,000万ポンド)で、フィンメッカニカにエアボーン・システムズの株式25%を売却した。
 
2004年5月、BAEの造船業部門であるBAE システムズ・ネーブル・シップスと[[BAE システムズ・サブマリン・ソリューションズ|BAE システムズ・サブマリンズ]]の売却が持ち上がった。[[VT グループ]]が[[クライド]]の造船所、[[ジェネラル・ダイナミクス]]が[[バロー・イン・ファーネス]]の造船所獲得を望んでいると報じられた。しかし、イギリス政府の国防産業戦略によって、2008年にBAE システムズ・サーフェス・フリートとなっていたBAE システムズ・ネーブル・シップスは、VT グループの造船業部門と合併し、BVT サーフェス・フリートが設立された。これは翌年にVT グループがBAEへ株式を売却したため、'''[[BAE システムズ・サーフェス・シップス]]'''へと改称された。
 
2004年6月4日にBAEは、[[ジェネラル・ダイナミクス]]に対抗して[[アルヴィス plc|アルヴィス・ヴィッカーズ]]の買収に名乗りをあげ、BAEのRO ディフェンスと合併した。しかし、BAEの経営陣は、ジェネラル・ダイナミクスと比較してスケール不足を認め、アメリカ合衆国のユナイテッド・ディフェンス・インダストリーの獲得を目指した。2005年3月7日には、22億50005,000万ポンドでUDIの買収し、BAE システムズ・ランド・システムズと合併して、'''[[BAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツ]]'''が設立された。
 
2005年8月にEADSと[[ティッセンクルップ・マリン・システムズ]]に対してソナーを主力製品にした[[アトラス・エレクトロニーク]]の売却を持ちかけ、145万ユーロ(99万ドル)で売却が進められた<ref>{{cite web|title=BAE Systems sells Atlas sonar arm|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/4569620.stm|publisher=BBC NEWS|date=2005年12月30日|language=英語|accessdate=2010-12-04}}</ref>。同年12月に[[サウジアラビア]]の政府から[[サウジアラビア空軍]]の[[トーネード IDS|トーネード]]の代替に[[ユーロファイター タイフーン]]の購入を打診された。イギリス国防省の仲介により2006年8月18日におよそ60億ポンド以上でタイフーン72機が発注された<ref>{{cite web|title=Saudi Arabia buys 72 Eurofighters|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/5262120.stm|publisher=BBC NEWS|date=2006年8月18日|language=英語|accessdate=2010-12-04}}</ref>。
 
[[ファイル:M2 Bradley Firing 1987.JPEG|thumb|left|AR製品の1つであったアメリカ軍の[[M2ブラッドレー歩兵戦闘車|M2 ブラッドレー IFV]]]]
2007年5月7日にはおよそ22億75007,500万ポンド(45億32003,200万ドル)で[[アーマー・ホールディングス]]の買収を完了し、[[BAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツ|ランド・アンド・アーマメンツ]]との合併へ向けた調整を始めたと発表した<ref>{{cite web|title=BAE Systems Completes Acquisition of Armor Holdings Inc.|url=http://www.baesystems.com/Newsroom/NewsReleases/autoGen_107631191035.html|publisher=BAE Systems|date=2007年7月31日|language=英語|accessdate=2010-12-04}}</ref>。アーマー・ホールディングスは2009年に中型戦術車両ファミリー (FMTV) 事業でアメリカ軍との契約に失敗し、5億92009,200万ポンド(3億ドル)の損失を出したが、BAEはそれを継承し、2010年2月に不良債権として償却と発表した<ref>{{cite news|title=BAE takes £600m hit on lost trucks contract|first=Gribben|last=Roland|newspaper=Daily Telegraph|date=2010-02-18|url=httphttps://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/industry/defence/7245301/BAE-takes-600m-hit-on-lost-trucks-contract.html|accessdate=2010-02-18 |___location=London}}</ref>。売上高だけで見ればランド・アンド・アーマメンツは2004年の4億8200万ポンドから2009年は67億ポンドへ増大した<ref>{{cite news|first=Sylvia|last=Pfeifer|url=http://www.ft.com/cms/s/0/ff34c7c0-1cf5-11df-aef7-00144feab49a.html|newspaper=Financial Times|publisher=The Financial Times Ltd.|date=2010-02-19|accessdate=2010-02-22}}</ref>。
 
=== 2010年代 ===
BAEはブリティッシュ・エアロスペースが持っていた[[SAAB]]の株式35%を相続し、[[サーブ 39 グリペン|グリペン]]戦闘機の輸出を支援した。2005年に株式を20.5%に縮小し、2010年3月には残りも売却すると発表した。グリペンの輸出支援には、いくつかの賄賂や横領の申し立てがあった<ref name="saabsale">{{cite news |title=BAE cuts links to Saab and ill-fated fighter |first=David|last=Robertson|url=http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/engineering/article7051389.ece |newspaper=The Times |publisher=Times Newspapers Ltd. |date=2010-03-05 |page= |accessdate=2010-03-19 | ___location=London}}</ref>。論争の的となる関係に決着をつけたとタイムズで報じられた<ref name="saabsale"/>。 一方、4月にインドの自動車メーカー[[マヒンドラ]]との[[合弁事業]]'''ディフェンス・ランド・システムズ・インド'''が作られ、インドでの軍用車両ビジネスを開始した。インドの投資規則によりマヒンドラの74%に対してBAEは26%の出資となった<ref>{{cite news |title=BAE Systems, M&M announce land system-focused defence JV |author= |url=http://www.financialexpress.com/news/bae-systems-m&m-announce-land-systemfocused-defence-jv/577270/3 |newspaper=The Financial Express |date=2010-02-09 |accessdate=22 December 2010}}</ref>。2019年、BAEはイギリスにおける陸軍装備品事業の株式55%を[[ラインメタル]]に売却し、合弁事業を始めた。'''ラインメタルBAEシステムズ・ランド'''(RBSL)社は当局の承認を受け、2019年7月にシュロップシャー州[[テルフォード]]の既存社屋を本社として設立された
 
造船事業においてBAEは[[ジャクソンビル (フロリダ州)|ジャクソンビル]]と[[モービル (アラバマ州)|モービル]]に造船所をもつアメリカ合衆国の造船会社[[{{仮リンク|アトランティック・マリン]]|en|Atlantic Marine}}を3億52005,200万ドルで買収し、2010年5月に整備サービスを開始した<ref name="us2010">{{cite news |title=BAE prepares to streamline US business |first=Carola|last=Hoyos|newspaper=The Financial Times|date=2010-09-11|accessdate=2010-10-12| ___location=London}}</ref>。2010年10月19日にイギリス政府は安全保障と国防戦略見直しの一環としてニムロッドのプロジェクトをキャンセルしたが、[[クイーン・エリザベス級航空母艦]]、アスチュート級原子力潜水艦、[[26型フリゲート]]の建造計画は承認された<ref name="sdsr">{{cite web|url=http://www.direct.gov.uk/prod_consum_dg/groups/dg_digitalassets/@dg/@en/documents/digitalasset/dg_191634.pdf|title=Securing Britain in an Age of Uncertainty: The Strategic Defence and Security Review|date=19 October 2010|publisher=HM Government|accessdate=19 October 2010}}</ref>。さらに2014年には3隻の新型[[リバー型哨戒艦]]を2億4,800万ポンドで受注した。 同年の2014年10月には国防省と6億ポンドで[[ポーツマス海軍基地]]を5年間維持整備する契約が成立した<ref>{{cite press release| publisher=Reuters| date=1 October 2014| title=Babcock, BAE Systems win $5.2&nbsp;billion UK naval contracts| url=https://www.reuters.com/article/us-bae-systems-contract-idUSKCN0HQ3DV20141001|access-date=5 June 2021}}</ref>。
 
1993年の時点でBAeは米[[レイセオン]]に[[リージョナルジェット]]製造事業を売却していたが、BAEは[[プレストウィック]]を中心に[[BAe 146|BAe 146/Avro RJファミリー]]、[[BAe ATP]]、[[ジェットストリーム 41|ジェットストリーム]]、[[アブロ 748|BAe 748]]などの[[リース]]、ビジネス展開の支援、整備する事業を引き継いでいた。 2011年5月にこれらリージョナルジェットのリース及びその資産管理部門はスピリット社へ売却された。
 
[[File:British Aerospace Hawk 65A, Saudi Arabia - Air Force AN0332614.jpg|thumb|サウジアラビアへ販売したBAE ホーク(イギリス撮影)]]
翌年の2012年5月にイギリス政府とサウジアラビア政府は防衛協力プログラムに基づき、BAEと協議の末、[[ピラタス PC-21]] 55機と[[BAe ホーク|BAE ホーク]] 22機を16億ポンドで納品する契約に至った<ref>{{cite web|title=Contract Awarded to Enhance Royal Saudi Air Force Training Capability|url=http://www.baesystems.com/article/BAES_048243/contract-awarded-to-enhance-royal-saudi-air-force-training-capability|publisher=BAE Systems|access-date=8 August 2012|archive-url=https://web.archive.org/web/20120610042807/http://www.baesystems.com/article/BAES_048243/contract-awarded-to-enhance-royal-saudi-air-force-training-capability|archive-date=10 June 2012|url-status=live}}</ref>。 オマーンもまた2012年12月に25億ポンド相当で[[ユーロファイター タイフーン]]とBAE ホークを発注した<ref>{{cite news |url=https://www.bbc.co.uk/news/business-20808517 |title=BAE Systems wins £2.5bn Oman Hawk and Typhoon contract |date=21 December 2012 |work=BBC News |archive-url=https://web.archive.org/web/20181118183540/https://www.bbc.co.uk/news/business-20808517 |archive-date=18 November 2018 |url-status=live}}</ref>。
また、[[テリーザ・メイ]]首相のトルコ訪問中の2017年1月、BAEは[[トルコ航空宇宙産業|TAI]]が進めるトルコの次世代戦闘機[[TFX (航空機)|TFX]]の開発を支援する約1億ポンドの協定に署名した。これは[[イギリスの欧州連合離脱|イギリスのEU離脱]]による国防産業への悪影響を阻止するため、政府が進めていたが、BAEも少なからず貢献した。
 
2011年から始まっていた労働組合との交渉の末、2014年までに造船所を不活発を理由にポーツマス造船所で940人、フィルトン、ゴーヴァン、ロサイス、スコッツタウンの造船所で合計835人がリストラの対象となった。2014年10月にはランカシャーの軍用機工場で440人の管理職、286人の従業員が対象となり、2017年10月にも戦闘機タイフーンの受注不足を理由に約2000人がリストラの対象となった。
 
=== 2020年代 ===
2022年1月、日本に子会社として「BAE Systems Japan合同会社」を設立した<ref>{{Cite web|和書|title=英BAE、日本に子会社設立 防衛省と関係強化 |url=https://www.aviationwire.jp/archives/248539 |website= |access-date=2022-09-17 |language=ja-JP |publisher=[[Aviation Wire]]}}</ref>。同年12月に日英伊政府が合意した[[グローバル戦闘航空プログラム]]<ref name="mod20221209">{{Cite web|和書 |url=https://www.mod.go.jp/j/press/news/2022/12/09a.html |title=次期戦闘機の共同開発について |publisher=日本国[[防衛省]]報道資料 |date=2022-12-09 |accessdate=2022-12-20}}</ref>において、開発を行うJVの中核を日本の[[三菱重工業]]・イタリアの[[レオナルド S.p.A|レオナルド]]と共に担うとされる<ref>{{Cite web|和書 |url=https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230926-OYT1T50047/ |title=日英伊の次期戦闘機開発、日本人トップに共同機関設置へ…35年度配備へ民間連携 |date=2023-09-26 |access-date=2023-09-26 |publisher=読売新聞オンライン}}</ref>。
 
== 組織 ==
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== 脚注 ==
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==
* [[ETIテレコム]]
 
== 外部リンク ==
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* [http://www.baesystems.com/ BAE Systems公式サイト]{{en icon}}
 
{{FTSE 100}}
{{STOXX Europe}}
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[[Category:イギリスの国防産業]]
[[Category:BAE システムズ|*]]
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[[Category:ロンドンの企業]]
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