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{{銃器2|
'''熱力学'''(ねつりきがく、thermodynamics)は、[[物理学]]の一分野で、[[熱現象]]を[[物質]]の[[巨視的]]性質から扱う[[学問]]。[[アボガドロ定数]]個の要素から成る物質の巨視的な性質を巨視的な[[物理量]]([[エネルギー]]、[[温度]]、[[エントロピー]]、[[圧力]]、[[体積]]、要素数、[[化学ポテンシャル]]、など)を用いて記述する。
|画像=[[画像:P90 Cyprus.jpg|300px]]
|説明=P90
|名称=P90
|種類=軍用短機関銃
|製造国=ベルギー
|設計・製造=FN
|種別=PDW
|口径=5.7mm
|銃身長=230mm
|ライフリング=
|使用弾薬=5.7mm x 28
|装弾数=50発
|作動方式=ストレート・ブローバック
|発射速度= 900発/分
|銃口初速=715m/s
|有効射程=300m
|重量=3.0kg
|全長=500mm
}}
 
'''P90'''は、[[ベルギー]]の[[FN社]]が開発した[[短機関銃|サブマシンガン]]。人間工学に基づく、従来にない斬新なデザインをしていることが特徴である。
==歴史==
18世紀後半から19世紀にかけて[[蒸気機関]]が発明・改良されたが、これらは学問的成果を応用したものでなく専ら経験的に進められたものであった。一方この頃[[気体]]の性質が研究され、19世紀初めには[[ボイル=シャルルの法則]]([[理想気体]]の性質)としてまとめられたが、まだ熱を物質と考える[[熱素説]]が有力であった。
 
一般的なサブマシンガンのように既存の拳銃弾を共用することはなく、小型化されたライフル弾のような形状の専用の銃弾を使用する新しい形態の銃器であるため、当初は「PDW([[Personal Defence Weapon]]:個人防衛兵器)」というカテゴリーで発表された。FN社の運用思想としては、装甲車両部隊や後方部隊などの、制圧任務には従事せず、威力はあるものの長くて重い自動小銃等の携帯を必ずとも必要としない隊員が、敵部隊による後方浸透時の破壊活動などに対応する為に携行する軽便で強力な火器として提案され、[[1980年代]]末に開発された。しかし冷戦が終結すると自衛火器の需要は減少し、反面対テロ戦争が増加して[[CQB]]に適した銃の需要が高まったため、近年ではサブマシンガンの一種として分類されている。
1820年代になると、[[ニコラ・レオナール・サディ・カルノー|カルノー]]が[[熱機関]]の科学的研究を目的として仮想熱機関([[カルノーサイクル]])による研究を行い、ここに本格的な熱力学の研究が始まった。この研究結果は[[熱力学第二法則]]とエントロピー概念の重要性を示唆するものであったが、カルノーは熱素説に捉われたまま早世し、重要性が認識されるにはさらに時間がかかった。
 
==概要==
なお同じ頃[[ジョゼフ・フーリエ|フーリエ]]が[[熱伝導]]の研究を発表したが、これは熱力学とは直接関係なく、むしろ[[物理数学]]に顕著な成果([[フーリエ変換]]につながる)を残すこととなった。
P90(プロジェクト90)は、その外見のみならず使用する弾丸にも特徴があり、サブマシンガンとして常識的な既存の拳銃弾ではなく、小銃の実包をそのまま縮小したような形状の、先端が尖った5.7mm×28の専用カートリッジ弾を使用する。
 
この5.7mm弾は小口径で、弾体の質量も軽量ではあるが、高初速で射出されその運動エネルギーを極めて狭い範囲に集中させることから、剛体に対してはアサルトライフル並みの貫通性に優れ、また[[防弾ベスト]]などに用いられているケブラーなどの防弾繊維をも貫通してしまう。(テストの際は、150メートル先の、ケブラー製[[防弾ベスト]](追加の防弾プレートは無し)を貫通したと言われている)
熱をエネルギーの一形態と考え[[エネルギー保存の法則]](つまり[[熱力学第一法則]])をはじめて提唱したのは[[ユリウス・ロベルト・フォン・マイヤー|マイヤー]]である。彼は1842年にそれを発表したが全く注目されなかった。しかしほぼ同時期に[[ジェームズ・プレスコット・ジュール|ジュール]]が行った同様の研究は[[ウィリアム・トムソン|トムソン]](ケルヴィン卿)の知るところとなり、彼らの共同研究から第一法則が明らかにされた。
 
その一方で、弾丸の構造と比重などから人体などの軟体に着弾した際には弾丸が回転して「暴れる」ことにより体内に留まり、運動エネルギーの全てを対象内に開放することによって、単に貫通させるよりも大きなダメージを与えることができ、対象を無力化する能力、つまりマンストッピングパワーに優れている。
さらにトムソンはカルノーの研究を知り、[[絶対温度]]の概念および熱力学第二法則に到達した。[[ルドルフ・クラウジウス|クラウジウス]]も独立に第一および第二法則に到達し、カルノーサイクルの数学的解析からエントロピー概念の重要性を明らかにした(エントロピーの命名もクラウジウスによる)。こうして1850年代には両法則が確立された。
またもう一つの利点として、ターゲット内で弾丸が停止することにより、跳弾やターゲットから貫通した弾丸による、主に人質などへの二次被害の防止に繋がっている。
 
カートリッジの炸薬量が拳銃並みであることから反動も少なく、本来戦闘を任務としない後方要員にも扱い易く、また、命中精度も高いという、サブマシンガンとしては画期的なシステムである。
19世紀後半になると、[[ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ|ヘルムホルツ]]によって自由エネルギーが、また[[ウィラード・ギブズ|ギブズ]]によって化学ポテンシャルが導入され、[[化学平衡]]などを含む広い範囲の現象を熱力学で論じることが可能になった。
 
その一方で、システム全体の斬新さから採用する機関がまだ少ないこと、これによって消費される弾丸の絶対量が少ない事などを受けて弾丸の生産量そのものが少ない事など、専用弾を使用することによって得られる諸々のメリットは、そのまま既存の弾より割高なコストや、有事の際にも十分な供給を受けられるかといった欠点・不安に繋がっている。
一方、[[ルートヴィッヒ・ボルツマン|ボルツマン]]や[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル|マクスウェル]]によって創始された[[統計力学]]が発展し、熱力学的諸概念を分子論から具体的に解釈できるようになって、熱力学と統計力学は車の両輪のようにして発展していった。
 
サブマシンガンとしてはその構造・威力ともに画期的な装備であることから、一部の創作作品などではアサルトライフルをも超越した超兵器的な描写などが行われた例もあるが、絶対的な性能や用途においては既存のアサルトライフルとは比較にならず、また本来比較すべきものでもない。
*[[熱力学・統計力学の年表]]
 
銃の構造は、機関部がグリップおよびトリガーよりも後方に位置するブルパップ方式であり、コンパクトな全長に比して銃身は長く、集弾性に貢献している。給弾方式もまた独特であり、半透明プラスチック製のマガジンを銃身の上に平行に装着する。弾丸はマガジン内では銃身と直交した状態で保持され、装填される直前に90度向きを変える仕組みとなっており、この独特の装弾手法が、サブマシンガンとしては画期的な50発という装弾数にも寄与している。
==熱力学の法則==
が、反面これまでの火器とは全く異なる装填方式は、スムーズなマガジンチェンジには事前の訓練を必要とし、取り扱いの面で簡易性という面では大きなデメリットとなる。
#''熱力学第零法則'' <br>物体''A''と''B''、''B''と''C''がそれぞれ熱平衡ならば、''A''と''C''も熱平衡にある。
この点で「利便性の面で策に溺れた欠点」ともいわれる。
#''熱力学第一法則''([[エネルギー保存則]])<br> 系の内部エネルギーの変化''dU''は外界から系に入った熱<math>\delta{}Q</math>と外界から系に対して行われた仕事<math>\delta{}W</math>の和に等しい。<br><math>dU=\delta{}Q+\delta{}W</math>
#''[[熱力学第二法則]]''
##熱が低温の物体から高温の物体へ自然に移動することはない。(クラウジウスの表現)
##温度の一様なひとつの物体からとった熱を全て仕事に変換し、それ以外に何の変化も残さないことは不可能である。(トムソンの表現)
##[[永久機関|第二種永久機関]]は存在しない。
##断熱系で状態変化が起こるとき、エントロピーは必ず増加する。可逆的な変化ではエントロピーの増加は0となる。(エントロピー増大の原理)
#''[[熱力学第三法則]]''([[絶対エントロピー]]の定義)<br>絶対零度でエントロピーはゼロになる。<br><math>\lim_{T\to{}0} S = 0</math>
 
左右持ち替えを考慮し、チャージハンドル、セレクタレバーはどちらからでも操作できるようになっている。また、排莢はフレーム下部から下に落とすように行われる。
この三法則をユーモアを込めて「勝てない。分けない。抜けられない。」とまとめる。
 
実戦における使用例としては、在[[ペルー日本大使公邸占拠事件]]において、ペルー軍突入部隊の一部がこの銃を使用した。
第1、第2法則は、[[ルドルフ・クラウジウス]]によって定式化された。
この件に関しては、FN側からコマーシャル的な意味合いで無償で提供された、とも言われるが、真相は不明である。
 
携行や取り回しの容易さと弾丸の特性から来る防弾ベストに対する殺傷力などから、犯罪に使用されることを恐れて、これまでは民間には出回らないようにされていたP90だが、貫通力を落とした民間向けの弾丸とともに、民間向けモデルが[[2005年]]のショットショーにて発表された。この民間モデルはPS90と呼ばれ、法律に適合するよう銃身長が変更され、フルオートは廃されている。
===より百科事典的な説明===
第0法則は、温度が一意に定まることを示している。
第1法則は、閉鎖された空間では外部との物質や熱、仕事のやり取りがない限り、熱(そしてエネルギー)の総量に変化はないということを示している。
 
なお、同じ弾丸を使用する姉妹拳銃として[[FN Five-SeveN]]が製造されている。
第2法則は、エネルギーを他の種類のエネルギーに変換する際、必ず一部分が熱エネルギーに変換されるということ、そして、熱エネルギーを完全に他の種類のエネルギーに変換することは不可能であるということを示している。つまり、どんな種類のエネルギーも最終的には熱エネルギーに変換され、どの種類のエネルギーにも変換できずに再利用が不可能になるということを示している。なお、エントロピーの意味は熱力学の枠内では理解しにくいが、微視的な'''乱雑さ'''の尺度であるということが[[統計力学]]から明らかにされる。
 
==登場するメディア作品==
第3法則は、絶対零度よりも低い温度はありえないことを示している。
;[[BLACK (ゲーム)]]
:ジャック・ケラー
:テロリスト
;バリスティック
:シーバー(ショッピングモールで敵から奪う)
;ホステージ
:偽特殊部隊隊長(後半で使用・フラッシュライト・レーザーサイト)
;[[メタルギアソリッド2|METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY]]
:[[ソリダス・スネーク]]
:天狗兵
;[[GUNSLINGER GIRL]]
:ヘンリエッタ
;[[戦闘妖精・雪風]](OVAアニメ)
:深井零
;Battlefield 2(PCゲーム)
:拡張パック"Euro Force"でEU軍の対戦車兵が所持
;[[スパイラル~推理の絆~]]
:カノン・ヒルベルトが使用
;[[COYOTE RAGTIME SHOW]]
:[[ジャニアリー]]
;[[スターゲイト]](TVドラマ版)
:SGチームの標準的な火器として登場
;[[TAXi]]
:犯人側の武器として使用されている。
;[[フルメタル・パニック!]]
:ミスリルの西太平洋戦隊がシージャック時に使用
 
==熱力学的系 関連項目 ==
*[[銃]]
熱力学的系とは考えている[[世界]]の一部である。現実あるいは仮想の境界が系と残りの世界を分離する。その残りの世界は外界と呼ばれる。熱力学的系は境界の特徴により分類される。
*[[拳銃]]
*孤立系 - 外界から完全に独立した系。
*[[サブマシンガン]]
*閉鎖系 - 系と外界との間で熱の移動は許されるが、物質の移動は許されない。温室がその例である。
*[[アサルトライフル]]
*開放系 - 系と外界との間で熱と物質ともに移動が許される。
*[[特殊部隊]]
*[[FN社]]
*[[CQB]]
 
{{weapon-stub}}
==基本法則からの発展と応用==
[[Category:短機関銃|P90]]
内部エネルギーのうち仕事として取り出すことのできる分として「自由エネルギー」(条件によって[[ギブズエネルギー]]あるいは[[ヘルムホルツエネルギー]]を用いる)が定義される。熱力学第一法則から、
 
[[cs:FN P90]]
「自発的変化は自由エネルギーが減少する方向へ進む」<br>
[[de:FN P90]]
「自由エネルギーが一定であれば系は平衡状態にある」
[[en:FN P90]]
 
[[fi:FN P90]]
ことが導かれる。このことは特に[[化学反応]]にも適用され、[[化学平衡]]定数Kは基準状態での自由エネルギー変化 &Delta;Gと
[[fr:FN P90]]
 
[[ko:FN P90]]
&Delta;G = -''RT''lnK (''R''は[[気体定数]]、''T''は温度)
[[nl:FN P90]]
 
[[pl:Pistolet maszynowy FN P90]]
の関係にあることが示される。
[[pt:FN P90]]
 
[[sl:FN P90]]
 
なお、[[化学反応]]の時間的変化については別分野「[[反応速度論]]」として発展しているのでその項目を参照のこと。
 
==非平衡熱力学==
以上の理論は平衡状態に近い「準静的変化」の考察に基づくものであり、変化の方向性を示すことはできるが、[[時間]]のファクターは入っておらず、具体的な変化の様子を示すにはさらなる理論的枠組が必要である。この'''非平衡熱力学'''の基本的概念は1930年代から[[オンサーガー]]や[[プリゴジン]]によって発展した。
 
基礎的な理論として'''線形非平衡熱力学'''がある。ここでは、「局所的平衡」(局所的には上記の平衡熱力学の理論と熱力学変数の関係式が成り立つ)を仮定する。また、時間的変化を示す「流れ」と、流れの原因となる「力」(あるポテンシャルの空間的勾配)という概念を導入する。具体的には次のようなものである:<br>
     流れ  ・・・・・・  力<br>
   電気(電荷)・・・・・・ 電位<br>
   密度(質量)・・・・・・ 圧力<br>
      熱    ・・・・・・  温度<br>
    化学変化 ・・・・・・化学ポテンシャル
 
各流れ''J''と力''X''の間には
 
''J'' = ''L X'' (''L''は定数)
 
が成り立つ。しかし上に示したような各要素の間には一般には交差があって、現象論的方程式<br>
''J<sub>1</sub>'' = ''L<sub>11</sub> X<sub>1</sub>'' + '' L<sub>12</sub> X<sub>2</sub>'' + ・・・<br>
''J<sub>2</sub>'' = ''L<sub>21</sub> X<sub>1</sub>'' + '' L<sub>22</sub> X<sub>2</sub>'' + ・・・<br>
  ・・・<br>
で書き表される。ここで定数''L''のあいだに ''L<sub>12</sub>'' = ''L<sub>21</sub>'' 、''L<sub>13</sub>'' = ''L<sub>31</sub>'' 、・・・の関係があることが統計力学的に示されている(オンサーガーの[[相反定理]])。
 
このような流れの様子が時間変化しないのが'''定常状態'''であるが、その条件として「流れによるエントロピー生成が極小である」ということが[[イリヤ・プリゴジン]]により示されている。
 
その後さらにプリゴジンの「[[散逸構造]]論」など、非線形の領域に拡張された非平衡熱力学が研究されている。
 
==参考文献==
 
*高林武彦; <cite>熱学史</cite> ; 海鳴社 ; ISBN 4-87525-191-2 (第2版 1999).
*山本義隆; <cite>熱学思想の史的展開</cite> ; 現代数学社 ; ISBN 4-7687-0301-1 (1987).
 
[[Category:物理学|ねつりきかく]]
[[Category:熱力学|*]]
 
[[af:Termodinamika]]
[[ar:تحريك حراري]]
[[ca:Termodinàmica]]
[[cs:Termika]]
[[da:Termodynamik]]
[[de:Thermodynamik]]
[[en:Thermodynamics]]
[[es:Termodinámica]]
[[fi:Termodynamiikka]]
[[fr:Thermodynamique]]
[[gl:Termodinámica]]
[[he:תרמודינמיקה]]
[[hr:Termodinamika]]
[[id:Termodinamika]]
[[is:Varmafræði]]
[[it:Termodinamica]]
[[ko:열역학]]
[[lb:Thermodynamik]]
[[lt:Termodinamika]]
[[nl:Thermodynamica]]
[[pl:Termodynamika]]
[[pt:Termodinâmica]]
[[ro:Termodinamică]]
[[ru:Термодинамика]]
[[sl:Termodinamika]]
[[sv:Termodynamik]]
[[tr:Termodinamik]]
[[vi:Nhiệt động lực học]]
[[zh:热力学]]