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{{脚注の不足|date=2025年6月}}
'''大学通信教育'''(だいがくつうしんきょういく、{{lang-en-short|university correspondence education, distance learning}})は、[[大学]]が行う[[通信教育]]。一般的には通信制大学と呼ばれる。
 
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通信制大学に最長在学年限を超えて在籍し、卒業に至らなかった場合は「除籍」となる。しかし、同一の学校の同一の課程に再度入学した場合、除籍時点で修得していた単位や修学年数をそのまま認定する「再入学」<ref>再入学という制度はあるものの、最長在学年限超過での除籍後の再入学に制限が設けられている学校もある。[[創価大学]]通信教育部では、再入学を除籍後4年以内に限っている。[[早稲田大学]]<nowiki/>eスクールでは、最長在学年限超過により措置退学(他校での除籍に相当)となった者は再入学制度が利用できない。</ref>という制度を設けている学校が大半で、より長期間に渡り修学し卒業を目指すことは可能である<ref>もちろんすべての学校で再入学を無制限に繰り返すことが可能なわけではない。[[法政大学]]通信教育部では在学中に選考と教授会の議決の上で許可された場合や、除籍後に期間を空けて再入学した場合は、最長在学年限(12年)後にさらに12年の在学が可能だが、通算24年の在学でも卒業に至らず除籍となった場合はそれ以降は再入学はできず既修単位に応じた編入学となり最長在学年限も異なる(3年次編入学であれば最長10年)。また、学校によっては再入学時の既修単位の認定もカリキュラム変更等により一部が認定されない場合もある。</ref>。
 
通信教育課程を設置する私立大学相互の協力によって、大学通信教育の振興を図ることを目的とする「'''[[公益財団法人]][[私立大学通信教育協会]]'''が組織されている。この協会に加盟していない通信制大学も存在するが、加盟か非加盟かを問わず、すべて[[文部科学省]]に認可された正規の教育課程である。
 
私立大学通信教育協会では、通信教育を希望する者を対象に加盟校による合同入学説明会を各地で行なっている。説明会では各校の職員による相談を受けられるほか、案内資料を入手することができる。実施予定については同協会のサイトを参照のこと。
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== 歴史 ==
日本において大学通信教育の嚆矢と見なされているのは、[[明治]]期に各学校によって設けられた校外生制度である。ただし、この制度は実際に行われた[[講義]]の内容を講義録として編纂し刊行するというものであり、今日の大学通信教育課程のようにスクーリングや試験によって単位や卒業が認定されるものではなく、その意味で双方向的なものではなくいわば一方向的に「知識伝授する」という一方的な性格のものであった<ref>例外としては、[[東京法学校]]の通信教育機関「[[中央法学会]]」が挙げられる。</ref>。<!--しかしながら[[竹内洋]]は、この講義録が当時の進学熱の高まりと共に望みを達成できなかった進学希望者に対する「クーリング」の役割を果たしたとしている。-->
 
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[[1980年代]]においては、[[放送大学]]の設立はあったものの、それ以外には新たに通信教育をおこなう大学の数は伸び悩んだ。しかし、[[1990年代]]に入ってからは、少子化による学校経営への影響や生涯学習への意欲の高まりからか、通信教育を開講する大学が日本全国で徐々に増加した。
 
[[2000年代]]になってからは、[[ブロードバンドインターネット接続]]が広範囲な地域で利用できるようになったことに伴い、新たな試みとして[[e-ラーニング]]([[インターネット]]の活用、動画・音声配信による講義の視聴、各種プログラムの演習など)による教育を提供する大学が現れている。[[2004年]](平成16年)には、e-ラーニングを全面的に導入した通信制大学としては国内で初めて[[八洲学園大学]]が開学した<ref>{{Cite web|和書|title=八洲学園大学におけるeラーニング・システムの現状と課題 |url=https://www.code.ouj.ac.jp/media/pdf1-2/No.2-07tokusyuu06.pdf|website=メディア教育研究|accessdate=2025-09-01|language=|publisher=}}</ref>
 
[[大学院]]については、通信課程は長らく認可されていなかったが、[[1998年]](平成10年)[[3月]]に[[大学院設置基準]]が改正され、通信制大学院の開設が可能となった。[[1999年]](平成11年)[[4月]]に[[修士]]の学位を授与する課程が設置された(最初に設置したのは、[[日本大学]]、[[佛教大学]]、[[明星大学]]、[[聖徳大学]])。次いで[[2003年]](平成15年)には[[博士]]の学位を授与する課程も設置された。[[2003年]](平成15年)に制度が新設された[[専門職大学院]]についても、[[2005年]](平成17年)4月に通信の課程のみを置くビジネス・ブレークスルー大学院大学(現[[ビジネス・ブレークスルー大学]])が設置された。
 
[[2018年]](平成30年)に新設された[[専門職大学]]、[[専門職短期大学]]についても、法令上通信の課程を置くことができるが、2021年時点では通信の課程を設置した学校はない。
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: 各設置基準のほか、いわゆるメディア授業告示<ref>平成13年文部科学省告示第51号({{Cite web|和書|title=平成十三年文部科学省告示第五十一号(大学設置基準第二十五条第二項の規定に基づく大学が履修させることができる授業等)|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20010330001/k20010330001.html|accessdate=2019-08-21|publisher=文部科学省}})、平成13年文部科学省告示第52号({{Cite web|和書|title=平成十三年文部科学省告示第五十二号(短期大学設置基準第十一条第二項の規定に基づく短期大学が履修させることができる授業等)|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20010330002/k20010330002.html|accessdate=2019-08-21|publisher=文部科学省}})。</ref>の定めにより、講義、演習、実験、実習もしくは実技のいずれかにより、またはこれらの併用による授業を、多様な[[メディア (媒体)|メディア]]を高度に利用して、当該授業を行う[[教室]]等以外の場所で履修させる授業を指す。1単位あたりの授業時間は、面接授業と同等と定められている。
: 現状のメディア授業の多くはインターネットを利用した[[eラーニング]]による授業となっている。講義の様子(教員の講義と黒板等)を録画した映像を[[ビデオ・オン・デマンド|オンデマンド動画]]<ref>メディア授業の受講にはパソコンの利用が欠かせなかったが、[[東京通信大学]]ではスマートフォンによる受講が可能である。</ref>にて視聴させ同時に解説文を表示するものや、[[プログラミング]]の演習を行いその結果を検討し誤りや評価を即時自動的に表示するもの、あわせて[[電子掲示板]]等により教員への質問や他の学生との討議等が可能になっているもの等がある。これらをメディア授業告示では「非同時双方向型」、一般的には「オンデマンド型」といい、2001年にメディア授業として認められるようになったが、その多くが[[インターネット]]を利用して学生各々が任意の時間、場所に受講できる形となっている。これによりメディア授業そのものが急速に普及、大半の科目をオンデマンド型メディア授業とし通学不要で卒業できる[[八洲学園大学]]や[[サイバー大学]]が開学し、これまで通信制での適切な学習の評価が難しかった情報科学や建築学等の工学分野の通信制学科の開設につながった。
: また、衛星通信や[[専用線]]、[[VPN]]、インターネット等により講義の様子をリアルタイムに動画配信し学生からもその場で質問などが行えるリアルタイム型([[ビデオ会議|テレビ会議]]方式)の授業も行われている。これはメディア授業告示では「同時双方向型」、一般的には「リアルタイム型」といい、1998年にメディア授業が設けられた際はこの方式のみ認められ、多くは大学が用意した各地の会場に集合して受講する形となっている。現在でも、会場に集合する形のものとして[[中央大学法学部通信教育課程]]のリアルタイムスクーリング<ref>多摩キャンパスで行われる面接授業を、東京(小金井)、名古屋の大学指定の会場に集合して、面接授業として受講している学生と同時に受講する。</ref>、[[北海道情報大学]]通信教育部のIPメディア授業<ref>北海道情報大学が各地に設置する[[北海道情報大学#教育センター|教育センター]]に所属する通信教育部の正科生B(教育センターを併設する提携先の専門学校の大学併修の学科にも在籍する生徒)は、大学の授業の多くを教育センターで受講する。</ref>などが行われ、各学生が在宅等で受講する形のものとして[[大手前大学]]通信教育部メディア授業(ライブ型)<ref>指定の日時に実施される講義をリアルタイムに受講するが、会場に集合する形ではなく、学生の任意の場所(自宅等)で受講する。[[大手前大学]]通信教育部では他にオンデマンド型の「メディア授業」も実施されている。</ref>、[[玉川大学]]通信教育課程のオンラインスクーリング(5月、7月、11月、1月の年4回)<ref>このほかに、オンデマンドスクーリング(年2回。同時に2科目まで受講可)や後半部分を対面で行うブレンディッドスクーリング(年2回)も行われている。オンデマンドスクーリングとブレンディッドスクーリングの前半部分は、いわゆる「オンデマンド」型の受講となる。</ref>、[[放送大学]]のライブWeb授業<ref>オンライン授業の科目は、オンデマンド型であり、リアルタイムの講義ではない。ただし、面接授業の扱いとされる点は、ライブWeb授業の科目と同様。</ref>などが行われている。
: 法令上「メディアを利用して行う授業」は、卒業の要件として修得すべき一定の単位数(卒業要件単位)としては面接授業(スクーリング)と同等に位置付けられている。そのためメディア授業を「メディアスクーリング」<ref>[[法政大学]]通信教育部</ref>や「E-スクーリング」<ref>[[慶應義塾大学通信教育課程]]</ref>と称してスクーリングの一種と位置付けている大学もある。あるいは、メディア授業を面接授業と共に「スクーリング科目」<ref>[[東京未来大学]]通信教育課程</ref>や「スクーリング授業」<ref>[[八洲学園大学]]</ref>と明確に位置付けている大学もある。
: 卒業要件単位をメディア授業により修得することで、[[八洲学園大学]]や[[北海道情報大学]]通信教育部のように印刷授業を受ける必要はあるものの面接授業は受けずに卒業することができる大学もある(放送大学も、面接授業の20単位以上の部分をすべてオンライン科目で修得すれば、学習センターでの講義を受けずに卒業することも可能である)。さらには[[サイバー大学]]のように印刷授業も受けずにすべてメディア授業のみで卒業可能とした大学もある。一方で、メディア授業を実施しているものの、面接授業を必修としている大学もある。
: なお、単に講義の様子を動画で配信するだけではメディア授業とはならず<ref>放送授業の扱いとなる。よって放送授業として単位を認める大学・スクーリング単位にはならないが受講後の単位認定試験により通常の単位として認める大学がある等、扱いは様々である。</ref>、[[電子メール]]や郵送、対面等により、設問解答、添削指導、質疑応答等による十分な指導を授業終了後すみやかに行う体制が整えられていることや、毎回の授業の受講確認を行い記録していること等、「多様なメディアを高度に利用」し「双方向型<ref>「双方向型」であるとは、オンデマンド型の動画等の配信による授業の場合には、学生からの質問を電子メール等により学生が質問を直ちに提出することができ、教員からの回答も学期にまとめて等ではなく次回の講義の前まで等すみやかに指導する、電子掲示板等により教員と学生や学生相互が討議や質疑が行える、といった体制が整っている必要がある。また、リアルタイム型の授業の場合には、教員側からの講義の様子を一方向に配信するだけでは足らず、教員側と学生側の双方向のやり取りが行うことができ質問の機会を確保するなどの必要がある。</ref>」である授業でなければならない。そのため、例えば[[放送大学]]の「放送授業のインターネット配信や、[[慶應義塾大学通信教育課程]]の放送授業(インターネット配信)やメディア授業は、あくまでも「放送授業」の扱いでありメディア授業には該当しない。
 
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*** 芸術学コース
*** 歴史遺産コース
*** 文芸コース
*** 和の伝統文化コース
** 文化コンテンツ創造学科
*** [[イラストレーション]]コース
*** 映像コース
*** [[グラフィックデザイン]]コース
*** [[書画]]コース
*** [[食文化]]デザインコース
*** [[文芸]]コース
*** アートライティングコース
*** [[音楽]]コース(2026年度から)
** 美術科
*** [[日本画]]コース
*** [[洋画家|洋画]]コース
*** [[陶芸]]コース
*** [[染織]]コース
*** [[写真]]コース
** 環境デザイン
*** [[書画]]コース
** デザイン科
*** [[グラフィックデザイン]]コース
*** 建築デザインコース
*** [[ランドスケープ]]デザインコース
*** 空間演出デザインコース
*** [[イラストレーション]]コース
 
==== [[京都橘大学]]通信教育課程 ====
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** 初等教育学専攻(修士)
 
==== [[九州医療科学大学]](旧・九州保健福祉大学]]大学院 ====
* [[社会福祉学研究科]]
** 社会福祉学専攻(修士・[[博士課程|博士]])
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*[[学校法人三幸学園]] [[東京未来大学福祉保育専門学校]] 社会福祉士一般養成通信課程、精神保健福祉士一般養成通信課程、精神保健福祉士短期養成通信課程(同一法人により[[東京未来大学]]、[[小田原短期大学]]等を設置)
*[[学校法人上智学院]] [[上智社会福祉専門学校]] 精神保健福祉士通信課程(同一法人により[[上智大学]]等を設置)
*学校法人栴檀学園 [[東北福祉看護学校]] 正看護師養成通信課程([[准看護師]]資格保有者のみを対象。同一法人が設置する[[東北福祉大学]]の仙台駅東口キャンパス2Fにキャンパスを設置。東北福祉大学にて大学通信教育も行っており、社会福祉士・精神保健福祉士の養成は大学の大学通信教育として実施している)
*学校法人日本医療大学 生涯学習センター 社会福祉士通信科(同一法人により[[日本医療大学]]等を設置)
*[[学校法人日本社会事業大学]] [[日本社会事業大学]] 通信教育科 社会福祉士養成課程(一般)、社会福祉士養成課程(短期)、精神保健福祉士養成課程
*[[学校法人日本福祉大学]] [[日本福祉大学中央福祉専門学校]] 社会福祉科通信課程(同一法人による[[日本福祉大学]]にて大学通信教育も行っている)
*[[学校法人北海道星槎学園]] [[星槎道都大学]] 通信教育科 社会福祉士養成課程、精神保健福祉士養成課程
 
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* [[オープン大学]] - {{flag|GBR}}
* [[アメリカン・パブリック大学]]([[:en:American Public University System|en]]) - {{flag|USA}}
* [[ウォルデン大学]]([[:en:Walden University|en]]) - {{flag|USA}}
* [[南アフリカ大学]] - {{flag|ZAF}}
 
これらの大学は実際に現地に渡航しなくても卒業は可能だが、勉学を進めるためにはそれぞれの国の[[言語]]を読み書きができる程度にまでマスターしている必要がある。
 
特にアメリカ国内にあるアメリカン・パブリック大学とウォルデン大学は、外国人学生の入学は[[TOEFL]]もしくは[[IELTS]]で一定以上の点数を取る必要がある。
 
文章でのやり取りがほとんどのため、理解できない単語や文法は辞書や文法書を引けばよい。会話が可能なまでのレベルにまでマスターしている必要は無いであろう。ただ、何らかの要件で大学から自分に電話がかかってきた場合にどうするか、という問題などはある。その際は、[[英語]]、もしくは大学のある国の言語で「私は話せないので[[電子メール|メール]]をください」と伝えるなどの方法が考えられる。