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'''白いんげん豆食中毒事件'''(しろいんげんまめしょくちゅうどくじけん)は、[[2006年]]にテレビ放送で紹介された[[ダイエット]]方法を実行した者が[[嘔吐]]や[[下痢]]といった消化器疾患([[食中毒]])を引き起こした問題である。
== 概要 ==
{{Wikinews|テレビの「白いんげん豆ダイエット法」で健康被害158人}}
この問題は、[[TBSテレビ|TBS]]のテレビ番組『[[ぴーかんバディ!]]』([[生活情報番組]])で2006年5月6日放送分の番組の中で紹介されたダイエット方法を試した[[視聴者]]のなかに激しい嘔吐や急激な下痢といった消化器疾患を引き起こしたものが多数でたものである<ref name ="asahi200600508"/>。[[厚生労働省]]調査によれば同年5月22日正午までに報告されたものとして日本全国で158名の患者が確認され、うち30名は入院した<ref name ="asahi200600508">{{Cite
番組では2 - 3分ほど[[炒る|炒った]][[白インゲン]]を粉末にして[[ふりかけ]]のように[[飯|ごはん]]の上にかけて食べるというもので、白インゲンに含まれる[[レクチン]]の一種[[ファセオラミン]]が[[デンプン]]など[[糖質]]を消化し、吸収しやすくする[[アミラーゼ]]分解酵素の働きを阻害して食事の栄養を消化吸収することを妨げるとしていた{{sfn|厚生労働省|2006|p=3}}<ref>{{Cite
しかし、実際にはそのような短時間での加熱調理では豆の中まで十分に熱が伝わらず、活性状態を保ったままのレクチンが多く含まれる結果となり、前述の健康被害を引き起こした{{sfn|厚生労働省|2006|p=2,3}}。健康被害を訴えた視聴者の中には非加熱の白インゲン豆を食べた者(1名)も含まれるが、番組では生食は食中毒を引き起こすことを説明していた{{sfn|厚生労働省|2006|p=2}}。
この問題では健康被害を蒙った視聴者が実際の喫食から発症まで10分から23時間程度と短かったため、同年5月7日時点で複数の医療施設で問題が認識された模様で、[[長村洋一]]([[鈴鹿医療科学大学]])は5月8日の早朝に健康食品管理士認定協会に報告が寄せられたと述べており、連絡を受けた同協会から複数の薬学者に問い合わせが成され、報告を送った[[福岡徳洲会病院]]の臨床検査技師で健康食品管理士の松本佳隆に件のダイエット方法には問題があることが連絡された{{sfn|厚生労働省|2006|p=1}}{{sfn|長村洋一|2024|p=10,11}}。松本は救命救急の医師に問題を連絡、この医師からテレビ局に放送内容に対する中止を視聴者に訴えたほうが良いことが伝えられた{{sfn|長村洋一|2024|p=9}}。同様の問題が複数(30数件)寄せられた模様で、TBS総務局広報部は5月8日付で問題を調査することを発表している<ref>{{Cite web|和書|title=番組で紹介した『白いんげん豆を使用したダイエット法』への注意喚起について|url=
2006年5月22日、[[厚生労働省]]はTBSに文章で注意を送付し、同局側はニュースリリースの形でウェブサイトに注意を喚起する発表を行った{{sfn|厚生労働省|2006|p=1}}<ref>{{Cite web|和書|title=番組で紹介した「白いんげん豆ダイエット法」に対する厚生労働省の発表について|url=
番組側では事後の調査で判明したこととして発表したところによれば、白[[インゲン豆]]の「大福豆」という品種を使って試し、スタッフなどに実際に食べさせ問題が無いことを確認したが、同じく白インゲン豆として販売されている「白花豆」{{efn2|白花豆は、植物分類では[[インゲンマメ]]の仲間([[インゲンマメ属]])であるが、インゲンマメとは別種の[[ベニバナインゲン]]という豆の品種である<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mame.or.jp/syurui/feature/syurui_10.html|title=花豆(はなまめ)|publisher=日本豆類協会|accessdate=2023-01-08}}</ref>。}}ではレクチンが多量に含まれ同様の調理法では不活性化できないという<ref name ="tbs20060620"/>。同事件によりTBS内では「食品の安全性に関する番組制作ガイドライン」を作成、以後同様の問題が起きないようにするとしている<ref name ="tbs20060620"/>。
== その後 ==
{{Wikinews|TBS「ぴーかんバディ」打ち切り—白いんげんダイエットの健康被害問題で}}
2006年8月19日からぴーかんバディ!は企画内容と番組タイトルを変更して[[人間!これでいいのだ]]にリニューアルされた<ref>{{Cite news|和書|title=福澤アナ司会「ぴーかん」リニューアル…タイトルは「人間!これでいいのだ」|newspaper=[[スポーツ報知]]|publisher=[[報知新聞社]]|date=2006-07-30|accessdate=2025-02-23|url=http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20060730-OHT1T00057.htm|archiveurl=https://web.archive.org/web/20061027201829/http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20060730-OHT1T00057.htm|archivedate=2006-10-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=「ぴーかんバディ!」終了…白インゲン豆ダイエット問題で|url=http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_08/g2006081802.html|website=www.zakzak.co.jp|date=2006-08-18|accessdate=2025-02-23|publisher=[[夕刊フジ]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070525191901/http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_08/g2006081802.html|archivedate=2007-05-25}}</ref>。しかし、[[視聴率]]が低迷したことや学術論文を無断で使用したことが問題となり、2007年2月24日放送分で番組が終了した<ref>{{Cite news|和書|title=TBS情報番組、スタッフ持ち込みの風鈴で撮影|newspaper=朝日新聞|publisher=朝日新聞社|date=2007-02-08|accessdate=2025-02-23|url=http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200702080324.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080905052520/http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200702080324.html|archivedate=2008-09-05}}</ref><ref>{{Cite news|和書|title=TBS、「頭の良くなる音」でおわび 表現に行き過ぎ|newspaper=朝日新聞|publisher=朝日新聞社|date=2007-02-08|accessdate=2025-02-23|url=http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200702070367.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110716055446/http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200702070367.html|archivedate=2011-07-16}}</ref>。
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
*[https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0522-4.html 白インゲン豆の摂取による健康被害事例について](厚生労働省報道発表2006年5月22日)
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