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{{otherusesOtheruseslist|社会的・心理的性別|英語で生物学的性別|性別|[[生物学]]における性|性 "gender" と呼ぶ(生物学)|[[言語学上の]]における性|性 (文法)|その他|性}}{{性的}}{{Expand English|date=2024年6月}}
{{Expand English|date=2024年6月}}
{{人類学}}
{{複数の問題
'''ジェンダー'''({{lang-en-short|gender}}<!--{{lang-zh-short|社會性別}}<ref>[https://www.gender.ey.gov.tw/Multimedia/System/Lexicon/DealData.aspx?sn=j4OJB%24x9ZkKPvc%24vmatJ4g%40%40 Gender在這裡-性別視聽分享站 - 性平知多少]、2021年12月27日閲覧。</ref>-->)は、[[性 (生物学)|生物学的な性]]({{lang-en-short|sex}})とは異なる多義的な概念であり、[[性別]]に関する社会的[[規範]]と[[性差]]を指す<ref name="Osawa2012">{{Cite book|和書|title=現代社会学事典|___location=東京|isbn=978-4-335-55148-2|oclc=820689382|editors1= 大澤真幸|editors2=吉見俊哉|editors3=鷲田清一|others=見田宗介|year=2012|publisher=弘文堂}}</ref>{{Rp|499}}。性差とは、個人を性別カテゴリーによって分類し、統計的に集団として見た結果、集団間に認知された差異をいう{{R|Osawa2012|page=500}}<ref name="Maruzen2010">{{Cite book|和書|title=社会学事典|isbn=978-4-621-08254-6|editors= 日本社会学会社会学事典刊行委員会|year=2010|publisher=[[丸善出版]]}}</ref>{{Rp|409}}。ジェンダーの定義と用法は年代によって変化する{{R|Osawa2012|Maruzen2010}}。ジェンダーという概念は、性別に関して抑圧的な社会的事実を明らかにするとともに、ジェンダーを巡る社会的相互作用をその概念自身を用いて分析するものである{{R|Osawa2012|Maruzen2010}}。
|出典の明記=2025年7月
{{See2|生物学的性別に関しては[[性別]]を}}
|参照方法=2025年7月
}}
 
'''ジェンダー''' ({{lang-en-short|gender}}) とは、[[生物学]]的な[[性 (生物学)|性]] ({{lang-en-short|sex}}) とは異なる多義的な概念であり、[[性別]]に関する社会的[[規範]]と'''[[性差]]'''を指す<ref name="Osawa2012">{{Cite book|和書|title=現代社会学事典 |isbn=978-4-335-55148-2 |oclc=820689382 |editors1=[[大澤真幸]] |editors2=[[吉見俊哉]] |editors3=[[鷲田清一]] |others=[[見田宗介]]|year=2012|publisher=[[弘文堂]]}}</ref>{{Rp|499}}。'''社会的性別'''とも呼ばれる。
 
性差とは、個人を性別カテゴリーによって分類し、統計的に集団として見た結果、集団間に認知された差異をいう{{R|Osawa2012|page=500}}<ref name="Maruzen2010">{{Cite book|和書|title=社会学事典|isbn=978-4-621-08254-6|editors= 日本社会学会社会学事典刊行委員会|year=2010|publisher=[[丸善出版]]}}</ref>{{Rp|409}}。ジェンダーの定義と用法は年代によって変化する{{R|Osawa2012|Maruzen2010}}。ジェンダーという概念は、性別に関して抑圧的な社会的事実を明らかにするとともに、ジェンダーを巡る社会的相互作用をその概念自身を用いて分析するものである{{R|Osawa2012|Maruzen2010}}。
{{See also|性別とジェンダーの区別}}
 
== 語源と用法 ==
{{出典の明記|section=1|date=2022年7月}}
[[ファイル:Combotrans.svg|thumb|right|生物の[[雄]]と[[雌]]を示すジェンダー・シンボル([[性別記号]])。それぞれ[[火星]]と[[金星]]を表す惑星記号に由来する。]]
 
語源は{{Lang-la|"genus"}}(産む、種族、起源)である。共通の語源を持つ言葉として{{Lang|en|"gene"}}([[遺伝子]])、{{Lang|en|"genital"}}(生殖の)、{{Lang-fr|genre}}(ジャンル)などがある。「生まれついての種類」という意味から転じて、[[性別]]のことを指すようになった。
 
この生物学的性のイメージを基にして、{{要出典範囲|20世紀初頭には{{要出典|date=2010年5月}}、{{要出典範囲|{{Lang|fr|"gender"}}{{要出典|date=2011年1月}}<!-- フランス語ではgenreが普通である。gennderという出典はあるか? -->は[[フランス語]]などにおける有性名詞の性による分類ないし分類クラスをす文法的な用語として用いられるようになっていた。|date=2011年1月}}
 
[[英語|英米語]]における'''gender'''には、以下のような用法がある。
 
#[[言語学]]における[[文法]]上の[[性 (文法)|性]]のこと。
#生物一般における[[生物学]]的[[性別|性]]のこと(「[[性 (生物学)]]」)。雌雄の別。
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#[[電子工学]]・[[電気工学]]の分野における[[コネクター]]の嵌め合い形状(オスとメス)の区別のこと。プラグとジャック、雄ネジと雌ネジなど。
 
1950年代から1960年代にかけ、アメリカの心理学者・性科学者ジョン・マネー ''John Money''、精神科医ロバート・ストラー ''Robert Stoller'' らは、身体的な性別が非典型な状態の[[性分化疾患]]の研究において、その当事者に生物学的性別とは別個にある男性または女性としての自己意識、性別の[[同一性]]があり、臨床上の必要から「性の自己意識・自己認知([[性同一性]])」との定義で “gender”"gender" を用いた{{R|Maruzen2010|page=408}}<ref>中村美亜 「[http://subsite.icu.ac.jp/cgs/pdf/journal002.pdf 新しいジェンダー・アイデンティティ理論の構築に向けて生物・医学とジェンダー学の課題]」『ジェンダー&セクシュアリティ』 [[国際基督教大学]]ジェンダー研究センタージャーナル、2006年12月31日。</ref><ref>山内俊雄 「性同一性障害とは歴史と概要」『Modern Physician 25-4 性同一性障害の診かたと治療』 新興医学出版社、2005年(2005年4月15日発行)、367–368頁。</ref>。1960年代後半から “gender"gender identity”identity" とも用いられた(以降も医学・性科学では “gender"gender (identity)" は「性の自己意識・自己認知(性同一性)」の定義で用いられており、後の社会学において定義される意味とは異なる)。
 
1970年代{{R|Maruzen2010|page=408}}よりからは、一部の社会科学の分野において{{Lang|en|"gender"}}は生物学的性よりもむしろ社会的性の意味で用いられるようになった。しかし1970年代の時点では、{{Lang|en|"gender"}}と{{Lang|en|"sex"}}をどのような意味で用いるかについての合意は存在しなかった。たとえば1974年版の{{Lang|en|"Masculine/Feminine or Human"}}という[[フェミニスト]]の書籍においては、「生得的な{{Lang|en|gender}}」と「学習された{{Lang|en|sex role}}(性的役割)」という現代とは逆の定義がみられていが、しかし同著の1978年の版ではこの定義が逆転している。1980年までに、大半の[[フェミニスト]]は{{Lang|en|"gender"}}は「社会・文化的に形成された性」を、{{Lang|en|"sex"}}は「生物学的な性」として使用するようになった<ref>[http://www.utsukushii-nippon.org/mondai.html 「ジェンダー」という言葉について]</ref>。このように、社会科学の分野においてジェンダーという用語が社会・文化的性別のこととして用いられ始めたのは比較的最近のことであることが分かる。
 
現在1980年までに大半の[[英語圏フェミニスト]]{{Lang|en|"gender"}}は[[生物学]]的な性も社会・文化に形成されたも指す単語として用いられる。前者の場合」を単に「{{Lang|en|"sex"}}」の婉曲あるい「生物学的な表現性」として使用されていことようになった例えばこのように女子社会科学スポーツ競技分野において、生まれつきの性別を確認するために[[染色体]]検査が行われることがあるが、これを指す用語として英語ではジェンダーベリフィケーション({{Lang-en|gender verification}})という用語が社会・文化的性別のこととして用いられ始めたのは比較的最近のことであることが分かる。
 
[[英語圏]]では現在、{{Lang|en|"gender"}}は[[生物学]]的な性も社会的な性も指す単語として用いられる。前者の場合、単に「{{Lang|en|sex}}」の婉曲あるいは公的な表現として使用されていることになる。例えば、女子のスポーツ競技において、生まれつきの性別を確認するために[[染色体]]検査が行われることがあるが、これを指す用語として英語ではジェンダーベリフィケーション({{Lang-en|gender verification}})という用語を用いる。
複数の英英/英和辞書において{{Lang|en|"gender"}}は、第一に「言語学的性(文法上の性)」として、第2に、古くから使われてきた「生物学的性別({{Lang|en|sex}})」として記述されている(出典:ジーニアス英和辞典、ウェブスターの辞書)。それらに続き、社会科学の分野において用いられる「社会的・文化的役割としての性」という意味の語として記述がなされることがある(出典:[[:en:gender|英語版ウィキペディア]])。「言語学的性」とは、例えば男性を代名詞で「{{Lang|en|"he"}}、女性を{{Lang|en|"she"}}と分けて表記するようなことである。「生物学的性({{lang|en|sex}})」とは、ロングマン現代英英辞典によれば、「{{Lang|en|the fact of being male or female}}(男性または女性であることの事実)」と説明され、「{{Lang|en|male}}(男性)」は「子供を産まない性」、「{{Lang|en|female}}(女性)」は「子供を産む性」と定義される。またヒト以外の動物の雌雄を記述する場合にも用いられる。「社会的文化的役割としての性」とは、その性({{Lang|en|sex}})から想起される「男らしさ」「女らしさ」といった様々な特徴のことである。
 
複数の英英辞典・英和辞典([[ウェブスター辞典]]、[[大修館書店]]『ジーニアス英和辞典』)において、{{Lang|en|"gender"}}は、第一に「言語学的性(文法上の性)」として、第二に古くから使われてきた「生物学的性別({{Lang|en|sex}})」として記述されている。それらに続き、社会科学の分野において用いられる「社会的・文化的役割としての性」という意味の語として記述がなされることがある([[英語版ウィキペディア]]「[[:en:Gender|Gender]]」も参照)。「言語学的性」とは、例えば男性を代名詞で「{{Lang|en|"he"}}、女性を{{Lang|en|"she"}}と分けて表記するようなことである。「生物学的性({{lang|en|sex}})」とは、[[ロングマン現代英英辞典]]によれば、「{{Lang|en|the fact of being male or female}}(男性または女性であることの事実)」と説明され、「{{Lang|en|male}}(男性)」は「子供を産まない性」、「{{Lang|en|female}}(女性)」は「子供を産む性」と定義される。またヒト以外の動物の雌雄を記述する場合にも用いられる。「社会的文化的役割としての性」とは、その性({{Lang|en|sex}})から想起される「男らしさ」「女らしさ」といった様々な特徴のことである。
ジョーン・W・スコットの著書『ジェンダーと歴史学』によれば、近年、欧米の社会学において、{{Lang|en|"gender"}}という用語はほとんど(7割程度)の場合、「[[女性]]」と同義で使用されている(例:{{Lang|en|"gender and development"}} 女性とその経済力向上)。
 
[[ジョーン・スコット (歴史学者)|ジョーン・W・スコット]]の著書『ジェンダーと歴史学』によれば、近年、欧米の社会学において、{{Lang|en|"gender"}}という用語はほとんど(7割程度)の場合、「[[女性]]」と同義で使用されている(例:{{Lang|en|"gender and development"}} 女性とその経済力向上)。

日本において、ジェンダーという言葉が社会的に認知されたのは1990年代である<ref name="Tachi1998">{{cite journal|和書|title=ジェンダー概念の検討|author=舘かおる|journal=ジェンダー研究|volume=第1号|publisher=[[お茶の水女子大学]]ジェンダー研究センター|year=1998}}</ref>{{Rp|81}}。『男女行動計画2000年プラン』では、ジェンダーは不平等を指摘し、それを是正する文脈で用いられるようになった{{R|Tachi1998|page=83}}。ジェンダーは「ジェンダー・フリー」という表現に用いられることによって、性別二分法システム、性別カテゴリー自体の打破を視野に入れている{{R|Tachi1998|page=84}}。ジェンダーの用法の広がりとともに、ジェンダー概念についての確認と捉え直しが必要になってきている{{R|Tachi1998|page=84}}。
 
== 社会的・文化的性の意識の変化 ==
[[ファイル:WomanFactory1940s.jpg|thumb|right|300px|[[第二次世界大戦]]の間、[[輸送機]]の部品を作るために工場で労働する女性]]
 
社会と同様に、「ジェンダー」(ここでは社会的・文化的性としての意味)は絶えず変化する。また、[[国家総力戦]]となった[[第二次世界大戦]]時の[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]および[[枢軸国]]では、男性が[[徴兵]]され戦場に出向いている間、女性が[[工場]]労働に従事することになり、その後に労働力として社会参加することの大きなきっかけとなった。
社会と同様に、「ジェンダー」(ここでは社会的・文化的性としての意味)は絶えず変化する。
 
[[国家総力戦]]となった[[第二次世界大戦]]時の[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]および[[枢軸国]]では、男性が[[徴兵]]され戦場に出向いている間、女性が[[工場]]労働に従事することになり、その後に労働力として社会参加することの大きなきっかけとなった。
 
== ジェンダーと社会 ==
{{See also|ジェンダー平等|ジェンダーの社会学}}
 
=== 科学 ===
歴史的には、[[科学]]は男性が追求するものとして描かれており、女性の参加には非常に大きな障害があった<ref>{{cite book|last1=Schiebinger|first1=Londa|title=Has Feminism Changed Science?|journal=Signs|volume=25|issue=4|pages=1171–5|date=2001|publisher=Harvard University Press|___location=Cambridge, Mass.|isbn=978-0-674-00544-0|edition=2nd|pmid=17089478|doi=10.1086/495540}}</ref>。19世紀に大学が女性の入学を許可した後であっても、依然として大部分の女性は[[家政学]]、[[看護学]]、[[発達心理学]]などの特定の科学分野に降格させられた<ref name="Sheffield2006">{{cite book|title=Women and Science: Social Impact and Interaction|date=2006|publisher=Rutgers University Press|isbn=978-0-8135-3737-5|___location=New Brunswick, NJ|pages=129–134|last1=Sheffield|first1=Suzanne Le-May}}</ref>。また、女性はよく退屈な低賃金の仕事を割り当てられ、キャリアアップの機会を拒否されてきた<ref name="Sheffield2006" />。こうした行為は、女性は生まれつき、創造性、リーダーシップ、知性が必要な仕事よりも、集中、忍耐、手先の器用さが必要な仕事により向いている、というステレオタイプによって正当化されることが多かった<ref name="Sheffield2006" />。こうしたステレオタイプは現代には払拭されたが、たとえば[[物理学]]などの権威ある「[[ハードサイエンス]]」などの分野では、女性はいまだに過小評価されており、高いランクのポジションを持てる可能性は低い<ref name="Eisenhart1998">{{cite book|title=Women's Science: Learning and Succeeding from the Margins|journal=Science Education|volume=84|issue=6|last2=Finkel|first2=Elizabeth|date=1998|publisher=University of Chicago Press|isbn=978-0-226-19544-5|___location=Chicago|pages=[https://archive.org/details/womenssciencelea0000eise/page/34 34–36]|last1=Eisenhart|first1=Margaret A.|bibcode=2000SciEd..84..793A|doi=10.1002/1098-237X(200011)84:6<793::AID-SCE6>3.0.CO;2-K|url=https://archive.org/details/womenssciencelea0000eise/page/34}}</ref>。国連の[[持続可能な開発目標#17の目標|持続可能な開発計画目標 5]]などのグローバル・イニシアティブは、この状況の是正を試みている<ref>{{Cite web|title=Sustainable Development Goal 5: Gender equality|url=https://www.unwomen.org/en/news/in-focus/women-and-the-sdgs/sdg-5-gender-equality|access-date=2020-09-23|website=UN Women|language=en}}</ref>。
{{See also|{{仮リンク|科学における女性|en|Women in science}}}}
歴史的には、[[科学]]は男性が追求するものとして描かれており、女性の参加には非常に大きな障害があった<ref>{{cite book|last1=Schiebinger|first1=Londa|title=Has Feminism Changed Science?|journal=Signs|volume=25|issue=4|pages=1171–5|date=2001|publisher=Harvard University Press|___location=Cambridge, Mass.|isbn=978-0-674-00544-0|edition=2nd|pmid=17089478|doi=10.1086/495540}}</ref>。19世紀に大学が女性の入学を許可した後であっても、依然として大部分の女性は[[家政学]]、[[看護学]]、[[発達心理学]]などの特定の科学分野に降格させられた<ref name="Sheffield2006">{{cite book|title=Women and Science: Social Impact and Interaction|date=2006|publisher=Rutgers University Press|isbn=978-0-8135-3737-5|___location=New Brunswick, NJ|pages=129–134|last1=Sheffield|first1=Suzanne Le-May}}</ref>。また、女性はよく退屈な低賃金の仕事を割り当てられ、キャリアアップの機会を拒否されてきた<ref name="Sheffield2006" />。
 
こうした行為は、女性は生まれつき、創造性、リーダーシップ、知性が必要な仕事よりも、集中、忍耐、手先の器用さが必要な仕事により向いている、という[[ステレオタイプ]]によって正当化されることが多かった<ref name="Sheffield2006" />。こうしたステレオタイプは現代には払拭されたが、たとえば[[物理学]]などの権威ある「[[ハードサイエンス]]」などの分野では、女性はいまだに過小評価されており、高いランクのポジションを持てる可能性は低い<ref name="Eisenhart1998">{{cite book|title=Women's Science: Learning and Succeeding from the Margins|journal=Science Education|volume=84|issue=6|last2=Finkel|first2=Elizabeth|date=1998|publisher=University of Chicago Press|isbn=978-0-226-19544-5|___location=Chicago|pages=[https://archive.org/details/womenssciencelea0000eise/page/34 34–36]|last1=Eisenhart|first1=Margaret A.|bibcode=2000SciEd..84..793A|doi=10.1002/1098-237X(200011)84:6<793::AID-SCE6>3.0.CO;2-K|url=https://archive.org/details/womenssciencelea0000eise/page/34}}</ref>。[[国際連合]]の[[持続可能な開発目標#17の目標|持続可能な開発計画目標 5]]などのグローバル・イニシアティブは、この状況の是正を試みている<ref>{{Cite web|title=Sustainable Development Goal 5: Gender equality|url=https://www.unwomen.org/en/news/in-focus/women-and-the-sdgs/sdg-5-gender-equality|access-date=2020-09-23|website=UN Women|language=en}}</ref>。
=== 生物学 ===
{{main|性 (生物学)}}
[[ファイル:Biology_Illustration_Animals_Insects_Drosophila_melanogaster.svg|thumb|right|オス(右)とメスの[[ショウジョウバエ]] ''D. melanogaster''。 メスは二本のX染色体の存在により決定される。]]
{{要出典範囲|人間だけでなく、動物、植物、昆虫などの性({{lang-en|sex}})を表現するために用いる。性交との混同を避ける為に、生物学の分野では意識的に用いる必要があったからである。このため、欧米では一般でもジェンダー({{lang|en|gender}})は、性({{lang|en|sex}})と同義の言葉として婉曲的に用いられるようになった。生物学者は、研究対象が生物学的に雄であるか雌であるかを表現する為にジェンダー({{lang|en|gender}})という用語を使う|date=2023年1月}}。
 
{{要出典範囲|スポーツ選手の[[生物学]]的な[[性別]][[検査]]([[スポーツにおける性別確認]]を参照)は[[英語]]で「ジェンダーヴェリフィケイション({{lang|en|gender verification}})」と呼ばれ、人間の生物学的な「男女の産み分け」を「ジェンダーセレクション({{Lang-en|gender selection}})」と呼ぶ|date=2023年1月}}。また、昆虫の雌雄を判断し、より分けることを「雌雄判別({{Lang-en|gender selection}})」と呼ぶ<ref>[http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/020128.html カイコ幼虫の斑紋による雌雄性の判別]</ref>。
 
=== 教育格差 ===
{{seeSee also|女子教育}}
性別が理由で[[教育]]を受けられない場合も多く、学校に通えない女子児童・生徒が2018年時点で世界中に約1億32003,200万人(約5人に1人)いると推定されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.worldvision.jp/children/education_05.html |title=【世界の女子教育】女の子が学校に通えない3つの原因 |publisher=World Vision |accessdate = 2022-03-19}}</ref>。[[持続可能な開発目標|SDGs]]においても[[開発途上国]]での女子教育の推進が掲げられているが、この問題の背景には[[貧困]]や[[児童婚]]、不十分な教育環境などがあるとされている。低所得国では、一家の子どもたち全員を学校に行かせる費用が工面できなかったときには場合、男子を優先的に学校に通わせる家庭も少なくない。また、紛争地域においては男子に比べて女子が学校に通えていない可能性が約2.5倍高いとされる<ref>{{Cite web |title=ポストコロナの世界の教育とその報道 |url=https://globalnewsview.org/archives/987492161#%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%A8%E6%95%99%E8%82%B2 |website=GNV |date=2024-11-28 |access-date=2025-02-26 |language=ja |first=Tsugumi |last=SUZUKI}}</ref>。
 
また、国際的な学習到達度テスト([[OECD生徒の学習到達度調査|PISA]])では女子の点数の方が男子の点数よりも高い傾向にある一方で<ref>{{Cite web |url=https://www.oecd.org/pisa/publications/PISA2018_CN_JPN_Japanese.pdf |title=PISA RESULTS FROM PISA 2018 |publisher=OECD |accessdate=2021-12-13}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/03_result.pdf |title=OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)2018年調査国際結果の要約 |publisher=[[国立教育政策研究所]] |accessdate=2021-12-13}}</ref>([[性差#学力差]]も参照)、大学進学率は男子の方が高い傾向にある。例えば2021年度の日本の四年制大学進学率は、男子が57.4%だったのに対して女子は51.3%であった<ref>{{Cite web|和書|url=https://nordot.app/873395231001296896 |title=ハードルを越えて進学した女性たちの手応え データでみる都道府県のジェンダー平等(2)後編 |date=2022-03-18 |website=[[47NEWS]] |publisher=株式会社全国新聞ネット |accessdate = 2022-03-19}}</ref>。この背景にも、所得水準の他に進路指導におけるジェンダー格差が指摘されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://nordot.app/872430222028685312 |title=女子の大学進学「東京7割」「鹿児島3割」これって公平? データでみる都道府県のジェンダー平等(2)前編 |date=2022-03-17 |website=[[47NEWS]] |publisher=株式会社全国新聞ネット |accessdate = 2022-03-19}}</ref>。また、大学入試において[[女性差別]]的な不正入試が行われることもある
 
また、大学入試において[[女性差別]]的な不正入試が行われることもある。{{See also|2018年に発覚した医学部不正入試問題}}
 
=== 軍隊 ===
[[軍隊]]において[[兵士]]が男性のみである国家が比較的多く、[[徴兵制度|徴兵制]]であれば義務が、[[志願制度|志願制]]であれば権利が、女性にはないことが多い。
{{see also|徴兵制度#女性兵士の徴兵}}
[[軍隊]]において[[兵士]]が男性のみである国家が比較的多く、[[徴兵制度|徴兵制]]であればその義務が、[[志願制度|志願制]]であればその権利が、女性にはないことが多い。
 
== 国際連合・持続可能な開発目標 ==
[[ジェンダー平等]]は、[[持続可能な開発目標|持続可能な開発のための2030アジェンダ]]を構成する17のグローバル目標の一つであり、また、そのターゲット5.cにおいてジェンダー平等の促進が謳われている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page3_001387.html |title=「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミット |website=[[外務省]] |date= |accessdate=2016-11-30}}</ref>。
 
== ジェンダー・ハラスメント ==
ジェンダー・ハラスメントとは、ジェンダーにまつわる[[ハラスメント]]であり、人を男/女という枠組みで捉え、それぞれの役割を設定したり、その役割を他者に期待したりする行為などを含む。被害者の心身に深刻な悪影響を与えうるものであり、ジェンダー・ハラスメントの防止が求められている<ref>{{Cite book|和書 |title=職場で使えるジェンダー・ハラスメント対策ブック――アンコンシャス・バイアスに斬り込む戦略的研修プログラム |year=2023 |publisher=[[現代書館]] |pages=1-189}}</ref>。
{{See also|セクシャル・ハラスメント}}
 
== 関連文献 ==
* [[Ivan Illich]]''Gender'' (1982) ISBN 0-394-52732-1
**[[イヴァン・イリイチ]] 『ジェンダー――女と男の世界』([[岩波書店]]、1984年)
*[[村田晶子]]編著『復興に女性たちの声を―「3・11」とジェンダー』[[早稲田大学出版部]] (2012/10)ISBN 978-4-657-12316-9
*[[加藤秀一]]著『ジェンダー入門―知らないと恥ずかしい』[[朝日新聞社]] (2006/11)ISBN 4-02-330373-9
*[[上野千鶴子]]・[[宮台真司]]・[[斎藤環]]・[[小谷真理]]・[[鈴木謙介]]・[[後藤和智]]・[[澁谷知美]]・[[山口智美 (文化人類学者)|山口智美]]・[[荻上チキ]]他共著 『バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』 双風舎 (2006/06/26) ISBN 4-902465-09-4
*川本敏編『論争・少子化日本』中公新書(2001/05/15)ISBN 4-12-150006-7
*[[渡辺真由子]]著『オトナのメディア・リテラシー』 リベルタ出版 (2007/10)
*[[アン・ファウスト=スターリング]]著『ジェンダーの神話―[性差の科学]の偏見とトリック』池上千寿子ほか訳 [[工作舎]] (1990/5)ISBN 4-87502-167-4
*[[ロンダ・シービンガー]]著『ジェンダーは科学を変える!?―医学・霊長類学から物理学・数学まで』小川眞里子ほか訳 [[工作舎]] (2002/1)ISBN 978-4-87502-362-3
*[[トマス・ラカー]]著『セックスの発明―性差の観念史と解剖学のアポリア』高井宏子ほか訳 [[工作舎]] (1998/4)ISBN 4-87502-294-8
*内田旺希著『人間の鼻の美学ージェンダーと鼻の特異点』
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 関連文献 ==
{{脚注の不足|date=2025年7月|section=1}}
* [[:en:Ivan Illich|Ivan Illich]] ''Gender'' (1982) ISBN 0-394-52732-1
** [[イヴァン・イリイチ]] 『ジェンダー――女と男の世界』[[岩波書店]]、1984年
* {{仮リンク|アン・ファウスト=スターリング|en|Anne Fausto-Sterling}}著、池上千寿子ほか訳『ジェンダーの神話―[性差の科学]の偏見とトリック』[[工作舎]]、1990年5月。ISBN 4-87502-167-4
* {{仮リンク|トマス・ラカー|en|Thomas W. Laqueur}}著、高井宏子ほか訳『セックスの発明―性差の観念史と解剖学のアポリア』[[工作舎]]、1998年4月。ISBN 4-87502-294-8
* [[ロンダ・シービンガー]]著、小川眞里子ほか訳『ジェンダーは科学を変える!?―医学・霊長類学から物理学・数学まで』[[工作舎]]、2002年1月。ISBN 978-4-87502-362-3
* 川本敏編『論争・少子化日本』[[中公新書]]、2001年5月15日。ISBN 4-12-150006-7
* [[上野千鶴子]]・[[宮台真司]]・[[斎藤環]]・[[小谷真理]]・[[鈴木謙介]]・[[後藤和智]]・[[澁谷知美]]・[[山口智美 (文化人類学者)|山口智美]]・[[荻上チキ]]他 共著 『バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』双風舎、2006年6月26日。ISBN 4-902465-09-4
* [[加藤秀一]]著『ジェンダー入門―知らないと恥ずかしい』[[朝日新聞社]]、2006年11月。ISBN 4-02-330373-9
* [[渡辺真由子]]著『オトナのメディア・リテラシー』リベルタ出版、2007年10月。ISBN 978-4-90372407-2
* [[村田晶子]]編著『復興に女性たちの声を―「3・11」とジェンダー』[[早稲田大学出版部]]、2012年10月。ISBN 978-4-657-12316-9
 
== 関連項目 ==
* [[性別とジェンダーの区別]]
{{関連項目過剰|date=2025年3月30日 (日) 04:18 (UTC)}}
* [[ジェンダー平等]]
{{multicol}}
* [[性別とジェンダーの区別社会学]]
* [[ウィキペディアにおけるジェンダーバイアス]]
* [[:en:Gender|Gender]] - [[英語版ウィキペディア]]
*[[ジェンダーバイオレンス]]
*[[ジェンダー平等]]
*[[男女平等]]
*[[ジェンダーチェック]]
*[[性差]]
*[[社会学]]
**[[家族社会学]]
***[[主婦]]
***[[主夫]]
***[[夫婦]]
**[[ジェンダーの社会学]]
***[[母性]]
***[[父性]]
*[[夫婦別姓]]
*[[性科学]]
*[[人間の性]]
*[[性別]]
*[[性差別]]
**[[女性差別]]
**[[男性差別]]
{{multicol-break}}
*{{仮リンク|性の不平等|en|Gender inequality}}(ジェンダー・イニクオリティー)
** [[ジェンダー・ギャップ指数]]
*[[セクシュアリティ]]
**[[セックス]]
***[[男性]]
***[[女性]]
***[[半陰陽|インターセックス]]
***[[性分化疾患]]
**[[性役割]] - [[性別役割分業]]
***[[男らしさ]]
***[[女らしさ]]
**[[性同一性]]
***[[性同一性障害]](性別違和)
**ジェンダーパターン
***[[シスジェンダー]]
***[[トランスジェンダー]]
***[[Xジェンダー]]
***[[アジェンダー]]
***[[ジェンダーフルイド]]
***[[ジェンダークィア]]
{{multicol-break}}
*[[ジェンダー研究]]
**[[女性学]]
**[[男性学]]
**[[国際ジェンダー学会]]
**[[ジェンダー史学会]]
**[[ジェンダー・トラブル]]
*[[フェミニズム]]
**[[ラディカル・フェミニズム]]
**[[ジェンダー・フェミニズム]]
*[[メンズリブ]]
*[[反フェミニズム]]
**[[バックラッシュ (社会学)]]
**[[マスキュリズム]]
*[[ダイバーシティ・マネジメント]]
{{multicol-end}}
 
== 外部リンク ==
*[https://www.un.org/en/global-issues/gender-equality Gender Equality] - [[国際連合]]
*[http://worldbank.org/gender 男女平等と女性の経済力促進], [[世界銀行]]"Gender and Development"
 
*[http://worldbank.org/gender/events ジェンダーイベント], [[世界銀行]]"Gender and Development"
{{Socprb-stub}}
*[https://www.gender.go.jp/ 内閣府 男女共同参画局]
{{性}}
*[http://genderstereotype.nomaki.jp/ Gender Stereotypes - Changes in People's Thoughts] 夫婦の性役割に関する[[内閣府]]世論調査に基づくレポート
{{ジェンダーと性的アイデンティティ}}
*[https://letstalkgender.jp/ 「Let's Talk Gender」] - [[Tinder]]
{{Normdaten}}
{{性}}{{ジェンダーと性的アイデンティティ}}{{Normdaten}}
 
{{DEFAULTSORT:しえんたあ}}