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'''声優'''(せいゆう)とは、[[ラジオ]][[ドラマ]]、[[テレビ]]、[[映画]]、[[アニメ]]、[[テレビゲーム]]、[[洋画]]の吹き替えなどに、主に声だけで出演する[[俳優]]のこと。ナレーターとは異なり、登場人物やキャラクターなどのセリフの吹き替えや声充てを行う。
{{複数の問題|内容過剰=2023年2月|出典の明記=2025-05}}
[[File:Scene from a Radio Broadcast of a Drama of Family Life.jpg|190px|thumb|ホームドラマの放送風景]]
'''声優'''(せいゆう)、'''声の出演'''(こえのしゅつえん)、'''ボイス・アクティング'''({{lang-en-short|Voice Acting}})、または'''キャラクター・ボイス'''({{lang-en-short|Character Voice}})とは、[[ラジオ]]の[[放送劇]]、[[テレビ]]・[[映画]]の[[吹き替え]]、[[アニメーション]]など、[[音声]]作品や[[映像作品]]に、自身の姿を見せず[[声]]だけで出演する[[俳優]]のことである<ref>{{Cite book|和書|title=広辞苑 第七版|date=2018年1月|publisher=岩波書店}}</ref>。広義には[[語り手|ナレーター]]も含まれる。
 
音声・映像作品の[[役割]]・[[職能]]を表す場合と[[職業]]を示す意味で使われる場合がある。
なお、声優名の前に'''CV'''と付いている事が有るが、これは「'''キャラクターボイス'''('''C'''haracter '''V'''oice)」の略で、その[[キャラクター]]の声を担当する声優で有る事を表す。この言葉は[[1980年代]]後半頃に「[[ニュータイプ|月刊ニュータイプ]]」で提唱された造語であるが、その後アニメファンの間に普及した。英語で声優はvoice actorと言う。
 
==俳優と声優 概要 ==
声のみで演技する[[実演家]]であり、その出演形態は[[メディアミックス]]の発展、[[著作権]]の整備と共に、[[レコード]]、[[ラジオ]]、さらには[[テレビ]]、[[インターネット]]などへ拡大して行った。
吹き替え、声充てとは本来、[[劇団]]俳優らが声のみの出演をする仕事のことであり、便宜上「声の俳優」ということで声優という言葉を使っている。しかし、声優ブームなるものが度々起きることで「声優」という言葉が浸透してそのまま使われるようになった。そのため年配の声優の中には声優という言葉で呼ばれることに困惑する者もいる。
 
声優の命名由来は『[[読売新聞]]』の芸能記者・小林徳三郎によるものと、[[日本放送協会]](NHK)の演芸番組担当プロデューサー・大岡龍男によるものの2説があるが<ref>[[勝田久]]「声優の歴史」『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』ジ・アニメ特別編集、近代映画社、1985年、174頁。</ref>、未だに明確にはなっていない。日本でのラジオ放送が開始された[[1925年]]([[大正]]14年)には、『[[朝日新聞]]』が「いはゆる『聲の女優』――ラジオ・ドラマの女優」とした報道を行い<ref>{{Cite web|和書|title=目指せラジオ女優! 大正時代のオーディション - ことばマガジン:朝日新聞デジタル|url=http://www.asahi.com/special/kotoba/archive2015/mukashino/2014100700001.html|website=朝日新聞デジタル|access-date=2023-03-13|language=ja|first=The Asahi Shimbun|last=Company}}</ref>、翌年には、『読売新聞』が声優の呼称を使用している<ref>『読売新聞』1926年4月4日朝刊、p.10。</ref>。
例えば[[チャールズ・ブロンソン]]の吹替等で有名なベテラン、[[大塚周夫]]は声優という呼称について、別冊[[アニメージュ]]『ガンバの冒険』ムック本において、「我々は俳優であり、声による演技をしているのですから、声優という別称で呼ぶのはよくないですね」という旨のコメントを発表しており、声優を俳優と区別する風潮に強い難色を示している。
 
声優は当初、ラジオドラマに出演する舞台俳優や映画俳優、次いで[[放送局]]の[[劇団員]]であるラジオ俳優を指し<ref>{{Cite web|和書|title=講座・展示|新国立劇場情報センター|新国立劇場|url=https://www.nntt.jac.go.jp/library/library/theater_talk06_03.html|website=www.nntt.jac.go.jp|accessdate=2021-08-29}}</ref>、テレビ時代になって吹き替えを行うアテレコ俳優、さらにアニメを行う役者を指す用語として定着して行った。[[国語辞典]]の『[[広辞苑]]』(発行:[[岩波書店]])では、[[1969年]]([[昭和]]44年)の第二版からは「吹きかえ」を、[[2008年]]([[平成]]20年)の第六版からは「アニメーション」を解説文に加えている<ref>{{Cite book|和書 |title=広辞苑 第六版 |date=2008年1月11日 |publisher=岩波書店 |page=1555}}</ref>。
日本で声優の専業化が進んだ理由は、第一に[[ラジオドラマ]]全盛期に[[日本放送協会|NHK]]と[[民間放送|民放]]が自前の放送劇団を組織して専門職を育成したこと、第二にテレビの普及期はソフト不足のため海外製映画、[[海外ドラマ]]が大量に放送されて声優による吹替の需要が増大したこと、第三に[[アニメ]]ブームにより最初から声優専門の演技者を志望する者が増えたためだと考えられる。
 
[[文化庁]]の委託事業である『演劇年鑑』(発行:[[日本演劇協会]])では、平成以降、演劇の関係者に対して声優の表記も採用して行った。一例として[[小山源喜]](俳優)、[[大宮悌二]](俳優・声優)、[[巖金四郎]](声優)、[[山田康雄]](俳優)と紹介されている。[[令和]]の現在では、「俳優」「俳優、声優」「声優、俳優」「声優」を並列するようになり、[[2022年]]版では、[[若山弦蔵]]が(声優、俳優)、[[森山周一郎]]が(俳優、声優)と掲載されている<ref>{{Cite web|和書|title=主な事業 {{!}} 公益社団法人日本演劇協会|url=http://www.jtaa.or.jp/concept2.html|website=www.jtaa.or.jp|access-date=2023-02-19}}</ref>。
==声優の経歴==
現在第一線で活躍している声優の経歴を見ると、大別して4つのケースが存在する。
 
2022年(令和4年)度の[[日本芸術院]]の会員選定に際しては、[[黒柳徹子]]が『俳優』とのみ他薦された<ref>{{Cite web|和書|title=令和4年度 日本芸術院会員候補者の決定について|url=https://www.geijutuin.go.jp/info/202302000255.html|website=geijutuin.go.jp|access-date=2023-03-11|publisher=日本芸術院}}</ref>。このような経緯などから放送劇団員は声優という呼称を酷く嫌い、自らを俳優と称する者も少なくない。また、上記の山田康雄や[[内海賢二]]らも声優は声を演じる俳優、役者が行う様々なジャンルの一部分であると自薦し、『声優』という呼称は必ずしも受容されたものではない<ref>{{Cite news |title=役者としては半ちく仕事 ブーム見すえるクールな目 山田康雄 |agency=静岡新聞 |date=1979-05-27}}</ref>。
ひとつは、小中学生の頃から大手の[[劇団]]等に[[子役]]として所属し演技力を養い高校卒業と共に、あるいはそれと前後していきなり第一線で活躍するパターン。古くは[[池田秀一]]、[[中尾隆聖]]。最近は[[坂本真綾]]、[[浪川大輔]]、[[飯塚雅弓]]、[[渡辺明乃]]、[[千葉紗子]]、[[南里侑香]]、[[名塚佳織]]などがこれに当たる。
 
日本で声優の専業化が進んだ理由は、
ひとつは、高校、専門、大学卒業後に劇団で舞台役者として活動中にアニメ関係者から見出され、声優として活動するパターン。[[富野由悠季]]に見出された[[朴ロ美|朴璐美]]、[[白鳥哲]]、[[青羽剛]]、[[村田秋乃]]、[[高橋理恵子]]やそれとは別に舞台役者から声優に転向した[[生天目仁美]]などがこれらに当たる。
* ラジオドラマ全盛期に、NHKと[[民間放送|民放]]が自前の放送劇団を組織して専門職のラジオ俳優を育成したこと
* テレビの黎明期は、番組コンテンツ不足のため、[[アメリカ合衆国]]から[[テレビドラマ]]や[[アニメーション]](日本での「アニメ」とは異なる)が大量に輸入され、声優による日本語吹き替えの需要が増大したこと
* アニメやゲームの人気の高まりにより、最初から声優専門の演技者を志望する者が増えたこと
などが考えられる。
 
日本の声優の多くが加盟する[[協同組合]]・[[日本俳優連合]]には、外画・動画部会も設置され、「俳優・声優・その他の実演家」を加入対象としている<ref>[https://www.nippairen.com/form/join.html 加入案内のご請求] - 日本俳優連合の加盟申請ページ。「俳優・声優・その他[[実演家]]」と表記している。</ref>。後述のフィックス制度により[[性格俳優]]としての側面もある。また、[[アテレコ論争]]などを経て、ニュースで原稿を読み上げる[[ニュースキャスター|キャスター]]や[[アナウンサー]]など、放送・報道分野の業務に携わる者とも区別される。
ひとつは、高校卒業と同時に後述の[[専門学校]]やプロダクション直営の養成所で数年間役者としての勉強をし、見習い期間を経てデビューするパターン。学生時代にアニメを観て声優に憧れこの道を志す人間は大抵このパターン。一般人にとっては最も手の届きやすい方法であるがそれだけ倍率も高い。
 
日本国外では俳優の仕事の一部という側面が大きく、吹き替えでは[[スタンリー・キューブリック]]監督作品『[[スパルタカス (映画)|スパルタカス]]』において、故人となっていた[[ローレンス・オリヴィエ]]の声の代役を門下の[[アンソニー・ホプキンス]]が担当したエピソードなどがある。その一方で、アメリカでは声優専業の役者が増え、演技学校で声優コースを設けているところもある<ref>{{Cite web|和書|url=https://forbesjapan.com/articles/detail/25021 |title=アメリカの有名声優に日本アニメの人気や声優事情を聞いた |accessdate=2020-08-06 |publisher=フォーブスJAPAN}}</ref>。
ひとつは、元々は別の職に就いていたが転向して声優になるパターン。その中でも元[[電通]]マンの[[永井一郎]]や元[[警視庁]][[機動隊]]所属の[[若本規夫]]、あるいは[[建築]]学科を卒業してから[[銀行]]員を経て声優となった[[金田朋子]]のような完全な異種参入組とアイドルから転向した[[岩男潤子]]、[[千葉千恵巳]]、ヌードもこなすグラビアアイドルから転向した[[柚木涼香]]、レポーターだった[[かかずゆみ]]、[[松岡由貴]]など一応は芸能界に身を置いていた人間に分類される。
 
アニメーション作品ではしばしば'''キャラクターボイス'''(character voice)、略して'''CV'''という[[和製英語]]が使われる。これは[[1980年代]]後半に[[アニメ雑誌]]『[[アニメック]]』で副編集長だった[[井上伸一郎]]が提唱した用語で、その後、井上が[[角川書店]]で創刊した『[[月刊ニュータイプ]]』でも用いられている<ref>{{Cite|和書|ref=harv|title=アニメックの頃…―編集長(ま)奮闘記|author=[[小牧雅伸]]|date=2009|publisher=[[NTT出版]]|pages=210|isbn=4757142161}}</ref>。昭和時代の作品では、おもにエンディングのクレジットで「声の出演」と表記されることが多かった。
最近は俳優・女優・アーティスト業の傍ら声優として活動するケースも少なくはなく、特撮(特に変身ヒーローものではアフレコが必須で、声を当てると言う作業に慣れている人が多い)、俳優などでも活躍した後声優に転向した[[中田譲治]]と[[内田直哉]]、現在も俳優としても活動している[[小川輝晃]]、アーティストは元Changin' My Lifeの[[myco]]、[[栗林みな実]]などが声優として活動している。[[お笑い]]・[[落語]]・[[講談師]]方面では、[[林家正蔵 (9代目)|九代目林家正蔵(旧:林家こぶ平)]]、[[栗田貫一]]、[[ラサール石井]]、[[一龍斎貞友]]、[[麻上洋子|一龍斎春水(麻上洋子)]]が挙げられる。
 
[[平成]]から令和にかけての現在では、「キャスト」ないし「CAST」「CV」(キャラクターボイス)と表記されることが多くなっている。日本国外でのCVの使用例には、[[ウォルト・ディズニー・カンパニー]]で翻訳・吹き替えを担当する[[ディズニー・キャラクター・ボイス・インターナショナル]](Disney Character Voices International)などがある。
==アイドル声優==
最近では声優の仕事は多岐に渡り、声充て・吹き替えだけでなく着声、CDを出したり写真集を出したりする者もいる。また、自分がパーソナリティーを務める[[ラジオ]]番組を持つ場合も多い。このような幅広い活動を行う声優を俗に'''[[アイドル声優]]'''という。このアイドル声優は[[林原めぐみ]]が先駆けとなり、[[國府田マリ子]]、[[椎名へきる]]などでブームに火がつき、現在に至る。このため、現在の声優は、演技力のほか、ルックスの良さや歌唱力、自分自身が独特のキャラクターを持つことなど、様々な能力が求められるようになっている。
 
[[黎明期]]には顔出しNGの声優も少なくなかったが、時代が下るにつれて歌手としての活動、写真集を出すなどタレント的な活動も増えて顔出しOKの声優が増えてきている。その一方で2000年ごろからの[[#バーチャルYouTuber活動]]でみられる、他のキャラクターとして匿名的に活動する声優も出現していく。なお、現代においてはアニメ作品や[[特撮ドラマ]]作品のキャラクターの声を担当する割合が増えている点や[[テレビゲーム]]・[[オンラインゲーム]]に登場する特定のキャラクターの声を専門的に演じることが中心となっている点から「'''担当声優'''」と呼称される場合がある。
女性声優が20代早々で売れ出す例が多いのは、アイドル声優が若さを重視しているからだと考えられる。一方、男性声優はアイドル声優として売り出されることが少ないので20代で売れる例は少なく、30代になってから売れ出すという例が多い。
 
== 歴史(職能史・職業史) ==
ちなみに[[女優]]の[[仲間由紀恵]]もアイドル時代に声優の仕事をメインとしていてアイドル声優とも言える。ただし、仲間本人とファンは声優としての活動自体を忘れ去りたい過去([[黒歴史]])としての認識を持つ。
=== 声の記録・言文一致・演劇改良運動と声優 ===
作成した物語を音楽とともに語らせたものとしては[[平家物語]]などが知られているが、声を利用して創作を語る職については近世以降も[[講談]]、[[落語家]]や[[瓦版]]の[[読売]]、近代以降も[[弁士]]、[[漫談家]]などが出現していることが知られる。
 
その後[[日本]]では[[1880年代]]から[[1900年代]]にかけて、創作のソフト面での[[文明開化]]の運動が勃興する。
==オタク声優==
最近ではより強い個性ある声優が求められた結果、「ゲームオタク声優」「アニメオタク声優」「インターネットオタク声優」「ロリータ声優」「コスプレ声優」「軍事オタク声優」などが生まれつつある。
どれもジャンルを確立するほど定着したわけではないが、やたらゲームに詳しかったり、アニメに詳しかったり、コスプレをしたり、鉄道や軍事に詳しかったり、プラモデル制作に命を奉げていたりする。
時には延々とボーイズラブゲームを語ったり、紅茶だけで何時間も話したりする声優もいる。
またこう言った声優はレイヤー上がり(コスプレイヤーを実際にやっていた経験がある声優)であったり、世界最大とも言える同人誌即売会コミックマーケットにサークル参加していた人物が声優をしていたりする。
中には[[堀江由衣]]の自室の事など私生活の乱れ具合を披露したり、[[関智一]]のように卑猥な単語を連発して夢をぶち壊す事で逆に人気を得ている声優もいる。
ただ、卑猥な単語を連発し過ぎて事務所を追い出された声優もいる。
アイドル声優との違いは、その「はっちゃけぶり」であり、事務所との軋轢をどう回避しているのか疑問に思う程の強烈な個性である。
オタク声優の代表例としては[[桃井はるこ]]が挙げられる。
 
講演した話を記録するという面では、[[1877年]]([[明治]]10年)12月6日、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で[[トーマス・エジソン]]が世界初の[[録音]]・再生式の[[蓄音機]]を発明する<ref>{{Cite web|和書|title=一般社団法人 日本オーディオ協会 {{!}} カテゴリー {{!}} 音の日 |url=https://www.jas-audio.or.jp/events_cat/sound-day |website=www.jas-audio.or.jp |access-date=2023-08-10}}</ref>が、日本では[[1884年]](明治17年)に[[三遊亭圓朝]]の演述を記録した『[[牡丹灯籠|怪談牡丹燈籠]]』など、[[速記本]]という書物が刊行されている<ref>{{Cite web |title=怪談牡丹燈籠 第1編 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/891188 |website=dl.ndl.go.jp |access-date=2024-04-23 |publisher=国立国会図書館デジタルコレクション}}</ref>。
===ネトゲ廃人声優===
[[File:Sadayakko and Otojiro Kawakami.jpg|right|120px|thumb|[[川上貞奴]]、[[川上音二郎]]]]
オタク声優の派生で、ゲームはゲームでもオンラインゲームに没頭しすぎるという極めて稀なケースも存在する。
[[1900年]](明治33年)、欧米を洋行中であった[[川上音二郎]]一座は、訪問先の[[パリ万国博覧会 (1900年)|パリ万国博覧会]]で日本人最古となる録音盤の収録を行う。書生芝居の幕間に演じられた『[[オッペケペー節]]』をはじめとする多種多様な演目を録音した<ref>{{Cite journal|和書|author=都家歌六 |year=2000 |url=https://doi.org/10.1541/ieejjournal.120.133 |title=日本人最古の録音盤発見記 |journal=電気学会誌 |ISSN=1340-5551 |publisher=電気学会 |volume=120 |issue=3 |page=133 |doi=10.1541/ieejjournal.120.133 |naid=10005310269 |CRID=1390001204996067456}}</ref><ref>[[新派劇]]の父である川上は[[1903年]](明治36年)に正劇運動と称して、『[[オセロー|オセロ]]』、『ハムレット』、『[[ヴェニスの商人]]』などの翻案劇を上演する。{{Cite web|和書|title=No.151 川上音二郎とその時代 {{!}} アーカイブズ {{!}} 福岡市博物館 |url=https://museum.city.fukuoka.jp/archives/leaflet/151/index.html |website=museum.city.fukuoka.jp |access-date=2023-03-18}}。このときのせりふとしぐさを主とする[[ストレートプレイ]]は、[[新劇運動]]の萌芽となった。</ref>。その後[[1910年]](明治43年)になると、日本初の[[レコード会社]]が発足する。歌舞音曲など[[演芸]]の[[録音]]が普及した。そして[[1925年]]([[大正]]14年)には、日本初の[[ラジオ放送]]が開始する。舞台劇、映画劇、放送劇の演者の声や音が、[[音波]]を利用して届けられたのである。
主に[[MMORPG]]の[[ラグナロクオンライン]]にその傾向が極めて高い。それがきっかけで管理会社から関連番組への出演を要請されるというその人にとっては嬉しい誤算もある。
代表例は[[緑川光]]、[[植田佳奈]]が挙げられる。
 
[[File:Tsubouchi Shoyo (before1909).png|left|120px|thumb|[[坪内逍遥]]]]
==女性向けゲームと男性声優==
また、[[口語]]と[[文語]]を統一するために[[言文一致運動]]が起こり、[[1885年]](明治18年)、[[坪内逍遥]]が[[日本の近現代文学史]]の本格的な始まりを告げた『[[小説神髄]]』を著し、[[1887年]](明治20年)、[[二葉亭四迷]]が『[[浮雲 (二葉亭四迷の小説)|浮雲]]』を著す。これらは日本の近代的な[[小説]]の嚆矢となったほか、人が声を発して物語を伝える演劇方面に発生への影響を及ぼす{{efn2|坪内逍遥はその後も[[シェイクスピア]][[戯曲]]の[[翻訳]]や歌舞伎演目『[[桐一葉]]』の創作、[[森鷗外]]との没理想論争など明治期の文芸演劇界で幅広く活躍した<ref name="bunzin">坪内逍遥 文人の世界、[[植田重雄]]、垣文社、1998年、pp.113-128。</ref>。 演劇改良運動に取り組んでいた[[市川團十郎 (9代目)|市川團十郎]]との初対面では、『[[ハムレット]]』を引き合いに出して、西洋演劇におけるエロキューション{{enlink|elocution}}の効能を紹介している。
男性声優は女性声優に比べ、アイドルとして売り出すには客層が男性中心でファンが掴み辛く
{{Quotation|ハムレットのやうな怖しく葛藤つた胸の惱みを言ひあらはす白は、言ひかたによつては非常に趣味も深く、感動も强からうと思ふ。實際は口へ出して言はぬ事を獨白で言はせ、そして自然らしく見せる所に演劇の本領がある。劇は必ずしも寫實を要しない。尤も、只素讀をするやうに一本調子で言つてしまへば、何の含蓄もなからうが、一語々々の深い意味を十分に味はせるやうに、且つ如何にも自然らしく言ひ廻すことが出來たなら、そこにこそ眞に微妙な演技があるので、その複雑な、精緻な味ひは迚も思入れだけでは現せるものではあるまい。外國でエロキューションに重きを置くのは是れが爲である。|坪内逍遥『九世市川團十郞、五世菊五郞』<ref name="syouyou">{{Cite book|和書|author=坪内逍遥, 逍遥協会 |title=逍遙選集. 第12巻 |publisher=第一書房 |year=1977 |edition=復刻 |NCID=BN01432061 |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1174903 |pages=397-404}}</ref>}}}}
また男性声優としての(商売と連動した)振る舞い、商業スタイルが確立されていなかった。
 
1891年に坪内逍遥は[[東京専門学校]](現:[[早稲田大学]])の[[文学部]]において、[[饗庭篁村]]の新作院本を[[脚本]]として採用された[[朗読]]の研究会を開催すると、朗読法を巡って森鷗外と逍遥の間で論争が起こる<ref>{{Cite journal|last=Kobayashi|first=Yoshie|last2=小林|first2=良枝|date=2012-03-25|title=国語教育と朗読|url=https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/16299|language=ja}}</ref>。[[1892年]](明治25年)、[[山田美妙]]が『[[日本大辞書]]』を著す。[[アクセント]]を注記した近代日本初の[[国語辞典]]となった<ref>{{Cite web |title=日本大辞書 第1巻 あ |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/992942 |website=dl.ndl.go.jp |access-date=2025-04-26 |publisher=国立国会図書館デジタルコレクション}}</ref>。[[1902年]](明治35年)、[[文部省]]が[[国語国字問題]]の解決を目的として、国語調査委員会を設置する。[[1906年]](明治39年)、坪内逍遥と[[島村抱月]]が[[文芸協会]]を設立している<ref name="bunzin"/>。[[1916年]](大正5年)になると、文部省が『口語法』(編纂:国語調査委員会)を公刊する。話し言葉の[[規範文法]]を提示した<ref>{{Cite web|和書 |title=口語法 - 国立国会図書館デジタルコレクション |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/1870063/1/1 |website=dl.ndl.go.jp |access-date=2023-06-24 |publisher=国立国会図書館}}</ref><ref>[[1923年]](大正12年)、[[大正自由教育運動]]の只中も、坪内逍遥が『児童教育と演劇』を、[[小原國芳]]が『学校劇論』を発表するが、この翌年、文部省が[[学校劇]]の禁止を通達している。1924年(大正13年)10月18日に、文部大臣の岡田良平による「学校劇禁止令」でこれは、大正自由教育の影響で広まっていた学校劇を、質実剛健の気風に反するものとして、公立学校において禁止するという内容であり、この通達は、当時の時代背景や教育方針を反映したもので、自由な表現活動を制限するものであったが、私立学校は対象外であった</ref>。
しかし、転機は 1993年のゲーム会社大手[[コーエー]]の戦略で訪れる。
当時の副社長 襟川恵子 氏が女性向けのゲームを開発するよう指示。
女性向けの恋愛シミュレーションゲーム開発グループ、[ルビー・パーティー]が結成された。
[[ルビー・パーティー]]は「[[アンジェリーク]]」、「[[遥かなる時空の中で]]」、「[[金色のコルダ]]」と言ったヒット作を生み出す。
それに伴い、女性向けゲームに出演する男性声優も商業スタイルが確立。
ゲーム中のキャラを演じながらのライブ音楽、またゲームに連動したアニメ作品と言った形で人気を博す男性声優が出てくる。
 
[[File:Osanai Kaoru in November 1909.jpg|left|120px|thumb|[[小山内薫]]]]
この男性声優の活躍と共に、女性向けのアニメ、ゲームも増える。
演劇と演技においても、[[1886年]](明治19年)には、[[歌舞伎]]の[[近代化]]を志向した[[演劇改良運動]]がおこり、演劇改良会が結成されているし、[[1888年]](明治21年)には、[[角藤定憲]]らが大日本壮士改良演劇会を結成する。[[1889年]](明治22年)、[[歌舞伎座]]が開場する。[[1891年]](明治24年)になると、[[伊井蓉峰]]が[[依田學海]]の後援を得て、男女合同改良演劇・済美館を興す。[[寛永]]6年([[1629年]])に女性芸能が禁止されて以来、262年ぶりに男女共演が実現し、千歳米坡が女優として公演した。ここから日本において女性が女性を演じる女優が出現することになるが、1902年になると女優養成を目的に、[[市川九女八]]、[[若柳燕嬢]]らが女優学校を設立。[[1908年]](明治41年)には[[川上貞奴]]も帝国女優養成所(後:帝国劇場付属技芸学校)を、[[藤沢浅二郎]]が東京俳優養成所(後:東京俳優学校)を設立、これらは徒弟制度で養成していた近世以前の演劇人とは一線を画し、後の養成所の先駆けともなる<ref>[[1905年]](明治38年)、中村翠娥、市川九女八、千歳米坡、若柳燕嬢らが女優大会を興行する。</ref>。
また最近では[[ヤオイ]]方面の作品に進出する男性声優も多い。
 
[[File:Imperial Theater, Tokyo (1915-05 by Elstner Hilton).jpg|right|150px|thumb| [[帝国劇場]]]]
==エロゲ声優・エロアニメに出演する声優==
[[File:Tsukiji Little Theater.JPG|left|150px|thumb|[[築地小劇場]]]]
エロゲ声優とは、[[アダルトゲーム]]、[[18禁アニメ]]で活躍する声優の事である。
[[1909年]](明治42年)、[[小山内薫]]と[[市川左團次 (2代目)|市川左團次]]が[[自由劇場]]を設立すると、男女共学の文芸協会付属演劇研究所が設立されている。
現在、アニメの声優として有名な声優の中にはかつてこれらのゲーム、アニメに出演していた人物も居る。
[[1911年]](明治44年)、[[帝国劇場]]が開場し<ref>5月には、文芸協会がシェイクスピア戯曲『ハムレット』を上演した。日本初の全幕上演となった本公演には[[夏目漱石]]も招待された。{{Cite web|和書|title=漱石全集 第9巻(小品・評論・雑篇) |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/957313/1/440 |website=dl.ndl.go.jp |access-date=2023-03-18 |publisher=国立国会図書館デジタルコレクション}}。11月には、[[ヘンリック・イプセン|イプセン]]戯曲『[[人形の家]]』が上演されている。{{Cite web|和書|title=東宝(株)帝国劇場『帝劇の五十年』(1966.09) {{!}} 渋沢社史データベース|url=https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=14940|website=shashi.shibusawa.or.jp|accessdate=2021-02-11}}。好評を博した新劇女優の[[松井須磨子]]は、文芸協会付属演劇研究所の1期生であった{{Cite web|和書|title=松井須磨子 {{!}} 近代日本人の肖像|url=https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/332/|website=www.ndl.go.jp|accessdate=2021-02-11|language=ja}}。また、2期生からは[[新国劇]]の創設者となる[[澤田正二郎]]が輩出されている。</ref>、[[1924年]](大正13年)には、日本初の新劇の常設劇場である[[築地小劇場]]が開場する<ref>創立同人に小山内薫、[[土方与志]]、[[浅利鶴雄]]、[[友田恭助]]ほか。研究生1期生(座員)に[[千田是也]]、[[山本安英]]、[[田村秋子]]、[[丸山定夫]]、後に[[滝沢修]]、[[杉村春子]]、[[東山千栄子]]、[[薄田研二]]らを輩出した。{{Cite web|和書|title=Web資料集〈要点〉日本演劇史〜明治から現代へ〜 |url=https://www.nntt.jac.go.jp/centre/library/list/ |website=新国立劇場 |accessdate=2023-03-19 |language=ja}}</ref>。築地小劇場を中心に展開された新劇論争の中では、特に重要視されたのが演者の生の[[感情]]や[[個性]]を表現すること、演者が舞台上で[[肉声]]で表現することが重視され、従来の形式的な演劇に対し、よりリアルで自然な演技を追求する動きとして現れる。日本においてこれまでの俳優の演技や[[舞台芸術]]に対する意識の変化は、のちの声優の活動にも影響を及ぼす。そして従来の日本の[[戯曲]]を批判する等、小山内薫の方針は既成の劇文壇の[[反発]]を招き、築地小劇場論争が勃発するが、『演劇新潮』の同人を中心に[[菊池寛]]、[[久保田万太郎]]、[[岸田國士]]などが参加したこの一件は、その後の日本文学史、演劇史のみならず、さらには映画史、放送史などにも影響を与えて行く事となる<ref>{{Cite journal|和書|author=曽田秀彦|date=1997-03-26|title=幻の『蝙蝠座』覚書-小山内薫とニキタ・バリエフ-|url=https://hdl.handle.net/10291/15978|journal=大正演劇研究|volume=6|pages=2 - 18|id={{CRID|1050294584547928704}}|publisher=明治大学大正演劇研究会}}</ref>{{efn2|
そう言う人物の大半はエロゲ声優の時の芸名とアニメ声優の時の芸名を変えており、
{{Quotation|築地小劇場は――総ての劇場がそうであるように――演劇の為に存在する。<br>築地小劇場は演劇の為に存在する。そして、戯曲の為には存在しない。<br>戯曲は文学である。文学の為に存在する機関は新聞である、雑誌である、単行本である――印刷である。<br>文学の為に存在するものは劇場ではない。<br>戯曲――即ち文学――を味わうには、閑寂な書斎ほど好いところはない。|小山内薫『築地小劇場は何の為に存在するか』<ref name="osanai">小山内薫 演劇新潮八月号 1924年、小山内薫演劇論全集 第2巻、[[未來社]]、1965年、pp.48-49。</ref>}}}}。
声優のファンも大声でその事を指摘したりはしないことがマナーになっている。
 
=== レコード演芸・トーキー時代の声優 ===
エロゲ、と言うと汚れのイメージがつき、声優事務所もエロゲに参加している事を声優が公言する事はやめるように言っている。
明治の末になると[[ハード]]面での近代化が進む。[[1910年]](明治43年)、日本で最初の[[レコード会社]]が設立されている。[[1913年]]([[大正]]2年)、島村抱月と松井須磨子が[[芸術座 (劇団)|芸術座]]を結成する<ref name="higeki">逍遥、抱月、須磨子の悲劇 新劇秘録、[[河竹繁俊]]、毎日新聞社、1966年、pp.139-156。</ref>。[[1914年]](大正3年)の第3回公演では、抱月の再脚色において[[レフ・トルストイ|トルストイ]]の小説『[[復活 (小説)|復活]]』を上演した<ref>{{Cite book|和書 |author=トルストイ 作, アンリ・バタイユ 脚色, 島村抱月 再脚色 |title=復活 |publisher=新潮社 |year=1914 |doi=10.11501/947563 |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/947563 |accessdate=2022-11-22}}</ref>。須磨子が歌唱した劇中歌『[[カチューシャの唄]]』はレコード販売もされ、近代日本初の流行歌となった<ref>{{Cite web|和書 |title=「カチューシャの唄」100年 - ことばマガジン:朝日新聞デジタル |url=http://www.asahi.com/special/kotoba/ |website=朝日新聞デジタル |accessdate=2021-02-11 |language=ja |first=The Asahi Shimbun |last=Company}}</ref>。同盤には歌唱だけでなく第三幕の科白の一節も収録された。そして同年10月、シェイクスピア戯曲『[[アントニーとクレオパトラ]]』が抱月の改作により上演され<ref>{{Cite web|和書 |title=クレオパトラ : シヱイクスピア作 - 国立国会図書館デジタルコレクション |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/985928 |website=dl.ndl.go.jp |accessdate=2021-02-11 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=水野義一|year=1972|title=本邦上演の英国劇(二)|url=https://doi.org/10.5024/jeigakushi.1972.91|journal=英学史研究|volume=1972|issue=4|pages=91-103|publisher=日本英学史学会|doi=10.5024/jeigakushi.1972.91|issn=0386-9490|naid=130003624670}}</ref>、公演後には出演者が録音スタジオに集まり舞台の粋を収録している。これは科白のみの[[オーディオドラマ]]であり、12月には「沙翁劇『クレオパトラ』」として発売された<ref>{{Cite web|和書 |title=元祖「歌う女優」 松井須磨子、幻の音源 研究家発見 107年前収録:東京新聞 TOKYO Web |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/81134 |website=東京新聞 TOKYO Web |accessdate=2021-02-11 |language=ja}}</ref>。
また声優の同意も無く、勝手に芸名が変わってしまうと言う事も多い。
だが最近のエロゲ声優はむしろ開き直る傾向が強く、堂々とエロゲ声優をやっていると宣言し、自らホームページを立ち上げる人も多い。
エロゲ自体の性質もストーリー重視に変化してきて、またエロゲがアニメ化される事も頻繁なことから、むしろエロゲを誇りとすら言う声優も一部だがいる。
 
大正時代(1912年〜1926年)には[[中村鴈治郎 (初代)|中村鴈治郎]]、[[松本幸四郎 (7代目)|松本幸四郎]]、[[市村羽左衛門 (15代目)|市村羽左衛門]]、[[成美団]]、[[曾我廼家五郎|曾我廼家一座]]、[[宝塚少女歌劇]]、[[浅草オペラ]]なども音源を残している<ref>{{Cite web|和書 |title=参考文献 - 「本の万華鏡」第10回「はやり病あれこれ」 |url=https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/10/3.html#anchor3 |website=「本の万華鏡」第10回「大正デモクラシーとメディア」 |access-date=2022-04-17 |language=ja |publisher=国立国会図書館}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=大西秀紀|date=2018-04|title=東洋蓄音器( オリエントレコード) の社史調査とディスコグラフィの作成|url=http://id.nii.ac.jp/1290/00000126/|publisher=京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター}}</ref>。
なお、エロゲ声優の全てがエロゲに出演している事に肯定的評価をしているわけではないので
(仕事上の理由や演技力向上の為にやっている声優もいる)エロゲ声優に接する場合は言動に注意する事。
また明らかに某エロゲ声優の声と一緒なのに、名前を変えて別作品に出演している声優には黙して温かくそれを見守る事が要求される。
 
劇場アニメでは、[[1933年]](昭和8年)には日本初の[[トーキー]]の短編アニメーション映画『力と女の世の中』が公開。アニメキャラクターに声をあてたのは、喜劇役者の[[古川ロッパ]]をはじめとする映画俳優達だった。[[1942年]](昭和17年)には[[中国]]の長編アニメーション映画『[[西遊記 鉄扇公主の巻|西遊記・鉄扇姫の巻]](鉄扇公主)』が日本で公開され、[[活動弁士]]出身の[[徳川夢声]]、[[山野一郎]]などが声をあてた。[[第二次世界大戦]]後に発足した[[東映アニメーション|東映動画]]により日本でもコンスタントにアニメ映画が製作されるようになると、映画俳優、コメディアン、放送劇団員が使われた。
==プロダクションの得意分野==
声優の[[芸能プロダクション|プロダクション]]は会社によって得意分野が違っていて、声優の仕事は所属プロダクションの得意分野に左右されることが多い。プロダクションの得意分野を挙げると、アニメは[[アーツビジョン]]、[[アイムエンタープライズ]]、[[吹き替え]]、[[ボイスオーバー]]は[[マウスプロモーション]]、[[劇団]]([[文学座]]、[[青年座]]、[[演劇集団「円」]]、[[昴]]など)、ナレーションは[[青二プロダクション]]、[[シグマ・セブン]]、NHK製作番組は[[81プロデュース]]、CMは[[大沢事務所]]とされている。
 
洋画の吹き替えでは、[[1931年]]の米映画『再生の港』が初の日本語吹き替え作品だが、起用された在米邦人の広島訛りが不評で後が続かなかったという<ref>清水俊二 『映画字幕五十年』早川書房、1987年、p.76。</ref>。
このため、いくら実力がある声優でも所属プロダクションの得意分野以外の仕事は取りにくいことがある。例えば、吹き替えは実力のある声優が起用されることが多いが、アニメで実力がある声優でも吹き替えの仕事が取りにくいプロダクションに所属していれば吹き替えに起用されることは少なく、逆に実力に乏しい若手声優でも吹き替えの仕事が取りやすいプロダクションに所属していれば吹き替えに起用されることがある。
 
=== ラジオドラマ流行時の声優 ===
==声優と芸能界==
[[File:Tokyo broadcasting station in Atagoyama.jpg|right|190px|thumb|愛宕山の東京放送局]]
アニメファン・声優ファンは歌手や[[タレント]]を「[[芸能人]]」と呼んで区別することが多い。声優も芸能人の一種であるが、声優はアニメ、映画の吹き替え中心で独自の発展を遂げたことが区別する理由だと考えられる。声優は[[地下アイドル]]や[[お菓子系アイドル]]同様一般の芸能人と区別される存在であるといえる。
[[1925年]](大正14年)3月、NHKの前身である社団法人東京放送局が日本初のラジオ放送を開始する<ref>{{Cite thesis|和書|author=西沢実 |url=https://doi.org/10.11501/3165139 |title=創始期ラジオドラマとラジオドラマの「ことば」研究 |volume=日本大学 |series=博士(芸術学) 乙第5623号 |year=2000 |doi=10.11501/3165139 |id={{naid|500000186018}}}}</ref>。そのわずか1か月後に『映画劇せりふ』の番組内で[[サイレント映画]]『大地は微笑む』のセリフ劇が放送された。このときの声の出演は新派劇俳優の[[井上正夫]]、女優の[[栗島すみ子]]などであった。専門職としてではないが、実質的に彼らが「日本で最初の声優」である<ref>[https://web.archive.org/web/20130719071508/http://www12.ocn.ne.jp/~kanedoko/syh.htm “声優”の歴史をひもとく頁]「いにしへの声優列伝」内。</ref><ref group="注">ただし、これは無声映画作品に声をつけたものとして放送されており、本格的なラジオドラマとは質が異なる。</ref>。
 
7月には舞台中継をスタジオで再現した『桐一葉』(出演:[[中村歌右衛門 (5代目)|中村歌右衛門(5代目)]]など)が、さらに日本初の本格的な[[ラジオドラマ]]として『大尉の娘』(出演:井上正夫、[[水谷八重子 (初代)|水谷八重子]])が放送される。8月に小山内薫の演出、[[和田精]]の[[音響効果]]で放送された『炭鉱の中』とする説もある<ref>{{Cite web|和書|title=炭坑の中|url=https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009060004_00000|website=テレビ60年 特選コレクション {{!}} NHKアーカイブス|accessdate=2021-02-11|language=ja|last=NHK}}</ref>。出演者の一人であった山本安英は後に東京放送劇団の指導者を務めている。
歌手やタレントは知名度を期待されてアニメや吹き替えで重要な役の声優に起用されることがあるが、演技が下手なことが多いため、実際に声の出演の訓練を受けキャリアを積んだ俳優・声優が軽視されていると批判する意見が多い。特に[[スタジオジブリ]]制作のアニメ作品は[[日本映画]]トップクラスの観客動員数を誇るだけに、歌手やタレントの声優起用が毎回批判の的になることが多い。
 
8月、東京放送局にラジオドラマ研究会が設立される。[[長田幹彦]]、小山内薫、久保田万太郎、[[久米正雄]]、[[長田秀雄]]、[[吉井勇]]の6人を主要メンバーとした<ref>{{Cite web|和書|title=春陽堂とラジオドラマ 第二回 春陽堂とラジオドラマ研究会 {{!}} 春陽堂書店|url=https://www.shunyodo.co.jp/blog/2018/10/radio-drama_2/|website=www.shunyodo.co.jp|date=2018-10-12|accessdate=2021-02-14|language=ja|last=春陽堂書店編集部|publisher=}}</ref>。さらに聴取者の獲得の為に著名な文士に一編五百円で脚本を委嘱する。当時の五百円は一軒家が建つほどの金額であり<ref>{{Cite web|和書|title=港区ゆかりの人物データベースサイト 文士とラジオドラマ?放送局に集った若き才能|url=https://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/trivia-detail.cgi?id=14|website=www.lib.city.minato.tokyo.jp|accessdate=2021-02-14|archiveurl=https://web.archive.org/web/20071024060306/https://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/trivia-detail.cgi?id=14|archivedate=2007-10-24}}</ref>、2年間で「五百円ドラマ」に脚本を寄せた文士の顔ぶれは[[里見弴]]、[[松居松翁]]、小山内薫、長田秀雄、吉井勇、久保田万太郎、岸田國士、菊池寛、[[山本有三]]、[[中村吉蔵]]、[[岡本綺堂]]の11人であった<ref>{{Cite web|和書|title=平成22年度 日本脚本アーカイブズ特別委員会 調査・研究報告書|url=http://www.hosakkyo2012.jp/協会のこれまでの活動/日本脚本アーカイブズ/過去の活動報告/|website=一般社団法人 日本放送作家協会|accessdate=2021-02-14|language=ja-JP|publisher=}}</ref>。
有名芸能人の中には若手の頃の声優の仕事を無かったことにしている人も見られる。
 
9月、東京放送局は声だけで演技を行う専門の俳優としてラジオドラマ研究生を公募<ref>{{Cite web|和書|title=目指せラジオ女優! 大正時代のオーディション - ことばマガジン:朝日新聞デジタル|url=http://www.asahi.com/special/kotoba/|website=朝日新聞デジタル|accessdate=2021-11-11|language=ja|first=The Asahi Shimbun|last=Company}}</ref>。100名あまりの応募者のうち12名の女性が選ばれ、11月にラジオドラマ『太っちょう』に声をあてる。声優の歴史に関する多くの資料では彼女たちが「日本の声優第1号」とみなされている。この当時は新聞では「ラヂオ役者」と呼称していた{{Refnest|group="注"|後述するように『読売新聞』では1926年の時点で「声優」という言葉が使われていた。}}。
歌手やタレントが知名度を期待されて声優に起用されることがある反面、[[芸能プロダクション]]は声優のマネジメントには消極的である。それでも声優ブームに乗って声優のマネジメントに進出した芸能プロダクションも存在し、[[田辺エージェンシー]]は[[小西寛子]]を所属させたが上手く行かなかった。[[サンミュージックプロダクション]]は[[松本梨香]]を所属させ、中嶋ミチヨら所属タレントもアニメに出演させたが結局上手く行かず、[[寺田はるひ]]、[[こやまきみこ]]は声優のプロダクションに移籍してしまった。タレント一人二人を声優にしただけでは上手く行かないようである。また、[[池澤春菜]]は[[オスカープロモーション]]に移籍したが、最近では「声優」と言うより「『フランス語会話』のアシスタント」と言う方が通じやすい。
 
初期のラジオドラマには[[汐見洋]]や東山千栄子など、この前年に開場した築地小劇場の俳優が多く出演していた<ref>{{Cite journal|和書|author=森川友義, 辻谷耕史 |date=2002-11 |title=声優の誕生とその発展 |journal=メディア史研究 |ISSN=13438107 |publisher=ゆまに書房 |volume=13 |page=62 |naid=40005556004 |CRID=1521136280619311360}}</ref>。
<!--なお芸能プロダクションは過去あるいは、現在でも[[暴力団]]と結びつきが強い事が多いのに対し、声優のプロダクションは暴力団とは実に厳しく線分けされていることも付け加えておきたい。-->
 
[[1928年]]([[昭和]]3年)、小山内薫が急逝する。今後の方針から築地小劇場が分裂すると[[1930年]](昭和5年)、[[新興芸術派倶楽部]]が結成されている。芸術価値の自律性を擁護して、『文学』からは[[小林秀雄 (批評家)|小林秀雄]]、[[神西清]]、蝙蝠座からは[[今日出海]]など32名が参加した。また、蝙蝠座の院外団員には小林の他に菊池寛、岸田國士も参加していた<ref>{{Cite journal|和書|author=中野正昭|date=1999-09-30|title=蝙蝠座-演劇と昭和モダニズム-|url=https://hdl.handle.net/10291/7310|journal=文学研究論集(文学・史学・地理学)|volume=11|pages=119 - 137|issn=1340-9174|id={{CRID|1050576059523566720}}|publisher=明治大学大学院}}</ref>。
===声優界と芸能界の事務所移籍や扱いについて===
芸能人(ここで言う芸能人に声優は含まれない)は、存在その物が商品である為、事務所移籍には厳しい条件、時に契約違反として莫大な制裁金などが発生する。
これと比較し、声優業界は基本的に移籍の制限は厳しく無い。(もちろん一般的に、と言う意味であり例外もある)
また移籍したからと言って事務所がアニメの大手スポンサーに圧力をかけて仕事を妨害すると言うような事も無い。
さらにアニメなどでは長年声優をやっているから、などと言う理由では採用されず、作品世界に適合した声や演技力を持つ人物が採用される傾向が強い。
大物声優でも選考オーディションを普通に受けるのが、芸能界とは違うところである。
ただし、視聴率を取りやすい人気声優、アイドル声優は比較的集中的にキャスティングされることもあり、出演作が続くこともある。これによって作品の多さの割に代わり映えのないキャスティングということも多々ある。
 
[[File:Scene from a Radio Drama Broadcast.jpg|left|190px|thumb|『ラジオ・ドラマ講座』(1952年)より]]
===日本武道館の声優コンサートの成功、芸能界の驚愕===
[[1931年]](昭和6年)、久保田万太郎が日本放送協会の文芸課長に就任する。久保田は文芸路線を掲げて、夏目漱石や[[泉鏡花]]、[[ジュール・ルナール|ルナール]]や[[ヴィクトル・ユーゴー|ユーゴー]]などの国内外の[[文学]]のラジオドラマ化を推進した。また、久保田の演劇界での人脈を活用して井上正夫、[[喜多村緑郎 (初代)|喜多村緑郎]]、[[村瀬幸子]]、田村秋子、友田恭助などの新派や新劇で第一線の俳優を起用している<ref>{{Cite web|和書|title=春陽堂とラジオドラマ 第一回 娯楽としてのドラマ {{!}} 春陽堂書店|url=https://www.shunyodo.co.jp/blog/2018/09/radio-drama_1/|website=www.shunyodo.co.jp|date=2018-09-28|accessdate=2021-02-14|language=ja|last=春陽堂書店編集部|publisher=}}</ref>。[[1938年]](昭和13年)8月、退任。
日本武道館でコンサートをして成功させるには、知名度だけではなく、熱烈なファンの獲得と歌唱力、演技力、人物的魅力など総合的な能力が必要とされ、大物芸能人(ここで言う芸能人に声優は含まれない)でも滅多に成功出来ない。
よって、日本武道館のコンサートで成功させることは大物であると言う事を内外に示す意味も持つ。
20年以上芸能界に在籍する人でも日本武道館でコンサートを成功させるのは難しいと言われたが、
声優[[椎名へきる]]の成功は声優界、芸能界の両方に衝撃を与えた。
 
日本放送協会の文芸課職員であった小林徳二郎は後に「これは新劇の俳優が商業劇場に出演できなかった当時では、ラジオ放送だけにしか行い得ないことで、久保田の手腕によるものであった。いまでいえば久保田課長は芸術面ばかりでなく、政治力を兼ねた名プロデューサーであった」とその意義を述べている<ref>{{Cite journal|和書|author=本間理絵 |title=近代メディアミックスの形成過程:―春陽堂書店とラヂオドラマ研究会との連携を中心に |journal=出版研究 |issn=0385-3659 |publisher=日本出版学会 |year=2017 |volume=48 |issue=0 |pages=85-108 |naid=130007932126 |doi=10.24756/jshuppan.48.0_85 |url=https://doi.org/10.24756/jshuppan.48.0_85}}</ref>。ラジオドラマの総放送回数は1938年(昭和13年)までの13年で750回を数えるまでに成長した。
特に声優界では、この[[椎名へきる]]の成功から一気にアイドル声優が次々と誕生し、
次々と日本武道館コンサートで成功させると言う「アイドル声優ブーム」を生み出した。
逆に芸能界では日本武道館コンサートを成功させることは依然として難しく、声優業界に謙虚に学ぼうと言う人から、たかが声優と反発する人まで様々な意味で芸能界に衝撃を与えた。
アイドル声優ブームの絶頂期は過ぎた物の、アイドル声優自体は毎年新しい人物が登場し、むしろその影響力は拡大している。
 
この頃(おもに[[1930年代]])に活躍していた者として舞台女優の[[飯島綾子]]が挙げられる{{Refnest|group="注"|村田美弥子(当時は村田美禰子)、村田竹子(いずれも女優・[[村田嘉久子]]の妹)とともに「スター」として取り上げられていた<ref>読売新聞 1930年(昭和5年)1月6日付朝刊。</ref>。}}。彼女はラジオドラマのほかに[[日本舞踊家]]や[[歌手]](流行歌・歌謡曲・童謡オペレッタ)としても多彩な活動をしていた。
===芸能人のファンと、声優のファンの違い===
芸能界では主に芸能人を「高嶺の存在」とすることでファンを得てきたが、声優は芸能人以上に狭い部分をターゲットとするので「身近な存在」とすることでファンを得てきた。しかし、それは熱烈なファンを大量に産むと言う手法として確立し、特にアイドル声優に直接関連する商品(直筆サイン等)は高騰した。またその熱烈なファンの結集が膨大なエネルギーとなり声優の成功へ導かせ、結果として芸能界でさえ難しいと言われた日本武道館コンサートで成功する声優を次々と生み出した。つまり、声優以外の芸能人の人気は浅く広くであり、声優はその範囲の狭さを深さでカバーしていると考えればよい。前出のオタク声優、ネトゲ廃人声優などは、この親近感を与えるための存在であるといえる。
 
[[1932年]](昭和7年)、日本初のアクセント専門の辞書である『国語発音アクセント辞典』が刊行されている。この頃、ラジオの普及率は10%前後であり、東京語に不慣れな全国の国語教員を主な対象として、話し言葉の統一、発音統一を目指して編纂された<ref>{{Cite web|和書|title=アクセント辞典の誕生|NHK放送文化研究所 |url=https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20080130_5.html |website=NHK放送文化研究所 |access-date=2022-12-02 |language=ja}}</ref>。執筆者の一人であった[[言語学者の一覧|言語学者]]の[[神保格]]は、後述の調査委員会の委員や東京放送劇団の講師も担当している。[[1933年]](昭和8年)、文部省が[[国定教科書]]である[[小学国語読本]]において、劇教材を導入する<ref>{{Cite journal|last=Kurokawa|first=Takahiro|last2=黒川|first2=孝広|date=2007|title=国民学校国民科国語の研究 : 言語活動主義と軍国主義の相克 早稲田大学大学院教育学研究科博士学位審査論文|url=https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/10857|language=ja}}</ref>。国語科の編纂方針では、「国語教育と劇との関係は、非常に大切であり、是が効果もあらゆる方面から見て重要性を持つてゐる」との見解が反映された。また、義務教育の最終学年度では、シェイクスピア戯曲『[[リア王]]』が採用されている<ref>{{Cite web |title=小学国語読本尋常科用(国定読本第4期) {{!}} 日本語史研究資料 [国立国語研究所蔵] |url=https://dglb01.ninjal.ac.jp/ninjaldl/bunken.php?title=kokutei4 |website=dglb01.ninjal.ac.jp |access-date=2024-01-08 |language=ja}}</ref>。同年、坪内逍遥がシェイクスピア戯曲の改訳を行う(〜1935年刊行)。更に新修に合わせて、翻訳者自身の手によるレコード吹き込みを実施している。『ハムレット』、『ヴェニスの商人』の朗読は、[[日本コロムビア]](設立:1910年)から販売された<ref>{{Cite web |title=シェイクスピア[作詞] ほか『朗読:ハムレット(生死疑問独白の場)(一)』,コロムビア(戦前) |url=https://rekion.dl.ndl.go.jp/pid/1316207 |website=rekion.dl.ndl.go.jp |access-date=2024-02-27 |publisher=国立国会図書館デジタルコレクション}}</ref>。
==近時の声優の立場など==
近年は[[メディア (媒体)|メディア]]発達等により舞台公演等に行かなければ見ることが出来なかった素顔の声優たちも比較的一般的なメディアにおいて生の演技やトーク等を見ることが多くなりつつある。しかしアニメファンや吹き替え作品のファンにとっては、本来「影の存在」だった声優が表舞台に姿を見せるようになったことに対して、キャラクターや作品のイメージが壊れる(特にアニメの場合は絵と人間との比較となるため両者間のギャップが大きい場合がほとんど)と感じ、嫌悪感を持つファンも多い。また、声優(特にアイドル声優)の登用に際して演技力が軽視されるようになってきているのではないかと危惧する向きも多い。声優自身が作品の登場人物に扮して、舞台で公演した例としては、[[セーラームーン]]、[[HAPPY☆LESSON]]、[[テニスの王子様]]、[[HUNTER×HUNTER]]が上げられる。
 
[[File:BBC Broadcasting House, about 1937 (geograph 4877368).jpg|right|180px|thumb| [[ブロードキャスティング・ハウス]](BBC本社)]]
現在では従来のように舞台俳優をホームベースとしながら声優も併せてこなす者に比べ、前述のようなアイドル化した声優や本当に声優活動に絞って仕事を行う者も増えてきている。しかし現況ではアニメファン・声優ファンという特定のファン層が確立しているため、若い声優たちはもっぱら彼らを対象とした活動が中心とする傾向にある。また声優は歌手・タレントに比べるとルックス、所属プロダクションの力で劣ることもあり、芸能界やマスコミなどエンタテイメント業界には声優を見下す風潮が一部に残っている。[[1970年代]]から[[1980年代]]を中心に民放各局で知名度の高い芸能人を映画の吹き替えに起用するケースが多発し、特に日本テレビの「[[スターウォーズ]]」では視聴者の不興を得て沈静化、現在ではフジテレビがたまに起用する程度ではあるが、劇場用のファミリーアニメにおいては、[[1990年代]]後半からは起用されることが増えて来ている。[[宮崎駿]]などはおたく嫌いを表明し、声優を売女と呼び登用しない。一方で[[押井守]]は、声で全ての演技を行う声優という職業を非常に尊敬し[[イノセンス]]で[[攻殻機動隊]]から続けて登場するキャラクターの配役の交代を反対し、交代の話を退けたと言われている。<!--とりわけ「芸能界のドン」といわれる[[バーニングプロダクション]]社長・[[周防郁雄]]は声優を嫌っており、声優をメジャーなメディアに出られないように[[マスコミ]]に圧力をかけていることは業界内では有名である。-->また一般大衆側からも、視覚的に認知しにくい声優という存在はやや縁遠いものであり、声優がメジャーなタレント等と同等の芸能人として一般的に評価されるようになるのは事実上困難な現状である。
 
[[1934年]](昭和9年)、NHKが放送用語並発音改善調査委員会(現:[[放送用語|放送用語委員会]])を設置する。[[イギリス]]の[[英国放送協会]](BBC)を範に取り、その調査方針については「共通用語は、現代の国語の大勢に順応して、大体、帝都の教養ある社会層において普通に用ひられる語彙・語法・発音・アクセント(イントネーションを含む)を基本とする」ことが定められている<ref>{{Cite web|和書|title=最初の放送用語基準 {{!}} 調査・研究成果 - ことばの研究 {{!}} NHK放送文化研究所 |url=https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/kotoba/009.html |website=www.nhk.or.jp |access-date=2023-03-27}}</ref>。
世間一般で声優の地位が低い代表的な例として挙げられるのは、レコード店では声優が個人またはユニットで歌う音楽CDのほとんどが「アニメ関連コーナー」に置かれていることである。専業歌手でない芸能人が歌う音楽CDが専業歌手並みに扱われていることに比べると低い扱いであると言わざるをえない。
 
[[1935年]](昭和10年)、NHKが全国向けの[[学校放送]]を開始。[[1941年]](昭和16年)には、NHKが[[ラジオドラマ]]を専門に行う[[東京放送劇団]]を設立する。同年4月、[[国民学校令]]が施行されているが、音声言語教育については、「話し方に於ては児童の自由なる発表より始め次第に之を醇正ならしめ併せて聴き方の練習を為すべし」と位置付けた<ref>{{Cite web|和書|title=小学校令施行規則改正(抄)(昭和十六年三月十四日文部省令第四号):文部科学省 |url=https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318024.htm |website=www.mext.go.jp |access-date=2023-03-02}}</ref>。6月、[[情報局]]が監督する[[日本移動演劇連盟]]が結成されている。さらに同月、NHKが[[東京放送劇団]]を設立している。ラジオドラマ専門の俳優を養成する東京中央放送局専属劇団俳優養成所の研究生を公募した。[[1943年]](昭和18年)1月、NHKが『日本語アクセント辞典』を編纂し、5月には、養成を終えた東京放送劇団の第1期生がデビューを果たした<ref>「“声優”誕生」『放送夜話-座談会による放送史』日本放送協会、1968年、p.113。</ref>。これが声優第2号とみなされ<ref>西澤實『ラジオドラマの黄金時代』河出書房新社、2002年、18-19頁。</ref>{{Refnest|group="注"|第1期生の[[加藤道子]]が死去した際、読売新聞は「声優の草分け」と紹介<ref>読売新聞 2004年2月1日。</ref>。}}、「声優」という言葉はこのころから使われたとする資料もある<ref>浦崎浩實「映画人、逝く 七尾伶子」『[[キネマ旬報]]』2006年10月上旬号、[[キネマ旬報社]]。</ref>。
最近では[[山寺宏一]]がTVドラマやバラエティ番組に幅広く出演しており、声優を見下す風潮に対して一石を投じている。
 
戦後になると、[[1948年]](昭和23年)に[[劇団俳優座]]の創設者の一人である千田是也が戦前の路線の見直しの一環として、岸田國士ら「劇作派」の上演を開始している。千田は創作劇研究会の第1回試演において、「私どものような築地時代に翻訳劇ばかりで育つて来たものには、日常的なリアルな生活動作の中に心持ちを盛る芝居の勉強ができていず、大いに『物真似』の練習をしなければいけない」と表明した<ref>{{Cite journal|和書|author=阿部由香子|month=mar|year=1997|title=創作座と「現代劇」|url=https://hdl.handle.net/10291/12866|journal=大正演劇研究|volume=6|pages=81-89|publisher=明治大学大正演劇研究会|naid=120004109582}}</ref>。同年、[[劇団民藝]]の創設者の一人となる滝沢修が『俳優の創造』を発表する。滝沢は「『新劇調』といふのは」と題した項目において、自らの芸風をアマチュア芸から遠く出ない青臭さであると断じ、「輸入文化が伝統に根ざしていないと同じに、それを浅く漁って満足していた私たちの足が、本当に生活者として地についていなかったからである。」と表明した<ref>{{Cite book|和書 |author=滝沢修 |year=1982.5 |title=俳優の創造 |publisher=麦秋社 |page=146-147}}</ref>。[[1949年]](昭和24年)、[[文学座]]の創設者の一人である[[岩田豊雄]](獅子文六)の計らいにより、[[加藤道夫]]、[[芥川比呂志]]らの麦の会が合流する。岩田は座員の芸に安易なものが生まれかけ、若い世代もそれに倣う危険から揺り戻す必要が生じたと論じ、「どうも彼等は、日常的なセリフやシグサには長じているが、想像力を伴わなければならぬ演技は、ひどく不得手に見えた」との見解を示した<ref>{{Cite book|和書 |title=旗手たちの青春 あの頃の加藤道夫、三島由紀夫、芥川比呂志 |date=1985年2月20日 |publisher=新潮社 |page=70 |author=[[矢代静一]]}}</ref>。[[1950年]](昭和25年)、岸田國士が文学立体化運動を提唱し、[[雲の会]]を主宰する<ref name=":4">{{Cite web|和書|title=「雲の会」論——文学立体化運動の再考 - 学会誌『身体表象』第3号公開 |url=https://www-cc.gakushuin.ac.jp/~guscscvr/notice/journal03/ |website=www-cc.gakushuin.ac.jp |accessdate=2021-03-06 |publisher=学習院大学身体表象文化学会}}</ref>。会員の[[三島由紀夫]]は、「自由劇場以後の日本の新劇は、大ざつぱにいふと、築地小劇場の飜訳劇中心主義から、左翼演劇への移りゆきとともに、技術的基礎づけに誤差を生じ、また政治的偏向を生んだ」と指摘した。そして、築地小劇場論争以来の混迷を正常化する最初の機会として、今回の[[文壇]]、劇壇の連帯の意義を説いていた。
==声優稼業の悲惨すぎる実態==
声優は儲からない。いや儲かる以前に徒食に窮することが多い。声優には所属事務所からの基本給というものは事実上存在せず、各人の仕事実績によるギャランティ(報酬金)が収入となる。かつては声優の多くが'''[[日本俳優連合]]'''('''日俳連''')に所属しており、日俳連は音響制作会社の集合体である[[音声製作者連盟]]('''音製連''')を相手に待遇の改善を申し入れて来た。街頭デモ活動を行うなどして、[[1973年]]には報酬の314%アップ、[[1980年]]には再放送での利用料の認定を勝ち取って来た。この日俳連による規定で、仕事1作品あたりの報酬は作品のジャンルや放送時間帯、放送回数、ソフト化等による二次利用、そして経験実績等の条件によって受け取る額が算出される方法を取っており、音響制作会社の一方的な言い値で手取りを決定されるということはない(一概には言えないが、日俳連は基本的に土日祝日のゴールデンタイムに放送される番組に最も高いクラスの報酬を設定している)。ただし、これらは日俳連と音製連による協定であり、日俳連に所属しなければこの規定に縛られることはない。例えば、[[石原裕次郎]]は映画『[[わが青春のアルカディア]]』の出演料が1000万円だったと言われている。また、ゲーム会社は音製連に属していなかったため、この協定よりも遥かに高額な報酬を声優に支払っていた時期がある。このような規定を嫌う製作者側が日俳連に所属しない声優を起用するケースが近年では増えて来ており、現在では日俳連の組織率は低下してきている。
 
[[1951年]](昭和26年)、雲の会の一箇年の活動を振り返る座談会が開催され、機関紙である『演劇』が掲載している。文壇側からは[[鉢の木会]]のメンバーでもあった神西清、[[中村光夫]]、[[大岡昇平]]、[[福田恆存]]、三島由紀夫が選出された。「劇壇に直言す」として、新劇独自の固定観念を指摘し、既成新劇への問い直しを求めている。劇壇側からは[[内村直也]]、田村秋子、千田是也、杉村春子、[[菅原卓]]が選出された。「『直言』に答う」として、反省する点を認める一方、俳優術による演劇表現のアカデミズム確立や[[現代劇]]の樹立を重視する意見が出されている<ref name=":4" />。これを受けて『演劇』は、会員の小林秀雄と福田恆存の対談を企画した。その中では声音メディアの未来への示唆も語られている。
新人声優は1つのアフレコで約1万5千円のギャランティが日俳連規定による相場であり(ジュニア期間等と呼ばれる)、そこから税金や会社に手数料等を引かれるため1ヶ月働いても歩合は6万はもちろん5万にすら届かない。4つ、5つもレギュラーを持っている新人声優などおらず当然のことながら生きていく為にアルバイトによって徒食しなければならない。多くの声優らは自らの技術向上や徒食のため舞台演劇に立つが、これに関して稽古期間や公演期間が当然発生する他、スキルを維持するために1日2時間程度の自主練習が必要である。さらには下記のようにオーディション合格を自分の足で稼がなくてはならず、声優の仕事は突然はいることも多く、その時は当然声優の仕事を優先させなければならない為、アルバイトを長持ちさせることができない。そして声優の給金は仕事のニ・三ヶ月後にでる。当然貯金などもほとんどできないし、運良く東京出身ならば親には文句を言われ続けられる程度で済むが、上京しているならもっと悲惨であることは想像に難しくない。このような普通に生活するということ程度のことが非常に困難であり、いつ生活の破滅が訪れるかわからないような恐怖に悩まされるような悲惨な生活を日々を送っている声優が多くおり、三十代でアルバイトをしている声優など珍しくもなんともないほどである。
 
[[File:中部日本放送 栗谷俊男 19520305.jpg|left|140px|thumb|[[中部日本放送放送劇団]]]]
このように単純声優で食っていくためには相当な覚悟が必要である。ただし、このような裏話を表に出す声優は滅多にいない。数少ない例外である[[浅野真澄]]によれば、主役としてレギュラーを持っていた時期でさえ食事代にも困窮してパンの耳や納豆ご飯だけで凌いでいたそうで、その前には料金未納で電話を止められたこともあったとのことであった。
 
そして、前述の座談会開催の同年に、日本での民間放送が開始。対日占領政策の転換から民放が解禁された結果、戦前からのNHK独占体制が崩れたのである。民放各局はNHKに倣う形で[[中部日本放送放送劇団]]など、専属の放送劇団を設立して行く。
声優の仕事の取り方であるが、所属事務所を通して配役をあてがわれることは極めて稀である(音響制作会社から声優のマネージメントを声優事務所に任されていると、端役等が事務所マネージャーに一任される場合はある。「協力:○○プロダクション」などとクレジットされているときはそう考えてよい)。通常は各作品の制作プロダクションから声優の事務所庶務に、洋画ビデオ吹替やテナント等のナレーション、アニメーション等各作品の「オーディションのお知らせ」が通達されるのみで、声優はこれらに事務所を通じて応募してオーディションを受験し、合格を取るといった「自らの足で稼いで仕事を取ってくる」ことがほとんどである。洋画の翻訳会社からビデオ化の際の吹替トラック作成に際して指名を受けることもあるが、これは外国俳優の持ち役等を持っている声優などごく一部の例外と言ってよい。従って如何に就労意欲があろうともオーディションで採用されなければ無収入のままであり、声優として稼業するということは、常にオーディションを受け続け、勝ち続けなければ食べることが出来ないという厳しい現実を繰り返すことなのである。
 
{{Quotation|
一般人でも名前は知らずとも声は聞いたことのある人が多くいるであろうほどの有名な声優である[[神谷明]]でさえ、近時においても新人声優らと一緒に様々な作品のオーディションを受け続けており、配役を得ても、声優として稼働した場合の1本あたりの純ギャランティは現在8万程度である。出演本数等から換算した場合、神谷明の年齢から考えても純粋に声優として稼働した場合は同世代の平均的な年収に達していないことから如何に儲からず厳しい業界であるということが伺える。
小林 純粋な観念としては音楽だから。……一般に人間の耳っていうのは、よくないと思うんですよ。みんな悪いんです、耳っていうものは。
 
福田 ほかの感覚に比べて?
そのためベテラン声優は本業の勤務傍ら、経験を活かして'''音響監督'''等のスタッフ業に転身する者も多く(現在では[[千葉繁]]、[[三ツ矢雄二]]等がスタッフ業を主として稼業している)、前述の神谷明も近年は出版会社の役員になる等サイドビジネスをメインとして稼業している状況である。全体を見れば非常に厳しい世界であるが、バラエティ番組のナレーション等で高額の年収を得ている者もおり、実力と運が必要な世界である。しかしアニメのレギュラーといっても放送は週一の30分番組。実労時間を考えれば(役作り等の時間を踏まえても)レギュラー一本で一月の生活うんぬんを語るのも無理な話ではある。実労時間は回を重ねるごとに慣れてくるので短くなるし、各話の台詞の量、役の大小はギャラには関係してこない。つまりほんの一言の出演でも規定の報酬を得ることができ、短時間で終えることができる。日に数本のアフレコ、ナレーションなどの仕事をすることは時間的に可能で、こなした数だけギャラを得ることができるのである。仕事を得ることができれば十二分な報酬を手にすることは普通に可能である。舞台出身のものが声優を始めるのもアフレコや役作りに時間をかけない等、舞台に比べれば比較的簡単に収入を得ることが出来るためでもある。
 
小林 ええ。眼に比べてね。特に耳を訓練している少数の人々をのぞけば。だからまだラジオ・ドラマをちゃんと聴ける耳を持っている人はいないと思うんですよ。人の声っていうものは、非常に表情に富んだものでしょう。見ないで、声で人間がわかる、そこまで耳の訓練が出来ている人はいないんだよ。ラジオ・ドラマが非常に発達すると、そういう訓練ができるかも知れない。そうすると、見なくても、声のほうがよっぽど表情的でね、ラジオ・ドラマ専門の名優というものが出てくる。……ぼくら、眼を開けて暮しているから、耳はおろそかになっている。芝居っていうやつは、眼と耳と両方で鑑賞しているしね。まあ、はなし家や講釈師になるとどうかな。例えば落語だって、話術の生命はやっぱり物語を追ってるんだけども、同じ物語を何度聴いてもいいでしょ? 何度聴いてもいいというのは、つまり音なんだよ。そいつの声の音楽なんだよ。そいつを聴いて楽しんでるわけだな。|小林秀雄、福田恆存『芝居問答』 音・耳・放送劇<ref name="kobayashi">『[[雲の会|演劇]]』11月 1951年、直観を磨くもの 小林秀雄対話集、[[新潮社]]、[[新潮文庫]]、2014年、pp.287-291。</ref>}}テレビ放送がなく、ラジオがマスメディアで主要な地位を占めていたラジオドラマ時代の声優は決して日陰の存在ではなく、二枚目の主役の声を多く演じた[[名古屋章]]には月に何十通ものファンレターが届いたという<ref>[[能村庸一]]『実録テレビ時代劇史 ちゃんばらクロニクル1953-1998』[[東京新聞]]出版局、1999年、20-21頁。</ref>。[[1957年]](昭和32年)に放送した連続ラジオドラマ『[[赤胴鈴之助]]』は当時の子供たちから絶大な支持を得た。ラジオドラマは全盛期を迎え、声優の紹介記事が新聞のラジオ欄に掲載されるようになると、声優へのファンレターと同時に声優に憧れ、声優志願者も急増した。
なおここ数年のアダルト方面、特に女性は偽名を使い[[アダルトゲーム]]などの声優として活動する事も多く、その収入はアフレコ一本分の収入の数倍貰えるとされている。しかし、やはりその方面でも役を取るために地道な営業活動が必要であり、アトリエピーチなどアダルト関係を専門に扱う事務所に属する声優、各アダルトPCゲーム会社とのパイプが太いフリーで活動する声優と熾烈な競争に勝たねばならないという現実がある。逆に男性の場合、ボーイズラブの仕事が入り、うまくいけば女性人気を得る事も容易いとされている。[[櫻井孝宏]]はかつて自分のラジオ番組で「BLがあったから今の自分がある」との発言を残した。女性に比べ男性は性的メディアに出演する事への抵抗がないことから、多くの男性有名声優がアダルトソフトやボーイズラブの仕事を受けている。むしろ、出ていない男性声優の方が少ないとの見方もある。ただし、多くの男性声優もアダルトについては偽名を使い活動しており、[[一条和矢]]のように表の名前で活動するケースは極めて珍しい。
 
[[1953年]](昭和28年)のNHK東京放送劇団の第5期生募集には、合格者が10名程度のところへ6,000名の応募が殺到したという。東京放送劇団出身の[[勝田久]]は、この時代を第1期声優黄金時代としている<ref>勝田久「声優の歴史」『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』ジ・アニメ特別編集、近代映画社、1985年、175頁。</ref>。日本での[[テレビ放送]]が開始された1953年(昭和28年)2月当時、NHK専属の放送劇団員は、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌の7劇団で合計137名を数えた。
アニメージュは毎年大きな人気投票を行うため、アニメに出演した声優をリストアップするが(本業は歌手やテレビ等をメインにする俳優なども混ざる)そこで示される声優の総数はおよそ1500人弱にのぼる。
 
=== テレビ初期と声優のメリット ===
1953年(昭和28年)、日本でのテレビ放送が開始する。
厳しい実態がある声優業界だが、メリットもある。
 
[[1954年]](昭和29年)、[[ウォルト・ディズニー・プロダクション]]がアニメーション映画『[[ダンボ]]』(1941年制作)を日本公開する。日本語発声版(吹替版)の脚本は[[高瀬鎮夫]]、音楽監督は[[三木鶏郎]]が担当した。出演は[[坊屋三郎]]、古川緑波、三木鶏郎、[[丘さとみ]]、[[七尾伶子]]ほか。三木は後の『[[わんわん物語]]』、『[[バンビ (映画)|バンビ]]』、『[[白雪姫 (1937年の映画)|白雪姫]]』、『[[ピノキオ (1940年の映画)|ピノキオ]]』では日本語版監督も務め、声優を人選した<ref>{{Cite web |title=ディズニー映画 |url=https://www.joqr.co.jp/toriro/2014/12/post-22.html |website=三木鶏郎の世界 |access-date=2024-01-13}}</ref>。同年、岸田國士が急逝する。これにより前述の雲の会は自然消滅を迎えている。
まず、儲からないと言われる声優だが舞台俳優よりは儲かると言う点。
これは舞台という物の需要が(アニメ等の声優家業に比べ)少ない為、
どうしても儲かる人物が一部の中のさらに一部の人間になってしまうところにある。
 
[[File:Portrait of Akutagawa Hiroshi - 1955 - Domon Ken.png|right|140px|thumb| [[芥川比呂志]] (撮影:[[土門拳]] )]]
次に、私生活においても自由に行動しやすいところがある。テレビ画面に出る芸能人は顔も覚えられるため、人通りの多い場所や人気の場所に行けばあっという間に取り囲まれて身動きが取れなくなってしまう(特に[[ジャニーズ事務所|ジャニーズ]]所属のタレントになると外出自体困難らしい)。声優もまたその大部分が舞台演劇に立ち、いわゆる「顔出し」の仕事をしているものの、テレビ等に頻繁に登場する芸能人と比べると、世間一般に対する露出頻度が非常に低いため、アニメファンなど一部の層以外には視覚的に認知されにくい。そのため街頭で取り囲まれるようなことはほとんど無く、自由に行動しやすいメリットがある(ただし、秋葉原などのアニメファンが集中する場所は例外)。
[[1955年]](昭和30年)、福田恆存が翻訳と演出を担当して、『ハムレット』を上演する。[[ハムレット (キャラクター)|ハムレット]]役は芥川比呂志が担当した。当時の福田は文学座の文芸部員でもあり、幹事の岩田豊雄が新劇が傾倒する近代劇の在り方に疑問を持つようになっていた事から、上演を後援した<ref>{{Cite journal|和書|author=井上優|year=2020|title=岩田豊雄の中のシェイクスピア--1955年 福田恆存演出『ハムレット』成立の一背景|url=https://doi.org/10.7141/ctr.19.23|journal=西洋比較演劇研究|volume=19|issue=1|pages=23-37|publisher=西洋比較演劇研究会|doi=10.7141/ctr.19.23|naid=130007825948|ISSN=1347-2720}}</ref>。舞台芸術として最高度の文学性と演劇性を両立したという評価から、「シェイクスピアに還れ」とした基調は、後の新劇運動の方針にも反映された<ref>{{Cite web|和書|title=創立聲明書 昭和三十八年二月三日 現代演劇協会 デジタルアーカイヴ |url=https://onceuponatimedarts.com/%E5%89%B5%E7%AB%8B%E8%81%B2%E6%98%8E%E6%9B%B8/ |website=onceuponatimedarts.com |accessdate=2023-03-20}}</ref>。また、札幌放送劇団に所属していた[[若山弦蔵]]はこの公演を観劇し、演技のヒントを得たことを明かしている<ref name="wakayama">20世紀グレーテスト・ヒッツ : ポピュラー音楽をめぐる記憶から、音楽出版社、2007年、pp.78-79。</ref>。6月、[[菊田一夫]]が『「大盗大助」の公演』を『[[NHK出版|放送文化]]』に発表する。今回の東京放送劇団の舞台公演で、脚本と演出を担当した経緯について解説した。NHKで『[[鐘の鳴る丘]]』や『[[君の名は]]』を手掛けるなど放送劇でも活躍していた菊田は、ラジオ俳優に舞台公演の必要があるかどうかという問題はかなり重要な事であると指摘し、「マイク前の声技にも、その演技の奥行を深め、幅をひろげる意味で、絶対に必要だからである」との見解を示している。その理由については、「私はラジオ・ドラマの稽古に立会っていて、いつも『君、君のセリフには動きがともなっていないよ』と、いう言葉で、声優を叱りつける」と述べており、責任上から実際の体験を提供したと説明を行った<ref>{{Cite book|和書 |author=菊田一夫 |title=菊田一夫:芝居つくり四十年 |publisher=日本図書センター |year= |pages=147-150 |isbn=4820557718 |date=1999.12}}</ref>。
 
[[1956年]](昭和31年)には、[[ラテ兼営|ラジオ・テレビ兼営局]]である[[ラジオ東京]](現:[[TBSホールディングス|TBS]])が[[海外ドラマ|海外テレビドラマ]]の[[吹き替え]]放送を実施する<ref>{{Cite journal|和書|author=古田尚輝|date=2006-09|title=テレビジョン放送における「映画」の変遷|url=https://seijo.repo.nii.ac.jp/records/4185|journal=成城文藝|issue=196|pages=266–213|id={{CRID|1050001202589575424}}|publisher=成城大学文芸学部}}</ref>。同年4月8日、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]が海外テレビアニメ『[[テレビ坊やの冒険]]』の放送を開始する。録音方式の日本語吹き替え番組の第1号であり、番町スタジオの安井治兵衛に依頼して制作された<ref>{{Cite web|和書|title=番町スタジオ KOEOTO > 【音響監督】田中英行さん |url=https://onseiren.com/koeoto/volume-04/bancho-st |access-date=2023-07-13 |publisher=日本音声製作者連盟 - アニメ音響制作 外国映画・海外ドラマ日本語版制作}}</ref>。4月28日、[[TBSテレビ|TBS]]の前身であるKRTテレビが[[海外ドラマ]]『カウボーイGメン』を放送する。10月9日には、海外テレビアニメ『[[スーパーマン]]』を放送する。出演者の[[滝口順平]]、[[大平透]]は、いずれも[[ラテ兼営]]の同局の[[TBS放送劇団|ラジオ東京放送劇団]]に所属する放送劇団員であった。これらKRTテレビでの吹き替え放送は[[生放送]]で行われている<ref>{{Cite thesis|和書|author=木下浩一 |url=https://doi.org/10.14989/doctor.k22198 |title=商業教育局における社会教育と教養の系譜 |volume=京都大学 |series=博士(教育学) 甲第22198号 |year=2020 |doi=10.14989/doctor.k22198 |hdl=2433/253033 |id={{naid|500001416559}}}}</ref>。
写真週刊誌やワイドショーなどにほとんど取りあげられないというメリットも大きい。芸能人の場合は交際、不倫などスキャンダルによってイメージダウンやマスコミの攻勢によって仕事面でも精神面でも打撃を受けることが多い。これに対して声優の場合はこのように取りあげられることはほとんど無い。実際、過去にスキャンダルとして報道された例は極めて少なく、マスコミに取り囲まれてしつこくプライベートの質問をされることも無いので、その分、精神的には非常に楽と言える。スキャンダルの例として[[石原絵理子]]が'''声優業と平行して別名でAVに出演していた'''事が発覚した際、東京スポーツで紙面の四分の一を占めるほどの記事となった。
 
民放テレビの草創期には、同年10月の[[五社協定]]でテレビ局への日本映画の供給停止が決まったことなどによるソフト不足から、海外ドラマや[[テレビ映画]]、[[映画|洋画]]などのいわゆる外画の日本語吹き替え版が数多く放送された<ref>乾直明『外国テレビフィルム盛衰史』[[晶文社]]、1990年、60頁、118頁、557頁。</ref><ref>串間努『少年ブーム 昭和レトロの流行もの』晶文社、2003年、41頁。</ref><ref>引田惣彌『全記録テレビ視聴率50年戦争 そのとき一億人が感動した』講談社、2004年、38頁。</ref>。テレビや映画の俳優は五社協定とギャラの問題で吹き替えをしなかったため、テレビでの吹き替えは、ラジオ時代からの放送劇団出身者や戦後の新劇ブームで増加した舞台役者やその[[研究生]]が多く行った{{Sfn|野村道子|2009|p=24}}。戦前からの流れを汲み、この当時において三大劇団と目されていた文学座、俳優座、民藝の俳優は、未だアテレコとは縁遠かった。海外アニメにおいては、落語家や浅草出身のコメディアンなどもキャラクターの声をあてたという例がある。
また、声優業界は独立や移籍に対して比較的寛容である。芸能界では一般的に所属事務所を通した活動を行い、そのギャランティからの仲介料がまた事務所の収入となっているのであるが、そのため独立や移籍を敢行すると、事務所を通じて得ていた仕事のルートが寸断されるため活動内容に大きな変化が顕れる。そして独立であるが、例として[[爆笑問題]]や[[鈴木亜美]]のように独立或いは事務所と軋轢を深めることによって、それまでの「大手事務所経由による仕事の契約」というルートが寸断されてしまい、その後の活動に影響が顕著に現れた芸能人もいる。
 
吹き替えの開始当初は生放送でも行われ、後に[[テープレコーダー]]を利用した録音方式となるも、未だ編集は不可能であった。声優陣は狭いスタジオに存在する1つのスクリーンと1本のマイクに臨み、効果音や音楽も同時に録音していた。1ロール28分間の収録では、誰かが間違えて失敗すれば最初から録り直すという負担の大きいものであり、さらにせりふの悪訳も輪をかけ、「アテレコ調」の出現を招いている<ref>{{Cite web|和書|title=声優・羽佐間道夫が語る、吹き替え最初期の思わぬ苦労(#4)著:大野裕之 |url=https://honsuki.jp/series/souseiki/3817/index.html |website=honsuki.jp |date=2018-06-08 |accessdate=2023-07-06 |language=ja |publisher=本がすき}}</ref>。
そして、芸能界内部には独立に対して冷ややかな反応があるのもまた事実なようで、これは次々と独立を許せば大手プロダクションの経営基盤に影響を及ぼす可能性があるため、安易な独立を好ましく思わないという業界の姿勢があるからという説もある。しかし、声優業界は「オーディションを受けて仕事を得る」という芸能界本来のシステムが未だ主流であり(もっとも声優に限らず一般的な芸能界では本来、オーディションによって俳優を決定するのが基本形であり、現在も多くの作品においてはオーディションによる配役決定という姿勢で作品制作が行われている)、独立や移籍に関しては比較的寛容である(しかし営業活動については事務所という背景が変化するため状況が大きく変わることがある)。実際に[[林原めぐみ]]、[[横山智佐]]、[[難波圭一]]などの人気声優が独立して活動しているが、一般的な芸能人に比較して単体での営業活動基盤が細い声優業界においては、彼らのような状況はほんの極一部の成功者のみ許される選択肢でもある。
 
[[江崎プロダクション]]の創業者である江崎加子男は、舞台や映像で仕事がある役者がアテレコに好んで出演しなかった理由として、ギャラ問題の他にアテレコ調の存在を挙げている。「カラーフィルムにキズを付けないためにリハーサルは3回くらいしか見せられなかった。したがって不器用なものはなかなか口が合わない。“トチラズ” 口を合わせるために台詞が一本調子になる。当時言われた言葉がアテレコ調。」<ref>{{Cite web |title=協会会報 vol.19 |url=https://www.manekyo.com/newsletter/ |website=www.manekyo.com |access-date=2023-07-06 |publisher=マネ協}}</ref>。
==専門学校・養成所について==
声優を目指すという場合、[[代々木アニメーション学院]]のようなアニメーションやマルチメディア関係の専門学校に声優学科を併設する専門学校が数多く存在し、専門学校出身の声優も多い。
また、声優プロダクション直営の[[声優養成所]]と呼ばれる組織があり、[[アーツビジョン]]の養成組織である[[日本ナレーション演技研究所]]や[[青二プロダクション]]の養成組織である[[青二塾]]などが有名である。声優養成所では、プロの声優が講師となり演技の指導を行う。このような講師の仕事も声優の仕事の一部である。
 
また、前述の若山弦蔵は当時の吹き替えに参入してきた新劇俳優について、「大部分の連中にとっては片手間の仕事でしかなかった」「日本語として不自然な台詞でも疑問も持たず、台本どおりにしか喋らない連中が多くて、僕はそれがすごく腹立たしかった」と語っている<ref>とり・みき 『別冊映画秘宝Vol.3 とり・みきの映画吹替王』 洋泉社、2004年、275頁。</ref>。当初、NHKは基本的に字幕スーパーで日本国外の作品を放送していたため、日本語吹き替え版は民放が中心となっていた。以後、日本国外の作品は[[1960年代]]前半をピークとして放送された。
養成所や専門学校での養成期間は概ね2年から3年であるが、ここで習うのは声優としての訓練ではなく通常の俳優としての演技である。すなわち一般的な俳優と何ら変わらない訓練を積むのである。
これはどのプロダクションにも一貫している見解であるが、''素の演技が出来ない者は声の演技などまして出来ない''ということである。訓練生はまず、'''一本立ち出来る演劇俳優'''として徹底的に鍛え上げられるのである。
 
[[1957年]](昭和32年)には早くも、大岡昇平が吹き替えの社会的影響を論考し、『[[芸術新潮|藝術新潮]]』に発表している。築地小劇場の観劇歴を有する大岡は、テレビから流れる[[テレビドラマ]]や舞台中継、海外ドラマなどに見られる「新劇調」の存在を指摘した。これは築地小劇場の翻訳体やそれに起因した悪癖であり、さらに固定された俳優達が今や指導する側に回ったことで、後進が不本意に継承している構図であるとも解説した。その上で、大勢の人の目に留まることによって、芸風が矯正されるチャンスになるのではないかと説き、若い世代には旧弊を壊すことを奨励している。{{Quotation|新劇節は元来俳優になる素質のない人間に無理に台詞をしゃべらせる必要から生れたものである。地方なまり一つ直す熱心も時間もないままに、時代の必要に応じて、西欧の近代化を輸入しなければならぬという、やむにやまれぬ事情の産物だが、新劇二十年の歴史は、欠点の克服には向っていなかったのである。(中略)<br>
演技の勉強をしてきた後、プロダクション主催のオーディションに合格するとプロダクションに所属できる。この時点では各所属において「新人」「ジュニア」と呼ばれる見習い期間となる(このジュニア期間については前章「声優稼業の厳しい実態」参照)。そして見習い期間にどれだけオーディションに勝ち残れるかが、正所属や本所属といわれる段階に進めるか否かの分岐路であり、これが順調に進められた者は大手の声優プロダクションに移籍することもある。
映画でもいずれこの手のものは、全部日本語に吹き替えられると思われるので、声優の需要は増し、新劇俳優の卵では間に合わなくなるだろう。台詞を外国の茶の間劇の流儀で、早くいう声優も出て来ている。やたらに早いばかりで、意味はかえって取りにくい傾向があるが、まあ過渡期の現象で止むを得まい。新しい必要が放送局や映画配給会社の方から生まれて、「新劇節」も、過渡期の夢となる日が早く来てほしいものだ。|大岡昇平『新劇節に悩む』<ref name="Ooka">大岡昇平 [[芸術新潮]]五月号 1957年5月1日、大岡昇平全集14 評論Ⅰ、[[筑摩書房]]、1996年、pp.719-724。</ref>}}
 
さらに10月には、福田恆存が新聞紙面上で論議が展開された吹き替えの是非を論考し、『CBCレポート』(発行:[[中部日本放送]])に寄稿した。{{Quotation|本質論からいへば、「吹きかへ」にけちをつける理由はどこにもない。私たちの文化そのものが「吹きかへ」文化なのだから。いひかへれば、生活のあらゆる部分がばらばらに存在してゐるといふことだ。問題はただそれを統一する技術の面にある。あるいは態度に問題がある。私たちは不調和を前提として、それをいくらかでも埋める努力をすべきではないか。さきに例をあげたやくざ言葉や、女言葉の場合でもさうである。西洋人の肉體や身ぶり表情に適合する「せりふ」の抑揚や、いひまはしを研究してはどうか。それがやがて私たちの言葉や生きかたを變へてくるであらう。<br />もつと最惡の場合、私はその努力なしでもいいと思つてゐる。不調和を不調和のまま、放つておいてもいい。着物に靴の明治文化も、時がたてば、現在のやうになるし、現在もなほ似つかぬ洋服姿もやがては、身についてくるであらう。現在の亂雑のまま聲の「吹きかへ」を、もつと「藝術的」な本格映畫にも適用したはうがいい。さうなれば、みな否應なくその不調和に文句をいひだし、いづれ改善されるであらう。すくなくとも、西洋人の肉體と日本語との不調和は、「意味」と「聲音」との分離、觀念と感覺との分離を強要するスーパー・インポーズよりは精神衞生にいい。それだけはたしかだ。|福田恆存『「吹きかへ」文化』<ref name="fukuda">福田恆存 「CBCレポート 1957年10月號」、『私の演劇教室』、[[新潮社]]、1961年、pp.77-85。</ref>}}
逆に言えばこの新人期間にオーディションで仕事を取れない者はこの後遅咲きで伸びるということはほとんどなく、夢を断念して去るか、再び養成所に入所し直して演技力を高めるしかない。
 
[[ファイル:Nerima Oizumi-animegate Chronological table Hakujaden 1.jpg|left|190px|thumb| 『[[白蛇伝]]』]]
毎年2000人以上いると言われる声優の訓練生だが、実際に生き残ってプロデビューを果たせる者はほんの僅かであり、プロの声優となるには長い期間の下積みが必要な、非常に狭き門といえる。
[[1958年]](昭和33年)、東映動画(現:[[東映アニメーション]])が劇場用アニメーション映画『[[白蛇伝 (1958年の映画)|白蛇伝]]』(主演声優:[[森繁久彌]])を公開する。
 
[[1959年]](昭和34年)6月1日、NHKが放送劇団員の専属制を解消している<ref name="芸能">{{Cite journal|和書|date = 1959|journal = 芸能|volume = 8月号|page = 74 |publisher = [[芸能発行所]]}}</ref>。各放送劇団の団員は優先契約制へと移行する{{R|芸能}}。同年、ラジオ東京放送劇団も経営の合理化を理由に、ラジオのみを専属とし、テレビはフリーとの体制に変更された<ref>{{Cite book|和書|anchor = 松本暁美 |anchor2 = 神田典之|year = 1959|title =テレビ界裏話|publisher = [[東洋経済新報社]]|pages = 63 - 64|chapter = 映画俳優とテレビタレント}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author= 村木良彦|authorlink=村木良彦||author2=深井守| date= 1970|chapter = 殺意と屍体|title =反戦+テレビジョン : <わたし>のカオス・<わたし>の拠点|publisher = [[田畑出版]]|page = 10}}</ref>。
実際の状況として多くの訓練生の中には、特段可愛い声、特徴ある声、声のバリエーション幅が広く幾つもの年齢層を演じ分けられる人、或いはアイドル声優として売れそうな容姿の女性声優の卵などはかなりの数がおり大して珍しい存在ではなく、これらの能力・技能があるからといって成功に直結したという例はほとんどないのが実態である。ここから頭角を現して生き残れる条件は結局、'''芝居力・演技力'''が他の者より優れているか否かである。すなわち養成所時代にどれだけ総合的な演技力が身につけられたかが勝敗を決めることになるのである。そして勝ち残った僅かな者も、前章のようなオーディションを戦い続けなければならない、厳しい人生を歩んでゆくことになる。
 
労働環境や待遇は恵まれていなかったことから権利向上のために結束しようという動きがあり、[[久松保夫]]は清水昭の[[太平洋テレビジョン]]に参加するが同社で労働争議が発生。これを受けて[[1960年]](昭和35年)には[[東京俳優生活協同組合]](俳協)が誕生したが、前述の若山弦蔵のように所属せず独立した者もいた<ref group="注">「太平洋テレビジョンの労働争議」について若山は実名を避けながらも証言をした数少ない一人である。</ref>。のちに俳協から分かれて多くの声優プロダクションが結成された。
ただし、[[能登麻美子]]のようにデビュー当時から演技力が向上せずに役の幅が広がりアニメの出演本数が1クール最大7本という極めて珍しいケースも存在する。
 
[[1961年]](昭和36年)、[[音声制作会社]]である[[東北新社]]が設立されている。
==関連項目==
*[[日本の声優一覧]]
*[[声優ユニット一覧]]
*[[ナレーター]]
*[[ラジオ]]
*[[テレビ]]
*[[映画]]
*[[アニメ]]
*[[アニラジ]]
*[[ゲーム]]
*[[オタク系バンド]]
 
東北新社出身の演出家である[[加藤敏 (音響監督)|加藤敏]]と[[佐藤敏夫 (音響監督)|佐藤敏夫]]は、新劇系の俳優が中心となっていた当時の制作事情を挙げる中で、「アテレコといっても結局はお芝居ですよ。最初、僕らはキャスティングをするといっても、役者さんを知らないので、劇団四季、東芸、七曜会、俳協などのマネージャーが来て、我々のためにキャスティングをしてくれたんです。我々には分からないところで "こういう人を使ってみたらどうか" とか。自分で主導権を握ってキャスティングができるまでには時間も掛かりましたが。」と声優の解説を行った<ref>{{Cite web |title=第二回007シリーズ"TV放送吹替ディレクターに聞く 〜 加藤敏 & 佐藤敏夫 〜 {{!}} 声優・吹替制作スタッフ・インタビュー |url=http://www.007fukikae.com/interview/003.html |website=www.007fukikae.com |accessdate=2024-08-21}}</ref>。
==外部リンク==
*[http://www.nippairen.com/ 日本俳優連合]
*[http://fish.miracle.ne.jp/mita/New-bellissima04-14.htm 本喰い虫のホームページ「我々は声優を消費している?」]
 
この時代にはまだ声優という言葉は一般には認知されておらず<ref>高田城、千葉節子『声優になるには』ぺりかん社、1983年初版、1994年改定版、47頁。</ref>、別称として、吹き替えを主にしたことから'''吹き替えタレント'''<ref>{{Cite journal|和書|date =1962-03|title = やぶにらみ鑑賞講座アテレコ編|journal = 新週刊|volume = 3月29日号|page = 80|publisher = 新週刊社|}}</ref>、'''吹きかえ屋'''<ref name="写楽祭">{{Cite journal|和書|anchor=成宗五郎|date = 1963-05|title = 11:15 人気番組ウラばなし|journal = 写楽祭|volume = 9|page = <!--ページ数表記無し-->|publisher = [[富士写真フイルム]]}}</ref>、声をあてることから'''アテ師'''<ref>『テレビ黄金時代の立役者12人の告白 あの日、夢の箱を開けた!』小学館、2003年、190頁。</ref>{{R|写楽祭}}、'''アテレコ・タレント'''{{R|写楽祭}}というものがあった。
[[Category:声優|*]]
[[Category:アニメ|せいゆう]]
 
また、海外ドラマブームに沸く状況は、アテレコ調が蔓延する状況でもあり、[[1962年]](昭和37年)には、戦前から活躍する俳優の[[東野英治郎]]らが新聞紙面上に意見を表明している。一連の役者論、演技論を巡る論議は、後世において[[アテレコ論争]]と記録された。
[[de:Seiyuu]]
 
[[en:Voice actor]]
{{Quotation|それはともかく個性とか性格とかいうものが出せるものなんだろうか?演技しているうちの心理の動きなり動作なりは全くの他人がやっていて、しかも言葉の音質の違う人間がやっているものを、声だけ貸すというのは、どうしても一つの便法にすぎない。<br>
[[ru:Сэйю]]
そのために一つのセリフ調子というものが出来上がっていて、声の色もそれらしい声を要求されるのだろうが、こうしたことが長くつづくとどういうことになるだろうかと考えると、ゾッとするような気がするのである。(中略)<br>
[[zh:聲優]]
現在ではこれも俳優の職業の一つになってはいるが、俳優は大へんなギセイを払わされているわけである。うかうかすれば片輪になりかねないからである。もちろん出演される俳優諸君もこんなことは百も承知だろうと思うが老婆心までに、ことに若い俳優諸君に申し上げたい。制作者の方もこの点を十分考えてあげてほしいように思う。俳優としてはいわば危険な仕事になってくるわけであるから、危険手当てとでもと考えて十分の報酬をあげてほしいものである。|東野英治郎『“声”優に危険手当てを』他人の演技に合わす苦しみ<ref name="touno">{{Cite news|和書 |title=東野英治郎、 “声”優に危険手当てを 他人の演技に合わす苦しみ |newspaper=東京新聞 |date=1962年2月19日 |edition=朝刊、月曜モニター}}</ref>}}
 
[[ファイル:Nerima Oizumi-animegate Chronological table Astro Boy 1.jpg|right|190px|thumb|『[[鉄腕アトム]]』]]
[[1963年]](昭和38年)、日本放送芸能家協会(現:[[日本俳優連合]])が発足している。代表には徳川夢声が就任し、設立総会では「著作権制度と放送法の改正を前にして日本放送文化の向上という公益のために結成」した事を宣言した。また、音声制作会社である[[グロービジョン]]が設立された。
 
同年、[[虫プロダクション]]が国産初の30分テレビアニメシリーズ『[[鉄腕アトム (アニメ第1作)|鉄腕アトム]]』(主演声優:[[清水マリ]])の放送が開始された<ref>{{Cite web|和書|title=豊島区立トキワ荘マンガミュージアム 特別企画展「鉄腕アトム ―国産初の30分テレビアニメシリーズ―」|豊島区公式ホームページ |url=https://www.city.toshima.lg.jp/toshimanow/new/2112231505.html |website=www.city.toshima.lg.jp |access-date=2022-11-17}}</ref>。[[プレスコ]]方式が主流であった従来の劇場用アニメ市場とは異なる、[[アフレコ]]方式を採用したテレビアニメ市場が形成されて行く<ref>{{Cite web|和書|title=声優界のレジェンド「鉄腕アトム」の清水マリ、手塚治虫との思い出語る : 映画ニュース |url=https://eiga.com/news/20160921/18/ |website=映画.com |access-date=2022-11-17 |language=ja}}</ref>。
 
[[File:Gene Barry Burkes Law 1963.JPG|left|140px|thumb| 『[[バークにまかせろ]]』]]同年、文部省が公示した[[学習指導要領]]が実施され、高等学校課程に[[現代国語]]が創設されている。改定委員となった[[国語学者]]の[[時枝誠記]]の下で、経験主義から能力主義への転換が図られている。[[言語過程説]]を提唱した時枝は後述の福田の師に当たった<ref>{{Cite journal|和書|author=大滝一登 |date=2021-09 |url=https://doi.org/10.20555/kokugoka.90.0_17 |title=高等学校「現代国語」新設における能力主義的教育観の具現化に関する一考察――「作文の能力」の重視に関する経緯と到達点―― |journal=国語科教育 |ISSN=02870479 |publisher=全国大学国語教育学会 |volume=90 |pages=17-25 |doi=10.20555/kokugoka.90.0_17 |naid=130008106354 |CRID=1390852724619169024}}</ref>。
 
同年、財団法人・[[現代演劇協会]]と[[劇団雲]]が設立されている。雲の会の会員であった福田恆存、芥川比呂志、小林秀雄、大岡昇平、中村光夫、今日出海らが役員に就任し、その継承を志向した。築地小劇場以来の新劇の亡霊を排し、日本における正統劇(せりふ劇)の確立を目指す事を謳った。また、同協会は設立趣旨の一つとして、役者に存在する「学校の違い」などの縄張り意識の追放を挙げている<ref name="11kan">{{Cite book|和書|author=福田恆存 |title=福田恆存評論集 |series=第11卷 (醒めて踊れ) |publisher=麗澤大學出版會, 廣池學園事業部 (發賣) |year=2007 |ISBN=9784892055515 |id={{全国書誌番号|21535165}} |NCID=BA84261088 |url=https://id.ndl.go.jp/bib/000009996895 |page=130}}</ref>。
 
[[1964年]](昭和39年)、日本テレビが『[[バークにまかせろ]]』の放送を開始する。翻訳は[[篠原慎]]、演出は[[左近允洋]]、主演は若山弦蔵が担当した。前述の勝田久の見解によると、アテレコ調からの脱却はこの番組の頃からであり、その路線は翌年の『[[0011ナポレオン・ソロ]]』にも踏襲されたとしている<ref name="katsuta2">見えない主役・声優のすべて : 声優入門テキスト・声優オール名鑑、1979年、勝田久、集英社、pp.86-88。</ref>。後述の[[野沢那智]]も出演者の一人であった。
 
[[1966年]](昭和41年)に『土曜洋画劇場』(現:『[[日曜洋画劇場]]』)の放送が始まり、この番組によってスターの声を特定の声優に固定する持ち役制(フィックス制度)が始まった<ref>酒井広「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・六本木」『映画はブラウン管の指定席で』淀川長治監修、[[テレビ朝日]]編著、[[テレビ朝日|全国朝日放送株式会社]]、1986年、p.38</ref>。この当時、東北新社は「隣の部屋で聞いたときに、普通のドラマだか吹替番組だかわからないような日本語版を作れ」を制作の[[モットー]]としていた<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20161010025640/http://video.foxjapan.com/library/fukikae/specialcolumn04.html |title=とり・みきの吹替どうなってるの「欧米人の吹替は実はアニメだった?」 |access-date=2025-07-12 |publisher=日本語吹替版専門映画サイト「吹替の帝王」}}</ref>。
 
[[1967年]](昭和42年)、放芸協の常務理事・久松保夫が『[[テアトロ]]』に『俳優ユニオンの提唱--劇団経営の合理化を含めて』を寄稿する。
 
[[1968年]](昭和43年)、文部省の外局として[[文化庁]]が設置されている。初代長官には今日出海が就任した。
 
同年、[[読売テレビ]]がテレビアニメ『[[巨人の星 (アニメ)|巨人の星]]』(演出:[[長浜忠夫]]、主演:[[古谷徹]])の放送を開始する。長浜は作品作りにおいて声優のディレクションを重要視した。その影響を受けた一人である[[富野由悠季]]は「人形劇をやっていらっしゃった方とは聞いていたが、ダイナミックに動き回り、アフレコ前のラッシュに自分で科白をあてて台本をチェックする監督なぞ、長浜監督をして初めて知った」と記している<ref>{{Cite book|和書 |author=富野喜幸 |year=1981.3 |title=だから僕は… 「ガンダム」への道 |publisher=徳間書店 |page=212}}</ref>。
 
[[1969年]](昭和44年)、声優に特化した俳優事務所として[[青二プロダクション]]が設立されている。俳協のマネージャー出身の久保進が、東映動画の要請を受け創業した。当時、アニメへの出演者は権利問題などを抱えていた事もあり、その出演交渉は困難な状況にあった<ref>{{Cite web|和書|title=声優・柴田秀勝に聞く『タイガーマスク』ミスターX誕生前夜 |url=https://otocoto.jp/interview/shibatahidekatu-1/ |website=otocoto {{!}} こだわりの映画エンタメサイト |access-date=2023-04-12 |language=ja}}</ref>。
 
[[1970年]](昭和45年)、[[著作権法]]の全面改正が行われ、[[著作隣接権]]として[[実演家人格権|実演家]]の権利が制定されている<ref>{{Cite web|和書|title=TPPによる実演家の権利への影響 |url=https://www.cpra.jp/cpra_article/ |website=CPRA Article |access-date=2022-11-17 |language=ja |publisher=芸団協CPRA 実演家著作隣接権センター}}</ref>。
 
[[1971年]](昭和46年)、日本俳優連合(日俳連)と、音声制作会社7社で構成された紫水会(現:[[日本音声製作者連盟]])が結成される<ref>{{Cite web|和書|title=沿革 - アニメ音響制作 外国映画・海外ドラマ日本語版制作 |url=https://onseiren.com/about/enkaku |access-date=2022-11-17 |publisher=日本音声製作者連盟}}</ref>。また、この年には映画会社の五社協定も、自然消滅を迎えている。
 
日本のテレビアニメの放送開始から8年後のこの年、大人向けアニメ番組への挑戦がなされ、『[[ルパン三世 (TV第1シリーズ)|ルパン三世]]』が制作された。放送局は前述の読売テレビ、主演は[[山田康雄]]が担当した(なお、山田は声優の呼称を嫌った)。本放送時は失敗に終わったが再放送の度に評価が高まり、[[1977年]](昭和52年)には、続編として[[ルパン三世 (TV第2シリーズ)|第2シリーズ]]が制作され、さらに本作の放送中には、劇場用アニメーションとして『[[ルパン三世 ルパンVS複製人間]]』、『[[ルパン三世 カリオストロの城]]』の2作品も公開されて、アニメブームを牽引した<ref>{{Cite web|和書|title=映画『ルパン三世』1stTVシリーズ - ライブラリー事業室 |url=https://www.ghibli-museum.jp/lupin/comment/library/ |website=www.ghibli-museum.jp |access-date=2022-11-17 |publisher=公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団}}</ref>。
 
[[File:Peter Falk Richard Kiley Colombo 1974.JPG|right|190px|thumb| 『[[刑事コロンボ]]』]]
[[1972年]](昭和47年)、NHKが海外ドラマ『[[西部二人組]]』の放送を開始する。アテレコの世界のイメージを変えようという目論見があり、当時の若手俳優が選ばれている。俳優座からは[[新克利]]が、文学座からは[[江守徹]]が起用された。日本語吹替版の製作は東北新社が担当している<ref name="seiyuhakusyo">{{Harvnb|声優白書|2000|pp=253、273|loc = 座談会 PART 2}}</ref>。
 
さらに同時期、NHKは海外ドラマ『[[刑事コロンボ]]』の放送を開始している。同作品のアテレコには雲から[[小池朝雄]]が起用された。小池は『[[パパは何でも知っている]]』などへの出演歴を有していた。こちらの日本語吹替版の製作はグロービジョンが担当している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.web.nhk/tv/an/columbo/pl/series-tep-G9L4P3ZXJP/ |title=刑事コロンボ |accessdate=2022-11-17 |publisher=NHK}}</ref>。
 
[[1973年]](昭和48年)、日俳連において、「外国映画日本語版の権利を護るための俳優集会」が開催された。吹き替えの仕事をする俳優全員の70%に当たる158名が参加し、さらに抗議団には187名が参加した。紫水会との間で交渉が行われ、業界の正常化と公正なルール確立のため、共同で対処する事が合意された。これにより出演料は平均3.14倍の増額となっている<ref>{{Cite web|和書|title=1973年 {{!}} 日本俳優連合30年史 |url=https://www.nippairen.com/progress/30his/30his010.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |access-date=2022-11-17 |language=ja}}</ref>。
 
[[1974年]](昭和49年)、映画雑誌『[[SCREEN (雑誌)|スクリーン]]』(発行:[[近代映画社]])が「人気声優インタビュー」の連載を開始する。 シリーズは1980年12月号まで継続し、合計で84回を数えた<ref>{{Cite web |url=https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000131363 |title=1974年の映画雑誌『スクリーン』(近代映画社)に吹き替えの声優の連載があったらしい。必ずしも毎号には載っていなかったそうなので、掲載号を教えてほしい。 |access-date=2024年4月17日 |publisher=レファレンス協同データベース}}</ref>。また、この年には江崎プロダクション(現:マウスプロモーション)が設立されている。
 
[[1975年]](昭和50年)、TBSが『[[刑事コジャック]]』の放送を開始する。翻訳は[[額田やえ子]]、演出は[[岡本知]]、主演は[[森山周一郎]]が担当した。額田は前述の『刑事コロンボ』も担当しており、翻訳面でも更なる進展が見られた。また、同番組のファンであったアニメ演出家の[[宮崎駿]]は、[[1992年]](平成4年)に公開した『[[紅の豚]]』において森山を起用している。
 
[[1976年]](昭和51年)、『[[毎日新聞]]』が『テレビ洋画の吹替え〝声の主役たち〟』を掲載し、声の吹き替えの歴史について報じた。初期は説明調、弁士調であったが、やがて台本の翻訳に細かい注意が払われるようになり、現在はセリフに感情を乗せ、そして画面と口も合わせるまでに技術が高度化されたと解説した。
 
また、声優の人選も拡大し、『日曜洋画劇場』放送の『[[野にかける白い馬のように]]』では、民藝の創設者の一人であり、戦前から活躍する[[宇野重吉]]を起用している。英国俳優の[[ジョン・ミルズ]]を担当した宇野は、初の吹き替え出演の後、「作品のオリジナリティーを無視しては悪い、と思っていた。だから吹替えイコール説明だと考えていたんだが、この認識はすでに古いんだね」と自己批判を行った<ref>{{Cite news|title=土曜レポート テレビ洋画の吹替え〝声の主役たち〟|newspaper=毎日新聞 東京夕刊|date=1976-09-11}}</ref>。
 
=== 声優のタレント化とアテレコ論争 ===
[[1977年]](昭和52年)、劇場版の『[[宇宙戦艦ヤマト]]』が公開された。テレビアニメを編集し、再アフレコでの新規録音を行った。ここに始まる[[アニメブーム]]は、同時に[[#声優ブーム]]の様相を呈して行く。
 
[[1978年]](昭和53年)には、日俳連により外画協定が締結されている。この当時、日俳連に加盟する約2500名の俳優のうち、外画・動画部会は530名を数えるまでになり、15年以上のキャリアを持つ200名を中心としていた<ref name="katsuta">[[勝田久]] 「声優の権利擁護と俳優運動」『見えない主役・声優のすべて:声優入門テキスト・声優オール名鑑』、1979年10月15日、[[集英社]]、p.268</ref><ref name="abe">阿部邦雄 『TV洋画の人気者 声のスターのすべて : 人気声優インタビュー60人集つき』、1979年5月30日、[[近代映画社]]</ref>。また、[[日本脚本家連盟]]も協定書を締結している。
 
[[1979年]](昭和54年)、アニメ演出家の富野由悠季はテレビアニメ『[[機動戦士ガンダム]]』の制作中、『[[ファンタスティックコレクション]]』から依頼されて、声優論を展開している。アニメ制作の[[スタッフ]]の立場から、声優志望者に向けて声優観が表明された。{{Quotation| アニメ流行の当節ならば〝声優〟というのは独立した職業のようにきこえもする。しかし、本来、声優という職能は、演技者(俳優)の持つ才能の一部でしかない。演技者であってこそ声優という部分の才能も発揮される。現に、声優だけを職業として、その人気だけで自分の実力を楽しんでいる声優は少ない。声だけで演技をするという事は、単なる発声の訓練ですむものではない。つまり、演技者(俳優)としての能力があって、初めてなし得るという事を忘れないで欲しいのだ。<br />
なぜ?なぜだろう?……そう。声一つとっても、肉体があるから、人格があるから、多種多様の声があるのだ。人格(人としての)のあらわれが声である。声だけで人間は存在しないということなのだ。これを、当たり前と感じた瞬間から、あなたは声優入門の第一歩を見失なうだろう。(中略)<br />
そして、最後に具体的に指針を示そう。本当に声優になりたいあなたなら、まず〝演技〟という単語を辞書で調べることぐらいやってごらんなさい。次にこの稿の中の知らない単語も調べなさい。そして、本当の最後です。〝さ、し、す、せ、そ〟と叫んでごらんなさい。あなたの声に、表情がありますか? なければ、表情をつけてごらんなさい。あなたの俳優修行の始まりです。|富野善幸『声優へのスタート』<ref name="tomino">『完全保存版 [[ファンタスティックコレクション]]別冊 声優の世界 アニメーションから外国映画まで』、1979年10月30日、[[朝日ソノラマ]]、pp.44-45。</ref>}}
 
[[1980年]](昭和55年)、日俳連は[[通商産業省]]の[[認可]]を受けて、[[団体交渉権]]を有した[[協同組合]]へと改組している<ref>{{Cite web|和書|title=1980年 {{!}} 日本俳優連合30年史 |url=https://www.nippairen.com/progress/30his/30his014.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |access-date=2022-11-16 |language=ja}}</ref>。同年、日本映画界の『[[男はつらいよ]]』シリーズが第25作『[[男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花]]』からオール同時録音方式を採用する。これにより出演俳優は基本的にアフレコ無しの制作環境に変容している<ref>{{Cite web|和書|title=監督・スタッフ|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト{{!}} 松竹株式会社|url=https://web.archive.org/web/20210802160050/https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/html/tora-san/supported/yamada_gumi.html|website=『男はつらいよ』公式サイト {{!}} 松竹株式会社|accessdate=2023-03-22|language=ja}}</ref>。
 
[[1981年]](昭和56年)2月、富野由悠季が『アニメ新世紀宣言』を提唱する<ref>{{Cite web|和書|title=あのとき「アニメ」が変わった 1981年アニメ新世紀宣言 |url=https://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY200910170173.html |website=www.asahi.com |accessdate=2021-05-22 |publisher=朝日新聞社}}</ref>。同年6月、福田恆存が演劇理論書として、『[[演劇入門]]』(初版:[[玉川大学|玉川大学出版部]])を編纂している。
 
[[File:永井一郎.png|left|120px|thumb|[[永井一郎]]]]
また同年9月には、日俳連の外画・動画部会の交渉委員であった[[永井一郎]]が『[[ガンダムセンチュリー]]』誌上で、アテレコ論争(1962年)への反論を行う。永井は『[[月刊OUT]]』(1977年創刊)の編集部から、声優と舞台の演技の違いについての寄稿を依頼され、声優論を展開した。
 
序文においては、「でもはっきり断っておくけど、僕は、[[アイドル声優]]や[[タレント]]の仕事について書く気はない。そういう人たちがそれなりに生きていくことを僕は決して否定しない。だけど、ここでは本来の俳優、本来の声優の仕事についてまじめに書くつもりだ。アイドル声優になりたいと思っている人は、このへんで読むのをやめて下さい」とその経緯を説明している。
 
役者論、演技論の理論的支柱には、シェイクスピア戯曲の[[キャラクター]]であるハムレットを引き合いに出して、キャラクターボイスの裏付けとした。{{Quotation|声優になりたい諸君!! どのジャンルの仕事も本質は同じなのだが、結果に於て舞台の演技を勉強することをおすすめする。余程の才能の持主でない限り、マイク前で声の演技だけを続けながら、体中の細胞のベクトルが揃うのを学ぶのはむつかしすぎる。<br>
舞台の演技の訓練で、まず、人の目の前では、ただでもバラバラになる細胞のベクトルを、「揃えて行動すること」を覚える。次にイメージした人間の細胞のベクトルに自分の細胞のベクトルを合せて行動することを覚える。こうして、演技することの基礎を体で覚えてから、声の仕事に入っていただきたい。イメージに従って意識的に体中の細胞を揃えるってむつかしいことだ。きっとオリンピック体操選手に匹敵する訓練が必要だ。しかし、これがやれなければ、長く生き残る本当にいい声優にはなれない。演技の訓練は、舞台の方が効率がいい。|永井一郎『細胞でとらえた演技』<ref name="nagai">永井一郎 「細胞でとらえた演技」『GUNDAM CENTURY―宇宙翔ける戦士達―RENEWAL VERSION』 樹想社、2000年、pp.89-96。</ref>}}
 
同年10月、日俳連、音製連、動画連盟(現・[[日本動画協会]])の三者により、動画協定が締結されている。文書によるアニメ出演契約の明確化が実現し、業界ルールの健全化が進んだ<ref name=":2">{{Cite web|和書|title=1981年・1982年 {{!}} 日本俳優連合30年史 |url=https://www.nippairen.com/progress/30his/30his015.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |accessdate=2021-05-22 |language=ja}}</ref>。
 
[[1982年]](昭和57年)、NHKが海外ドラマ『[[遥かなる西部|遥かなる西部 わが町センテニアル]]』の吹き替え放送を実施している。アメリカ建国200周年を記念して制作された全12話には、多彩な出演者が揃い踏みし、[[中尾彬]]、[[滝田裕介]]、[[今井和子]]、[[小林清志]]、[[里居正美]]、[[寺田農]]、[[樋浦勉]]、[[勝部演之]]、[[千葉耕市]]、[[福田豊土]]、[[瑳川哲朗]]、[[金内吉男]]、[[宍戸錠]]、[[天田俊明]]、[[鳳八千代]]、[[大塚周夫]]、[[小原乃梨子]]、[[内藤武敏]]、[[田口計]]、[[寺田路恵]]、[[中島葵]]、[[小林昭二]]などが参加している<ref>{{Cite web|和書|title=遙かなる西部〜わが町センテニアル |url=https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009040940_00000 |website=テレビ60年 特選コレクション {{!}} NHKアーカイブス |access-date=2022-11-16 |language=ja |last=NHK}}</ref>。
 
[[1983年]](昭和58年)には、TBSで『[[クリスタル殺人事件]]』の吹替放送が行われている。世代交代が色濃くなり始めた中、[[高橋和枝]]、[[武藤礼子]]、[[羽佐間道夫]]、小原乃梨子、[[広川太一郎]]、[[納谷悟朗]]、[[池田昌子]]らが共演した。久しぶりに一堂に会した記念として写真撮影が行われ、以後二度と無い配役であったと回顧された。
 
[[File:Nippon Budokan 2010.jpg|right|210px|thumb|[[アニメグランプリ]]表彰式会場([[日本武道館]])]]
アニメブームの高まりは、「1983年春のアニメ映画興行戦争」と注目を集めるまでの状況に達し、劇場用アニメーション映画への投資を呼び込んでいる。新規作画での大作が志向され、作画水準の向上に伴う作風の変化から、テレビアニメとは趣向を変えた起用も行われた。[[角川映画]]がアニメに進出した『[[幻魔大戦 (映画)|幻魔大戦]]』では、江守徹、[[美輪明宏]]、[[穂積隆信]]、[[林泰文]]、[[原田知世]]、[[白石加代子]]などが名を連ねた。また、『[[クラッシャージョウ]]』では、[[ハンフリー・ボガート]]のフィックス声優でもあった[[久米明]]が、さらに『[[宇宙戦艦ヤマト 完結編]]』では、[[仲代達矢]]、[[石田太郎]]などが起用されている<ref>{{Cite web|和書|title=クラッシャージョウBD-BOX発売記念、安彦良和氏インタビュー {{!}} アニメイトタイムズ |url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1480664204 |website=クラッシャージョウBD-BOX発売記念、安彦良和氏インタビュー {{!}} アニメイトタイムズ |access-date=2022-11-16 |language=ja}}</ref>。
 
[[1984年]](昭和59年)には、劇場用アニメーション映画『[[うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー]]』、『[[風の谷のナウシカ (映画)|風の谷のナウシカ]]』、『[[超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか]]』の3作品が公開されている。アニメブームの到達点として記録された各作品で、ヒロイン役を担当した[[平野文]]、[[島本須美]]、[[土井美加]]は、いずれも公開当時20代であり、[[#大学芸術学部・演劇学科|大学の演劇科]]や[[#俳優・舞台役者|劇団の演劇学校の出身者]]であった<ref>{{Cite web|和書|title=アニメ評論はなぜ「無いように見える」のか? アニメ雑誌と評論の歩み――アニメ評論家・藤津亮太インタビュー |url=https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3302198/ |website=ねとらぼ |access-date=2022-11-16 |language=ja}}</ref>。また、同年には、現代演劇協会が『ハムレット』を上演している。本公演では、29年前と同じく福田恆存が演出を担当し、前述の土井美加が[[オフィーリア]]役を担当していた。
 
上記のマクロスで監督を務めたアニメ演出家の[[河森正治]]は、劇場アニメとテレビアニメの制作環境の違いを指摘し、「現在のテレビアニメというのは、登場人物があまりに抽象化・記号化されていると思います。人物の感情を『説明』はしていても『表現』はしていない。だからこそ、今回はニュアンスまで含めた感情表現をしてみようと思ったともいえます。」と解説を行った<ref name="animage">『[[アニメージュ]]』1984年12月号 河森正治責任編集 映画「マクロス」とりあえずさよならBOOK、p.27。[[徳間書店]]</ref>。
 
このアニメブームを画期として、収録の技術・環境面では、録り直しが容易ではないフィルムに代わってVTRが導入されて行く。『声優白書』(2000年発行)の声優業界年表では、その具体的な時期について、「1985年 収録にVTR・マルチレコーダー導入」と記載している<ref>{{Cite journal|和書|author=佐藤桂一 |title= 「第一次・第二次声優ブーム」(1960年代・1970~1980年代)を通して見る声優業の進化と分化 -現代日本における声優の歴史(2) |journal=文学研究論集 |ISSN=1340-9174 |publisher=明治大学大学院 |year=2019 |month=09 |volume=51 |pages=95-115 |naid=120006727195 |url=https://hdl.handle.net/10291/20363 |accessdate=2024-05-23}}</ref>。
 
人材の供給・育成面では、声優専門プロダクションが分裂することによって次第に数が増え始める。1979年(昭和54年)には、[[ぷろだくしょんバオバブ]]が、1981年(昭和56年)には、[[81プロデュース]]が、1984年(昭和59年)には、[[大沢事務所]]、[[賢プロダクション]]、[[アーツビジョン]]が設立された。同時に各プロダクションにより[[#声優養成所・声優学校|声優養成所]]が設けられた。
 
1982年(昭和57年)には、[[青二塾]]が設立され、日俳連の副理事長でもあった久松保夫が初代塾長に就任した。久松は「優れた声優は、優れた俳優でもある」という理念の下で後進の育成に乗り出すが、その矢先に急逝する<ref>{{Cite web|和書|title=久松 保夫 {{!}} 株式会社青二プロダクション |url=https://www.aoni.co.jp/search/hisamatsu-yasuo.html |website=www.aoni.co.jp |access-date=2022-11-16}}</ref>。また、[[1985年]](昭和60年)には、東京俳優生活協同組合が[[俳協演劇研究所|付属養成所]]に1年制の声優科を設立した。2年制の俳優科との並立体制となる。
 
これらにより、放送劇団出身者や映画業界出身者、舞台役者などの俳優活動の一環や余技としての声優業ではなく、最初からアニメ声優を目指した声優が登場し始めた。1984年(昭和59年)、ヒロイン役を務めた[[歌手]]の[[飯島真理]]を看板とした映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が公開され、声優のアイドル化はひとつの頂点に達するが、その後ハイターゲット向けテレビアニメ冬の時代が到来。しかし、[[OVA]]や劇場アニメ、ラジオ番組などでの進展が見られるようになる。
 
一連の[[#声優ブーム]]は、声優に特化した[[芸能事務所]]や声優養成所の伸長に繋がり、現在に至る声優像の多様化の原点となった<ref>{{Cite web|和書|title=【ザ・プロデューサーズ】第20回・南沢道義氏〜声優になるために大切なこととは〜【前編】 |url=https://spice.eplus.jp/articles/152601 |website=SPICE(スパイス) |accessdate=2021-05-22}}</ref>。
 
[[File:Kappei Yamaguchi (23800209463).jpg|left|180px|thumb|[[日本]]の俳優・声優である[[山口勝平]]]]
[[1986年]](昭和61年)5月、アニメ演出家の宮崎駿が、アニメ雑誌合同の記者会見において、アニメブームの完全終結を宣言する。[[スタジオジブリ]]初作品の制作中に行われたインタビューでは、ブームを牽引して来た企画の立役者達の不在を指摘し、同時にアニメ業界の縮小再生産的な傾向を懸念した<ref>{{Cite journal|date=1986-09-01|journal=[[コミックボックス]]|issue=31|page=57|publisher=[[ふゅーじょんぷろだくと]]}}</ref>。同年8月には、アニメーション映画『[[天空の城ラピュタ]]』が劇場公開された。出演者に[[田中真弓]]、[[よこざわけい子|横沢啓子]]、寺田農、[[初井言榮]]、[[常田富士男]]、永井一郎ほか。宮崎のアフレコの演出方針について、横沢は「いつもの作品の取り組み方ではダメだ」と思案する内容であったと解説を行っている<ref>{{Cite web |title=がたふぇすvol.3 よこざわけい子トークショー |url=https://web.archive.org/web/20160402163226/https://manganime-niigata.jp/gatafesvol3_yokozawa.html |website=web.archive.org |date=2016-04-02 |access-date=2025-01-13 |publisher=MangAnimeナビ にいがた}}</ref>。
 
[[1987年]](昭和62年)、大手新聞社・テレビ局が製作した劇場用アニメーション映画『[[紫式部 源氏物語]]』が公開されている。登場人物の作画において、[[ライブアクション]]<ref>{{Cite web|和書|title=10-11月 展覧会連携 国産アニメーション100周年記念《スクリーンに蘇る!アニメーション傑作選》 - 川崎市市民ミュージアム |url=https://www.kawasaki-museum.jp/cinema/8631/ |access-date=2022-12-11 |language=ja}}</ref>が採用された本作では、[[風間杜夫]]、[[梶三和子]]、[[田島令子]]、[[風吹ジュン]]、[[萩尾みどり]]、[[横山めぐみ]]、[[矢崎滋]]、[[津嘉山正種]]、[[大方斐紗子]]、大塚周夫、野沢那智、[[田村錦人]]、納谷悟朗、常田富士男、[[大原麗子]]らが声の出演をしている<ref>{{Cite web|和書|title=紫式部 源氏物語|日本の映画情報を検索 日本映画情報システム |url=http://www.japanese-cinema-db.jp/Details?id=14715 |website=www.japanese-cinema-db.jp |access-date=2022-12-11}}</ref>。
 
[[1988年]](昭和63年)、OVAを中心に展開された『[[銀河英雄伝説 (アニメ)|銀河英雄伝説]]』(1988年 - 2000年)が開始する。600名を超える登場人物を描き分ける困難から一人一役が採用され、当時の男性声優の大半が出演した。その後、会話劇が魅力の作品という事もあり、芝居に携わる人間が最適ではないかとの検討が行われる。これによりアニメとは疎遠気味であった、外画系で主役級を務める劇団出身者にまで人選が拡大した<ref>{{Cite web|和書|title=【明田川進の「音物語」】第5回 “銀河声優伝説”と呼ばれたOVA「銀河英雄伝説」のキャスティング |url=https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/106374/ |website=アニメハック |accessdate=2023-06-14 |language=ja}}</ref>。
 
さらに、[[1990年代]]になって、吹き替え作品が、地上波放送のほかにも、DVDなどのパッケージやCS放送などさまざまな形態で発信されるようになると、同じ作品でも複数の吹き替えが作られる例が増加した。このため、[[#日本語吹き替え|従来の持ち役制度]]はほぼなくなったとする指摘もある{{R|seiyuhakusyo2}}が、現在も[[トム・クルーズ]]本人からの公認で専属吹き替えを務めている[[森川智之]](2001年以降。森川が担当する前は[[鈴置洋孝]]が多く担当していた)のように、同一の声優が同じ役者を吹き替え続ける慣習は残っている<ref>{{Cite web|和書|url=https://hominis.media/category/voiceActor/post4202/|title=トム・クルーズ公認の声優・森川智之「トム本人からの吹き替えチェックに驚きました!」|accessdate=2020-08-06|publisher=ホムニス}}</ref>。
 
[[File:Walt Disney Studios Alameda Entrance.jpg|right|200px|thumb| [[ウォルト・ディズニー・カンパニー]]]]
[[1991年]](平成3年)、日俳連の外画・動画部会は出演条件の改定交渉に臨み、合意書に調印している。これにより出演料は平均1.7倍の増額となっている<ref>{{Cite web|和書|title=1990年 {{!}} 日本俳優連合30年史 |url=https://www.nippairen.com/progress/30his/30his023.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |access-date=2022-12-23 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=1991年 {{!}} 日本俳優連合30年史 |url=https://www.nippairen.com/progress/30his/30his024.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |access-date=2022-12-23 |language=ja}}</ref>。出演料の高騰は新人声優の登用など、この後の業界構造に影響を与えた<ref>{{Cite web|和書|title=第32回 1994年(平成6年)2大「りぼん」アニメの登場と『ガンダム』シリーズの転機 {{!}} WEBアニメスタイル |url=https://animestyle.jp/2013/02/26/4072/ |website=WEBアニメスタイル {{!}} もっとアニメの話をしよう。 |access-date=2022-12-23 |language=ja |last=アニメスタイル編集部}}</ref>。同年、[[ウォルト・ディズニー・カンパニー]]が劇場用アニメーション映画『[[リトル・マーメイド]]』を日本で公開する。日本語吹替版の声優には、[[すずきまゆみ]]、[[井上和彦 (声優)|井上和彦]]、大友大輔、[[上條恒彦]]、久米明、[[森公美子]]、森山周一郎らが起用された。また、この後の[[ディズニー・ルネサンス]]においては、スタジオジブリとの事業提携も実施している(1996年)。
 
[[File:東北新社.JPG|left|100px|thumb|[[東北新社]]]]
[[1995年]](平成7年)、東北新社が創立35周年記念事業として映像テクノアカデミアを開校し、映像翻訳や声優の教育事業を開始する。
 
[[1996年]](平成8年)、NHKと東北新社は海外ドラマである『[[ER緊急救命室]]』の吹き替え放送(翻訳:[[木原たけし]]、演出:佐藤敏夫)に先立って、声優オーディションを開催している。文学座、[[演劇集団 円|円]]、[[劇団昴|昴]]、俳優座、[[劇団青年座|青年座]]の各劇団に所属する俳優陣がごぞって参加し、その中から[[山像かおり]]、[[井上倫宏]]、[[平田広明]]、[[小山力也]]、[[野沢由香里]]が合格した<ref>{{Cite web|和書|title=小山力也インタビュー 吹替の帝王 -日本語吹替版専門映画サイト- |url=https://web.archive.org/web/20200809175507/https://video.foxjapan.com/library/fukikae/interview/interview45/ |website=web.archive.org |date=2020-08-09 |accessdate=2023-03-10 |publisher=20世紀フォックス ホーム エンターテイメント}}</ref>。同作品は15年間に及び、全332話の出演者数は延べで約3200名を数えている<ref>{{Cite web|和書|title=「ER緊急救命室」大納会、お疲れさまでした! |url=http://www.vta.tfc.co.jp/techno_voice/2011/01/post-20.html |website=Techno Voice |accessdate=2023-03-10}}</ref>。
 
=== 専業声優不遇の時代と復興 ===
[[File:Studio Ghibli studio 3.jpg|right|170px|thumb|[[スタジオジブリ]]]]
[[1997年]](平成9年)、大手出版社・テレビ局・広告代理店が製作した劇場用アニメーション映画である『[[もののけ姫]]』が公開されたが、当時の[[日本歴代興行成績上位の映画一覧#日本歴代興行収入ランキング|日本映画の歴代興行収入]]第一位となった本作では、声の仕事を主戦場とはしない人間を中心に、[[松田洋治]]、[[石田ゆり子]]、[[田中裕子]]、[[小林薫]]、[[西村まさ彦|西村雅彦]]、上條恒彦、島本須美、[[渡辺哲]]、[[佐藤允]]、名古屋章、美輪明宏、[[森光子]]、森繁久彌らが声の出演をしている<ref>{{Cite web|和書|title=なぜ僕?『もののけ姫』主人公アシタカ松田洋治の“葛藤”「超有名俳優でも声優でもない中途半端な存在」だったのに… |url=https://bunshun.jp/articles/-/47830 |website=文春オンライン |access-date=2022-12-17 |first= |last= |author=平田裕介}}</ref>。
 
[[1998年]](平成10年)、アニメ演出家の[[庵野秀明]]は、『[[月刊ニュータイプ]]』(発行:[[角川書店]])が企画した[[野田秀樹]]との対談において、自身の声優観に言及し、その変化を告白している。庵野は前述のアニメブーム以来、アニメ制作に携わっており、直近の監督作であったテレビアニメ『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』と劇場版(1995年〜1997年)では、若手声優を数多く起用していた。{{Quotation|
庵野 僕、声優さんの肉声ってアニメの中で、唯一生だと信じてたんですよ。でもある日突然逆じゃないかと思ったんです。声優さんのお芝居は技術なんですよ。
 
野田 とってもよくわかる。肉を使ってるはずなのに、肉じゃない。
 
庵野 ええ。そこにあるのは記号なんですよ。キャラクターを統一するための。人の声をした記号。
 
野田 肉じゃないものに合わせようとするんだからね。
 
庵野 そうなんです。それでアニメーションっていうものに、ガターっときたんです。だから実写や舞台がいいなぁって思ったんです。肉体と声がひとつだから。
 
野田 じゃぁ、声優を使わずに、最初に声をとってから、アニメをつくれば?
 
庵野 それが理想です。プレスコ(注2)っていう方法。高畑勲さんはやってるし、ディズニー、アメリカでは当たり前なのに、日本ではシステムの問題でなかなかできない。こんどのアニメ(『彼氏彼女の事情』)では声優オーディションをやるんです。型にはまってない役者さんがいいですね。
 
 注2 プレスコ…アフレコの反対語。最初に声をとって、それに合わせてアニメをつくる方法。役者の演技が優先される。|庵野秀明、野田秀樹『2次元からの屹立』声は生を感じさせる大切な存在である<ref name="annonoda">『Newtype 1998年5月号』、p.83。</ref>}}
 
[[File:New National Theatre 201904a.jpg|right|180px|thumb| [[新国立劇場]]]]
[[2002年]](平成14年)、富野由悠季が『[[映像の原則]]』を発表する。富野は媒体による表現上の差異を指摘して、それがどの程度のものであるべきかは一概に言えないものであると解説した。また、これに伴い声優観を表明している。「声優を目指す、役者は目指さない、といっている最近の若い人達の動向も知っていますから、それは、まちがいなのだから気をつけて先輩たちを観察してください、と申し上げておきます。」と述べ、演技の基本を演劇論の上で学習すべきとの見解を示した<ref>{{Cite book|和書 |title=映像の原則 富野由悠季 |date=2002年2月 |publisher=キネマ旬報社 |page=300}}</ref>。この時期、例えば[[2005年]](平成17年)、[[新国立劇場]](開場:1997年)が3年制の演劇研修所を設立している。研修所の基本方針としては、イギリスの[[王立演劇学校]](RADA)などの教育路線を踏襲し、[[戯曲]][[読解]]を含めた演技術、[[ボイス・トレーニング]]、[[ムーブメント]]の三つを柱としていた。
 
2000年代になってもジブリ作品など大作アニメ映画の主役級やナレーション、洋画の吹き替えでは主役級での専業声優の排除、有名芸能人起用が進められた。そして専業声優の主な活動場である全日帯テレビアニメや[[海外ドラマ]]の地上波放送が減少していく。
 
その一方、[[深夜アニメ]]や[[ラジオ]]深夜番組、音楽・ライブ活動、[[テレビゲーム]]、[[動画サイト]]などを通じて、若年層を中心に声優の人気は保たれ、アニメやゲーム人気の拡大とともに支持を集めていった。また知名度で選んだ有名芸能人声優は下手な場合も多く、専業声優が再評価された<ref>[https://cyzowoman.jp/2019/01/post_217439_1.html 「棒すぎて聞けない」「作品を壊してる」声優に挑戦も“棒読み”で波紋を呼んだ3人(2019/01/21 11:45)|サイゾーウーマン]</ref>。
 
2010年代後半にはバーチャルなキャラクターを製作し、それに声優が声をあてて[[YouTube]]など動画配信を利用して配信する[[バーチャルYouTuber|VTuber]]が出現するが、このキャラクターを「声優」として、VTuberがほかのアニメ・ゲーム作品などに声をあてるという事例もある([[#バーチャルYouTuber活動|バーチャルYouTuber活動]]も参照)。
 
=== 2020年代 ===
[[2021年]](令和3年)、[[日本演出者協会]](設立:1960年)が「演出家・俳優養成セミナー2020 演劇大学」を開催する。文化庁による「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として実施された。この中で、舞台演出家の[[松本修 (演出家)|松本修]]は、「新劇調」「翻訳劇調」と並んで「吹き替え・アテレコ調」を取り上げ、その諸問題を提起している<ref name=":5">{{Cite web|和書|title=A:翻訳劇をどう演じるか?~チェーホフ戯曲を用いて考える~ - 一般社団法人 日本演出者協会 |url=https://web.archive.org/web/20210917185019/https://www.jda.jp/seminar-ws/university/unidetail/1865.html |website=web.archive.org |date=2021-09-17 |access-date=2023-03-10}}</ref><ref name=":6">{{Cite web|和書|title=演劇大学 IN大阪2020 報告 - 一般社団法人 日本演出者協会 |url=https://www.jda.jp/seminar-ws/university/10835.html |website=日本演出者協会 |date=2021-02-28 |access-date=2023-03-10 |language=ja}}</ref>。
 
[[2023年]](令和5年)、日俳連が『生成系AI技術の活用に関する提言』を行う<ref>{{Cite web|和書 |title=生成系AI技術の活用に関する提言 |url=https://www.nippairen.com/about/post-14576.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |date=2023-06-13 |access-date=2023-06-14 |language=ja}}</ref>。
 
2023年10月から「[[インボイス制度]]」(正式名称:適格請求書等保存方式)が施行予定となり、声優業界に与えるインパクトを憂慮し、有志グループ「VOICTION」が発足し、本制度への反対運動を行なっている。同グループはアンケート調査を実施し、その結果によると72%は声優としての年収が300万円以下であると回答しており<ref>[https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000109174.html 声優の7割以上は年収300万円以下、2割強がインボイス制度導入で廃業を検討] 22年9月実施声優の収入実態調査及びインボイスに関するアンケートのまとめ VOICTION 2022年9月29日 10時06分]</ref>、同グループの一人[[甲斐田裕子]]によると、2022年時点での声優のギャラは20年前(2000年ごろ)から変わっていないという<ref>{{Cite web|和書|title=インボイス制度で声優の2割が廃業も? インボイス反対のVOICTION甲斐田裕子氏に聞く |url=https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2209/26/news026_2.html |website=ITmedia ビジネスオンライン |access-date=2022-09-28 |language=ja}}</ref>([[#経済環境|経済環境]]も参照)。
 
[[2024年]](令和6年)、日本俳優連合、[[日本芸能マネージメント事業者協会]](設立:1970年)、[[日本声優事業社協議会]](設立:2007年)が、[[文部科学省]]の会見室において、『生成AIに関する音声業界三団体の主張』を発表する<ref>{{Cite web |title=「生成AIに関する音声業界三団体の主張」を発表しました |url=https://www.nippairen.com/jaunews/post-30487.html |website=日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト |date=2024-11-14 |access-date=2024-11-20 |language=ja}}</ref>。
 
同年、音声制作最大手の東北新社(設立:1961年)が祖業の関連事業である映像テクノアカデミアおよび、[[オフィスPAC]]の解散を発表する。映像・放送・広告業界の急速な変化に伴う需要縮小による影響を予測したものとした<ref>{{Cite web |title=2024年度秋以降 学生募集停止について |url=https://www.vta.tfc.co.jp/blog/2024/07/%E6%98%A0%E5%83%8F%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%87%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%94%9F%E5%8B%9F%E9%9B%86%E5%81%9C%E6%AD%A2%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/ |website=www.vta.tfc.co.jp |access-date=2025-01-10 |publisher=映像テクノアカデミア}}</ref><ref>{{Cite web |title=株式会社オフィスPAC事業停止のお知らせ |url=http://www.office-pac.jp/news/detail/?id=241220-00 |website=office-pac.jp |access-date=2025-01-10 |language=ja |publisher=オフィスPAC}}</ref>。
 
=== 声優ブーム ===
 
==== 第一次声優ブーム ====
1970年代になると、声優ブームの状況が出現した<ref>{{Cite web|和書|title=Synapse編集部が行く!日本アニメの現状 Vol.8 「声優の歴史」 {{!}} メディア応援マガジンSynapse(シナプス) |url=https://synapse-magazine.jp/television/2020anime08/ |website=Synapse(シナプス) {{!}} ビデオリサーチ |date=2020-10-22 |access-date=2023-03-17 |language=ja}}</ref>。ブームの中心人物は[[アラン・ドロン]]を持ち役とした野沢那智で<ref>ハイパーボイス監修『すごい!アニメの音づくりの現場』雷鳥社、2007年、79頁。音響スタッフだった[[田中英行]]の証言。</ref>、[[追っかけ]]までいたという<ref name="seiyuhakusyo2">{{Harvnb|声優白書|2000|pp=15 - 16|loc = 持ち役制度}}</ref>。
また、最初に認知されたアニメ声優として、当時子役ながらテレビアニメ『[[海のトリトン]]』(1972年)で主役を演じた[[塩屋翼]]が知られている{{R|"naito"}}。
 
[[1974年]](昭和49年)、読売テレビがテレビアニメ『[[宇宙戦艦ヤマト]]』の放送を開始する。同作でヒーロー役の[[古代進]]を担当した[[富山敬]]は、後述の声優ブームにおいて、個人名義での[[音楽アルバム]]『富山敬ロマン』(1979年)を出した初の声優アーティストとなった<ref>{{Cite journal|和書|author=佐藤桂一 |year=2019 |title=「第一次・第二次声優ブーム」(1960年代・1970〜1980年代)を通して見る声優業の進化と分化 -現代日本における声優の歴史(2)- |url=https://hdl.handle.net/10291/20363 |journal=文学研究論集 |ISSN=1340-9174 |publisher=明治大学大学院 |volume=51 |pages=95-115 |naid=120006727195 |hdl=10291/20363 |access-date=2022-11-22}}</ref>。
 
==== 第二次声優ブーム ====
第二次声優ブームは1977年(昭和52年)に公開された劇場版『[[宇宙戦艦ヤマト]]』のヒットによるアニメブームと並行して起こった。『宇宙戦艦ヤマト』の録音の日にはアフレコスタジオがファンだらけになった<ref>草川昭『アトムの子らは荒野をめざす : テレビ・アニメ20年史』p.128</ref>。
 
この時代は[[アニメ雑誌]]が創刊され始めた時代でもあり、『[[アニメージュ]]』の創刊編集長である[[尾形英夫]]は、声優の[[アイドル]]化を編集方針のひとつとして打ち出した<ref>尾形英夫『あの旗を撃て! 「アニメージュ」血風録』オークラ出版、2004年、60頁、120頁。</ref>。『アニメージュ』以外のアニメ誌も同様に誌面に声優コーナーを設けて、定期的に声優の情報を発信した。
 
アニメブームに押される形で声優業と並行した音楽活動も盛んになり、[[神谷明]]、古谷徹、[[古川登志夫]]などのアニメの美男子キャラクターを持ち役とする人気声優によるバンド「[[スラップスティック (バンド)|スラップスティック]]」を結成してライブ活動を行ったほか<ref>{{Cite book|和書|author=[[上野修 (ラジオプロデューサー)|上野修]] 著|title=ミスター・ラジオが通る|publisher=[[実業之日本社]]|date=1986-06-20|pages=152|id={{NDLJP|12276169/79}}}}</ref>、多くの声優がレコードを出すなどした。当時万単位のレコードを売り上げる声優として、[[潘恵子]]、[[戸田恵子]]、神谷明、[[水島裕 (声優)|水島裕]]、スラップスティックの名が挙げられている<ref>『ジ・アニメ』1982年3月号、108頁。</ref>。
 
また『宇宙戦艦ヤマト』で[[森雪]]を担当した麻上洋子(現:[[講談師]]・[[一龍斎春水]])はアニメが好きで声優になりたくて声優になったことが知られ<ref>[https://www.ytv.co.jp/anime/suwa_wp/4998.html 『アニ民354人目』声優で講談師の一龍斎春水さん] 2019.09.26</ref>、声優養成所が輩出した初の声優とされる<ref name="naito" />だけでなく、アイドル声優の始祖といえる存在で、その系譜が[[小山茉美]]、潘恵子へと続く。自身のアルバムを4枚出した潘恵子は元祖アイドルと呼ばれた<ref name="ORICON"/>。1981年には、第3回の[[アニメグランプリ]]が[[日本武道館]]を表彰式会場として開催する。以後、式典では声優による[[コンサート]]も披露されて行く。
 
この時期のアニメブームも後期に突入すると、新たな人材の採用志向が強まり、[[レコード会社]]と歌手契約を結んだ[[アーティスト]]、[[アイドル]]が[[#役者以外を声優に起用すること|アニメ声優として起用され]]、話題を呼んでいる。1982年(昭和57年)に放送された『[[超時空要塞マクロス]]』では[[飯島真理]]が、[[1983年]](昭和58年)に放送された『[[魔法の天使クリィミーマミ]]』では[[太田貴子]]が、[[キャラクターソング]]なども担当した<ref>{{Cite web|和書|title=「魔法の天使 クリィミーマミ」太田貴子さん(森沢優・クリィミーマミ役)インタビュー 前編 今も、実生活が優ちゃんで、仕事がマミちゃん。 |url=https://animeanime.jp/article/2014/05/26/18822.html |website=アニメ!アニメ! |access-date=2022-11-16 |language=ja}}</ref>。
 
前述のとおり声優養成所が次々設立されたのもこの時期であり、このブームはおおむね[[1980年代]]前半ごろまでとされている<ref name=":3">{{Cite web|和書|title=声優試論――「アニメブーム」に見る職業声優の転換点―― |url=https://database.jsas.net/mapping/items/ar0022015001/ |website=Database for Animation Studies |accessdate=2021-05-28 |language=ja |publisher=日本アニメーション学会}}</ref>。
 
1980年代後半から「声優のアイドル化」あるいはアニメ・イベント(ショー)への出演による「顔出し」が一般的になった<ref name="naito"/>。例えば1980年代末のテレビアニメ『[[鎧伝サムライトルーパー]]』に出演した5人の男性声優で[[1989年]]に結成したユニット「'''[[NG5]]'''」が人気を集め、ニュース番組で取り上げられるほどであった。声優がマルチ活動をするようになった先駆け的グループであるとも言われている<ref>アニメージュ編集部・編『声優になりたいあなたへ』徳間書店、1994年、p.46</ref>。1993年(平成5年)からのOVAシリーズ『[[アイドル防衛隊ハミングバード]]』以後に急速に見られるようになった、アニメ作中のキャラクターと実在の声優を様々な形で相互に連想させるようなメディア的な演出によって、表舞台に立つ存在になった。こうして、アイドル的なイメージ構築によるアイドルファンのアニメファンへの取り込みがなされるようになる。
 
そして、[[林原めぐみ]]などの女性声優がレコード会社と契約を行って歌手活動をする例が増えてくる<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20190330075742/https://lineblog.me/megumi_hayashibara/archives/1549137.html|title=林原めぐみオフィシャルブログ/私らしく(超長文)|accessdate=2020-08-06|publisher=ameblo}}</ref>。
 
==== 第三次声優ブーム ====
用語として、おおむね1990年代半ばから後半にかけて、頻繁に用いられていたが、明確な定義は存在していない。第一次、第二次という使い方も、この用語から逆算的に使用されたもので、こちらも明確な定義は存在していない。この時期の特徴として、「新人声優のデビューラッシュ」<ref group="注">特に新人女性声優向けに同時期文化放送の『[[SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン]]』内のプロジェクト『ドリカンクラブ』(1996年発足)や、バンプレスト、ニッポン放送、AICによるメディアミックス声優ユニット企画『[[Kirakira☆メロディ学園]]』(1999年〜2001年)などの大人数グループが誕生していた。</ref>「声優の音声入りの[[テレビゲーム]]やパソコンゲームの登場による仕事の増加」とともに、「声優のマルチ活動化や歌手活動への進出によるアイドル化」「声優がパーソナリティを務めるラジオ番組の普及」などが挙げられる。このことから、声の演技力のほかにも、特にアニメ・ゲームで活躍するには容姿のよさや歌唱力などといったようなことも声優に求められるようになったとされる。
 
[[1994年]](平成6年)に初めての声優専門誌となる『[[声優グランプリ]]』と『ボイスアニメージュ』が相次いで創刊された<ref>{{Cite web|和書|url=https://seigura.com/news/42375/|title=【声グラヒストリー第1回】高まる声優人気を受け、待望の声優専門誌がついに創刊! 1994年Vol.1(創刊号)|accessdate=2020-08-06|publisher=声グラ}}</ref>。同年、ステージ制作業務を手掛ける[[ネルケプランニング]]が設立され、アニメ作品のキャスティング業務にも参入している。またこの年から日本声優検定協会の[[声優検定]]といった検定が誕生している。
 
[[1995年]](平成7年)には初の声優専門のテレビ番組『[[声♥遊倶楽部]]』が放送された。そして[[清水香里]]や[[坂本真綾]]などが、当時[[中学生]]でテレビアニメの主人公に抜擢される例もあり、アイドル的な注目を受けた<ref>{{Cite web|和書|url=https://ameblo.jp/shimizu-kaori/entry-10716925755.html|title=lain|清水香里オフィシャルブログ|accessdate=2020-08-06|publisher=ameblo}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1592373301|title=TVアニメ『天空のエスカフローネ』坂本真綾「約束はいらない」【毎日1曲おすすめのアニソンをあなたに 塚越淳一のアニソントラベラーvol.47】|accessdate=2020-08-06|publisher=アニメイトタイムズ}}</ref>。
 
1997年(平成9年)には、[[椎名へきる]]が声優として初めて日本武道館で単独コンサートを開催した。椎名は声優が必ずしもアニメや外国映画吹き替えなどの、映像中のキャラクターの影という声の代行者という役割ではなく、声優そのものがスター性を持った存在となり得ることを最初に示した先駆者とみられている<ref name="naito"/>。
 
この時期、アニメ作品で声を担当した声優が舞台公演などでその担当したキャラクターを演じる例の先駆として、[[サクラ大戦シリーズ#歌謡ショウ]]が始まる。これは1997年(平成9年)から2007年(平成19年)まで続くが、[[サクラ大戦]]帝国華撃団花組のキャラクターの声を演じている声優が、実際に舞台上でそのキャラクターを演じるミュージカル仕立ての公演で、それまでアニメ原作の舞台では俳優が演じていたが、アニメとの声の違いを指摘した子供がいたことで、サクラ大戦シリーズの総合プロデューサーである[[広井王子]]は、キャラクターの担当声優を決める際に、舞台公演も視野に入れてキャスティングしていた。
 
==== 第四次声優ブーム ====
2000年代後半ごろから、一部のマスコミで「第4次声優ブーム」という表現が用いられるようになった(ただし、明確な定義はない)<ref name="oricon20150208">{{Cite web|和書|url=https://www.oricon.co.jp/special/47663/|title=声優ブームが生んだ功罪 今の声優に求められるものとは?|work=ORICON STYLE|publisher=[[オリコン|オリコン株式会社]]|date=2015-02-08|accessdate=2015-08-09}}</ref><ref>『週刊プレイボーイ』集英社、2013年7月1日号、70頁。</ref>。このころから、子どもの「なりたい職業ランキング」の上位に「声優」がランクインするようになった<ref name="oricon20150208" />。
 
この時期、1990年代より活動していた[[水樹奈々]]、[[田村ゆかり]]や、舞台俳優から転向した[[宮野真守]]などの「[[声優アーティスト]]」としての成功や、2005年(平成17年)から開催されている[[Animelo Summer Live]]などの[[アニメソング]]系の[[演奏会|合同フェス的なライブ]]<ref group="注">他には、[[ANIMAX MUSIX]](2009年開始)、[[リスアニ!|リスアニ! LIVE]](2010年開始)など。</ref>の普及などにより、声優と歌手活動を両立させる声優がこの時期以降ますます増加するようになった。水樹は、声優として初のドームツアーや[[NHK紅白歌合戦]]への出場など、音楽活動の活躍も目立った。
 
[[2007年]](平成19年)、[[一般社団法人]]・[[日本声優事業社協議会]]が設立されている。[[2008年]]には[[日本声優能力検定協会]]の[[声優能力検定]]が開始される。
 
2000年代後半以降、[[深夜アニメ]]の本数が急速に増加<ref group="注">2007年に、[[日本BS放送|BS11]]による『[[アニメ+]]』が創設されて以後、この傾向が年々顕著になってきている。</ref>。これにより、いわゆる「アニメバブル」という状況が生まれ、新人声優デビューは増加の一途をたどる。資格制度があるわけではないので実数の把握は困難であるが、声優専門誌である『声優グランプリ』の声優名鑑に記載されている声優の人数は2001年版は370人<ref name=":0" group="注">男女合計。</ref>だったのに対し、2022年版は21年前と比べて約4.5倍の1658人<ref name=":0" group="注" />に増加していることからも窺える<ref>{{Cite web|和書|title=三ツ矢雄二「“声優は裏方”という根本に使う側が戻ってもらいたい」 相次ぐ声優の体調不良、業界を変えるには“ブームの終息”が必要? |url=https://times.abema.tv/articles/-/10053552 |website=ABEMA TIMES |access-date=2022-12-01 |author=ABEMA Prime |date=2022-11-30}}</ref>。さらに[[花澤香菜]]<!--(2007年『スケッチブック 〜full color's〜』梶原空役)-->、
[[悠木碧]]<!--(2009年『あにゃまる探偵 キルミンずぅ』御子神リコ役と『夢色パティシエール』天野いちご役)-->、[[神木隆之介]]<!--2009年、アニメ映画『サマーウォーズ』に小磯健二役)-->、[[日高里菜]]<!--(2009年『こんにちは アン 〜Before Green Gables』アン・シャーリー役)-->、[[瀬戸麻沙美]]<!--(2011年『ちはやふる』綾瀬千早役)-->、[[石原夏織]]<!--(2012年『輪廻のラグランジェ』京乃まどか役)-->、[[伊藤美来]]<!--(2014年『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』宇佐美奈々子役)-->、[[夏川椎菜]]<!--(2014年『天体のメソッド』古宮乃々香役)-->、[[水瀬いのり]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=Nizista|url=https://nizista.com/views/article2?id=2af53010aca011e697d82117f50e05bd|title=こんなに楽しいことがあるのに、二番目はいらないんじゃないかなとー水瀬いのりインタビュー③|date=2016-11-21|accessdate=2019-06-21}}</ref><!--(2015年『がっこうぐらし!』丈槍由紀役)-->、[[富田美憂]]<!--(2016年『アイカツスターズ!』虹野ゆめ役)-->、[[林鼓子]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=アニメ!アニメ!|url=https://animeanime.jp/article/2019/06/05/45954.html|title=Run Girls, Run!・林鼓子、水樹奈々に憧れた幼少期からデビューまでを振り返る【インタビュー】|date=2019-06-05|accessdate=2019-06-21}}</ref><!--(2018年『キラッとプリ☆チャン』桃山みらい役)-->、[[楠木ともり]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=週プレNEWS|url=https://wpb.shueisha.co.jp/news/entertainment/2017/11/17/95170/|title=17歳が歩むシンデレラ・ストーリー! 注目新人声優・楠木ともりインタビュー「まだ現実に追いつけていません(苦笑)」|date=2017-11-17|accessdate=2019-06-21}}</ref><ref>{{Cite web|和書|publisher=週プレNEWS|url=https://wpb.shueisha.co.jp/news/entertainment/2017/11/18/95163/|title=初オーディションで主演に大抜擢! 17歳の注目声優・楠木ともりが意外な学生生活を告白|date=2017-11-18|accessdate=2019-06-21}}</ref><!--(2018年『メルヘン・メドヘン』の鍵村葉月役-->、[[近藤玲奈]]<!--(2018年「スロウスタート」一之瀬花名役)-->、[[菱川花菜]]<!--(2022年『デリシャスパーティプリキュア』和実ゆい / キュアプレシャス役)-->など、当時10代で声優を務めている件は、以前よりみられるようになった<ref group="注">[[昭和]]では[[古谷徹]]((『海賊王子』キッド 役、1968年『巨人の星』星飛雄馬役))、[[塩屋翼]]((1969年『海のトリトン』トリトン役))、[[鶴ひろみ]]((1977年『ペリーヌ物語』ペリーヌ・パンダボアヌ 役))、[[松野太紀]](当時松野達也)(1967年生 1978年『星の王子さまプチ・プランス』王子 役))、[[長谷有洋]]((1965年生、1982年『超時空要塞マクロス』一条輝 役))、[[宮崎一成]]((1971年生、1983年『はだしのゲン』中岡元 役))、[[笠原弘子]]((1983年『銀河漂流バイファム』のカチュア・ピアスン役))、[[冨永みーな]]((1983年『綿の国星』チビ猫役))、[[浪川大輔]]((1988年吹替版『E.T.』エリオット役))(うち古谷、塩屋、鶴、松野、長谷、宮崎、浪川らは声優デビュー作で主役)、[[平成]]からは2000年以前でも第三次ブームでの[[坂本真綾]]((1993年OVA『リトルツインズ』のチフル役))、[[清水香里]]((1998年『serial experiments lain』岩倉玲音役))の他、[[阪口大助]]((1993年『機動戦士Vガンダム』でウッソ・エヴィン役))、[[増田裕生]]((1979年生、1990年『RPG伝説ヘポイ』ヘポイ・ド・プー 役))、[[本名陽子]]((1979年生、1991年『おもひでぽろぽろ』岡島タエ子(少女期) 役))、[[ゆかな]](当時野上ゆかな)((1975年 1993年OVA『モルダイバー』大宇宙未来役))、[[榎本温子]]((1979年生、1998年『彼氏彼女の事情』宮沢雪野 役))、[[齋藤彩夏]]((1988年生、1996年『劇場版トイレの花子さん』花子さん 役))、[[仙台エリ]]((1981年生、1997年OVA『ジャングルDEいこう!』六道那柘美/ミイ 役))、[[山本麻里安]]((1981年 1998年ゲーム『etude prologue 〜揺れ動く心のかたち〜』佐伯瞳 役))(うち阪口、増田、本名、ゆかな、榎本、齋藤、仙台、清水、山本らは声優デビュー作で主役)、2000年代前半でも[[名塚佳織]]と[[三瓶由布子]]((2000年「だぁ!だぁ!だぁ!」の主役コンビ) )、[[沢城みゆき]]((2001年『しあわせソウのオコジョさん』コジョピー役))、[[入野自由]]((2001年『パラッパラッパー』パラッパ(初代)役))、[[小野賢章]]((1989年生、2001年『ハリー・ポッターシリーズ』ハリー・ポッター 役))、[[上村祐翔]]((1993年生、2002年『ぼのぼの クモモの木のこと』ぼのぼの 役))、[[小清水亜美]]((1986年生、2003年、『明日のナージャ』ナージャ・アップルフィールド 役))、[[平野綾]]((2005年OVA『いつだってMyサンタ!』マイ役))(うち小野、上村、小清水、新名らは声優デビュー作で主役)などが、過去に10代で主役を演じた声優として知られる。</ref><ref group="注">なおこの当時の10代デビュー組のうち、[[大坪由佳]]、[[MAKO]]((1986年生、2005年『かみちゅ!』一橋ゆりえ 役))、[[矢作紗友里]]((1986年生、2005年『かりん』真紅果林 役))、[[小見川千明]]((1989年生、2008年『ソウルイーター』マカ=アルバーン 役))、[[福原遥]]((1998年生、2009年『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』柊まいん役))、[[田所あずさ]]((1993生、2012年頃、エスエスケイフーズの宣伝用アニメ『サラダの国のサラ』サラ役))、[[伊波杏樹]]((1996年生、2013年『陽なたのアオシグレ』陽向 役))、[[武藤志織]]((1997年生、2014年『ノブナガン』小椋しお 役))、[[茜屋日海夏]]((1994年生、2013年デジタルコミック『東京シャッターガール』夢路歩 役))、[[片平美那]]((1999年生、2017年『きみの声をとどけたい』行合なぎさ 役))、[[松永あかね]]((2001年生、2018年『アイカツフレンズ!』友希あいね 役))、[[石橋陽彩]]((2004年生、2018年『リメンバー・ミー』ミゲル・リヴェラ 役))、[[増田里紅]]((2002年生、2021年『プラオレ!』水沢愛佳 役))らは、声優デビュー作で主役である</ref>。
 
2010年代からは[[小宮有紗]]、[[美山加恋]]、[[福原遥]]のように声優・俳優・歌手を兼業する者も目立った<ref>[https://realsound.jp/movie/2021/06/post-784169.html 声優としての活躍も際立つ福原遥 今後のアニメシーンで重要な役者の1人に]</ref><ref>[https://www.cyzo.com/2021/08/post_289818_entry.html 福原遥、女優と声優の両輪で「セカンドブレイク」に王手! 人気上昇のカギは「美声」にあり?]</ref>{{efn2|小宮は2010年に女優デビューし、2012年には戦隊ヒロインを務め、2015年から声優としても活動し始める。[[キラキラ☆プリキュアアラモード]]で声優をつとめた子役出身女優としても知られる美山と福原のうち、美山加恋は子役期から吹き替えなどの経験があり、プリキュア後も[[アイカツフレンズ!]]や同作出演声優による音楽ユニット「BEST FRIENDS!」のメンバーもつとめる。[[仮面ライダーゼロワン]]では声優ヒューマギアの役を演じた。一方の福原遥は所属事務所に移籍の際に声優アーティスト部門ができ、事務所の紹介でも女優と声優アーティスト両方の部門に属している。声優を目指すテレビドラマ『[[声ガール]]』では主人公を演じた。福原は、前述のサクラ大戦の例や2006年のアニメ映画『時をかける少女』で主人公の声を担当の後2010年の実写版映画でも主演の[[芳山あかり]]役を演じた[[仲里依紗]]のように、子役時代に主人公を担当した[[クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!]](2009年〜2012年)や、[[かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜]](2021年)と、アニメで声を担当したキャラクターを実写版においても、同じ登場人物を演じることが知られている。}}。
 
2010年代には声優の音楽活動においても、『ラブライブ!』の派生ユニット[[μ's]]が、東京ドーム公演やNHK紅白歌合戦への出場するなど人気を獲得した。このため、現在の声優は演技だけではなくアイドルのように、[[容貌|ルックス]]、歌唱力、ダンススキルが求められる例もある。逆に[[田野アサミ]](元[[BOYSTYLE]])や[[仲谷明香]](元[[AKB48]])、[[前島亜美]](元[[SUPER☆GiRLS]])など、アイドルから声優に転身する例も増えているとされている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.news-postseven.com/archives/20200802_1582843.html?DETAIL|title=声優に転身するアイドルが増加 芸能界でも兼業ブームか|accessdate=2020-08-06|publisher=NESポストセブン}}</ref>。
 
2010年代半ば以後、音楽活動に傾倒する声優の増加傾向が年々顕著になり、歌手としての[[日本武道館]]での単独公演を実現させる声優が、ほぼ毎年のように現れるようになっている(一例として、[[内田彩]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=SPICE|url=https://spice.eplus.jp/articles/73713|title=内田彩、熱狂のツアーファイナル! 9000人の歓声につつまれ日本武道館を激震させた3時間をレポート|date=2016-08-27|accessdate=2019-06-21}}</ref>、[[東山奈央]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=リスアニ!WEB|url=https://www.lisani.jp/0000070679/?show_more=1|title=武道館が七色にきらめく!「東山奈央 1st LIVE“Rainbow”at 日本武道館」ライブレポート|date=2018-02-12|accessdate=2019-06-21}}</ref>、[[内田真礼]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=リスアニ!WEB|url=https://www.lisani.jp/0000123135/?show_more=1|title=2019年も内田真礼が優勝!さまざまな演出で魅せた武道館ライブ“UCHIDA MAAYA New Year LIVE 2019 「take you take me BUDOKAN!!」”レポート!|date=2019-02-24|accessdate=2019-06-21}}</ref>など)。
 
==== 鬼滅ブームによる声優起用 ====
2019年からのテレビアニメ放送及び『[[劇場版 鬼滅の刃 無限列車編]]』の放映によって[[社会現象]]を巻き起こしたアニメ『[[鬼滅の刃]]』は、出演している声優陣にも大きな影響を与えており、メインキャラクターを演じた[[花江夏樹]]、[[鬼頭明里]]、[[下野紘]]、[[松岡禎丞]]の4人が出演した[[フジテレビ]]のトーク番組「[[ボクらの時代]]」は、司会者を置かない声優だけという番組の形態が大いに話題となり、"お客様"としてではない声優のテレビ進出の足掛けとなった<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/86038b6e091d351f7de8be1fe64be22051597e0e|title=“お客様”じゃない姿に反響?フジテレビ「ボクらの時代」鬼滅の刃声優集合回大好評の訳|accessdate=2024-04-21}}</ref>。その後も花江、松岡、[[早見沙織]]といった『鬼滅の刃』の主要キャラを務めた声優陣をナレーション起用するバラエティー番組が増えるなど、テレビへの声優起用の“原点回帰”の要因となっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.oricon.co.jp/special/55459/|title=『鬼滅の刃』ヒット契機に“声優起用”の原点回帰が加速、花江夏樹がハブ的役割に|accessdate=2024-04-21}}</ref>。
 
== 仕事 ==
[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]([[テレビアニメ]]、[[劇場アニメ]]、[[OVA]]、[[Webアニメ|ONA]])、オーディオドラマ([[ラジオドラマ]]、[[ドラマCD]])、[[コンピュータゲーム|ゲーム]]、舞台演劇([[人形劇]]・着ぐるみ劇)、[[実写]](国内[[テレビドラマ]]、テレビ人形劇、実写[[映画]]、洋画や[[海外ドラマ]]、海外ドキュメンタリー)の日本語[[吹き替え]]、[[オーディオブック]]、朗読劇の[[朗読]]、[[ナレーション]](テレビ・ラジオ番組、舞台演劇、広告)、アナウンス(音声案内)などがある。
 
声による演技以外にも、出演作の関連イベントや宣伝など付随して顔出し出演があるが、事前契約はせずその都度の協議で決定することが多いなど、俳優とは出演料のシステムが異なる<ref>{{Cite web|和書|title=炭治郎役・花江夏樹「天狗」記事に、緒方恵美が「彼のせいではありません」 業界の事情を解説...なお、本人はテングジャーキー写真で反応|url=https://www.j-cast.com/2020/11/13398798.html|website=J-CAST ニュース|date=2020-11-13|accessdate=2021-01-07|language=ja}}</ref>。
 
仕事の取り方はオーディションによる選考、制作側による指名、出資によるキャスティング権の確保であるが、仕事の種類ごとに異なる。
 
=== アニメ ===
画面を見ながら[[台詞]]を吹き込む[[アフレコ]]と、事前に収録した台詞に合わせて後から動画を制作する[[プレスコ]]の2種類の方法がある。[[日本]]ではアフレコが主流である。近年のアニメ制作のデジタル化により、アフレコ後に絵を修正する例も多い。なお、声をあてることから[[アテレコ]]とも言う。
 
出演料は[[#ランク制|ランク制]]の適用を受ける。
 
役は原作者や制作サイドからイメージ合した声(声質)や演技力を持つ人物が指名されることもあったり<ref>{{Cite web|和書|title=「新規の仕事の依頼がない」サザエさん穴子役・若本規夫が声優歴25年目で“すべてを捨てる決意”をした理由 |url=https://bunshun.jp/articles/-/53561 |website=文春オンライン |access-date=2022-04-24 |first=規夫 |last=若本}}</ref>、昨今はアニメに対する出資会社によって出演枠を確保する方法がとられることもあり、オーディションによる出演ではない者も混在しているが、通常は選考オーディションを受けて得るというシステムが主流である<ref name="nareru120">市原光敏『声優になれる本』世界文化社、1996年、p.120。当時江崎プロダクションの社長だった江崎加子男の証言</ref><ref name=zac>[https://news.livedoor.com/article/detail/10534169/?p=7 土屋礼央の「ざっくり聞くと」(第11回)~声優ってどんな仕事?野中藍さん・白石涼子さんインタビュー~] 2015年9月1日 11時1分</ref>。
 
オーディションについても、予定しているキャラクターの役柄に合うであろう声優を指名して受けてもらうケース(その結果で、別のキャラクターの配役になるケースもある)もあるが、通常は制作会社などから声優事務所の庶務にオーディションのお知らせが通達され、事務所は役柄に合うと判断した所属声優を数人選び、その選ばれた者だけがオーディションを受けられるというのが通例である。そのため大人数の声優を抱える大手事務所では、まず事務所内での競争を勝ち抜かないとオーディションを受ける機会すらない{{Sfn|野村道子|2009|p=130}}<ref name=zac/>。そして、たとえオーディションを受けられたとしても、60本に1本受かればいいというほどの競争率と言われる<ref>橋本崇宏、柳谷杞一郎・著『声優になる!』雷鳥社、2008年、p.157。こおろぎさとみインタビュー</ref><ref name=zac/>。
 
[[古川登志夫]]は『[[ポプテピピック]]』に出演した際、「大御所なんだから仕事選べ」という一部視聴者の声が出たことに対して「冗談ではない。アニメのキャラ声は本職だ。第一仕事を選べるほど偉い立場にない」「一本の仕事を取るのにマネージャーさんが何度頭を下げるかご存知か!」と反論している<ref>[https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3276349/ 「大御所なんだから、仕事選べよ」に反論 声優・古川登志夫、ポプテピ出演への批判に言及] ねとらぼ</ref><ref>{{cite tweet|number=969076953150976001|user=TOSHIO_FURUKAWA|title=「大御所なんだから、仕事選べよ、なんでこんなクソアニメに!」とのリプがいまだにたっくさん。①「お気遣いありがとうございます」②「アニメのキャラ声は本職です」③そもそも大御所と思っていない」|date=2018年3月1日|accessdate=2018年6月22日}}</ref>。
 
何人かで一緒にブースに入って実際に芝居をして、そのバランスを見て決められたりもある。このとき受けた役は落ちたが、他の役で決まることもある。これはオーディションで「このセリフを読んでください」と言われて別のキャラクターのセリフを読むこともあって、その役に決まるなどの他、あとから追加されるキャラクターの役をもらうこともある<ref name=zac/>。
 
公募形式とする例もあり、2005年(平成17年)の『[[SPEED GRAPHER]]』ではヒロイン役を公募オーディションとしたが、第1次・第2次審査で絞り込んでからウェブの一般投票も加味される形式で行われた(新人の[[真堂圭]]が選ばれた)。[[2013年]](平成25年)にはテレビアニメ『[[探偵オペラ ミルキィホームズ (アニメ)|ふたりはミルキィホームズ]]』の主人公役を決める公募オーディションが行われた(新人の[[伊藤彩沙]]が選ばれた)。2018年(平成30年)放送の『[[からくりサーカス]]』では主役の1人をプロアマ不問の公募オーディションにより決定すると発表したが、応募総数は2,500人超だったという<ref name="natalie180801">{{Cite news|publisher=ナターシャ|work=コミックナタリー|url=https://natalie.mu/comic/news/293521|title=アニメ「からくりサーカス」10月放送開始!キャスト5人やアニメ映像のPV解禁|date=2018-08-01|accessdate=2018-08-01}}</ref>(新人の[[植田千尋]]が選ばれた)。2021年(令和3年)の『[[ワッチャプリマジ!]]』では公募オーディションの審査を各段階で公開している<ref>{{Cite web|和書|title=「ワッチャプリマジ!」庄司宇芽香、相良茉優らが演じる新キャラ公開 オーディション優勝者担当キャラも決定 : 映画ニュース|url=https://eiga.com/news/20210903/40/|website=映画.com|accessdate=2021-09-27|language=ja}}</ref>。
 
[[#一般公募]]も参照。
 
CMやPV、[[パチンコ]]のリーチアクションなどアニメ映像を使う場面でも、声優が声を担当している。
 
=== ゲーム ===
基本的に、かけ合いではなく一人ずつ個別に収録する。[[CD-ROM]]の普及し始めた[[1980年代]]末から増えた仕事である。
それ以前は、容量が格段に低い[[ロムカセット]]における[[コンピュータゲーム]]の[[効果音|SE]]にゲームボイスが用いられている程度に留まり、世界初の家庭用[[ゲーム機]]用[[光学ドライブ|CD-ROMドライブ]]である[[日本電気ホームエレクトロニクス|NECホームエレクトロニクス]]における[[PCエンジン]][[CD-ROM2|CD-ROM<sup>2</sup>]]が[[1988年]][[12月4日]]に発売され、CD-ROMの大容量(540MB)を活かして[[演出]]目的のゲームボイスが可能になった。[[ローンチタイトル]]のうち、『 No・Ri・Ko』が声入りであったものの、本業が声優では無い[[小川範子]](本人役)と[[千葉哲也]]([[マネージャー]]役)が初めてCD-ROMに収録されたゲームボイスである。[[1989年]][[3月1日]]に発売された『[[コブラ (PCエンジン)|コブラ 黒竜王の伝説]]』が声優を本業としているものの声が初めてCD-ROMに収録された。
 
[[ゲームソフト]]が初主演としている事例も、[[屋良有作]]([[スナッチャー]])や、[[横山智佐]]([[銀河お嬢様伝説ユナ]])など多数ある。
 
[[1990年代]]に、[[PlayStation (ゲーム機)|PlayStation]]などの家庭用ゲーム機器やパチンコなどの遊戯機器などで高性能なゲーム機が次々に登場し、ソフトウェアに既存作品にはないオリジナルストーリーを展開する作品の導入が可能となると、そのキャラクターに声を当てる声優が起用されることが一般的になった。そして『[[ときめきメモリアル]]』(1994年〈平成6年〉 - )から人気に火のついた男性向け[[恋愛ゲーム (ゲームジャンル)|恋愛ゲーム]]は美少女ばかりが登場するゲームから「[[ギャルゲー]]」とも呼ばれ始め、他のジャンルにも美少女キャラクターとその担当声優が付くゲームが増加した。
 
出演料については、当初は明確な基準がなかったが、[[1998年]](平成10年)に[[日本俳優連合]](日俳連)と社団法人[[コンピュータエンターテインメント協会]](CESA)の間で協議が持たれてからは、一般向けのゲームでは、アニメと同様にランク制が適用されるようになった。
 
昨今は[[ソーシャルゲーム|アプリゲーム]]の収録が増えていることに加え、アプリゲームの[[ギャランティ]]は他の仕事よりも単価が高いことを[[松岡禎丞]]がテレビ出演した際に語っている<ref>{{Cite web |url=https://www.daily.co.jp/gossip/2020/11/29/0013901356.shtml?pg=2|title=「鬼滅」声優が収入の実情暴露 単価の高い仕事は…|accessdate=2024年4月21日}}</ref>。
 
=== アダルト作品への出演 ===
[[アダルトゲーム]](エロゲー)・[[アダルトアニメ]]などの年齢制限のある作品に声をあてる。この場合、声優名を非公表とするか、別の芸名を使うことがほとんどであるが<ref>上崎よーいち「開封!18禁アニメの世界」『ビデオボーイ』英知出版、1998年4月号、p.105-106</ref>、まれに普段使用している声優名のままでクレジットされていることもあり、[[石田彰]]や[[一条和矢]]、[[大野まりな]]、[[こおろぎさとみ]]など、一般作と同じ名義で出演する声優もいる。
 
[[ダイナマイト亜美]]や[[静木亜美]]、[[長崎みなみ]]など、アダルト作品を専門としている声優もおり、ゲームのアニメ化に合わせて一般作での活動を行なう例も多い。
 
[[ComicFesta|ComicFestaアニメ]]では成人向けの描写をカットした一般向けと、すべての描写を入れた完全版の2種類を用意しており、それぞれ声優も異なっている。
 
=== 着ぐるみのアテレコ ===
[[子供番組]]や[[特撮]]番組では、[[スーツアクター]]が演じるキャラクターなどの声を担当するという仕事もある。『[[アクマイザー3]]』や『[[宇宙戦隊キュウレンジャー]]』、『[[機界戦隊ゼンカイジャー]]』など、着ぐるみキャラが中心の番組では特に声を当てる声優が必要となる。
 
通常は動きはスーツアクターが担当してそれに合わせて声を当てる作業であるが、中には声とアクターを兼任する場合もあり、[[愛川欽也]]が担当していた『[[おはよう!こどもショー]]』のロバくん<ref>[https://miyearnzzlabo.com/archives/24743 愛川欽也 おはよう!こどもショー ロバくん時代の思い出を語る]</ref>、[[チョー (俳優)|チョー(俳優)]]が担当する 『[[いないいないばあっ!]]』でのワンワン、[[大竹宏]]が担当していた『[[ママとあそぼう!ピンポンパン]]』のカッパのカータン、[[千葉繁]]が扮した『深夜秘宝館』Dr.シーゲル・バーチーらは、それぞれスーツアクターも兼任し直接声をあてていることが知られている。『[[ウルトラマン]]』(1966年)で[[ザラブ星人]]の声を担当する[[青野武]]は、実際に着ぐるみの中に入ってザラブ星人を演じていることが知られる。
 
特撮番組においては、そのキャラクターの人間態として担当声優が顔出し出演するケースがある。一例として、多くの特撮番組に出演する[[関智一]]は『[[平成ウルトラセブン|ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作]]』に登場するガルド星人の人間態も演じたことがある。[[上坂すみれ]]も『[[ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA]]』(2021年 - 2022年)で[[カルミラ]]の声とともに同キャラの人間態として出演をしている。これらは一種の[[カメオ出演]]であるが、『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年 - 2022年)でゼンカイマジーヌの声を担当した[[宮本侑芽]]は『[[仮面ライダーセイバー]]』(2021年 -2022年)のスピンオフ『仮面ライダーセイバースピンオフ 仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル』(2022年)で料亭の配膳女性役としてカメオ出演している<ref>[https://www.cinematoday.jp/news/N0133391 「ゼンカイジャー」マジーヌ役・宮本侑芽「サーベラ&デュランダル」に顔出し登場!アンジェラ芽衣が推しと共演]</ref>。『[[獣電戦隊キョウリュウジャー]]』でも、レギュラー登場するキャラクターの人間態として[[森川智之]]・[[戸松遥]]・[[折笠愛]]が顔出し出演した事例が挙げられる。他、声を担当した声優が担当キャラクターとは関係のない一般人として、カメオ出演をするケースもある。
 
=== 人形劇・着ぐるみショー ===
人形劇はキャラクターの演技とタイミングを合わせながらセリフを言うか、事前に収録した映像を見ながらアフレコする。NHKの人形劇はプレスコ形式が多い。また1人で複数役を兼任するスタイルが多く、『[[連続人形活劇 新・三銃士]]』では30人近い役を7名で演じており、『[[人形劇 三国志]]』ではメインキャラクターを演じる役者は5名以上の役を兼任している。
 
[[着ぐるみ]]ショーでは上記[[#着ぐるみのアテレコ]]にあるとおり生で声を合わせることもあるが、基本的には事前に声を収録してそれに合わせて着ぐるみの演者([[スーツアクター]])が演技を行う。
 
[[劇団飛行船]]の公演は「マスクプレイ」という、着ぐるみをきたアクターが声優によって吹き込まれた声に合わせて演じる手法をとっている。
 
=== 日本語吹き替え ===
海外ドラマ・外国映画などの登場人物の声を俳優に代わって演じる。
 
[[フィックス]]制度により役が特定の声優に固定されていることもあるが、[[#担当声優の交代|放送版とセル版では異なる声優となる例]]もある。
 
ニュースやドキュメンタリーなどの[[ボイスオーバー]]の仕事もある。
 
アニメ同様、ランク制の対象となる。
 
アニメとは異なりオーディションはほとんど行われず、プロデューサーやディレクターなどが声優を指名して決めることがほとんどとされる<ref name="nareru120" /><ref>山本健翔『声優になるには』ぺりかん社、2007年、p.136</ref>。ただし、外画の場合でも録った声を本国に送って向こうのスタッフが判断して選ぶこともあったり<ref name=zac/>、[[ウォルト・ディズニー・カンパニー|ディズニー]]作品、[[スティーヴン・スピルバーグ]]作品、[[ジョージ・ルーカス]]作品などでは指名ではなく、アニメ同様オーディションが行われるという<ref>高田城、中川奈美『声優になるには』ぺりかん社、1997年、p.135。加藤敏音響監督インタビュー</ref>。
 
=== オーディオドラマ ===
[[ラジオドラマ]]・[[ドラマCD]]など音声のみのドラマ作品でキャラクターの声を演じる。
 
ドラマCDの場合、売上を考慮して、すでに知名度のある声優を起用することが多い<ref>[https://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20140324/enn1403241928030-n1.htm 【カズゾウの絶対音監】ドラマCDの魅力ってナニ!?]</ref>が、逆に新人やアマチュアをオーディションによって選ぶ例もある。
 
===メディアミックス===
アニメ・ゲーム・ライトノベル・ラジオ番組のDJ・ドラマCD・[[玩具]]など[[メディアミックス]]が行われる作品でのアテレコ・アフレコ。作品CMがアニメドラマ形式でつくられ、そのアテレコを担当することもある。以前に出演していた媒体、例えばゲームが運よくアニメ化される、アニメの新しいシリーズが始まる、ドラマCDがアニメ化するなどの形で仕事が発生するなど、仕事の幅が意外にも広がるのである<ref name=zac/>。
 
基本的には同一の声優が同じ役に固定されるが、[[#担当声優の交代|諸事情により変わること]]もある。ドラマCDや[[VOMIC]]、[[YouTube]]CMなどの初期のキャスティングがアニメ化で大きく変更される要因の一つに「製作委員会の変更」が挙げられ、キャスティング権を持つ製作サイドが一新された状態で再度キャストを決めるためである。
 
勿論、YouTube広告などに起用してから声がキャラに合う・合わないのフィードバックを行う例もあり、『[[食戟のソーマ]]』の主人公・幸平創真の声は原作者・[[附田祐斗]]の指名によって初めは附田の旧友である[[小野友樹]]がCM等を担当していたが、「小野友樹の声は創真というキャラに合ってないんじゃないか」となった結果、アニメでは私的な関係性を抜きにしたオーディションを行い、キャラに合った声優を起用したという<ref>{{Cite web| url=https://natalie.mu/comic/pp/shokugekinosoma02/page/2|title=「食戟のソーマ」特集 附田祐斗×松岡禎丞対談 - コミックナタリー 特集・インタビュー|work=コミックナタリー|accessdate=2024年4月28日}}</ref>。
 
=== 音声作品 ===
音声を伴うコンテンツの語り手や、[[文学]]、[[小説]]、[[物語]]や[[詩]]などの文字作品を朗読し音声作品として販売を行うなど。既存の作品のほかに『[[ふしぎ工房症候群]]』といったオリジナルの朗読CDシリーズなどもある。
 
これとは別に、声や語りかけるなどの音声作品をレコードや[[カセットテープ]]、[[コンパクトディスク]]など音声記録媒体に記録してボイス集などとして販売するもので、2010年代からはさらに音響技術により[[ASMR]]作品・[[バイノーラル録音]]での音声作品が登場し、主にインターネットを通してダウンロード販売などがなされている。こうした音声作品のダウンロード販売に2020年代から名の知られる声優も続々と参入している。
 
また、家電やイヤホンといった音響機器、パソコンソフトの起動や操作時など各種機器のシステム起動音などやボタン操作音などで音声を組み込み製造販売される際の声を担当するなどのケースもある。
 
この他に、自身の声を[[初音ミク]]といった[[バーチャルアイドル]]などに代表される二次元媒体を中心とした架空キャラクターの声に、音源データとして活用される仕事などがある。[[VOCALOID]]初期から試みられてきたが、声優の声や表現を活用すべく<ref>[https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/special/hello-ai/06/ 第6回その1ボイスアクトのプロ × AIのプロ 対談「AIと言語表現」] 「AIによる音声というのはかなりリアルなところまできているのですが、キャラクターの背景までは考えることは極めて難しいです。AIにシリーズ全話の脚本を見せたとしても、福山さんのように作品の世界観全体を理解しながら発声することは現時点ではまずできないと思いますね。」</ref>AIの音声に声優の声を導入して提供するサービスが始められており<ref>[https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2020/topics_201106_00.pdf 人気声優の声を収録無しでアプリやゲームに導入できる音声サービスの提供を開始~花江夏樹さん、金田朋子さん、内田彩さんなど人気声優の声が導入可能に!~]</ref>、こうした声優の[[個性]]、[[表現]]や「声」そのものをコンテンツとして提供する仕事が生じている。
 
=== ナレーション・アナウンス ===
テレビ番組・テレビやラジオのCM・PRビデオ、解説ビデオなどの朗読、イベントのアナウンスや[[リングアナウンサー]]、番号案内の録音されたメッセージ、[[デパート]]や[[スーパーマーケット]]などでの小売店舗の録音案内、駅や路線バスなどの公共交通機関のアナウンス(自動放送)など。
 
ナレーションやアナウンスもAI音声として<ref>[https://www.technologyreview.jp/s/250340/ai-voice-actors-sound-more-human-than-ever-and-theyre-ready-to-hire/ ひっそりと浸透する「AI声優」、人間の仕事を奪うか? by Karen Hao2021.10.12]</ref>、本職のナレーター、アナウンサーとそん色ないニュース原稿を読み上げる人造アナウンサー<ref>[https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/26/news127.html NHKの人造アナウンサー「ニュースのヨミ子」さんはどうやって作られた?]</ref><ref>[https://ainow.ai/2019/08/29/174974/ AI×アナウンサーって何?その魅力や活用例、今後まで一挙紹介!] 2019.08.29</ref>なども出現している。
 
ランク制の対象外の仕事<ref group="注">ただし、アニメ・日本語吹き替え・ゲームのナレーションはランク制の対象となる。</ref>で、ギャラはアニメ・日本語吹き替え・ゲームよりもはるかに高額とされ、特にテレビCMが高額とされている<ref>大栄出版編集部・編『なりたい!!声優』大栄出版、1998年、p.152</ref>。ただし基本的に単発かつ不定期の仕事であり、安定した収入にはなりにくい。また本業のナレーターやアナウンサーとも競合する。
 
日本語吹き替え同様、オーディションはほとんど行われず、指名で決まることがほとんどとされる<ref>{{Harvnb|声優白書|2000|pp=121 - 122|loc = オーディションがない場合}}</ref><ref>大栄出版編集部・編『なりたい!!声優』大栄出版、1998年</ref>。
 
=== 舞台劇 ===
 
前述のように、舞台俳優が声優を兼ねる例は創成期から多い。[[松本忍]]、[[かぬか光明]]、[[松岡文雄]]、[[中村太亮]]のように劇団に所属していた、[[北島善紀]]、[[志賀克也]]、[[置鮎龍太郎]]など劇団に所属しながら並行して活動する者も多いが、[[野沢那智]]、[[坂口候一]]、[[関智一]]、[[緒方賢一]]、[[伊藤健太郎 (声優)|伊藤健太郎]]、[[菅谷勇]]、[[金光宣明]]、[[大西健晴]]、[[目黒光祐]]、[[大黒和広]]、[[関俊彦]]や[[中尾隆聖]]などのように劇団を創立したり主宰する者、[[筈見純]]のように演出家として活動する者もおり、声優で舞台公演に演者として出演するケースは多い。
 
劇団の中ではもともと[[テアトル・エコー]]は声の仕事に積極的なことで知られ、[[安原義人]]、[[小宮和枝]]、[[納谷悟朗]]、[[多田野曜平]]、[[雨蘭咲木子]]、[[竹若拓磨]]ら同劇団所属俳優らの多くが声優を兼ねているし、[[劇団21世紀FOX]]にも声優が多数所属していた。また声優が舞台演劇を行う[[演劇企画CRANQ]]などもある。
 
[[#俳優・舞台役者]]も参照。
 
そして[[#第三次声優ブーム]]時のサクラ大戦歌謡ショウや、2000年以降には、漫画・アニメ・ゲームなどを原作・原案とした舞台芸術である[[2.5次元ミュージカル]]では『[[テニスの王子様]]』『刀剣乱舞』など、声優が演者となって出演することが多い。
 
通常の舞台劇とは別に、台本を持って音読するスタイルで上演される朗読劇(リーディング)もあり、メディアミックスとしての上演もある<ref>{{Cite web|和書|title=【イベントレポート】朗読劇「佐々木と宮野」、距離が縮まっていく2人を白井悠介&斉藤壮馬が繊細に表現|url=https://natalie.mu/comic/news/444860|website=コミックナタリー|accessdate=2021-09-27|publisher=ナターシャ}}</ref>。
 
=== 俳優・タレント活動 ===
2010年代後半から『[[声ガール!]]』(2018年)や『[[劇団スフィア]]』(2019年)、『[[声優探偵]]』(2021年)といった声優をテーマにして声優が俳優として出演する実写ドラマが制作されている。
 
映画出演についても『[[バトル・ロワイアル (映画)|バトル・ロワイアル]]』(2000年)の[[宮村優子 (声優)|宮村優子]]、『[[包帯クラブ]]』(2007年)の[[小野賢章]]、『[[モノクロームの少女]]』(2009年)の入野自由、『[[君がいなくちゃだめなんだ]]』(2015年)の花澤香菜、『[[小野寺の弟・小野寺の姉]]』(2014年)『[[-X-マイナス・カケル・マイナス]]』(2011年)の[[寿美菜子]]、『[[寄性獣医・鈴音]] EVOLUTION』(2011年)『猫カフェ』(2018年)の久保ユリカ、『[[図書館戦争]]』(2013年)の[[鈴木達央]]らの例がある。
 
このほか映画『[[第2写真部]]』(2009年)、実写『[[ヤッターマン]]』(2009年)、『[[腐女子彼女。]]』(2009年)、『[[私の優しくない先輩]]』(2010年)、『[[Wonderful World]]』(2010年)、『[[ライトノベルの楽しい書き方]]』(2010年)、『[[神☆ヴォイス]] 〜THE VOICE MAKES A MIRACLE〜』(2011年)、『[[死ガ二人ヲワカツマデ…]] 第一章 色ノナイ青』『死ガ二人ヲワカツマデ… 第二章 南瓜花-nananka-』(2012年)、特撮ドラマ『[[非公認戦隊アキバレンジャー]]』『非公認戦隊アキバレンジャー シーズン痛』(2012年 - 2013年)、『[[獣電戦隊キョウリュウジャー]]』(2013年 - 2014年)最終話やエンディングのダンス、『[[Green Flash]]』(2015年)など、声優が複数人が顔出しで出演している作品も多い。[[Dramagix]]は、声優を主役にして制作された実写ドラマを提供していた。
 
お笑い活動もあり、[[山寺宏一]]のようにものまね番組に出演してものまねを披露したり<ref group="注">[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]のものまね番組([[ものまねバトル]]→[[ものまねグランプリ]]→[[モノマネMONSTER]])の常連となっている。</ref>、2019年7月に「ラッシュスタイル」というコンビを組んでいた[[速水奨]]と[[野津山幸宏]]が[[M-1グランプリ]]2019にエントリーしている<ref group="注">M-1グランプリ参加資格はプロアマ問わず結成15年以内のコンビにあり、二人は事務所に所属するプロとしてエントリーした模様である。</ref>。
 
2010年代後半からは『[[ラフラフ!]]』『[[Warahibi!]]』といった声優×二次元芸人プロジェクトが進行している。その中でも『[[GET UP! GET LIVE!]]』は声優が芸人の役を演じるだけでなく、実際にイベントで漫才やコントのリーディングライブに挑戦。芸人役を演じている花江夏樹、[[西山宏太朗]]、[[阿座上洋平]]、[[熊谷健太郎]]らがイベントで実際に[[漫才]]や[[コント]]を披露している。
 
[[#声優による他分野での活動]]も参照。
 
=== 歌手活動 ===
[[CD-DA|音楽CD]]を発売したり、[[演奏会|コンサート]]を開催したりするなど、[[歌手]]として活動をおこなう。歌手活動を行う声優は多く、[[声優紅白歌合戦]]などが行われるようにまでなった。
 
逆に、[[アイドル]]歌手が声優に転身することもある。
 
[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]・[[ゲーム]]においては、出演声優が、個人またはユニットとして、その作品の[[主題歌]]を歌うことがある。また、[[キャラクター]]が歌っているという設定にして、声優本人の名義ではなく、キャラクター名義で[[キャラクターソング]]をリリースすることがある。
 
[[林原めぐみ]]が声優として初めてキングレコードスターチャイルドレーベルと専属契約を結んだ1991年(平成3年)3月以後、声優が[[レコード会社]]との専属契約を結び、本格的に歌手活動をする例が一般化している。
 
数名の声優が[[音楽ユニット]]を結成して、歌手(音楽)活動をすることもあり、これは'''[[声優ユニット]]'''と称されることが多い。『[[THE IDOLM@STER|アイドルマスター]]』や『[[ラブライブ!]]』などのように、[[ドーム球場]]で[[演奏会|ライブ]]を行う人気作品もある<ref group="注">特に「ラブライブ!」から生まれた[[μ's]]は、2016年3月31日・4月1日に声優ユニットとしては初めて東京ドームでの単独コンサートを開催し、両日とも満席であった。</ref>。
 
[[オリコン]]などの[[ヒットチャート]]においては、かつて[[アニメソング]]は[[児童]]向けの曲として別に集計されていた。また、アニメ専門店や[[家電量販店]]は集計の対象外だった。これらが修正された1990年代半ばごろから、声優の歌のCDが[[ランキング]]上位になることが増えた<ref name="1997nen6gatu">[https://web.archive.org/web/20010217045451/http://ent.nikkeibp.co.jp/ent/bn/9706/special/seiyu.html 椎名へきる、林原めぐみ、國府田マリ子 ヒットチャートは声優だらけ!!]、『[[日経エンタテインメント!]]』1997年6月号より([[インターネットアーカイブ]]のキャッシュ)。</ref>。
 
[[1997年]](平成9年)2月に椎名へきるが声優初となる[[日本武道館]]単独コンサートを開催したのを皮切りに、声優が武道館のような大きな会場で単独コンサートを開催するようになっていった。[[2011年]]12月には[[水樹奈々]]が声優初となる[[東京ドーム]]単独コンサートを開催した<ref group="注">2016年にも東京ドームでの単独コンサートを開催したほか、同じ年には声優だけでなくソロ歌手としても初となる[[阪神甲子園球場]]でのコンサートを実現している。水樹は[[阪神タイガース]]の[[ファン]]として知られており、甲子園球場でのコンサートは自身の念願の一つでもあった。</ref><ref group="注">声優として初めて野球場・ドーム球場での単独コンサートを開催したのも水樹奈々であり、2009年に[[西武ドーム]]で開催したのが初めての例となる。東京ドーム・西武ドーム・阪神甲子園球場のほか、[[横浜スタジアム]]・[[千葉マリンスタジアム]]でも開催した。なお、野球場・ドーム球場での単独コンサートを開催した声優は2025年4月現在、水樹奈々以外には存在しない。</ref>。
 
アニメソングが一般層にも浸透するにつれ、声優が音楽テレビ番組に出演して歌を歌うことも増えている。1997年(平成9年)には椎名へきるが「ミュージックステーション」に、[[2009年]](平成21年)には、水樹奈々が[[NHK紅白歌合戦]]([[第60回NHK紅白歌合戦]])に、それぞれ声優として初めて出演している<ref group="注">水樹はその後も毎年出場を続け、2009年から2014年の計6回にわたり連続出場した。</ref><ref group="注">声優ユニットのμ'sが2015年に、水樹に次いで声優2組目となる紅白出場を果たした。</ref>。
 
[[#アイドル声優]]と[[#声優アーティスト]]も参照。
 
=== ラジオパーソナリティ ===
声優による[[ラジオ]]番組のパーソナリティは、古くから存在するが、1990年代以降は[[文化放送]]や[[ラジオ大阪]]、[[ラジオ関西]]が[[アニラジ]]専門の放送枠を設けるなど、番組数が急増した。そしてアニラジパーソナリティの一般公募などもあり、例えば[[井澤美香子]]は養成課程修了後、声優になりたいという夢のもとでアニラジのパーソナリティの一般公募へ応募したという。
 
2000年代以降は、地上波放送だけでなく、動画配信サイトを使った[[インターネットラジオ]]番組も増えている。こうしたラジオ番組では声優個人の冠番組の他、現在進行系でテレビ放送中のアニメ番組に因んだラジオ番組が放送期間中設けられて、当該アニメ番組に出演する声優がパーソナリティを務めるなどがある。
 
=== バーチャルYouTuber活動 ===
{{出典の明記|section=1|date=2023年11月}}
2010年代後半からYouTuberが人気を博しはじめて、アニメファンや声優ファンの間では[[バーチャルYouTuber]](VTuber)も熱い支持を得ていく。[[キズナアイ]]を筆頭とするバーチャルYouTuberたちが一大ジャンルとして着実に[[市民権]]を得ていくが、その中でも顔出しのYouTuberを凌ぐほどの人気を誇るバーチャルYouTuberたちも多い。
 
バーチャルYouTuberはYouTuberとして動画配信を行うCGキャラクターのことであるが、[[アバター]]を使って動画配信をする専用機器を装着した演者の表情や動きを読み取るモーションキャプチャー技術と[[3DCG]]で作られたキャラクターをアニメーション化して声をあてることで、キャラクターが実在しているかのように見せている。
 
そして[[#音声作品]]にあるキャラクターの声に活用するデータ音源の仕事とは違い、自身の喋りをリアルタイムで伝えており、このために"声での演技力"が求められるため、キャラクターに声をあてている人物は声優であることが多いことが知られる。かなりの割合でプロの声優がその演者として声や体の動きを担当しバーチャルな存在として活動していくが、VTuberはキャラクター自身が動画を投稿しているという設定となっており、声をあてている人に言及することはファンの間で一種タブー視もされている。
 
VTuberには企業などの運営者と声優などの演者が関わっているため、声優がVTuberになる方法として、まず運営者から声優事務所に演者を募集するオーディションの話が来て、声優がそれを受ける。
 
ただし一般的に声が認知されていて人物が特定されるような人気声優が務めること{{efn2|阿澄佳奈とされるVTuberのなちょこや鈴村健一とされるなんでも屋の29歳りんくろーなどのケースなど、いくつか謁見される。}}は少数であるが、これはアニメのアフレコやナレーションなどの一般的な声優仕事よりも報酬が少ないためで、人気声優ではなく知名度でなくあまり売れていない声優やキャリアの少ない新人声優が起用されるケースが多い。個人がかろうじて食べていける金額にはなってもモーションアクターなど、通常の声優の仕事ではない業務を含むなど台本通りにキャラクターを演じる仕事ではなく、台本なしで自分の話をする配信者の役割を担うことなど、声優仕事の中では所属事務所が儲けを得るほどにはならない職ともいえる。
 
VTuberの演者への報酬は台詞の量にもよるが、その業界に相場が無いのでピンキリとされ、声優が行う仕事とは金額に大きな差があり報酬が合わず、VTuberの演者は声優の仕事よりも報酬が落ちるとされる。またそもそもVTuber自体が厳しいYouTubeの世界で生き残るのは難しいことも知られる。
 
== 担当声優の交代 ==
{{出典の明記|section=1|date=2023年11月}}
長期シリーズを中心に、担当声優の[[引退]]や[[逝去]]・[[降板]]以外に、諸般の事情による交代も時折起こる。また同じく[[病気]]や[[産休]]・[[事故]]などによる療養や、[[海外留学]]などによる休業により「一時的に」別の声優が代役を担当する例も多く見られる。さらにメディアミックスの媒体ごとで声優が交代することは頻繁にある<ref group="注">中には『[[スパイラル 〜推理の絆〜]]』ではドラマCDで主人公の声を担当した男性声優がTVアニメではライバルのリーダー格となる少年へ配役転換され、ドラマCDでライバル役をしていた声優が降板するなどの変更があった。</ref>。
 
メディアミックスの場合、舞台公演などで身体的な負担が大きくなったため、他の作品への出演は続けるが、当該作品は降板するような場合もいくつかある。また『[[Fate/staynight]]』などメディアミックスや派生作品ごとキャラクターが数回変更になる作品もある。
 
また『[[ウマ娘 プリティーダービー]]』のように当初予定していた声優から大幅入れ替えした例もある。
 
このほかに『[[サザエさん (テレビアニメ)|サザエさん]]』や『[[ドラえもん (1979年のテレビアニメ)|ドラえもん]]』(テレビ朝日版)など、長く続いているアニメで、世代交代的にメインキャストが交代するケースもある。声優交代には様々なパターンがあり、『ドラえもん』のように全面的に変えてしまうケース、『[[サザエさん (テレビアニメ)|サザエさん]]』のように声優の死去・引退までなるべく同じ声優を維持し段階的にキャスト交代を実施するケース、『[[ルパン三世]]』や『[[サムライスピリッツ]]』など声優交代をしてみたが前任者らの演技イメージが強く結局次作制作時に前任者が起用されるケース、『[[天才バカボン]]』のバカボンのママのように他の声優が代わっても交代しないよう指名されているケースなどがある。同作では他作品の客演とメディアミックス発表の際に段階的に一部キャスト変更し、新シリーズの際にキャストが交代するという形となった。
 
年月を経てリメイクされるアニメ作品の場合、大半のキャストが変更される場合が多い。『[[フルーツバスケット (漫画)|フルーツバスケット]]』『[[ヤッターマン]]』『[[ゲゲゲの鬼太郎]]』などや『[[るろうに剣心]]』や『[[トライガン]]』などの名作のリメイクで声優が交代したのを始め、『[[シャーマンキング]]』などは2001年のアニメ化後、20年後の2021年に再アニメ化の際に原作者の意向もあってキャストの大半が同じとなっているが、一部キャストはスケジュール上の都合や死去などの理由で変更されている。逆に原作者の要請により声優交代が求められた作品に『[[聖闘士星矢 (アニメ)|聖闘士星矢]]』があり、後に騒動となっている。また『[[SLAM DUNK]]』の2022年公開のアニメ映画『[[THE FIRST SLAM DUNK]]』でも従来のキャストを一新したことに賛否の声が挙がっている。アニメ『トライガン』のリメイクである『[[TRIGUN STAMPEDE]]』の声優変更について、原作者の[[内藤泰弘]]は「トライガンがやってくる。帰ってくる、ではない。やってくる。」というコメントを寄せており、制作陣もあくまでオリジナルと違う新しい作品という姿勢で声優を選んでいる<ref>{{Cite web|和書|url=https://trigun-anime.com/news/?p=22|title= トライガンスタンピード公式サイト NEWS|access-date=2024-04-21}}</ref>。
 
また、リメイクとは別に、ディズニー作品などの実写映画化でアニメ版と異なる声優を使うケースもある<ref group="注">但し『[[リロ&スティッチ (2025年の映画)]]』のスティッチ役が[[山寺宏一]]、プリークリー役が[[三ツ矢雄二]]のようにアニメ版から続投してる場合もある</ref>。
 
洋画吹き替えなどでは、担当俳優の声を当てる専属声優が時代と共に変更される例も多く、また映像ソフトに収録される場合の他、放送するテレビ局ごとに日本語版制作される際に声優が変更されることも多い。
 
技術の進歩から、AIが不祥事を起こした声優の仕事を代役として担当した例がある(中国で映画などの吹き替えを行った{{ill2|姜広涛|zh|姜广涛}}のケース<ref>{{Cite web|和書|url=https://japan.zdnet.com/article/35201918/ |title=声優の不祥事にAIが代役で活躍--中国で進むAI音声の活用 |access-date=2023-09-26 |date=2023-03-31 |website=ZDNET Japan |language=ja}}</ref>など)。
 
交代の一例を以下に示す。
 
;前任の引退などによる例
* [[遠藤ゆりか]] ([[芸能界]]引退)『[[BanG Dream!]]』今井リサ役→[[中島由貴 (声優)|中島由貴]]
* [[今村彩夏]] (芸能界引退)『ウマ娘 プリティーダービー』マヤノトップガン役→[[星谷美緒]]
* [[阿久津加菜]](引退)『[[Rewrite (ゲーム)|Rewrite]]』 テレビアニメ版 福井子 役→[[早瀬莉花]]、『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』『[[ファイアーエムブレム ヒーローズ]]』サーリャ役、セルジュ役、『[[ファイアーエムブレムif]]』シャラ役→[[高田憂希]]
* [[成海瑠奈]](引退)『[[温泉むすめ]]』仙石原三香沙役→[[三澤紗千香]]、『[[アクション対魔忍]]』神無月空役および『[[駅メモ!]] - [[ステーションメモリーズ!]]』為栗メロ 役→[[会沢紗弥]]、『[[この素晴らしい世界に祝福を! ファンタスティックデイズ]]』エーリカ役→[[加藤聖奈]]、『[[アイドルマスター シャイニーカラーズ]]』三峰結華役→[[希水しお]]、『[[Reバース for you]]』猫ヶ洞青役→[[各務華梨]]
 
;前任の病気などによる例
* [[明坂聡美]]([[突発性難聴]]によるBanG Dream!のメディアミックス活動への[[ドクターストップ]])『BanG Dream!』白金燐子役 →[[志崎樺音]]
* [[鈴木達央]](体調不良で当面の間活動を休止)『[[ポケットモンスター (2019年のアニメ)|ポケットモンスター]]』 キバナ役→[[松岡禎丞]]、『[[魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜]]』アノス・ヴォルディゴード役→[[梅原裕一郎]]、『[[機界戦隊ゼンカイジャー]]』ゲゲ役および『[[東京リベンジャーズ]]』龍宮寺堅役→[[福西勝也]]、スマホゲーム『[[白夜極光]]』禁衛座役→[[浅沼晋太郎]]
* [[花守ゆみり]](膝蓋骨亜脱臼および半月板損傷のため降板)『[[Re:ステージ!]]』伊津村陽花役→[[嶺内ともみ]]
* [[大谷育江]](体調不良)『ONE PIECE』2001年9月16日 第81話から2006年1月まで)『[[ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵]]』トニートニー・チョッパー役→[[伊倉一恵]](2006年1月22日から4月30日 第254話から263話)、『[[金色のガッシュ!!]]』[[ガッシュ・ベルと高嶺清麿|ガッシュ・ベル]]役→[[吉田小南美]]
* [[川村万梨阿]](体調不良。ファミリーコンサートで復帰)『[[ぐ〜チョコランタン]]』スプー役→[[橘ひかり]]
* [[山本圭子]](下肢骨折のため一時休業)『サザエさん』花沢役→[[伊倉一恵]]
* [[相坂優歌]](体調不良)『ウマ娘 プリティーダービー』ナリタブライアン役→[[衣川里佳]]
* [[楠木ともり]]([[エーラス・ダンロス症候群]]罹患のため降板)『[[ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会]]』優木せつ菜役→[[林鼓子]]
*[[種田梨沙]](病気療養のため一時休業)『[[Fate/Grand Order]]』マシュ・キリエライト役→[[高橋李依]]
 
;前任の降板希望などによる例
* [[矢島晶子]]『[[クレヨンしんちゃん (アニメ)|クレヨンしんちゃん]]』[[野原しんのすけ]]役→[[小林由美子]]
* [[大山のぶ代]]『[[無敵超人ザンボット3]]』神勝平役→[[坂本千夏]](『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』にて)
* [[金元寿子]]([[留学]]のため降板)『[[ぱすてるメモリーズ]]』目白渚央 役→[[花守ゆみり]]、『[[B-PROJECT〜鼓動*アンビシャス〜]]』『[[B-PROJECT〜絶頂*エモーション〜]]』澄空つばさ 役→[[瀬戸麻沙美]]
* 山本圭子『サザエさん』花沢役→[[渡辺久美子]]
* [[矢尾一樹]]『[[ONE PIECE (アニメ)|ONE PIECE]]』フランキー役→[[木村昴]]
 
;前任の逝去などによる例
* [[肝付兼太]](逝去)『[[それいけ!アンパンマン]]』ホラーマン役 →[[矢尾一樹]]、『[[トムとジェリー]]』[[トム (トムとジェリー)|トム]]役→[[佐藤せつじ]]
* [[塩沢兼人]](逝去)『聖闘士星矢』牡羊座のムウ役→[[山崎たくみ]]、『[[名探偵コナン (アニメ)|名探偵コナン]]』白鳥任三郎役→[[井上和彦 (声優)|井上和彦]]、『クレヨンしんちゃん』ぶりぶりざえもん役→[[神谷浩史]]
* [[TARAKO]](逝去)『[[ちびまる子ちゃん]]』さくらももこ/まる子役→[[菊池こころ]]
* [[水谷優子]](逝去)『ちびまる子ちゃん』さくらさきこ役→[[豊嶋真千子]]、『[[ミッキーマウス!]]』[[ミニーマウス]]役→[[遠藤綾]]
* [[杉本沙織]](休業中・逝去)『[[しまじろう]]シリーズ』桃山にゃっきい役 →[[鈴木真仁]]、『忍たま乱太郎』山村喜三太役 →[[大和田仁美]](杉本自身も[[鈴木富子]]の逝去で交代している)
* [[長谷有洋]](予定していたが登場前に逝去)『[[超時空要塞マクロス]]』一条輝役 →[[野島健児 (声優)|野島健児]]、『[[マクロス7]]』ゴラム役 →[[井上剛 (声優)|井上剛]]
* [[藤原啓治]](逝去)『[[クレヨンしんちゃん (アニメ)|クレヨンしんちゃん]]』野原ひろし役 →[[森川智之]]
* 鈴置洋孝(逝去)『[[機動戦士ガンダム]]』シリーズ ブライト・ノア役 →[[成田剣]]
* [[松野太紀]](逝去)『[[スポンジ・ボブ]]』[[スポンジ・ボブ (キャラクター)|スポンジ・ボブ・スクエアパンツ]]役→[[宮田幸季]]
* [[納谷六朗]](逝去)『スポンジ・ボブ』[[イカルド・テンタクルズ]]役 →[[上田燿司]]、『[[クレヨンしんちゃん (アニメ)|クレヨンしんちゃん]]』園長先生役→[[森田順平]]
* [[貴家堂子]](逝去)『[[サザエさん (テレビアニメ)|サザエさん]]』フグ田タラオ役→[[愛河里花子]]
* [[麻生美代子]](逝去)『サザエさん』磯野フネ役→[[寺内よりえ]]
* [[永井一郎]](逝去)『サザエさん』磯野波平役→[[茶風林]]、『[[トイ・ストーリーシリーズ|トイ・ストーリー]]』スリンキー・ドッグ役→[[辻親八]]
* [[大塚周夫]](逝去)『[[忍たま乱太郎]]』山田伝蔵役→[[大塚明夫]]、『トイ・ストーリー』ハム役→[[咲野俊介]]
* [[辻村真人]](逝去)『忍たま乱太郎』学園長役→[[浦山迅]]
* [[八奈見乗児]](逝去)『[[ドラゴンボール]]』ナレーション/北の界王役→[[龍田直樹]]、『[[カーズシリーズ|カーズ]]』フィルモア役→[[こねり翔]]
 
;芸能事務所や製作側との事情などによる例
* [[神谷明]]『名探偵コナン』毛利小五郎役→[[小山力也]]
* [[武田航平]]『[[ファイナルファンタジーシリーズ]]12』ヴァン役→[[小野賢章]]
* [[島津冴子]]『[[機動戦士Zガンダム]]』フォウ・ムラサメ役→[[ゆかな]]
* [[村川梨衣]]『[[ISLAND (ビジュアルノベル)|ISLAND]]』伽藍堂紗羅役→[[山村響]]
* [[進藤尚美]]『[[機動戦士ガンダムSEED]]』カガリ・ユラ・アスハ役→[[森なな子]]
 
;前任の不祥事降板などによる例
* [[いまむらのりお]] 『ONE PIECE』 エンポリオ・イワンコフ役→[[岩田光央]]
* [[羽賀研二]]『[[アラジン (1992年の映画)|アラジン]]』 アラジン役→[[三木眞一郎]]
* [[ピエール瀧]] 『[[アナと雪の女王]]』 オラフ役→[[武内駿輔]]
* [[古谷徹]] 『ONE PIECE』 サボ役→[[入野自由]]、『名探偵コナン』安室透役→[[草尾毅]]
 
;産休による一時交代
* [[荘真由美]]『[[キテレツ大百科 (アニメ)|キテレツ大百科]]』野々花みよ子役 →[[本多知恵子]]
* [[岡村明美]] 『ONE PIECE』ナミ役 →[[山崎和佳奈]]
* [[山口由里子]] 『ONE PIECE』ニコ・ロビン役 →[[小林優子]]
* [[沢城みゆき]] 『ONE PIECE』シャーロット・プリン役 →[[桑島法子]]
* [[林原めぐみ]] 『[[ポケットモンスター アドバンスジェネレーション]]』 ムサシ役 →[[平松晶子]]
* [[伊瀬茉莉也]] 『[[ポケットモンスター XY]]』ユリーカ役 →[[かないみか]]
* [[井上喜久子]] 『[[ああっ女神さまっ]] 小っちゃいって事は便利だねっ』ベルダンディー役 →[[岡村明美]]
* [[愛河里花子]]『[[かいけつゾロリ]]』イシシ役→[[野沢雅子]]
 
;洋画吹き替えにおける俳優の[[フィックス]]が時代により移り変わった例
* [[屋良有作]]:[[アーノルド・シュワルツェネッガー]]→[[玄田哲章]]
* [[堀勝之祐]]:[[アラン・ドロン]]→[[野沢那智]]
* [[高橋和也]]:[[イ・ビョンホン]]→[[阪口周平]]
* [[下條アトム]]:[[エディ・マーフィ]]→[[山寺宏一]]
* [[納谷六朗]]:[[エド・ハリス]]→[[菅生隆之]]
* [[宮本充]]:[[キアヌ・リーブス]]→[[森川智之]]・[[小山力也]]
* [[大塚芳忠]]:[[キーファー・サザーランド]]→小山力也
* [[林勇 (声優)|林勇]]:[[シャイア・ラブーフ]]→[[小松史法]]
* [[前田昌明]]:[[ジャン=ポール・ベルモンド]]→[[山田康雄]]
* [[大塚明夫]]:[[ジャン・レノ]]→菅生隆之
* [[羽佐間道夫]]:[[シルベスター・スタローン]]→[[ささきいさお]]
* 玄田哲章:[[スティーブン・セガール]]→[[大塚明夫]]
* [[小杉十郎太]]:[[ダニエル・クレイグ]]→[[藤真秀]]
* [[小林清志]]:[[トミー・リー・ジョーンズ]]→菅生隆之
* 鈴置洋孝(逝去):[[トム・クルーズ]]→森川智之
* 山寺宏一:[[トム・ハンクス]]→[[江原正士]]
* [[大木民夫]]:[[ハンフリー・ボガート]]→[[久米明]]
* [[神谷明]]:[[ピアース・ブロスナン]]→[[田中秀幸 (声優)|田中秀幸]]
* [[安原義人]]:[[メル・ギブソン]]→磯部勉
* [[松本保典]]:[[ライアン・レイノルズ]]→[[加瀬康之]]
* [[郷田ほづみ]]:[[ロバート・ダウニー・ジュニア]]→[[藤原啓治]]
 
;子役タレントの声変わりによる交代
* [[山下夏生]] 『[[リロ・アンド・スティッチ]]』 リロ役 →[[宮本侑芽]]
* [[市村浩佑]] 『[[トイ・ストーリー]]』 アンディ役 →[[北尾亘]]
* [[宮谷恵多]] 『[[ファインディング・ニモ]]』 ニモ役 →[[菊地慶]]
* [[海鋒拓也]] 『[[Mr.インクレディブル]]』 ダッシュ役 →[[山崎智史]]
* [[芦田愛菜]] 『[[怪盗グルーシリーズ]]』アグネス役→[[児玉すみれ]]
 
中でも[[冨永みーな]]は降板後の声優を担当することが多い。
 
なお交代と関連したケースとして、同一のキャラクターに演出上の意図で別の声優を起用するという事も多い。
 
演出上の意図で声優が複数割り当てられた作品もある。例えば『[[彼岸島]]X』においては、1話につき一人の声優がその回登場の全キャラクターを担当し、各話ごとそれぞれ声優が割り当てられた。『[[100万の命の上に俺は立っている]]』のテレビアニメ版においては、主要キャストは固定されたが、登場人物のゲームマスターについては各話登場毎に別べつの声優が当てられた。また、『[[ポプテピピック]]』に関してはメインキャラクターの声優が毎回異なる。
 
ほかに身分隠しの変装などで人相や人格が変わることを表現するためや、キャラクターで少年期と青年期以降で別声優が担当するケースなど、演出都合で作中の月日や時間が大きく進んで、特定のキャラクターが歳をとっていくことで別の声優を起用するケースは多い。これは下記のとおり男性キャラクターで少年期を女性声優が担当し、青年期以降は男性声優が担当するケースなどはよく知られる。ただし男性キャラクターでも[[孫悟空 (ドラゴンボール)|孫悟空]]などのように少年期を演じた女性声優が青年期も演じることもあるし、また男性キャラクターでも『[[ジョジョの奇妙な冒険]]』のジョセフ・ジョースターは、少年期から青年期→中年期から老年期で男性声優で変更、女性キャラクターの場合でも、映画『[[秒速5センチメートル]]』の篠原明里など少女時代と大人時代で声優が変更となることはある。
 
== 異性の役・子役 ==
{{出典の明記|section=1|date=2023年11月}}
男性と女性とでは声質が違うため、異性の役を演じるケースとしては、基本的に地声が高い女性が男性(中学生くらいまでの少年。特に[[変声]]前の幼い男の子)の声を演じるのを見受ける程度である。一方で、基本的に地声が低い男性が女性の役を演じることはまずないが、稀に地声が高い男性もおり、[[蒼井翔太]]や[[村瀬歩]]、[[山本和臣]]、[[松岡禎丞]]などが男性ながら女性の声を演じたことがある。
 
日本で大人が子供の役を演じた最初例として、[[1954年]]([[昭和]]29年)のNHKラジオドラマ『[[ヤン坊ニン坊トン坊]]』が知られるが、子供の役に[[子役]]を起用するのは、演技指導などで難しい面があった。ただし少数ではあるが子役が台詞の多い主要キャラクターとして起用された例は、『[[愛してるぜベイベ★★]]』、『[[ばらかもん]]』、『[[夢色パティシエール]]』、『[[クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!]]』などがある。
 
子役出身者から声優になった人物としては[[#子役]]にある人物などが挙げられる。
 
ハリウッド映画で、子供が主人公の映画が流行した1980年代には、日本でも吹き替え版で少年役を子役に演じさせようとする傾向が多く見られた。当時児童劇団に所属していた者が子役の吹き替えを担当しており、[[浪川大輔]]のように声優になった者もいる。
 
日本以外では、子供の役は子供に担当させることが主流である。脚本家の[[:en:Blake Snyder|ブレイク・スナイダー]]は、8歳のころにTVプロデューサーだった父親の手伝いとして、[[スターリング・ホロウェイ]]らとともに子供の役を演じていたが、変声により解雇されている<ref>p.13 SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術 2010年 フィルムアート社 ISBN 978-4845910564</ref>。
 
== 日本以外の声優 ==
諸外国では、日本のように専業の声優が確立している国は少ないとも言われる。ただ、アメリカでは代表的な人物だけでも200人以上おり<ref>{{Cite web|url=https://www.imdb.com/list/ls044032362/|title=Common American voice actors who can be cast anywhere|accessdate=2020年8月6日|publisher=IMDB}}</ref>、近年では日本アニメの吹き替えや音声入りゲームの増加により、声優業がメインの役者も増えている。
 
[[大韓民国|韓国]]では、放送局が放送劇団([[声優劇会]])を持っている。
 
[[劉セイラ]]、[[ジェーニャ (声優)|ジェーニャ]]、[[Liyuu]]などのように、日本国外出身の外国人であるため[[日本語]]が[[母語]]ではないが、一から日本語を習得して日本国内で声優として活動している例も僅かに存在する。外国人の場合は日本語の読み書きはもちろんのこと、大概は母語に由来する[[方言|訛り]](●●語訛り)が出てしまい視聴者に違和感を感じさせてしまう{{efn2|[[機動戦士ガンダムSEED]]における[[機動戦士ガンダムSEEDの登場人物#アイシャ|アイシャ]]の例がある。}}ため、日本国内で声優として活動を続けることは非常にハードルが高い。ただし、日本のコンテンツであっても、外国人役としてであれば需要はある<ref name="Badtake">{{Cite web|和書|url=https://automaton-media.com/articles/newsjp/resident-evil-awful-voice-act-mod-released-now/|title=「あぁうち」「いっつあもんすたああ」、『バイオハザードHDリマスター』の再録音声を“ひどいオリジナル版”へと変更するModが配信開始|publisher=automaton|accessdate=2016-02-27|author=Shuji Ishimoto|date=2015-10-21}}</ref>。
 
== 経歴 ==
声優の経歴としては、以下のような例がある。
 
=== 放送劇団 ===
NHKと民放が組織した[[劇団]]で、局のアナウンサーとは別個に、芸能を担当するために放送局で養成され、おもにラジオドラマを担当した放送タレントであり、彼らを指す言葉として「声優」が生まれた。芸能事務所などの台頭で現在ではすべて解散している<ref>「ラジオ名作数々残し 来春NHK放送劇団が"終幕"」『中日新聞』1989年11月5日付け夕刊</ref>。
 
NHKの[[東京放送劇団]]からは、[[巖金四郎]]、[[加藤道子]]、[[中村紀子子]]、[[大木民夫]]など、NHK札幌放送劇団出身の[[若山弦蔵]]、NHK九州放送劇団出身の[[内海賢二]]など多数。
 
民放ではのちのTBSにあたるラジオ東京放送劇団からは[[大平透]]、[[中村正 (声優)|中村正]]、[[滝口順平]]、[[田中信夫]]、[[朝戸鉄也]]、[[向井真理子]]など。
 
地方局では、CBC中部日本放送劇団出身の[[中江真司]]、RKB毎日放送劇団出身の[[八奈見乗児]]など。
 
地方局で活動していたのはラジオドラマの全盛期までのことで、テレビ時代になると海外作品の日本語吹き替えなどの声優の仕事は東京に集中していった。
 
=== 声優養成所・声優学校 ===
声優プロダクション付属の[[声優養成所]]、声優になるためのレッスン指導を主とする養成所、[[:Category:声優関連の学校|声優関連の学校]](声優養成学科がある[[専修学校]])などの出身。
 
声優になることを目指すには、声優の養成所や専門学校に通うのがもっとも一般的である。養成期間はおおむね1年から3年で、養成期間修了後に行われる所属オーディションに合格するとプロダクション所属となる。この時点では「新人」「ジュニア」「仮所属」などと称される見習い期間となる。見習い期間が終了し、内部審査を経て、認められた者だけが正所属(正規に所属する)となる。
 
学生時代のうちもしくは卒業してから養成所に通う人間もいれば、社会人になってから養成所に通う人間もいる。また、学生時代でも中高生から通うことができる養成所もあり、10代もしくは20代前半でデビューしている声優には、子役出身や一般公募の他に中高生から通っていた者が多くみられる。
 
多くは学生時代のうちもしくは卒業してからの例だが、上記の大平透もフリーのアナウンサー・制作プロデューサー・ディレクターをへてTBS劇団に所属したように、養成所から声優になった者にも、他業種を経てもしくは並行して養成所に通う例は多い。[[若本規夫]]、[[茅野愛衣]]、[[金田朋子]]などは社会人を経て養成所に通うようになり、その後に声優となった。なお若本は元[[警視庁]][[機動隊]]員で除隊後、茅野は[[セラピスト]]をしながら、金田は[[製菓]]会社から[[銀行員]]に転職してから、それぞれ通っていた。[[岸尾だいすけ]]は学校卒業後就職した半導体工場で3交代勤務、デビュー後も付き人やアルバイト生活後、[[井上和彦 (声優)|井上和彦]]は[[プロボウラー]]を目指して、ボウリング場に就職した後、[[三木眞一郎]]はパティシエ、[[三宅健太]]はデパートのパン屋勤務を経て、[[木村亜希子]]は大学卒業後、就職しながら、こおろぎさとみは[[幼稚園]]教諭を4年間勤めて後、[[高橋直純]]は[[寿司職人]]見習いとアイドルユニットを兼務の後に、[[小林裕介]]は大手家電メーカーをへて、[[山崎和佳奈]]は大手電子機器メーカー勤務と並行して、[[近藤孝行]]は関西の鉄道会社勤務の後、[[楠田敏之]]は石油会社をへて、[[高森奈津美]]は声優になるため養成所に通う以前はJR東日本の駅員、[[中井和哉]]、[[永塚拓馬]]、[[掛川裕彦]]、[[原由実]]らは公務員務めと並行して、養成所へ通っている。
 
[[三石琴乃]]、[[高山みなみ]]、[[中原麻衣]]、[[田中敦子 (声優)|田中敦子]]、[[皆川純子]]、[[洲崎綾]]、[[ファイルーズあい]]らは就職してOL時代並行してもしくは退職後に養成所に通い声優へとなる。
 
[[橘田いずみ]]が養成所に通う前にはレースクイーンの経歴がある。[[原奈津子]]はローカルタレントをへて養成所に通った。[[生天目仁美]]などは声優の専門学校から[[劇団]]([[劇団東京乾電池|東京乾電池]])を経て養成所に通ってデビューしている。販売店員([[無印良品]])と併業での女優をしていた[[小原好美]]も養成の学校を出て当初芸能事務所に所属してのちに声優事務所に移籍し声優業に転じた。女優・歌手の[[神田沙也加]]は後に声優としても活動し始めるが、それ以前から声優の養成学校に通って準備をしていた。[[佐々木李子]]も歌手としてデビューしてから、声優の専門学校へ進学し、その後声優も始める。[[石上静香]]も既に漫画家として連載を抱えていたが、後に養成所に通うようになって声優となる。
[[稲田徹]]は養成所と並行してプロレスラー志望でもあったが、そちらは怪我により断念している。
 
地方で他キャリアを積んでから上京して養成所に通う例もあり、[[今野宏美]]は高校生のころに地元の北海道でラジオのパーソナリティーをへて上京して、[[田村ゆかり]]も地元声優学校在籍中には地元KBCラジオでの番組内アシスタントを担当と並行してサラリーマン生活を経て上京してというケースである。
 
異色の経緯に児童劇団にいたことや特待生オーディションを受けた経歴をもつ[[大原めぐみ]]の場合がある。彼女はすでに結婚し子供も出産して[[専業主婦]]をしていたが、27歳のときに養成所に通い始めている。
 
[[81プロデュース]]や[[賢プロダクション]]などのプロダクションによる、専門学校や養成所からだけでなく一般からも募集する[[#一般公募|一般公開]]形式のオーディションも開かれているが、こうしたオーデションのグランプリ受賞者は特待生として経営する養成スタジオでのレッスンのほか、デビューだけではなくその後の長期的な声優活動をバックアックもなされる場合がある。
 
市場調査会社によると、声優養成サービスの市場規模は、2012年度で56億円と推計されている<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20130629215854/http://www.yano.co.jp/press/pdf/1091.pdf |title=芸能系プロフェッショナル養成サービス市場に関する調査結果 2013 |access-date=2024年1月30日 |publisher=Wayback Machine |website=矢野経済研究所}}</ref>。
<!-- 大塚明夫は自著『声優魂』の中で、養成所や専門学校は生徒の将来や給与の保証をする必要がなく、「声優学校や養成所というのは非常に儲かる商売です」「売れなければ『お前のせいだ』でおしまい。うまいことスターが出れば『ありゃあ俺んとこで育てたんだ』と言えばいい。それを広告塔に次の声優志望者たちがやってくる。はっきり言って、ローリスク・ハイリターンです」と述べている<ref name="ootsuka">{{Cite|和書|author=[[大塚明夫]]|title=声優魂|date=2015-03|publisher=星海社|pages=140-149|ref=harv}}</ref>。また「『安全策』として学校という道を選ぶ人は、その時点である種のステレオタイプを選んでいるということ、そしてこと芸能の世界においてステレオタイプほどすぐさま使い捨てられる存在はない」と指摘している<ref name="ootsuka" />。|date=2022年11月}}-->
 
=== 大学芸術学部・演劇学科 ===
[[日本大学芸術学部・大学院芸術学研究科|日本大学芸術学部]]<ref>[[日本大学の人物一覧#声優]]</ref>、[[桐朋学園芸術短期大学]]<ref>[[桐朋学園芸術短期大学#出身者]]</ref>、[[玉川大学]]<ref>[[玉川大学の人物一覧#芸能]]</ref>、[[大阪芸術大学]]<ref>[[大阪芸術大学の人物一覧#声優]]</ref>などの大学教育機関の出身者。[[広川太一郎]]、[[柴田秀勝]]、[[平野文]]、[[榊原良子]]、[[かないみか]]、[[うえだゆうじ]]、[[潘めぐみ]]などがいる。[[小山力也]]などは別の大学を卒業してからこれらの大学に進学した。
 
子役が進学した例としては[[冨永みーな]]、[[平野綾]]、[[宮本佳那子]]など、在学中または卒業後に声優養成所に通う例としては[[石田彰]]、[[川上とも子]]、[[宮村優子 (声優)|宮村優子]]などがいる。
 
=== 俳優・舞台役者 ===
舞台演劇や[[ミュージカル]]で活動する舞台役者が、その後声優として長く活動するようになる例は、声優という職業が成立する時期から多く存在しており、大塚明夫<ref group="注">トラック運転手を経て[[文学座]]や[[こまつ座]]などで俳優としての活動はしていた。</ref>、納谷悟朗など[[#舞台劇]]で紹介されたような面々らがこれに該当する。
 
[[吹き替え]]を中心に、[[俳優]]として活動してきた役者が声優としても長く活動するようになる例もあり、[[津嘉山正種]]、[[磯部勉]]などがこれに該当する。[[日野聡]]も児童劇団から舞台俳優となり、吹き替えを多く担当していた。
 
劇団や舞台での経験が声優業にも良い影響を与えているという意見もある<ref>{{Cite web|和書|title=【明田川進の「音物語」】第33回 岩田光央さんとの対談(後編)声優は“商品”で事務所は“問屋”|url=https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/110239/|website=アニメハック|accessdate=2021-11-08|language=ja}}</ref>。
[[内田夕夜]]や[[各務立基]]は[[劇団俳優座]]、[[折笠愛]]は[[文芸座]]や劇団創演、[[島本須美]]は劇団[[青年座]]出身の舞台女優、[[折笠富美子]]も[[劇団スーパー・エキセントリック・シアター|SET]]劇団員をへて、[[玄田哲章]]、[[三森すずこ]]などミュージカル俳優をへて声優に、[[大川透]]も声優になる前に10年間舞台活動を行っている。劇団[[HIROZ]]に所属していた[[小松昌平]]、劇団青年座研究所に所属していた[[島形麻衣奈]]らは新人発掘オーディションにて、[[松本梨香]]は[[大衆演劇]]の舞台女優から、舞台で共演した[[名古屋章]]の勧めでアニメ『[[新・おそ松くん]]』のオーディションを受け声優となった。劇団にいた[[天麻ゆうき]]は、『[[東京ミュウミュウ にゅ〜♡]]』の一般公募オーディションに合格したことをきっかけに、芸能事務所に所属している。
 
社会人経験や他分野から舞台演劇の世界を経て声優として活動するケースもある。たとえば[[大塚周夫]]は、[[ダンサー]]から劇団をへている。[[麻生かほ里]]は、[[日本銀行]]勤務を経て舞台・ミュージカル女優から転身。[[一条和矢]]は、大学時代のアマチュア放送劇団、サラリーマンをしながら素人劇団に所属しボイスドラマの自主制作などの経歴がある。[[緒方賢一]]は、板前修行の傍らで喜劇役者を目指し、舞台出演していた。[[竹内順子]]は、アルバイトでの政治秘書と並行して劇団に所属してから、千葉繁は、電気会社工場勤務から劇団に所属後に転身しアクション俳優やスーツアクターもこなしていたという。矢島晶子は勤めていた和菓子屋退職後に、頼み込んで出演することになった舞台を見に来ていた[[たてかべ和也]]にスカウトされ、その後テレビアニメのオーディションで選ばれ声優デビューすることになった。
 
[[速水奨]]は貿易会社勤務の傍ら[[劇団四季]]の研究所などに所属していた。[[劇団四季]]出身声優には速水の他に[[江原正士]]、[[増山江威子]]、[[遠藤晴]]、[[内田莉紗]]、[[石毛翔弥]]らがおり、吹き替えを多く手がける[[石波義人]]は現役団員である。
 
[[タカラジェンヌ]]出身の声優には[[太田淑子]]、[[葛城七穂]]、[[水城レナ]]、[[涼風真世]]、[[七海ひろき]]、[[森なな子]]などがいる。
 
=== 子役 ===
[[児童劇団]]などに所属する子役が、アテレコ・声優の仕事をするようになったことがきっかけで、そのまま声優業を中心に活躍する例は、声優という職業が成立する時期から多く存在している。[[池田秀一]]、古谷徹、古川登志夫、[[吉田理保子]]、[[玉川砂記子]]、[[三ツ矢雄二]]、[[塩屋浩三]]・翼兄弟、[[岩田光央]]、[[本名陽子]]、[[愛河里花子]]、[[松野太紀]]などがこれに該当する。近年では、宮野真守、[[内山昂輝]]、[[木村良平]]、[[入野自由]]、[[三瓶由布子]]、[[木村昴]]、[[飯田里穂]]、[[悠木碧]]、[[喜多村英梨]]、[[小野賢章]]、[[豊永利行]]、[[花澤香菜]]、[[日高里菜]]、[[小倉唯]]、[[白石晴香]]、[[宮本侑芽]]、[[諸星すみれ]]、[[黒沢ともよ]]などがこれに該当する。
 
通常は児童劇団出身が大半であるが、[[千葉紗子]]や[[南里侑香]]、[[小林晃子]]、[[滝田樹里]]、[[中山理奈]]など[[南青山少女歌劇団]]や、キッズモデルから歌手活動を経て声優になった[[小林愛香]]、主に少女モデル業をしていて、事務所内で声優部門に移籍した[[上坂すみれ]]のケースなどもある。[[春川芽生]]も[[ニコモ]]になって所属した事務所内で後に声優部へ移動している。
 
=== 一般公募 ===
直接声優を募集するコンテストで入選したことがきっかけで、声優として活動するようになった例もある。
 
声優志望者のオーディションでは、全国からオーディションで人材を集める。実際、声優事務所とアニメ制作会社や雑誌社が組んで行う、主役声優の一般公募、事務所独自で行うオーディションもある。
 
一般公募であれば、全国から人を集められるほか、オーディションに応募するというモチベーションが高い人材が集まることで、そこから優秀な人が出てくる確率がかなり高いとみている<ref name=":1">{{Cite web|和書|title=「声優志望者は専門学校にも養成所にも行くな!」音響監督・長崎行男と福原慶匡Pが明かす、声優業界のいま【インタビュー】 2ページ目|url=https://animeanime.jp/article/2019/07/16/46949.html|website=アニメ!アニメ!|accessdate=2021-09-27|language=ja}}</ref>。
 
[[大橋歩夕]]、真堂圭、[[曽田光星]]、[[沢城みゆき]]、[[小坂井祐莉絵]]、[[今井麻美]]、[[佐々木未来]]、[[井口裕香]]、伊藤彩沙、[[後藤沙緒里]]、[[榊原ゆい]]、[[三澤紗千香]]、[[豊田萌絵]]、[[伊藤美来]]、[[斉藤朱夏]]、[[高本めぐみ]]、[[進藤あまね]]ら、高校で演劇部や放送部などで鍛えておいて、または興味で直接公募された一般公募オーディションに出場して合格し声優になる例のほか、声優志望者からなる福岡県のローカルアイドルユニット[[小梅伍]]の経験があったが保育士から転じた[[阿澄佳奈]]は2005年(平成17年)での公開オーディションで、[[ジュニアアイドル]]の経験はあった水瀬いのりも公開オーディションであるソニー主催の[[アニストテレス]]入賞によって、声優になっている。アニストテレス出身者のうち、[[伊波杏樹]]は専門の学校出身者であるが、声優教育を受けていない楠木ともり、[[たけだまりこ]](現・武田真理子)らは歌手志望でコンテストに臨んでいる。
 
[[種田梨沙]]は通っていた学校の都合もあって結果として養成所に通わず、なる足がかりとして『[[智一・美樹のラジオビッグバン]]』のアシスタント募集に一般応募し、アシスタントを1年間勤めた。その後、所属事務所が実施していた研修生オーディションを経て事務所に所属して、[[栗林みえ]]は1996年にコナミが開催した『ときめきメモリアル』のイメージガールを決定する「ときめきティーンズコンテスト」で、[[鈴木みのり (声優)|鈴木みのり]]は2014年に行われた[[マクロスシリーズ]]新作テレビアニメの「新歌姫・声優オーディション」合格をきっかけに声優となる。
 
ミュージックレイン所属で同事務所主催の公募オーディションで選出されたメンバーによる声優ユニットのうち、[[スフィア (声優ユニット)|スフィア]]では[[戸松遥]]以外は[[寿美菜子]]は子役や学校に、[[高垣彩陽]]は大学で[[声楽]]を専攻していた、[[豊崎愛生]]は高校時代から地元のTV番組やCMなどで芸能活動していたが、一方で[[TrySail]]の3名は、実績など無く同オーディションに応募し合格し声優となっている。
 
[[エイベックス]] と 81プロデュースが組んで、行われた「アニソン・ヴーカルオーディション」でメンバーを選んで結成した声優ユニットのうち、[[i☆Ris]]では[[山北早紀]]、[[芹澤優]]、[[若井友希]]らは養成所などに通っていたが、[[茜屋日海夏]]、[[久保田未夢]]、[[澁谷梓希]]らは養成所などを経ず上記オーディションでの選出。また[[Wake Up, Girls! (声優ユニット)|WUG]]のうち、[[吉岡茉祐]]は子役の実績はあったが、他のメンバーら([[永野愛理]]、[[田中美海]]、[[青山吉能]]、[[奥野香耶]]、[[山下七海]]、[[高木美佑]])同様、養成所など経ず上記オーディションでの選出である。81プロデュースでは近年同事務所所属の人気声優は軒並み毎年一般公募で8月に開催されている[[81オーディション]]でデビューしている。2022年には81プロデュースは合格者は同プロダクションの所属と[[ユニバーサルミュージック]]からのアーティストデビューが約束される、声優ガールズユニット発掘プロジェクト「SUN AUDITION」<ref>[https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1658722785 声優&アーティストデビューの夢をつかんだ彼女たちの“未来”に注目!声優ガールズユニットオーディション企画「SUN AUDITION」合格者8名にインタビュー!]</ref>を実施。
 
[[スターダストプロモーション|スターダスト]]に所属する[[サンドリオン (声優ユニット)|サンドリオン]]のメンバーも[[黒木ほの香]]や劇団にいた[[小山百代]]の他は、事務所が主催したオーディションをへて事務所に所属してから演技経験を積んでいる。
 
2011年度の「第36回[[ホリプロタレントスカウトキャラバン]] 次世代声優アーティストオーディション」出身のうち、[[大橋彩香]]は子役経験があったが、[[高橋花林]]は遠藤ゆりか、[[花守ゆみり]]、[[加地綾乃]]らも輩出した「ぽにきゃん声たまグランプリ」、[[木戸衣吹]]は『[[天才てれびくんMAX]]』の視聴者参加型企画「全国声優オーディション こえたまごっ!」など複数の公募オーディションを経て、[[田所あずさ]]、[[Machico]]、[[山崎エリイ]]に至っては他未経験での参加であった。[[富田美憂]]も未経験者の[[前田佳織里]]、[[夏吉ゆうこ]]、[[三浦千幸]]らも輩出した「声優アーティスト育成プログラムセレクション」や[[小田紗弓]]を輩出した「アニソンスター☆誕生!(アニ☆たん!)」などに応募し声優になっている。
 
2017年に行われた声優アーティストオーディション「ANISONG STARS」では[[アクターズスクール広島]]出身の[[吉武千颯]]のほかは[[熊田茜音]]、[[後本萌葉]]らを輩出。
 
[[声優アワード#新人発掘オーディション]]出身者では[[鴨池彩乃]]、[[拝師みほ]]、[[三川華月]]、[[織江珠生]]、[[岩川拓吾]]、[[土師亜文]]、[[青木瑠璃子]]らが直接である。
 
他にも「[[全日本アニソングランプリ]]」、[[国際声優育成協会]]主催のオーディション声優コンテスト『[[国際声優コンテスト「声優魂」|声優魂]]』、声優オーディション企画「全日本美声女コンテスト」([[オスカープロモーション#全日本美声女コンテスト|オスカープロモーション]]と[[青二プロダクション#全日本美声女コンテスト|青二プロダクション]]、[[博報堂]]による。[[Elfin']]([[辻美優]]、[[花房里枝]]ら)、[[奥谷楓]]、[[吉村那奈美]]、[[入江麻衣子]]、[[美波わかな]]、[[大槻瞳]]、[[佐藤実季]]、[[希水しお]]、[[山本杏奈]]らを輩出)など、一般公募のコンテストが開催されている。こうしたコンテスト出場・入賞をきっかけに、養成所に入所する例や、出場がきっかけで直接プロダクションに所属する例もある。
 
=== その他 ===
[[花江夏樹]]は直接プロダクションにアプローチしたが、こうした例はレアケースとして知られる。ただし[[研音]]など事務所側で募集をしている場合も実際に存在する。他に[[スターダストプロモーション]]が声優オーディションを、[[大沢事務所]]が研究生募集のオーディションを手掛ける。
 
[[#子役|子役]]や[[#俳優・舞台役者|劇団所属の舞台俳優]]からの転身の他は、[[アイドル]]、[[グラビアアイドル]]、[[歌手]]、[[モデル (職業)|モデル]]、[[#特撮番組系の俳優の声優活動|特撮番組系俳優]]、[[お笑いタレント]]、[[レポーター]]、[[コスプレ|コスプレイヤー]]などといった経歴のタレントが、声優の仕事をするようになったことがきっかけで、もしくはオーディションで役を得て、そのまま声優業を中心に活躍する例がある。例えば養成所で芝居は学んでいる[[原田ひとみ]]は歌手としてスカウトされ、当初は歌手活動をしていた。[[高槻かなこ]]はアニソン歌手を目指して配信などの活動を経て歌手デビューし、後に声優デビューしている。[[仲村宗悟]]は声優アーティストになる前は音楽活動のみをしていた。[[桃井はるこ]]はマニア向けのアイドル活動からラジオパーソナリティも行い始め、のち誘いを受けて声優の活動も開始していった。近藤玲奈は声優になるまでは[[ラブベリーナ]]、久保ユリカは[[ニコモ]]を経ており、久保はグラビアアイドルをしていた。飯田里穂も子役からグラビアアイドルを経ている。小林晃子はアニラジの[[がや]]オーディション、宮本佳那子は挿入歌の歌唱オーディションから、[[松井菜桜子]]、[[千葉千恵巳]]、[[落合祐里香]]、大野まりな、[[柚木涼香]]らもなるまでには映画女優、ヌードモデルなど、[[山本彩乃]]はグラビアアイドル、[[小林ゆう]]は高校時代の雑誌モデル、[[工藤晴香]]はファッション誌モデルであった。[[中島愛]]、明坂聡美、[[小松未可子]]らも選出オーディションはアイドルオーディションで、[[ゆりん]]はホリプロ時代はタレント業、[[MAKO]]はガールズバンドグループ活動休止の後、[[後藤友香里]]は[[AAA (音楽グループ)|AAA]]の追加メンバーから声優ユニット「Trefle」へ、[[飯島綾子]]や[[岩男潤子]]はアイドルから童謡歌手{{sfn|内藤 (2017)では、歌って踊れる声優のルーツとしている<ref name=naito/>}}を経て、[[森田成一]]は俳優を経て2001年から、声優へと転身している。[[藤村知可]]は、レポーターなどのタレントをへて、2006年以降に声優業が中心になる。[[小岩井ことり]]は知人から頼まれて[[化粧|メイク]]のモデルをしたのをきっかけに声の仕事(ナレーション)を紹介され、その後声優になるきっかけを掴むために地元関西でテレビ番組やCMのナレーションなど様々な仕事をしていたし、[[立花理香]]は大学院在学中に芸能事務所にスカウトされて、声優になるまではタレント業を行っていた、[[儀武ゆう子]]は高校2年生の時から地元沖縄で戦隊ヒーローものの子供ショーの司会やまつりのアナウンスも担当し、上京後もイベントのMCや地方ケーブルテレビのリポーターなどの仕事をしていたという。
 
アイドルから声優への転身は前述の飯島や岩男(いわお潤)、小松のほかは[[山本百合子]]、日髙のり子や[[佐久間レイ]]、岡谷章子([[岡寛恵]])、松本裕美([[大野まりな]])、[[宍戸留美]]、[[桜井智]]、[[千葉千恵巳]]、[[徳永愛]]、水野奈央子([[水野愛日]])、千葉紗子、[[高橋美佳子]]、[[平田裕香]]の例が知られるが、特に2010年代になって以後は、現役アイドルのまま声優としても活動する人間が登場、増加するようになっている<ref name="seiyuartist2018a" />。一例として、仲谷明香(元AKB48)、前島亜美(元SUPER☆GiRLS)、[[佐武宇綺]]([[9nine]])などが挙げられる。
 
一方で、声優になるための足がかりとして、アイドルをしていた例や、歌手([[#声優アーティスト]])になるための足がかりとして、声優を目指す例もみられる。[[福井裕佳梨]]は最初[[芸能事務所]]に所属して仕事を始めたので、キャリア初期にはものまねやグラビアアイドル活動などのアイドルタレント業を多くこなしていた。[[秦佐和子]]は[[秋葉原|アキバ]]関連を扱う雑誌に載っていたオーディションの募集だということで、[[SKE48]]になるのが声優への近道と思っていた。[[夜道雪]]は地元で10代の時に[[スカウト (勧誘)|スカウト]]されたことをきっかけに[[ローカルアイドル]]として活動の傍ら、配信ゲームで声を当て、上京した後も養成所に通いながら独力でYouTube活動とコスプレーヤーをしながら声優への道に進んでいる。
 
異色の例に、[[郷田ほづみ]]、[[竹内幸輔]]のように芸人や、[[相羽あいな]]のように[[女子プロレスラー]]という異例の経歴をもって声優を行っている者なども知られる。また[[清水愛]]は声優界初の兼任女子プロレスラーとして知られる。
 
[[エリック・ケルソー]]は元々映像監督であったが、来日後にナレーター、英語吹き替え、ラジオパーソナリティと活動分野を広げアニメやゲームの声優としても活動している。
 
== 他分野の芸能人・著名人などの声優活動 ==
俳優・歌手・音楽家・アイドル・グラビアアイドル・モデル・お笑いタレント・スポーツ選手・著名人が、声優活動をすることや、作品によって声優に起用されることがある。
 
アニメーション作品においても、本人役という手段で作品に登場させ、本人にアテレコをさせる例は多い。
 
もともと、専業の声優が確立されていなかった時代、[[東映アニメーション|東映動画]]の長編作品のころから、長編アニメーション映画において、ほかの芸能人・著名人などを声優に起用することは珍しくない。[[1990年代]]以降の[[スタジオジブリ]]制作作品、[[2000年代]]以降の[[スタジオ地図]]制作作品に至るまで、こうした傾向は現在でも続いている。スタジオジブリの[[鈴木敏夫]]はジブリが本職の声優ではない人物を使う理由について、『ジブリの教科書3 となりのトトロ』では、プロの声優について「『わたし、かわいいでしょ』みたいな」声への違和感、そしてプロの声優を使わないことについては『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』にて、『耳をすませば』で月島雫のお父さん役をつとめた[[立花隆]]との対談で、『となりのトトロ』のオーディションの際に声優であるとやっぱり普通のお父さんになってしまうため、おとうさんっぽくない感じを求めて糸井重里を、『耳をすませば』の雫のお父さんも同様の見解で立花を選出しており、声優の芝居は[[ハレとケ]]にわけると「ハレ」であるが、日常芝居が多いジブリ映画で実際にほしいのは「ケ」であるとしている<ref>{{Cite book|和書|author=鈴木敏夫 |title=ジブリの哲学 : 変わるものと変わらないもの |publisher=岩波書店 |year=2011 |ISBN=9784000234955}}</ref>。
 
なお、副業でできる声優としてオーディオブック、朗読のアルバイトなど、声で稼げる仕事として求人サイトやバイト情報、クラウドソーシングで募っていることがある。
 
=== 役者以外を声優に起用すること ===
[[声優#第一次声優ブーム|第1次声優ブーム]]に行われた[[アテレコ論争]]では、声優の地位問題が提議されている。アテレコの演技性を巡っては、俳優の起用は暫定的なものに過ぎず、「[[落語家]]でも[[アナウンサー]]でも、[[案内|観光案内係]]でも、声を使う職業の人の中から選ばれてもよいことだ」という意見も示されているが、「吹き替え・アテレコ調」を「[[新劇]]調」「翻訳劇調」と並んで嫌う演劇家も存在する<ref name=":5" /><ref name=":6" />。
 
アニメ監督の[[高畑勲]]は、[[プレスコ]]を採用した『[[平成狸合戦ぽんぽこ]]』で落語家の[[柳家小さん (5代目)|柳家小さん]]、アナウンサーの[[福澤朗]]などを起用している。
 
[[ミッキーマウス]]の声優をつとめていた[[青柳隆志]]は、大学[[教授]]が本業であり声優は副業であった。小鳩くるみ時代役者や司会者であった[[鷲津名都江]]も大学教員となってからも自身が演じた『[[アタックNo.1]]』の鮎原こずえ 役や[[ディズニー映画]]『[[白雪姫]]』の[[白雪姫]] 役の声をのちにゲーム機([[CRぱちんこアタックNo.1]](2007年)や[[キングダム ハーツ バース バイ スリープ]](2010年)や[[Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ]](2011年))でも声を担当した。
 
アニメ監督の[[宮崎駿]]は、「映画は実際時間のないところで作りますから、声優さんの器用さに頼ってるんです。でもやっぱり、どっかで欲求不満になるときがある。存在感のなさみたいなところにね。」という見解を示した事があり、『[[となりのトトロ]]』では[[コピーライター]]の[[糸井重里]]を起用している<ref>{{Cite web|和書|title=宮崎駿は、声優のスキルについてどう考えているのか|url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1372265521873/|website=エキサイトニュース|accessdate=2022-01-31}}</ref>。直近の長編作品である『[[風立ちぬ (2013年の映画)|風立ちぬ]]』においてもアニメ監督の[[庵野秀明]]を起用し、「逆に庵野(秀明)もスティーブン・アルパート<ref group="注">2011年までスタジオジブリ海外事業で勤務していた人物。宮崎駿が本人をモデルにした役を設定し起用した。</ref>も存在感だけです。かなり乱暴だったと思うんですけど、その方が僕は映画にぴったりだったと思いました。」とその意図を説明している<ref>{{Cite web|和書|title=宮崎駿監督引退会見 一問一答|シネマトゥデイ|url=https://www.cinematoday.jp/page/A0003837|website=シネマトゥデイ|accessdate=2021-02-07|language=ja}}</ref>。
 
劇中でテレビニュースが映る場合は、リアリティを重視して放送局に所属する本業のアナウンサーを起用する例があり、フリーアナウンサーの[[松澤千晶]]はアナウンサーやレポーター役としてのみ出演している。
 
なお、ナレーションやアナウンスも声優の仕事の一部であるが、[[フリーアナウンサー]]が声優という肩書きで活動することはない。黎明期には局のアナウンサーが声をあてた事例もあるが、現代では演技を行わないアナウンサーと声優は、別の職業としてとらえられている。
 
まれに制作スタッフや原作者などの関係者がエキストラやゲストキャラクター役の声優として起用されることもある([[カメオ出演]])。
 
;ミュージシャンが担当するケース
 
劇中に楽曲、歌唱が重要な役に抜擢されることもある。
 
前述1980年代初頭の[[リン・ミンメイ]]役の飯島真理、『魔法の天使クリィミーマミ』の太田貴子のほか、『[[竜とそばかすの姫]]』の[[中村佳穂]]、『[[魔法のスターマジカルエミ]]』の[[小幡洋子]]などのケースがみられる。
 
ディズニー公式動画配信サービスの『[[ソウルフル・ワールド]]』ではグラミー賞アーティストが声優参加しており、日本語版も[[瑛人]]がストリートミュージシャン役の日本版声優としてカメオ出演する。
 
『[[とっとこハム太郎]]』の[[ミニハムず]]や『[[ゾンビランドサガ]]』のホワイト竜のように、本人らをイメージしたキャラクターを当てる手段や、[[山崎ハコ]]が『[[ちびまる子ちゃん]]』に本人役で出たケースもある。
 
『BanG Dream!』プロジェクトのバンドユニットのうち、[[RAISE A SUILEN]]に参加する[[Raychell]]、[[夏芽]]は他グループのバックバンドもつとめていたミュージシャン、[[小原莉子]]は並行してバンド活動をしていた。[[Morfonica]]に参加する[[西尾夕香]]もDJなどの音楽活動、[[mika]]はドラマー、[[Ayasa]]はバイオリニストである。
 
役者ではないため本格的な声優業は無理という意見もあるため<ref>{{Cite web|和書|title=「アーティストが声優やるのは無理」 GACKT発言への意外な反応 |url=https://www.j-cast.com/2017/03/23293829.html?p=all |website=J-CAST ニュース |date=2017-03-23 |accessdate=2021-09-27 |language=ja}}</ref>、歌唱シーンだけ歌手が担当するダブルキャスト方式もある<ref>{{Cite web|和書|title=アニメ「パリピ孔明」追加キャストに千葉翔也・山村響ら、英子の歌唱は96猫が担当(動画あり) |url=https://natalie.mu/comic/news/461804 |website=コミックナタリー |access-date=2022-04-17 |publisher=ナターシャ}}</ref>。
 
[[ぴえろ魔法少女シリーズ]]のように歌手に声優を担当させている作品など、1980年代前半には新人女性歌手をアニメとタイアップさせて主題歌を歌わせ、役も与えるという手法が派生していた。前述の飯島や太田らだけでなく、[[志賀真理子]]や[[宮里久美]]らも同時期に同様のスタンスでデビューを飾っており、このことがのちの[[#アイドル声優]]の先駆けとして紹介されることもある。1990年代でも当時歌手デビューしていた[[仲間由紀恵]]などが『[[HAUNTEDじゃんくしょん]]』出演をきっかけに「女子高生アイドル声優」という売り出し方をされていた。
 
=== 俳優の起用 ===
テレビ人形劇では声優の仕事が確立される以前から放送されたこともあり、俳優や劇団員が起用された。その後俳優が選ばれることが多く、2014年(平成26年)に放送された人形劇『[[シャーロック ホームズ (人形劇)|シャーロック ホームズ]]』では俳優と声優が混在して起用された。海外ドラマの吹替においても、最初からアニメ声優を目指した声優を生み出し、声優に特化した芸能事務所や声優養成所の伸長に繋がっていた第二次声優ブーム以後も、前述のとおり1982年の海外ドラマ『遥かなる西部 わが町センテニアル』の吹替放や第三次声優ブーム期1996年『ER緊急救命室』吹き替え放送で劇団に所属する俳優の起用など、俳優が起用されるケースはいくつかみられた。
 
映画では、前述の『幻魔大戦』『紫式部 源氏物語』『もののけ姫』以後も、俳優が起用されることが多い<ref>[https://www.cinematoday.jp/news/N0102838 上白石萌音、松岡茉優らアニメ声優に挑戦する若手女優たち] [https://www.cinematoday.jp/news/N0100330 蒼井優の声優としての魅力とは?アニメファンからも高評価のワケ] [https://realsound.jp/movie/2016/07/post-2171.html 松岡茉優、水原希子、波瑠……相次ぐ人気女優のアニメ声優への挑戦]</ref>。
 
俳優を多く起用するアニメ監督もおり、[[原恵一]]は他の芸能人や劇団の子役・俳優を声優に起用している<ref>「原恵一監督が語る新作映画のキャスティング!」『サイゾー』インフォバーン、2007年8月号。</ref>。[[富野由悠季]]は、声優の演技は型にはまっていると批判したことがあり<ref>{{Cite book|和書|author=富野由悠季|authorlink=富野由悠季|title=富野由悠季インタビュー集 富野語録|page=195|publisher=[[ラポート]]|isbn=978-4-89-799296-9|date=1999-1}}</ref>、主役に劇団出身者や新人声優を多く起用している。[[押井守]]は、存在感と新鮮さが声優に勝ることがあるとして<ref>{{Cite book|和書|author=押井守|authorlink=押井守|title=すべての映画はアニメになる|pages=307-309|publisher=徳間書店|isbn=978-4-19-861828-5|date=2004-03-27}}</ref>、複数の作品に俳優の[[竹中直人]]を起用しており、『[[スカイ・クロラシリーズ#映画|スカイ・クロラ The Sky Crawlers]]』ではメインキャラクターに俳優を起用した。
 
テレビアニメ作品では『[[ムーミン]]』(1969年〈昭和44年〉)の[[岸田今日子]]、NHK版『[[ピーナッツ (漫画)|スヌーピーとチャーリー・ブラウン]]』(1972年〈昭和47年〉)の[[谷啓]]や[[うつみみどり]]などが選ばれ、フジテレビ「[[日生ファミリースペシャル]]」枠のアニメ『坊っちゃん』『姿三四郎』(1980年〈昭和55年〉)では[[西城秀樹]]がつとめた。長期にわたり放送された『[[まんが日本昔ばなし]]』では[[市原悦子]]と[[常田富士男]]が、『[[まんが世界昔ばなし]]』では[[宮城まり子]]と名古屋章らが声優を務めていた。
 
その後も監督が抜擢するなどして、俳優が選ばれる例がある。『[[ノブナガ・ザ・フール]]』では原作・シリーズ構成の[[河森正治]]が[[宝塚歌劇団]]を取材した際、現役[[タカラジェンヌ]]である[[七海ひろき]]の舞台を見て抜擢した。七海は宝塚退団後も俳優兼声優として活動している。『[[富豪刑事|富豪刑事 Balance:UNLIMITED]]』では監督の[[伊藤智彦]]が有名声優を使うことよりも作品のオリジナリティを重視したことや、大富豪である主人公の存在感を際立たせるため、イメージに合う声としてダンサー兼俳優の[[大貫勇輔]]を抜擢した<ref>[https://animeanime.jp/article/2020/07/16/55045_2.html 「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」プロデューサーが仕掛ける話題づくりの“妙”【インタビュー】] - アニメ!アニメ!</ref>。『[[彼氏彼女の事情]]』で声優に起用された[[本谷有希子]]はのち劇団を主宰する舞台女優かつ劇作家、芥川賞作家である。
 
上述の俳優が声優に起用されることに関して、アニメを多く手がける脚本家の[[首藤剛志]]は「マイクの前で声を出しているだけの声優よりも、声優としての技量が劣っても、実際に観客の前で芝居をする俳優が買われているのではないか」と述べている<ref>{{Cite web|和書|date=2006-03-01|url=http://www.style.fm/as/05_column/shudo39.shtml|title=首藤剛志「シナリオえーだば創作術 第39回 『戦国魔神ゴーショーグン』予告のわけ……」|work=|author=|publisher=[[アニメスタイル|WEBアニメスタイル]]|accessdate=2013-04-18}}</ref>。
 
俳優の[[納谷悟朗]]は舞台も声優も同じであるとし、その上でアテレコの難しさとは声を当てる対象が行う芝居の把握にあると説いている。声優を目指す者に対しては「基本でしょう。さっき言った、いわゆる舞台という演技の基本をきちんとしないとだめだっていうことですね」と述べている<ref>{{Cite web|和書|title=スーパー!ドラマTV 海外ドラマ:納谷悟朗インタビュー|url=https://www.superdramatv.com/alacarte/seiyuu/detail3.html|website=www.superdramatv.com|accessdate=2021-02-05|publisher=}}</ref>。
 
俳優の[[矢島正明]]は声だけで入ると己で役を肉体化する基本が抜け落ちるとし、声の仕事を目指す者に対しては「『声だけだから簡単だわい』、と思わないでほしいなということがまず第一です。声優を志すならば、やはり芝居から入ってほしいと思います」と説いている。また、後進たちに対しては「このごろの吹き替えの世界で、芝居の人たちが席巻してきているということは、声優として純粋に育ってきた人たちは何か危機感を感じなければならないと思うんですよね」とも述べている<ref>{{Cite web|和書|title=スーパー!ドラマTV 海外ドラマ:矢島正明インタビュー|url=https://www.superdramatv.com/alacarte/seiyuu/detail11.html|website=www.superdramatv.com|accessdate=2021-02-08|publisher=}}</ref>。
 
俳優の[[野沢那智]]はハリウッド映画の俳優・女優が百戦錬磨の役者である事を強調し、「だから、役者として必死に修行しないと、アテレコなんてやっちゃいけないんだと思うんだよね」と述べ、アテレコの心構えを彼らと同じだけの芝居ができるようになる事に求めている<ref>{{Cite web|和書|title=第2回 野沢那智【ふきカエルインタビュー】ふきカエル大作戦!!|url=https://www.fukikaeru.com/archives/interview_02_p3.html|website=www.fukikaeru.com|accessdate=2021-02-05}}</ref>。
 
女優の[[戸田恵子]]は自身の声優観を「役者として怠っていることがなければ、それは声優としてもOKということ。私は『声優であるために』と思ってしていることは、一つもありません」とし、役者の仕事と何ら隔たりはないと述べている<ref>{{Cite book|和書|author=声優グランプリ|authorlink=声優グランプリ|title=声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント|page=37|publisher=[[主婦の友社]]|isbn=9784074352296|date=2019-2}}</ref>。
 
声優の[[難波圭一]]は「いいですよね。ぼくは声優という小さな世界がなくなることを望んでいます」と肯定的な考えを持っている<ref>山本健翔『声優になるには』ぺりかん社、2007年、p.55</ref>。<!--一方で「俳優が『声のお仕事をした』という報告は応援できるけど、『声優をやってきました』という報告は、仕事がとられたみたいで素直に応援できない」という考えを持った声優も少なくない。--->
 
俳優などを多く起用するゲームシリーズ『[[龍が如く]]』では、ある有名俳優を起用したが事前準備もされずに収録に臨まれ、演技がなかなか上達せず[[横山昌義]]の指示で何度もリテイクが行われ、時間をかけてその場面の距離感や感情を説明して及第点といえるところまで収録できたが「同じ苦労をした別の役者に申し訳ない、妥協はしたくない」として仕方なく降板してもらったという事例もある<ref>週刊ファミ通『龍が如くシリーズ10周年記念本 龍大全』KADOKAWA、2015年、p.81-82</ref>。
 
女優の[[吉岡里帆]]は声優は完全に別職業であるとして、「今後、もし万が一『吉岡里帆の声でなくては成立しない』というような話があれば、それはとてもうれしいですし、ちゃんと勉強して挑みたいです」と述べている<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=吉岡里帆:「私のうぬぼれだった…」 声優挑戦で数々の“気づき”|url=https://mantan-web.jp/article/20170414dog00m200050000c.html|website=MANTANWEB(まんたんウェブ)|accessdate=2021-02-08|language=ja-JP}}</ref>。
 
女優の[[夏木マリ]]は声の仕事を音のテンポや高低や強弱など、いろいろなものを体をつけてやる全身運動だとする見解を示している。俳優として巡りあったことは非常にラッキーであり、「俳優さん、全員がやられたほうがいいと思うくらい、勉強になるいい仕事だと思います」と述べ、吉岡里帆にも勧めている<ref name=":0" /><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.superdramatv.com/line/whitehouse/inside.html|website=www.superdramatv.com|accessdate=2021-02-08|title=スーパー!ドラマTV 海外ドラマ:夏木マリインタビュー|publisher=}}</ref>。
 
==== 特撮番組系の俳優の声優活動 ====
[[東映]]の[[特撮]]変身ヒーロー作品、とりわけ「[[仮面ライダーシリーズ]]」の「昭和ライダー」最終作にあたる『[[仮面ライダーBLACK RX]]』および「[[スーパー戦隊シリーズ]]」では、『[[炎神戦隊ゴーオンジャー]]』に至るまで長きにわたりオールアフレコで制作されてきた。
 
いわゆる「平成ライダー」第1作にあたる『[[仮面ライダークウガ]]』<ref>[https://web.archive.org/web/20140222023652/http://career.nexsol.jp/useful/interview33_1.html BIGLOBEポータル内旧コンテンツ「お仕事DB」第33回・鈴村展弘インタビュー記事より。2014年2月8日確認](2014年2月22日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>および『[[侍戦隊シンケンジャー]]』<ref>[https://web.archive.org/web/20090225131631/http://www.toei.co.jp:80/tv/shinken/story/1188144_1569.html 侍戦隊シンケンジャー 第二幕 極付粋合体] 東映公式サイト 2014年1月9日閲覧。</ref>から、俳優が顔出しで演じるシーンは基本的に一般的なドラマと同様の撮影同時録音方式に切り替えられたものの、現在でも[[スーツアクター]]が演じる変身後のシーンなど番組制作の各所でアフレコが多用されているため、特撮番組に出演経験のある俳優は、声優としての演技経験を事実上しているとも言える。特撮番組で出演経験のある俳優がアニメなどの声あてをすることもあり、中には[[松風雅也]]、[[土田大]]、[[中田譲治]]、[[市道真央]]など、声優を本業として転向した者もいる。
 
特撮に登場する怪人など人間の姿ではないキャラクターの声には、最初から声優が起用されることもある。
 
[[曽我町子]]、[[内田直哉]]、[[西凜太朗]]、[[小川輝晃]]、[[岸祐二]]、[[菊地美香]]、[[五代高之]]、[[植村喜八郎]]、[[望月祐多]]、[[相葉裕樹]]など、特撮番組を経験した俳優には声優と両立する者が多い。
 
=== 芸人の起用 ===
お笑い芸人としては、[[ルパン三世]]の物真似から山田康雄の死去に伴いルパン役の声優をやることになった[[栗田貫一]]、『[[アイシールド21]]』(2005年〈平成17年〉〜2008年〈平成20年〉)の[[田村淳]]、『[[天体戦士サンレッド]]』(2008年〈平成20年〉)の[[山田ルイ53世]]、アニメ版『[[こちら葛飾区亀有公園前派出所]]』の[[コント赤信号]]の二人([[ラサール石井]]や[[小宮孝泰]])などが知られる。また、声優も務める[[山本高広]]などは、もともと声優を目指していた<ref>[https://number.bunshun.jp/articles/-/854638?page=1 「代アニの同期には能登麻美子さんがいました」声優再挑戦のモノマネ芸人・山本高広47歳が明かす“新人声優”時代「自分オリジナルの声がわからなくなった」]2022/09/16 11:02 Number ExBACK</ref>。[[アメリカザリガニ (お笑いコンビ)#アニメ|アメリカザリガニ]]の柳原哲也は、特徴的な声質を活かし、多くのアニメ作品で声優を務める。またこうした面々がコメディアンやお笑い芸人役で起用される例もある。
 
アニメ映画では俳優同様のゲスト出演が大半であるが、コメディアンは元々コントや漫才でさまざまな役柄を使い分けることもある。このため、俳優やタレントに比して優れた演技力を持つものが多く、違和感なくすんなり作品を楽しめることが多いという声もある。
 
声優と[[講談師]]を兼業する[[一龍斎貞友]]や[[一龍斎春水]]、六代桂文枝門下でラジオパーソナリティDJ・ナレーションを本業で声優業もこなす[[高杉’Jay’二郎]](亭号は初代三枝亭二郎)、声優芸人という肩書きで活動する、元声優のよしもと芸人[[あつひろ]]なども知られる。
 
[[金谷ヒデユキ]]も[[漫談家]]と声優を並行している。
 
=== バーチャルYouTuberの起用 ===
2010年代から[[歌い手]]のそらるが[[そらる#タイアップ|タイアップ]]でいくつか起用されているほか、2018年(平成30年)には[[バーチャルタレント]]を対象に、声優出演・アニメエンディング曲担当の権利をかけたオーディションを実施したTVアニメ『[[賢者の孫]]』ではオーディションを勝ち抜いた[[吉七味。]]が声優およびEDテーマを担当、また特別賞を受賞した[[雛乃木まや]]が声優として出演する。
 
『[[ジャヒー様はくじけない!]]』では[[動画配信者]]たちがキャスト出演や主題歌アーティストなどを務めている。
 
『[[100万の命の上に俺は立っている]]』に、[[にじさんじ]]の[[樋口楓]]と[[静凛]]が出演し、さらに樋口楓がOPテーマ「Baddest」の歌唱に起用されている。
 
『[[ルパン三世]]PART6』や『[[邪神ちゃんドロップキック]]』の3期にも[[バーチャルYouTuber]](VTuber)が声優として出演。
 
2020年(令和2年)以降、[[ホロライブ]]などに属するVTuberの声優業進出が盛んとなっている。
 
その他テレビアニメ『[[探偵はもう、死んでいる。]]』では[[白上フブキ]]と[[夏色まつり]]がそのままの役としての出演を果たしている。こうしたアニメでの活躍もアニメキャラクターがまるで実在しているかのような設定で活動しているのではなく本人役でのアニメ出演は実在のタレントが本人役として登場する形に近い。基本的にVTuberは、バーチャルタレントであるライバーの姿そのものが本人という設定である。このため存在としては実在の声優やアーティスト、YouTuberに近い。
 
図式としては、すでに[[キャラクター]]を演じているVTuberが、アニメやゲームのキャラクターを演じることになる。VTuberというバーチャルタレントには中の人と呼ばれる演者(モーションキャプチャーなどの際)と声をあてる人物がおり、声優が行っている場合もある。
 
=== AI音声の起用 ===
AI音声も2020年代には技術的により人に近い音声読み上げが実現可能になっており、上記のボイスドラマもすべてAIの音声合成技術を使用して実行する「オトシネマAI」シリーズ<ref>[https://www.audible.com/pd/AIVol1-AI-Podcast/B09VTJK84B?ipRedirectOverride=true&overrideBaseCountry=true&pf_rd_p=6fc9af9c-47b8-491a-a921-39d5d7823215&pf_rd_r=8W61XH2NTTMM8AB80915 『AI声優・ミナミの使命』~Vol.1競争~【オトシネマAI/音声合成歌】]</ref>、さらに『[[れいぞうこのつけのすけ!]]』のように、テレビアニメとして初めて全キャラクターの声をAI(コエステーション)にした作品も出現<ref>[https://coestation.jp/blog/detail.php?id=1002231 世界初の全キャラAI声優アニメが生まれた舞台裏。「これからの子供番組は、視聴者参加型の双方向であることがとても大切に」] 2021/01/06</ref>、多くの声が必要なコンテンツにAIが利用されている<ref>[https://kyouon-dairakushou.com/ai-voice-synthesis-engineer/ 声優の仕事はAIに取られるってほんと? 2020年の音声合成技術者やAI歌手の進化に驚愕!]</ref>。
 
=== 批判 ===
映画では作品の質よりも話題性を狙って芸能人・著名人などを声優に起用するということも多いため<ref>原恵一、浜野保樹・編著『アニメーション監督 原恵一』晶文社、2005年、p.48。「劇場版『クレヨンしんちゃん』の有名人のキャスティングは宣伝の一環だ」と原恵一の証言</ref>、芸能人・著名人などの声優起用に批判が出ることもある。
 
[[2007年]]公開のアニメ映画『[[ザ・シンプソンズ MOVIE]]』や[[2012年]](平成24年)公開の映画『[[アベンジャーズ (2012年の映画)|アベンジャーズ]]』などで、これまでのシリーズで日本語吹き替えを担当していた声優を、新作映画で俳優・タレントに交代する事態が発生しており、企業への批判が殺到した。『ザ・シンプソンズ MOVIE』『[[TAXi④]]』『[[エクリプス/トワイライト・サーガ]]』ではソフト化に伴い、劇場公開版に加え、もともと担当していた声優陣による新たな吹き替え版が同時収録された。しかし、ソフト化の際に劇場公開版のみが収録される作品が大半である。特に『アベンジャーズ』ではキャスティングの変更などに対する批判のコメントが[[Amazon.co.jp]]の本作品のレビュー欄に殺到する事態となった<ref>[https://www.cinematoday.jp/news/N0048516 批判殺到でコメント欄の炎上も!タレントの日本語吹き替え版起用に映画ファンの怒り爆発!(シネマトゥデイ)]</ref>。[[2012年]](平成24年)公開の映画『[[プロメテウス (映画)|プロメテウス]]』の主人公エリザベス・ショウ役の吹き替えにタレントの[[剛力彩芽]]が起用された際、ソフト化に際して変更もなかったため『[[エイリアン (映画)|エイリアン]]』シリーズのファンなどから酷評され、Amazon.co.jpのレビューが炎上した<ref>[https://news.livedoor.com/article/detail/7113955/ 映画『プロメテウス』声優にタレント剛力彩芽を起用して強い批判の声 / ファン「メーカーは正気なのでしょうか?」] ロケットニュース24、2015年3月17日閲覧。</ref>。
 
劇場公開版では芸能人や芸人が吹き替えを担当した作品のうち、『[[じゃりン子チエ]]』のように、テレビアニメ化の際に一部キャストは声優に変更しているものや、『[[ターミネーター3]]』や『[[サイレントヒル: リベレーション3D]]』のように、ソフト版では声優に差し替えて収録する場合もある。また、『[[X-MEN:フューチャー&パスト]]』のように、新規バージョンをソフト化する際に収録し直す例もある。
 
[[2004年]](平成16年)公開のアニメ映画『[[イノセンス]]』では、プロデューサーの[[鈴木敏夫]]が大物俳優の起用を立案し、草薙素子役を[[田中敦子 (声優)|田中敦子]]から[[山口智子]]に変更しようとしていたが、スケジュールの都合に加えて「できあがっているイメージを変えるべきではない」と出演を固辞した山口と、監督や声優陣の反対により田中が続投したということがあった。
 
[[オリコン|オリコンスタイル]]で「タレント(芸能人や著名人など)を声優に起用するべきか、それともしないべきか」というアンケート調査を[[2014年]](平成26年)に行ったところ、ほぼ半々に意見が分かれた<ref>[https://www.oricon.co.jp/special/1372/2/ タレントの声優起用、ほぼ半々に意見が割れる] [[オリコン|ORICON STYLE]] 2022年6月10日閲覧。</ref>。
 
2020年(令和2年)に大ヒットを記録した『[[劇場版 鬼滅の刃 無限列車編]]』では、新登場したキャラクターも含め全員を声優で固めており、タレントを起用せずともヒットすることを示した<ref>[https://www.oricon.co.jp/special/55459/ 『鬼滅の刃』ヒット契機に“声優起用”の原点回帰が加速、花江夏樹がハブ的役割に] - [[ORICON NEWS]]</ref>。
 
== 声優による他分野での活動 ==
=== 芸能活動 ===
2000年代以後、声優が歌手や俳優(特に舞台)など、ほかの分野での芸能活動をすることが特に顕著になった。
 
声優がほかの分野での芸能活動をする例のひとつとして、俳優活動が挙げられる。理由として「声優さんには『ああ、あの声の人だ』という知名度ならぬ『知声度』があるので、仮に顔がいまいちわからなくても、『声』がわかったときの感動や話題性があるから」が挙げられる<ref>{{Cite web|和書|publisher=オリコン|url=https://www.oricon.co.jp/special/49140/|title=声優出身者が俳優業で活躍 そもそも声優のポジションとは?|accessdate=2018-04-30}}こうした心理を利用したものでは、過去には『[[笑っていいとも!]]』で1990年代に声優が出演してどのキャラクターを担当していたのかを当てるコーナー『ザックリいきまショー』などがあった。</ref>。
 
ただし、キャラクターと声優の間に相関性を構築し、その結びつけをする役割を果たす媒介として、これまでは声が最も大きな役割を果たしてきたが、2007年(平成19年)の[[ブシロード]]など、後にメディアミックスを展開する企業も設立されて以降はさらに進んで、アニメやコンピュータゲーム作品そのもの単体で行われるのではなく、作品に関わるイベント出演(顔出し)やラジオなどの要素も色々用いて結びつけが行なわれていく。アニメの視聴者はキャラクターの声を演じる声優であるという認識をしていることが前提となることで、以降から声優とキャラクターを結びつける要素は声だけではなく、視覚的要素と特定の声優個人についての認識に依るものになっている<ref group="注">テレビアニメ『[[化物語]]』(2009年)ではオープニングでアニメ版と実写版を用意し、実写版ではアニメ・キャラクターの声をあてる声優(堀江由衣)が実写映像でキャラクターを演じ、それぞれを対比して見られるよう意図した演出がなされているが、実写版と敢えてテロップに示されることで、全容がはじめて理解できる演出になっている{{harv|内藤(2017)}}。テレビアニメ『夢色パティシエール』(2019年 - 2020年)では、声優が番組の最後にコーナーを設け顔出しをしていた。</ref>。
 
他方、俳優活動の中でも、舞台での活動と両立する声優が少なくないが、理由として「舞台はやり直しができず、実際にその芝居や息づかいが観客に見られていることで、それが声の芝居に生きるから」などが挙げられている<ref group="注">一例として、『声優バイブル2016』22頁-29頁(入野自由のインタビューページ)、『声優バイブル2017』18頁-25頁(関智一のインタビューページ)など。</ref>。
 
田中真弓は現在も舞台を手がけており、[[てらそままさき]]も俳優活動と並行して特撮キャラクターのアテレコを行っていたほか、中田譲司も元々俳優業に力を入れていた。
 
また、声優が歌手などの活動と両立させる例が、特に2000年代以後に顕著になっているが、これについては下記の節にて述べる。
 
[[2014年]](平成26年)には[[オスカープロモーション]]と[[青二プロダクション]]が共同で開催した容姿と声の2つの要素に ""「美しさ」を兼ね備えた[[俳優#性別での分類|女優]]・声優を発掘する"" 「第1回全日本美声女コンテスト」が開催された。おもな出身者に[[漫画家]]、[[アイドル]]として活動する[[辻美優]]、[[花房里枝]]に[[ピアニスト]]、[[ファッションモデル]]などの活動をする[[入江麻衣子]]が挙げられる。
 
[[栗林みな実]]、[[桃井はるこ]]、[[牧野由依]]など、他の声優に楽曲を提供する[[ソングライター]]をしている例、[[白壁爽子]]、[[伊藤しずな]]はグラビアアイドル活動と、[[榊原ゆい]]や[[能登有沙]]は[[振付師]]、[[モーションアクター]]としても活躍している。
 
この他、[[野村道子]]、豊崎愛生や[[斉藤朱夏]]などが務めた、朝の情報番組での[[お天気お姉さん]]というのもある。
 
また声優は[[#ナレーション・アナウンス]]にあるとおりCMの仕事も従来は当然ながら「声」を使ったものが主であったが、演者としての顔出し出演や[[白井悠介]]のようにダンスをするキャストとして起用されるなどの場合もある。
 
お笑い方面へは、声優としてデビューした後芸人に転向しつつ声優活動もこなす、[[こやまきみこ]](お笑い芸人としてネタ見せをする際には「きみきみ」名義)の例があった。[[吉本総合芸能学院|NSC]]に入学し、2010年(平成22年)には吉本興業に移籍するなどで2011年(平成23年)まで芸人活動を行なっていた。また六代目三遊亭円楽を父に持ち、[[落語家]]活動も行っているが青二プロに所属し声優業をする[[会一太郎]](高座名は三遊亭一太郎)もおり、塩屋翼や木村昴も噺家の高座名を持っている。
 
声優もSNS活動の他、YouTuber活動として専用チャンネルを開設し配信を行っているものも幾人かある。例えば花江夏樹や[[杉田智和]]のチャンネルは登録者数も数百万人を超えているほど人気を博す。
 
歌手などの活動と両立させる声優について、「アイドル声優」あるいは「声優アーティスト」と表現する例が多い。
 
=== アイドル声優 ===
'''アイドル声優'''とは、第3次声優ブームと称されていた[[1990年代]]半ばごろから出てきた俗称。このころには'''ボイスアイドル'''とも呼ばれた<ref>「声優業界の明日はどこにあるのか?」『流行批評SPECIAL EDITION オタクになれないアニメ好きの本』キルタイムコミュニケーション、1997年、114頁。</ref>。
 
本業にとどまらず、歌を通してそのCDを発売、ライブを開催するなど歌手活動をする、声優専門誌や漫画雑誌などのグラビアに登場する、写真集やイメージビデオを発売しCMに出演する(これはいわゆる「Web CM」を含む)プロモーションビデオを制作するなどといった[[アイドル]]的活動を行う声優を指すことが多い。
 
戦前に遡るとラジオドラマで活躍した飯島綾子も流行歌・童謡などレコードを何枚か出していて、[[日本舞踊]]家でもあった。その後の[[横山智佐]]、[[氷上恭子]]、[[國府田マリ子]]、宮村優子など、1990年代にデビューしそうした活動を行う声優らも、その多くは前述の声優養成所で養成された声優が、それ以前にアイドルとしての活動経験/アイドルからの転身組などではない。しかし、こうした声優がマス・メディアに広く露出をしたことによって、1990年代の声優人気の受容は、それ以前の受容とは異なる状況を呈したが、特にこの時期から養成所を出たばかりの新人声優の報酬を安定させることを目的のひとつに声優の活動するメディアの拡大が計られ、その商業的な戦略のひとつとして様々な媒体を介した声優の顔出しがはじまったものとも推測されている<ref name=naito/>。『[[ボイスニュータイプ|VOICE Newtype]]』誌の吉本隆彦は、声優はキャラクターに声を吹き込むほかにキャラクターソングを歌うことになれば作品の顔となっており、必然的に声優も注目されうるが、こうした状況下でアイドル声優は90年代後半から2000年代にかけて[[流行|ブーム]]という状態を経て、ひとつの[[ジャンル]]として確立されたとし、それは当時からオリコンチャート上位にもランクインする音楽シーンをみても明らかとしている。そしてこのことが時代のニーズに応えているとし、加えて何万人もの聴衆を魅了できるのも、キャラクターに声を吹き込む声優はエンターテナーとしての資質と、アーティストとしてのポテンシャルが高いためであるとしている。もとのブームからの傾向としては女性声優が台頭したが、流れで男性声優も女性ファンの心もつかんでいき人気になっていったとしている<ref>[https://www.j-cast.com/2009/12/06055472.html 水樹奈々、平野綾… 声優は今やアイドルだ] 2009年12月06日18時00分 J-CASTニュース</ref>。
 
2010年代半ば以後には宮野真守、平野綾、内田真礼<ref>{{Cite web|和書|publisher=ねとらば|url=https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3262998/|title=声優・内田真礼がイケメンとイチャつく三菱地所レジデンスの新CMに反響 「なんだこの神CM」「めちゃめちゃ可愛い」|accessdate=2018-04-30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|publisher=まんたんウェブ|url=https://mantan-web.jp/article/20150415dog00m200053000c.html|title=内田真礼:ヤングジャンプの巻頭グラビアに|accessdate=2018-04-30}}</ref>、戸松遥<ref>{{Cite web|和書|publisher=エキサイトニュース|url=https://www.excite.co.jp/news/article/Narinari_20140905_27796/|title=声優の戸松遥が実写CMデビュー、9月5日オンエアのフルタ製菓CMで。|accessdate=2019-06-21}}</ref><ref>{{Cite web|和書|publisher=まんたんウェブ|url=https://gravure.mantan-web.jp/article/20170201dog00m200030000c.html|title=戸松遥:人気声優が「ヤンジャン」グラビア登場 ビキニや大胆な姿も|accessdate=2019-06-21}}</ref>、[[三森すずこ]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=シオノギヘルスケア|url=http://www.shionogi-hc.co.jp/pylon-pl-karyu/|title=パイロンPL顆粒サイト | シオノギヘルスケア|accessdate=2018-09-16}}</ref><ref>{{Cite web|和書|publisher=光文社|url=https://www.kobunsha.com/shelf/magazine/past?magazinenumberid=3105|title=FLASH増刊|雑誌|光文社|accessdate=2018-09-16}}</ref>、[[逢田梨香子]]<ref>{{Cite web|和書|publisher=まんたんウェブ|url=https://mantan-web.jp/article/20180924dog00m200012000c.html|title=逢田梨香子:人気声優が「柿の種」CMに出演 部屋着で生足披露「止まらん~!」|accessdate=2019-06-21}}</ref><ref>{{Cite web|和書|publisher=まんたんウェブ|url=https://gravure.mantan-web.jp/article/20180328dog00m200034000c.html|title=逢田梨香子:“声優界最高の美女”が再び「ヤンジャン」表紙に はじける素肌!|accessdate=2018-04-30}}</ref>、斉藤朱夏<ref>{{Cite web|和書|publisher=まんたんウェブ|url=https://gravure.mantan-web.jp/article/20170816dog00m200018000c.html|title=斉藤朱夏:「ラブライブ!サンシャイン!!」声優が「ヤンジャン」グラビアに|accessdate=2018-04-30}}</ref>、小倉唯などのように、マニア向けでない一般の漫画雑誌などでのグラビアに登場する、アイドルのような立ち位置で顔出しでCMに出演する例やバラエティ番組やクイズ番組のゲストとして出演する例が増加するようになっている。
 
さらには、アイドル主体のアニメ・ゲーム作品における担当アイドル(キャラクター。つまりアイドル役)を、そのまま実際のライブで再現する声優ユニットも登場し、専業のアイドルと比べても遜色のない例も存在する。例えば『[[きらりん☆レボリューション]]』の[[月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)]]、[[アイドルマスターシリーズ]](『[[THE IDOLM@STER]]』・『[[アイドルマスター シンデレラガールズ]]』・『[[アイドルマスター ミリオンライブ!]]』・『[[アイドルマスター SideM]]』)、[[ラブライブ!シリーズ]]の[[μ's]]・[[Aqours]]、[[Wake Up, Girls!]]、[[プリパラ]]の[[i☆Ris]]などがある。
 
特に「ラブライブ!」シリーズのキャストは歌唱力やダンス力を重視したオーディションにより、それまで声優経験が皆無であった(女優などの他業種出身のメンバーに加えて、芸能界での活動経験自体がなかったメンバーもいる。[[楠田亜衣奈]]、[[降幡愛]]などがこれに該当)起用者も多くいる。
 
実際、i☆Ris、Wake Up, Girls!のほかに[[22/7 (アイドルグループ)|22/7]]などのように、「声優とアイドルの両立を謳うグループ」が増加するようになっている<ref name="seiyuartist2018a">{{Cite web|和書|publisher=Real Sound|url=https://realsound.jp/2017/10/post-116776.html|title=アイドルの声優活動なぜ増加? 2つのシーンに起こった変化を読む|accessdate=2018-04-28}}</ref><ref name="unit">他にも例として[[こえたま]]、[[ナナカナ]]、[[ゆいかおり]]、[[S-nery]]、[[とぅいんくるガールズ]]+ちえみん先生、[[KiraKira☆メロディ学園]]、[[知多みるく#知多娘。(キャラクターユニット)|知多娘。]]、[[Pastel&Vivid]]、[[サンドリオン]]、[[Baby POP School]]、[[backdrops]]
声優ガールズバンド「[[LAMUSE]]」、[[ミステリー・ガールズ・プロジェクト]]など、多数</ref>。上智大学のミスコン優勝の[[鳥部万里子]]<ref>{{Cite web|和書|title=第28回 鳥部 万里子 さん|url=https://seigura.com/senior/2929/|website=seigura.com|accessdate=2021-09-27|language=ja}}</ref>、[[ミス日本]]コンテスト2020・ミス着物に選ばれた青木胡杜音<ref>{{Cite web|和書|title=ミス日本コンテスト2020・ミス着物に青木 胡杜音さん 声優を目指す19歳 {{!}} ニュース {{!}} Deview-デビュー|url=https://deview.co.jp/News?am_article_id=2153758|website=Deview|accessdate=2021-09-27}}</ref>など、容姿に自身のある人物が声優を目指す例も増えた。
 
==== アイドル声優への批判 ====
[[浅川悠]]が自身のブログで、アイドル化が進んでいるとも言われる声優界に苦言を呈し、関連して[[桑島法子]]は「アイドル声優は旬を過ぎたら使ってもらえなくなる」と述べている<ref name="seiyuartist2018b">{{Cite web|和書|publisher=おたぽる|url=https://web.archive.org/web/20190419192521/https://otapol.com/2016/07/post-7316.html|title=浅川悠がアイドル化の進む声優界に苦言 業界が「人気のあるカワイコちゃん」を求めた結果、新人声優は……|accessdate=2018-04-30}}</ref>など、演技とは関係の無い評価基準に疑問を呈す業界人も存在する。実際、1990年代から2000年代にかけての[[椎名へきる]]は歌手としての活動で人気を博し、相当数のコンサート公演を全国を巡業していたが、アフレコや吹き替えの仕事から遠ざける要因となり、アニメのレギュラー出演は年間で数本に過ぎない状況で、同業の職業声優を含むアニメ制作者の間でも声優として異端視されていたことが知られる{{R|"naito"}}。[[花守ゆみり]]などはインタビューで自身についてアイドル声優に見られたくないと述べている<ref>『日経エンタテインメント! アニメSpecial 声優バイブル2020』 (日経BPムック、2019年)</ref>。[[浅野真澄]]がパーソナリティを務めた「[[低俗霊DAYDREAM 深小姫のMIDNIGHT DREAM]]」ではしばしばアイドル声優に対する批判がなされていた。専門学校などでもそうしたアイドルを育成する的なニュアンスも押し出して生徒集めをしているところが少なからずみうけられるが、第一線で活躍している実際のアイドルたちは天分に恵まれた上で競争にももまれ、トレーニングを重ねており、こうしたアイドルたちと、学校に通ったくらいでの自分とライバルというのは、あまりにおこがましいと指摘されている<ref>岩田光央 [https://president.jp/articles/-/28528?page=1 アイドルと「アイドル声優」の決定的違い]</ref>。
 
一方で、[[やまとなでしこ (声優ユニット)|やまとなでしこ]]結成時のインタビューで[[堀江由衣]]は声優になってからアイドル的な仕事があって驚いたというが、アイドルについてはその人自身に魅力があるわけで見てるだけで楽しくなれる、元気になれる存在とし、「それを悪く言うのって、変だと思う。見る人の心を潤すための仕事をしていて、そうならない方が困るんじゃないかな」と見解を述べている<ref>「hm3」第9号</ref>。芹澤優のように声優であることにもアイドルであることにもプライドを持ち、両立していると自認している者もおり<ref>[https://web.archive.org/web/20211102151354/https://www.asahi.com/and/article/20181204/201601/ 芹澤優「テンプレート的な芝居しか考えていなかった」 デビューから数年続いた苦悩]</ref>、[[中川亜紀子]]もデビュー当初アイドル的な売り方がなされており、彼女はこの事にはなにかと批判的であったが、「今となっては『なんて贅沢なことを!』と思いますけど」と当時を振り返っている。
 
=== 声優アーティスト ===
'''声優アーティスト'''とは、上記のアイドル声優に代わって[[2000年代]]半ばごろから出てきた俗称であり、おもに声優業と歌手業を両立させている声優を指すことが多い<ref name="oricon20150208" />。
 
この名称は椎名へきるが1994年(平成6年)のラジオ番組の開始にあたって、「アーティストと声優をしている」と自己紹介をしている点や、彼女の出身養成機関の広告フレーズからうかがい知れ、マネージメントをする者を含む制作者の影響が強く表れている<ref name=naito>{{harvnb|内藤(2017)}}</ref>。
 
近年では歌手としての独立した活動までには至らずとも、アニメに出演する場合、主題歌などを担当したり<ref group="注">作品限定の声優ユニット活動を行うこともある。</ref>、各種関連番組([[アニラジ]]、[[ニコニコ生放送]]など)やイベントへの出演など、タレント活動を求められる例が一般的になっている<ref name="excite_review">[https://www.excite.co.jp/news/article/E1431274079675/ 「新人で歌やイベントがNGなら仕事が難しい」変わりゆく声優の現状をプロが真剣討論] エキサイトレビュー 2015年5月11日、同9月22日閲覧。</ref>。
 
[[TARAKO]]、坂本真綾、[[MoeMi]]のように並行して[[シンガーソングライター]]として活動する者もおり、近年は[[沼倉愛美]]、[[鈴木みのり (声優)|鈴木みのり]]、[[早見沙織]]、楠木ともり、[[小岩井ことり]]、雨宮天ら自身の手による楽曲の作詞作曲を手掛ける声優アーティストも多くなった。[[小野友樹]]のミニアルバム「Winter Voice Friends」では自身の声優仲間らの楽曲提供により構成されている。
 
『BanG Dream!』プロジェクトのバンドユニットのように、劇中で声を担当したキャラクターの音楽バンドを、実際においてもバンド活動を行うといったケースがあり、[[大塚紗英]]のようにシンガーソングライター活動がメインになっている者もいる。他にも女子高生ロックバンド漫画『[[ガールズフィスト!!!!]]』に登場するキャラクター4人と連動するかたちで活動中の、若手女性声優のロックバンドの[[南松本高校パンクロック同好会]]、会える声優ガールズロックバンドの[[HoneysComin']]などがある。
 
[[ヒーラーガールズ]]のようなコーラスユニットと謳ったグループもある。
 
「アイドル声優」「声優アーティスト」のいずれの場合も、女性声優に特に多いといわれる。声優の男女比率の反映に加えて{{efn2|「主婦の友インフェス」より発行されている「声優グランプリ」の付録『声優名鑑』2018年度版に掲載されている「声優」の人数は女性800名、男性571名となっており、2021年の「声優名鑑 女性編」の掲載人数は前年の907人から955人、「声優名鑑 男性編」は前年の595人から今年は600人超となる。男女比は女:男で6:4。}}女性声優が数人在籍するアイドルユニットや声優アーティストユニット自体生み出される数が男性のそれより非常に多い<ref name=unit/>。さらに演じる女性声優も多数出演する[[タレントゲーム]]、[[恋愛シミュレーションゲーム]]が非常に多く発売され、こうしたゲーム出演で多数の女性声優が歌手デビューやアイドル声優化する傾向も続いている。
 
「アイドル声優」「声優アーティスト」のいずれであれ、声優の顔出しでの活動が増えた理由として、声優の社会的地位の向上のほかに、声優の役割やイメージの変化(「裏方的な仕事」とされてきたのが「ルックスや若さが重視される」ように変化した)が背景としてあると指摘されている<ref name="oricon20150208" /><ref name="seiyuartist2018b" />。
 
=== 上記以外の他分野活動 ===
声優も、現役で声優をしながら一方で芸能活動ではない他の仕事を持つ者もしばしばみられる。例として、養成所で講師をつとめたり、事務所/[[#声優プロダクション]]を経営している者、音響監督などもしている声優は多い。
 
他には、以下のようなケースがある。
 
;看護師・保育士
:[[看護師]]から声優となった者に[[長妻樹里]]や[[ひと美]]がいるが、[[荒川美穂]]、[[大浦冬華]]はある時期まで看護師をしながら声優をしていた。林原めぐみも当初看護師も兼任していた。そして[[桜木つぐみ]]は現役看護師でもある。
:声優になる前銀行員であった[[服巻浩司]]はその後保育士と声優を兼業している。
 
;出版・執筆
:[[小森まなみ]]は童話作家としても活動、浅野真澄や[[丹下桜]]は[[絵本]]なども刊行し、浅野は文学賞を受賞している。[[徳井青空]]も絵本を刊行しているがそれだけでなく声優業をこなす傍らまんがの連載を抱え、そのまんがは後にアニメ化されている。
:[[浅沼晋太郎]]は元々俳優のほかに[[脚本家]]、演出家やデザイナーやコピーライターを兼務していた。
 
;経営
:[[白壁爽子]]はIT企業代表、[[神原大地]]はコンテンツ会社の社長業、[[西川幾雄]]はタコ焼き屋、[[柴田秀勝]]は会員制バー経営、[[中尾隆聖]]は新宿でスナックを経営してもいる。[[たてかべ和也]]は所属事務所のマネージャー兼常務取締役を兼ねていた。
 
;スポーツ
:[[プロボウラー]]と兼任する[[渡辺けあき]]や、「VART」という自動車レースチームを結成した[[三木眞一郎]]、浪川大輔、[[石川界人]]、[[畠中祐]]らがいる。
 
;異国語・方言の指導
 
:ロシア人声優[[ジェーニャ (声優)|ジェーニャ]]は[[ロシア人]]であるため、アニメ作品で[[ロシア語]]指導やロシア語監修を平行して行うなどが知られる。こうした活動はジェーニャの他にも[[酒井玲]]([[スペイン語]]指導)、[[駒田航]](『[[オーシャンズ8]]』での[[ドイツ語]]指導)、[[サッシャ]](『[[風立ちぬ (2013年の映画)|風立ちぬ]]』 (2013年) でのドイツ語指導)らが、外国語指導を施したことがある。
:一方で、声優も日本各地にある[[方言]]の指導を、自身が出演した作品はもちろんのこと、声を出して行う職業として指導を行っている場合もあり、[[中村章吾#方言指導|中村章吾]](主に鹿児島弁)、[[岐部公好]](大阪弁)、[[大方斐紗子]](福島弁)、[[下川江那]](柳川弁や久留米弁)、[[井上祐子 (女優)|井上祐子]](小倉弁)、[[橋本信明#方言指導|橋本信明]](名古屋弁)、[[麦穂あんな]](『[[ルートレター]]』での出雲弁)、[[ユリン千晶]](広島弁)、[[有川知江#方言指導|有川知江]](北海道)、儀武ゆう子(沖縄)、島本須美([[土佐弁]])、[[いのくちゆか]]([[博多弁]])、[[宝亀克寿]](映画『[[坂道のアポロン]]』での佐世保弁<ref>[https://kuroshimakanko.com/index.php/view/117 坂道のアポロンの方言指導は『ONE PIECE』の] 黒島観光協会</ref>)などが知られる。
 
;その他
:[[大亀あすか]]、[[伊達朱里紗]]や[[吉倉万里]]はプロ[[雀士]]でもあり、[[小杉十郎太]]は『[[Zガンダム]]』時代、[[松竹]]で営業を担当するサラリーマン勤めをしており、また[[岩田光央]]は『[[AKIRA]]』時代にデザイン事務所で当時働いていて、兼業で声優をしていた。[[諏訪部順一]]も当初は会社了承のもと正社員として働きながら声の仕事をしていた。[[川上莉央]]はOLと兼業。[[竹内良太]]は派遣社員と二足のわらじで声優活動を行っていた。[[白石稔]]は声優とアニソンDJを兼務している。
 
== ギネス世界記録を保持する声優 ==
 
=== 存命中のギネス記録保持者 ===
[[日本俳優連合]]に所属する声優のうち、現在[[3]]名のみ[[ギネス世界記録]]を保持している人物がいる。
 
*[[野沢雅子]]・・・[[2017年]][[2月9日]]、『[[ドラゴンボール]]』シリーズにて「ひとつのビデオゲームのキャラクターを最も長い期間演じた声優」と「ビデオゲームの声優として活動した期間の長さ」で受賞<ref>{{Cite web |url=https://mantan-web.jp/article/20170131dog00m200021000c.html |title=野沢雅子:「ドラゴンボール」でギネス認定 「あと100年は続けるから、よろしくな!」 |access-date=2024年4月12日}}</ref>。
 
*[[松岡禎丞]]・・・[[2019年]][[6月3日]]、テレビアニメ『[[ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか]]』のゲームアプリ『[[ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 〜メモリア・フレーゼ〜]]』に提供した、通常のTVアニメ2クール分の全ての台詞数に相当する「1万175 ワード」が、「一人の声優により[[モバイルゲーム]]に提供されたセリフの最多数」を記録したとして主人公ベル・クラネル役で受賞している<ref>{{Cite web |url=https://gamebiz.jp/news/241074 |title=【イベント】『ダンメモ』がギネス世界記録(TM)に認定! 「一人の声優によりモバイルゲームに提供されたセリフの最多数」で松岡禎丞さんが受賞! |access-date=2024年4月7日 |publisher=gamebiz|}}</ref>。
 
*[[加藤みどり]]・・・[[2019年]][[11月17日]]、『[[サザエさん]]』で貴家堂子と共に「最も長くテレビアニメシリーズにおいて同じ役を演じ続ける声優」として受賞<ref>{{Cite web |url=https://www.oricon.co.jp/news/2148856/full/ |title=『サザエさん』がギネス記録更新 サザエ役の加藤みどりが喜び「声優として成長できた」 |access-date=2024年4月12日}}</ref>。
 
=== 逝去されたギネス記録保持者 ===
*[[貴家堂子]]・・・2019年11月17日、加藤みどりと同じく『[[サザエさん]]』で「最も長くテレビアニメシリーズにおいて同じ役を演じ続ける声優」として受賞<ref>{{Cite web |url=https://news.ntv.co.jp/category/culture/8a266d4ff836487eb1ea3f09b8d932e7 |title=タラちゃん役・貴家堂子さん死去 ギネス世界記録にも認定 最後まで現役を全う |access-date=2024年4月12日}}</ref>(なお、貴家逝去後も加藤が出演継続しているため加藤の出演が貴家より多いことになるが、記録の更新は行われていない)。
 
=== その他 ===
* 『[[映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ]]』は、アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数が、「Most magical warriors in an anime film」として、ギネス世界記録に認定されている(認定日は2018年10月27日)。この映画には、歴代のプリキュア55人が登場し<ref>[https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201810270000356.html 映画プリキュアがギネス認定 最も多いマジカル戦士]</ref>、演じた声優らに認定証が届けられている<ref>[https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1541744058 画『HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』出演声優陣たちが“名前入りのギネス認定証”に大興奮!【ツイートまとめ】]</ref>。
 
== 声優プロダクション ==
声優が所属するプロダクションには通常の[[芸能プロダクション]]の声優部門の他に、声優が多く所属する[[声優プロダクション]]とがある。
 
声優プロダクションは、声優から手数料を徴収し、音響制作会社や放送局などに対して、アニメ・日本語吹替・ナレーションなど得意分野ごとに配置されたマネージャーが営業活動や声優の売り込みなどを行う。専門の養成所を持ったり専門学校と提携して新人の育成も行う。
 
もともと制作会社の関連会社に位置していて連携の強いプロダクションが存在し、特に2000年代は特に新たに創業される例が見られた<ref group="注">[[エイベックス・プランニング&デベロップメント]](旧アクシヴ。声優プロダクションとしては縮小化したのち、グループ再編で[[エイベックス・ピクチャーズ]]の1部門となった)、[[KADOKAWA]]系[[プロダクション・エース]]、[[アニプレックス]]系[[ボイスアンドハート]](廃業の後、アニプレックスから独立)、[[ドワンゴアーティストプロダクション]](ドワンゴ プランニング アンド ディベロップメント。現在の[[MAGES.]]となる[[AG-ONE]]へ会社統合の後、廃業)など。</ref>が、2010年代以降は制作会社の一部門として直営され、より連携が強固なプロダクションも存在する<ref group="注">MAGES.-[[アミュレート]](ドワンゴアーティストプロダクションの事実上承継先)、[[学研プラス]]-office EN-JIN(2019年に所属者が居なくなり事実上の事業終了)、[[エイベックス・ピクチャーズ]](エイベックス・プランニング&デベロップメントから一部受け入れ)、[[ポニーキャニオン]]-スワロウ、[[ブシロード]]系の制作子会社<!--度々運営会社が移管されている為ここには記載しない-->による[[響 (芸能プロダクション)|響]]。</ref>。特定の制作会社との連携が強くとも、ほかの制作会社が手がける仕事も請ける。また、もともと音楽系のプロダクションでも声優のマネージメントを行う例が近年あり<ref group="注">[[ミュージックレイン]]、[[S (音楽・芸能プロダクション)|株式会社S]]、ポニーキャニオンアーティスツ(現在は取扱なし。声優・アニメ関連を社内別組織マネージメント組織「スワロウ」へ分割した後、2019年7月より親会社のレコード会社ポニーキャニオンに統合)。</ref>、この場合は本業を生かして歌手活動も積極的に行われることが多い<ref group="注">『声優兼アーティスト』枠で所属オーディションを開催するなどしている。</ref><ref group="注">歌手志望者を声優として(も)デビューさせる例があり、株式会社S(現在はディファレンスに移籍)の[[新田恵海]]のように、歌手志望として所属オーディションに合格するも事務所の方針で最初は声優としてデビューし、合格から5年半を経て歌手デビューを果たすという例もあり、また、ポニーキャニオンアーティスツ(現スワロウ)の[[遠藤ゆりか]](2018年6月、芸能活動引退)のように、歌手デビュー後に声優としてもデビューするという例もある。</ref>。他分野中心の芸能プロダクションが声優部門に力を入れるようになる例も見られる<ref group="注">一例として、[[ホリプロ]](現在は関連会社のホリプロインターナショナルに移管)、[[ソニー・ミュージックアーティスツ]]、[[スペースクラフト]]など。</ref>。
 
声優界は「『芸能界で最も古い体質』を今も残している」として当該業界への批判が相次いでいる問題もあり、その一部としては[[プロデューサー]]など役職の地位が高い人物からの[[セクハラ]]を代表とする[[ハラスメント]]行為が横行しているという点が挙げられ<ref>{{Cite news|url=https://toyokeizai.net/articles/-/673455|title=「声優」はセクハラが「日常」という深すぎる闇 配役の権限を持つ側が「やりたい放題」できる。|newspaper=[[東洋経済新報社|東洋経済ONLINE]]|date=2023-05-26|accessdate=2023-05-31}}</ref><ref>[https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2022/026168_2.html ベテランになるほど仕事が減る?声優界のギャラ&ハラスメント事情 ...] 2022/06/15 テレ東プラス人生劇場+</ref><ref>[https://nikkan-spa.jp/1629262 声優業界はセクハラの温床?「声を聞きたいから家に行かせて」と言われ…] 2019年12月16日 日刊SPA! [https://subculwalker.com/archives/50381/ 声優「榎本温子」さんが声優業界のセクハラ・パワハラについて語る] 2018年4月8日 Subcul Walker , ■ 榎本温子[https://www.ota-suke.jp/news/215569 「知ってる範囲の声優業界」のセクハラとパワハラを語る] その一方で「声優業界は芸能界でもかーーーーなーーーーーりーーーーーークリーン」とも語る。</ref>、過去には実際に関係事件で[[逮捕]]される事件も起きている<ref>[https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/seiyu-harassment 「仕事ほしいんでしょ」「何もしないからホテル行こう」 女性声優が語るセクハラの実態] by Saori Ibuki 伊吹早織 BuzzFeed News Reporter, Japan </ref><ref>[https://mikke.g-search.or.jp/QTKW/2023/20230527/QTKW20230527TKW022.html 【特集 アニメ 熱狂のカラクリ】part1 熱狂!アニメマネーの全貌 ] セクハラは依然「日常」 声優たちの過酷な境遇] 週刊東洋経済 第7115号 2023.5.27</ref>。
 
また、[[製作委員会方式]]によるアニメ番組の増加により、同方式による多重下請け構造により、声優などのサプライチェーンの末端にまで報酬が届くのに長期の時間を要している。取引先からアニメ制作会社への支払いがあるまで、声優に対して報酬を出さないケースもあり、その結果として、声優プロダクションの廃業を余儀なくされた事例もあるとしている<ref name=":7">{{Cite web |title=アニメ産業崩壊リスクに国連も警鐘-低賃金や長時間労働の是正急務 |url=https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-13/SQXXI3T0G1KW00 |website=Bloomberg.com |date=2025-02-14 |access-date=2025-02-15 |author=横山桃花、望月崇}}</ref>。
 
== 経済環境 ==
声優は所属事務所からの基本給というものは存在せず<ref group="注">例外的に、[[ホリプロ]]のような月給制を基本としている事務所もある。</ref>、各人の仕事実績によるギャランティ([[報酬|報酬金]])が収入となる[[個人事業主|個人事業者]]である。所属事務所とは通常1年更新のマネジメント契約を締結し、売込みやマネジメントの対価として業界平均で出演料の約20%から30%を事務手数料として事務所へ支払い<ref>{{Cite web|和書|url=https://bizspa.jp/post-701912/|title=「5%に仕事が集中」現役声優が明かす、コロナで顕在化した業界の懐事情|accessdate=2022-11-16|publisher=bizSPA!フレッシュ}}</ref>、[[源泉徴収]]も10%<ref group="注">平成25年度以降の25年間は復興特別所得税が加算されるため、10.21%となる [https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm]。</ref>引かれ<ref group="注">ただし、年収が少ないため結果的に源泉徴収税を納めすぎとなっているという者は、翌年の確定申告で還付を受けることができる。</ref>、この残りが声優の手取りの報酬となる{{Sfn|野村道子|2009|p=148-149}}。歌手や俳優などと同じくシステムの競争社会であり、経済的に自立できずに脱落していく者も多い。
 
1956年、ラジオ声優のマネジメントを行っていたプレーヤーズ・センターの事務員が所属する声優のギャラを横領してキャバレー代につぎ込んでいたことが発覚。横領額は20万円程度であったが、当時のラジオ声優のギャラは最高1万円、最低600円の時代であり、大きく報道された<ref name="真相">{{Cite journal|和書|date = 1956|title =ガヤ族の生態|journal = 真相|volume = 11月号|pages = 16 - 17|publisher = [[真相社]]}}</ref>。
 
日本語吹き替えが始まった[[1960年代]]には、声の仕事は顔出し出演の7割の出演料「顔出しの七掛け」とされ<ref>とり・みき『映画秘宝Vol.3 とり・みきの映画吹替王』洋泉社、2004年、p.141。野沢那智インタビュー</ref>、低い位置にある仕事とみなされ、舞台俳優がアルバイトのような形でやっていた。舞台や実写の仕事と比較して、吹き替えの仕事は拘束時間が少なくかけ持ち出演が可能なため、数をこなせば収入を増やすこともでき、演技力を生かせることから不満に持つ者は少なかった。1964年の時点で30代後半の中堅とされる声優で30分番組の吹き替えのギャラが5000円程度で、最高ランクとされる[[若山弦蔵]]が1万円程度とされる<ref name="映画ストーリー">{{Cite journal|和書|date = 1964-04|title = アテレコタレントの嘆き|journal = 映画ストーリー|volume = 5月号|page = 230|publisher = [[雄鶏社]]}}</ref>。若山は同時期に複数の番組の主役をすることは、視聴者のイメージを壊すことになり、道義的にも避けるべきではあるが、掛け持ちをしなければ生活が出来ない状況を語っていた{{R|映画ストーリー}}。
 
声優の賃金待遇改善については、声優の多くが[[日本俳優連合]](日俳連)に所属しており、日俳連は音響制作会社の集合体である日本音楽制作者連盟(音声連)、声優のマネージメントを行う事業者で組織する[[日本芸能マネージメント事業者協会]](マネ協)と「三団体実務小委員会」を設けて、出演ルールの改定や待遇の改善を申し入れて来た。ときには[[ストライキ]]([[1973年]]〈昭和48年〉[[8月8日]])や街頭[[デモ活動]]を行うなどして、1973年(昭和48年)には報酬が約3倍アップ、[[1980年]](昭和55年)には再放送での利用料の認定、[[1991年]](平成3年)には報酬が約1.7倍上昇するなどの成果を勝ち取ってきた。
 
業界に対してのみならず、1973年(昭和48年)と[[2001年]](平成13年)には[[デモ活動|デモ行進]]、[[1988年]](昭和63年)には[[永井一郎]]が『[[オール讀物]]』([[文藝春秋]])において『磯野波平ただいま年収164万円』と題して、アニメ出演料の安さを訴える記事を寄せて、世間一般への理解を求める行動を起こしている<ref>「[http://www.nippairen.com/news/hist1986/h198609.html 日本俳優連合30年史 本編 1986年〜1990年 ショッキングな実態公表]」 [http://www.nippairen.com/ 日本俳優連合公式サイト]</ref>。
 
日俳連・マネ協・音声連による協議の結果、外画動画出演規定・新人登録制度・CS番組に関する特別規定・ゲーム出演規定などを締結した。アニメでは、放送局と、[[アニメ制作会社]]で組織される日本動画製作者連盟も加わって、団体協約が締結されている。これにより、仕事1作品あたりの報酬は作品のジャンル・放送時間帯・放送回数・ソフト化などによる2次利用、そして経験実績などの条件によって受け取る額が算出される方法を取られており、音響制作会社の一方的な言い値で手取りを決定されるということはない<ref group="注">一概には言えないが、日俳連は基本的に土日祝日のゴールデンタイムに放送される番組に最も高いクラスの報酬を設定している。</ref>。
 
以上の協定は、声優・マネジメント事業者・音声製作事業者がそれぞれの団体に所属しなければ縛られることはない。たとえば、[[石原裕次郎]]は映画『[[わが青春のアルカディア]]』の出演料が1,000万円だったと言われている<ref>アニメージュ編集部・編『劇場アニメ70年史』徳間書店、1989年、93頁。</ref>。
 
日俳連では組織率を高めるために、音声連が製作する作品に出演する人数について「日俳連に属さない出演者の数は全体の20%以内」とし、日俳連に属さない出演者については加盟を推奨することが音声連には課せられている。逆にマネ協・日俳連側は、音声連に入っていない製作会社へ音声連への加盟を奨めることとなっている。
 
これらの協定を嫌う[[日本アドシステムズ]]などの製作者側もあり、日俳連に所属しない声優を起用する例が[[1990年代]]半ばより増加したが、[[東映アカデミー]]や[[ラムズ]]のように事業を停止した例もある。音声連に属していない事業者としては[[神南スタジオ]]や脱退した音響映像システム(現・サンオンキョー)などがあり、マネ協に属していない事業者としては[[ネルケプランニング]]などがある<ref group="注">ただし、現在ではスタッフの移籍がより増えたため実質的に加盟している状況の会社もある。</ref>。
 
=== ランク制 ===
日俳連に所属する声優が、アニメ・日本語吹き替え作品・社団法人[[コンピュータエンターテインメント協会]](CESA)に加盟するゲーム会社の作品に声をあてる際の出演料についての規定で、この制度での報酬は「ランク」と呼ばれる出演料によって支払われることになっている。担当する内容や、台詞の多少は関係しない。ランクの設定は毎年4月に更新され、人気が上がったりキャリアを重ねると、マネ協や音声連との協議のうえでランクが上がっていき、またランクが上がるごとに出演料が高くなっていく。更新の際、ランクを下げることも可能となっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nippairen.com/progress/izakaya001.html|title=居酒屋日俳連 先輩方に、今更聞きにくいこと聞いてきました!|publisher=日本俳優連合|accessdate=2024-01-21}}</ref>。
 
過去には一度ランクを上げれば60歳以上になるまではランクを下げることができなかった{{R|seiyuhakusyo|seiyuhakusyo3}}。このルールの問題点として江崎加子男は仮にノーランクの声優が病気療養後に復帰し。療養前ほどの仕事が出来なくなり脇役に回って仕事をしようとしても高額なギャラでは起用されなくなると述べている{{R|seiyuhakusyo}}。
 
1991年(平成3年)に出演料が約1.7倍アップしたこともあり、予算の限られたアニメや吹き替えにはランクの高い(出演料が高い)ベテラン声優が起用されなくなる弊害が生じるようになった。それにより、2001年(平成13年)から2年の期間限定でランク下げを認める特例期間が設けられた<ref name="seiyuhakusyo3">{{Harvnb|声優白書|2000|p=72|loc = 「ランク制」とは}}</ref>。
 
30分枠作品の最低ランクの出演料が1万5,000円で、最高ランクが4万5,000円、その上に上限なしのノーランクが設定されており、これが基本出演料となる{{R|seiyuhakusyo3}}。またその基本出演料に「目的使用料」として、アニメは1.8倍が加算され、吹き替えは1.7倍が加算される{{R|seiyuhakusyo3}}。予告編の台詞をやった場合、基本出演料のランクをもとにしたギャラが加算される。放送時間枠が60分や120分の場合は「時間割増」となり、その分のギャラが支払われる{{R|seiyuhakusyo3}}。出演作品がソフト化されたり[[再放送]]された場合、規定に基づいて「転用料(2次使用料)」が支払われる。これらの合計が声優の総出演料となるのだが、そこから事務手数料や税金などで約30%から40%引かれる。
 
音声作品の報酬の相場は拘束時間もワード数によって数時間から数日までさまざまで、声優のランクにもよるが、だいたい数百ワードあたり2 - 3万円ぐらいとされ、有名声優がソーシャルゲームに出るときの単価などとは比べものにならない。
 
声優だけで安定収入を得るのはほんの一握りなのは売上の大半を事務所が持っていくこともあって、事務所声優でも声優業のみで生活できる人は少ない。しかしながらそれでも仕事を取るためには事務所に所属するのが基本で、イベント、コンサートやライブなどで収益を得る事務所声優が安定して仕事をすることになる。主役声優であればイベント出演で1回20 - 30万円程度もらえる他、物販で稼げるという<ref name=":1" />。
 
=== 新人 ===
声優学校や声優養成所を卒業して、[[日本芸能マネージメント事業者協会]](マネ協)加盟の声優事務所のオーディションに合格した新人声優は、まず「預かり」という身分から声優業をスタートする。この時点ではまだ声優個人としての[[日本俳優連合]](日俳連)への加盟はできない。預かりは声優業の最初のステップとして、ランク制の事実上の番外とでもいうべき存在である。預かり期間修了後はジュニア(新人)ランクとなり、ジュニアランクでいられる期間は3年間ないし所定の起用率に到達するまでで、それを終了したあとは日俳連へ加盟し通常のランクの声優になる{{sfn|野村道子|2009|p=148-149}}。デビュー作のオーディションで主役を得たなどの理由で、新人登録を経ずに日俳連へ加盟し、通常のランクになる声優もいる<ref >{{Harvnb|声優白書|2000|p=75|loc = 新人登録制度}}</ref>。
 
出演料が安すぎるという理由で[[1990年]](平成2年)に一度ジュニアランクを撤廃したことがあったが、[[1994年]](平成6年)から新たな形で再び導入された。
 
預かりとジュニアランクの声優の出演料は1万5,000円で、ランクがついた声優とは違い、上述の「目的使用料」「予告編の台詞代」「時間割増料」「転用料」は支払われない。
 
=== ベテラン ===
声優としてベテランになり日俳連のランク(出演料)が高くなっていくと、予算の関係からアニメ・ゲーム・吹き替えの仕事は自然と減る場合もあり{{efn2|ただし、テレビアニメの中でも長期シリーズ物ではむしろベテラン勢で占められている。}}、これを補うのにCMやテレビ番組などでの[[ナレーション]]の仕事を行う場合もみられる。ナレーションは日俳連の協定によるランクの縛りがなく<ref group="注">アニメ・ゲームのナレーションはランクの縛りがある。</ref>、また、ギャラはアニメ・ゲーム・吹き替えよりもはるかに高額とされる。新人・若手声優だったころはアニメに多く出演していたが、のちに中堅・ベテラン格になるにつれてアニメの仕事が徐々に減っていき、ナレーションが中心になるという傾向にある。なおベテラン声優を1回のみ登場、台詞が少ないなど収録時間が短い役に起用する例もあり、アニメやゲームの出演が無くなるわけではない。
 
ベテラン声優の中には前述のとおり本業の傍ら、声優事務所の経営、声優の養成所や専門学校の講師、カルチャースクールの喋り方教室の講師、音響監督などといった業を副業として、収入の少なさを補うためにしている者もいる。また、ベテランになると、経済的にはむしろそのような副業のほうが本業という声優も珍しくないといわれている。
 
=== 現状 ===
声優を目指す人々は増加傾向にあるが、職業としての声優として第一線で活躍できる者は少ない。オーディションでほかの声優との競争に勝てず、仕事がもらえずに無名のまま脱落し、経済的に自立できずにわずかな期間でやめる、またはプロダクションから「今後、第一線級の声優として売れる見込みがない」と判断されて契約を解除されるという新人・若手声優が多いという<ref>[http://blog.livedoor.jp/hajimemashite_maru/archives/35794610.html 第044話 彼女の決断 : それが声優!WEB] [[浅野真澄]]・[[畑健二郎]] 2013年12月21日閲覧。</ref><ref name="seiyugenjitsu2018a" />。
 
一例として内田彩は、2015年(平成27年)9月のインタビューにて「声優の仕事一本で食べていけるようになる2、3年くらい前まで、声優の仕事が空いているときは派遣のアルバイトをやっていました」と打ち明けている<ref>{{Cite web|和書|publisher=産経新聞|url=https://www.sankei.com/article/20150926-PNNF7HDJNVM25BB462LCAQFZP4/|title=【魅力発見・動画付き】 アニメ「ラブライブ!」で大ブレークの内田彩 声優やりながら肉体労働も|accessdate=2018-04-28}}</ref><ref group="注">声優として2008年にデビューして以後、『[[キディ・ガーランド]]』(2009年。アスクール役)で主演を務めるなど、出演本数を積み重ねてはいたが、メインキャラクターとしての出演が増えたのは2012年以後のことであった。</ref>。[[内山夕実]]のように(家の都合で)一度引退後に復帰する例<ref name="mirai09">{{Cite web|和書|url=https://seigura.com/senior/2909/|title=声優未来予想図 第9回 内山夕実さん|work=声優グランプリweb|date=2012-02-06|accessdate=2021-03-06}}</ref>もある。
 
このような現状により、声優の低賃金化にも拍車をかけており、実際に役を勝ち取るために声優自ら低賃金を申し出たり、ベテランの声優でも仕事を失うことを恐れ、賃金交渉を躊躇する事例があるとしている<ref name=":7" />。
 
[[1996年]](平成8年)発売の[[キネマ旬報]]刊『声優名鑑』には約2,400人の声優が掲載されていたが、この時代でも声優としての地位が確立されている者は約300人だけで、しかもそのうち声優業だけで食べていける者は約半数であるという<ref>{{Cite|和書|author = 市原光敏|title = 声優になれる本 - あの声優がすべてを明かす!|date = 1996|publisher = 世界文化社|isbn = 4418965084|pages = 101|ref = harv}}</ref><ref group="注">なお、『[[声優グランプリ]]』2018年3月号の別冊付録である「声優名鑑2018女性編」で収録されている女性声優は800人、同雑誌の2018年4月号の別冊付録である「声優名鑑2018男性編」で収録されている男性声優は560人(つまり合計で1,360人)であった。</ref>。
 
2023年(令和5年)発売の星海社新書刊『[[アイドル声優の何が悪いのか? アイドル声優マネジメント]]』にて、昨今では声優のタレント化が進みつつあり、「付加価値のついた声優」=「アイドル化/タレント化した声優」という価値観が構築されており、世の中に認知される流れへ乗り進んだ「アイドル化ならびタレント化」した声優は通常よりも多くの報酬を手にすることが可能となっている。だが、その一方で声優のタレント化のしわ寄せとしてマネージャー側が行なうべき業務量が以前のものより倍化しているという問題点が各所で露呈するようになった。そもそも声優事務所は「タレント=声優」一人当たりに対する人的リソースが、もともと少ない傾向にあり、声優という職種に就いている人物に対する人件費は潤沢に存在していない。声優としての業務以外ではアイドル・タレント的な業務に対して面倒を見れるだけのリソースが乏しい一面を抱えている。また、声優が人気になると、様々なスキャンダルや事件を発生させてしまったときは事務所がその対応にも追われることになり、事務所の利益(取り分)を考えれば本来そこまでするようなことではない案件にもリソースを割かねばならない状態でもある為に、手が回らないのが現状となっている。加えてタレント化した声優のマネジメント業務は一朝一夕に習得できるものでもない点から、声優事務所の社員それぞれの努力ではどうにもならない逼迫した状況が続いている<ref>{{Cite news|url=https://diamond.jp/articles/-/338566|title=アイドル声優が心身を壊して活動休止…声優と事務所の双方に不満が募る「不幸な事態」|newspaper=ダイヤモンド・オンライン|date=2024-03-07|accessdate=2024-03-08}}</ref>。
 
ある程度の知名度、出演本数、活動年数があったにもかかわらず、声優業で生計を立てていくことが難しいという理由で引退した者も少なくなく、継続して仕事を維持するのも厳しい世界である<ref name="seiyugenjitsu2018a">{{Cite web|和書|publisher=ファイナンシャルフィールド|url=https://financial-field.com/living/2018/04/26/entry-16205|title=実録 生き残れるのは一握りと言われる「声優」の収入と生活の現実|accessdate=2018-04-28}}</ref>。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"|2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2|refs=
<ref name="ORICON">[https://web.archive.org/web/20111105060700/http://www.oricon.co.jp/entertainment/interview/2011/hunter1003/index.html HUNTER×HUNTER特集『“リアル親子”共演の2人に直撃』-ORICON STYLE エンタメ]</ref>
}}
 
== 参考文献 ==<!--引用されている-->
{{参照方法|date=2023年10月|section=1}}
* {{Cite book|和書|author = 松田咲實|year = 2000|title = 声優白書|publisher = [[オークラ出版]]|isbn = 978-4872785647|ref={{SfnRef|声優白書|2000}}}}
* {{Cite book|和書|author = 野村道子|year = 2009|title = しずかちゃんになる方法 めざすは声優一番星|publisher = [[リブレ出版]]|isbn = 978-4862636515|ref = harv}}
* {{Cite journal|和書|author=内藤豊裕 |date=2017-10 |url=https://hdl.handle.net/10959/00005110 |title=「スター化」する声優 : 日本における「声優」とは何か?(3) |journal=学習院大学人文科学論集 |ISSN=09190791 |publisher=学習院大学大学院人文科学研究科 |issue=26 |pages=131-173 |naid=120007172487 |hdl=10959/00005110 |CRID=1050008708823832064 |ref={{harvid|内藤(2017)}}}}
 
==関連文献==<!--引用されていない-->
* {{Cite book|和書|author = 岩田光央|year = 2017|title = 声優道─死ぬまで『声』で食う極意|publisher = 中公新書ラクレ|ref = harv}}
* {{Cite book|和書|author = 大塚明夫|year = 2015|title = [[声優魂 (書籍)|声優魂]]|publisher = [[星海社新書]]|isbn = 978-4061385672|ref = harv}}
* {{Cite book|和書|author = 森川智之|year = 2018|title = 声優 声の職人|publisher = 岩波新書|ref = harv}}
* {{Cite book|和書|author = 関智一|year = 2017|title = 声優に死す 後悔しない声優の目指し方|publisher = KADOKAWA|ref = harv}}
* 石田美紀『アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか』青弓社(2020年12月21日)、ISBN 978-4787234780
* {{Cite book|和書|author = たかみゆきひさ|year = 2023|title=[[アイドル声優の何が悪いのか? アイドル声優マネジメント]]|publisher=星海社新書|isbn=978-4-06-532900-9|ref = harv}}
 
== 関連項目 ==
{{ウィキプロジェクトリンク|声優}}
* [[俳優]]
* [[ボイスオーバー]]
* [[おたく]]
* [[文化放送]]
* [[テレビアニメ]]
* {{ill2|音楽と人工知能|en|Music and artificial intelligence}} ‐ 声優の仕事の代替、歌手の声を再現したAIの登場について。
 
== 外部リンク ==
{{Commonscat|Voice actors from Japan|日本の男性声優}}
{{Commonscat|Voice actresses from Japan|日本の女性声優}}
* {{Kotobank|2=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}}
* [https://www.nippairen.com/ 協同組合日本俳優連合] - 声優の多くが加盟。
* [https://www.manekyo.com/ 一般社団法人日本芸能マネージメント事業者協会] - 声優のマネージメントを行うプロダクションなど事業者が加盟する。
* [https://sei-yu.net/ 日本声優事業社協議会] - 声優事業社で組織。
* [https://onseiren.com/ 一般社団法人日本音声製作者連盟] - アニメの音響製作、外国作品の日本語版製作を行う音響製作会社で組織。
* [https://keiyakusho-sakusei.jp/format/seiyuu.html 声優契約]
;参考
* [https://web.archive.org/web/20050208003343/http://www.nippairen.com/saiban/siryou.html 日本アニメーション・音響映像システム二次使用料未払い訴訟関係資料] - 原告の日本俳優連合側がまとめた資料。
* まつもとあつしの「メディア維新を行く」(ASCII.jp連載第71回、72回)
**[https://ascii.jp/elem/000/004/062/4062264/ 〈前編〉アニメの門DUO 石田美紀氏×まつもとあつし対談:なぜ女性が少年を演じるのか?【アニメと声優のメディア史】(2021年8月21日)]
**[https://ascii.jp/elem/000/004/062/4062272/ 〈後編〉アニメの門DUO 石田美紀氏×まつもとあつし対談:声優はキャラと本人、両方への想いを引き受ける菩薩である!?(2021年8月22日)]
 
{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:せいゆう}}
[[Category:声優|*]]
[[Category:アニメ制作の手法と役職]]
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[[Category:音声]]
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[[category:おたく]]
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