「長野県方言」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
→母音の特徴: 内部リンク修正 |
|||
| (100人を超える利用者による、間の605版が非表示) | |||
1行目:
[[File:Suwa dialect oidenashite.jpg|thumb|諏訪方言の一例。[[下諏訪駅]]にて2023年に撮影。]]
'''長野県方言'''（ながのけんほうげん）、または'''信州弁'''（しんしゅうべん）は、[[長野県]]で話される[[日本語の方言]]の総称である。
==
概ね[[東日本方言]]に属するが、南部では[[西日本方言]]的特徴も多く見られるため、畑美義、[[福沢武一]]、矢島満美など、南信方言を[[西日本方言]]に含む可能性について研究した学者もいる<ref>{{Cite book|和書|author=畑美義 |title=上伊那方言集 : 附下伊那郡方言集 |publisher=国書刊行会 |year=1975 |series=全国方言資料集成 |id={{全国書誌番号|75011245}} |doi=10.11501/12449225 |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12449225}}</ref><ref name="kiso">{{Cite book|和書|author=矢島満美, 福沢武一 |title=木曽の方言 |publisher=国書刊行会 |year=1974 |id={{全国書誌番号|75016265}} |doi=10.11501/12449212 |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12449212 |ref=harv}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=福沢武一 |date=1954-01 |title=長野県上伊那郡における東西両方言の境界 |journal=信濃 [第3次] |ISSN=02886987 |publisher=信濃史学会 |volume=6 |issue=1 |pages=1-11 |CRID=1520009408915530624 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I5252681}}</ref><ref group="注釈">正確には、畑美義は南信方言のうち旧奈川村、旧楢川村を東日本方言に、残りの地域を西日本方言に位置付けている。また矢島満美は木曽地域のみの研究であるが、旧奈川村、旧楢川村、木祖村小木曽を東日本方言に位置付け、木祖村、王滝村、旧開田村、旧新開村、対立地帯とし、残りの地域を西日本方言に位置付けた。福沢武一は矢島の研究を支持しつつ、伊那地域についても調査を行い、宮田村以北を東日本方言、旧伊那村を対立地帯、旧中沢村、旧赤穂町以南を西日本方言とする論文を発表したことがあるが、福沢は後に撤回している）</ref>。
また、長野県は南北に長く地形的にも複雑で、それぞれの地域・盆地ごとに[[文化]]の違いがあるため、それぞれの地域ごとで独自に発達した方言や、隣接する都道府県からの流入によってもたらされた方言が多く見られ、県全域で通じる方言とそうでないものに二分される。[[藤原与一]]は長野県は「方言のるつぼ」であると述べている<ref>藤原与一（1983年）「方言学原論」</ref>。[[東条操]]は具体的な例として、佐久地域は[[関東方言]]に近く、伊那、木曽地域は[[岐阜・愛知方言]]に近いと述べている<ref>東条操（1954年）『日本方言学』</ref>。また[[馬瀬良雄]]によれば、北信は[[越後方言]]、諏訪地域は[[甲州弁]]との共通点が見られる<ref name="kenshi"/><ref>信濃教育會（1948年）『信州方言読本 第一編』</ref><ref name="tozai">{{Cite book|和書 |author=牛山初男 |author-link=牛山初男 |title=語法上より見たる東西方言の境界線について |publisher=牛山初男 |year=1952 |url=https://id.ndl.go.jp/bib/5252629 |ncid=BB21859100 |quote=リンク先は国立国会図書館オンライン}}</ref><ref name="kenshi"/>。
長野、新潟県境の[[秋山郷方言|秋山郷]]は音韻体系や文法が特異な[[言語島]]となっている。[[越後方言]]との連続性もある。
長野県方言の位置・系統・分類等に関する研究の詳細は
{{See also|上伊那地域の方言#東西方言の対立と上伊那地域の方言}}
==
話者（[[インフォーマント]]）の方言観として、「信州弁（或いは自分の居住する地域の方言）はごく一部の語彙を除けば、[[共通語]]や東京周辺の[[首都圏方言]]とほぼ同じだ」と錯覚している者の多いことは、長野県下各地の共通項として挙げられる<ref name="kenshi">『長野県史 方言編』 アクセント調査は1974年から1978年</ref>。実際には語彙が東海東山方言的であり、後述するアクセント体系に決定的な違いがある他、文の抑揚（[[イントネーション]]）が共通語に比べてやや大きい。また、いわゆる「気がつきにくい方言」<ref>{{Cite book|和書|author=言語編集部 |year=1995 |title=変容する日本の方言 : 全国14地点、2800名の言語意識調査 |chapter=沖裕子「気づかれにくい方言の隆盛と俚言使用の二相化」 |publisher=大修館書店 |series=言語 |NCID=BN13538897}}</ref>や、共通語と同じ語彙でありながら用法がドメスティックなために県外では伝わらないものなども数多く存在する。
また地域差については、「同じ信州でも[[木曽地域|木曽]]の南や[[伊那谷]]の[[飯田市|飯田]]へ行くと、ことばが優しくなりどことなく[[近畿方言|関西弁]]に似たところが出てくる」、「[[佐久地域|佐久]]へ行くとことばが荒っぽく勇ましくなる。ヒとシを間違えるとこなんか、[[江戸っ子]]のことばに近い」、「[[長野市]]では、イとエは一緒で『胃』も『柄』も区別のない人がいる。[[越後国|越後]]と繋がっているという感じだ。」などと言った意識が持たれる場合がある<ref name=G />。
=== 方言区画 ===
長野県下の方言区画は、[[馬瀬良雄]]が青木千代吉の区画をベースとし2003年に{{harv|「信州のことば」}}で提示した以下の区画が最も一般的である。一般的な地域区画とは多少異なった区分が用いられる<ref name="kenshi"/>。
{| class="wikitable"
|-
!大区画
!小区画
!地域
|-
|rowspan="5"| 長野県方言
| 奥信濃方言
| [[栄村]]のみ
|-
| 北信方言
| [[長野地域]]（南部を除く）、[[北信地域]]（栄村を除く）
|-
| 東信方言
| [[長野地域]]南部、[[上田地域]]、[[佐久地域]]
|-
| 中信方言
| [[松本地域]]（旧[[奈川村]]、旧[[楢川村]]除く）、[[北アルプス地域]]、[[諏訪地域]]、[[上伊那地域]]北部（[[太田切川 (長野県)|太田切川]]以北）
|-
| 南信方言<ref group="注釈">[[2005年]]以前の史料には旧[[山口村 (長野県)|山口村]]も含まれる。</ref>
| [[南信州地域]]、上伊那地域南部（太田切川以南）、<br />[[木曽地域]]（旧[[奈川村]]・旧[[楢川村]]を含む）
|}
基盤となった青木千代吉の区画は以下の通りである<ref>青木千代吉（1952年）『長野県方言集』</ref><ref>馬瀬良雄（1971年）『信州の方言』で上伊那南部と更埴南部の扱いを確認</ref>。中区画が5、小区画が14ある。
* 奥信濃方言（小谷地域、[[北信地域]]北部（岳北地域））
** 小谷地域
** 岳北地域
* 北信方言（[[長野地域]]（南部を除く）、北信地域南部（岳南地域））
** 上高井地域、上水内地域、岳南地域
** 更埴地域北部
* 東信方言（[[長野地域]]南部、[[上田地域]]、[[佐久地域]]）
** 長野地域南部、上田地域
** 佐久地域
* 中信方言（[[松本地域]]、[[北アルプス地域]]（北部除く）、[[諏訪地域]]、[[上伊那地域]]北部）
** 松本地域、北アルプス地域（北部除く）
** 諏訪地域
** 上伊那地域北部
* 南信方言（[[南信州地域]]、[[上伊那地域]]南部、[[木曽地域]]）
** 上伊那地域南部、南信州地域北部（旧飯田市以北）
** 南信州地域南部
** 木曽地域北部
** 木曽地域山間部
** 木曽地域南部
また、以下のような区画もある（浅川清栄の区画）<ref>{{Cite book|和書|author=上原邦一 |title=東信濃方言集 |publisher=国書刊行会 |year=1976 |series=全国方言資料集成 |id={{全国書誌番号|75011849}} |doi=10.11501/12449232 |ref={{harvid|『東信濃方言集』}}}}</ref><ref>浅川清栄 『信州における方言の分布』</ref>。
{| class="wikitable"
|-
!大区画
!中区画
!地域
!小区画
!地域
!細区画
!地域
|-
|rowspan="9"| 長野県方言
|rowspan="5"| 北部方言
|rowspan="5"| [[北信地方]]、[[東信地方]]
|-
| 北信方言
| colspan="3"|[[長野地域]]、[[北信地域]]
|-
|rowspan="3"|東信方言
|rowspan="3"| [[上田地域]]、[[佐久地域]]
|-
| 上小方言
| [[上田地域]]
|-
| 佐久方言
| [[佐久地域]]
|-
|rowspan="3"| 中部方言
|rowspan="3"| [[松本地域]]（旧[[奈川村]]、旧[[楢川村]]除く）、[[北アルプス地域]]、[[諏訪地域]]、[[上伊那地域]]北部（[[太田切川 (長野県)|太田切川]]以北）
|-
| 安筑方言
| colspan="3"|[[松本地域]]（旧[[奈川村]]、旧[[楢川村]]除く）、[[北アルプス地域]]
|-
| 諏訪上伊那方言
| colspan="3"|[[諏訪地域]]、[[上伊那地域]]北部（[[太田切川 (長野県)|太田切川]]以北）
|-
| 南部方言
| colspan="5"|[[南信州地域]]、[[上伊那地域]]南部（[[太田切川 (長野県)|太田切川]]以南）、<br />[[木曽地域]]（旧[[奈川村]]・旧[[楢川村]]を含む）
|}
===
{|class="wikitable" style="text-align:center;"
|+長野県下各地の方言比較表<ref name="tozai"/><ref name="kenshi"/><ref name="kamiina"/><ref name=F/>
|-
! rowspan=2 colspan=2 |
! colspan=3| 南信方言
! 中信方言
! 東信方言
! 北信方言
! 奥信濃方言
|-
! 開田高原
! 木曽福島
! 飯田
! 松本
! 佐久
! 長野
! 秋山郷
|-
! colspan=2 | アクセント型
|colspan=5|中輪東京式
|colspan=2|外輪東京式
|-
! colspan=2 | アクセント遅上がり
|colspan=2|○
|colspan=5|×
|-
! colspan=2 | 母音の音素数
|colspan=6|5
|7
|-
! rowspan=3 |連母音融合
! ai (例．無い→ネー)
| rowspan=3 | ○
| ×
| ×<ref group="注釈">飯田市街地周辺では融合しないが、市街地から少し離れた地域では融合する場合も多い</ref>
| rowspan=3 colspan=4 | ○
|-
! oi (例．凄い→スゲー)
| rowspan=2 colspan=2 | ×
|-
! ui (例．寒い→サミー)
|-
! colspan=2 | 母音無声化
|○
|colspan=3|×
|colspan=3|○
|-
! colspan=2 | シラビーム性
|○
|colspan=5|×
|○
|-
! colspan=2 | 「イ」と「エ」の混同
|colspan=4|×
|colspan=3|○
|-
! colspan=2 | 「ヒ」と「シ」の混同
|colspan=4|×
|◯
|colspan=2|×
|-
! colspan=2 | 撥音の連声
|colspan=5|×
|colspan=2|○
|-
! colspan=2 | 否定
|colspan=3|…ん
|colspan=3|…ない（ねえ）
|…ねぁ
|-
! colspan=2 | 過去否定
|colspan=4|…なんだ
|colspan=2|…なかった
|colspan=1|…なかった<!--（自己の動作）--><br />…ねぁっけ<!--（他者の動作）-->
|-
! colspan=2 | 否定条件
|colspan=3|…にゃあ
|…にゃあ、<br />…なきゃ
|…なけりゃ、<br />…なきゃ、<br />…なくちゃ
|…なけりゃ、<br />…ねけりゃ、<br />…なくちゃ、<br />…んじゃ
|…ねぁーけりゃ、<br />…ねぁーけば、<br />…なけば
|-
! colspan=2 | 居る
|いた、<br />いだ
|colspan=2|おる
|colspan=4|いる
|-
! colspan=2 | 継続態
|…いた、<br />…いだ
|…よる
|…とる
|colspan=4|…てる
|-
! colspan=2 | 結果態
|…ていた、<br />…ていだ
|colspan=2|…とる
|colspan=4|…てる（…た）
|-
! colspan=2 | 命令形
|…ろ、<br />…れ
|…ろ
|…よ
|colspan=3|…ろ
|…ろ、<br />…れ
|-
! colspan=2 | サ行イ音便
|colspan=3|○
|colspan=4|×
|-
! colspan=2 | 理由
|colspan=4|…で、<br />…に
|…から、<br />…に
|…から、<br />…んで
|…すけぁ
|-
! rowspan=2| 推量
! 動詞<br />形容詞
|rowspan=2|…だらず、<br />…ずら
|rowspan=2|…ずら
|…んだら、<br />…んずら、<br />…ら
|rowspan=2|…ずら
|…だらず、<br />…ずら、<br />…べえ
|…だらず、<br />…だろう、<br />…しない
|…だろぁ、<br />…べえ
|-
! 体言<br />形容動詞（語幹）
|…だら、<br />…ずら
|…だらず、<br />…ずら
|…だらず、<br />…だろう、<br />…だしない
|…だろぁ
|-
! colspan=2 | 勧誘
|colspan=2|…まいか、<br />…んか
|…まいか、<br />…んか(な)
|…ずか、<br />…ねえか、<br />…や
|…ざあ、<br />…ねえか、<br />…べえ
|…ずか、<br />…ねえか、<br />…しない
|…べえ
|-
! colspan=2 | 方向
|colspan=4|…エ(イ)
|…セ
|colspan=2|…エ
|-
! colspan=2 | 敬語表現
| 無敬語
| 単純
| 複雑
|colspan=2| 単純
| 複雑
| 単純
|}
== 「郡境」と「言境」 ==
郡境と言境は必ずしも一致しない場合も多い。例えば、[[馬瀬良雄]]の方言区画では[[奥信濃]]のうち[[栄村]]のみが他の地域と切り離されて奥信濃方言となり、[[上伊那地域]]の南部は[[南信州地域|下伊那]]方言圏に含まれ、[[更級郡|更級地域]]・[[埴科郡|埴科地域]]のそれぞれ南部は[[上田地域|上小]]方言圏に含まれているなどである<ref name=G/>。
そのほか福沢武一は、旧[[信州新町]]や旧[[大岡村]]などについても他の[[北信地方]]とは切り離して[[中信地方]]の[[北安曇郡|北安曇]]方言圏に含めるのが妥当であるとしているが、馬瀬良雄は概ね行政区分上の北信と中信の境界に沿う案を提案している<ref>{{Cite journal|和書|author=福沢武一 |date=1956-01 |title=長野県方言における中信地方の分布的位置-1- |journal=信濃 [第3次] |ISSN=02886987 |publisher=信濃史学会 |volume=8 |issue=1 |naid=40001602275 |url=https://id.ndl.go.jp/bib/502836}}</ref>。
また中信方言を「狭義の中信方言(浅川清栄区画でいう安筑方言に相当)」と「諏訪・上伊那中北部方言」に二分する場合、[[辰野町]]北部は上伊那側ではなく狭義の中信方言(松本市や塩尻市側)に含めるべきとの見解も述べている<ref>東筑摩郡・松本市・塩尻市郷土資料編纂会 編（1965年）『東筑摩郡・松本市・塩尻市誌 第3巻 下』</ref>などがある。
特に[[上伊那地域]]では詳しい調査が実施されている。
== 文法 ==
* 東西方言の語法上の対立
** 「だ」と「じゃ(や)」：平叙文における[[コピュラ]]と[[形容動詞]]の語尾は県のほぼ全域で[[東日本方言]]の特徴である「だ」である<ref name="tozai"/>が、旧[[奈川村]]入山では高年層で「じゃ」を使い、「入山のジャことば」として有名である<ref name=F/>。
** 「…ない」と「…ん」：[[動詞]]の否定は、南信方言で[[西日本方言]]の特徴である「[[未然形]]＋ん」を用い、他地域で[[東日本方言]]の特徴である「未然形＋ない（ねえ）」を用いる。最も、中信方言の南信方言と接する地域では「…ん」と「…ない」を併用する<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86">{{harvnb|『講座方言学 6 中部地方の方言』|p=86}}</ref><ref name="bunpougaisetu">[[都竹通年雄]]「文法概説」（飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 1 方言概説』国書刊行会、1986年）</ref>。中信方言における「[[連用形]]＋ます」の否定は「連用形＋ません」ではなく「連用形＋ましねえ」である<ref name=D/>。
** 「…なかった」と「…なんだ」：動詞の過去否定は、中信・南信方言全域及びこれに接する北信方言の一部で[[西日本方言]]の特徴である「未然形＋なんだ」を用い、北信・東信方言の大部分では[[東日本方言]]の特徴である「未然形＋なかった」を用いる<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86"/><ref name="bunpougaisetu"/>。南信方言における「連用形＋ます」の過去否定は「連用形＋ませなんだ」<ref>{{Cite book|和書|author=足立惣蔵 |title=信州方言辞典 |publisher=遠兵パブリコ |year=1978 |NCID=BN00807464 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I42111007015112961}}</ref>。
** 「…なければ」と「…ねば」：否定条件は中信・南信方言全域及びこれに接する北信・東信方言の一部で[[西日本方言]]の特徴である「未然形＋にゃあ」を用い、中信・北信・東信方言では[[東日本方言]]の特徴である「未然形＋なければ（なけりゃ、ねけりゃ、なきゃ）」を用いる。すなわち、中信方言では両方用いられている。また北信方言や中信方言北部などでは「未然形+んじゃ」、中信方言と南信方言の接触地域では「未然形+んけりゃ」なども用いられる<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86"/><ref name="bunpougaisetu"/>。南信方言では「…なければならない」は「…にゃならん」のほか「…んならん」という言い方も用いられる<ref name="aoki">青木千代吉（1952年）『長野県方言集』</ref>。
** 「…ろ」と「…よ」：一段活用動詞やサ行変格活用動詞の命令形語尾は[[伊那谷]]中南部と[[木曽谷]]南端部で[[西日本方言]]の特徴である「命令形＋よ」となり、そのほかの地域では[[東日本方言]]の特徴である「命令形＋ろ」となる<ref name="kamiina"/><ref name="kenshi"/>。
** サ行イ音便の有無：サ行五段活用動詞が過去の助動詞「た」や接続助詞「て」などに続く場合は、南信方言及び中信方言の伊那谷北部・諏訪地方で[[西日本方言]]の特徴である[[音便#イ音便|イ音便]]を用い（後者では連母音が融合する）、「連用形＋した」「連用形＋して」が、それぞれ「連用形＋いた」「連用形＋いて」になる。そのほかの地域ではサ行イ音便のまとまった分布はなく、[[東日本方言]]的である<ref name=F/>。
** ワ行五段活用動詞のウ音便と促音便：「買った」、「払った」などは県の全域で[[東日本方言]]の特徴である促音便形をとり、「こーた」、「はろーた」とはならない<ref name=F/>。
** 形容詞連用形のウ音便の有無：「白く」、「赤く」などは県の全域で「しろー」、「あこー」と言ったようなウ音便を取らず[[東日本方言]]的である。しかし語や用法にとって分布対立に差が見られ、「早く」ではウ音便形「はよー」が[[木曽谷]]や[[伊那谷]]のあちこちに点在するようになり、「よく(来た)」ではウ音便形「よー」が木曽谷や伊那谷で非ウ音便形「よく」をはるかに上回っている<ref name=F/><ref name="shinshu"/>。
** 継続態と結果態の区別の有無：動詞の進行形では南信方言で「連用形＋とる（ておる）」を用い、他地域で「連用形＋てる（ている）」を用いる。「…とる」は[[西日本方言]]の特徴であり[[相 (言語学)|アスペクト表現]]として「継続態」と「結果態」を語形で区別するものが多いが、木曽谷の北部を除いた地域で継続態と結果態の区別を持つ。二つのタイプがあり、木曽谷の平野部（[[中山道]]沿い）では継続態が「…よる（おる）」・継続態過去形が「…よった（おった）」、結果態が「…とる」・結果態過去形が「…とった」となり、木曽山間部では継続態が「…いた」・継続態過去形が「…いたった」、結果態が「…ていた」・結果態過去形が「…ていたった」となる。伊那谷中南部では継続態・結果態ともに「…とる」・過去形が「…とった」となり、「…とる」、「…とった」を用いる点では[[西日本方言]]的だが、継続態と結果態の区別を持たない点では[[東日本方言]]的である<ref name="kenshi"/><ref name=B>国立国語研究所『日本のふるさとことば集成8 長野・山梨・静岡』</ref><ref name="kamiina"/>。
* 推量表現
** 「…ずら」：中信・南信方言と東信方言の[[佐久地域]]で「…ずら」が用いられる。[[松本地域]]では「…ずろ」となる場合もある。上伊那中部以南の地域では動詞、形容詞に接続する場合は「…んずら」となる<ref name=F/><ref name="kamiina">上伊那郡誌編集会（1980年）『上伊那郡誌 民俗編 下』</ref>。
** 「だら」：[[伊那谷]]と[[木曽谷]]南部で「…だら」が用いられる。動詞、形容詞に接続する場合は「…んだら」となる。「…ずら」が高年層を中心とした推量表現なのに対し「…だら」は若年層もよく用いる<ref name=F/><ref name="kamiina"/>。
** 「…ら」：[[伊那谷]]と[[諏訪地域]]で「…ら」が用いられる。「…ら」は動詞と形容詞のみに接続する。上伊那南部以南では「…ら」は「…ずら」や「…だら」よりも確実性が高いという<ref name=F/><ref name="kamiina"/>。
** 「…だらず」：北信方言と東信方言の[[上田地域]]では「…にてあらむとす」が変化した「…だらず」を用いる。「…だず」となる場合もある。また、多くの場合「…だろう」と併用される。
** 「…べー」：[[秋山郷]]と[[佐久地域]]では「…べー」も用いる。佐久地域では若年層ほど使用するという<ref name="shinshu"/>。
* 意志表現
** 「…ず」：意志は「…むず」が変化した形を用いる。例えば「行こうと思う」という場合、「いかずと…」や「いかっと…」となる。
* 勧誘表現
** 「…ずか」：北信・東信・中信方言で「…むず（わ/か）」が変化した形を用い、「行こうか」は佐久地域で「いかざあ」、そのほかの地域で「いかずか」などとなる<ref name="kenshi"/>。
** 「…まいか」：南信方言と中信方言南部では「…まいか」を用いる。「行こうか」は諏訪、上伊那北部で「いくまいか」、木曽谷南部で、「いこまいか」、そのほかの地域では「いかまいか」となる<ref name="kamiina"/>。
** 「…ねぇか」：北信・東信・中信方言で用いる。共通語の「…ないか」と同じ。
** 「…んか」：南信方言とそれに接する中信方言で用いる。打ち消しが「…ん」であるためであり、共通語の「…ないか」と意味は同じ。
** 「…じゃねーか」、「…じゃんか」：東信・中信・南信方言で用いる。「行こうか」は「いくじゃねーか」、「いくじゃんか」となる。
* 理由・原因
** 「…に」：用言に接続する「…に」が北信方言の南部からほぼ全県で用いられるが、他県にはほとんど見られず、長野県独自である。ただし多くの場合「…で」などと併用され、「…に」を専ら用いるという地域は少ない<ref name="bunpochizu"/> <ref name="kenshi"/>。
** 「…で、…もんで」：「…で」は、中信方言・南信方言で盛んに用いられるほか、北信方言西部や東信方言西部にも分布している。「…もんで」は共通語の「…ものだから」に相当し、用法が少し異なる。例えば、「雨が降るから傘を持っていけ」という際には「…で」は使えるが「…もんで」は使えない。分布は「…で」に似ているが、北信地域などでの分布が広くなる<ref>{{harvnb|『講座方言学 6 中部地方の方言』|p=22}}</ref><ref name="bunpochizu"/> <ref name="kenshi"/>。
** 「…から」：北信方言と東信方言に分布している。特に佐久地域に色濃い<ref name="kenshi"/>。
**「…んで」：北信方言には「…んで」も多く分布する。その他の地域にも転々とした分布が見られる<ref name="kenshi"/>。
** 「…んて」：北信方言に転々と分布する<ref name="kenshi"/>。
** 「…さげ」、「…すけ」：奥信濃方言や[[飯山市]]、[[信濃町 (代表的なトピック)|信濃町]]など新潟県との隣接部には「…さげ、…すけ」も多く分布する。[[長野地域]]にも転々とした分布がみられる<ref name="bunpochizu"/> <ref name="kenshi"/>。
** 「…せー」：長野地域にわずかにみられる<ref name="bunpochizu">全国方言文法地図 http://www2.ninjal.ac.jp/hogen/dp/gaj-pdf/gaj-pdf_index.html</ref><ref name="kenshi"/>。
** 「…によって」：南信方言伊那地域の辺境で用いられる<ref name="kenshi"/>。
** 「…けん」：中野地域の方言集に載る。この地域では「…けれども」という意味でも「…けん」を用いることがある<ref name=F/>。
* 敬語表現
** 長野県方言では一般的に、 「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」を用いた敬語体系と、共通語にはない「敬意終助詞」を用いた敬語体系がある<ref name=H>* {{Cite book|和書|author=小林隆, 熊谷智子 |title=コミュニケーションの方言学 |chapter=Ⅲ コミュニケーションに見る方言 /『第11章 沖裕子 長野県方言敬語の発想と表現―敬意終助詞が担う親しみと敬い―』 |publisher=ひつじ書房 |year=2018 |ISBN=9784894768970 |id={{全国書誌番号|23095071}} |url=https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN 978-4-89476-897-0.htm}}</ref>。敬意終助詞は終助詞が持つ語義に敬意を表す待遇的意味が加算されたものであるが、すべての文に接続することは出来ず、文体形成機能は微弱である。その一方で、共通語に見られる「美化語」を用いた敬語表現は見られない地域が多い。ただし地域によってはこれらが当てはまらないこともある<ref name=H/><ref name=F/><ref name="kenshi"/>。 参照：[[日本語における敬語]]
'''比較表'''
{|class="wikitable" style="text-align:center;"
|-
!
! 共通語
! 長野県方言
|-
| 尊敬語
| 〇
| 〇
|-
| 謙譲語
| 〇
| 〇
|-
| 丁寧語
| 〇
| 〇
|-
| 美化語
| 〇
| ×
|-
| 敬意終助詞
| ×
| 〇
|}
* その他
** 動詞一般に接続して命令を強調する助詞は共通語の「よ」に対して、専ら「や」が用いられる。命令形に接続する助詞「や」には、「どっか行け'''や'''」（'''みんなで'''どこかへ出かけようぜ）のような[[共格]]的用法が存在する。
** 木曽地方の山間部ではナ行・バ行・マ行の五段活用動詞の連用形が[[促音便]]化する<ref name=B/>。
** 諏訪地方では「もの」「の」「こと」等の準体助詞が省略され、用言が準体法をとることがある<ref>大西拓一郎（2016年）「ことばの地理学」132頁</ref>。例えば「（そんなことを）言うのは誰だ」は「言うは誰だ」となる。共通語においても「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」のように様々な諺や格言に残る。
** 動詞の未然形に可能の助詞「られる」がつく場合、能力可能表現であれば「ら」が脱落するが、状況可能表現であればそのままとなるといった使い分けがある地域が多い。 参照：[[日本語の乱れ#ら抜き言葉|ら抜き言葉]]
** 動詞の前に促音・撥音を含む接頭語が挿入される傾向がある。
** [[伊那谷]]中南部（[[太田切川 (長野県)|太田切川]]以南）と[[木曽谷]]南部では否定の表現に「…せん」も用いられ、岐阜県、愛知県と接する地域では「…へん」を使うこともある<ref>牛山初男（1969年）『東西方言の境界』</ref><ref name=F/>。
** [[佐久地域]]では、方向を表すのに「…せ」を用いる。[[東北地方]]や[[関東地方]]の「…さ」と結びつくものであり、「…え」や「…い」を用いる県内のほかの地域とは明確な一線を画している<ref name="shinshu"/>。
** 上伊那南部から下伊那地方では「お…（動詞の連用形）…る（た）」という形の尊敬表現がある<ref>[[真田信治]]、友定賢治（2018年）『県別方言感覚表現辞典』</ref><ref name=F/><ref name="kenshi"/>。例えば「お書きになる（なった）」は「お書きる（お書きた）」となる。
** 下伊那南部では漢字の熟語で構成される形容動詞の末尾が「い」に変化して形容詞化するものがみられる<ref>真田信治、友定賢治（2015年）『県別方言感情表現辞典』</ref>。例えば「大儀な」は「大儀い」、「横着な」は「横着い」となる<ref name="kenshi"/>。これらは[[三河弁|三河方言]]と共通する特徴である。
== 語彙 ==
=== 広域 ===
:{{高ピッチ発音/太字|強調表現}}にアクセント。<br />
:''注意：ここで挙げられている例は、地域的・世代的な差異があるので、ニュアンスなども含めて、必ずしも長野県全域・もしくは各地方であまねく通じるものではない。また、県外に共通のものも含まれることに留意されたい。''
<!--極力、方言集や郷土史の方言項目に掲載が確認されているものを優先させ、可能な限り注釈等をお願いする。アクセントが間違っていれば修正されたい。-->
* {{高ピッチ発音/太字|あ}}いく：（中信、南信）「歩く」の転訛。歩いていくは「あいってく」。
* あ{{高ピッチ発音/太字|いさ}}：（全県）「あいだ（間）」の転訛。
* あ{{高ピッチ発音/太字|おのけ}}：（北信、中信）「あおむけ（仰向け）」の転訛。
* あ{{高ピッチ発音/太字|かす}}：（東信、南信）「告げる」「密告する」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|げる}}：（北信、中信）「嘔吐する」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|たける}}/あ{{高ピッチ発音/太字|だける}}：（北信、中信、南信）「暴れ回る」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|あ}}っこ(1)、{{高ピッチ発音/太字|あ}}っくい：（全県）「かかと」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|っこ}}(2)、あ{{高ピッチ発音/太字|すこ}}：（全県）「あそこ」の転訛。
* あ{{高ピッチ発音/太字|ったら}}：（北信、東信）「惜しい」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|すぶ}}：（全県）「遊ぶ」の転訛。
* あ{{高ピッチ発音/太字|のけ}}んまく/あ{{高ピッチ発音/太字|んね}}んまく：（北信、東信、中信）「あんなにもたくさん」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|ばけ}}る：（北信、東信、中信）「ふざけて騒ぐ」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|まびらか}}す：（北信、東信）「焦がす」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|まぶれる}}：（北信、東信）「焦げる」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|めんぼう}}：（東信、中信）「つらら」の意。
* あ{{高ピッチ発音/太字|らかた}}：（北信、東信）「ほぼ」の意。用例：「あらかた完成した。」
* あ{{高ピッチ発音/太字|らびる}}：（中信、南信）「暴れる」の意。
* い{{高ピッチ発音/太字|きあ}}う： （全県）「出くわす」「（偶然に）遭遇する」の意。予め待ち合わせた場合には使用しない。
* い{{高ピッチ発音/太字|きれ}}る：（北信、東信、中信）「蒸し暑くなる」「蒸れる」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|い}}こ/{{高ピッチ発音/太字|え}}こ：（北信、東信、中信）「甚だ」「度が過ぎて」の意。古語の形容詞「厳し（いかし）」の副詞的用法に由来。
* い{{高ピッチ発音/太字|ご}}く/い{{高ピッチ発音/太字|の}}く：（東信、中信、南信）「動く」の意。
* い{{高ピッチ発音/太字|じれる}}：（北信、中信、南信）「癇癪を起こす」の意。
* い{{高ピッチ発音/太字|た}}かい：（北信、中信、木曽）「いらっしゃいましたか」「ご在宅でしたか」の意。訪問時の挨拶。
* い{{高ピッチ発音/太字|ただきま}}した：（北信、中信)／い{{高ピッチ発音/太字|ただきました}}(南信)「ごちそうさまでした」に相当する挨拶。「いただきます」と対応させている。
* い{{高ピッチ発音/太字|ちゃつく}}：（全県）「狼狽する」「あわてふためく」の意。
* …いつ：（北信、東信、中信）「…頃」の意。用例：「あさっていつ届く」
* い{{高ピッチ発音/太字|つけ}}る：（北信、東信）「結びつける」の意。用例：「柱にいつける」
* い{{高ピッチ発音/太字|っける}}：（北信、東信）「（上に）乗せる」の意。用例：「棚の上にいっける」
* い{{高ピッチ発音/太字|とに}}：（北信、東信、中信）「…あいだに、…うちに」の意。「暇（いとま）に」が変化したものと思われる。用例：「目を離してるいとにどこかへ消えた。」
* {{高ピッチ発音/太字|い}}ぼ（{{高ピッチ発音/太字|え}}ぼ）をつる：（全県）「すねる」の意。北信では「えぼ」、それ以外では「いぼ」。
* {{高ピッチ発音/太字|う}}ってがえし：（中信、南信）「口答え」の意。本来は囲碁用語だが、共通語にはない意味合いがある。
* う{{高ピッチ発音/太字|とい}}：（中信、南信）「愚かな」「鈍感な」の意。
* う{{高ピッチ発音/太字|なでに}}：（北信、東信）「自然に」「おのずと」の意。
* え{{高ピッチ発音/太字|えまち}}：（全県）「過ち」の転訛。「怪我」の意。後述する「あや」が「ええ」に転訛する例。用例：「工事でええまちした」
* え{{高ピッチ発音/太字|ご}}い：（北信、南信）「あくが強い」「にがい」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|え}}ぶ：（北信、東信、中信）「歩く」の意。用例：「えべ」
* え{{高ピッチ発音/太字|ら}}い(1)：（全県）「とても」「ずいぶん」の意味。副詞形「えらく」も。用例：「えらい（えらく）待たせたな」
* え{{高ピッチ発音/太字|ら}}い(2)：（中信、南信）「大変だ」「難儀だ」の意。用例：「10キロの道のりを徒歩で来てえらかった」
* お{{高ピッチ発音/太字|おけん}}：（全県）「おおよそ」「概して」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|こつ}}る：（東信、中信）「怠る」の転訛。
* {{高ピッチ発音/太字|お}}おふう：（北信、東信、中信）「気前がいい」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|く}}：（北信、東信、中信）「遠慮する」「しないでおく」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|くらぶち}}：（全県）「囲炉裏を囲む木枠」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|しこく}}る：（東信、中信）「力強く押す」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|じょうこ}}：（北信、東信）「生意気」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|ぞ}}い：（全県）「粗悪な」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|たくら}}：（北信、東信）「冗談」「無駄話」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|だむ}}：（北信、東信、中信）「穏やかになる」「（雨風雪が）止む」の意。「おだゆむ（小弛む）」に由来。
* お{{高ピッチ発音/太字|ちょうべ}}：（北信、東信、中信）「媚び諂い」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|つくべ}}/お{{高ピッチ発音/太字|つくばい}}/お{{高ピッチ発音/太字|つくわり}}：（東信、中信）「正座」の意。「ひれ伏す」の意味で使う地域もある。動詞形は「つくばう」または「つくべる」。
* {{高ピッチ発音/太字|お}}っさま：（中信、南信）「和尚さん」「和尚様」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|しょ}}る/お{{高ピッチ発音/太字|っぽしょ}}る：（北信、東信、中信）「へし折る」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|お}}った【落った】：（北信、東信）「落ちた」「おっこちた」が促音便化したもの。用例：「試験に落ったらどうしよう?」。また南信に限り「居た」の意も。
* お{{高ピッチ発音/太字|ひゃらか}}す/お{{高ピッチ発音/太字|しゃらか}}す：（北信、東信、中信）「からかう」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|めった}}い：（北信、東信、中信）「めんどくさい」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|お}}らほ:（東信）、お{{高ピッチ発音/太字|ら}}ほ：（南信）「俺の方」「俺たち」の意。用例「おらほの村では…」
* お{{高ピッチ発音/太字|ろぬ}}く/お{{高ピッチ発音/太字|ろの}}く：（北信、東信、中信）「間引く」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|やげな}}い：（東信、中信、南信）「かわいそう」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|やす}}：（東信、中信）「（仕事を）終らせる」の意。
* お{{高ピッチ発音/太字|やすみなさ}}い：（東信、南信）「さようなら」の代用語。日没前であっても使用する。
* お{{高ピッチ発音/太字|んかに}}：（全県）「公然と」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|お}}んじょう：（中信、南信）「文句」「泣き言」の意。「音声」に由来。
* が{{高ピッチ発音/太字|あた}}： （東信、中信、南信）「外周」「外殻」の意。
* が{{高ピッチ発音/太字|あたく}}（{{高ピッチ発音/太字|が}}た）/ご{{高ピッチ発音/太字|ったく}}（{{高ピッチ発音/太字|ご}}た）：（北信、東信、中信）「散らかっている様子」「ろくでなし」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|いしき}}：（北信、東信）「まるっきり」「皆目」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|か}}う： （中信、南信）「かける」「あてがう」の意。用例：「ボタンをかう」「毒（ぶす）をかう」
* か{{高ピッチ発音/太字|かしら}}う： （北信、東信、中信）「嘲弄する」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|がっぽ}}い/か{{高ピッチ発音/太字|がっぽし}}い：（北信、東信）「まぶしい」の意。中信・南信の「ひどろっこい」に同じ。
* か{{高ピッチ発音/太字|じけ}}る： （中信、南信）「（身体の一部が）かじかむ」の意。用例：「手がかじけた」
* か{{高ピッチ発音/太字|ずけ}}る：（全県）「口実にする」「かこつける」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|ったる}}い/け{{高ピッチ発音/太字|ったる}}い：（東信、南信）「だるい」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|た}}る/か{{高ピッチ発音/太字|て}}る：（全県）「加える」の意。子どもが集団遊びに参加したいとき「かてて」などと言う。共通語にも「かてて加えて」という表現がある。
* か{{高ピッチ発音/太字|まける}}：（北信、中信）「愚痴をいう」の意。東信では（物事に）「いそしむ」の意となる。
* か{{高ピッチ発音/太字|み}}ゆき【上雪】：（北信、東信、中信）「[[南岸低気圧]]通過型の気象状況のときに降る雪」の意。（→しもゆき）
* か{{高ピッチ発音/太字|や}}？：（全県）疑問文の語尾につく。「かな？」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|からか}}す：（中信、南信）「乱暴に…する」の意。用例：「食いからかす」
* か{{高ピッチ発音/太字|わば}}る：（北信、中信）「（表面が乾いて）固くなる」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|んか}}ら：（北信、東信、中信）「空き缶」の意。
* か{{高ピッチ発音/太字|んじ}}る【寒じる】：（北信、東信、中信）「寒さが身にしみる」「（全身が）かじかむ」の意。身体の一部がかじかむ場合には使わない。「し{{高ピッチ発音/太字|み}}る」が物理的低温をさすのに対し、「寒じる」は体感温度の低さをさす<ref name=G>{{harvnb|『信州のことば』}}</ref>。
* か{{高ピッチ発音/太字|んます}}：（北信、東信、中信）「掻き回す」の意。
* き{{高ピッチ発音/太字|なし}}：（北信、東信、中信）「無意識に、なにげなく」の意。用例：「きなしに捨てちまったわ」
* き{{高ピッチ発音/太字|のうな}}、き{{高ピッチ発音/太字|んな}}、き{{高ピッチ発音/太字|んの}}：（全県）「昨日は」の意。
* き{{高ピッチ発音/太字|びしょ}}：（全県）「急須」の意。
* ぐ{{高ピッチ発音/太字|ざ}}る(1)：（中信、南信）「叱る」の意。
* ぐ{{高ピッチ発音/太字|ざ}}る(2)：（東信、南信）「（子供が）むずがる」の意。
* く{{高ピッチ発音/太字|ぜ}}る/ぐ{{高ピッチ発音/太字|ぜ}}る：（東信、中信、南信）「（鳥が）さえずる」の意。
* く{{高ピッチ発音/太字|ち}}い：（北信、東信、中信）（満腹で）「腹が苦しい」状態。
* く{{高ピッチ発音/太字|つばす}}/く{{高ピッチ発音/太字|つばかす}}：（全県）「くすぐる」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|く}}ね：（北信、東信、中信）「垣根」の意。
* く{{高ピッチ発音/太字|ね}}る/{{高ピッチ発音/太字|く}}ねている：（全県）「おとなびている」の意。動詞の様態をとる。
* く{{高ピッチ発音/太字|ねっぽ}}い：（中信、南信）「おとなびている」の意。形容詞の様態をとる。
* {{高ピッチ発音/太字|く}}む(1)：（中信、南信）「交換する」の意。
* く{{高ピッチ発音/太字|む}}(2)：（中信、南信）「崩落する」の意。
* …くら/けら：（北信、東信、中信）「回数」「度数」の意。用例：「10くら、20くら」
* く{{高ピッチ発音/太字|らせる}}：（全県）「殴りつける」の意。用例：「くらしつけるぞ！」
* く{{高ピッチ発音/太字|りくり}}：（北信、東信）「残らず」「きれいさっぱり」の意。用例：「くりくり盗まれた」
* く{{高ピッチ発音/太字|れる}}：（全県）「（物を）あげる」「くれてやる」の意。用例：「花に水をくれる」
* {{高ピッチ発音/太字|げ}}いに：（全県）「力強く」「強引に」の意。
* げ{{高ピッチ発音/太字|いもな}}い：（北信、東信、中信）「…する甲斐も無い」「もったいない」の意。
* け{{高ピッチ発音/太字|えこ}}む：（東信、中信）「汲みこむ」の意。
* け{{高ピッチ発音/太字|えだ}}す：（東信、中信）「汲み出す」の意。
* け{{高ピッチ発音/太字|たく}}る：（東信、中信）「蹴りつける」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|けつか}}る：（全県）「…していやがる」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|け}}そけそ：（北信、東信）「平気である様子」の意。北信では「日が暮れる」の意もある。
* け{{高ピッチ発音/太字|なる}}い：（中信、南信）「うらやましい」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|け}}もない：（中信、南信）「た易い」の意。
* け{{高ピッチ発音/太字|やす}}：（全県）「消す」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|け}}んども：（北信、東信、中信）「…けれども」の転訛。
* {{高ピッチ発音/太字|ご}}うがわく/{{高ピッチ発音/太字|ご}}うがいれる：（全県）「腹が立つ」「しゃくにさわる」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|こ}}がふく：（北信、東信、中信）「黴が生える」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|ぎ}}る：（北信、中信、南信）「値切る」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|こ}}く：（全県）「言う」の意。特に文句などをいう場合に使う。用例：「文句をこくな」
* こ{{高ピッチ発音/太字|ぐ}}：（東信、中信）「（植物を）引き抜く」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|ごり}}：（北信、東信、中信）「塊」の意。共通語にも「煮こごり」などがある。
* ご{{高ピッチ発音/太字|ざ}}る(1)：（全県）「いる」の謙譲の意。
* ご{{高ピッチ発音/太字|ざ}}る(2)：（北信、東信、中信）「腐る」の意。東信では「死ぬ」「気が触れる」の意味もある。
* ご{{高ピッチ発音/太字|した}}い、ご{{高ピッチ発音/太字|して}}え：（北信、東信、中信）「とても疲れた」の意。この言葉は北信北部、諏訪、上伊那を中心に、広い範囲に点々と分布する。「(疲れて)腰が痛い」が変化したと推測される。
* こ{{高ピッチ発音/太字|す}}い：（全県）「ずるい」「卑怯」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|ずむ}}：（中信、南信）「沈澱」するの意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|そっぽ}}い：（北信、東信、中信）「（ざらざらしていて）滑らかでない」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|て}}る：（北信、東信）「堪える」の転訛。
* こ{{高ピッチ発音/太字|なす}}：（東信、中信、南信）「脱穀する」「収穫する」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|のがる}}：（全県）「前かがみになる」「中腰になる」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|のけ}}んまく/こ{{高ピッチ発音/太字|んね}}んまく：（北信、東信、中信）「こんなにもたくさん」の意。
* ご{{高ピッチ発音/太字|むさ}}い：（北信、東信）「汚い」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|もっつるし}}：（中信、南信）「戸を開け放した状態」の意。
* こ{{高ピッチ発音/太字|わ}}い(1)【強い】：（東信、中信、南信）「硬い」の意。本来の意味であり、固いことを「こわい」とよぶ表現は共通語にも「[[おこわ]]」という単語の中に生きている。恐怖心を表す「こわい」は「おっかない」を使う。
* こ{{高ピッチ発音/太字|わい}}(2)：（北信、東信、中信）「濃厚な」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|こ}}ん：（北信、中信）「こと」の転訛。用例：「そんなこんねーわ」
* さ{{高ピッチ発音/太字|かる}}：（北信、東信、中信）「繁盛する」の意。用例：「さかってる店だ」
* さ{{高ピッチ発音/太字|がねる}}/さ{{高ピッチ発音/太字|なげる}}：（北信、東信、中信）「探索する」の意。
* さ{{高ピッチ発音/太字|く}}る：（全県）「畝を作る」「中耕する」の意。
* さ{{高ピッチ発音/太字|さらほ}}うさら：（全県）「いい加減な」「支離滅裂な」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|さ}}しゃく：（東信、中信、南信）「指図」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|さら}}：（中信、南信）「…ごと全部」の意。
* さ{{高ピッチ発音/太字|んだす}}：（全県）「差し出す」の転訛。
* じ{{高ピッチ発音/太字|くたみ}}/じ{{高ピッチ発音/太字|くったみ}}：（北信、東信、中信）「湿地帯」「ぬかるみ」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|こ}}う：（北信、東信、中信）「風采」「身なり」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|なくれる}}：（全県）「乾いて縮む」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|み}}る【凍みる】：（北信、東信、中信）「凍りつく」「気温が下がる」の意。アクセントは中高型で、共通語の「（寒さが身に）しみる」の平板型と異なる。
* し{{高ピッチ発音/太字|も}}ゆき【下雪】：（北信、東信、中信）「大陸からの寒気の吹き出しや[[シベリア気団|寒気団]]の影響などによる雪」の意。（→かみゆき）
* …{{高ピッチ発音/太字|じゃ}}ん（{{高ピッチ発音/太字|じゃ}}んか）：（東信、中信、南信）「…じゃないか」の意。[[東海東山方言]]から首都圏を経由して全国に伝播したものとして知られ、長野県下でも大正時代頃から使われ始めたが、当初は女性語としての意識が強かったという<ref name=G/>。長野県方言では「じゃん」や「…じゃねえか」は動詞の終止形に接続して勧誘の意味を併せ持つが、共通語には見られない用法である。用例：「そろそろ行くじゃんか、…行くじゃねえか（そろそろ行こう）」。<br />また伝聞表現と融合して「…（なん）だってじゃん」となることもあるが、これも共通語には見られない独特の語形であると言えよう。用例：「明日、雨（なん）だってじゃん。」<br />東信と中南信では、平板型動詞に接続した場合のアクセントが異なる。用例：行くじゃん（東信 い{{高ピッチ発音/太字|く}}じゃん / 中南信 い{{高ピッチ発音/太字|くじゃ}}ん）
* {{高ピッチ発音/太字|しょ}}う：（北信、東信、中信）「衆」の転訛。後述する北信地域に顕著な音韻的特徴だが、他の地域にも分布する。用例：「あそこのしょうは…」
* しょ{{高ピッチ発音/太字|うし}}い：（北信、東信）「恥ずかしい」の意。
* じょ{{高ピッチ発音/太字|うや}}：（北信、東信、中信）「始終」「常日頃」の意。
* しょ{{高ピッチ発音/太字|ずむ}}/しょ{{高ピッチ発音/太字|まむ}}：（中信、南信）「手でつかむ」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|る}}：（北信、東信、中信）「する」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|わ}}い：（東信、中信）「吝嗇である」の意。
* し{{高ピッチ発音/太字|んとう}}：（東信、中信、南信）「（物体の）芯」の意。
* …ず：（全県）「…しましょう」の意。勧誘や意思を表し、動詞の未然形語幹につく。ただし、南信方言では勧誘には用いず意思のみに用いる。古語の「むず」に由来する。[[碓氷峠]]は「べ、べぇ」を使う[[西関東方言]]との境界なので「鳴くべ鳴かずの峠」と呼ばれた（ただし、碓氷峠以西の[[佐久地域]]にも「べえ」は分布しており、[[群馬県]]境に位置する[[軽井沢町]]では「ず」よりも「べえ」の方が使用頻度が高い<ref name="tozai"/><ref name="kenshi"/>。また、若い層ほど使用する傾向にある<ref name="shinshu">馬瀬良雄（1971年）『信州の方言』</ref>。「する」につく場合は南信方言以外の地域では「せず」ではなく「しず」になる。これは「する」を「しる」というからである。「…ず」が「…ざぁ」に転訛する地域もあり、また「…ずか」が「っか」に転訛する地域もある。例：「そろそろ行かず、…行かざぁ」「…行かっか」（そろそろ行きましょう、…ましょうか）。北信地方とそれ以外で平板型動詞に接続した場合のアクセントが異なるが、起伏型の場合は同じ。用例：行かず（北信 い{{高ピッチ発音/太字|か}}ず / それ以外 い{{高ピッチ発音/太字|かず}}） 書かず（全県 {{高ピッチ発音/太字|か}}かず）
* ず{{高ピッチ発音/太字|く}}：（全県）しばしば共通語による定義ができないとされる名詞。強いて言うならば、億劫がって何かをやりだそうとしない状態を「（あなたは）ずく無しだ」などと形容するが、その逆になにか面倒なことを敢えてするようなときに「ずくを出す」と用いられることもある。あるいは、エネルギー（精神的なものを含む）の積極的な消費を厭わないような性質のこととも言える。<br />その構造分析に於いては、「ずく（主語）-が-無い（述語）」がひとつのセンテンスである、と見る者もあれば、「ずく無し（だ）」が一語の形容動詞である、と見る者もある。
* ず{{高ピッチ発音/太字|こ}}/ず{{高ピッチ発音/太字|こったま}}：（北信、東信）「頭部」の意。
* ず{{高ピッチ発音/太字|だい}}/ず{{高ピッチ発音/太字|でえ}}：（全県）「まったく」「一向に」の意。
* す{{高ピッチ発音/太字|てでか}}い：（東信、南信）「巨大な」の意。
* す{{高ピッチ発音/太字|てばて}}：（北信、東信）「手に負えないもの」の意。
* ず{{高ピッチ発音/太字|な}}い：（北信、東信）「意地悪」「図太い」の意。
* ず{{高ピッチ発音/太字|ら}}：（東信、中信、南信）推量、同意、確認の語尾の一種。「…だろう？」の意。「…ずらむ」から変化したと思われる。「だら（ら）」と併用される伊那谷地方や、「べえ」と併用される佐久地方の場合、それぞれ「だら（ら）」や「べえ」のほうが「ずら」よりも確実性が強い場合に使用されるという<ref name=F/><ref name=G/>。用例：「降るら（伊那）/降るべえ（佐久）」（きっと降るだろう）、「降るずら」（降るだろうとは思うが、果たしてどうだろう）。<br />過去の場合は「つら」とも。例）「学校行っつら？」「…行ったっつら」（学校へ行ったんでしょ？）
* ず{{高ピッチ発音/太字|る}}い：（北信、東信、中信）「動作が鈍い」の意。この場合、狡猾を表す「ずるい」には「こすい」を使う。
* す{{高ピッチ発音/太字|んがけに}}：（東信、中信、南信）「即座に」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|せ}}んしょう：（東信、中信）「お節介」の意。
* ぞ{{高ピッチ発音/太字|ざえ}}る/ぞ{{高ピッチ発音/太字|ぜえ}}る：（全県）「甘える」の意。
* そ{{高ピッチ発音/太字|ばえ}}る/そ{{高ピッチ発音/太字|べえ}}る：（東信、南信）「ふざける」の意。
* そ{{高ピッチ発音/太字|っけ}}る：（東信、中信）「好機を失う」の意。用例：「電車に乗りそっけちまった」
* そ{{高ピッチ発音/太字|らっこと}}：（北信、東信、中信）「嘘」の意。
* せ{{高ピッチ発音/太字|う}}：（北信、木曽）「言う」の意。「そう言う」に由来。
* せ{{高ピッチ発音/太字|っこうい}}い：（北信、東信、中信）「根気よく働く」の意。
* せ{{高ピッチ発音/太字|る}}：（南信）「する」の意。名古屋付近に多い言い方。
* せ{{高ピッチ発音/太字|んど}}：（北信、東信、中信）「先ごろ」「過日」の意。
* た{{高ピッチ発音/太字|いら}}：（全県）「盆地」の意。主に長野県の地形をさす。
* だ{{高ピッチ発音/太字|いろ}}/で{{高ピッチ発音/太字|えろ}}：（北信、東信）「かたつむり」の意。西日本方言に類似した語彙がなく、「[[蝸牛考]]」による[[方言周圏論]]が成り立たない例<ref>{{Cite book|和書|author=出野憲司 |title=残したい方言 2 : 暮らしに息づく信州のことば |publisher=信濃毎日新聞社 |year=2016 |series=信毎選書 |NCID=BB20922358 |ISBN=9784784072804 |id={{全国書誌番号|22708207}}}}</ref>。
* た{{高ピッチ発音/太字|しな}}い：（東信、中信、南信）「乏しい」「稀少な」の意。
* だ{{高ピッチ発音/太字|で}}：（中信、南信）語尾につく[[終助詞]]。「だぜ」「ですよ」。東筑摩で「だじ」とも。
* た{{高ピッチ発音/太字|ね}}る：（北信、中信、南信）「（背負う荷物の）荷造りをする」の意。
* だ{{高ピッチ発音/太字|まか}}す/だ{{高ピッチ発音/太字|まくらか}}す：（全県）「欺く」の意。
* た{{高ピッチ発音/太字|め}}る：（全県）「狙いをつける」の意。
* …だらず：（北信、東信）推量。「…だろう」の意。「…にてあらむとす」から変化したと思われる<ref>{{Cite book|和書|author=小池博子 |title=信州 ふるさとのことば |publisher=八十二文化財団 |year=2012 |NCID=BB10526627 |id={{全国書誌番号|22162589}}}}</ref>。中信・南信・佐久地方の「ずら」と似るが、両者が併用される佐久の場合、「だらず」のほうが確実性が強い場合に使用されるという<ref>『佐久市志 民俗編下巻』</ref>。佐久地方以外では「…だろう」と併用され、北信の北端部では専ら「…だろう」のみとなる<ref name=kenshi/>。<br />北信と東信では、平板型名詞に接続した場合のアクセントが異なる。用例：お前だらず（北信 お{{高ピッチ発音/太字|まえだら}}ず / 東信 お{{高ピッチ発音/太字|まえだ}}らず）
* …{{高ピッチ発音/太字|だれ}}：（北信、東信）「…たち」の意。用例：「おいだれ、わんだれ（お前たち）」「おらだれ（俺たち）」
* だ{{高ピッチ発音/太字|れ}}え：（北信、東信、中信）相手の言葉を否定する際に反語的に用いられる。「誰がそんなこと言った/した？（誰もしてないだろ？）」の意。
* ち{{高ピッチ発音/太字|がしぬ}}【血が死ぬ】：（北信、東信）打撲した際に内出血した部位（蒼くなったところ）をさす。用例：「血ぃ死んだ」
* ち{{高ピッチ発音/太字|だらま}}っか：（東信、中信）「血みどろ」の意。
* ちっ{{高ピッチ発音/太字|とべ}}え：（北信、東信）「少しくらい」の意。
* ち{{高ピッチ発音/太字|みち}}/ち{{高ピッチ発音/太字|のみち}}（東信、中信）「血縁者」の意。用例：「弟とはちのみちだ」。共通語では「血管」をさす。
* ちゃ{{高ピッチ発音/太字|っと}}：（全県）「早急に」の意。
* ちゃ{{高ピッチ発音/太字|んする}}：（北信、東信）「正座する」の意。
* ちょ{{高ピッチ発音/太字|うきゅ}}う：（中信、南信）「まともな様子」の意。
* ちょ{{高ピッチ発音/太字|んこづ}}く：（北信、東信）「調子に乗る」の意。
* つ{{高ピッチ発音/太字|くな}}る：(北信、中信、南信) 「（力が抜けて）へたり込む」の意。
* つ{{高ピッチ発音/太字|ぶあし}}/つ{{高ピッチ発音/太字|ぼあし}}：(北信、東信、中信) 「素足」の意。
* つ{{高ピッチ発音/太字|んもぐ}}る/つ{{高ピッチ発音/太字|んも}}る：(中信、南信) 「（下へ）突き抜ける」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|で}}えじん：（北信、東信）「金持ち」を揶揄する語。「大尽」の転訛。
* て{{高ピッチ発音/太字|きな}}い：(北信、中信) 「疲れた」の意。「ごしたい」と意味が似るが、「てきない」は松本盆地や木曽、北信南部を中心に、かたまって分布する。
* て{{高ピッチ発音/太字|んづけ}}：（北信、東信、中信）「最初」「真っ先」の意。
* て{{高ピッチ発音/太字|んびね}}/と{{高ピッチ発音/太字|んびね}}：（東信、中信）「山頂」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|うじる}}：(東信、中信) 「（患部を）水や液状の薬に浸す」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|がめる}}：（北信、東信）「化膿する」の意。
* ど{{高ピッチ発音/太字|うず}}く：(全県) 「どつく」「殴りつける」の意。
* ど{{高ピッチ発音/太字|うず}}る：（北信、東信) 「怠ける」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|き}}に：(東信、中信) 「当座に」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|ぶ}}：（全県）走る、駆ける。「とびっくら」は「かけっこ」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|まぐち}}：(全県) 「玄関」の意。
* と{{高ピッチ発音/太字|ろっぴょう}}/と{{高ピッチ発音/太字|ろっぴょうし}}：（北信、南信）「いつも」「間断なく」の意。
* ど{{高ピッチ発音/太字|やす}}：(全県) 「どつく」「殴りつける」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|な}}おしか：(北信、中信)「なおさら」の意。
* な{{高ピッチ発音/太字|から}}【半ら】：（全県）「半ば」ではなく、「ほとんど」「ほぼ」の意。
* な{{高ピッチ発音/太字|ぎ}}：（東信、中信、南信）「（山の）崩落地」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|な}}して：(北信、中信) 「…なさって」の意。「なさる」に助詞「て」が接続する場合は「なさって」ではなく「なして」となる<ref name=G/>。
* な{{高ピッチ発音/太字|せい}}/の{{高ピッチ発音/太字|せい}}：（北信、東信、南信）「緩やかな傾斜」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|な}}な…と：（北信、東信）動詞の活用語幹につき禁止を表す。古語の「な…そ」に由来する。 用例：「ななやっと」「ななしと」
* …{{高ピッチ発音/太字|な}}りきに、…{{高ピッチ発音/太字|な}}りきの：（北信、東信、中信）「…なりに、…なりの」の意。用例：「それなりきに努力が必要だ」
* な{{高ピッチ発音/太字|る}}い：（北信、中信、南信）「緩やかだ」「容易だ」の意。
* …{{高ピッチ発音/太字|な}}んじゃった：（中信、南信）動詞の未然形につき、過去否定「…なかった」の過失態を表す。用例：「行かなんじゃった」
* …な{{高ピッチ発音/太字|んし}}：（東信、中信、南信）「…なさってください」の意。 江戸時代の[[廓詞]]に由来。
* {{高ピッチ発音/太字|な}}んたら：（北信、東信、南信）「なんと」の意。強調を表す。
* に{{高ピッチ発音/太字|かっこ}}：（北信、中信）「新生児」の意。
* に{{高ピッチ発音/太字|な}}う：（東信、中信）「（神輿や箪笥などの大きなものを）ふたりで担ぐ」の意。
* ぬ{{高ピッチ発音/太字|く}}い/ぬ{{高ピッチ発音/太字|くと}}い/の{{高ピッチ発音/太字|くと}}い：（全県）「あたたかい」の意。東海地方での使用例もある。
* ね{{高ピッチ発音/太字|ぐさ}}い：（北信、東信、中信）「腐臭がする」の意。
* ね{{高ピッチ発音/太字|なくら}}：（北信、東信）「出鱈目」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|ね}}このしっぽ：（中信、南信）「末っ子」の意。
* …のざ{{高ピッチ発音/太字|っぺ}}えに：（北信、東信、中信）「…のくせに」の意。用例：「子供のざっぺえに」
* の{{高ピッチ発音/太字|っくむ}}：（北信、東信）「嚥下する」の意。
* の{{高ピッチ発音/太字|っこ}}す：（東信、中信）「追い越す」の意。
* の{{高ピッチ発音/太字|ぶ}}い：（北信、中信、南信）「図太い」の意。
* （あれ/これ/それ）…っ{{高ピッチ発音/太字|ぱ}}か：（北信、東信）「たったの（あれ/これ/それ）しか」の意。不足感をあらわす。
* ば{{高ピッチ発音/太字|く}}る：（東信、中信、南信）「交換する」の意。
* は{{高ピッチ発音/太字|ざ}}/は{{高ピッチ発音/太字|ぜ}}：（全県）「はさ（稲架）」の転訛。
* は{{高ピッチ発音/太字|じくな}}る：（北信、中信）「中腰になる」の意。
* は{{高ピッチ発音/太字|しゃぐ}}：（北信、東信、中信）「乾燥する」の意。用例：「桶がはしゃぐ」
* {{高ピッチ発音/太字|ば}}そく：（全県）「即座に」「突然」の意。
* ば{{高ピッチ発音/太字|っちらがう}}/ば{{高ピッチ発音/太字|っちらがる}}：（東信、南信）「先を争う」「競って…する」の意。
* は{{高ピッチ発音/太字|なる}}/は{{高ピッチ発音/太字|なある}}：（全県）「始まる」の転訛。
* は{{高ピッチ発音/太字|ば}}：（北信、東信、中信）「段丘崖」の意。
* は{{高ピッチ発音/太字|や}}す：（東信、南信）「孵化させる」の意。
* ば{{高ピッチ発音/太字|らざくれ}}：（東信、中信）「薔薇の棘などによる擦過傷」の意。
* ば{{高ピッチ発音/太字|んてに}}/ば{{高ピッチ発音/太字|んて}}っこに：（全県）「交代交代に」の意。
* は{{高ピッチ発音/太字|んぺた}}：（全県）「分割した半分」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|ひ}}いて/{{高ピッチ発音/太字|ひ}}して：（北信、東信、中信）「一日中」「終日」の意。一晩中は「よっぴて」。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|き}}る：（北信、東信、中信）「（蚕が上蔟して）熟蚕になる」の意。
* び{{高ピッチ発音/太字|しょった}}い/ぶ{{高ピッチ発音/太字|しょった}}い：（全県）「汚らしい」の意。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|すば}}る/ひ{{高ピッチ発音/太字|すび}}る：（北信、東信、中信）「干からびる」の意味。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|だりっかち}}：（東信、中信）「左利き」の意。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|だる}}い：（北信、東信、南信）「空腹だ」の意。対義語は「くちい」。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|と}}っきり：（北信、東信、中信）「少しの間」の意。用例：「ひっときり買い物行ってくる」
* ひ{{高ピッチ発音/太字|どろっこい}}：（中信、南信）「まぶしい」の意。北信・東信の「かがっぽい」に同じ。
* ひね…：（北信、東信、中信）名詞の前について「古い」ことを表す。用例：「ひね漬け」「ひね餅」
* ひ{{高ピッチ発音/太字|やか}}す：（東信、中信）「水に浸す」の意。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|わか}}い：（北信、東信、中信）「未熟な」の意。
* ひ{{高ピッチ発音/太字|んまが}}る/へ{{高ピッチ発音/太字|んまが}}る：（北信、中信、南信）「まがる」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|へ}}え：（全県）話題や行動の転換時に使う間投詞。「早や」の転訛で「もう」「早くも」の意。南信では「はい」とも言う。用例： 「へえ、昼飯食わず(食べましょう)」「はい、帰る頃だ」
* {{高ピッチ発音/太字|べ}}ど：（全県）「土」の意。
* へ{{高ピッチ発音/太字|ぞ}}る：（中信、南信）「反り曲がる」の意。
* へ{{高ピッチ発音/太字|ず}}る/へ{{高ピッチ発音/太字|つ}}る：（北信、東信、南信）「減らす」の意。
* へ{{高ピッチ発音/太字|ぼ}}い：（全県）「弱い」「不出来だ」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|へ}}ら：（全県）「舌」の意。
* へ{{高ピッチ発音/太字|んぼ}}：（北信、中信）「蝿」の意。
* ぶ{{高ピッチ発音/太字|ちゃる}}/び{{高ピッチ発音/太字|ちゃる}}/べ{{高ピッチ発音/太字|ちゃる}}：（全県）「捨てる」の意。「打ち遣る」の転訛。
* ぶ{{高ピッチ発音/太字|に}}：（全県）「分け前」の意。
* ぶ{{高ピッチ発音/太字|るくる}}/ぶ{{高ピッチ発音/太字|るける}}：（北信、中信、南信）「吊り下げる」の意。
* ほ{{高ピッチ発音/太字|きる}}/ほ{{高ピッチ発音/太字|ける}}：（北信、東信、中信）「（植物が）繁茂する」の意。
* ぼ{{高ピッチ発音/太字|こ}}：（全県）「幼児」の意。
* ぼっ{{高ピッチ発音/太字|ち}}：（中信、南信）「突起部」「つまみ」の意。「栓」の意味で使う地域もある。
* ほ{{高ピッチ発音/太字|とば}}す【潤ばす】：（北信、中信）「水に浸す」の意。古語の「ほとぶ」に由来。自動詞形は「潤びる」。
* ま{{高ピッチ発音/太字|えで}}/ま{{高ピッチ発音/太字|いで}}(めーで)：（全県）（位置的に）手前・前方。「まえで(通りますが)失礼(します)」のように使う。「前で○○する。」という用法とは異なる。
* ま{{高ピッチ発音/太字|き}}/ま{{高ピッチ発音/太字|け}}：（全県）「一族」「血縁集団」の意。
* ま{{高ピッチ発音/太字|くら}}う：（全県）「大食する」の意。
* まっ{{高ピッチ発音/太字|つ}}ぐ：（北信、東信、中信）「まっすぐ」の転訛。
* ま{{高ピッチ発音/太字|ていに}}：（全県）「丁寧に」の意。
* ま{{高ピッチ発音/太字|ねる}}：（北信、東信）「告げ口をする」の意。
* ま{{高ピッチ発音/太字|ま}}/ま{{高ピッチ発音/太字|まっかけ}}（全域）「断崖」の意。
* ま{{高ピッチ発音/太字|まやく}}：（北信、東信、中信）「吃音する」の意。
* ま{{高ピッチ発音/太字|めな}}：（東信、中信、南信）「健康な」「壮健な」の意。共通語では「勤勉な」「誠実な」の意味となり、用法が異なる。
* {{高ピッチ発音/太字|ま}}る【放る】：（北信、東信、中信）「排泄する」の意（古語に由来）。
* み{{高ピッチ発音/太字|ぐさ}}い：（北信、東信、中信）「醜い」「格好悪い」の意。
* み{{高ピッチ発音/太字|じゃける}}/む{{高ピッチ発音/太字|じゃける}}：（北信、東信、中信）「粉砕する」の意。
* み{{高ピッチ発音/太字|やま}}しい：（中信、南信）「（物が）整っている」「（人の性格が）品行方正な」の意。
* む{{高ピッチ発音/太字|ける}}：（北信、中信）「孵化する」の意。自動詞形は「むく」。
* {{高ピッチ発音/太字|む}}せっけいに：（北信、東信）「向こう見ずに」の意。
* む{{高ピッチ発音/太字|かさる}}：（北信、東信）「嫁ぐ」の意。
* む{{高ピッチ発音/太字|っく}}し：（北信、東信、中信）「（否定語を伴って）いっこうに」の意。 用例：「むっくし動かない。」
* {{高ピッチ発音/太字|め}}た：（北信、東信、中信）「やたらに」「好き勝手に」「尚更」の意。
* も{{高ピッチ発音/太字|うらし}}い：（北信、東信、中信）「かわいそう」の意。
* {{高ピッチ発音/太字|も}}おる：（全県）「（雨などが）漏る」の意。
* や{{高ピッチ発音/太字|くや}}く：（全県）「わざわざ」の意。
* や{{高ピッチ発音/太字|けっつ}}る：（東信、中信）「やけどする」の意。
* や{{高ピッチ発音/太字|しむ}}：（東信、中信）「叱責する」の意。
* …やす：（北信、東信）「…ます」の意味だが、「ます」とはアクセントが異なる。用例：行きやす（い{{高ピッチ発音/太字|き}}やす）
* {{高ピッチ発音/太字|や}}だくて：（北信、東信、東筑摩・安曇）「嫌になって」の意。形容動詞のような形態をしながら形容詞のような活用をする。連用形「やだくなる」連用形「やだかった」連体形「やだ（やつ）」仮定形「やだけりゃ」
* や{{高ピッチ発音/太字|ぶせったい}}：（北信、東信、中信）「うっとうしい」「気分が晴れ晴れしない」の意。
* や{{高ピッチ発音/太字|のあさ}}って/し{{高ピッチ発音/太字|あさ}}って<ref name=A>国立国語研究所（1975年）「日本言語地図6」</ref>：あさっての翌日が[[東日本方言]]のように「やのあさって」系の語彙になる地域は奥信濃・北信・東信及び中信の一部（東筑摩・安曇）、[[西日本方言]]のように「しあさって」系の語彙になる地域は南信及び中信の一部（上伊那北部・諏訪）。<br />現在は共通語に合わせて後者が主流となっている。
* …やれ：（全県）動詞の命令形に接続する。補助動詞「ある」の命令形「あれ」（「お試しあれ」「ご覧あれ」など）に由来<ref name="kiso"></ref>。現在は「…や」に置き換わっている。用例：「行けやれ（行けよ）」
* ゆ{{高ピッチ発音/太字|きやけ}}：（北信、東信）「しもやけ」の意。「雪に反射した太陽光線による日焼け」とは異なる。
* よ{{高ピッチ発音/太字|いと}}：（北信、東信、中信）「ゆっくりと」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|うでもな}}い：（東信、南信）「不要な」「役立たずの」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|じける}}：（北信、東信、中信）「よろける」「ぐらつく」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|せる}}：（全県）「（洗濯物を）とりこむ」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|っぴ}}て：（全県）「夜通し」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|て}}る：（北信、東信、中信）「得意とする」の意。
* よ{{高ピッチ発音/太字|ばる}}：（北信、東信、南信）「人を呼ぶ」「招待する」の意。受身形は「よばれる」。
* よ{{高ピッチ発音/太字|ろぐ}}/よ{{高ピッチ発音/太字|ろぶ}}：（東信、中信、南信）「（ぐらついて）傾く」の意。
* り{{高ピッチ発音/太字|き}}む：（北信、東信、中信）「威張り散らす」の意。
* ろ{{高ピッチ発音/太字|くったま}}：（東信、中信）「（否定語を伴って）ろくに」の意。
* わ{{高ピッチ発音/太字|かされ}}：（全県）「（交通の）分岐点」「追い分け」の意。
* わ{{高ピッチ発音/太字|に}}る：（全県）はにかむ、人見知りする。主に幼児に対して用いる。
* わ{{高ピッチ発音/太字|で}}：（北信、東信、中信）「（位置的に）上の方」の意。「上手」と書くことが多い。
=== 奥信濃方言 ===
[[新潟県]]の「南越方言」（魚沼地方）にきわめて類似し、信州方言の語彙、音韻、アクセントの特徴が当てはまらないことが多い。そのため[[平山輝男]]は[[越後方言]]の一部に分類している。<ref name=D>{{Cite book|和書|author=平山輝男 |title=現代日本語方言大辞典 |publisher=明治書院 |edition=全9冊 |year=1992 |ISBN=4625521378 |id={{全国書誌番号|92028007}} |quote=引用は1巻}}</ref>
中でも言語の島として知られる[[秋山郷方言]]の語彙は以下の書籍に詳しい「<ref name=F>{{Cite book|和書|author=馬瀬良雄 |title=長野県方言辞典 |publisher=信濃毎日新聞社 |year=2010 |ISBN=9784784071265 |id={{全国書誌番号|21750507}} |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010835535 |ref={{harvid|『長野県方言辞典』}}}}</ref>秋山郷の方言」。
=== 北信方言 ===
隣接する[[越後方言|越後弁]]と類似する特徴を持つ。
==== 共通の語彙 ====
* あ'''んじょ'''：尼僧を意味する「あんじゅ（庵住,庵主）さん」の転訛。
* い'''の'''しか'''が'''ん：「猪鹿雁」の意。[[花札]]の役である[[猪鹿蝶]]（いのしかちょう）について、蝶（牡丹の種札）の代わりに雁（芒の種札）を用いて完成させるローカルルール。猪鹿鳥（いのしかちょう）と呼ぶこともある。
* え'''ん'''：「飲料に溶け込んだ二酸化炭素（炭酸ガス）」の意。用例：「こんな えんの抜けたビールが飲めるか！」
* お'''き'''：広い田んぼや耕地をさす。「…沖」という地名が多く分布する。
* お'''ざ'''んざ：「麺類」の意。
* お'''とこしょう'''/お'''んなしょう'''：「男性たち、女性たち」の意。「衆（しゅう）」の転訛。
* '''か'''すをこく：「生意気なことを言う」の意。
* き'''ぼつく'''：「小理屈を言う」の意。
* '''け'''そけそする：「日が暮れる」の意。
* …し'''まに'''：…がけに。動詞の連用語幹につく。古語の「…しなに」と同じ。用例：「帰りしまに」
* す'''くだま'''る/す'''くだ'''む：「蹲踞する」の意。
* す'''らんぽ'''：「どんぐり」の意。
* せ'''せ'''る/せ'''せく'''る：「弄ぶ」の意。
* そ'''さび'''：「間食」の意。
* '''だ'''あ：「いいえ」「（否定語を伴って）誰が…か」の意。
* た'''あくらた'''あ：「田蔵田(たくらだ：馬鹿者)」の意。[[馬鹿#方言と分布状況|馬鹿の方言と分布状況]]のタクランケを参照。
* '''ちょ'''っけはやい：「すばしっこい」の意。
* て'''んこ'''：「一斗缶」の意。
* …'''とくら'''い：動詞に接続して「…てください」の意。
* '''な'''す： 「（債務を）弁済する」の意。
* な'''っちょ'''：「どのように」「どんな」の意。
* ね'''ておき'''る：（寝て起きる） 「短時間寝る」「仮眠を取る」の意。「長時間寝る」「本格的に寝る」場合は「ね'''る'''」という。
* は'''し'''る：「去る」の意。過去形は「'''は'''した」となる。
* は'''ちの'''あ'''たま'''：「蜂の頭」のことだが、勢いをつけるための[[言葉遊び|無駄口]]の一種であり、実際には特に意味はない。用例：「…も蜂の頭もあるか！」
* ひ'''ごす'''い：「表裏ある」の意。
* '''ま'''くまくする：「日が暮れる」の意。
==== 中野・飯山地域 ====
* い'''っせき'''：「常に」「一切」の意。
* い'''っつに'''：「とっくに」の意。
* お'''さめ'''る：「捕まえる」の意。
* '''お'''じ/'''お'''ば：次男以下の兄弟、次女以下の姉妹を言う。長男は「あに」、長女は「あね」。
* が'''ったく'''る：「奪い取る」の意。
* ～かし：動詞の連用形語幹や接続助詞「て」について軽い命令を表す。「寄ってかし（寄ってください）」
* '''ぎ'''る：「捕獲する」の意。
* げ'''っとに'''：「強引に」の意。
* け'''もし'''い：「たくさんあって見事」の意。用例：「林檎がけもしいように生っている」
* '''こ'''ぐ：「（雪などを）掻きわけて進む」の意。
* …'''さ'''けぇ：「…だから」の意。「さかい」の転訛。
* '''ざ'''や：「薄氷」の意。用例：「寒さでざやが張ってる」
* し'''こたれる'''：「破れる」の意。
* '''せ'''こかう：「入れ知恵する」の意。
* た'''っけに'''：「各自銘々に」の意。
* ば'''いつ'''る/べ'''えつ'''る：「奪い合う」の意。
* ふ'''んがしげ'''る：「踏み違える」「足をくじく」の意。
* '''へ'''がいる：「（果実が）熟成しすぎてだめになる」の意。
* '''べ'''ちゃ、'''び'''ちょ： 「風呂」の意。元は幼児語。
* ほ'''うりょうする'''：「（植物が）繁茂する」の意。
* ま'''ぶ'''る：「混ぜ合わせる」の意。
* も'''んじゃく'''る：「丸めて皺だらけにする」の意。
* '''よ'''しか…たら：「仮に…たら」の意。用例：「よしか暇があったら旅行に出るんだが」
==== 長野地域 ====
* お'''もいり'''/お'''もいれ'''：「思い切って」の意。
* お'''め（さん）'''：「あなた」「お前」の意。複数形は「おめ（さん）たち」。
* こ'''うばいがはや'''い：「要領がいい」「気転が利く」の意。
* …ご'''てら'''：「…ごと」の意。
* …し'''ない'''？（するしない？）：「…じゃない？」「…だよね（よね）？」「…しよう」「…だろう」という意味の[[新方言]]。動詞または形容詞の終止形に「しない？」をつけ、勧誘、推量、同意を求めるときに使うが、用法には地域差がある。名詞の後につく場合は「…だしない？」となる。用例：「これってかわいいしない?」（これってかわいくない？）「映画に行くしない?」（映画に行かない？）「あいつってバカだしない？」（あいつってバカじゃない？）<br />[[1940年]]ころ[[須坂市]]で発生し、[[1970年]]ころ隣接の[[長野市]]はじめ長野県北部に拡大したとされているが、[[大正]]末に須坂でとの異説もある。年齢層の若い人がよく使うが、発生当時の若い世代が今現在も使い続けているかは不明である<ref name=F/>。
* ス'''チロパ'''ール：[[発泡スチロール]]の新方言。長野市内の一企業の登録商標が一般名詞化。
* …す'''るきりな'''い：…する以外に方法がない。
* …'''ぞ'''っき：「…ばかり」の意。
* ちょ'''うっくらい'''（ち'''ょっくん'''）：「中くらい」の転訛だが、意味は「真ん中ぐらい」ではなく「大したことない」「適当な」。用例：「あいつはちゅうっくらいなこんしか言わね」
* '''や'''む：「痛む」の意。
* わ'''くめ'''る：「弁済する」の意。
=== 東信方言 ===
[[関東方言]]と共通する方言的特徴を持ち、群馬県境に近づくにつれ増す<ref name=G/>。
==== 共通の語彙 ====
* あ'''い'''って：「歩いて」の転訛。
* '''あ'''たくさ：「たくさん」の意。
* あ'''ばつ'''る：「競ってする」の意。 用例；「釜の底に僅かに残っていた飯を、兄弟であばつって食った。」
* '''あ'''んもて：「世話」の意。
* い'''すかに'''：「たいへんに」「大層」の意。
* い'''ず'''む：「嫉妬する」の意。
* い'''っさら'''：「全然」「まったく」の意。用例：「いっさら聞いたことねえ。」
* '''い'''な：「変な」の意。
* う'''でっこき'''：「手腕家」「技量者」の意。
* お'''いこく'''る：「追い払う」の意。
* お'''おばか'''く：「（場所を）占有する」の意。
* お'''じゅ'''うく/お'''じゅ'''うこ：「生意気」の意。親や先生が子供に「おじゅうくすんな！」
* お'''そなわる'''：「遅参する」の意。
* '''お'''だ：「いい加減な話」「談笑」の意。
* お'''っち'''らした/お'''っち'''りした：「落ち着きのある」の意。
* か'''まけ'''る：「いそしむ」の意。北信や中信では「愚痴をいう」の意になる。
* が'''め'''る：「盗む」の意。
* か'''らっけつ'''：「一文無し」の意。
* ぎょ'''うにく'''：「意地を曲げる」の意。
* け'''えなったりない'''：「不足だ」の意。
* け'''えろくみ'''らい：「開闢以来」の転訛。「未曽有」の意。
* け'''ころに'''：「いい加減に」の意。対義語は「まていに」。
* '''け'''そくれる：「無視する」「しらばっくれる」の意。
* け'''たくそわる'''い：「胸糞悪い」の意。
* け'''っする'''：「便秘する」の意。
* け'''んたかぶ'''る：「虚勢を張る」の意。
* '''け'''んつくくれる：「けんもほろろにする」の意。
* こ'''てえさ'''んねえ/こ'''てえされ'''ねえ：「居心地がいい」「楽だ」の意。
* こ'''そげ'''る：「削り落とす」の意。
* '''こ'''ろふける：「老いて老獪になる」の意。
* こ'''わ'''す：「（高額の貨幣から小額の貨幣へ）両替する」の意。「くずす」とも。
* さ'''く'''い：「気安い」の意。
* し'''たませ'''：「最低限度」の意。
* しょ'''うず'''く：「懲りる」の意。
* '''し'''んの：「くたびれた」の意。用例：「病み上がりでしんのだ」
* '''す'''がいる：「（根菜に）空洞が生じる」の意。
* す'''く'''：「編む」の意。
* す'''くな'''む：「しゃがむ」の意。
* す'''っぺ'''り：「残りなく」「すっかり」の意。
* す'''てきもな'''い：「素敵な」の意。
* ず'''まず'''まとした：「小さくまとまった」の意。
* …せ：方角を表す「…に」「…へ」に相当。「京へ筑紫に坂東さ」は東信では「せ」を使う。
* せ'''えたらは'''じき：「余計なお節介」の意。
* せ'''きさか'''：「せいぜい」の意。用例：「せきさかそんなもんだ」
* そ'''つにする'''：「粗末にする」の意。
* そ'''ぼろった'''い：「喧しい」の意。
* た'''た'''る：「建つ」の意。用例：「あそこに新しい家（店）がたたった。」
* つ'''っかげ'''る：「（手足が）かじかんで自由に動かなくなる」の意。
* つ'''っぺ'''える：「ぬかるみにはまる」の意。
* つ'''れっぱな'''す：「仲間はずれにする」の意。
* つ'''や'''す：「膿を出す」の意。
* て'''ば'''る：「（仕事量が）処理能力を超える」の意。
* て'''ぼっけ'''なし：「経済観念がない人」の意。
* て'''んご'''うをかく：「欲張る」の意。
* に'''えっか'''えす：「ごった返す」「混雑する」の意。
* ぬ'''くとま'''る：「暖まる」の意。
* ね'''こか'''く：「横たわる」「寝る」の意。
* の'''うず'''る：「懈怠する」の意。
* の'''そら'''：「不熱心な」の意。用例：「のそらな奴だ」
* は'''や'''す：「切り揃える」の意。 用例：「野菜の葉をはやす」
* ば'''んきり'''：「その度毎に」の意。
* ひ'''っちが'''える/し'''っちが'''える：「捻挫する」「関節を外す」の意。
* ぶ'''んに'''：「特別に」の意。
* ぶ'''んまわし'''：「コンパス」の意。
* '''ほ'''ぅ： 何か物を指し示すとき等に用いられる間投詞。「ほら」「ほれ」の意。」
* …'''まし'''：「…ごと」の意。「みかんを皮まし食べる」
* ま'''じっぽ'''い：「まぶしい」の意。
* ま'''んざら'''：「（否定語を伴って）まったく」の意。用例：「まんざらわからない」
* み'''がいる'''：「筋肉疲労を起こす」の意。
* む'''しっつ'''る：「（穀物が）虫に食われる」の意。
* め'''ご'''い：「かわいらしい」の意。
* も'''とら'''ない：「自由が利かない」の意。
* も'''と'''る：「役立つ」「有用である」の意。
* も'''もっか'''い/も'''もっち'''い：「くすぐったい」の意。
* よ'''さる'''：「寄り集まる」の意。
* よ'''っちゃば'''る：「寄り集まる」の意。
==== 上田地域 ====
* お'''て'''しょ：「小皿」の意。
* '''お'''おちょうだい：「ご馳走」「もてなし」の意。『大頂戴』か。
* ご'''さまくり'''：「宴の席で最後まで残っている人」の意。
* さ'''っちら'''：「随分とたくさん」の意。
* しゃ'''らっつな'''い：「図々しい」の意。「しゃら」＋「ずない」からの変化。
==== 佐久地域 ====
ことに南部においては[[佐久甲州道|佐久甲州街道]]（佐久往還）を経由した[[甲州弁]]の流入によって[[#諏訪地域|諏訪地域]]とも類似性が見られる。また中仙道を経由した[[群馬弁]]などの西関東方言も流入している。
* い'''かすかもな'''い：「法外な」の意。
* い'''ぶくれる'''：「拗ねる」の意。
* い'''ぶさ'''い：「酷い」の意。
* い'''もく'''う：「落第する」の意。
* '''う'''っきざっきする：「落ち着き無くそわそわする」の意。
* う'''っちゃらか'''す：「放っておく」の意。
* う'''のがでに'''：「自然に」の意。
* お'''こよま'''いり：「トイレ」に行くこと。いまではほとんど使用されていない。
* '''きゃ'''てえ：「きわどい」の意。
* き'''もい'''る：「腹が立つ」の意。漢字を当てると『肝煎る』か。
* こ'''てっぱや'''い：「すばやい」の意。
* し'''だらもな'''く：「際限なく」の意。
*（あれ/これ/それ）…っ'''ちべ'''え：「たったの（あれ/これ/それ）しか」の意。
* '''じゃ'''んぼん：「葬式」の意。じゃんぼん回りは「左回り」。
* つ'''ま'''る：「肩が凝る」の意。
* て'''と'''うなしに：「無計画に」の意。
* '''ちょ'''びちょびしてる：「落ち着きがない」「軽率にでしゃばる」の意。用例：「まぁづあっこの子供はいつもちょびちょびしてるわ」
* と'''んぽに'''：「だしぬけに」の意。
* '''に'''っちか：「折悪しく」の意。
* '''は'''ご：「違法」「掟破り」の意。
* め'''か'''ご：「ものもらい」の意。
=== 中信方言 ===
[[長野・山梨・静岡方言]]的特徴が色濃い<ref name=G/>。
==== 共通の語彙 ====
* あ'''ずくむ'''：「胡坐をかく」の意。
* い'''いからかん'''/い'''いからかげん'''：「いい加減」の意。
* い'''じむさ'''い：「意地汚い」の意。
* い'''せ'''む/え'''せ'''む：「嫉妬する」の意。
* お'''こり'''ばち：「おこりっぽい」の意。
* か'''いくれ'''/け'''えくれ'''：「悉く」の意。
* き'''もびし'''い：「じれったい」の意。
* '''く'''っくと：「精を出して」「怠らずに」の意。
* こ'''くれ'''る：「適した季節を逃す」の意。用例：「収穫にこくれた」
* …っし、…'''っしゃ'''れ：動詞の未然形語幹につく。軽い命令形。用例：「行かっし、行かっしゃれ（行きなさい）」
* し'''こ'''る：「（寒さで）じっとする」「うずくまる」の意。
* じ'''っと'''：「しょっちゅう」の意。
* しゃ'''ら'''…：形容詞の前について意味を強調する。「しち…」に同じ。用例：「しゃらっきたない（とてもきたない）」
* '''じょ'''うる：「（鳥獣や魚類を）さばく」の意。
* し'''んきり'''：「開墾すること、開墾地」の意。
* す'''っこんか'''ぶり：「（防寒のため）頬かぶり」の意。
* す'''ね'''る：「熟す」の意。
* す'''め'''る：「納得する」「腑に落ちる」の意。
* ず'''りこ'''む：「入り込む」の意。
* '''せ'''んに：「以前に」「先頃に」の意。
* …ただ：「…したのだ」の意。過去の助動詞「た」の後に、助詞「の」を介さずに、断定の助動詞「だ」を接続させる。
* つ'''っからか'''す：「突付く」の意。
* と'''め'''る：「なぞる」の意。
* …な'''さんし'''：「…なさってください」の意。
* は'''す'''い：「狡猾だ」「機敏だ」の意。
* '''は'''ちあがる：「よじ登る」の意。
* …'''は'''てら：「…たてに」の意。動詞の連用語幹につく。用例：「起きはてらに掃除する」
* …ひず：糸や紐などの繊維の助数詞。用例：「糸が一ひずある」
* ふ'''んづぶ'''す（ふ'''んぶ'''す）：「踏み潰す」の転訛。用例：「靴のかかとをふんづぶすなよ」
* ふ'''すぐれ'''る：「すすける」の意。
* ほ'''かす'''：「圧縮を解く」の意。
* ぼ'''け'''る/ほ'''け'''る：「水分が抜け始め、歯ごたえが無く、不味くなる」の意。[[リンゴ|りんご]]、或いは[[ナシ|梨]]について用い、「ぼけりんご」などと連語的にも使う。
* む'''しっぽ'''い：「吐き気がする」の意。
* '''め'''をおとす：「（老衰や病死等で床についた状態で）死亡する」の意。交通事故死のような突発的な死亡には使わない。
* や'''っく'''ら/や'''っく'''り：「故意に」の意。
==== 松本地域 ====
* う'''つかる'''、うっ'''つかる'''：（机やテーブルに）「突っ伏す」の意。（柱などに）「もたれかかる」の意味で使う地域もある。
* …すけ：動詞未然形に接続し、強い反語をあらわす。用例：「そんな物あらすけ」（そんな物あるはずがない）
* '''ず'''る：「（…へ）去る」の意。
* だ'''いじょ'''う：「大丈夫」の意。例、だいじょう？(大丈夫なの？)
* …'''つけ'''る：「…し慣れる」の意。動詞に接続する。
* つ'''みっか'''く：「爪で引っかく」の意。
* つ'''も'''い：「きつい」の意。用例：「この靴つもい」
* ね'''ておき'''る：「仮眠する」の意。仮眠（昼寝）直後の寝ぼけた状態のことも指す。
* …'''ま'''し/…'''ま'''しょ：動詞の連用形語幹につく。「…ませよ」の転訛で軽い命令形。「…してください」
* まんこ：子供を背負うこと。
==== 安曇地域 ====
北部に於いては語彙や音韻の面で若干、北信方言や日本海沿岸の要素が混ざる。
* あ'''くされ'''る：「ふざける」の意。
* い'''せなしに'''：「唐突に」の意。
* い'''せ'''む：「妬む」の意。
* か'''あつ'''る：「（影で）怠ける」の意。
* こ'''け'''：「茸」の意。苔は「こけら」という。
* け'''ぞね'''え：「飽き足らない」の意。
* '''せ'''っぺせっぺと：「懸命に」の意。
* ぞ'''くね'''る：「だだをこねる」の意。
* せ'''っこ'''うかける：「促す」の意。
* た'''っぺ'''：「見当」「要領」の意。
* で'''があ'''る：「長持ちする」の意。
* て'''どから'''：「自業自得」の意。
* ど'''ざまく'''：「どっさりと」の意。
* に'''がむ'''：「掴む」の意。
* は'''まる'''：「手向かう」の意。
* ふ'''け'''る：「蒸れる」の意。
* ほ'''うじょう'''：「住職」の意。「方丈」に由来。
* ま'''くしつけ'''る：「押し付ける」「転嫁する」の意。
* ま'''めむ'''すび：「こま結び」の意。
* め'''そつく'''：「雨が降り出す」の意。
* も'''す'''：「燃やす」の意。
* や'''ぐさ'''い：「焦げ臭い」の意。
* ゆ'''てらか'''す：「濁す」「淀ませる」の意。
==== 諏訪地域 ====
地理的、歴史的にも[[山梨県]]の影響を受け、甲州弁に類似性がみられる。用例については前述の[[#佐久地域|佐久地域]]も参考にされたい。
* '''い'''いどこじゃねえ：「非常によろしい」の意。
* い'''ける'''：「埋める」の意。
* い'''っこく'''：「頑固」の意。
* い'''っとう'''：「最も」の意味。用例：「いっとう良い」
* い'''にむに'''：「なんとしてでも」の意。
* '''う'''ざうざする：（虫などの）群集がうごめき群がっている様子。「うじゃうじゃ」の意。「うざったい」のような不快感は無い。
* お'''つかみ'''：「概算」「どんぶり勘定」の意。
* '''お'''え：呼びかけの「おい」の意。
* き'''さんじ'''い：「すばらしい」の意。
* …け/…だけ：「…なの？」「…ですか？」の意の終助詞。用例：「宿題やったけ（宿題やっただけ）？」（宿題やったんですか？）
* し'''もげ'''る：「（植物が）降霜によって傷む」の意。
* …じゃあ：同意・感動の終助詞「…だね」の意。用例：「大きくなったじゃあ」（大きくなったね）
* '''そ'''らで：「暗誦で」の意。
* …た：名詞に接続し、「…たち」の意。用例：「俺た」（俺たち）
* …'''だ'''え・…'''で'''え・…'''ど'''う：「だよ」の意の終助詞。用例：「何やってるだえ（何やってるでえ）」（何やってんだよ）、「平気どう」（平気だよ）
* て'''えくれえ'''：「誠意が無いこと」の意。
* てっ'''てと'''：「さっさと」「とっとと」「早く」の意の副詞。用例：「あれはてってと走ってったわ」（あの子はとっとと走っていったよ）
* な'''んちょうも'''：「何卒」の意。
* に'''いし'''い：「新しい」の意。
* ね'''えつぶれ'''る：「計画が頓挫する」の意。
* は'''そんする'''：「修繕する」の意。「破損」ではなく「把針（はしん）」の転訛という説がある。
* は'''ずむ'''：「（便意が）急迫する」の意。
* '''ほ'''う：「そう」の転訛。用例：「ほうずら？」（そうでしょう？）「ほうするじゃあ」（そうしようね）
* '''は'''んで：「早急に」の意。
* '''ぶ'''すをかく：「ふくれる」の意。
* '''ぶ'''っさろう：「叩きつける」の意。
* ふ'''るし'''い：「古い」の意。
* ま'''っくらさ'''んぼ/ま'''っくらさ'''っぽ：「一目散に」の意。
* み'''がいる'''：「（植物が）実る」の意。
* む'''かあさり'''：「婚礼」「嫁入り」の意。
* …'''もしっか'''す：「…もしないくせに」の意。動詞の連用形に接続する。
* '''や'''いやい：感動詞。「あらあら」「おいおい」の意。
* …わ'''え'''：「ですよ」の意の終助詞。。用例：「今、来たとこだわえ」（今、来たところなんですよ）
==== 上伊那北部地域 ====
否定の助動詞は「ない」と「ん」を併用する<ref name=F/>。
* あ'''わたく'''：「慌てる」の意。
* い'''かつい'''：「立派な」の意。
* い'''きなりな'''：「いい加減な」「粗雑な」の意。
* い'''けいに'''：「どんなに」、「いかほどに」の意。
* …い'''ち'''ら：「…のままの状態で」の意。
* い'''ぶる'''：「ゆさぶる」の意。
* い'''ろ'''む：「色づく」の意。
* '''か'''がかがする：「あくせくする」の意。
* '''か'''らっぴ：「（水が）干上がった様子」の意。
* が'''りあ'''う：「言い争う」の意。
* ぎ'''す'''い：「（戸などの）すべりが悪く開け閉めしにくい」の意。
* '''き'''っきと：「休みなく」の意。
* '''ぎゅ'''うす：「懲らしめる」の意。
* ぐ'''しゃつく'''：「水気や湿気が多くなる」の意。
* …'''く'''に：「…ように」の意。用例：「いつものくに」
* げ'''ほ'''うもねえ：「沢山の」の意。
* こ'''うぜ'''い：「不平不満」の意。
* ご'''ま'''い：「狡賢い」の意。
* こ'''ろまし'''い：「見事な」の意。
* '''さ'''す：「密告する」の意。
* さ'''っきゃく'''：「さしあたり」の意。
* さ'''わ'''す：「水に浸す」「灰汁を抜く」の意。
* し'''もげ'''る：「凍傷を起す」の意。
* '''しょ'''うがない：「腐食して脆い」の意。
* しょ'''ぼろったい'''：「腹立たしい」の意。
* す'''ねく'''る：「ただをこねる」の意。
* す'''れ'''る：「仲違いする」の意。
* せ'''いどな'''い：「騒々しい」の意。
* '''ぞ'''ろっぺえ：「だらしない」の意。
* たっ'''こね'''え：「不器用」の意。
* た'''っぽれる'''：「あてなく彷徨する」の意。
* ちょ'''ろっこ'''い：「要領が悪い」の意。
* …でも：「…しなくても」の意。動詞の未然形語幹につく。用例：「そんな所には行かでもいい」
* '''で'''んぷに：「多量に」の意。
* て'''っぺんずけ'''：「最初に」の意。
* と'''りあべる'''：「組み合わせる」の意。
* に'''くたらか'''す：「繰り返し長時間煮る」の意。
* ば'''っちらが'''る：「先を争う」の意。
* は'''っちる'''：「跳ね上がる」の意。
* み'''じく'''：「意気地がない」の意。
* '''む'''く：否定形を伴って「まるで…ない」の意。
* や'''え'''る：「重なる」の意。
* よ'''うせ'''い：「脆い」の意。
* よ'''じめ'''る：「（間隔を）縮める」の意。
* わ'''ぐ'''む：「歪む」の意。
=== 南信方言 ===
[[東海地方]]や[[西日本方言]]との間に類似性がみられる（西日本方言に含める学者もいる）。否定の助動詞は「ん」、居るは「おる」を用いる。
==== 共通の語彙 ====
* い'''きれる'''：「調子づく」「図に乗る」の意。
* い'''ぼる'''：「化膿する」の意。
* う'''ま'''す：「（米などを）蒸らす」の意。自動詞形では「うみる」。
* お'''いでる'''：「いらっしゃる」の意。
* お'''くせ'''る：「しり込みする」の意。
* お'''ひな'''る：「起床する」の意。
* か'''しき'''：「炊事」の意。
* か'''んこう'''：「工夫」の意。
* く'''すがる'''：「突き刺さる」の意。
* く'''すげる'''：「突き刺す」の意。
* く'''つばっこ'''い：「くすぐったい」の意。
* く'''る'''う：「暴れ戯れる」の意。「くるいっこ」は「じゃれあい」を言う。
* す'''が'''く：「（蚕が）熟蚕になる」の意。
* す'''び'''る：「萎む」「（腫れが）ひく」の意。
* そ'''そく'''る：「（破れたい類を）縫う」の意。
* '''だ'''ちがあかん/'''だ'''ちかん：「だめだ」の意。
* …だら：推量の終助詞。「…でしょう」「…だろう」
* た'''るくさ'''い：「とろい」「情けない」の意。
* ちゃ'''り'''る：「ふざける」の意。
* つ'''くね'''る：「（乱雑に）積み重ねる」の意。
* べ'''んこう'''：「早熟」の意。
* …'''な'''む（し）/…'''な'''も（し）/…'''な'''あし：「…だなあ」の意。詠嘆を表す。
* ね'''ぐさ'''る：「（食べ物が）腐る」の意。
* ひ'''とな'''る：「成長する」の意。他動詞形では「ひとねる」。
* ほ'''かる'''：「捨てる」の意。
* …'''ま'''いか：動詞について勧誘を表す。伊那谷では未然形（ア段）や連用形につき、木曽谷では未然形（ア段・オ段）や命令形につく。用例：（伊那谷 いかまいか、いきまいか / 木曽谷 いかまいか、いこまいか）
* '''や'''いやい：（感動詞）「あらあら」「おいおい」に該当。
* '''わ'''や：「無理なこと」「わがまま」の意。
==== 南信州地域・上伊那南部地域 ====
隣接する[[三河弁]]や[[遠州弁]]と類似する特徴を持つ。
* あ'''いそし'''い：「かわいらしい」の意。
* あ'''おた'''く：「仰ぎ見る」の意。
* あ'''つけった'''い：「暑苦しい」の意。
* あ'''らけ'''る：「（火や灰を）かき広げる」の意。
* あ'''らかす'''/あ'''らす'''：「（石などを）転がす」の意。
* い'''ぐ'''る：「寝返りを打つ」の意。
* い'''け'''え：「いかが」の転訛。
* い'''せ'''る：「わざとする」の意。
* い'''ってきました'''：「ただいま」に相当する挨拶。「行って来ます」と対応させている。
* う'''まかりそ'''うだ：「うまそうだ」
* う'''める'''：「（水などを足して）薄める」の意。
* う'''ら'''：「後ろ（の方）」の意。
* え'''ら'''いき：「生意気」の意。
* お'''あがりて'''：「おあがりください」の意。
* お'''うちゃく'''い：「図々しいの意。
* お'''か'''しま：「正座」の意。
* お'''かたじけ'''：「ありがとう」の意。
* お'''ったく'''る：「追い払う」の意。
* お'''ったて'''：「霜柱」の意。
* '''か'''ある：「倒れる」の意。
* かわらんべ/かーらんべ：「河童」の意。
* き'''いな'''い：「黄色い」の意。
* き'''ぶ'''る：「不機嫌になる」の意。
* '''き'''やきやする：「じれったい」の意。
* き'''りばん'''：「まな板」の意。
* ぎゃ'''らし'''い：「忌まわしい」の意。
* く'''すばっこ'''い/く'''すばった'''い：「くすぐったい」の意。
* こ'''んき'''い：「息苦しい」の意。
* さ'''いぼ'''うをふる：「指図する」の意。
* '''し'''だらがない：「だらしない」の意。
* じょ'''うぶ'''い：「丈夫な」の意。形容動詞が形容詞化したもの。
* '''じ'''れじれする：「じれったい」の意。
* す'''うし'''い：「涼しい」の転訛。
* す'''こ'''やか：「立派なこと」の意。
* ず'''つな'''い：「苦しい」の意。
* …たくる：動詞に接続して「…しまくる」の意。用例：「悪口を言いたくる」
* だ'''だくさもな'''い/'''だ'''だくさもない：「沢山有る」の意。
* た'''くな'''る：「（衣類が）折り重なる」の意。
* …だに：「…だよ」の意。
* た'''わけ'''る：「愚かなことをする」の意。
* '''ちゅ'''うど：「当時」の意。
* ちょ'''うらか'''す：「からかう」の意。
* つ'''る'''：「手で持って運ぶ」の意。
* ど'''ざえ'''る：「ふざけて騒ぐ」の意。
* '''どっ'''すわる：「あぐらをかく」
* …ないよ：（勧誘/軽い命令） 「…してみたら？/…しなさい」の意。 〈用例〉「食べないよ。」（食べてみたら？/食べなさい）
:おる（いるという意の方言）と組み合わせて「おいないよ。」とすると（来てみたら？/来なさい）となる。
* は'''ならか'''す：「引き離す」の意。
* ほ'''がけ'''る：「（果実の）初穂を食べる」の意。
* ほ'''んやり'''：「どんど焼き」
* …ま：「…様」の意。用例：「おじーま（おじいさま）、おばーま（おばあさま）」
* …'''ま'''るけ：「…だらけ」の意。
* み'''しる'''：「むしる」
* む'''きつけて'''：「面と向かって」の意。
* も'''っくら'''：「雪袴」の意。
* や'''やける'''：「慌てる」の意。
* ゆ'''るさ'''い：「余裕がある状態」の意。
* よ'''だめ'''る：（木の枝を）「曲げる」の意。
* ら'''んごく'''：「乱雑なさま」
* …'''り'''ん：「…してみなよ」の意。
* わ'''ご'''む：「ゆがむ」「曲る」
==== 木曽地域 ====
地理的・歴史的に（かつて[[美濃国]][[恵那郡]]の一部であったことや、[[尾張藩]]領地であったことから）東海地方（[[名古屋弁]]・[[美濃弁]]・[[飛騨弁]]）の要素が濃い。場合によってはアクセントの遅上がりに注意。
* いっ'''こくだ'''：：「融通が利かない」の意。
* い'''んね'''：「いいえ」の意。
* '''う'''い：「切ない」の意。
* おん'''し'''：「おまえ」「あなた」の意。（「お主」が変化したもの）
* か'''ざ'''：「におい」の意。
* か'''や'''す：「返す」の意。
* こ'''いべ'''：「今宵」「今晩」の意。
* ござ'''らっしゃ'''る：「いらっしゃる」の意。
* '''ず'''さない/'''ず'''さねえ：「大丈夫だ」「問題ない」の意。
* ず'''んねに'''：「ゆっくりと」の意。
* せ'''ぶ'''る：「ねだる」の意。
* そ'''うまし'''い：「やかましい」の意。
* '''だ'''ぼ：「馬鹿」の意。
* た'''めら'''う：「（安全や健康などに）注意する」の意。
* と'''ろくさ'''い：「愚鈍だ」の意。
* に'''す'''い：「情けない」の意。
* ぬ'''ける'''：「土砂崩れを起こす」の意。
* や'''っとめ'''/や'''っとかめ'''：「ひさしぶり」の意。
== 音韻とアクセント ==
=== 母音の特徴 ===
* 母音の音素数は一部の地域を除いて[a],[e],[i],[o],{{IPA|ɯ}}の5つである。奥信濃方言では{{IPA|ɯ}}が[[中舌母音]]化して{{IPA|ɯ̈}}となり、[i]は少し中舌的である。したがって、「し」と「す」、「ち」と「つ」の区別が明瞭ではなく、いわゆる[[ズーズー弁]]的母音である。この発音は[[長野市]][[松代町 (長野県)|松代町]]寺尾や[[千曲市]]森にも残存しており、かつては[[北信地方]]で相当広く用いられていたと思われる<ref name="aoki"/>。[[千曲市]]森では「し」と「す」、「ち」と「つ」、「じ」と「ず」の音韻的対立がなく、これらにあたるところはそれぞれ、[tsï]、[dzï]〜[zï]があらわれる<ref name=F/>。また奥信濃方言では越後方言（魚沼地方）に見られるような{{IPA|ɛ}},{{IPA|ɔ}}があり計7つとなる。例：用事→{{IPA|jo:dʒi}}/楊枝{{IPA|jɔ:dʒi}}、姪→[me:]/前{{IPA|mɛ:}}
* 奥信濃方言、北信方言では「子音+ユ」の音声が「子音+ヨ」になる傾向がある。例：巡査→{{IPA|zjonsa}}<br />また東信方言では同様の音声が「子音+イ」になる傾向がある。例：巡査→{{IPA|zinsa}}
* 奥信濃方言、北信方言、東信方言では「イ」と「エ」の混同があり、特に語頭において顕著である。但し奥信濃方言の{{IPA|ɛ}}は[i]と混同しない。
**奥信濃方言、北信方言では語頭の「イ」と「エ」は音韻対立を欠き、後者に同調する傾向がある。例：隠居→{{IPA|enkjo}}
**東信方言では語頭の「イ」と「エ」は音韻対立を保ちながら、両者が混同される傾向がある。例：益虫→{{IPA|ikitʃɯ:}}
* 奥信濃方言では「ウ」と「オ」の混同もあり、単独に発音される「ウ」と「オ」、「ム」と「モ」、「ル」と「ロ」などの区別を持たない<ref name=F/>。
* 連母音[ai][ae][aja]は長野県下の多くの地域で融合して[e:]になる。南信方言では地域によって[e:]、[ja:]、{{IPA|æ}}になる。但し[[木曽地域]]の北部及び山間部を除く地域、[[南信州地域|下伊那地域]]の[[飯田市]]を中心とする地域と[[岐阜県]]・[[愛知県]]と接する地域では融合が起きずにそのまま残る。連母音[oi]、[ui]も同様に多くの地域で[e:]になるが、[oi]は[[木曽地域]]（山間部除く）や[[南信州地域|下伊那地域]]、[[上伊那地域]]の南部では融合は起こらず、[ui]は[[木曽地域]]（山間部除く）と[[伊那谷|上下伊那地域]]では融合は起こらない<ref name="kenshi"/>。また[e]は木曽地方の大半で[je]になる<ref name=B/>。
* 長野県下の大半が[[モーラ]]方言性を帯びるが、奥信濃の[[秋山郷]]と木曽[[開田村|開田高原]]には[[シラビーム方言]]性があるとされる。
=== 子音の特徴 ===
* 助詞「を」を文字通り「ヲ[wo]」と発音し、「オ[o]」とは明確に区別される。
* 秋山郷には上記7母音のみならず、子音にも特異な音韻が存在する。
* 奥信濃方言では「キ」と「チ」の発音の区別を持たない<ref name=F/>。
* 長野県下の大半では、ガ行」が[[鼻濁音]]{{IPA|ŋ}}になる傾向があるが（「が行」が語頭に来た場合のみ破裂音）、奥信濃方言や東信方言の[[軽井沢町]]や[[佐久市]]馬坂では[[破裂音]]の{{IPA|g}}のみとなる。また、[[南牧村 (長野県)|南牧村]]の一部でもガ行鼻音を欠くときがある<ref name="shinshu"/>。
* 奥信濃方言や北信方言の一部（下水内・下高井）、中信方言の一部（安曇）では、語中に来る「カ行」が有声化（濁音化）して「ガ行」になる語が見られる。例：堰→{{IPA|seŋi}}
* 奥信濃方言、北信方言では、末尾が撥音の名詞に助詞「は」「を」及び鼻濁音の「が」が接続すると連声する傾向がある。但し奥信濃方言の破裂音の「が」は連声しない。例：本は→{{IPA|hoɴna}} 本を→{{IPA|hoɴno}} 参照：[[連声]]。
* 奥信濃方言、北信方言を中心に、かつては「カ[ka]」と[[合拗音]]の「クヮ[kwa]」の区別もあったが、現在では「カ」に統一されつつある。<br />例：家事→{{IPA|kadʒi}}/火事→{{IPA|kwadʒi}}、河岸→{{IPA|kaʃi}}/菓子→{{IPA|kwaʃi}} 参照：[[字音仮名遣#日本語で「同音」になっている漢字、熟語の例]]。
* 東信方言の一部（佐久）においては、「ヒ」と「シ」、「ヒャ」と「シャ」、「ヒュ」と「シュ」、「ヒョ」と「ショ」の音韻対立を欠き、いずれも後者に同調する傾向がある。またさほど顕著ではないが、松本市周辺や長野市周辺でも混同が見られる<ref name="shinshu"/>。例：東→{{IPA|ʃiŋaʃi}}、百→{{IPA|ʃakɯ}}
=== アクセントの特徴 ===
* アクセント体系は、全県が[[東京式アクセント]]（乙種アクセント、第2種アクセント）に属し、その中の大半は中輪東京式に分類されるが、北信地方と南信地方最南端部に於いては外輪東京式となる（[[金田一春彦]]、1977年）。
* 自立語単独のアクセントは語彙と共に静岡県・山梨県のものに近似し、共通語ともさほど乖離は大きくないとされる<ref name=C>金田一春彦（1943年5月）、『音声学協会会報72 - 75号』「静岡・山梨・長野縣下のアクセント」『日本列島方言叢書8』に再録。</ref>。
* 附属語の中には自立語に接続することで、自立語のアクセントを平板型から起伏型に、或いは平板型から起伏型に変化させるものが多々ある。しかし長野県方言は共通語よりもこの影響を受けにくく、両者のアクセントの結合度が共通語と比べるとかなり弱いため（附属語の式が異なるため<ref>{{Cite thesis|和書|author=田中宣廣 |title=付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造 |volume=東北大学 |series=博士（文学） 甲第8731号 |year=2003 |id={{naid|500000235526}} |url=https://id.ndl.go.jp/bib/000004214918}}によれば、附属語のアクセントの式は全部で6つあり、東京式（乙種）アクセントに直接関係するものは、従接式、声調式、独立式、下接式、支配式の5つである。</ref>）、特に東信方言以外では共通語や他県の方言との乖離が大きくなる。<br />例：助詞「のに」→共通語では下接式/長野県（東信以外）では独立式 助詞「たがる」→共通語では支配式/長野県（東信以外）では声調式
* 若年層では言語形成期におけるテレビ放送の音声の影響が大きく、伝統的なアクセントを喪失しつつある（馬瀬良雄、1981年<ref>{{Cite journal|和書|author=馬瀬良雄 |date=1981-06 |title=言語形成に及ぼすテレビおよび都市の言語の影響 |journal=国語学 |ISSN=04913337 |publisher=日本語学会 |issue=125 |pages=1-19 |naid=40001287344 |CRID=1520572357792656512}}</ref>）。一方で若年層の間に、[[京阪式アクセント]]への同調が生まれ、共通語化の流れに逆行する現象もわずかながら散見される<ref name="kenshi"/>。例：「2月」、「4月」、「熊」の尾高型から頭高型への変化。南信方言に限っては[[岐阜・愛知方言|ギア方言]]の影響を受け「服」、「靴」等の語句も尾高型から頭高型へ変化したり、地域によっては両型が併用されている。これも京阪式と同様のアクセントである。
* 長野県下の大半では、1拍目と2拍目はどのアクセント類型でも必ずピッチの高低が違うが、木曽谷では主に3拍以上の名詞の尾高型や平板型のものに、ギア方言に見られるような、1拍目と2拍目以降がともに低ピッチのままで、ピッチの上昇が3拍目以降にずれ込む「遅上がり」現象が見られる。例：友達が（ともだ{{高ピッチ発音/太字|ちが}}, ともだち{{高ピッチ発音/太字|が}}）、頭が（あた{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|ま}}}}が）
* 南信地方最南端部の静岡・愛知県境から静岡県[[北遠]]地方・愛知県[[奥三河]]地方にかけては、3拍以上の名詞では尾高型アクセントが全般的に欠落しており、頭高型・中高型・平板型の3類型のみとなる。3拍名詞では、共通語で尾高型に発音されるものは中高型に発音されることが多い<ref>{{Cite book|和書|author=天竜村教育委員会 |title=大河内の民俗 : 南信濃/天竜村 |publisher=信濃路, 農村漁村文化協会(発売元) |year=1973 |NCID=BA41525905}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=吉川利明, 山口幸洋 |title=豊橋地方の方言 |chapter=「奥三河の特徴的アクセント」 |publisher=豊橋文化協会 |year=1972 |series=ちぎり文庫 |id={{全国書誌番号|75015448}} |doi=10.11501/12449196 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12449196}}</ref>。また、4拍名詞では、共通語でかつて尾高型に発音されていたものは2拍目にアクセント核を置く中高型に発音されることが多い<ref name="kenshi"/>。<br />ただし、3拍名詞では2拍目が撥音・促音の場合のみ尾高型になる。例：尻尾（し{{高ピッチ発音/太字|っ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|ぽ}}}}）、女（お{{高ピッチ発音/太字|ん}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|な}}}}）
* 中信方言松本市では、疑問文の文末イントネーションが、語頭に疑問詞を置く場合(Wh疑問文)は下降調に、置かない場合（Yes/No疑問文）は上昇調になる（その他の地域は不明）<ref>{{Cite book|和書|author=木部暢子, 竹田晃子, 田中ゆかり, 日高水穂, 三井はるみ |title=方言学入門 |publisher=三省堂 |year=2013 |ISBN=9784385363936 |id={{全国書誌番号|22293302}}}}</ref>。共通語ではどちらも上昇調になる。例：何が欲しい？（下降調）、なんか欲しい？（上昇調）
* 北安曇では、動詞の連用形に依頼の終助詞「て」が接続する場合、語尾に若干の[[間投イントネーション|ゆすり音調]]が現れる。例：買って来て（かってき''[て]ぇ[え]''）、寄って行って（よってっ''[て]ぇ[え]''）
=== 音韻の特徴がアクセントに及ぼす影響 ===
* 奥信濃、北信、東信の各方言や、中信方言の一部（北安曇北部）においては、無声子音に「[i]母音」や「{{IPA|ɯ}}母音」がつく場合など、特定の条件下で母音が無声化する現象が起こるが、中信方言の大半や南信方言においてはそれがみられない。そのため前者（こちらは共通語に同じ）と後者で名詞や動詞のアクセントの位置が異なることがある。<br />例：機械（無声化あり→<span style="color:#696969">き</span>{{高ピッチ発音/太字|か}}い {{IPA|ki ̥kai}}/無声化なし→{{高ピッチ発音/太字|き}}かい{{IPA|kikai}}）、不必要（無声化あり→ふ<span style="color:#696969">{{高ピッチ発音/太字|ひ}}</span>{{高ピッチ発音/太字|つ}}よう {{IPA|ɸɯçi̥ʦɯyo:}}/無声化なし→ふ{{高ピッチ発音/太字|ひ}}つよう {{IPA|ɸɯçiʦɯyo:}}）<br />新しさ（無声化あり→あ{{高ピッチ発音/太字|たら}}<span style="color:#696969">し</span>さ {{IPA|ataraʃi ̥sa}}）/無声化なし→あ{{高ピッチ発音/太字|たらし}}さ {{IPA|ataraʃisa}}）、来た時（無声化あり→<span style="color:#696969">き</span>{{高ピッチ発音/太字|た}}とき {{IPA|ki ̥tatoki}}/無声化なし→{{高ピッチ発音/太字|き}}たとき {{IPA|kitatoki}}）
* 共通語は撥音にアクセント核を置くことを回避するが、長野県方言は回避しない。 例：本屋（ほ{{高ピッチ発音/太字|ん}}や {{IPA|hoɴja}} /ɴ/ 共通語：{{高ピッチ発音/太字|ほ}}んや）
* 連母音にアクセント核が置かれる場合、共通語においては前部拍に置かれるが、長野県方言においては後部拍に置かれる。そのため、主に以下の場合で共通語アクセントとの間に差がでる。
**「ウ」で終わる中高型動詞からの転成名詞で連母音を持つもの 例：思い（お{{高ピッチ発音/太字|も}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|い}}}} {{IPA|omoi}} /oi/ 共通語：お{{高ピッチ発音/太字|も}}い）
**平板型の用言を尾高型に変化させる性質のある助詞や助動詞が接続する場合 例：軽いぞ（か{{高ピッチ発音/太字|るい}}ぞ {{IPA|karɯidzo}} /ui/ 共通語：か{{高ピッチ発音/太字|る}}いぞ）
*** さらにこの法則により、共通語において頭高型で発音する動詞が中高型になることがあるが、この点は上記と違い長野県下でも地域差が出る。<br />例：参った（ま{{高ピッチ発音/太字|い}}った {{IPA|maitta}} /ai/ 共通語：{{高ピッチ発音/太字|ま}}いった）、帰った（か{{高ピッチ発音/太字|え}}った {{IPA|kaetta}} /ae/ 共通語：{{高ピッチ発音/太字|か}}えった）
=== 自立語のアクセントの相違 ===
* 長野県下の対比、あるいは共通語との対比において、アクセントのパターンが異なるものは多いが、逐語的な列挙では膨大な数にのぼる上に地域差が大きいので、品詞や[[類 (アクセント)|類別語彙]]ごとに特徴のあるものを取り上げる。{{seealso|[[類 (アクセント)]]}}
*特筆しない限り、共通語化が進む以前の伝統的なアクセントの傾向を載せる<ref name="kenshi"/>。地域は方言区画のもの。
{|class=wikitable
!rowspan="2"|品詞
!rowspan="2"|拍
!rowspan="2"|類
!|共通語
!colspan="3"|共通語と相違のある長野県のアクセント
|-
!|アクセント
!|アクセント
!|該当する地域
!|用例
|-
|-
|rowspan="7"|名詞
|2
|2
|尾高型が優勢
|平板型が優勢<small><sup>※1</sup></small>
|奥信濃、北信<br />南信の一部（<small>最南端部</small>）
|石（い{{高ピッチ発音/太字|し}}）
|-
|rowspan="5"|3
|rowspan="2"|3
|rowspan="2"|（1）頭高型と（2）平板型が拮抗
|rowspan="2"|（1）（2）とも中高型が優勢
|rowspan="2"|東信、中信<br />南信の大半（<small>最南端部を除く</small>）
|（1） 鮑（あ{{高ピッチ発音/太字|わ}}び）
|-
|（2） 小麦（こ{{高ピッチ発音/太字|む}}ぎ）
|-
|4
|尾高型が優勢
|尾高型を欠くため<br />中高型が優勢
|南信の一部（<small>最南端部</small>）
|男（お{{高ピッチ発音/太字|と}}こ）
|-
|5
|頭高型が優勢
|中高型が優勢
|東信、中信<br />南信の大半（<small>最南端部を除く</small>）
|涙（な{{高ピッチ発音/太字|み}}だ）
|-
|6,7
|平板型が優勢
|頭高型が優勢
|奥信濃方言と、<u>以下の山間地</u><br />北信の一部（<small>西山</small>）<br />中信の一部（<small>北安曇北部</small>）<br />南信の一部（<small>木曽北西部</small>）
|兎（{{高ピッチ発音/太字|う}}さぎ,6類）<br />芥子（{{高ピッチ発音/太字|か}}らし,7類）
|-
|4
|A,B
|本来A型（尾高型）だった語は<br />B型（3拍目にアクセント核を置く中高型）に移行している<ref>三宅武郎（1943年）『国語文化』「標準アクセントの一問題」</ref><ref>{{Cite book|和書|author=寺川喜四男, 金田一春彦, 稲垣正幸 |title=國語アクセント論叢 |publisher=法政大学出版局 |year=1951 |id={{全国書誌番号|54002773}} |doi=10.11501/2466833 |NCID=BA30300018 |chapter=「いわゆるA型B型アクセントはどうなったか」}}</ref>
|依然としてA型が優勢<ref group="注釈">『上伊那誌 民俗篇下巻』によれば、1960年生まれ以降では長野や松本の市街地ではB型化が進んでいる。上伊那では調査当時B型化は進んでおらず、そのほかの地域は不明。</ref>
|<u>以下の地域を除く</u><br />奥信濃<br />北信の一部（<small>新潟県境</small>）<br />南信の一部（<small>最南端部</small>）
|年寄り<br />（A型:と{{高ピッチ発音/太字|しよ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|り}}}}）<br />（B型:と{{高ピッチ発音/太字|しよ}}り）
|-
|rowspan="2"|動詞
|3
|2（B群）
|中高型
|頭高型
|北信の一部（<small>西山</small>）<br />中信の一部（<small>安曇</small>）
|出来る（{{高ピッチ発音/太字|で}}きる）
|-
|4
|2（B群）
|3拍目にアクセント核を置く中高型
|2拍目にアクセント核を置く中高型
|北信の一部（<small>下水内</small>）<br />中信の一部（<small>安曇・筑摩</small>）<br />南信の一部（<small>静岡県境</small>）
|答える（こ{{高ピッチ発音/太字|た}}える）
|-
|rowspan="2"|複合動詞
|rowspan="2" colspan="2"|起伏型+起伏型<br />起伏型+平板型
|rowspan="2"|平板型
|（1）頭高型
|中信、南信
|逃げ出す（{{高ピッチ発音/太字|に}}げだす）
|-
|（2）3拍目にアクセント核を置く中高型
|全県的に若年層に多い
|逃げ出す（に{{高ピッチ発音/太字|げだ}}す）
|-
|形容詞
|3,4
|1
|平板型
|起伏型
|南信の一部<br />（<small>木曽南部・西部の岐阜県境</small>）
|赤い（あ{{高ピッチ発音/太字|か}}い）<br />明るい（あ{{高ピッチ発音/太字|かる}}い）
|}
<small><sup>※1</sup></small>外輪東京式アクセントの特徴とされる。<br />
[[File:Japanese pitch accent map-ja.png|thumb|right|380px|長野県下には中輪東京式と外輪東京式が分布している。]]
{{高ピッチ発音/太字|2拍名詞第2類の比較表}}
{| border="1" cellpadding="2" cellspacing="0" class="wikitable" style="text-align:center;"
|-
!rowspan="2"|2拍名詞<br />第2類
!colspan="3"|外輪
!colspan="4"|中輪
!外輪
|-
!秋山郷
!飯山
!長野
!佐久
!松本
!飯田
!南木曽
!天龍
|-
|歌<small><sup>※1</sup></small>
|colspan="8"|う{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|た}}}}
|-
|痣<small><sup>※2</sup></small>
|あ{{高ピッチ発音/太字|ざ}}
|colspan="7"|あ{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|ざ}}}}
|-
|下
|し{{高ピッチ発音/太字|も}}
|colspan="6"|し{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|も}}}}
|し{{高ピッチ発音/太字|も}}
|-
|雪
|colspan="2"|ゆ{{高ピッチ発音/太字|き}}
|colspan="6"|ゆ{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|き}}}}
|-
|鞍
|colspan="2"|く{{高ピッチ発音/太字|ら}}
|colspan="5"|く{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|ら}}}}
|く{{高ピッチ発音/太字|ら}}
|-
|川<small><sup>※3</sup></small>
|colspan="3"|か{{高ピッチ発音/太字|わ}}
|colspan="5"|か{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|わ}}}}
|-
|紙<small><sup>※4</sup></small>
|colspan="3"|か{{高ピッチ発音/太字|み}}
|colspan="4"|か{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|み}}}}
|か{{高ピッチ発音/太字|み}}
|-
|石
|colspan="4"|い{{高ピッチ発音/太字|し}}
|colspan="4"|い{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|し}}}}
|-
|梨<sup>※5</sup></small>
|colspan="5"|な{{高ピッチ発音/太字|し}}
|colspan="2"|な{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|し}}}}
|な{{高ピッチ発音/太字|し}}
|-
|北
|colspan="6"|き{{高ピッチ発音/太字|た}}
|き{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|た}}}}
|き{{高ピッチ発音/太字|た}}
|}
<small><sup>※1</sup></small> 「旅」、「冬」、「町」も県下全域で尾高型。<br />
<small><sup>※2</sup></small> 「旗」、「村」も同様の分布を示す。<br />
<small><sup>※3</sup></small> 「胸」、「橋」も同様の分布を示す。<br />
<small><sup>※4</sup></small> 「肘」、「音」、「弦」も同様の分布を示す。<br />
<small><sup>※5</sup></small> 「人」も同様の分布を示す。
{{高ピッチ発音/太字|疑問詞の比較表}}
{|class="wikitable" style="text-align:center;"
|-
!colspan="2"|疑問詞
! 長野
! 佐久
! 松本
! 飯田
|-
!rowspan="3"|代名詞
|幾つ<small><sup>※1</sup></small>
|い{{高ピッチ発音/太字|くつ}}
|colspan="3"|{{高ピッチ発音/太字|い}}くつ
|-
|どれ
|colspan="2"|ど{{高ピッチ発音/太字|れ}}
|colspan="2"|{{高ピッチ発音/太字|ど}}れ
|-
|幾ら<small><sup>※2</sup></small>
|colspan="3"|い{{高ピッチ発音/太字|くら}}
|{{高ピッチ発音/太字|い}}くら
|-
!rowspan="2"|連体詞
|どの
|colspan="2"|ど{{高ピッチ発音/太字|の}}
|colspan="2"|{{高ピッチ発音/太字|ど}}の
|-
|どんな
|colspan="3"|ど{{高ピッチ発音/太字|んな}}
|{{高ピッチ発音/太字|ど}}んな
|-
!副詞
|何時<small><sup>※3</sup></small>
|い{{高ピッチ発音/太字|つ}}
|colspan="3"|{{高ピッチ発音/太字|い}}つ
|}
<small><sup>※1</sup></small>「何」も同様の分布を示す。<br />
<small><sup>※2</sup></small>「誰」、「何処」も同様の分布を示す。<br />
<small><sup>※3</sup></small>「何故」も同様の分布を示す。
*比較表より、北信方言の[[長野市|長野]]では全て平板型や尾高型であったものが、南に下るにつれ頭高型が増え、南信方言の[[飯田市|飯田]]では全て頭高型になっていることが読み取れるが、南信方言においても[[駒ヶ根市]]赤穂や[[根羽村]]では平板型や尾高型を取る場合が多い。これは、[[駒ヶ根市]]赤穂は独自のアクセントと思われ、根羽村では三河方面のアクセントの影響と思われる。
=== 附属語のアクセントの相違 ===
* 概して、共通語の用言のアクセントを平板型から起伏型（主に尾高型、特殊拍回避により中高型も）に変化させ、自らはアクセント核を持たない助詞や助動詞が（下接式アクセント）、長野県方言では用言がそのまま平板型アクセントを保ち、助詞や助動詞にアクセント核が移る（独立式アクセント）というパターンが多い<ref name="kenshi"/>。
* 対照的に、共通語の体言のアクセントを起伏型から平板型に変化させ、自らアクセント核を持つ助詞や助動詞が（支配式アクセント）、長野県方言では体言がそのまま起伏型アクセントを保ち、アクセント核が助詞や助動詞へ移らない（従接式アクセント）というパターンもある<ref name="kenshi"/>。
* 平板型動詞に接続した場合の補助動詞「いる」の活用形は、短縮形になると共通語のアクセントが平板型から起伏型に変化するが、長野県方言においては平板型のまま変化しない。
{|class="wikitable"
!rowspan="2"|附属語
!|共通語
!colspan="3"|共通語と相違のある長野県のアクセント
|-
!|アクセント
!|アクセント
!|該当する地域
!|用例
|-
|-
|-
|起伏型動詞<br />+助動詞「ない」
|「な」の直前まで高い<br />（声調式）
|語幹から「な」にアクセント<br />（声調式）
|東信以外の全域
|帰らない（か{{高ピッチ発音/太字|えらな}}い）
|-
|起伏型動詞<br />+助動詞「せる・させる」
|語幹から「せ」にアクセント<br />（声調式）
|「せ」の直前まで高い<br />（声調式）
|中信の一部<br />（<small>安曇・筑摩</small>）
|持たせる（も{{高ピッチ発音/太字|た}}せる）<br />見させる（み{{高ピッチ発音/太字|さ}}せる）
|-
|起伏型動詞<br />+助動詞「れる・られる」
|語幹から「れ」にアクセント<br />（声調式）
|「れ」の直前まで高い<br />（声調式）
|中信の一部<br />（<small>安曇・筑摩</small>）
|持たれる（も{{高ピッチ発音/太字|た}}れる）<br />帰られる（か{{高ピッチ発音/太字|えら}}れる）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「て」<br />+補助動詞「た（いたの短縮形）」<small><sup>※1</sup></small>
|語幹から「て」にアクセント<br />（下接式）
|rowspan="3"|平板型<br />（独立式）
|全域
|買ってた（か{{高ピッチ発音/太字|ってた}}）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「て」<br />+補助動詞「て（いての短縮形）」<small><sup>※1</sup></small>
|語幹から最初の「て」にアクセント<br />（下接式）
|全域
|買ってて（か{{高ピッチ発音/太字|ってて}}）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「て」<br />+補助動詞「ない（いないの短縮形）」<small><sup>※1</sup></small>
|語幹から「な」にアクセント<br />（独立式）
|全域
|買ってない（か{{高ピッチ発音/太字|ってない}}）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「ながら」
|平板型<br />（声調式）
|語幹から「な」にアクセント<small><sup>※3</sup></small><br />（支配式）
|東信
|買いながら（か{{高ピッチ発音/太字|いな}}がら）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「たい」
|平板型<br />（声調式）
|語幹から「た」にアクセント<small><sup>※3</sup></small><br />（支配式）
|東信
|買いたい（か{{高ピッチ発音/太字|いた}}い）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「に」
|平板型<br />（独立式）
|「に」の直前まで高い<br />（下接式）
|全域
|買いに（か{{高ピッチ発音/太字|い}}に）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「て」<br />+助動詞「おく」
|平板型<br />（独立式）
|語幹から「お」にアクセント<br />（独立式）
|全域
|買っておく（か{{高ピッチ発音/太字|ってお}}く）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「て」<br />+助動詞「しまう」「ちゃう（融合形）」
|平板型<br />（独立式）
|語幹から「ま」にアクセント<br />（融合形は「ちゃ」にアクセント）<br />（独立式）
|全域
|買ってしまう（か{{高ピッチ発音/太字|ってしま}}う）、<br />買っちゃう（か{{高ピッチ発音/太字|っちゃ}}う）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「な（禁止）」<small><sup>※2</sup></small>
|「な」の直前まで高い<br />（下接式）
|平板型<br />（独立式）
|奥信濃、北信<br />南信の一部<br />（<small>上伊那南部・下伊那</small>）
|買うな（か{{高ピッチ発音/太字|うな}}）
|-
|平板型動詞<br />+助動詞「たがる」
|語幹から「が」にアクセント<br />（支配式）
|平板型<small><sup>※4</sup></small><br />（声調式）
|東信以外の全域
|買いたがる（か{{高ピッチ発音/太字|いたがる}}）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「まい（決意）」
|語幹から「ま」にアクセント<br />（支配式）
|平板型<small><sup>※4</sup></small><br />（声調式）
|東信以外の全域
|買うまい（か{{高ピッチ発音/太字|うまい}}）
|-
|平板型動詞<br />+助詞「から」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「か」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|語幹から「か」まで高い<br />（独立式）
|奥信濃、北信
|赤いから（あ{{高ピッチ発音/太字|かいか}}ら）
|-
|動詞<br />+助動詞「ます」「ました」
|語幹から「ま」にアクセント<br />（支配式）
|平板型<br />（支配式）
|中信
|帰ります（か{{高ピッチ発音/太字|えります}}）<br />買いました（か{{高ピッチ発音/太字|いました}}）
|-
|平板型形容詞<br />+活用語尾「く」<br />+助詞「ても」<small><sup>※2</sup></small>
|「く」の直前まで高い<br />（下接式）
|語幹から「く」にアクセント<br />（下接式）
|東信以外の全域
|赤くても（あ{{高ピッチ発音/太字|かく}}ても）
|-
|rowspan="2"|平板型形容詞<br />+活用語尾「かっ」<br />+助動詞「た」
|rowspan="2"|「か」の直前まで高い<small><sup>※7</sup></small><br />（下接式）
|（1）語幹から「か」にアクセント<br />（下接式）
|東信、南信<br />中信の一部<br />（<small>諏訪・上伊那北部</small>）
|赤かった（あ{{高ピッチ発音/太字|かか}}った）
|-
|（2）平板型<br />（独立式）
|奥信濃、北信
|赤かった（あ{{高ピッチ発音/太字|かかった}}）
|-
|平板型形容詞<br />+助詞「ければ」<small><sup>※2</sup></small>
|「け」の直前まで高い<small><sup>※7</sup></small><br />（下接式）
|語幹から「け」にアクセント<br />（独立式）
|東信以外の全域
|赤ければ（あ{{高ピッチ発音/太字|かけ}}れば）
|-
|平板型形容詞<br />+助詞「です」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「で」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|語幹から「で」にアクセント<small><sup>※5</sup></small><br />（独立式）
|東信以外の全域
|赤いです（あ{{高ピッチ発音/太字|かいで}}す）
|-
|平板型形容詞<br />+助詞「か」「かな」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「か」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|平板型<small><sup>※5</sup></small><br />（独立式）
|奥信濃、北信
|赤いかな（あ{{高ピッチ発音/太字|かいかな}}）
|-
|平板型形容詞<br />+助詞「さ」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「さ」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|平板型<small><sup>※5</sup></small><br />（独立式）
|奥信濃、北信
|赤いさ（あ{{高ピッチ発音/太字|かいさ}}）
|-
|平板型名詞・動詞<br />+助詞「まで」
|語幹から「ま」にアクセント<br />（独立式）
|尾高型<ref group="注釈">「長野県史 方言編」（馬瀬）には平板型とあるが、実際の発音は尾高型。</ref><br />（独立式）
|奥信濃<br />北信<br />（<small>更級・埴科を除く</small>）<br />中信<br />（<small>安曇･筑摩</small>）
|それまで（そ{{高ピッチ発音/太字|れま}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|で}}}}）<br />買うまで（か{{高ピッチ発音/太字|うま}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|で}}}}）
|-
|平板型用言<br />+助詞「けれど」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「け」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）</small>
|語幹から「け」にアクセント<br />（独立式）
|東信以外の全域
|買うけれど（か{{高ピッチ発音/太字|うけ}}れど）<br />赤いけれど（あ{{高ピッチ発音/太字|かいけ}}れど）
|-
|平板型用言<br />+助詞「かい」<small><sup>※2</sup></small>
|「か」の直前まで高い<br />（下接式）
|語幹から「か」にアクセント<small><sup>※5</sup></small><br />（独立式）
|奥信濃、北信
|買うかい（か{{高ピッチ発音/太字|うか}}い）<br />赤いかい（あ{{高ピッチ発音/太字|かいか}}い）
|-
|平板型用言<br />+助詞「やら」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「や」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|語幹から「や」にアクセント<small><sup>※5</sup></small><br />（独立式）
|奥信濃、北信
|買うやら（か{{高ピッチ発音/太字|うや}}ら）<br />赤いやら（あ{{高ピッチ発音/太字|かいや}}ら）
|-
|平板型用言<br />+助詞「のに」「ので」<small><sup>※2</sup></small>
|アクセント核は「の」より前<small><sup>※6</sup></small><br />（下接式）
|語幹から「の」にアクセント<br />（独立式）
|東信以外の全域
|買うのに（か{{高ピッチ発音/太字|うの}}に）<br />赤いので（あ{{高ピッチ発音/太字|かいの}}で）
|-
|平板型用言<br />+助動詞「そうだ（伝聞）」
|語幹から「そ」にアクセント<br />（独立式）
|平板型<br />（独立式）
|東信以外の全域
|買うそうだ（か{{高ピッチ発音/太字|うそうだ}}）<br />赤いそうだ（あ{{高ピッチ発音/太字|かいそうだ}}）
|-
|平板型体言・用言<br />+助動詞「らしい」
|語幹から「し」にアクセント<br />（支配式）
|平板型<small><sup>※4</sup></small><br />（声調式）
|奥信濃、北信
|それらしい（そ{{高ピッチ発音/太字|れらしい}}）<br />赤いらしい（あ{{高ピッチ発音/太字|かいらしい}}）<br />買うらしい（か{{高ピッチ発音/太字|うらしい}}）
|-
|起伏型体言<br />+助詞「だけ」<small><sup>※8</sup></small>
|語幹から「け」にアクセント<br />（支配式）
|rowspan="3"|体言のアクセントを準用<br />（従接式）
|全域
|ちょっとだけ（{{高ピッチ発音/太字|ちょ}}っとだけ）
|-
|起伏型体言<br />+助詞「ばかり」<small><sup>※8</sup></small>
|語幹から「ば」にアクセント<br />（支配式）
|全域
|ちょっとだけ（{{高ピッチ発音/太字|ちょ}}っとばかり）
|-
|起伏型体言<br />+助詞「どころか」<small><sup>※8</sup></small>
|語幹から「ど」にアクセント<br />（支配式）
|全域
|ちょっとどころか（{{高ピッチ発音/太字|ちょ}}っとどころか）
|}
<small><sup>※1</sup></small>短縮形になると、共通語のアクセントが平板型から起伏型に変化する補助動詞。<br />
<small><sup>※2</sup></small>共通語の用言のアクセントを平板型から起伏型に変化させる性質のある助詞、助動詞。<br />
<small><sup>※3</sup></small>起伏型の場合はこちらが共通語と同じアクセントになる。<br />
<small><sup>※4</sup></small>起伏型に接続すると共通語と同じアクセントに変化する。<br />
<small><sup>※5</sup></small>平板型の体言ではこちらが共通語と同じアクセントになる。<br />
<small><sup>※6</sup></small>共通語は連母音の後部拍にアクセント核を置かない。例：「あ{{高ピッチ発音/太字|か}}いのに」<br />
<small><sup>※7</sup></small>共通語の母音の無声化によってアクセント核の位置が2拍前にある語彙もある。例：「か{{高ピッチ発音/太字|な}}しかった」<br />
<small><sup>※8</sup></small>共通語の体言のアクセントを起伏型から平板型に変化させる性質のある助詞、助動詞。<br />
=== 数詞・助数詞のアクセントの相違 ===
*xには任意の数字が入る。
*助数詞については月は12まで、それ以外は10までについて言及する。
{| class="wikitable"
|-
! 語彙 !! 共通語 !! 長野県 !! 備考
|-
| rowspan=2|数詞||10 {{高ピッチ発音/太字|と}}お、13 {{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うさん、15 {{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うご、19 {{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うく、20 {{高ピッチ発音/太字|に}}じゅう||10 と{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|お}}}}、13 じゅ{{高ピッチ発音/太字|うさん}}、15 じゅ{{高ピッチ発音/太字|う}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|ご}}}}、19 じゅ{{高ピッチ発音/太字|う}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|く}}}}、20 に{{高ピッチ発音/太字|じゅ}}う|| 「日」<small><sup>※1</sup></small>「年」<small><sup>※2</sup></small>等がついた場合もこれに準じる
|-
| 15秒 {{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うごびょう、20秒 {{高ピッチ発音/太字|に}}じゅうびょう、30秒 {{高ピッチ発音/太字|さ}}んじゅうびょう||15秒 じゅ{{高ピッチ発音/太字|うご}}びょう、20秒 に{{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うびょう、30秒 さ{{高ピッチ発音/太字|んじゅ}}うびょう||「15」「20」「30」に続く数詞は共通語で頭高になるものが多い。
|-
| 億||x億 {{高ピッチ発音/太字|x}}おく（アクセント核は「お」より前）||x億 x{{高ピッチ発音/太字|お}}く||
|-
| 日||二三日 {{高ピッチ発音/太字|に}}さんにち、四五日 {{高ピッチ発音/太字|し}}ごにち、四十九日 し{{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うくにち、二百十日 に{{高ピッチ発音/太字|ひゃくとおか}}、二百二十日 に{{高ピッチ発音/太字|ひゃくはつか}}||二三日 に{{高ピッチ発音/太字|さ}}んにち、四五日 し{{高ピッチ発音/太字|ご}}にち、四十九日 し{{高ピッチ発音/太字|じゅうく}}にち、二百十日 に{{高ピッチ発音/太字|ひゃくと}}おか、二百二十日 に{{高ピッチ発音/太字|ひゃくは}}つか||「10日（とおか）」「20日（はつか）」は共通語に同じ
|-
| 月||2月 に{{高ピッチ発音/太字|が}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|つ}}}}、4月 し{{高ピッチ発音/太字|が}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|つ}}}}||2月 {{高ピッチ発音/太字|に}}がつ、4月 {{高ピッチ発音/太字|し}}がつ||主に若年層のみ、中高年層は概ね共通語に同じ。
|-
| 時間<br />（単位）||x時間 x{{高ピッチ発音/太字|じ}}かん||x時間 x{{高ピッチ発音/太字|じかん}}||
|-
| 匹||1匹 い{{高ピッチ発音/太字|っぴ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|き}}}}、6匹 ろ{{高ピッチ発音/太字|っぴ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|き}}}}<br />8匹 は{{高ピッチ発音/太字|っぴ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|き}}}}、10匹 じゅ{{高ピッチ発音/太字|っぴ}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|き}}}}||1匹 {{高ピッチ発音/太字|い}}っぴき、6匹 {{高ピッチ発音/太字|ろ}}っぴき<br />8匹 {{高ピッチ発音/太字|は}}っぴき、10匹 {{高ピッチ発音/太字|じゅ}}っぴき||「曲」、「足（そく）」、「冊」、「拍」、「泊」、「隻」等もこれに準じる<small><sup>※4</sup></small>
|-
| 台||5台 ご{{高ピッチ発音/太字|だい}}、9台 く{{高ピッチ発音/太字|だい}}||5台 {{高ピッチ発音/太字|ご}}だい、 9台 {{高ピッチ発音/太字|く}}だい||「艘（そう）」、「代」、「題」、「杯」、「本」、「枚」、「問」等もこれに準じる<small><sup>※3</sup></small>
|-
| 番||3番 さ{{高ピッチ発音/太字|んばん}}、5番 ご{{高ピッチ発音/太字|ばん}}||3番 {{高ピッチ発音/太字|さ}}んばん、5番 {{高ピッチ発音/太字|ご}}ばん||「段」もこれに準じる<small><sup>※3</sup></small>
|-
| 巻||4巻 {{高ピッチ発音/太字|よ}}んかん、7巻 な{{高ピッチ発音/太字|な}}かん<br />9巻 {{高ピッチ発音/太字|きゅ}}うかん||4巻 よ{{高ピッチ発音/太字|んか}}ん、7巻 な{{高ピッチ発音/太字|なか}}ん<br />9巻 きゅ{{高ピッチ発音/太字|うか}}ん||「点」もこれに準じる
|-
| 円||2円 に{{高ピッチ発音/太字|えん}}、3円 さ{{高ピッチ発音/太字|んえん}}<br />6円 ろ{{高ピッチ発音/太字|くえん}}、8円 は{{高ピッチ発音/太字|ちえん}}||2円 {{高ピッチ発音/太字|に}}えん、3円 {{高ピッチ発音/太字|さ}}んえん<br />6円 ろ{{高ピッチ発音/太字|く}}えん、8円 は{{高ピッチ発音/太字|ち}}えん||
|-
| 人||3人 さ{{高ピッチ発音/太字|んに}}ん、4人 よ{{高ピッチ発音/太字|に}}ん<br />5人 ご{{高ピッチ発音/太字|に}}ん、9人 く{{高ピッチ発音/太字|に}}ん||3人 さ{{高ピッチ発音/太字|んにん}}、4人 よ{{高ピッチ発音/太字|にん}}<br />5人 ご{{高ピッチ発音/太字|にん}}、9人 く{{高ピッチ発音/太字|にん}}||名詞的用法では共通語と異なる<small><sup>※4</sup></small>
|-
| 男||次男 {{高ピッチ発音/太字|じ}}なん||次男 じ{{高ピッチ発音/太字|な}}ん||共通語では「次男」のみ「な」にアクセント核を置いてはならないが<br />「長男」と「三男以降」は許容される。
|-
| 回||x回 x{{高ピッチ発音/太字|か}}い<br />但し4回、7回、9回のアクセント核は「か」より前||x回 x{{高ピッチ発音/太字|か}}{{下げ核|{{高ピッチ発音/太字|い}}}}||名詞的用法では共通語と異なる<small><sup>※4</sup></small>
|-
| 通||x通 x{{高ピッチ発音/太字|つ}}う<br />但し4通、7通、9通のアクセント核は「つ」より前||x通 {{高ピッチ発音/太字|x}}つう（アクセント核は「つ」より前）||「4通」「7通」「9通」のみ共通語に同じ<small><sup>※4</sup></small>
|-
| 班||x班 {{高ピッチ発音/太字|x}}は(ぱ)ん（頭高）<br />但し7班、8班のアクセント核は「は(ぱ)」の直前||x班 x{{高ピッチ発音/太字|は(ぱ)}}ん||「犯」、「版」もこれに準じる
|-
| 畳||x畳 x{{高ピッチ発音/太字|じょ}}う||x畳 {{高ピッチ発音/太字|x}}じょう（アクセント核は「じょ」より前）||「合（ごう）」、「銭（せん）」もこれに準じる<small><sup>※4</sup></small>
|}
<small><sup>※1</sup></small>「10日（と{{高ピッチ発音/太字|おか}}）」は平板。「14（じゅ{{高ピッチ発音/太字|うよ}}ん）」は頭高ではないが、「14日（{{高ピッチ発音/太字|じゅ}}うよっか）」は頭高になる。<br />
<small><sup>※2</sup></small>「13年（じゅ{{高ピッチ発音/太字|うさ}}んねん）」は頭高にならない。<br />
<small><sup>※3</sup></small>「5（{{高ピッチ発音/太字|ご}}）」「9（{{高ピッチ発音/太字|く}}）」は共通語の伝統的アクセントにおいてはアクセント核を持たない「ご」「く」であったとされる。<ref name=E/><br />
<small><sup>※4</sup></small>たいていの場合、副詞的用法では平板になる。（「畳」を除く）
=== 地名のアクセントの相違 ===
{{節スタブ}}
* ○○郡、○○市、○○町は固有地名の末尾にアクセント核を置く中高型、○○村は原則として平板型となる（例外あり）。
* 以下の項では「郡」「市」「町」「村」がつかない固有地名について長野県で用いられているアクセントを記す。
==== 「長野」のアクセント ====
県名ならびに市名の「長野」のアクセントについては、平板型（な'''がの''':0型）、頭高型（'''な'''がの:1型）、中高型（な'''が'''の:2型）、尾高型（な'''が'''{{下げ核|'''の'''}}:3型）の4類型がある。共通語アクセントは1型（古くは3型）であり<ref name=E>{{harvnb|『NHK日本語発音アクセント辞典』}}</ref>、長野県下でも共通語に合わせる傾向が見られる。
; 長野県下におけるアクセント分布<ref name="kenshi"/>
*上下水内・上下高井地域 - 1型、0型
*上小・更級・埴科・北佐久地域 - 2型
*南佐久地域 - 2型、3型
*北安曇地域 - 0型、2型
*南安曇・東筑摩地域 - 2型、3型
*諏訪地域 - 2型
*上伊那地域 - 3型
*下伊那地域 - 2型、3型
*木曽地域 - 2型
[[1998年]]の長野オリンピックの際も「長野」の言い方が一部マスコミで話題になり、あるスポーツ新聞の調査では「地元でも（頭高型と平板型が）半々で使われている」という報道があった。地元民が頭高型の「長野」を使う場合は、近隣市の「中野市」を「中野」と言うときと紛らわくないように使う場面が多い。このように地名に関しては、地元の言葉と共通語との違いが多々見受けられる。
==== 平板型 ====
多くの場合、高齢者層を中心にして尾高型に発音される傾向もある。
*{{ruby|青木|あおき}}村
*{{ruby|飯綱|いいづな}}町
*{{ruby|池田|いけだ}}町
*{{ruby|上田|うえだ}}市
*{{ruby|売木|うるぎ}}村
*{{ruby|王滝|おうたき}}村
*{{ruby|大桑|おおくわ}}村
*{{ruby|大鹿|おおしか}}村
*{{ruby|川上|かわかみ}}村
*{{ruby|駒ヶ根|こまがね}}市
*{{ruby|小諸|こもろ}}市
*{{ruby|佐久穂|さくほ}}町
*{{ruby|喬木|たかぎ}}村
*{{ruby|筑北|ちくほく}}村
*{{ruby|豊丘|とよおか}}村
*{{ruby|南木曽|なぎそ}}町
*{{ruby|原|はら}}村
*{{ruby|宮田|みやだ}}村
*{{ruby|御代田|みよた}}町
*{{ruby|泰阜|やすおか}}村
; 例外あり
*{{ruby|小布施|おぶせ}}町
*{{ruby|栄|さかえ}}村
*{{ruby|長和|ながわ}}町
*{{ruby|小川|おがわ}}村
*{{ruby|根羽|ねば}}村
*{{ruby|平谷|ひらや}}村
: 上記4町村は頭高型も聞かれる。
*{{ruby|北佐久|きたさく}}郡
*{{ruby|下條|しもじょう}}村
*{{ruby|高山|たかやま}}村
*{{ruby|埴科|はにしな}}郡
: 上記4郡町村は2拍目にアクセント核を置く中高型も聞かれる。
*{{ruby|安曇野|あづみの}}市
: 3拍目にアクセント核を置く中高型も聞かれる。
*{{ruby|岡谷|おかや}}市
: 共通語は頭高型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten">「日本国語大辞典 第2版」</ref>。
*{{ruby|軽井沢|かるいざわ}}町
: 共通語は2拍目または3拍目にアクセント核を置く中高型<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。古くは「かるいさわ」と発音され、地元住民は現在もそのように呼称する。
*{{ruby|長野|ながの}}市、県
: 尾高型や中高型も聞かれる。共通語は頭高型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
==== 尾高型 ====
*{{ruby|飯島|いいじま}}町<ref name="kamiina"/>
*{{ruby|飯田|いいだ}}市<ref name="kenshi"/><ref name="kamiina"/>
*{{ruby|麻績|おみ}}村
*{{ruby|木祖|きそ}}村
*{{ruby|辰野|たつの}}町<ref name="kamiina"/>
; 例外あり
*{{ruby|伊那|いな}}市
: 共通語は頭高型と平板型<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|木曽|きそ}}町、郡
: 共通語は平板型も認めている<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|佐久|さく}}市
: 共通語は頭高型と平板型<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|塩尻|しおじり}}市
: 共通語は2拍目にアクセント核を置く中高型も認めている<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|信濃|しなの}}町、令制国名
: 共通語は頭高型も認めている<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|諏訪|すわ}}市、郡
: 共通語は頭高型も認めている<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|松本|まつもと}}市
: 共通語及び北信方言では平板型<ref name="kenshi"/>。
**{{ruby|中野|なかの}}市
: 平板型
==== 頭高型 ====
*{{ruby|阿智|あち}}村
*{{ruby|生坂|いくさか}}村
*{{ruby|大町|おおまち}}市
*{{ruby|坂城|さかき}}町
*{{ruby|須坂|すざか}}市
*{{ruby|天龍|てんりゅう}}村
*{{ruby|東御|とうみ}}市
*{{ruby|白馬|はくば}}村
; 例外あり
*{{ruby|小谷|おたり}}村
*{{ruby|千曲|ちくま}}市
: 上記2市町村は平板型も聞かれる。
*{{ruby|阿南|あなん}}町 ※県下で唯一「ちょう」と読む
:「町」がつく場合は2拍目にアクセント核を置く中高型になる。
*{{ruby|飯山|いいやま}}市
: 共通語は平板型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|小海|こうみ}}町
: 共通語は平板型も認めいてる<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|茅野|ちの}}市
: 共通語は平板型のみ<ref>{{Cite book|和書|author=日本放送協会放送文化研究所 |title=NHK日本語発音アクセント新辞典 |publisher=NHK出版 |year=2016 |ISBN=9784140113455 |id={{全国書誌番号|22734874}}}}</ref>
*{{ruby|富士見|ふじみ}}町
: 共通語は平板型と尾高型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
==== 中高型 ====
原則として3 - 4拍語地名は2拍目、5拍語地名は3拍目、6 - 7拍語地名は4拍目にアクセント核を置く。
*{{ruby|上松|あげまつ}}町
*{{ruby|上伊那|かみいな}}郡
*{{ruby|上高井|かみたかい}}郡
*{{ruby|上水内|かみみのち}}郡
*{{ruby|木島平|きじまだいら}}村
*{{ruby|北相木|きたあいき}}村
*{{ruby|北安曇|きたあづみ}}郡
*{{ruby|下伊那|しもいな}}郡
*{{ruby|下高井|しもたかい}}郡
*{{ruby|下水内|しもみのち}}郡
*{{ruby|高森|たかもり}}町
*{{ruby|小県|ちいさがた}}郡
*{{ruby|中川|なかがわ}}村
*{{ruby|野沢温泉|のざわおんせん}}村
*{{ruby|東筑摩|ひがしちくま}}郡
*{{ruby|松川|まつかわ}}町、村
*{{ruby|南相木|みなみあいき}}村
*{{ruby|南佐久|みなみさく}}郡
*{{ruby|南牧|みなみまき}}村
*{{ruby|南箕輪|みなみみのわ}}村
*{{ruby|山形|やまがた}}村
*{{ruby|山ノ内|やまのうち}}町
; 例外あり
*{{ruby|箕輪|みのわ}}町
: 頭高型も聞かれる<ref name="kamiina"/>。
*{{ruby|朝日|あさひ}}村
: 一般名詞としての共通語は頭高型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|下諏訪|しもすわ}}町
: 共通語は平板型のみ<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
*{{ruby|立科|たてしな}}町
: 共通語は平板型も認めている<ref name="nihonkokugodaijiten"/>。
==== 村のアクセントの例外 ====
* 一部の村に於いては「村」がつく場合であっても平板型にはならずに、その直前にアクセント核を置くものも聞かれる。（「○○○○町」と言う時のようなアクセントになる） 例：栄村（さ{{高ピッチ発音/太字|かえ}}むら）、山形村（や{{高ピッチ発音/太字|まがた}}むら）等。
== 信州弁を話す著名人 ==
<!--人物追加は五十音順で-->
* 麻ミナ：[[連続テレビ小説]]「[[おひさま (テレビドラマ)|おひさま]]」で信州方言指導を担当
* [[上條恒彦]]
* [[滝沢沙織]]
* [[田中要次]]
* [[藤森慎吾]]
* [[峰竜太]]
* [[あらじい]]：自身のブログで癖の非常に強い方言による文章を作成
== 長野県方言が作中で使われた作品一覧 ==
*[[47都道府犬]] - [[声優バラエティー SAY!YOU!SAY!ME!]]内で放映された短編アニメ。郷土の名産をモチーフにした犬たちが登場する。長野県は、[[山葵]]がモチーフの長野犬として登場し、『やめるだにぃ!!』など話す。声優は、長野県出身の[[伊藤かな恵]]が担当している。
== 関連項目 ==
* [[日本語]]
* [[標準語]]
* [[共通語]]
** [[首都圏方言]]
* [[新方言]]
* [[日本語の方言]]
** [[東日本方言]]
*** [[東海東山方言]] - 長野県の方言が属する上位区分
**** [[甲州弁]]
**** [[静岡弁]]
**** [[遠州弁]]
**** [[伊豆弁]]
**** [[三河弁]]
**** [[名古屋弁]]
**** [[美濃弁]]
**** [[飛騨弁]]
**** [[越後方言|越後弁]]
***** [[秋山郷方言]]
**** 長野県方言
***** [[上伊那地域の方言]]
***** [[佐久市]]（「方言」を参照）
***** [[奥信濃]]（「文化」を参照）
***** [[南信州地域]]（「概要」を参照）
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
<references/>
== 方言資料 ==
{{colbegin|4}}
=== 北信方言 ===
*「下水内の方言」1976
*「上高井郡誌」1914
*「中野のふるさとことば」1992
*「鬼無里村史」1976
*「長野市及び上水内郡の方言集」1935
*「方言の単語と民話と対話集」1992
*「川中島平方言集」1952
*「更級郡方言調査書」1891
=== 東信方言 ===
* {{harvnb|『東信濃方言集』|loc=1976}}
*「上田附近方言調査」1907
*「上田市誌 民俗編」2003
*「佐久市志 民俗編」1990
*「南佐久郡誌 方言編」1996
*「川上村誌 民俗編」1986
=== 中信方言 ===
*「松塩筑安曇地方の方言」2003
*「北安曇郡方言取調」1897
*「小谷口碑集」1922
*「南安曇郡誌(旧)」1923
*「南安曇郡誌(新)」1962
*「三郷村誌」1980
*「乗鞍高原の方言」1987
*「東筑摩郡方言」1898
*「諏訪の方言」1978
*「富士見町史」2005
*「上伊那郡誌 民俗編」1980
=== 南信方言 ===
*「西筑摩郡誌」1915
*「木曽の方言」1974
*「日義村誌 民俗編」1998
*「開田村誌」1980
*「上伊那郡誌 民俗編」1980
*「信州下伊那郡方言集」1936
*「千代の方言」2005
*「阿南町誌」1987
*「遠山のことば」2004
{{colend}}
== 参考文献 ==
<!--{{参照方法|date=2023年9月|section=1}} / 引用が一回のみの文献或いは頁記載のない文献は文中に記載-->
* {{Cite book|和書|author=馬瀬良雄 |title=信州のことば : 21世紀への文化遺産 |publisher=信濃毎日新聞社 |year=2003 |ISBN=4784099379 |id={{全国書誌番号|20436160}} |url=https://id.ndl.go.jp/bib/000004167741 |ref={{harvid|『信州のことば』}}}}
* {{Cite book|和書|author=飯豊毅一, 日野資純, 佐藤亮一 |title=講座方言学 |edition=6 (中部地方の方言) |publisher=国書刊行会 |year=1983 |ISBN=4-336-01977-0 |id={{全国書誌番号|83022854}} |doi=10.11501/12449119 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12449119 |ref={{harvid|『講座方言学 6 中部地方の方言』}}}}
==関連文献==<!--明示的に引用されていない文献-->
*『信毎年鑑 1953年度版』「長野県方言集」（[[信濃毎日新聞社]]、1952年発行 ISBN なし）
*『ふたつのアクセント 長野県のことばと共通語』工藤敦男 著（銀河書房、1978年発行 ISBNなし）
*『[[長野県史]] 方言編』（長野県史刊行会、1992年発行 ISBNなし） - 長野県下各地の伝統的な語彙、音韻、アクセント（地域別・世代別）を掲載。
* {{Cite book|和書|author=馬瀬良雄 |title=言語地理学研究 |publisher=桜楓社 |year=1992 |ISBN=4273026139 |id={{全国書誌番号|93019183}} |ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=日本放送協会放送文化研究所 |title=NHK日本語発音アクセント辞典 |publisher=日本放送出版協会 |year=1985 |edition=改訂新版 |id={{全国書誌番号|85053813}} |ISBN=4140110406 |doi=10.11501/12448110 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12448110 |ref={{harvid|『NHK日本語発音アクセント辞典』}}}}
4-14-011040-6） - 共通語のアクセントはこの書籍に依った。
*『日本列島方言叢書8』（ゆまに書房、1996年発行 ISBN 4-89668-829-5）
*『[[新明解日本語アクセント辞典]]』[[金田一春彦]]監修（[[三省堂]]、2001年発行 ISBN 4-385-13670-X）
*『日本国語大辞典 第2版』全13巻 日本国語大辞典第二版編集委員会 編（[[小学館]]、2001年発行） - 地名の共通語アクセントはこの書籍に依った。
* {{Cite book|和書|author=出野憲司 |title=信州のことばアラカルト |publisher=信濃毎日新聞社 |year=2013 |series=信毎選書 |ISBN=9784784072118 |id={{全国書誌番号|22283391}}}}
{{長野県の自治体}}
{{日本語の方言}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:なかのけんほうけん}}
[[Category:長野県の文化]]
[[Category:長野・山梨・静岡方言]]
| |||