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経済準学士 (会話 | 投稿記録)
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[[Image:Sharaku2.jpg|thumb|right|東洲斎写楽による浮世絵:[[市川團十郎 (5代目)|市川鰕蔵]]の似顔絵]]
'''似顔絵'''(にがおえ)とは、人物の容貌や特徴をとらえて、あるいはデフォルメして描いた[[肖像|人物画]]
[[Image:Sharaku2.jpg|thumb|right|東洲斎写楽による浮世絵:市川鰕蔵の似顔絵]]
 
語源は[[浮世絵]]の[[役者絵]]のうち、役者の個性をとらえて描いたものが特に「似顔絵」とばれるようになった。それ以降、浮世絵に限らず、人物の顔を似せて克明に写実するか、あるいは[[デフォルメ]]([[カリカチュア]])して描いたもののうち、[[肖像|ファインアート]](いわゆる肖像画)を除く[[漫画]]や[[イラストレーション]]などを、すべて「似顔絵」とよばれる呼ぶようになった。
 
== 脚注歴史 ==
== 浮世絵における似顔絵 ==
[[大和絵]]においては、公人の記録のための[[似絵]](にせえ)や、[[禅宗]]における[[頂相]](ちんぞう)と呼ばれる肖像画の分野があった。
浮世絵初期の役者絵は、役者個人の特徴をとらえたものではなかった。浮世絵中期にあたる明和年間、[[一筆斎文調]]や[[勝川春章]]が役者個人個人の特徴をとらえた浮世絵を描きはじめ、これが「似顔絵」と呼ばれるようになる。役者似顔絵を得意とした絵師には、勝川春好、勝川春英、[[鳥居清長]]、東洲斎写楽、歌川豊国など。
 
浮世絵初期の役者絵は、役者個人の特徴をとらえたものではなかった。浮世絵中期にあたる[[明和]]年間、[[一筆斎文調]]や[[勝川春章]]が役者個人個人の特徴をとらえた浮世絵を描きはじめ、これが「似顔絵」と呼ばれるようになる。役者似顔絵を得意とした絵師には、勝川春好、勝川春英、[[鳥居清長]]、東洲斎写楽、歌川豊国など
== 浮世絵以外の似顔絵 ==
後世、浮世絵以外でも、対象個人の特徴をよくとらえた肖像を似顔絵と呼ぶようになる。
それらの似顔絵には、芸術性を帯びた[[肖像|肖像画]]から、風刺や[[パロディ]]の要素を持った[[漫画]]や[[イラスト]]のようなものまである。たとえ子どもの殴り書きのような簡単な[[スケッチ]]でも、人物の顔の特徴をとらえて似せた絵は立派な「似顔絵」である。逆に美術的には優れた絵でも、特徴を捉えていない物は似顔絵とは言わない。
 
役者似顔絵を得意とした絵師には、[[勝川春好]]、[[勝川春英]]、[[鳥居清長]]、[[東洲斎写楽]]、[[歌川豊国]]などがいる。
例えば右の中江兆民は面長な輪郭、秀でた額、小さな目元などの特徴が捉えられている。また島村抱月の場合、彼の特徴であるピンと張った口ひげ、大きな鼻梁、耳の形などがデフォルメして描かれている。
1981年から[[山藤章二]]が[[週刊朝日]]誌上で「山藤章二の似顔絵塾」の[[連載]]を持ち、塾生から多くの似顔絵描きを輩出した。
 
第二次世界大戦後・朝鮮戦争中には、絹こすり絵というアメリカ軍兵士向けのお土産品としての肖像画が作られた<ref>{{Cite web |url=https://bijutsutecho.com/magazine/interview/20892 |title=現代美術を揺さぶる妄想の力。ユアサエボシインタビュー |access-date=2024-11-03 |date=2019-11-15 |website=美術手帖 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000614/4000831/4000960.html |title=2016年4月26日 1950年代の美術資料より きぬこすり絵|板橋区立美術館 |access-date=2024-11-03 |website=板橋区立美術館 |language=ja}}</ref>。
=== 警察と似顔絵 ===
[[警察]]による身元不明者の情報募集や[[犯人]] [[指名手配]]では、[[写真]]が得られない場合には「似顔絵」が用いられることが多い。これらを担当する捜査官は似顔絵捜査官と呼ばれる。
 
== 似顔絵の種類と用途 ==
また、似顔絵は顔の特徴を強調するため、写真やビデオ画像よりも犯人の記憶を思い起こしやすく、[[逮捕]]に繋がりやすいという<ref>『記憶呼び起こす似顔絵、難事件相次ぎ解決…科学捜査時代に』2008年3月18日付配信 読売新聞</ref>。
=== 浮世絵以外犯罪捜査としての似顔絵 ===
{{main|{{ill2|捜査用似顔絵|en|Facial composite}}}}
[[警察]]による身元不明者や犯罪被害者(白骨死体から復顔した後など)の情報募集提供を呼びかける場合[[犯人]] [[指名手配]]では、する際の[[写真]]が得られない場合、また指名手配犯が[[整形手術]]で顔形を変える可能性がある場合、「似顔絵」または「整形後の想像画」を用いられることが多い。これらを担当する捜査警察官は'''似顔絵捜査官'''と呼ばれる。
 
また、似顔絵は顔の特徴を強調するため、写真やビデオ画像よりも犯人の記憶を思い起こしやすく、かえって[[逮捕]]に繋がりやすいという<ref>『記憶呼び起こす似顔絵、難事件相次ぎ解決…科学捜査時代に』2008年3月18日付配信 読売新聞</ref>。
 
=== 似顔絵描き ===
[[ImageFile:ParisArtist Montmartreon the Place du Tertre, dsc07247Paris 4 September 2006.jpg|thumb|220px|right|パリ・テルトル広場で制作中画家たち似顔絵師]]
[[File:Chez Eugène, 17 Place du Tertre, 75018 Paris, February 2007.jpg|thumb|right|テルトル広場の画家たち]]
無名画家たちの収入源のひとつが「似顔絵描き」である。街角に立ち、似顔絵の見本を並べ、観光客の似顔絵を描いてなにがしかの収入を得る。
[[File:A quick sketch portrait artist in Ueno, Tokyo 2005-11-09 b.jpg|thumb|right|東京上野の似顔絵画家]]
街角に立ち、似顔絵の見本を並べ、観光客の似顔絵を描いて収入を得る「似顔絵描き」と呼ばれる職業がある。無名画家たちが収入源を得る手段のひとつとしているほか、専業も多く存在する。
 
[[フランス]]の[[パリ]]は一名、「芸術の都」と称され、無名の[[画家]]たちが数多く住んできた。[[モンマルトル]]にある[[テルトル広場]]は似顔絵描きが数多くいることで知られ、パリの観光スポットになっている。
 
日本では[[東京]]の[[上野恩賜公園|上野公園]]の入り口階段付近やイベント会場などで似顔絵描きが行われている。1914年(大正3年)、[[静岡駅]]頭で似顔絵を描いた漫画家・[[服部亮英]]を嚆矢とする専門家{{誰|date=2020年6月}}もいる。
 
=== 似顔絵漫画 ===
{{see also|風刺漫画}}
似顔絵を使ったは、[[漫画]]における技法でもある。特にデフォルメを行う場合、[[風刺]]や[[パロディ]]の要素を帯びる。政治や世情に関する風刺や批判を目的とする漫画([[風刺漫画]])やスポーツ・芸能の情報関連の漫画では有名人の似顔絵がほとんど必須である。
 
1981年から日本では[[山藤章二]]が似顔漫画分野の第一人者で、[[朝日新聞]]の記事カット用の似顔絵を長年担当したほか、[[1981年]]から[[週刊朝日]]誌上で投稿コーナー「山藤章二の似顔絵塾」の[[連載]]を持ち、塾生(一般投稿者)から多くのプロ似顔絵描きを輩出した。
 
=== 浮世絵芸能メディアにおける似顔絵の利用 ===
テレビ番組、特にバラエティ番組においては、放送中の番組に出演していないタレントを[[ワイプ]]合成などで紹介する際に、そのタレントの写真を使用すると[[肖像権]]が絡むため、[[芸能事務所]]など関係各所の許可が得られずに写真を使用できない場合や、許可は得られても肖像権料が高い場合などで、似顔絵で代用することがある。
* [[ジャニーズ事務所]]は長らく所属タレントの写真の使用を原則認めなかった<ref>{{Cite news |author= |date=2017-08-31 |url=https://www.j-cast.com/2017/08/31307303.html |title=外務省がタッキー写真をウェブ掲載! ミス?担当者に質問すると... |publisher=[[ジェイ・キャスト]] |newspaper=J-CASTニュース |accessdate=2017-08-31 }}</ref>が、2018年1月31日から一部認めるようになってきている<ref>{{Cite news|url=https://www.daily.co.jp/gossip/2018/01/31/0010945873.shtml|title=ジャニーズ 写真をネット解禁 一部制限付で|newspaper=[[デイリースポーツ]]|publisher=[[神戸新聞社]]|date=2017-01-31|accessdate=2018-01-31}}</ref>。
 
このほか、タレントが結婚を公表した際に、[[配偶者]]が芸能関係などではない一般人である場合は、プライバシー保護の観点から記者会見などで配偶者を写真ではなく、「芸能人に例えると●●さん」と言いながら自作の似顔絵で紹介することがある。当然に似顔絵は上手・下手があるものの、それも含めての話題作りとなっている。
 
== 脚注 ==
{{reflist}}
 
== 参考図書 ==
* [[山藤章二]]『カラー版 似顔絵』 岩波新書 岩波書店 ISBN 4004306752 2000年
* [[和田誠]] 『似顔絵物語』 白水社 ISBN 4560046638 1998年
* [[小河原 智子]]『似顔絵18のテクニック―ワンポイントで楽しむ』 日貿出版社 ISBN 4817032847 2002年
* [[小河原 智子]]『小河原智子のだれでもカンタン!「ポジション式」似顔絵入門』造事務所 (編集) 河出書房新社 ISBN 4309268382 2005年
* 清 つねお『似顔絵教室』 晩成書房 ISBN 4893802712 2002年
*「似顔絵漂流記」アウトドア・ライフの大衆芸人 :玉川しんめいパンリサーチインスティテュート
* 似顔絵情報誌 『NIDO1号』 NIDO編集部 2009年7月
* 似顔絵情報誌 『NIDO2号』 NIDO編集部 2009年12月
 
== 関連項目 ==
{{Commons|Nigao-eCategory:Nigaoe|似顔絵}}
{{Commons|Category:Caricatures|似顔絵を含む諷刺画}}
* [[風刺漫画肖像]]
* [[フォトモンタージュ|モンタージュ写真]]
* [[戯画]](風刺画)
* [[漫画]]
* [[戯作]]
* [[イラストレーション]]
* [[美術]]
* [[ナンシー関]]
* [[日本似顔絵師協会]]
* [[似顔絵検定]]
 
{{Art-stub}}
== 脚注 ==
{{イラストレーション}}
<references/>
{{Normdaten}}
 
{{stub}}
{{DEFAULTSORT:にかおえ}}
[[Category:絵画のジャンル]]
[[Category:イラストレーション]]
[[Category:風刺画]]
[[Category:肖像画|*にかおえ]]
[[Category:ポートレート・アート]]