「JR東日本E331系電車」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
L masyu (会話 | 投稿記録)
rvv121.3.138.134 (会話) による ID:31054497 の版を取り消し
m 外部リンクの修正 http:// -> https:// (railf.jp) (Botによる編集)
 
(100人を超える利用者による、間の403版が非表示)
1行目:
{{導入部が短い|date=2025-05}}
{{保護依頼}}
{{鉄道車両
| 車両名 = JR東日本E331系電車
| 背景色 = #0c8c11
|画像= JREast-E331.jpg
| 文字色 = #ffffff
|画像説明= E331系(2006年7月、京葉車両センターにて撮影)
| 画像 = JREast-E331.jpg
|社色= #008000
| 画像説明 = JR東日本E331系電車
|unit = self
| 運用者 = [[東日本旅客鉄道]]
|編成 = 14両編成([[MT比|6M8T]])
| 製造所 = [[東急車輛製造]]<small>(1 - 7号車)</small><br/>[[川崎車両|川崎重工業車両カンパニー]]<small>(8 - 14号車)</small>
|起動加速度 = 2.5km/h/s
| 製造年 = [[2006年]]
|営業最高速度 = 100km/h
| 製造数 = 14両
|設計最高速度 = 120km/h
| 運用開始 = 2007年3月18日<ref name="RF656">{{Cite journal |和書 |author=<!-- 記載なし --> |date =2007-06-01 |title =鉄道記録帳 2007年3月 |journal =RAILFAN |volume = |issue =656 |page =26 |publisher =[[鉄道友の会]] }}</ref>
|減速度(通常)=
| 運用終了 = 2011年1月16日
|減速度(非常)=
| 廃車 = 2014年3月25日
|編成定員= 1,480名(標準)
| 運用範囲 = [[京葉線]]
|全長= 16,500mm(1・7・8・14号車)<br />13,400mm(その他)
| 編成 = 14両編成([[MT比|6M8T]])
|全幅= 2,989mm
| 軌間 = 1,067 mm([[狭軌]])
|全高=
| 電気方式 = [[直流電化|直流]] 1,500 [[ボルト (単位)|V]]<br />([[架空電車線方式]])
|編成重量=
| 最高運転速度 = 100 [[キロメートル毎時|km/h]]
|軌間= 1,067mm([[狭軌]])
| 設計最高速度 = 120 km/h
|電気方式= [[直流電化|直流]]1,500V<br />([[架空電車線方式]])
| 起動加速度 = 2.3 [[メートル毎秒毎秒|km/h/s]]<ref name="Tech232">日本鉄道車両工業会「車両技術」232号「JR東日本 E331系一般形直流電車」記事。</ref>または<br />2.5 km/h/s<ref name="Tech232"/>
|編成出力 =
| 常用減速度 = 4.2 km/h/s<ref name="Tech232"/>
|主電動機 = [[永久磁石同期電動機]] MT77
| 非常減速度 = 4.2 km/h/s<ref name="Tech232"/>
|駆動装置 = [[ダイレクトドライブ|車軸直接駆動方式]]
| 編成定員 = 1,480名(標準)
|制御装置 = [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]([[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]])
| 車両定員 =
|ブレーキ方式= [[回生ブレーキ|回生]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]
| 自重 =
|保安装置= [[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P]], [[自動列車停止装置#ATS-S改良形(ATS-Sx形)|ATS-S<small>N</small>]]
| 編成重量 =
|製造メーカー=[[東急車輛製造]]・[[川崎重工業]]
| 編成長 =
| 全長 = 16,500 [[ミリメートル|mm]](1・7・8・14号車)<br />13,400 mm(その他)
| 全幅 = 2,989 mm
| 全高 =
| 車体材質 = [[ステンレス鋼|ステンレス]]
| 台車 = 軸梁式ボルスタレス台車<br />DT73(連接部)<br />TR257(連結部)・TR258(連接部)
| 主電動機 = [[永久磁石同期電動機]] MT77
| 主電動機出力 = 160 kW / 基
| 駆動方式 = [[ダイレクトドライブ|車軸直接駆動方式]](ダイレクトドライブ)
| 編成出力 = 1,920kW (160kW×12)
| 制御方式 = [[東芝]]製[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]([[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]])
| 制御装置 =
| 制動装置 = [[回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]
| 保安装置 = [[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P]]、[[自動列車停止装置#ATS-S改良形|ATS-S<small>N</small>]]
| 備考 =
}}
'''E331系電車'''(E331けいでんしゃ)は、かつて[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)に在籍していた[[直流電化|直流]][[一般形車両 (鉄道)|一般形]][[電車]]。
 
== 概要 ==
JR東ではこれまで[[JR東日本E993系電車|E993系]]において連接構造・直接駆動式モーターの試験を行い基本的な確認と検証を行ってきた<ref name="rp2006-7-158">電気車研究会「鉄道ピクトリアル」2006年7月号158-165頁</ref>。しかし長期間の使用におけるメンテナンス周期や設備・量産時における課題などより営業面においての新技術の有効性を確認する必要があった<ref name="rp2006-7-158" />。
現在、[[京葉線]]で使用されている[[国鉄201系電車|201系]]の置き換えを目的([[中央線快速]]からの転属車は除く)として、[[2006年]]([[平成]]18年)[[3月]]に量産先行車が製造された。国鉄→JR所有の鉄道車両で初の営業運転を行う[[連接車]]である<ref>国鉄→JR線で連接車が営業運転に使用されたのは[[御殿場線]]が最初であるが、使用された連接車は急行時代の「[[あさぎり (列車)|あさぎり]]」に使われていた[[小田急3000形電車 (初代)|初代小田急3000形「SE」→「SSE」]]である。これを含めても同車が[[1991年]]3月に営業運転を終了して以来16年<!--営業運転開始は2007年3月-->ぶりとなった。</ref>。
 
当初は[[国鉄201系電車|201系電車]]の置き換えとして[[中央線快速|中央快速線]]に導入する案もあったが、従来の車両と長さが異なり乗車位置も他の車両と変わること、[[中央線快速|中央快速線]]においては分割併合が多く連接構造の試験に不向きなこと、同線は当時輸送の安定が最優先課題であり試験車を入れる余地がないことから、分割併合の少ない[[京葉線]]に導入することとした<ref name="交通新聞社_JR東">白川・和田「JR東日本はこうして車両をつくってきた」71-74頁</ref>。[[2006年]]([[平成]]18年)3月に[[プロトタイプ#鉄道車両|量産先行車]]が製造された。国鉄→JR所有の鉄道車両で初の営業運転を行った[[連接台車|連接車]]である<ref group="注">国鉄→JR線で連接車が営業運転に使用されたのは[[御殿場線]]に乗り入れていた[[小田急3000形電車 (初代)|小田急3000形「SSE」]]以来で、同車が[[1991年]]3月に営業運転を終了して以来16年<!--営業運転開始は2007年3月-->ぶりとなった。</ref>。
第1編成は、2006年3月に2回に分けて7両ずつ車両メーカー([[東急車輛製造]]・[[川崎重工業]])から[[車両輸送|甲種車両輸送]]された。
 
第1編成は、2006年3月に2回に分けて7両ずつ車両メーカー([[東急車輛製造]]<ref group="注">1号車 - 7号車の製造を担当</ref>・[[川崎重工業車両カンパニー|川崎重工業]]<ref group="注">8号車 - 14号車の製造を担当</ref>)から[[車両輸送#甲種輸送|甲種輸送]]された。
== 車体 ==
軽量[[ステンレス鋼|ステンレス]]車体で、前面形状は[[山手線]]用の[[JR東日本E231系電車|E231系500番台]]と類似しているが、車端部のオーバーハングがなく、台車中心間距離が短い連接式であることから、車体幅は従来の車両より39mm広い2,989mmで、車体全長は13.4mを基本とし、片方の台車をその車両に属することとしている<ref>ただし、自重は両端の台車の半分ずつで算定されている。</ref>。ただし、先頭車([[制御車]])のクハE331形・クハE330形および編成分割部の[[付随車]]のサハE331形1000番台・サハE330形は16.5mである。
 
== 構造 ==
[[JR東日本E993系電車|E993系]](ACトレイン、現在は[[廃車 (鉄道)|廃車]])と同様に客用[[扉|ドア]]の数は1両当たり3か所となっている。なお、同系列で採用された外吊り戸は本系列では採用されず、[[戸袋]]にドアを収納する従来タイプとされた。
 
=== 車体 ===
<!--窓の話について詳しいかたがいらっしゃいましたら加筆修正願います。また、現車は一部固定窓だったかも知れません。あわせて修正をお願いします。-->
軽量[[ステンレス鋼|ステンレス]]車体で、前面形状は[[山手線]]用の[[JR東日本E231系電車#500番台|E231系500番台]](ライト配置など)や、E993系と類似するが、車端部のオーバーハングがなく、台車中心間距離が短い連接式であることから、車体幅は従来の車両より39mm 広い2,989mmで、車体全長は13.4[[メートル|m]]を基本とし、片方の台車をその車両に属することとしている<ref group="注">ただし、自重は両端の台車の半分ずつで算定される。</ref>。ただし、先頭車([[制御車]])のクハE331形・クハE330形および編成分割部の[[付随車]]のサハE331形1000番台・サハE330形は16.5mである。
<!--固定窓はなく、すべて開きます。-->
窓枠は[[JR東日本E231系電車|E231系]]のような1段下降式ではなく、[[JR東日本209系電車|209系]]や[[東京臨海高速鉄道70-000形電車|東京臨海高速鉄道70-000形]]の開閉化改造窓のような下段固定・上段下降式である。
 
[[JR東日本E993系電車|E993系]](ACトレイン、2006年7月に[[廃車 (鉄道)|廃車]])と同様に客用[[扉|ドア]]の数は1両当たり3か所である。なお、E993系で採用された外吊り戸は本系列では採用されず、[[戸袋]]にドアを収納する従来タイプとされた。
1編成14両で構成されているが、編成の長さは既存車両(20m車)の10両編成と同一である。14両は全て連接化されているわけではなく、7両の連接編成2本が組み合わされている。そのため、台車の数は合計16となる。[[鉄道車両の検査|検査]]などの際は連接編成を分割して行うことがある。
 
貫通路については、E993系では幅広とし立席スペースとしての活用を考慮していたものの、韓国で発生した[[大邱地下鉄放火事件]]を受けて[[鉄道に関する技術上の基準を定める省令]]の解釈基準が変わり、貫通扉の設置が必要になったことからE231系と同じく幅を900㎜として貫通扉を設けた<ref name="交通新聞社_JR東"/><ref name="Fan2006-7-1">交友社「鉄道ファン」2006年7月号新車ガイド1「JR東日本E331系一般形直流電車」44-47頁</ref>。貫通扉には扉は傾斜式戸閉機構を採用している<ref name="Fan2006-7-1"/>。
== 車内 ==
[[ファイル:JR東日本E331系電車 車内の液晶画面.JPG|thumb|200px|車内液晶画面(列車案内)]]
視認性を向上するため、各ドアの端部に[[JR東日本E531系電車|E531系]]や[[JR東日本E233系電車|E233系]]で採用した黄色いテープを高さいっぱいに貼付し、通路際の床材の色を黄色とするとともに[[ドアチャイム]]とドアランプを搭載している。また、自動放送装置を搭載するとともに各ドアの上部にはE231系500番台やE233系0番台<!--1000番台はサイズが異なり同一品ではありません。-->と同一の[[液晶ディスプレイ|液晶モニタ]]を2基搭載し、右側は行先・次の駅・乗り換え案内・運行情報などを、左側は[[トレインチャンネル]]として[[ニュース]]・[[天気予報]]・[[コマーシャルメッセージ|CM]]などをそれぞれ放映している。また、新たな運行情報が入電された時はアラートが鳴動し、また始発駅を発車した時点で入電されている時は最初から鳴動する。
 
窓枠は[[JR東日本E231系電車|E231系]]のような1段下降式ではなく、[[JR東日本209系電車|209系]]や[[東京臨海高速鉄道70-000形電車|70-000形]]の開閉化改造窓のような下段固定・上段下降式である。
[[つり革]]は、E993系やE233系・E531系では黒色だったが、本系列では白色を採用した。なお、[[優先席]]付近は[[2008年]]初頭頃にオレンジ色のものに交換した。また、[[車椅子スペース]]の他、[[車椅子]]でスムーズな乗降ができるように専用の格納式電動スロープを設置している。
 
1編成14両で構成されているが、編成の長さは既存車両(20m車)の10両編成と同一である。14両は全て連接化されているわけではなく、7両の連接編成2本が組み合わされ、台車の数は合計16となる。[[日本の鉄道車両検査|検査]]などの際は7両ずつに分割されることがあった。
先頭車中央の[[鉄道車両の座席|座席]]はロングシートとセミクロスシートの両方に対応しているので、座席の中央の部分を回転させるとロングシートからクロスシートに変更することが可能である。これは[[仙石線]]で運用されている[[国鉄205系電車|205系3100番台]]の「2wayシート車」([[近畿日本鉄道]]の「L/Cカー」と同じ)とは異なり、かつて[[JR東日本209系電車|209系3000番台]]で試験が行われた可変座席と近い構造である。なお、座席モケットの柄はE231系500番台と同一である。
 
また、サハではE231系等と類似した座席が、モハには新開発の座席が設置されている。
=== 車内 ===
ドア先端部に黄色いテープを貼付し、通路際の床敷物の色を黄色にするとともに[[ドアチャイム]]とドア開閉表示灯を搭載している。
 
客用ドア上部には「[[トレインチャンネル]]」と呼ばれる2基の[[液晶ディスプレイ]](E231系500番台と同一のもの)があり、右側は行先・次の駅・乗り換え案内・運行情報などを、左側は[[トレインチャンネル]]として[[ニュース]]・[[天気予報]]・[[コマーシャルメッセージ|CM]]などをそれぞれ放映する。このほか、自動放送装置が導入された。
 
[[つり革]]は白色を採用した。[[優先席]]付近は2008年初頭頃にオレンジ色のものに交換した。車内には[[車椅子スペース]]を設置したほか、[[車椅子]]でスムーズな乗降ができるように専用の格納式電動スロープを設置する。
 
先頭車中央の[[鉄道車両の座席|座席]]はデュアルシートを採用しており、座席の中央部分を回転させるとロングシートからクロスシートに変更することが可能である。
 
戸閉装置(ドアエンジン)はモハE331形以外は[[JR東日本E231系電車#近郊タイプ|E231系1000番台]]や[[JR東日本E531系電車|E531系]]において実績のあるリニアモータ駆動式としている<ref name="Fan2006-7-1" />。一方モハE331形は直流ブラシレスモータによりプーリを駆動する新開発の電気式(モータ駆動ベルト式)を採用した<ref name="Fan2006-7-1" />。<gallery>
ファイル:E331 interior 20070318 (1).jpg|車内
ファイル:E331 interior 20070318 (2).jpg|ロングシート
ファイル:L25 TcE330-seat.jpg|可変座席
ファイル:E331-VIS.JPG|車内液晶画面
</gallery>
 
=== 主要機器 ===
本系列はE993系の成果を受けて開発された車両で、[[連接台車]]を持つ14m級の短い車体が大きな特徴である。制御装置は<!--東芝製2レベル-->[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]である。電動機は「ACトレイン」で試験された車軸直接駆動式モーターである[[ダイレクトドライブ]](DDM)を採用している。また、本系列は[[永久磁石同期電動機]](PMSM、MT77形)を日本国内の新製車両としては初めて搭載した<ref group="注">従来の歯車減速式駆動方式においては、後に[[東京地下鉄]](東京メトロ)[[東京メトロ丸ノ内線|丸ノ内線]][[営団02系電車|02系]]大規模改修車において採用された(新製車両では同社の[[東京メトロ千代田線|千代田線]][[東京メトロ16000系電車|16000系]]が初)。</ref>。加速時はチョッパ音のような非同期音のあと一度変調してその後ほとんど無音となる。減速時はその逆のパターン(無音→非同期音)を取る。
 
[[操縦席|運転台]]の[[速度計]]と双針圧力計は[[グラスコックピット]]方式とした。
 
補助電源装置はIGBT素子(3,300V - 800A)使用を使用した[[東芝]]製[[静止形インバータ]] (SIV) とし、形式はSC83となっており、出力電圧は[[三相交流]]440V,60Hz、電源容量は 210[[キロボルトアンペア|kVA]]である<ref name="rp2006-7-158" /><ref name="Cyber43th">日本鉄道サイバネティクス協議会『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』2006年(第43回)「待機二重系補助電源装置」論文番号508。</ref>。E531系ではE993系で開発された並列運転を行う方式としていたが、すべてを2重系統にすることによる重量・コストの増大が問題となった<ref name="rp2006-7-158" />。この為過去の実績から故障率の高いパワーユニット部及び制御部のみ2回路とし、故障率の低い高速度遮断器や出力フィルタ部は1回路とする「待機2重系方式」を採用した<ref name="Fan2006-7-1" /><ref name="rp2006-7-158" /><ref name="Cyber43th"/>。待機2重系方式とすることで機器故障時における運転不可となる確率は、1重系と比較して約14 %(約1/7)まで低減させている<ref name="Cyber43th"/>。
 
また、情報管理システムはE231系が搭載する[[TIMS]]の発展型であるAIMS(アイムス)を搭載している。<gallery>
ファイル:E331 DT73 Kunitachi 20140325.JPG|DT73系動力台車
ファイル:E331 TR258 Kunitachi 20140325.JPG|TR258系付随台車
ファイル:E331 TR257 car 8 Kunitachi 20140325.JPG|TR257系付随台車
</gallery>
 
== 編成 ==
58 ⟶ 97行目:
*'''モハE331形''':[[動力車|電動車]](側面[[方向幕|行先表示器]]なし)
*'''クハE331形''':制御車(可変座席あり)
*'''クハE330形''':同上補助電源搭載制御車(可変座席あり)
*'''サハE331形''':付随車([[空気圧縮機]]搭載)
*'''サハE331形'''500番台:補助電源搭載付随車([[集電装置|パンタグラフ]]搭載する
*'''サハE331形'''1000番台:付随車(片側通常台車)
*'''サハE330形''':同上補助電源搭載付随車(片側通常台車)
=== 第1号編成 ===
<!--記述順は1号車からではなく国鉄時代の慣習に従い奇数向き(京葉線では蘇我方)の車両からとする-->
量産先行車の第1編成は、2006年3月に2回に分けて7両ずつ車両メーカーから[[車両輸送|甲種車両輸送]]された。
*[[東急車輛製造]]([[神奈川県]][[横浜市]][[金沢区]])製造車
:*[[3月9日|9日]]~[[3月10日|10日]]に[[幕張車両センター]]へ輸送された。
:*=7号車サハE331-1001+6号車モハE331-4+5号車サハE331-2+4号車モハE331-5+3号車サハE331-502+2号車モハE331-6+1号車クハE330-1
*[[川崎重工業]]([[兵庫県]][[神戸市]][[兵庫区]])製造車
:*[[3月20日|20日]]~[[3月22日|22日]]に幕張車両センターへ輸送された。
:*14号車クハE331-1+13号車モハE331-1+12号車サハE331-1+11号車モハE331-2+10号車サハE331-501+9号車モハE331-3+8号車サハE330-1=
*凡例:+:連接台車、=:通常台車・連結器
 
=== 編成表 ===
両者は幕張にて連結され、[[3月27日|27日]]より一般路線での試運転を開始し、下旬に試運転を実施しながら配置先の[[京葉車両センター]]に到着している。
{| class="wikitable" summary="方面別編成表" style="text-align: center; font-size:80%"
|-
|style="background:#ccc;" colspan="2"|
|colspan="27"|{{TrainDirection|蘇我・<small>内房線 君津/外房線 上総一ノ宮</small>|東京}}
|-style="border-top:solid 6px #C9242F;"
! rowspan="7" |14両編成
 
!号車
|style="background-color:#fcc; width:4em"|14
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|13
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|12
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|11
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|10
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|9
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:3.7em"|8
|rowspan="2" style="background-color:#ccc;"|=
|style="background-color:#fcc; width:3.7em"|7
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|6
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|5
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|4
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|3
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|2
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"|+
|style="background-color:#fcc; width:4em"|1
|-
!車両番号
|クハ<br />E331<br />-1
|モハ<br />E331<br />-1
|サハ<br />E331<br />-1
|モハ<br />E331<br />-2
|サハ<br />E331<br />-501
|モハ<br />E331<br />-3
|サハ<br />E330<br />-1
|サハ<br />E331<br />-1001
|モハ<br />E331<br />-4
|サハ<br />E331<br />-2
|モハ<br />E331<br />-5
|サハ<br />E331<br />-502
|モハ<br />E331<br />-6
|クハ<br />E330<br />-1
|-
!座席の配置
|style="background-color:#cfc;"|<small>可変座席</small>
|rowspan="3" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="3" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="5" style="background-color:#ccc;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="3" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="2" style="background-color:#eee;"| &nbsp; || <small>ロング<br/>シート</small>
|rowspan="3" style="background-color:#eee;"| &nbsp;
|style="background-color:#cfc;"| <small>可変座席</small>
|-
!搭載機器
| &nbsp; || VVVF || CP || VVVF |||| VVVF ||<small>補助電源</small> &nbsp;
| &nbsp; || VVVF || CP || VVVF |||| VVVF ||<small>補助電源</small> &nbsp;
|-
!車体全長
|16.5 m
|colspan="9"|13.4 m
|16.5 m
|16.5 m
|colspan="9"|13.4 m
|16.5 m
|-
!車体重量
|24.1t
|
|16.8t
|
|16.5t
|
|16.8t
|
|16.7t
|
|16.8t
|
|21.5t
|20.2t
|
|16.8t
|
|16.5t
|
|16.8t
|
|16.7t
|
|16.8t
|
|25.1t
|-
!製造所
|colspan="13"|川崎重工業
|colspan="13"|東急車輛製造
|}
* 凡例:+:連接台車、=:通常台車・連結器
* 編成両端の14号車(クハE331形)と1号車(クハE330形)は車両中央部に可変座席を設置。それ以外の車両の座席は通常のロングシート。
 
== 運用 ==
本形式はおよそ1年かけて入念に試験運転を実施したうえで、2007年(平成19年)3月18日の[[2000年代のJRダイヤ改正|ダイヤ改正]]から京葉線で営業運転を開始した{{R|RF656}}。従来の車両とは乗車位置が異なることからラッシュ時は避けることとし<ref name="交通新聞社_JR東"/>、当面は土曜・休日ダイヤの95運用(列車番号の末尾2桁が94か95の列車)のみの運用<ref name="rj531-55">{{Cite journal|和書|journal=[[鉄道ジャーナル]]2011年1月号|volume= |issue=通巻531号|page=55}}</ref>だった。各駅の[[プラットホーム]]には本系列の停止位置を明確にするため、通常の4ドア車とは異なる専用の乗車口マークが設置されており、また運用時には[[発車標]]に「14両(3ドア)」と表記(一部駅の時刻表にも表記)された。
{{右|
[[ファイル:IMG 0591.jpg|thumb|none|200px|E331系用 乗車目標(乗車口の案内)]]
}}
本系列は、[[2007年]](平成19年)[[3月18日]]の[[2001年以降のJRダイヤ改正|ダイヤ改正]]から京葉線で営業運転を開始した。当面は土曜・休日ダイヤの95運用のみの運用だが、将来的には平日ダイヤへの運用拡大も予定されている。なお、平日ダイヤで運用される場合は、先頭車のクロスシート部分をロングシート部分に転換して運用される。各駅には本系列の停止位置を明確にするため、[[プラットホーム|ホーム]]には通常の201系や205系とは異なり、専用の乗車口マークが設置されており、また運用時には[[発車標]]に「14両(3ドア)」と表記(一部駅の時刻表にも表記)される。
 
開始当初は2007[[4月30日]]まで開催された「ちば[[デスティネーションキャンペーン]]」のADトレインとして運用していされた。しかし連接部の強度が不足し、部材に亀裂が入るトラブルがあったことから<ref name="交通新聞社_JR東"/>、4月に入ってからは運用されなくなり、しばらく[[幕張車両センター]]などで留置されていた<ref>[http://www.jrchiba.jp/news/press/press190529.html JR東日本千葉支社・E331系の運転休止について]</ref>。その後[[10月]]入ってから川崎重工製の7両が[[同社兵庫駅|兵庫]]工場戻って部品の一部について改良を行い同月[[10月26日|26日]]~[[10月から27日|27日]]かけて兵庫から京葉車両センターまで[[車両輸送#甲種輸送|甲種輸送]]された。また[[2008年]][[3月25日]]は[[東急車輛製造|東急車輛]]製の7両についても部品の一部同様の改良のため甲種輸送された。
 
2008年12月までは営業運転には就かず試運転は同京葉線を中心に試運転を行っていたが、同年[[12月23日]]より営業運転を再開し<ref>{{PDFlink|[http://www.jrchiba.jp/news/pdf/20081219E331.pdf E331系の運転再開について] JR東日本千葉支社}}</ref>、2009年5月頃に再び営業運転から離脱した
 
2010年4月3日に再度営業運転を再開し<ref>{{Cite news|url=https://railf.jp/news/2010/04/05/130800.html |title=E331系ケヨAK1編成が営業運転に|publisher=交友社|work=鉄道ファン|agency=railf.jp鉄道ニュース |date=2010-04-05}}</ref>、ダイレクトドライブ方式や連接台車化によるメリット(検査面・コスト面)を調査したが、2011年1月16日に再び営業運転から離脱し、これ以降営業運転に復帰することはなかった。
試運転は京葉線のほか、[[内房線]]や[[外房線]]などでも行っており、時折試験台車の交換などで[[大宮総合車両センター]]に入場することもある。
 
2010年7月1日より導入された[[JR東日本E233系電車#5000番台|E233系5000番台]]の置き換え対象からは外れていたが<ref>{{PDFlink|[https://www.jreast.co.jp/press/2009/20090904.pdf 「京葉線に最新型電車を導入」]}} - 東日本旅客鉄道プレスリリース</ref>、2014年(平成26年)3月25日に[[国鉄EF64形電気機関車#1000番台|EF64 1031]]牽引で[[長野総合車両センター]]へ廃車回送され<ref>{{Cite news|url=https://rail.hobidas.com/rmnews/247384/ |title=【JR東】E331系AK1編成配給輸送|work=RMニュース |publisher=ネコパブリッシング|date=2014-03-25}}</ref><ref name="railf.jp20140327">{{Cite news|url=https://railf.jp/news/2014/03/27/170000.html |title=E331系AK1編成が長野へ|publisher= [[交友社]]|work=[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]|agency=railf.jp鉄道ニュース |date=2014-03-27}}</ref>、4月2日付で[[廃車 (鉄道)|廃車]]<ref name="DJ2014-9_p81">{{Cite journal|和書|journal=鉄道ダイヤ情報2014年9月号 |volume= |issue=|page=81|publisher=交通新聞社}}</ref>、形式消滅となった。廃車後は全車両が解体されたため現存しない。
== 主要性能 ==
=== 機器構成 ===
本系列はE993系の成果を受けて開発された車両で、[[連接台車]]を持つ14m級の短い車体が大きな特徴である。制御装置は<!--東芝製2レベル-->[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]である。電動機は「ACトレイン」で試験された車軸直接駆動式 ([[ダイレクトドライブ|DDM]]) を採用している。加速時はチョッパ音のような非同期音のあと一度変調してその後ほとんど無音となる。減速時はその逆のパターンを取る。
 
稼働期間は約7年で、このうち乗客を乗せて営業運転に入った期間は約15か月間であった。<gallery>
[[操縦席|運転台]]の速度計と圧力計は[[2004年]]([[平成]]16年)以降に製造されたE231系近郊タイプや[[常磐線]]用のE531系と同様の[[液晶ディスプレイ]]([[グラスコックピット]])であり、サイズはE231系近郊タイプの10インチに対し、本系列では12.4インチへと拡大された。
ファイル:E331 cars 1-7 Yamate 20060309.JPG|甲種輸送されるE331系(2006年3月6日 山手駅)
ファイル:E331 Tokyo 20100502.jpg|京葉線で運用されるE331系(2010年5月2日 東京駅)
ファイル:E331 Platform Sign.jpg|乗車位置案内(東京駅)
ファイル:E331 AK1 Kunitachi 20140325.JPG|長野総合車両センターへ廃車回送されるE331系(2014年3月25日 国立駅)
</gallery>
 
== 評価 ==
また、情報管理システムはE231系が搭載する[[TIMS]]の発展型である[[AIMS]]を搭載している。
E331系の開発に関わった東芝のエンジニアが後に回顧したところでは、DDMや待機⼆重系⽅式SIVには大きな問題はなかったものの、AIMSの開発でトラブルが多発したという<ref name=yamamoto>[https://pecms.engineer.or.jp/previews/000/000/089/attach_8976_1.pdf E331系開発悲話] - 日本技術士会</ref>。AIMSでは制御系と情報系を1つのネットワークで賄う設計を採用したが、多数のメーカーとインタフェース等のすり合わせを行うことになり、開発に苦労したと語っている<ref name=yamamoto />。車両としては失敗に終わったものの、待機⼆重系⽅式SIVや永久磁石同期電動機などはその後の鉄道車両でも多く採用されており、要素技術レベルでは後世につながる役割を果たしたと評価している<ref name=yamamoto />。
 
一方で[[白川保友]]は、自著で「[[大邱地下鉄放火事件]]の影響で、連結部に人を乗せられるというメリットが失われてしまった」ことに加え「DDMはバネ下重量が重くなるが、その影響を軽視していた」ことを指摘した。また開発体制の問題として「運輸車両部と技術開発部門にそれぞれ車両技術者がいた」ことを挙げ、結果として現場の実情と合致しない車両となってしまったとしている<ref name="交通新聞社_JR東" />。
=== 車内設備・放送 ===
車内設備は、ドア上部に[[JR東日本209系電車|209系]]・[[JR東日本E217系電車|E217系]]・[[JR東日本E231系電車|E231系]]・[[JR東日本E501系電車|E501系]]・[[JR東日本E233系電車|E233系]]などと同様の[[ドアチャイム|チャイム]]を採用している。また、客室内には「[[トレインチャンネル]]」と呼ばれる2基の[[液晶ディスプレイ]](E231系500番台やE233系0番台と同一のもの)によって運行情報などを表示するシステムがあり、次の駅の案内などが表示され、[[漢字]]→[[ローマ字]]→[[平仮名|ひらがな]]の順に表示される(例:「次は舞浜です」→「Next Maihama」→「つぎはまいはまです」)。この他に京葉線の通勤車で初めて自動放送が導入された。音声は[[日本語]]を[[三浦七緒子]]、[[英語]]を[[クリステル・チアリ]]がそれぞれ担当している。
 
== 今後 ==
[[2007年]](平成19年)から[[2010年]](平成22年)までの3年間にわたり、京葉線で営業運転を兼ねながらの試験走行を行い、DDMや連接台車化によるメリット(検査面・コスト面)を調査し、量産に踏み切るかを判断する予定である。したがって、今後の増備計画についての発表はされていない。
 
なお、京葉線では2010年夏からE233系の導入を予定している<ref>[http://www.jreast.co.jp/press/2009/20090904.pdf 「京葉線に最新型電車を導入」] JR東日本PDF</ref>。<!--このため201系と205系の一部は廃車が予定され、205系の一部と209系は転用が計画されているが、本系列は置き換え対象から唯一外れており、E233系投入後も引き続き京葉線で運用される。--><!--上記ファイルにその旨の記述はありません。-->
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
== 関連項目参考文献 ==
* 白川保友・和田洋『JR東日本はこうして車両をつくってきた』 交通新聞社、2017年 ISBN 978-4-330-84517-3
{{JR東日本の車両リスト|電車限定=1}}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2006 |month=7 |title=New model JR東日本E331系 |journal=[[鉄道ピクトリアル]] |issue=777 |pages= |publisher=電気車研究会 |ref = RP2006-7 }}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2006 |month=10 |title=鉄道車両年鑑2006年版 |journal=鉄道ピクトリアル |issue=781 |pages= |publisher=電気車研究会 |ref = RP2006-10e }}
* {{Cite journal|和書|author= |year=2006 |month=7 |title=新車ガイド1 E331系一般形直流電車 |journal=[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]] |issue=543 |pages= |publisher=交友社 |ref = Rf2006-7 }}
* 日本鉄道サイバネティクス協議会『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』2006年(第43回)「待機二重系補助電源装置」論文番号508
 
== 外部リンク ==
*[https://web.archive.org/web/20080901224700/http://www.jrchiba.jp/news/press/press190222_2.html JR東日本千葉支社・京葉線E331系営業運転開始について] - 2008年9月1日の[[インターネットアーカイブ]]
 
{{Commons|Category:JR East E331}}
{{JR東日本の車両リスト|電車限定=1}}
{{デフォルトソート:しえいああるひかしにほんE331}}
[[Category:東日本旅客鉄道の電車|331]]
[[Category:2006年製の鉄道車両]]
 
[[Category:東急車輛製造製の電車]]
[[en:E331 series]]
[[Category:川崎重工業製の電車]]
[[ko:동일본 여객철도 E331계 전동차]]
[[Category:連接式の鉄道車両]]
[[zh:JR東日本E331系電力動車組]]
[[Category:試作車 (鉄道)]]