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{{Otheruses|海上自衛隊の練習機|中華民国空軍の練習機|AIDC T-5}}
{{ Infobox 航空機
| 名称=富士 T-5
| 画像=<!--画像:T-5 Ozuki (22103680772).jpg-->
| キャプション=<!--T-5-->
| 用途=初等[[練習機]]
| 分類=
| 設計者=
| 製造者=[[富士重工業(現・[[SUBARU]]
| 運用者={{JPN}}([[海上自衛隊]]
|飛行年月日=[[1987年]][[4月27日]]
| 生産数=3766(再調達中)+30機予定
| 生産開始年月日=
| 運用開始年月日=[[1989年]]
| 退役年月日=
| 運用状況=現役
|ユニットコスト=2億2千7百万円<ref name="h24">[https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/kouritsuka/rev_suishin/h24/pdf/r-sheet/0424.pdf 平成24年行政事業レビューシート]</ref>
| ユニットコスト=
}}
'''T-5'''は、[[海上自衛隊]]が運用する[[練習機]]。[[KM-2]]の後継機として採用され、[[対潜哨戒固定翼機]]などの・[[ヘリコプター]]を問わず全パイロットを養成するためと戦術航空士の初等訓練で使用される。<!--[[レイセオン・エアクラフト・カンパニー|レイセオン]](旧ビーチエアクラフト)の[[ライセンス生産|ライセンス]]を受け、-->[[富士重工業]](現[[SUBARU]])が製造した。
 
'''T-5'''は、[[海上自衛隊]]が運用する[[練習機]]。[[KM-2]]の後継機として採用され、[[対潜哨戒機]]などのパイロットを養成するための初等訓練で使用される。<!--[[レイセオン・エアクラフト・カンパニー|レイセオン]](旧ビーチエアクラフト)の[[ライセンス生産|ライセンス]]を受け、-->[[富士重工業]]が製造した。
 
== 導入経緯 ==
[[KM-2]]の老朽化とレシプロエンジンによる陳腐化により後継機が求められた。富士重工はこれに応えるべく、[[ターボプロップエンジン]]を搭載し、主翼や尾翼の形状を大幅に変更した'''KM-2D'''(JA8222)を独自に製作、[[1984年]]([[昭和]]59)59年)[[6月28日]]に初飛行し、次期練習機のためのデータ収集に当たった。防衛庁はKM-2Dの採用を決定し、同時にモックアップ審査が行われ、コックピットを4座席キャノピー型に変更、居住性向上や装備の近代化が図られた。'''KM-2改'''と仮称された機体は[[1985年]](昭和60)60年)より調達が開始され、初号機は[[1987年]](昭和62)62年)[[4月27日]]に初飛行、同年8月に海上自衛隊へ納入し、'''T-5'''として制式採用された。[[1989年]]([[平成]]元)から[[1999年]](平成11)11年)まで36機納入された。第201教育航空隊([[小月航空基地]])には1989年(平成元年)3月22日に初配備された。海上自衛隊のアクロバットチーム「[[ブランエール]]」もこの機体を運用している
 
老朽化により減数に転じたため、[[2006年]](平成18)18年)から不足分が再調達され<ref>{{Cite web|和書|title=富士重工業 海上自衛隊初等練習機T-5の製造を再開 |publisher=富士重工業 |date=2008-3-27|url=https://www.subaru.co.jp/news/archives/contents/pdf_42212.pdf|accessdate=2020-01-30}}</ref>、[[2008年]](平成20)320年)3月27日に1機(37号機)が納入された。2007年度(平成19年度2008年度(平成20年度予算では共に4機が認められており、2008年度(平成20年度)2009年度(平成21年度に各々引き渡される。なお2009年度(平成21年度)予算では5機訓練課程の変更と2010年度(平成22年度)予算削減を受けた防衛大綱によっでは4機が認められおり将来2009年度(平成21年度)・2010年度(平成22年度)に各々引き渡される。2011年度(平成23年度)予算で305、2012年度(平成24年度)予算減数する事となっは4機、2013年度(平成25年度)予算では3機が認められている。
 
訓練課程の変更で練習用ヘリコプター『[[ユーロコプター EC 135|TH-135]]』が導入されたため、30機体制に移行している<ref name="h24" />。
 
海上自衛隊では2024年度に2034年度までにT-5を30機再々調達し初等練習機を更新することが決定された<ref>[https://rssystem.go.jp/project/47c5127b-2967-44bb-9386-d4fb5d78761a 初等練習機(T-5)の取得]行政事業レビュー見える化サイト 2024年度</ref>。
 
なお[[航空自衛隊]]では2023年度(令和5年度)までに[[T-7 (練習機)|T-7]]の後継機を検討する予定であったが<ref>[http://www.jwing.net/news/8311 中期防でT-7初等練習機の後継機検討へ] - [[航空新聞社]]</ref>、2024年度に[[T-6 (航空機・2代) |T-6 テキサンII]]を選定した<ref>{{Cite news|url=https://www.asahi.com/sp/articles/ASSCY2PGNSCYUTFK00ZM.html|title=航空自衛隊の「T7初等練習機」、後継に米社製の「T6」を選定|newspaper=朝日新聞|date=2024-11-29|accessdate=2024-12-01}}</ref>。
 
== 機体 ==
[[File:T-5 04l.jpg|thumb|250px|機体上部]]
エンジン・プロペラを機首に搭載し、主翼は直線翼であり低翼配置、座席は並列配置である。ただし、補助席により4座とすることもできる。[[航空自衛隊]]の[[戦闘機]]パイロット養成と異なり、海上自衛隊では[[P-3 (航空機)|P-3]]等大型機のパイロット養成が主な目的であるため、座席の配置が大型機と同様の並列配置となっている。また、[[ジェット機]]との使用燃料の統一の点から、[[レシプロエンジン]]ではなく、ターボプロップエンジンを採用している。この結果、騒音の低減にもつながっている。主翼形状の変更や尾翼の後退翼化など、改修箇所は多岐に渡り、コックピットは視界を重視した大型バブルキャノピーを採用、[[T-3 (練習機)|T-3]]までのイメージが一新されている。製造再開された機体は、計器や航法機器など搭載装備品が近代化されている。
エンジン・プロペラを機首に搭載し、主翼は上反角がついた直線翼であり低翼配置、座席は前後並列配置で最大4名の搭乗が可能。[[航空自衛隊]]は[[戦闘機]]パイロットの養成を主流とし座席をタンデムとしているが、[[海上自衛隊]]では大型の固定翼哨戒機とヘリコプターを主力としているため、座席の配置がこれらと同等の[[サイド・バイ・サイド]]、[[操縦桿]]は8の字を横倒しにした両手持ちタイプとなっている。小型機であるため衝突防止灯の装備義務はないが、[[編隊 (航空機)|編隊飛行]]の訓練を行うことから白色のフラッシュライトが装備されている。[[失速警報装置]]は電源不要のストール・ストリップ式である。
 
[[ジェット機]]と使用燃料を統一するため、初等練習機では主流の[[レシプロエンジン]]ではなく、[[ロールス・ロイス]]製の[[ターボプロップエンジン]][[アリソン 250|250-B17D]]を採用したが、訓練生にはパワーが強すぎるため運用時にはリミッターをかけている。副次的な効果として騒音が低下している。主翼形状の変更や尾翼の後退翼化など改修箇所は多岐に渡り、特に視界を重視した5分割の大型バブルキャノピーと白色の機体であるため、外観はKM-2から一変している。キャノピーは[[T-3 (練習機)|T-3]]で採用された後方にスライドするタイプとなり、乗降ドアは廃止された。T-7と同じく[[射出座席]]ではないため、自力で脱出できるようにキャノピーの開閉は動力アシスト機能がある。
[[ファイル:Views from the cockpit of a Fuji T-5 trainer No.08.png|サムネイル|250x250ピクセル|コックピットの計器類]]
製造再開後の機体は、一部の計器や航法機器などがアナログからLCDに変更された近代化仕様である<ref>{{Cite journal|last=前川|author=|first=克己|last2=辰巳|first2=康治|last3=樋口|first3=隆行|month=2|year=2012|title=初等練習機用電子表示システムの開発|url=https://ssl.bsk-z.or.jp/kakusyu/pdf/24.2%20kikannsi.pdf|journal=防衛調達と情報セキュリティ|volume=|page=}}</ref>。また富士重工がシンボルマークを変更したため操縦桿の中央にあるマークが従来の『'''フ'''』から[[プレアデス星団|六連星]]に変更されている。
 
海上自衛隊では唯一、曲技飛行が可能な機体であるため<ref name="festa">[https://web.archive.org/web/20151007031837/http://www.mod.go.jp/msdf/oz-atg/event/festa2015.html 小月航空基地祭 スウェルフェスタ2015特設ページ |海上自衛隊小月航空基地]</ref>、教官による曲技飛行チーム『[[ホワイトアローズ]]』でも使用している。
 
航空自衛隊が後に導入したT-7は250-B17Dの出力増加型である250-B17Fを採用しており、エンジンの本格的な修理は共に[[三菱重工|MHIエアロエンジンサービス]]が請け負っている<ref>[http://www.mhi-aes.co.jp/products/subcontract/250-b17/250-b17.html MHIエアロエンジンサービス | 取扱製品 | 下請機種 | 250-B17]</ref>。またT-7で導入された民生品活用によるコスト削減がT-5でも後に導入される<ref name="h24" />など、密接な関係にある。
 
操縦経験がある岡崎拓生(第201教育航空隊司令)によればKM-2と比較し操縦しやすいため簡単すぎて教育に向かないという意見まであったというが<ref>[http://www.jpsn.org/essay/msdf/4776/ 翔べ!海上自衛隊航空学生 – T-5 (1)] - 翔べ!海上自衛隊航空学生 – T-5 (1) | チャンネルNippon</ref>、出力のコントロールがシビアなため編隊飛行ではスロットルを素早く大きく動かす必要があるという<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/Trafficnews_89447/?p=3 海自アクロバット飛行隊「ホワイトアローズ」知ってる? 一般初登場 SUBARU T-5で空へ (2019年9月7日) ]- エキサイトニュース</ref>。また初期に生産された機体は[[降着装置]]の状態を指示する回路が接触不良を起こしやすく、安全のため訓練を中断して帰投することが珍しくないため、1996年ごろには臨時帰投の緊急放送でも基地の隊員は慌てなくなったという<ref name="t5-3">[http://www.jpsn.org/essay/msdf/4792/ 翔べ!海上自衛隊航空学生 – T-5 (3)] - 翔べ!海上自衛隊航空学生 – T-5 (3) | チャンネルNippon</ref>。
 
== シミュレータ ==
フライトシミュレータも導入されており[[小月航空基地]]の『スウェルフェスタ』において体験搭乗が行われている<ref name="festa" />。
 
== 配備基地 ==
* [[小月航空基地]]:小月教育航空群 - 第201教育航空隊。訓練時のコールサインは『ルーキー』+2ケタの数字
 
=== 事故 ===
*[[1996年]](平成8年)[[12月8日]]:教官1名・練習生2名を載せた6313号機が小月航空基地で[[胴体着陸]]。けが人なし。降着装置を下ろす際に右側が途中で止まり、復旧しなかったため、通常の手順を外れ全て格納、教官(伊戸秀信[[3等海佐]])の操縦により胴体着陸を行った<ref name="t5-3" />。見事な着陸だったため見守っていた隊員から拍手が起こったという<ref name="t5-3" />。プロペラは着陸時に逆Y字となったため破損がなく、擦った胴体下面を修理して数日後に復帰した<ref name="t5-3" /><ref>{{Cite journal | journal = 世界の艦船 1996年3月号(NO.608)|title=ニュースフラッシュ | pages = p68 | publisher = 海人社}}</ref>。
*[[2001年]](平成13)13年)[[9月14日]]教官1名・練習生2名を乗せた6331号機が[[下関市]]高畑の霊鷲山山中に墜落。教官1名と練習生1名が死亡、1名は顔面骨折など重傷を負った<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.chugoku-np.co.jp/Olympic/Sydney/Ol01091601.html |title= 墜落の海自機発見、2人死亡1人救出|author= |date= 2001-09-16|work= |publisher=中国新聞 |accessdate= 2013-04-13}}</ref>
*[[2007年]](平成19年)[[2月13日]]:試験飛行中にエンジンの出力制御が不能となり緊急着陸。乗員2名に怪我なし。離陸後にエンジンの出力が下がらなったため飛行を続けて燃料を消費した後、エンジンを切った状態で着陸した<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0213/TKY200702130191.html 海自T5練習機がエンジントラブル 小月基地に緊急着陸] - [[朝日新聞社]]</ref>。
*[[2007年]](平成19年)[[5月28日]]:訓練飛行中に部品が脱落し行方不明。6月4日定期検査で1機の右翼の[[高揚力装置#フラップ|フラップ]]内部を確認する点検口の蓋が無くなっているのが発覚。5月28日に行われた[[タッチアンドゴー]]訓練中に固定していたネジが外れたとみられている<ref>[http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/yamaguchi/news/20070605ddlk35040035000c.html 海自小月教育航空群:練習機飛行中に部品1個を紛失 /山口] - [[毎日新聞]]下関版 2007年6月5日 </ref>。
 
== スペック ==
* 乗員 - 1名~4-4
* 全長 - 8.44m
* 全幅 - 10.04m
* 全高 - 2.96m
* 最大離陸重量 - 1,805Kg805kg
* エンジン - [[アリソン 250|ロールス・ロイス・アリソン 250-B17D]] [[ターボプロップエンジン]] 1基
* 出力 - 350軸馬力(shp)に制限(本来は420shp)
* 最大速度 - 357km/h=M0.29 (193[[ノット|kt]])
* 航続距離 - 945km
* 実用上昇限度 - 7,620m
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
 
== 資料 ==
* 岡崎拓生『翔べ海上自衛隊航空学生―パイロット人生38年の航跡』光人社、2011年。ISBN 978-4769827115
 
== 関連項目 ==
* [[T-34 (航空機)|T-34]] - [[LM-1]] - [[KM-2]] - [[T-3 (練習機)|T-3]] - '''T-5''' - [[T-7 (練習機)|T-7]]
* [[日本製航空機の一覧]]
* [[ブランエホワイトアロ]]
* [[海上自衛隊の装備品一覧]]
 
== 外部リンク ==
{{Commonscat|Fuji T-5}}
* [http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/aircraft/rensyu/details/t-5.html 海上自衛隊ギャラリー 練習機T-5]
* [httphttps://rightwingwww.sakuramod.nego.jp/msdf/equipment/jmsdfaircraft/aviationtrainer/t-5/t-5.html 自衛隊装備品図鑑 T-5 固定翼機]
 
{{海上自衛隊の航空機}}
{{mil-aviation-stub}}
 
{{DEFAULTSORT:T005}}
[[Category:日本の練習機]]
[[Category:海上自衛隊の航空機]]
 
[[Category:富士重工業の航空機]]
[[en:Fuji T-5]]