「消費税」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
Family27390 (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集 改良版モバイル編集 |
|||
1行目:
{{pp-vandalism|small=yes}}
{{Otheruses|総論|日本の制度|消費税法|日本の消費税に関する議論|日本の消費税議論}}
{{課税}}
{{読み仮名|'''消費税'''|しょうひぜい|{{lang-en-short|consumption tax}}}}は、[[商品]]の販売や[[サービス]]の提供などの取引に対して課される[[租税]]である<ref name="kokuzei">{{Cite web|和書|url=https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm|title=消費税のしくみ|website=[[国税庁]]|accessdate=2021-06-28}}</ref>。日本における'''消費税'''は一般に[[付加価値税]]と呼ばれるものの一形態(消費型付加価値税(仕入控除方式))であり、本来の消費税という用語はさらに広い概念を指す<ref>{{Cite journal|last=川崎|first=昭典|date=2002-12|title=「付加価値」を課税標準とすることについての諸問題|url=https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282812953204352|journal=帝京経済学研究|volume=36|issue=1|pages=18–37|issn=0288-2450}}</ref>。
付加価値税は[[フランス]]で[[1959年]]に初めて導入され、その後160カ国以上で導入された。[[OECD]]加盟国で付加価値税を導入していないのは、州ごとに税制が大きく異なり、[[売上税]](sales Tax)と[[物品税]](excise tax){{Efn|アメリカ合衆国には売上税に加算されるホテル税や外食税など売上税と別途の税とある。日本のかつての[[物品税]]のように特定の品目ごとに税が異なるExcise Taxもあり、タバコやお酒、タイヤ、石油製品、トレーラーなど限られた商品に売上税に更に課せられる。売上税が最も高いのが、ルイジアナ州ワシタのモンロー市の税率12.95%である。州レベルでの税率はイリノイ州、マサチューセッツ州、テキサス州は6.25%、フロリダ州は6%、ニューヨーク州、ハワイ州は4%である。アラスカ、デラウェア、モンタナ、ニューハンプシャー、オレゴンの5州では、州が課す売上税は0%となっている。|group=注}}が導入されている[[アメリカ合衆国]]のみである。[[州税]]と[[地方税]]の合計である売上税の税率は各州の市ごとに0%-10%と異なっている。
[[日本]]では[[1989年]]の[[消費税法]]制定で導入された。事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供、商品の販売や運送、広告など、対価を得て行う国内の取引のほとんどは課税の対象となり、外国から[[製品]]を輸入する場合も課税される<ref name="kokuzei" />。
2012年時点でOECD諸国の平均では付加価値税は税収の約31%を占めており、これはGDPの6.6%に相当する{{Sfn|OECD|2014|p=9}}。[[欧州連合|EU]]では、加盟国には付加価値税の導入と共に標準税率を15%以上にすることが義務付けられている<ref name=":0">[https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/42/motiduki/ronsou.pdf 消費税の複数税率化を巡る諸問題] 望月 俊浩 - 国税庁</ref><ref name=":2">{{Cite web |title=VATの還付制度:EU {{!}} 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る |url=https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000910.html |website=ジェトロ |access-date=2024-05-26 |language=ja}}</ref>。
== 租税体系からの分類 ==
租税体系からの分類方法の一つとして、所得課税([[所得税]]、[[法人税]])、資産課税([[相続税]]、[[固定資産税]])、そして消費課税に大別する方法がある{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=6-9}}。
この消費課税はさらに、消費した本人へ直接的に課税する[[直接消費税]]と、消費行為を行なったものが[[担税者]]であるものの、納税義務者ではない[[間接消費税]]に分類できる{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=6}}。前者の「直接消費税」には[[ゴルフ場利用税]]などが該当し、納税義務者が消費行為を行った者であって、物品またはサービスの提供者が「徴収納付義務者(地方税の場合は特別徴収義務者)」として課税主体に代わって徴収を行い、課税主体に納付することとなる。後者の「間接消費税」には[[酒税]]などが該当し、納税義務者は、物品の製造者、引取者または販売者、あるいはサービスの提供者であり、税目によって異なる。間接消費税はさらに課税対象とする物品・サービスの消費を特定のものに限定するかどうかに応じ、[[個別消費税]]と[[一般消費税]]に分類される{{Sfn|OECD|2014|p=15}}。
一般消費税はさらに単段階課税(製造業者売上税、卸売売上税、小売売上税)と多段階課税に分類でき、この多段階課税は累積的取引高税と[[付加価値税]]とに分類され、これが日本の消費税法でいう狭義の消費税に相当する{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=6}}。
さらに付加価値税はGNP型、所得型、消費型に分類され、この消費型付加価値税が現在多くの国で導入されている付加価値税に相当する。さらに消費型付加価値税は前段階税額控除方式(EU)と仕入控除方式(日本)とに分類できる。前段階税額控除方式は[[EU]]などの[[インボイス制度]]とも呼ばれ、カナダ、オーストラリアではGoods and Services Tax(GST、財貨サービス税)と呼ばれる{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=7}}。日本では2023年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入された。
[[日本]]でいう「[[消費税法]]に規定する消費税」と「[[地方税法]]に規定する[[地方消費税]]」は、消費税等として一般消費税に区分される。
{{Squote|
;租税体系における分類{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=6-7}}
*所得課税([[所得税]]、[[法人税]])
*資産課税([[相続税]]、[[固定資産税]])
*'''消費課税'''
** 直接消費税
** 間接消費税
***
*** 個別消費税(Taxes on Specific goods and service){{Sfn|OECD|2014|p=15}}
*** 一般消費税(General Tax){{Sfn|OECD|2014|p=15}}
**** 単段階課税(製造業者売上税、卸売売上税、小売売上税)
**** 多段階課税
***** 累積的取引高税
***** '''[[付加価値税]]'''
****** GNP型付加価値税
****** 所得型付加価値税(課税ベースに投資を含むので、狭義の消費課税ではない)
****** '''消費型付加価値税'''
******* 前段階税額控除方式([[EU]])
******* 仕入控除方式(日本):日本の[[消費税法]]で規定される'''消費税'''
}}
消費は所得の存在を前提として発生することから、消費に課税することによって所得税などで十分に把握できない所得に対して間接的に課税することになる。ただし、所得の中には貯蓄に回される部分があるために、所得の大小と消費の大小は必ずしも一致せず、消費者の[[消費性向]]が実際の消費税の負担に対して影響を与える。
== 一般消費税 ==
{{出典の明記| section = 1| date = 2025年7月}}
一般消費税は、さらに以下に分類される{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
* 単段階課税
** [[売上税]] - たとえば小売売上税では、最終消費者への小売者のみが徴収納付義務者
* 多段階課税
** [[付加価値税]](Value-Added Tax:'''VAT''')、もしくは物品サービス税(Goods and Services Tax:'''GST''')
かつての日本の経済学では'''一般売上税'''(general sales tax; '''GST''')とも呼ばれていた税方式がモデルとなっている。一般売上税の課税方法として製造・卸売・小売の各段階のいずれか1段階で課税される単一段階課税と2つ以上の段階で課税される多段階課税がある。
[[ファイル:OECD General Consumption Taxes.svg|thumb|right|350px|OECD諸国における付加価値税(VAT)標準税率(2020年){{Sfn|OECD|2014|loc=Chapt.4}}]]
[[ファイル:Countries with VAT.svg|260px|thumb|付加価値税(VAT)を採用する国 {{legend|#0000f6|VATなし}} {{legend|#f08481|VATあり}}]]
多段階課税を採用した場合、次の段階に税負担を転嫁させていく「ピラミッド効果」が発生し、それぞれ異なる商品に同じように課税をすることによって商品に対する税負担の格差が生じることになる。こうした問題点を解消するために、納税義務者はその売上げに係る消費税ではなく、差額に係る消費税を納税する方法が考え出された。これが今日の一般消費税(VAT)である。
一般消費税は[[付加価値]]の算定方法により所得型付加価値税と消費型付加価値税に分けることが出来る。前者は仕入計算時において資本財の控除は[[減価償却]]分しか認められないが、後者では資本財全額が控除の対象となり、消費部分のみが課税対象となる。
一般消費税が初めて導入されたのは[[1954年]]のフランスであるが、その前身は[[1917年]]に導入された「支払税(la taxe sur les paiements)」である。その後、[[1920年]]に「売上税(la taxe sur le chiffre d’affaires)」、[[1936年]]に「生産税(la taxe à la production)」と名称を変更しながら現在の形になっていった。その後、[[1967年]]に[[EC閣僚理事会]]においてフランスと同様の消費型付加価値税に基づく一般消費税を中心とした加盟国間の税制統一運動の推進が確認され、この方針に基づいて[[1968年]]に[[西ドイツ]]が一般売上税を一般消費税に変更し
これをきっかけに[[1969年]]に[[オランダ]]、[[1970年]]に[[ルクセンブルク]]、[[1971年]]に[[ベルギー]]、[[1973年]]に[[イギリス]]・[[イタリア]]と加盟国間において一般消費税への転換が進んだ。日本でも大平正芳内閣の時に導入を目指し、他の先進国の導入から10-20年後に議論の末に商品ごとに税額の異なる売上税から商品均一税率であるVAT型の消費税が1989年に竹下登内閣で導入されることになった{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
{{For2|税率、軽減税率、免税品|付加価値税}}
== 個別消費税
{{出典の明記| section = 1| date = 2025年7月}}
{{Seealso|物品税}}
{{Multiple image
| width = 100
| image1=Breezeicons-emotes-22-drink-beer.svg | caption1=[[酒税]]
| image2=Pictograms-nps-misc-smoking.svg | caption2=[[たばこ税]]
| image3=Pictograms-nps-gas_station-2.svg
|caption3=[[ガソリン税]]}}
'''個別消費税'''(Selected excise duties)は特定あるいは一群の財貨・サービスに対する課税である{{Sfn|OECD|2014|loc=Chapt.4}}。課税の対象になる財貨・サービスは特定的で税率も統一されていない。税率は、量・重さ・強度・オクタン価・[[アルコール度数]]などが基準として使われている{{Sfn|OECD|2014|loc=Chapt.4}}。
この方式で課税される対象としては3つの分類が考えられ、酒や煙草のような嗜好品に賦課する「嗜好品課税」、ガソリンのように応益原則・受益者負担の原則に基づいて特定の公共サービスを行うために関連した商品・サービスにかける「目的税」、その他の物を対象とした「奢侈品・娯楽用品・サービス課税」と呼ばれる奢侈品や日常生活で用いられてはいるが生活必需品とはいえない商品に課される。かつて日本に存在した[[物品税]]の多くがこれに含まれている。
個別消費税は、元は'''内国消費税'''(''excise'')として、[[16世紀]]末期に[[スペイン]]からの独立戦争を継続していた[[オランダ]]で軍費調達のために始められたと言われている。[[イングランド]]ではこれを範として内国消費税を導入して財政難を克服しようとした。これに対する[[イギリスの議会|イングランド議会]]の反発が、[[清教徒革命]]へと発展するが、皮肉にも革命軍の軍事費を得るために[[ジョン・ピム]]や[[オリバー・クロムウェル]]が採用したのが内国消費税であった。
その後、王政復古期に王権と議会の対立の原因となっていた[[徴発権]]などの国王大権を国王が返上する代わりに内国消費税の半分を国王の生活のための供与金として認めることで合意が成立した。その後も財政難を理由として何度か内国消費税の引き上げが行われた。[[1733年]]に当時(初代)の[[イギリスの首相|首相]][[ロバート・ウォルポール]]が地租の削減・廃止と関税の引き下げの代償に更なる内国消費税の大幅引き上げを図った。
これに対して政敵の[[ヘンリー・シンジョン (初代ボリングブルック子爵)|ボリングブルック子爵]]が噛み付き、民衆も生活苦から暴動を起こす騒ぎとなったためにウォルポールは提案を撤回した。これを「消費税危機」(excise crisis)という。[[産業革命]]以後には産業育成のために内国消費税を削減して関税に転嫁する方針が採用された。[[フランス]]では[[ジャン=バティスト・コルベール|ジャン=バティスト・コルベール]]が導入した塩の専売制に付随してかけられた[[塩税|ガベル]](gabelle)と飲料品税に由来するエード(aides)が知られ、[[絶対王政期]]のフランス財政を支えた。[[ドイツ]]でも17世紀後半以後盛んに導入されたが、余りの高率に国民生活の不安定と国家財政の極度の個別消費税依存を招き[[フェルディナント・ラッサール]]から厳しい批判を浴びた。
この他アメリカでも[[アメリカ独立戦争|独立戦争]]時にイギリスを真似て個別消費税を導入したが、[[1794年]]に[[ウィスキー]]税に反対するウィスキー反乱が発生して[[ジョージ・ワシントン]]政権を揺るがした。
日本では、[[江戸時代]]以前の[[運上]]・[[冥加]]が一種の個別消費税に相当するが、近代的な税制は[[明治維新]]以後に各種の間接税が導入されて以後である。特に[[酒税]]は一時は歳入中最大の割合を占めるほどになった。戦後になって[[シャウプ勧告]]と消費税法施行に伴って2度にわたって間接税の整理が行われる。
== 総合消費税 ==
{{出典の明記| section = 1| date = 2025年7月}}
'''総合消費税'''(general expenditure tax)は、[[イギリス]]の[[経済学者]][[ニコラス・カルドア]]が提唱した方法で、''spendings tax''(支出税)とも呼ばれる。個々の消費者がその年度内に発生した財貨・サービス支出を[[税務署]]に自己申告をおこない、[[累進課税]]にもとづく税額の算定にもとづいて納付する。元は[[所得税]]を補完する税法として考案され、[[キャピタル・ゲイン]]などの所得からも支出に対する課税の形で税を徴収でき、かつ預貯金とその金利は支出に相当せずに課税されないために節約と貯蓄奨励にもなるとされ、[[インド]]などで一時導入が検討された。
だが、全ての人が正確な納付をおこなうためには、各個人が自己の支出に関する正確な記録を作成して、収入・支出・貯蓄に関する[[バランス・シート]]を作成しなければならないことから、本格的に導入した国は存在しなかった。また、税務署が全居住者の収入・支出・貯蓄情報を把握する必要があるため、事務の煩雑さから実施が困難であると言える。
== OECD加盟国ごとの消費税率・歳入に占める割合 ==
{{OECD平均の税収構造}}
一般消費税による税収の全税収における割合はOECD加盟国平均で20.2%であり<ref name="OECDvat2022">{{Cite|title=Consumption Tax Trends 2022|date=2022-12|publisher=OECD|doi=10.1787/6525a942-en|issn=1562-8752}}</ref>、一般消費税による税収の対GDP比はOECD加盟国平均で6.7%である(2022年)<ref name="OECDvat2022" />。OECD加盟国の中で[[欧州連合]]に属する国家は、標準税率を15%以上にすることが義務づけられている<ref name="mof2">[https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/103.pdf 諸外国における付加価値税の標準税率の推移 (2017年1月現在)]</ref>。
=== OECD諸国における消費税 ===
[[File:Revenue of General taxes on goods and services in OECD.svg|thumb|none|600px|OECD諸国の一般消費税収(GDP比)]]
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; text-align:right"
|+ 2022年データ <ref name="OECDvat2022" />
! !! VAT税率(%) !! GDPに占める<br>VAT税収比(%) !! 全税収に占める<br>VAT比率(%)
|-
|{{rh}}| 米国 || 0 || 0 || 0
|-
|{{rh}}| カナダ || 5 || 4.5 || 13.2
|-
|{{rh}}| チェコ || 7.7 || 3.1 || 11.3
|-
|{{rh}}| 豪州 || 10 || 3.5 || 12.4
|-
|{{rh}}| 日本 || 10 || 4.9 || 14.9
|-
|{{rh}}| 韓国 || 10 || 4.2 || 15.1
|-
|{{rh}}| コスタリカ || 13 || 4.5 || 19.7
|-
|{{rh}}| ニュージーランド || 15 || 10.4 || 30.6
|-
|{{rh}}| メキシコ || 16 || 4.2 || 23.8
|-
|{{rh}}| イスラエル || 17 || 7.1 || 23.9
|-
|{{rh}}| ルクセンブルク || 17 || 5.7 || 14.9
|-
|{{rh}}| トルコ || 18 || 4.6 || 19.2
|-
|{{rh}}| チリ || 19 || 8 || 41.1
|-
|{{rh}}| コロンビア || 19 || 5.4 || 28.7
|-
|{{rh}}| ドイツ || 19 || 6.5 || 17.2
|-
|{{rh}}| OECD平均 || 19.2 || 6.7 || 20.2
|-
|{{rh}}| オーストリア || 20 || 7.4 || 17.6
|-
|
|-
|{{rh}}| フランス || 20 || 7 || 15.4
|-
|{{rh}}| 英国 || 20 || 6.5 || 20.1
|-
|{{rh}}| スロバキア || 20 || 7.4 || 21
|-
|{{rh}}| ベルギー || 21 || 6.4 || 15
|-
|{{rh}}| チェコ || 21 || 7.4 || 21.3
|-
|{{rh}}| スペイン || 21 || 6.3 || 17.1
|-
|{{rh}}| リトアニア || 21 || 7.9 || 25.6
|-
|{{rh}}| ラトビア || 21 || 8.7 || 27.5
|-
|{{rh}}| オランダ || 21 || 7.4 || 18.5
|-
|{{rh}}| イタリア || 22 || 6 || 14.1
|-
|{{rh}}| スロベニア || 22 || 7.5 || 20.2
|-
|{{rh}}| アイルランド || 23 || 3.4 || 17.2
|-
|{{rh}}| ポーランド || 23 || 7.8 || 22.4
|-
|{{rh}}| ポルトガル || 23 || 8.4 || 23.8
|-
|{{rh}}| フィンランド || 24 || 9.2 || 22.1
|-
|{{rh}}| ギリシャ || 24 || 7.8 || 20.1
|-
|{{rh}}| イスラエル || 24 || 8 || 22
|-
|{{rh}}| デンマーク || 25 || 9.8 || 20.8
|-
|{{rh}}| ノルウェー || 25 || 9.1 || 23.6
|-
|{{rh}}| スウェーデン || 25 || 9.2 || 21.6
|-
|{{rh}}| ハンガリー || 27 || 9.8 || 27.1
|}
=== <!--=== デンマークの歳入内訳 === 2017年のデンマーク歳入の構成は所得税が52.9%で半分以上を占めている。残りは消費税31.8%、法人税7.2%資産課税(固定資産税、相続税など)3.9%、社会保険料:0.1%、その他:4.1%である<ref>{{Cite web|和書|title=デンマークの財政 |url=https://ecodb.net/country/DK/public_finance/ |website=世界経済のネタ帳 |access-date=2022-06-14 |language=ja}}</ref>{{出典無効|date=2025-04-27}}。 これここに書くこと?--> ===
===略年表===
* [[1954年]] - 前年に[[フランス大蔵省]]の官僚モーリス・ローレが考案し、世界で最初に旧付加価値税制度を導入<ref name="mof2" /><ref group="注">標準税率は20%、食品・レストランのサービスなどに軽減税率がある。軽減税率は10%,、5.5%, 2.1%の三つある。</ref><ref name=":0">[https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/42/motiduki/ronsou.pdf 消費税の複数税率化を巡る諸問題] 望月 俊浩 - 国税庁</ref>
* [[1967年]] - デンマークで導入<ref name="mof2" />。EC閣僚理事会において、フランスのような一般消費税を中心とした加盟国間で税制統一を推進することを加盟各国が確認<ref name=":0" />
* [[1968年]]1月 - 現行の付加価値税の形で(西)ドイツで10%、フランスで20%で導入<ref name="mof2" /><ref name=":0" /><ref>[https://www.mizuho-ri.co.jp/service/research/column/chief/pdf/kh_c200727.pdf 消費税減税〜ドイツの 歴史的決断の真相] 2020年7月27日 みずほ総合研究所 チーフエコノミスト ⻑⾕川克之</ref><ref group="注">1968年に10%で導入し、1%ずつ適宜引き上げたことで1998年に16%。</ref><ref>{{Cite web|和書 |title=いずれ議論不可避 消費税の「段階的増税論」とは(産経新聞) |url=https://web.archive.org/web/20191024104756/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191024-00000506-san-bus_all |website=Yahoo!ニュース |accessdate=2019-10-24 |language=ja}}</ref>
* [[1969年]] - スウェーデンとオランダで導入<ref name="mof2" />
* [[1973年]] - イギリスとイタリア、オーストリアで導入<ref name="mof2" />
* [[1977年]] - 韓国で導入<ref name="mof2" />
* [[1986年]] - ニュージーランドで導入<ref name="mof2" />
* [[1989年]] - 日本で消費税導入<ref name="mof2" />
* [[1991年]] - カナダで導入<ref name="mof2" />
* [[1993年]] - 1992年のEC([[欧州共同体]])指令改正により、1993年以降は[[欧州連合]](EU)加盟国は標準税率15%以上が義務化<ref name="mof2" />
=== 欧州連合(EU) ===
EUでは、EU域外への輸出とEU域内非課税納品などに対して付加価値税を非課税としている。加盟国以外の国の事業者かつ現地で売り上げがないケースで、付加価値税を負担した際には還付申請することで税額還付される<ref name=":2">{{Cite web |title=VATの還付制度:EU {{!}} 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る |url=https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000910.html |website=ジェトロ |access-date=2024-05-26 |language=ja}}</ref>。
=== ニュージーランド ===
[[1986年]]に[[ニュージーランド労働党]]の[[デビッド・ロンギ]]政権で、従来の卸売売上税による税制度の歪みの是正、個人所得税に極端に依存した税体系の是正、社会保障給付の増加と[[保護貿易|保護主義的経済政策]]で膨張した[[財政赤字]]の削減を目的として、物品サービス税として10%の付加価値税が導入された{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。これは1989年に12.5%へ引き上げられている。[[篠原正博]]は、ニュージーランドの消費税制度は課税ベースが広く、経済活動に対して中⽴的な税制として国際的に⾼く評価されているとしている<ref>{{Cite journal|last=SHINOHARA|first=Masahiro|date=2021-01|title=ニュージーランドのGST −導⼊の背景−|url=https://cir.nii.ac.jp/crid/1050569000722375424|journal=経済研究所 Discussion Paper|volume=338}}</ref>。
1999年にニュージーランド政府は最小のコストで安定した税収を得るためには、課税ベースの拡大と単一かつ定率の消費税が望ましいという方針を再確認している。1986年の軽減税率無しの10%の消費税導入に国民の反発はなかった。背景として、ニュージーランドでは社会保障費の制度を中負担中福祉にすることや低所得者への対応を消費税による税収から後で再分配する方が小売店も役所の負担が軽減されて効率的との政府の方針を国民が受け入れたためであるとされる{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
2006年における付加価値税収の総税収に占める割合は24.4%である<ref name="mof2" />{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
2021年の税率は所得税10.5%-39.0%、[[法人税]]28%(内資・外資同一税率)、消費税15%(単一税率)である<ref>{{Cite web |title=税制 {{!}} ニュージーランド - オセアニア - 国・地域別に見る - ジェトロ |url=https://www.jetro.go.jp/world/oceania/nz/invest_04.html |website=www.jetro.go.jp |access-date=2024-09-09}}</ref>。[[軽減税率]]を導入せずに<ref group="注">一定の事業者向けの金融のみ0税率。</ref>消費税の税率が全て一律なため、[[C効率性]]は世界で最も高い96.4%となっている{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。<!--
同年のOECD加盟38カ国の法人税の平均[[法定実効税率]]は約23%であり、ニュージーランドの28%で少し平均よりも高い。日本の法人所得に対する法定実効税率はニュージーランドに近い29.74%で、加盟国中7番目に高い税率となっている。OECDで法定実効税率が最も高いのはポルトガルの31.50%、最も低いのはハンガリーの9.0%である<ref>{{Cite web |title=世界の法人税(法定実効税率)ランキング - 世界経済のネタ帳 |url=https://ecodb.net/ranking/corporation_tax.html |website=ecodb.net |access-date=2024-09-09 |language=ja}}</ref>{{出典無効|date=2025-04-27}}。
-->
=== デンマーク ===
1967年に[[福祉国家]]建設のための公的部門への需要増加に対応して、より広く安定した課税ベースを確立することを目的に[[デンマーク社会民主党]]によって単一税率10%で導入された。1970年代に20.25%台にまで引き上げられた後に、1992年から現行の25%になった{{Sfn|鎌倉治子|2008}}<ref name="mof2" />。
軽減税率については歳入への影響や、徴収の効率化、軽減税率の適用対象品目の峻別が困難であることや、税の歪みの抑制などを理由として導入されなかった。背景としては、軽減税率は高所得者ほど負担軽減額が大きくなる傾向や、軽減税率による財政負担により、逆進性の対応としては一律で税金を徴収したのちに社会保障給付で再分配を行う方が効率的であるという考え方もあったとされる{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。唯一、例外的に[[新聞]]に対してゼロ税率が適用されている{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
総税収に占める割合は2006年で21.3%である。デンマークでは総税収に占める個人所得税負担の割合が51.3%と突出している{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
C効率性は、消費税率25%(6%の軽減税率あり)であるスウェーデンの47.3%を上回る51.6%である。スウェーデンのC効率性がデンマークよりも低い理由には、 軽減税率に加え、消費者を顧客とする小売・サービス業で発生しやすい脱税や電子商取引の発達、税率の低い隣国での国境を越えた租税回避がある{{Sfn|鎌倉治子|2008}}<ref name="mof2" />。
=== アメリカ合衆国 ===
アメリカ合衆国では、連邦政府によるVATにあたる税金はないが、業者間取引には課されず、最終的な消費者のみに課される[[売上税]](Sales Tax、小売売上税<ref name=":15">{{Cite web |title=米国の州、地方団体における売上・使用税の概要 (CLAIR report 190) |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I8757462 |website=国立国会図書館サーチ(NDLサーチ) |access-date=2025-07-09 |language=ja |date=2000-1-21}}</ref>)が州ごとに設定されている。売上税は、1932年に[[ミシシッピ州]]で初めて導入された<ref name=":15" />。[[州税]]と[[地方税]]の合計である売上税の税率は各州の市ごとに0%-10%と異なっている。
2024年時点において、50の州のうち、5つの州において、州ごとの売上税が課せられない。州ごとの売上税(State Sales Tax)がないのは、[[アラスカ州]]・[[デラウェア州]]・[[モンタナ州]]・[[ニューハンプシャー州]]・[[オレゴン州]]である<ref>{{Cite web |title=売上税とは何ですか? {{!}} Stripe |url=https://stripe.com/jp/resources/more/what-is-sales-tax |website=stripe.com |access-date=2025-07-09 |language=ja-JP}}</ref>。
[[アメリカ合衆国議会]]では何十年にもわたって、VATの導入について議論が持たれてきたが、[[法人税]]・[[所得税]]に代表される直接税に比べて、消費税・付加価値税など間接税が優れているとは見なせないという理由で、国全体での採用は見送りとなっている(アメリカの国税における直間比率は9対1)<ref name="president2013916">{{Cite web|和書 |author=岩本沙弓 |url=https://president.jp/articles/-/10632 |title=米国が今も消費税を導入しない「もっともな理由」 |website=PRESIDENT Online |publisher=プレジデント |date=2013-09-16 |accessdate=2022-08-13}}</ref>。
VATの場合は特に、輸出に還付金が渡され輸入には課税される点、法人税引き下げとセットにされやすい点など、議論の焦点となってきたことが、アメリカの公文書に多く残っている<ref name="president2013916" />。
=== イタリア ===
イタリアでは1973年に12%で導入された。1997年には20%にまで増税された。[[欧州危機]]不況で社会保障費支出は増大して、財政赤字が増加していた。そのため。2011年9月にイタリアの[[シルヴィオ・ベルルスコーニ]]政権が付加価値税(VAT)の税率を20%から1%引き上げたが、同税の受取額は減少し、4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込んだ<ref>{{Cite web |title=イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少-緊縮策強化で |url=https://web.archive.org/web/20190221212758/http://opti.co.jp/vat/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AE%E5%A2%97%E7%A8%8E%E3%81%8C%E8%A3%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB%E3%80%81%E4%BB%98%E5%8A%A0%E4%BE%A1%E5%80%A4%E7%A8%8E%E5%8F%8E%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%8D%E7%B7%8A/#.XG8X7K1_qUk |website=web.archive.org |date=2019-02-21 |access-date=2025-04-26}}</ref>。「歳出を減らす方がはるかに良い」と提言された。2013年には22%に増税された。2016年予算安定化法案で2017年1月から24%への増税が定められていたが、2017年予算法で増税時期は先送りされ、2018年1月に引き上げ実施予定になった。軽減税率は4%と10%の二つがあることもあり、C効率性は38.2%である{{Sfn|鎌倉治子|2008}}<ref name="mof2" />。
=== 中華人民共和国 ===
{{Main|zh:增值税 (中华人民共和国)}}
[[中華人民共和国]]において[[付加価値税]](VAT)は「増値税」と呼ばれている。増値税は1984年に17%で導入された。現在では納税人と商品に対し、それぞれ違う税率が適用される(例えば、農産物や自己販売の中古品は免税、現代サービス業納税人には6%、図書・ガスには9%、一般の製品には13%)。なお、中国では値段はほぼ全部税込価格である。増値税が中国の総税収の60%以上を占めている。
=== スウェーデン ===
[[スウェーデン]]では、一般消費税が25%である一方で、軽減税率が広く認められており、食料品は12%、文化事業は6%、医療サービスや福祉サービスは0%となっている<ref name=":4">{{Cite web |title=2022連続講座「消費税率25%に国民が納得している国の主権者意識」鈴木賢志さん(明治大学国際日本学部教授・学部長、 一般社団法人スウェーデン社会研究所 代表理事・所長) |url=https://www.ichikawa-fusae.or.jp/20221210/ |website=公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター |date=2022-12-10 |access-date=2025-07-09 |language=ja-JP}}</ref>。スウェーデン社会研究所代表理事の[[鈴木賢志]]は、スウェーデンでは[[無償教育|教育費が無料]]であることを挙げ、高い経済力をつけることによる高税収と、それによる高福祉サービスの供給という循環型の社会モデルは北欧の経済と個人を豊かにしているとしている<ref name=":4" />。スウェーデンの総税収に占める消費税の割合は24%である<ref>{{Cite web |title=日本はスウェーデンより消費税多い国?高い割合をグラフで簡単解説{{!}}消費者 経済 総研{{!}}2022/7/1 {{!}} リテール エステート・消費者経済総研 |url=https://retail-e.com/syouhizei190603.html |website=retail-e.com |access-date=2024-09-06}}</ref>。
== 日本の制度 ==
{{Law|section=1}}
{{日本の税収構造}}
{{seealso|消費税法#歴史|日本の消費税議論|日本の財政問題}}
日本における消費税は、諸外国の'''[[付加価値税]]'''(value-added tax、VAT)に相当する税制度である{{Sfn|鎌倉治子|2008|p=6}}。日本の消費税は国外取引においては、輸出国側で非課税(申請還付)であり、輸入国側の税制度で課税される<ref>[https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/pdf/2016/07/07_14-11-21-gjpth-kpmg-academy-vat-and-custom.pdf 付加価値税の基礎]</ref><ref>{{Cite web |title=輸出時の消費税:日本 {{!}} 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る |url=https://www.jetro.go.jp/world/qa/04J-120102.html |website=ジェトロ |access-date=2024-05-26 |language=ja}}</ref>。
2020年度において、消費税21.0兆円、所得税19.2兆円、法人税11.2兆円と、歳入の租税及印紙収入において消費税が最大の歳入になっている<ref>{{Cite web|和書 |url=https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202105.pdf |title=令和2年度 3年5月末租税及び印紙収入、収入額調 |accessdate=2021-7-6 |author=財務省 |date=2021-7-5 |website=[[財務省]]}}</ref>。日本の付加価値税はOECD諸国中で3番目に低く、平均19%の約半分である{{Sfn|鎌倉治子|2008}}{{Sfn|OECD|2009|loc=Overview}}。C効率性は2006年時点で65.3%である{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。
=== 歴史 ===
==== 制度の導入 ====
日本では[[1989年]](平成元年)[[4月1日]]に初めて3%の消費税が導入された{{Sfn|鎌倉治子|2008}}。この消費税導入に伴う間接税の整理によって、パチンコ場等などの娯楽施設を対象とした地方税の[[娯楽施設利用税]]・[[トランプ類税]]・[[物品税]]等などの間接税が廃止され、[[酒税]]やたばこ消費税などが改定された。
{{信頼性要検証範囲|ファイナンシャル・プランナーの高橋成壽は、消費税は[[少子高齢化]]に伴い税収を安定化させるために導入されたものだと言っても過言ではないとし、不景気時には個人所得の減少により所得税収が減収することから、消費税は景気や経済情勢に左右されない内需型の課税として考え出されたものだとしている<ref>{{Cite web |title=会社四季報オンライン|株式投資・銘柄研究のバイブル |url=https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/684459 |website=shikiho.toyokeizai.net |access-date=2025-07-08}}</ref>|date=2025-04}}。
経済成長期やバブル景気末期より前に消費税を導入出来なかったことが、日本における財政赤字の拡大の一因ともされる{{要出典|date=2025年7月}}
==== 1994年の国民福祉税導入論議と5%への引き上げ ====
1994年2月3日、[[新生党]]、[[新党さきがけ]]、[[日本新党]]、[[日本社会党]]など[[非自民・非共産連立政権|8党連立]]による[[細川内閣]]の[[細川護煕]]は、[[所得税]]、[[住民税]]など6兆円の減税を実施し、その財源として消費税を廃止して7%の[[国民福祉税]]を創設する構想を発表した<ref name=":1">{{Cite web |title=細川首相、新税の税率「腰だめの数字だ」 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXKZO89745940V20C15A7TZJ000/ |website=日本経済新聞 |date=2015-07-26 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.mof.go.jp/pri/publication/policy_history/series/h1-12/4_2_6.pdf |title=平成財政史-平成元~12年度 第4巻(租税)第6節 消費税その2 |access-date=2025-07-07 |date=2014-03-28 |publisher=財務省 |author=八塩裕之}}</ref>。細川の日本新党は[[赤字国債]]を発行しないことを公約の一つとしていた<ref>{{Cite web |url=https://kobe-konan.jp/econ_keizaigakkai/gakusei-ronsyu/2010nendo/2.shouji.pdf |title=消費税増税は間違っているのか |access-date=2025-07-07 |date=2010年 |publisher=甲南大学経済学会 |author=庄司怜史}}</ref>。国民福祉税は消費税の看板の掛け直しとも言われ、実質的な消費税増税と捉えられた<ref>{{Cite journal|last=藤本|first=一美|last2=Fujimoto|first2=Kazumi|date=2024-11-30|title=戦後日本政治と「首相演説」3-④|url=https://senshu-u.repo.nii.ac.jp/records/2000941|language=ja}}</ref><ref>{{Cite journal|last=野村|first=容康|date=2016|title=歴史的に見た日本の税収構造|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/consumercoopstudies/485/0/485_12/_article/-char/ja/|journal=生活協同組合研究|volume=485|pages=12–20|doi=10.57538/consumercoopstudies.485.0_12}}</ref>。発表は政権与党内での合意なく行われたとされ<ref>{{Cite web |title=根回し不足で即撤回 94年の国民福祉税構想 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3000K_Q1A231C1SHA001/ |website=日本経済新聞 |date=2012-01-03 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、突然の発表に[[第40回衆議院議員総選挙|1993年の衆院選]]で消費税の廃止を公約として掲げていた日本社会党、増税は容認できないとする[[日本自治体労働組合総連合|連合]]などの強い反対を受け<ref>{{Cite web |url=https://sdp.or.jp/policy-legislation/1996-1990/%E6%94%BF%E7%AD%96%E8%B3%87%E6%96%999304_319.pdf |title=日本社会党 政策審議会 政策資料 No.319 《復刊214号》 |access-date=2025-07-07 |date=1993年4月 |publisher=社会民主党}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.seikatsuken.or.jp/database/files/n201501-216-006.pdf |title=現代日本における増税と政党間競争 |access-date=2025-07-07 |date=2015-01 |publisher=[[生活経済政策研究所]] |author=豊福実紀}}</ref><ref>{{Cite web |title=財界と一体で政権後押し/連合の矛盾 メディア注目 |url=https://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-11/2012071104_01_1.html |website=www.jcp.or.jp |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、説明を受けていなかったさきがけの[[武村正義]]は「[[wikt:過ちては則ち改むるに憚ること勿れ|過ちを改めるにしくはなし]]」と言うに及んだ<ref name=":1" /><ref>{{Cite web |title=岡田晃のコラム「小沢氏の19年前と今~決定的な違いは「消費税」」 {{!}} 講演依頼.com新聞|講演会・セミナーの講師紹介なら講演依頼.com |url=https://www.kouenirai.com/kakeru/column/seijikeizai/okada_keizai/1895 |website=講演依頼.com新聞 |date=2012-07-10 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。会見で数字の根拠を問われた細川首相が「腰だめ(大体)の数字」だと明確な回答ができなかったこともあり、構想は一晩のうちに撤回されることとなった<ref name=":1" /><ref name=":3">{{Cite web |title=さらば細川連立政権 訪れた不協和音 小沢一郎氏をたき付ける2人の事務次官 見切り発車の未明の記者会見 国民福祉税構想は批判浴び撤回 そして… <細川護熙さんのあのころ>|熊本日日新聞社 |url=https://kumanichi.com/articles/1239269 |website=熊本日日新聞社 |date=2023-12-30 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。
国民福祉税構想を実質的に主導したのは当時新生党代表幹事であった[[小沢一郎]]と[[大蔵省]]事務次官の[[斎藤次郎]]であったとされるが<ref>{{Cite web |title=日本郵政新社長に斎藤氏:時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/jc/v2?id=20091031hatoyama_cabinet_vol2_16 |website=時事ドットコム |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、細川内閣の首相補佐官であった[[成田憲彦]]は、小沢は「首謀者」ではないとし、小沢が大蔵省に頼まれた一方で、調整ができていなかったものとしている<ref>{{Cite web |url=https://s3-us-west-2.amazonaws.com/jnpc-prd-public-oregon/files/2010/08/2cf8b3fcfed52cc7c714297802830ecd.pdf |title=日本記者クラブ 研究会 「消費税はなぜ嫌われるのか?-死屍累々の教訓」③ 国民福祉税構想の経緯 |access-date=2025-07-07 |date=2010-08-19 |publisher=日本記者クラブ |author=成田憲彦}}</ref>。
消費税はその後、9月に[[村山内閣]]によって5%へと引き上げる方針が決定され、11月に改正法案が成立、3年後の1997年に施行された<ref name=":5">{{Cite web |title=消費税率が今日から8%→10%に。政権にとっては触れたくない?消費税を巡るこれまでの政局ヒストリー |url=https://go2senkyo.com/articles/2019/10/01/44960.html |website=選挙ドットコム |date=2019-09-30 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref><ref name=":7">{{Cite web |url=https://www.camri.or.jp/files/libs/1284/201906070908559206.pdf |title=消費税、論点あれこれ |access-date=2025-07-07 |date=2019-05 |publisher=公益財団法人資本市場研究会 |author=森信茂樹}}</ref>。1994年に村山内閣は不景気対策として5兆5000億円の所得減税を行なっており<ref name=":6">{{Cite web |title=消費税5%引き上げ決定(94年) 元首相 村山富市氏 税率の先送りは無責任 |url=https://www.nikkei.com/article/DGKDZO39218600R00C12A3NNH000/ |website=日本経済新聞 |date=2012-03-01 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、消費税の増税はこれとセットで行われた<ref name=":7" />。政治学者の[[上川龍之進]]は、国民福祉税に反対だった武村や村山も、財源を無視して減税を継続することはできなかったものだとしている<ref name=":12">{{Cite journal|last=上川|first=龍之進|date=2021-03|title=財政再建の呪縛 : 大平内閣から橋本内閣までの軌跡|url=https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/records/14320|journal=政策科学|volume=28|issue=3|pages=29–49|language=ja}}</ref>。
村山内閣は、所得減税を中間層に対する減税だとした<ref name=":6" />。一方で、所得減税は累進性を緩和する形で行われており<ref name=":12" />、[[日本共産党]]の[[志位和夫]]は10月11日の国会答弁において、所得減税と消費増税を合わせると年収800万円以上の世帯に対しては減税になる一方で、人口の9割を占める700万円以下の世帯に対しては増税になることを指摘し、これは中堅減税ではないと批判している<ref name=":8">{{Cite web |title=国会会議録検索システム |url=https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=113105261X00119941011&spkNum=344&single |website=kokkai.ndl.go.jp |access-date=2025-07-07}}</ref><ref>{{Cite web |title=消費税増税、浮き彫りになった公約違反「中堅減税」のごまかし衆院予算委員会/志位書記局長が追及 |url=https://www.shii.gr.jp/pol/1994/1994_10/1994_1011.html |website=www.shii.gr.jp |access-date=2025-07-07}}</ref>。
==== 民主党政権下における消費税引き上げ論議 ====
2010年6月、[[鳩山由紀夫内閣]]の退陣を受け発足した[[菅直人内閣]]の[[菅直人]]首相は、7月に参議院選の公約記者会見で消費税の税率を10%へと引き上げることについて言及、これを「公約と受け止めていただいて結構だ」とした<ref name=":10">{{Cite web |title=asahi.com(朝日新聞社):「消費税10%検討」公約 首相「実施に2~3年以上」 - 菅・新政権 |url=http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201006210381.html |website=www.asahi.com |access-date=2025-07-07}}</ref>。民主党は、[[第45回衆議院議員総選挙|2009年衆議院総選挙]]の公約として消費税を4年間引き上げないことを掲げており<ref>{{Cite web |title=消費税率が今日から8%→10%に。政権にとっては触れたくない?消費税を巡るこれまでの政局ヒストリー |url=https://go2senkyo.com/articles/2019/10/01/44960.html |website=選挙ドットコム |date=2019-09-30 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref><ref name=":11">{{Cite web |title=[決戦の記憶 参院選]<7>消費増税発言で順風一転 民主が大敗…10年 |url=https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20220619-OYT1T50272/ |website=読売新聞オンライン |date=2022-06-20 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、消費増税に反対する小沢一郎はこれを公然と批判した<ref name=":11" />。消費増税の凍結は小沢の意向で公約に盛り込まれたものとされ、消費増税の推進は脱小沢色を明確にしたものと捉えられた<ref name=":11" />。首相の発言を受け内閣支持率は急落し、これに対して菅は選挙戦中で低所得者に対する全額還付などを打ち出したものの、発言のブレが批判されることとなった<ref name=":13">{{Cite web |url=https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/research/r100801politics.pdf |title=民主党政権の10カ月を振り返って |access-date=2025-07-07 |date=2010-10 |publisher=みずほ総合研究所 |author=野田彰彦}}</ref><ref>{{Cite web |title=消費税「還付」発言/首相の 迷走 止まらない/まるでバナナのたたき売り |url=https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-02/2010070201_04_1.html |website=www.jcp.or.jp |access-date=2025-07-07}}</ref>。
民主党は直後の[[第22回参議院議員通常選挙|2010年参議院議員選挙]]にて敗北し、敗因の一つは消費増税発言と菅の発言のブレであるともされた<ref name=":13" /><ref>{{Cite web |title=【図解・政治】衆院選・民主党政権3年の歩み(2012年11月):時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_election-syugiin20121124j-04-w680 |website=時事ドットコム |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。一方、消費増税への世論の賛否自体は拮抗していたことから、敗因はそれまでの政権運営の迷走に対する批判が大きいとする評価もある<ref name=":13" /><ref>{{Cite web |url=https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2010_10/101004.pdf |title=失速した菅民主党政権 ~「参議院選挙全国世論調査」から~ |access-date=2025-07-07 |date=2010-10 |publisher=NHK |author=世論調查部(社会調查)関谷道雄、編成局(編成•世論)藤岡隆史}}</ref>。2023年に[[菅直人]]は、自らの発言について判断ミスであったとした<ref>{{Cite web |title=菅直人元首相「判断ミス」 10年参院選の消費増税発言 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2633Q0W3A121C2000000/ |website=日本経済新聞 |date=2023-11-26 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。その後、9月には菅は[[2010年9月民主党代表選挙|民主党代表選挙]]で小沢に勝利し、内閣支持率は発足時を超え最高を記録<ref>{{Cite web |url=https://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2025/04/d6dc37c24b4a338c14589828941fcecc.pdf |title=世論調査(図表)から見る政権交代の2年間 |access-date=2025-07-07 |date=2011-10-19 |publisher=自治労北海道 |author=北海道世論調査会 中島章夫}}</ref>、菅は[[財務大臣 (日本)|財務大臣]]時代から消費増税には積極的であり、のちに民主党の2010年度活動報告案からは参院選の敗因として消費増税発言を挙げていた部分が削除されている<ref>{{Cite web |title=消費税アーカイブ第9回 菅政権(前編) {{!}} 研究プログラム |url=https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3759 |website=東京財団 |access-date=2025-07-08 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=asahi.com(朝日新聞社):参院選の敗因、「消費税」を削除 民主、首相意向反映か - 菅政権 |url=http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201101110519.html |website=www.asahi.com |access-date=2025-07-08}}</ref>。
日本共産党は、参院選で民主党、自民党が掲げた[[法人税]]の減税について、消費増税とセットになっていたとしてこれを問題視し、消費増増税の目的は財政再建でも社会保障再建でもなく、大企業減税であると批判した<ref>{{Cite web |title=9党党首に聞く/大企業減税のための消費税増税・米「抑止力」の呪縛/参院選争点の核心くっきり/志位委員長の発言で |url=https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-06-23/2010062301_01_1.html |website=www.jcp.or.jp |access-date=2025-07-07}}</ref>。法人税減税には海外企業の誘致を進め企業の競争力を引き上げる狙いがあるとされた一方で、2025年現在、企業の[[内部留保]]を積み上げただけなのではないかという批判もある<ref>{{Cite web |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250327/k10014762621000.html |title=石破首相 法人減税「思った効果あげなかった」 改革の考え示す |access-date=2025-07-09 |date=2025-03-27}}</ref><ref>{{Cite web |title=法人減税が「内部留保」にしかならなかった日本、税制改正には大いに期待できる |url=https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2022/06/post-187.php |website=Newsweek日本版 |date=2022-06-01 |access-date=2025-07-09 |language=ja}}</ref>。
{{Main|法人税#日本の法人税}}
2011年9月には菅内閣が退陣し、消費増税の論議は[[野田内閣]]へと引き継がれた。翌2012年の6月15日、民主党は自民党、公明党と消費税を10%へと引き上げるとする関連法案の修正に合意<ref>{{Cite web |title=一体改革、3党合意 消費税率上げへ前進 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1504S_V10C12A6MM8000/ |website=日本経済新聞 |date=2012-06-15 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、26日に法案は衆議院を通過した<ref>{{Cite web |title=消費増税法案が衆院通過 賛成363票、反対は96票 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2600W_W2A620C1GX1000/ |website=日本経済新聞 |date=2012-06-26 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。これを受け、小沢は支持グループ50人と共に民主党を離党、[[国民の生活が第一]]を結党した<ref>{{Cite news |title=小沢氏ら50人が離党届、民主党分裂 |url=https://jp.reuters.com/article/world/japan/50-idUSTJE861006/ |work=Reuters |date=2012-07-02 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title={{!}} 新聞協会報・紙面展望|刊行物|日本新聞協会 |url=https://www.pressnet.or.jp/publication/view/120717_1708.html |website=www.pressnet.or.jp |access-date=2025-07-07}}</ref>。
==== 8%、10%への税率引き上げ ====
2014年4月1日、[[第2次安倍内閣|安倍内閣]]下において消費税率は5%から8%に引き上げられた。消費税率の引き上げは[[個人消費]]の停滞を招き、[[実質GDP]]は2四半期連続でマイナス成長となった。[[みずほ総研]]は特に低所得者層の回復の動きが鈍いとし、背景には物価上昇のペースが賃金上昇のペースを上回っていることがあるとした<ref>{{Cite web |url=https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/opinion/eyes/pdf/eyes150108.pdf |title=個人消費低迷が告げる「低所得層対策」の要 |access-date=2025-07-10 |publisher=みずほ総合研究所 |author=風間春香 |date=2015-01-08}}</ref>。[[ブルームバーグ ビジネスウィーク|ブルームバーグ]]は、日本が消費税率の8%への引き上げで[[景気後退]]を招いたことについて、引き上げ率の引き上げ前からの割合が6割に相当したことを挙げ、「心理的には一大事だ」とした国際エコノミストのジュリアン・ジェソップの発言を取り上げ、これを過大かつ性急であったとしている<ref>{{Cite web |url=https://www.bloomberg.co.jp/news/123-NF9KLI6JIJUS01.html |title=消費税率8%で痛手受ける日本経済、欧州が20%でも耐える訳 |access-date=2025-07-10 |archive-url=https://archive.md/FYDHK |date=2014年11月19日 |archive-date=2014年11月23日}}</ref>。
2017年9月28日、安倍内閣は消費税の10%への引き上げによる増収分の使途を変更し、これまで消費税の引き上げによる増収分は主に「借金の返済<ref group="注">2017年時点で消費税の用途は社会保障と少子化対策と定められており、表現が不正確との指摘がある(詳細は[[消費税#用途]]へ)。</ref>」に充てられていたものを、[[教育無償化]]などの[[少子化対策]]へと使い道を変更するとして、衆議院を解散した<ref name=":14">{{Cite web|和書 |title=子ども予算の財源は「消費税増税しかない」“本気の少子化対策”で岸田総理が必ず直面する“壁”(TBS NEWS DIG Powered by JNN) |url=https://archive.md/ZnzIp |website=Yahoo!ニュース |access-date=2022-12-18 |language=ja}}</ref>。これは、従来のルールでは増収分のうち2割ほどを追加の社会保障関連施策、残りの8割ほどを既存の社会保障関連施策の財源として、その分財政赤字が削減されるとされていたものについて、後者のうち半分程度を少子化対策へ回すというものであった<ref name=":17">{{Cite web |url=https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/insight/pl170926.pdf |title=「消費増税による増収分の使途変更」みずほ総合研究所 |access-date=2025-07-10 |author=野田彰彦}}</ref>。
自民党は2017年の[[第48回衆議院議員総選挙|衆議院議員総選挙]]で勝利し、2年後の[[第198回国会]]における[[施政方針演説]]では改めて増収分のうち二兆円規模を教育無償化など子育て世代に振り向ける方針が表明された<ref name=":14" /><ref name=":16">{{Cite web |title=平成31年1月28日 第百九十八回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 {{!}} 令和元年 {{!}} 総理の演説・記者会見など {{!}} ニュース |url=https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement2/20190128siseihousin.html |website=首相官邸ホームページ |access-date=2025-07-10 |language=ja}}</ref>。
みずほ総研は、増収分の使途の変更によって2020年度までに[[プライマリーバランス|プライマリー・バランス]]を黒字化するという政府目標の達成はさらに困難になるとした<ref name=":17" />。一方で、安倍首相は財政再建の旗は下ろさず、プライマリー・バランス黒字化の目標は堅持するとした<ref name=":17" />。
2019年10月には消費税率は8%から10%へと引き上げられ、同時に8%の[[軽減税率]]が導入された。
2023年に[[野田佳彦]]は、所得が低い人々への対応としては軽減税率でなく、[[給付付き税額控除]]が望ましいと述べており<ref name=":9">{{Cite web |title=インボイス直前、後悔する野田元首相「11年前、決め切れていれば」:朝日新聞 |url=https://www.asahi.com/articles/ASR9X6WBWR9XULZU007.html?iref=ogimage_rek |website=朝日新聞 |date=2023-09-29 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>、民主党が政権を手放したことにより所得が低い人々への対応として軽減税率が選ばれ、その財源の穴埋めの一つとして[[インボイス制度]]が導入されることになったとして、自身が首相であった内に決め切ればよかったと述べている<ref name=":9" />。
==== 2021年衆院選以降の減税議論 ====
[[第49回衆議院議員総選挙|2021年の衆議院議員選挙]]において、立憲民主党、日本共産党、[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]、[[れいわ新選組]]の野党4党は[[市民連合]]を介した政策協定を結び、消費税の5%への時限的な減税を公約として掲げた<ref>{{Cite web |title=消費税、自公は触れず 立民など「5%に減税」 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1940D0Z11C21A0000000/ |website=日本経済新聞 |date=2021-10-21 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。一方、当時立憲民主党党首であった[[枝野幸男]]は、立憲民主党が社会保障の充実を主張していたことに触れ、有権者を混乱させてしまったとして衆院選において消費税減税を掲げたことは間違いであったと2022年に振り返っている<ref>{{Cite web |title=消費減税の訴え「間違いだった」 立憲・枝野氏、公約見直しに言及:朝日新聞 |url=https://www.asahi.com/articles/ASQCD777ZQCDUTFK00N.html?iref=ogimage_rek |website=朝日新聞 |date=2022-11-13 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。
2024年8月25日に枝野は消費税減税を改めて否定し、来たる党代表選に勝利すれば[[第50回衆議院議員総選挙|衆議院総選挙]]を通じて[[ポピュリズム]]と戦うと語った<ref>{{Cite news|和書 |title=立憲民主党・枝野幸男氏、消費税減税を否定 「財政に責任持つ」 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2512P0V20C24A8000000/ |newspaper=日本経済新聞 |date=2024-08-25 |accessdate=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。[[2024年立憲民主党代表選挙|同年9月の党代表選挙]]では野田佳彦が当選したが、野田も「将来的にベーシックサービスを実現する財源として消費税が位置付けられるべきだ」として、安易な減税をするのではなく、現状維持をすることが基本だとした<ref>{{Cite news |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/350637 |title=<詳報>野田佳彦元首相「安易な消費税減税しない」 共産党とは「一緒に政権担えない」 立民代表選に出馬表明 |newspaper=[[東京新聞|TOKYO Web]] |date=2024-08-29 |accessdate=2024-10-13}}</ref>。立憲民主党は[[第27回参議院議員通常選挙|2025年参院選]]の公約として、食料品の消費税を1年間にわたってゼロにした上で、中低所得層を対象とした給付付き税額控除へと移行するとする方針を発表している<ref>{{Cite web |title=立憲民主党「食品消費税ゼロ」 参議院選挙公約を発表、財源に政府基金 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA09AGE0Z00C25A6000000/ |website=日本経済新聞 |date=2025-06-10 |access-date=2025-07-07 |language=ja}}</ref>。
=== 用途 ===
2012年法改正([[社会保障と税の一体改革]])において、税の用途は[[社会保障]]と[[少子化対策]]と規定されている<ref name=":17" />。財務省は、消費税が社会保障の財源とされる理由として、他税との比較において、現役世代といった特定の世代にのみ負担が集中しない点、税収が景気などの変化に左右されにくい点、経済活動に中立的である点から適しているためであるとしている<ref>{{Cite web|和書 |title=先般の消費税率10%への引上げは、なぜ行われたのですか。 |url=https://www.mof.go.jp/faq/tax_policy/02eb.htm |website=財務省 |access-date=2023-09-28 |language=ja}}</ref>。{{Quotation|
'''[[消費税法]] 第1条第2項'''<br>'''消費税'''の収入については、[[地方交付税法]]([[1950年|昭和二十五年]]法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された[[年金]]、[[医療]]及び[[介護]]の社会保障給付並びに[[少子化]]に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。
}}安倍晋三は、[[第48回衆議院議員総選挙|2017年の衆議院総選挙]]において、消費税の引き上げ分は「借金(国債)の返済」に充てられていたとした。一方で、以上の通り、消費税の用途は2017年時点で社会保障と少子化対策と定められており、年金特例公債の償還分を除いて、借金の返済に充てられていたわけではない。そのため、みずほ総研は安倍の「借金の返済」という表現について、「財政赤字の削減」と表現する方が適切だと指摘している<ref name=":17" />{{Refnest|[[東京新聞]]は、「借金返済に回るお金が減る」と表現した<ref>{{Cite web |title=消費増税 安倍政権、使途変更へ 財政再建に遅れ:全国(衆院選2017):東京新聞(TOKYO Web) |url=https://static.tokyo-np.co.jp/tokyo-np/archives/senkyo/shuin2017/shuin_article/zen/CK2017100402100005.html |website=東京新聞 TOKYO Web |access-date=2025-07-11 |language=ja}}</ref>。ただし「借金返済」というのは安倍政権の説明に沿ったものであり、みずほ総研の指摘や、内閣官房が出したパンフレット「明日の安心 社会保障と税の一体改革を考える」<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/panf.pdf |title=明日の安心 社会保障と税の一体改革を考える:内閣官房 |access-date=2025-07-24 |publisher=厚生労働省}}</ref>の記載とは矛盾している。このパンフレットでは『「将来世代への負担の先送り」を軽減』となっており、「借金返済」とは説明されていない。|group=注|name=chu_mizuho1}}
=== 評価 ===
2018年に[[経済協力開発機構|OECD]]事務総長の[[アンヘル・グリア]]は、[[財政再建]]のためには将来的に消費税率を19%程度まで引き上げる必要があるという考えを示している<ref>{{Cite web |title=グリアOECD事務総長 会見 {{!}} 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC) |url=https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/35056/report |website=日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC) |access-date=2025-07-09 |language=ja}}</ref>。2019年のOECDによる対日経済審査報告書は、[[プライマリーバランス|プライマリー・バランス]]の黒字化のためには、消費税率の最大26%への引き上げが必要だとしている<ref>{{Cite news |title=訂正:消費税最大26%まで引き上げを=OECD対日報告 |url=https://jp.reuters.com/article/world/26-idUSKCN1RR024/ |work=Reuters |date=2019-04-15 |access-date=2025-07-09 |language=ja}}</ref>。
政治学者の[[木寺元]]は日本の付加価値税率がOECD平均を下回っていることについて、大蔵省主計局が[[シャウプ勧告]]によって植え付けられた「所得税中心主義」を、付加価値税が世界に広がった後も守り続けたことや、歴代政権が一般消費税導入と税率引き上げを目指す度に選挙に負け続けたために「相当な覚悟がないと消費税には手を出せないという空気が政界では支配的となった」ことが原因であるとしている<ref name="nippon201804262">{{Cite web|和書 |title=なぜ日本の消費税率はOECD平均を下回っているのか? |url=https://www.nippon.com/ja/in-depth/a05702/ |website=nippon.com |date=2018-04-26 |accessdate=2020-06-04 |language=ja}}</ref>。
== 脚注 ==
{{
===注釈===
<references group="注"/>
===出典===
{{Reflist|30em}}
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2014年8月|section=1}}
* {{Cite report|publisher=OECD |title=OECD Consumption Tax Trends 2018 |date=2018 |doi=10.1787/ctt-2018-en |ref={{SfnRef|OECD|2018}}}}
** {{Cite report|publisher=OECD |title=Consumption Tax Trends 2014 |date=2014 |doi=10.1787/ctt-2014-en |ref={{SfnRef|OECD|2014}} }}
* {{Cite |publisher=OECD |date=2015-04 |title=OECD Economic Surveys: Japan 2015
|doi=10.1787/eco_surveys-jpn-2015-en |isbn=9789264232389 |ref={{SfnRef|OECD|2015}} }}
* {{Cite report|title=諸外国の付加価値税(2008 年版) |author=鎌倉治子 |date=2008年10月 |publisher=国立国会図書館調査及び立法考査局 |ncid=BA87703309 |url={{NDLDC|1000895}} |ref={{SfnRef|鎌倉治子|2008}} }}
* 内野順雄「消費税」(『社会科学大事典 10』(鹿島研究所出版会、1975年) ISBN 978-4-306-09161-0)
* [[仙田左千夫]]「消費税」(『歴史学事典 1 {{Small|交換と消費}}』(弘文堂、1994年) ISBN 978-4-335-21031-0)
== 関連項目 ==
* [[物品税]] - アメリカ合衆国では「Excise Tax」と呼ばれ、売上税と共に課税している。
* [[売上税]] - アメリカ合衆国の消費税に当たる税。物品ごとに別途定められた物品税率も売上税分に加えて課税される。
* [[
* [[
== 外部リンク ==
* [https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/consumption_tax/ 消費税率引上げについて] - 財務省
* [https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/ 消費税、酒税など(消費課税)] - 財務省
* [https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi.htm 消費税] - 国税庁
* [https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm 消費税のしくみ] - 国税庁
* [https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d05.htm 消費税の使途に関する資料] - 財務省
* [https://www.oecd.org/tax/consumption/ Consumption tax]{{en icon}} - OECD
* {{Kotobank}}
* [https://eleminist.com/article/3733 世界の消費税ランキング【2024年最新版】](消費税(付加価値税)率ランキング)
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:しようひせい}}
[[Category:租税]]
[[Category:消費税|*]]
| |||