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[[Image:Faust by Eugène Ferdinand Victor Delacroix.jpg|180px|right|thumb|[[ウジェーヌ・ドラクロワ|ドラクロワ]]画のファウスト]]
{{otheruses|ファウスト}}
『'''ファウスト'''』({{lang-de-short|''Faust''}})は、[[ドイツ]]の文人[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ]]の代表作とされる長編の[[戯曲]]。[[悲劇]]。全編を通して[[韻文]]で書かれている。『ファウスト』は2部構成で、[[ファウスト 第一部|第一部]]は[[1808年]]、[[ファウスト_第二部|第二部]]はゲーテの死の翌年[[1833年]]に発表された。
[[Image:Delacroix_Faust_1.jpg|180px|right|thumb|[[ウジェーヌ・ドラクロワ|ドラクロワ]]画のファウスト]]
{{文学}}
『'''ファウスト'''』({{lang-de-short|Faust}})は、[[ドイツ]]の文人[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ]]の代表作とされる長編の[[戯曲]]。全編を通して[[韻文]]で書かれている。『ファウスト』は二部構成で、[[ファウスト 第一部|第一部]]は[[1808年]]、[[ファウスト 第一部|第二部]]はゲーテの死の翌年[[1833年]]に発表された。
 
== 概略 ==
[[15世紀]]から[[16世紀]]頃のドイツに実在したと言われる、高名な錬金術師[[ゲオルクヨハン・ファウスト|ドクトル・ファウストゥス]](ファウスト博士)の伝説を下敷きして、ゲーテがほぼその一生をかけて完成させた大作である。このファウスト博士は、[[錬金術]]や[[占星術]]を使う[[黒魔術]]師であるという噂に包まれ、[[悪魔]]と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたという奇怪な伝説、風聞がささやかれていた。ゲーテは子供の頃、旅回り一座の人形劇ファウスト博士を観たといい、若い頃からこの伝承に並々ならぬ興味を抱いていた。そしてこうした様々な[[ファウスト (伝説)|ファウスト伝説]]に取材し、努力し続けることを止めない彼を主人公とする長大な戯曲を仕立て書き上げた(なお、主人公の名前は「幸福な」「祝福された」を意味する[[ラテン語]]の{{lang|la|faustus}}に由来する。ドイツ語で「拳骨」「砲」を意味する{{lang|de|Faust}}と一致するが、偶然の一致にすぎない)。
なお、人形芝居ファウストで記録に残る最古のものは、1746年、ハンブルクにおいてのもの。人形芝居ファウストの台本は十種ほどが現存。そのうち、カール・ジムロック編の台本は「ドイツ民衆本の世界III」(国書刊行会)に訳出されている。人形芝居の基となっているのは、クリストファー・マーロウの戯曲『フォースタス博士の悲劇』(1592年頃初演)であり、マーロウが基にしたのはヨーハン・シューピース『実伝ヨーハン・ファウスト博士』(1587年刊)の英訳であった。
 
なお、人形芝居ファウストに関する最古の記録は、1746年の[[ハンブルク]]での公演である。芝居の台本は十種ほどが現存し、そのうち[[カール・ヨーゼフ・ジムロック|カール・ジムロック]]編の台本は『ドイツ民衆本の世界III』([[国書刊行会]])に日本語で訳出されている。この人形芝居の基となっているのは、[[クリストファー・マーロウ]]の戯曲『[[フォースタス博士|フォースタス博士の悲劇]]』(1592年頃初演)であり、マーロウが基にしたのはヨーハン・シューピース『実伝ヨーハン・ファウスト博士』(1587年刊)の英語訳であった。
 
{{ネタバレ}}
 
== あらすじ ==
===プロローグ===
====献辞と前戯====
戯曲『ファウスト』はまず、[[1797年]]になって初稿『原ファウスト(''Urfaust'')(Urfaust)から20年ののちにこの作品を再び世に送るにあたり、ゲーテがその心境を告白した「献ぐる詞」から始まる。次に、[[インド]]の詩人[[カーリダーサ]](5世紀)作の戯曲『[[シャクンタラー (戯曲)|シャクンタラー]]』に影響を受けたゲーテによって、その体裁にならって同年に書き加えられた「劇場での前戯({{lang|de|''Vorspiel des Theaters''}})が続き、「天上の序曲({{lang|de|''Prolog im Himmel''}})に至っていよいよ[[悲劇]]の本筋に入る。
 
====天上の序曲====
天使たち([[ラファエル]]、[[ミカエル]]、[[ガブリエル]])の合唱とともに壮麗に幕開けられた舞台に、誘惑の悪魔[[メフィストーフェレス]](以下メフィスト)が滑稽な台詞回しでひょっこりと現れ、主([[]])に対してひとつの賭けを持ちかける。メフィストは「人間どもは、あなたから与えられた[[理性]]をろくなことに使っていやしないじゃないですか」と嘲り、主はそれに対して「常に向上の努力を成す者」の代表としてファウスト博士を挙げ、「今はまだ混乱した状態で生きているが、いずれは正しい道へと導いてやるつもりである」と述べる。メフィストはそれを面白がり、ファウストの[[]]を悪の道へと引きり込めるかどうかの賭けを持ちかける。主は、「人間は努力するかぎり迷うもの」と答えてその賭けを容認しに乗り、かくしてメフィストはファウストを誘惑すべく、地上に下っていくのであったることとなる
 
===第一部===
ファウストが悪魔[[メフィストフェレス|メフィスト]]と出会い、あの世での魂の服従を交換条件に、現世であらゆる人生の快楽・悲哀を体験させるという約束をする。ファウストは素朴な街娘グレートヒェンと恋をし、子供を身ごもらせる。そしてあい引きの邪魔になる彼女の母親を毒殺し、彼女の兄も決闘の末に殺す。そうして魔女の祭典「[[ワルプルギスの夜]]」に参加して帰ってくると、赤子殺しの罪で逮捕された彼女との悲しい別れが待っていた。
 
=== 第一部 ===
{{main|ファウスト 第一部}}
ファウストが悪魔[[メフィストフェレス|メフィスト]]と出会い、死後の魂の服従を交換条件に、現世で人生のあらゆる快楽や悲哀を体験させるという契約を交わす。ファウストは素朴な街娘グレートヒェンと恋をし、とうとう子供を身籠らせる。そして逢引の邪魔となる彼女の母親を毒殺し、彼女の兄をも決闘の末に殺す。そうして魔女の祭典「[[ワルプルギスの夜]]」に参加して帰ってくると、赤子殺しの罪で逮捕された彼女との悲しい別れが待っていた。
 
=== 第二部 ===
皇帝に仕えることにしたファウストは、メフィストの助けを借りて経済再建を果たす。その後、絶世の美女[[ヘレネー]]と美男[[パリス]]を求め、[[ギリシャ神話]]の世界へと、[[人造人間]][[ホムンクルス]]やメフィストとともに旅立つ。ファウストはヘレネーと結婚し、一男をもうけるが、血気にはやるその息子は死んでしまう。現実世界に帰ってきた後ファウストは皇帝を戦勝に導き、領地をもらう。海を埋め立てる大事業に取り組むが、灰色の女「憂い」によって失明させられる。そうしてメフィストと手下の悪魔が墓穴を掘る音を、民衆のたゆまぬ鋤鍬の音だと勘違いしながら死ぬ。その魂は、かつての恋人グレートヒェンの天上での祈りによって救われる。
 
{{main|ファウスト 第二部}}
皇帝の下に仕えるファウストは、メフィストの助けを借りて国家の経済再建を果たす。その後、絶世の美女[[ヘレネー]]を求めて、[[人造人間]][[ホムンクルス]]やメフィストたちと共に[[ギリシャ神話]]の世界へと旅立つ。ファウストはヘレネーと結婚し、一男を儲けるが、血気に逸るその息子はやがて死んでしまう。現実世界に帰って来たファウストは、巧みな戦術で皇帝を戦勝へと導き、広大な所領を授けられる。やがて海を埋め立てる大事業に乗り出すが、灰色の女「憂い」によって両眼を失明させられる。そしてメフィストと手下の悪魔たちが墓穴を掘る音を、民衆の弛まぬ鋤鍬の音だと信じ込み、その時に夢想する幸福な瞬間について「この瞬間が止まってほしい」とも言えるのだという想いを抱きながら死ぬ。その魂は、賭けに勝ったから自分の物だとするメフィストフェレスの意に反して、かつての恋人グレートヒェンの天上での祈りによって救済される。
 
== 日本語訳 ==
『ファウスト』は、明治後期に森林太郎([[森外]])によって日本語訳された。これ<ref>森最初の完訳であるが今日でも評価は高く、近代日本文学古典と時の出版に前後して、第1部の抄訳が[[岩波文庫高橋五郎 (翻訳家)|高橋五郎]]版(全2巻、初版1928と町井正路(1878 - 1946)では緑帯(現代日本文学)に分類よってそれぞれ出版されていが、森は参考にしていないと述べている(森鷗外『不苦心談』)。</ref>
 
なおこれは最初の完訳であるが、今日でも評価は高く、近代日本文学の古典として、森林太郎の名のみゲーテ[[岩波文庫]]緑帯(現代日本文学、全2巻・初版1928年)<ref>森林太郎訳岩波版、1)ISBN 978-4003100615、2)ISBN 978-4003100622</ref>に分類されている。文庫赤帯(海外文学)で出版されているのは、[[ドイツ文学者]][[相良守峯]]訳である。鴎外訳は、[[ちくま文庫]]版『鴎外全集.11巻』にもある。
 
=== 日本語訳書一覧 ===
:多数の日本語訳が出版されている。中でも[[手塚富雄]]訳は、第22回[[読売文学賞]]を受賞している。
* [[森林太郎]]訳:冨山房(2分冊) 1913年。「鷗外全集 第12巻」岩波書店、1972年。岩波文庫(上下)、[[ちくま文庫]] etc.<ref>表記は鷗外訳。ちくま文庫版『森鷗外全集<11> ファウスト』(1996年、ISBN 978-4480030917)に収録。戦前刊の『鷗外全集10』 全集刊行會、1923年 - 1926年 などに収録。</ref>で再刊。
*[[大山定一]]訳:[[人文書院]]版「ゲーテ全集2」と、「世界古典文学全集50」、[[筑摩書房]]
* 久保栄訳:中央公論社(第一部)1948年。「久保栄全集 第8巻」三一書房、1962年。新協劇団上演 1936年(於 築地小劇場)
*[[山下肇]]訳:「ゲーテ全集 第3巻」 [[潮出版社]]
* [[高橋健二 (ドイツ文学者)|高橋健二]]訳:「世界文学全集 第1期 8・31」 1949年 - 1951年 河出書房。新装版<ref>1957年に河出書房新社。たびたび新装再刊された。</ref>「河出世界文学全集 第3巻」 [[河出書房新社]] 1989年。ISBN 978-4309610535
*[[高橋義孝]]訳:[[新潮文庫]]全2巻
* [[相良守峯]]訳:[[ダヴィッド社]] 1954年、[[岩波文庫]] 全2巻 1958年。1)ISBN 978-4003240625、2)ISBN 978-4003240632
*[[高橋健二 (ドイツ文学者)|高橋健二]]訳:世界文学全集・[[河出書房新社]]
* [[大山定一]]訳:「ゲーテ全集 2」[[人文書院]] 1960年、「世界文学大系 19」[[筑摩書房]] 1960年 →「[[世界古典文学全集]]50」 同 1964年、他
*[[手塚富雄]]訳:[[中央公論社]]→[[中公文庫]]全3巻
* [[高橋義孝]]訳:「世界文学全集 1」[[新潮社]] 1962年、[[新潮文庫]] 全2巻 1967年 - 1968年、改版2010年。1)ISBN 978-4102015032、2)ISBN 978-4102015049
*[[柴田翔]]訳:[[講談社]]→[[講談社文芸文庫]]全2巻
* [[手塚富雄]]訳<ref>手塚訳は1970年、第22回[[読売文学賞]]を受賞した。作品論に『人類の知的遺産<45> ゲーテ』 講談社 1982年。</ref>:[[中央公論新社|中央公論社]]「世界の文学 5」「新世界の文学 4」1964年 - 1970年 →同 全1巻 1971年 →[[中公文庫]] 全3巻 1974年 - 1975年 →文庫改版 全2巻 2019年。1)ISBN 978-4122067417、2)ISBN 978-4122067424
*[[池内紀]]訳:[[集英社]]全2巻→[[集英社文庫]]ヘリテージ全2巻
* [[井上正蔵]]訳:「愛蔵版 世界文学全集7・(7)ゲーテ」 [[集英社]] 1976年 →「世界文学全集〈14〉ゲーテ」同 1980年
* [[山下肇]]訳:「ゲーテ全集 第3巻」 [[潮出版社]] 1992年 →普及版2003年。ISBN 4-267-01663-1
*[[小西悟]]訳:[[大月書店]]
* 片岡義道<ref>片岡義道(かたおか ぎどう、1919 - 2002年):僧侶。1985年から[[西教寺|天台真盛宗]]宗務総長をつとめ、天台声明の研究・復元などの功績で著名な東洋音楽研究者でもあった。一方でファウストへの思い入れも深く、晩年に韻文体による翻訳を残した。</ref>訳:近代文芸社 全2巻 1996年 - 1999年 1)ISBN 978-4773353501、2)ISBN 978-4773365405
*[[片岡義道]]訳:[[近代文芸社]]
* [[柴田翔]]訳:[[講談社]] 1999年 →[[講談社文芸文庫]] 全2巻 2003年。1)ISBN 978-4061983205、2)ISBN 978-4061983243
*[[相良守峯]]訳:[[岩波文庫]] 大版も出された
* [[池内紀]]訳<ref>池内訳は2000年、第54回[[毎日出版文化賞]]を受賞した。</ref>:[[集英社]] 全2巻 1999年 - 2000年 →[[集英社文庫]]ヘリテージシリーズ 全2巻 2004年。1)ISBN 978-4087610086、2)ISBN 978-4087610093
* 小西悟訳:[[大月書店]] 1998年。ISBN 4-272-60038-9
* 粂川麻里生訳:[[作品社]] 2022年。ISBN 978-4-86182-935-2
 
== 関連作品 ==
* 『ファウスト』にインスピレーションを得た作品は多数ある。
 
=== 音楽 ===
* [[フランツ・シューベルト]]を始めとするドイツ・[[ロマン派音楽|ロマン派]]の作曲家は、本作品からテキストを選んで歌曲を作曲している。シューベルトでは『[[糸を紡ぐグレートヒェン]]』(1814年作曲)や『トゥーレの王』(1816年作曲)が名高い。
*[[シャルル・グノー]]には第1部を基にした同名の[[オペラ]]『[[ファウスト (オペラ)|ファウスト]]』があり、上演回数も多い。
* [[エクトル・ベルリオーズ]]はフランス語訳を読んで感激し、『ファウストの八つの情景』を若くして作曲、後に独唱・合唱・管弦楽のための劇的物語『[[ファウストの劫罰]]』(1846年初演)に改作した。
* [[リヒャルト・ワーグナー]]は20代の頃に『ファウスト』に基づく大規模な交響曲を構想した。これは完成しなかったが、第1楽章に当たる部分のみが独立した作品『[[ファウスト序曲]]』(1855年改訂版出版)として完成された。
*[[フランツ・シューベルト]]を始めとするドイツ・[[ロマン派音楽|ロマン派]]の作曲家は、本作品からテキストを選んで歌曲を作曲している。シューベルトでは『[[糸を紡ぐグレートヒェン]]』や『トゥーレの王』が名高い。
* [[フランツ・リスト]]は[[エクトル・ベルリオーズ]]の勧めで『ファウスト』を読み、『[[ファウスト交響曲]]』(1857年初演)の楽想を得た。『[[メフィスト・ワルツ]]第1番』も有名だが、こちらは元は[[ニコラウス・レーナウ]]の詩に基づく『[[レーナウの「ファウスト」による2つのエピソード]]』の一曲である。
*[[ロベルト・シューマン]]の『ファウストからの情景』は演奏の機会は少ないが[[オラトリオ]]形式の壮麗な曲である。
* [[シャルル・グノー]]には第1部を基にした同名の[[オペラ]]『[[ファウスト (グノー)|ファウスト]]』(1859年初演)があり、上演回数も多い。
*[[アッリーゴ・ボーイト]]のオペラ『[[メフィストーフェレ]]』は[[リヒャルト・ワーグナー|ワーグナー]]の影響を強く受けたイタリア・オペラの傑作である。
* [[ロベルト・シューマン]]の『[[ゲーテのファウストからの情景]]』(1862年全曲初演)は演奏の機会は少ないが[[オラトリオ]]形式の壮麗な曲である。
*[[リヒャルト・ワーグナー]]は20代の頃に『ファウスト』に基づく大規模な交響曲を構想した。これは完成しなかったが、第1楽章に当たる部分のみが独立した作品『[[ファウスト序曲]]』として完成された。
* 酒場でメフィストフェレスが歌った「蚤の歌」が何人かの作曲家によって歌曲とされているが、[[蚤の歌 (ムソルグスキー)|ムソルグスキーのもの]](1879年)がもっとも有名である。
*[[フランツ・リスト]]は[[エクトル・ベルリオーズ]]の勧めで『ファウスト』を読み、『[[ファウスト交響曲]]』の楽想を得た。『[[メフィスト・ワルツ]]第1番』も有名だが、こちらは[[ニコラウス・レーナウ]]の詩に惹かれてのものである。
* [[アッリーゴ・ボーイト]]のオペラ『{{仮リンク|メフィストーフェレ|en|Mefistofele}}』(1881年改訂版初演)は、ワーグナーの影響を強く受けたイタリア・オペラの傑作である。
*[[グスタフ・マーラー]]の「[[交響曲第8番 (マーラー)|交響曲第8番]]」は『ファウスト』の第2部最終幕からテキストを採っている。
* [[グスタフ・マーラー]]の「[[交響曲第8番 (マーラー)|交響曲第8番]]」(1910年初演)は『ファウスト』の第2部最終幕からテキストを採っている。
*[[キャメロット (バンド)|キャメロット]]の『[[エピカ (アルバム)|エピカ]]』『[[ザ・ブラック・ヘイロー]]』は本作を下敷きにした2部作の物語になっている。特に後者は音楽的にも高い評価を世界中で受けた。
* [[キャメロット (バンド)|キャメロット]]の『[[エピカ (アルバム)|エピカ]]』(2002年録音)『[[ザ・ブラック・ヘイロー]]』(2004年録音)は本作を下敷きにした2部作の物語になっている。特に後者は音楽的にも高い評価を世界中で受けた。
*酒場でメフィストフェレスが歌った「[[ノミ]]の歌」が何人かの作曲家によって歌曲とされているが、[[蚤の歌 (ムソルグスキー)|ムソルグスキーのもの]]がもっとも有名である。
 
=== 漫画 ===
* 『ファウスト』[[手塚治虫]]による[[漫画]]版が存在する。この作品は[[1950年]]に[[不二書房]]にて、描き下ろし単行本として不二書房で刊行された。手塚治虫大の終生にわたる『ファウスト』フリークで、後に執筆した『[[百物語 (手塚治虫)|百物語]]』や未完の遺作『[[ネオ・ファウスト]]』にこの作品の設定を絡ませている。
** 『ファウスト(不二書房)
** [[手塚治虫漫画全集]]『ファウスト([[講談社]])『ファウスト
** [[朝日文庫『ファウスト]]([[朝日新聞社]])『ファウスト
 
; アニメ企画
手塚治虫は晩年に劇場用アニメーション企画として116枚に及ぶシナリオ原稿を遺しており、1999年1月15日に[[日本放送協会|NHK]]で放送の『手塚治虫 世紀末へのメッセージ』で一部のみだが[[手塚プロダクション]]によりアニメ映像化された。
 
=== 演劇 ===
[[File:Tamamura Utaji.jpg|thumb|近代劇協会初演公演でリイスヘンを演じた玉村歌路]]
*[[1989年]][[宝塚歌劇団]]月組が第一部をもとに『天使の微笑・悪魔の涙』というタイトルでミュージカル化した。ただし結末は大幅に改変してある。
*[[1913年]]、[[上山草人]]率いる近代劇協会が森鷗外訳の『ファウスト』を帝国劇場で公演した。これが日本での初上演である。
*1936年、新協劇団で久保栄訳・演出で「ファウスト」第一部を築地小劇場で上演、ファウスト滝沢修,メフィスト千田是也,グレーチヒェン細川ちか子。39年再演。
* [[1989年]]、[[宝塚歌劇団]][[月組]]が第一部をもとに『[[天使の微笑・悪魔の涙]]』としてミュージカル化した。ただし結末は大幅に改変してある。
* [[2014年]]、前述した[[手塚治虫]]の『ファウスト』『百物語』をもとに『ミュージカル「ファウスト〜愛の剣士たち〜」』としてミュージカル化された<ref>{{Cite web|和書|title=手塚作品 河合&五関&三田トリプル主演/デイリースポーツ online|url=https://www.daily.co.jp/gossip/2014/04/24/0006893227.shtml|website=デイリースポーツ online|accessdate=2021-12-31}}</ref>。
* 2020年、{{仮リンク|サイモン・スティーヴンス|en|Simon Stephens}}作で上演された『FORTUNE』はゲーテの「ファウスト」をベースに、舞台を現代のロンドンに置き換えた作品となっている<ref>{{Cite web|和書|title=森田剛、吉岡里帆が世界初上演舞台『FORTUNE(フォーチュン)』に出演決定 ゲーテの『ファウスト』を現代のロンドンに置き換えた意欲作|url=https://spice.eplus.jp/articles/254228|website=SPICE|accessdate=2021-12-31|date=2019-09-17}}</ref>。
 
=== 映画 ===
* [[ファウスト (1926年の映画)|ファウスト]](1926年/ドイツ) - [[F・W・ムルナウ]]監督。
* [[悪魔の美しさ]] ''La Beauté du diable'' (1949(1950/フランス) - [[ルネ・クレール]]監督、[[ジェラール・フィリップ]]主演。
* [[地獄 (1960年の映画)|地獄]](1960年、日本・[[新東宝]]) - [[中川信夫]]監督。オリジナルのストーリーだが、[[仏教]]における[[八大地獄]]などとともに、ファウストを下敷きの一つとしている。
*[[ファウスト (1994年の映画)|ファウスト]](1994年/チェコ) - [[ヤン・シュヴァンクマイエル]]監督。
* {{仮リンク|ファウスト (1994年の映画)|label=ファウスト|en|Faust (1994 film)}}(1994年、チェコ) - [[ヤン・シュヴァンクマイエル]]監督。
*[[悪いことしましョ!]](2000年/アメリカ) - [[ハロルド・ライミス]]監督。
* [[悪いことしましョ! (2000年の映画)|悪いことしましョ!]](2000年、アメリカ) - [[ハロルド・ライミス]]監督。
* [[ファウスト (2011年の映画)|ファウスト]](2011年、ロシア) - [[アレクサンドル・ソクーロフ]]監督。
 
=== 小説 ===
* ミネルヴァと智慧の樹 始原〈ウロボロス〉(2010年/[[電撃文庫]]) - [[浅生楽]]著。ファウストの世界を物語の下地にしている。
 
=== アニメ解説・新訳 ===
* 史上最高に面白いファウスト(2016年/[[文藝春秋]]) - [[中野和朗]]著。ISBN 978-4163905372
*[[魔法少女まどか☆マギカ]] - 2011年放送のアニメオリジナル作品。作中にてファウストの原文が背景の一部として描写されるシーンがある。
 
=== ゲーム ===
* [[アニマムンディ  終わりなき闇の舞踏]](animamundi(''Animamundi: darkalchemist)Dark Alchemist'') - 2005年に発売されたPC/MAC用ゲームソフト。ファウストやダンテ「神曲」をモチーフにしたBLゲーム。完成度は高く、根強いユーザーに支えられ、英語版を後に発売した
* [[シャドウ・オブ・メモリーズ]]
*[[Dies irae -Also sprach Zarathustra-]] - 2007年に発売された[[アダルトゲーム]]。主人公がマジックウエポン「聖遺物」を使用する際に、この戯曲の一節を詠唱する。さらに敵の首領の称号が「愛すべからざる光(メフィストフェレス)」である。
*[[グリムグリモア]] - 2005年に発売されたPS2専用ゲームソフト。登場人物のうちの一人がメフィストフェレスである。
 
==関連事項 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
* [[アイオロス]] - 一部・二部双方の冒頭に名前が出てくる風神
{{reflist}}
* [[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ]]
 
== 関連項目 ==
* [[アイオロス]] - 第一部・第二部双方の冒頭に名前が出てくる風神。
* [[デウス・エクス・マキナ]]
* [[メフィストフェレス]]
* [[レーゼドラマ]] - とくに第二部がそうであるとされる。
* [[ジョージ・ゴードン・バイロン]] - バイロン卿の[[クローゼット・ドラマ]]『[[マンフレッド]]』は、ファウスト第一部に影響を受けていると言われている。いっぽう、『マンフレッド』を読んだゲーテはこれを激賞した。また、第二部のオイフォーリンの死に顔は「周知の人に似ている」と書かれているが、この「周知の人」とは当時[[ギリシャ独立戦争]]に参加して死んだバイロンのことである、という。高橋義孝は自身がした[[新潮文庫]]の注釈にはそう書いてる。[https://web.archive.org/web/20071226160811/http://www.geocities.jp/kasuminohito/jinbutu_oifo.html]
* [[アスモデウス]] - 第二部の第2幕に名が出てくる。
* [[リュンケウス]] - ずば抜けた[[視力]]を持つ。
* [[ズザンナ・マルガレータ・ブラント]] - グレートヒェンのモデルとなった強姦被害者の女性。
 
== 外部リンク ==
{{wikisourcelang|de|Faust - Der Tragödie erster Teil}}
{{wikisourcelang|de|Faust - Der Tragödie zweiter Teil}}
{{Wikiquote|ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ|{{PAGENAME}}ファウスト}}
{{Commonscat|Faust}}
* [httphttps://gutenberg.spiegel.deorg/goetheebooks/faust1/faust_to.htm2229 プロジェクト・グーテンベルク 『ファウスト』第一部]
* [httphttps://gutenberg.spiegel.deorg/goetheebooks/faust2/faust2.htm2230 プロジェクト・グーテンベルク 『ファウスト』第二部]
* [httphttps://tezukaosamu.net/jp/manga/418.html 手塚治虫公式サイト内作品ページ『ファウスト』]
* [{{近代デジタルライブラリーURL|43019403}} 『フアウスト 第1,2部』(森外訳)] - [[近代デジタルライブラリー]]
* {{青空文庫|001025|50909|新字新仮名|ファウスト}}([[森鷗外]]訳)
*[https://dl.ndl.go.jp/pid/1132182/ 全訳ファウスト](国立国会図書館デジタルコレクション)[[櫻井天壇|桜井政隆]]訳
* [https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/50910_46740.html 不苦心談 森鷗外] - ファウスト完訳について
* {{Wayback|url=http://www.musical-faust.com/ |title=ミュージカル『ファウスト~愛の戦士たち~』公式WEBサイト)|date=20140630020905}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ふあうすと}}
{{デフォルトソート:ふあうすと}}
[[Category:ドイツの戯曲]]
[[Category:19世紀ゲーテの戯曲]]
[[Category:ドイツ1800年代伝承戯曲]]
[[Category:ゲーテ]]
[[Category:ファウスト|*]]
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[[Category:悪魔を題材とした作品]]
 
[[ar:فاوست]]
[[az:Faust]]
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[[es:Fausto]]
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