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[[ファイルFile:CanaryEast WharfCanary London(16694876705).jpg|thumb|350px|[[カナリー・ワーフ]]]]
'''ドックランズ'''(London Docklands)は、[[イギリス]]の[[ロンドン]]東部、[[テムズ川]]沿岸にある[[ウォーターフロント]][[都市再開発|再開発]]地域の名称。テムズ南岸[[サザーク・ロンドン特別区|サザーク区]]同北岸[[タワーハムレッツ・ロンドン特別区|タワーハムレッツ区]][[ニューハム・ロンドン特別区|ニューハム区]]にまたがる。現在は、主に[[商業]]と[[住宅|住居]]が混在した地域として[[都市再開発]]されている。
 
名前の基となった「[[ドック]]」とは、一時は[[世界一の一覧|世界最大]]の[[港]]であったロンドン港の港湾[[荷役]]用の[[水面]]のことであった。[[第二次世界大戦]]後、[[船|船舶]]の大型化・[[コンテナ]]など物流[[革命]]に伴い、ドックランズは衰退し、[[廃墟]]となった。ドックランズという名称は、[[1971年]]の[[イギリスの政治|イギリス政府]]の再開発[[計画]]の報告書で初めて用いられた。
 
==範囲==
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ドックにもいくつかの種類があり、'''[[ウェットドック]]'''(泊渠)は堀の入り口に閘門、周囲に倉庫や防壁を設けたもので、船が入って停泊し荷役をすることができた。'''[[ドライドック]]'''(乾船渠)は小型のもので、船を入れた後に堀から水を抜き、修理をするためのものであった。同様の構造で船を作る'''[[造船所]]'''もテムズ川沿いにあり、その他倉庫や船着場がびっしりとテムズ川沿いに並んでいた。また、各ドックは[[砂糖]]・[[穀物]]・[[材木]]など貨物の種類ごとに特化して荷役施設を作っていることが多かった。こうした貨物はドックランズからイギリス各地へ、[[はしけ]]に積まれて[[運河]]経由で、あるいは[[鉄道]]などで送られた。
 
ドックランズには船からはしけに貨物を上げ下ろしする[[沖仲仕]](Lightermen)や、はしけや船から陸に貨物を上げ下ろしする陸仲仕など[[港湾]][[労働者]]が多く集まった。はしけを持ち会社や組合を作る沖仲仕など熟練労働者もいたが、多くは日雇いの未熟練労働者で、毎日早朝にパブなどへフォアマン(現場監督)による荷役仕事の募集に応じるため[[パブ]]に集まっていた。仕事にありつけるかの有無、内容どんな仕事で料はいくらかなどはパブに行ってからでないと分からず、割のい仕事にありつけるかは一種のギャンブルであった。こういった労働形態は第二次大戦後まで続いた。
 
もともと低湿地で農業に向いていなかった無人のドックランズ周辺には労働者相手の[[パブ]]や宿屋、集合住宅など[[下町]]が急速に形成されたが、市内からは数本の道しかなく、隔絶した貧困な(しかし強固な)コミュニティを形成しており、ギャングなどの犯罪の温床になる一方、団結して政府に対し抗議行動を起こすこともあった。
 
[[File:Heinkel He 111 over Wapping, East London.jpg|thumb|220px|ドックランズ上空に飛来したドイツ空軍の爆撃機[[ハインケル He111]]]]
19世紀末になると、イギリスの港湾は大陸ヨーロッパの港湾に対し相対的地位が低下しつつあった。行政が強い権限を持つ大陸ヨーロッパ諸港に対し、同じ港内に港湾会社がひしめき相互に調整が取れていないこともイギリスの港湾の弱みとみなされた。[[1909年]]、ドックを経営する各民間会社は[[物流]]の効率化や利害調整、[[労働問題]]の改善などのため「ロンドン港湾局」に統合された。世界最初期の[[ポート・オーソリティ]]であるロンドン港湾局のもと、ドックランズはロイヤルドックのキングジョージ5世ドックまで拡大し、さらに下流のティルバリーにまで多くのドックや内陸港湾が形成された。
 
第二次大戦時の[[バトル・オブ・ブリテン]]における[[ロンドン空襲]]により、ドック群は集中的な攻撃を受け大きく破壊された。復興には[[1950年代]]までかかりドックランズは再び繁華な港湾となったが、その終焉は突然訪れた。'''[[海上コンテナ|コンテナ]]'''による海上運送・陸上運送の物流革命により、船会社は寄航先をコンテナに対応しないドックランズから、[[コンテナ化]]に成功したティルバリーへ、さらに外海に面し水深深いため大型の船舶が入港できる[[フェリクストウ]]に移転したのである。[[1960年代]]から[[1980年代]]までにかけてすべてのドックは営業を停止し、ロンドン都心の真横に21平方kmの廃墟が誕生した。港湾労働者が多く住むロンドン東部[[イーストエンド・オブ・ロンドン|イーストエンド]]には失業者が溢れ、それに伴う絡む諸問題が頻発した。
 
===ドックランズ再開発===
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===今日のドックランズ===
[[ファイル:Docks-transport.jpg|thumb|350px|現在のドックランズ交通図]]
過去20年間で、ドックランズの人口は2倍以上になり、また交通も便利な大ビジネスエリア・住宅地区になった。交通網は明らかに良くなり、ドッグ島は[[1999年]]に地下鉄[[ジュビリー線]]が延伸し、[[ウェストミンスター駅]]から6駅でカナリー・ワーフに着き、東郊の[[セントラル線]]に[[ストラトフォード駅]]で接続した。またドックランズ・ライト・レイルウェイは、東はベックトン方面への延伸が完了し、さらに支線としてロンドンシティ空港を経てキングジョージ5世ドック方面への延伸が[[2005年]]12月に完成した。また南はドッグ島を縦断しテムズ川を越えてグリニッジ、ルイシャムまで延伸している。カナリー・ワーフはヨーロッパ最大の超高層ビル街となり、[[シティ・オブ・ロンドン|シティ]]の金融街としての地位を脅かすまでになった。ドックランズの東半分を占めるロイヤルドックは、[[エクセル展覧会センター|エクセル・エキシビション・センター]]([[コンベンションセンター]])として生まれ変わった。国際的なホテルとして、[[フォーシーズンズホテル|フォーシーズンズ]]、[[ヒルトン]]、[[マリオット・インターナショナル|マリオット]]も建設された。
[[ファイル:Canary Wharf 1 Canada Square.png|thumb|left|220px|高層ビル街となった[[カナリー・ワーフ]]の[[ワン・カナダ・スクエア]]]]
 
ドックランズのほとんどの古い倉庫や埠頭は撤去されたが、いくつかの倉庫は改修されて住宅などとして使用されている。ドックの掘割と水面自体はほとんどが残され、主に[[ヨットハーバー|マリーナ]]やウォータースポーツのセンターとなっている(例外として、無数のドックがあったサリー商業ドックは大半が埋め立てられた)。たまに大きな船が古いドックに入港することがあるが、貨物運送はティルバリーやフェリクストウに移転している。
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== 外部リンク ==
{{Commonscat|London Docklands}}
 
* [http://www.lddc-history.org.uk/beforelddc/index.html History of Docklands redevelopment]
* [http://www.uel.ac.uk/londoneast London East Research Institute]
* [https://web.archive.org/web/20070206030236/http://www.michaelpead.co.uk/photography/london/docklands.shtml Michael Pead :: Photos of the Docklands]
* [http://www.royaldockstrust.org.uk/index.html Royal Docks Trust (London)]
* [http://www.westsilvertownfoundation.org.uk/index.html West Silvertown Online]
* [httphttps://wwwweb.archive.org/web/20061004011924/http://youngfoundation.org.uk/ Young Foundation]
{{authority control}}
 
{{DEFAULTSORT:とつくらんす}}
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[[Category:交易の歴史]]
[[Category:ウォーターフロント]]
 
[[ca:Docklands (Londres)]]
[[da:London Docklands]]
[[de:Docklands]]
[[en:London Docklands]]
[[eu:Docklands (Londres)]]
[[fi:Docklands (Lontoo)]]
[[fr:Docklands]]
[[he:דוקלנדס]]
[[it:London Docklands]]
[[nl:Docklands (Londen)]]
[[no:Docklands]]
[[pl:Docklands]]
[[pt:Docklands]]
[[ru:Доклендс]]
[[sv:Docklands]]
[[zh:倫敦碼頭區]]