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|right=[[ラジウム]]
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}}
'''フランシウム''' ({{lang-enla-short|francium}}) {{IPA-en|ˈfrænsiəm}})[[原子番号]]87の[[元素]]。[[元素記号]]は '''Fr'''。[[アルカリ金属]]元素の一つ(最も原子番号が大きい)で、[[典型元素]]である。又、フランシウムの単体金属をもいう。
 
<sup>223</sup>Fr は[[アスタチン]]と同じく[[ウラン]]や[[トリウム]]鉱石において生成と崩壊を絶えず繰り返すため、その量は非常に少なく、フランシウムはアスタチンにいで地殻含有量が少ない元素である。地球の地殻ではわずかに20-30 gほどではあるが <sup>223</sup>Fr が常に存在しており、他の同位体は全て人工的に作られたものである。最も多いものでは、研究所において300,000以上の原子が作られた<ref name=chemnews>{{citation|url=http://pubs.acs.org/cen/80th/francium.html|title=Francium|journal=Chemical and Engineering News|year=2003|author=Luis A. Orozco }}</ref>。以前にはエカ・セシウムもしくはアクチニウムK<ref group="注釈">実際には最も安定な同位体元素 <sup>223</sup>Fr に対して</ref>と呼ばれていた。
 
[[安定同位体]]は存在せず、最も[[半減期]]が長いフランシウム223でも22分しかないため、化学的、物理的性質はく分かっていないが、原子価は+1価である事が確認されていて、化学的性質は[[セシウム]]に類似すると思われている。[[アクチニウム]]227の1.2 %が[[α崩壊]]して、フランシウム223となることが分かっている。また、フランシウムはアスタチン、[[ラジウム]]および[[ラドン]]へと崩壊する、非常に放射性の強い金属である。
 
フランシウムは合成でなく自然において発見された最後の元素である<ref group="注釈">[[テクネチウム]]のような合成された元素が後に自然において発見されることはあった</ref>。
 
== 名称 ==
[[フランス]]にちなむ。[[ガリウム]]に次いで二つ目のフランスにちなんで名づけられた元素となった。
 
== 歴史 ==
1870年という早い時期に、化学者はセシウムの次のアルカリ金属である[[原子番号]]87の元素があるべきであると考えていた<ref name="andyscouse" />。それは暫定的に''エカ-セシウム''という名で言及されていた<ref name="chemeducator">Adloff, Jean-Pierre; Kaufman, George B. (2005-09-25). [http://chemeducator.org/sbibs/s0010005/spapers/1050387gk.htm Francium (Atomic Number 87), the Last Discovered Natural Element] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20130604212956/http://chemeducator.org/sbibs/s0010005/spapers/1050387gk.htm |date=2013年6月4日 }}. ''The Chemical Educator'' '''10''' (5). Retrieved on 2007-03-26.</ref>。この未確認な元素を発見し、単離するための研究チームによる試みは、本物のフランシウムが発見されるまでに、少なくとも4つの誤った主張がなされた。
 
=== 誤発見 ===
[[ソビエト連邦]]の化学者 D. K. Dobroserdov はエカ-セシウム(フランシウム)を発見したと主張した初の科学者であった。1925年、彼は[[カリウム]]および他のアルカリ金属のサンプルから弱い放射能を観測し、これはエカ-セシウムがサンプルを汚染しているためであると誤って結論付けた。しかし、サンプルからの放射能は、実際には天然に存在するカリウムの放射性同位体である[[カリウム40]]によるものであった<ref name="fontani">{{cite conference| first = Marco| last = Fontani| title = The Twilight of the Naturally-Occurring Elements: Moldavium (Ml), Sequanium (Sq) and Dor (Do)| booktitle book-title= International Conference on the History of Chemistry| pages = 1–8| date = 2005-09-10| ___location = Lisbon|url = http://5ichc-portugal.ulusofona.pt/uploads/PaperLong-MarcoFontani.doc| archiveurl = httphttps://web.archive.org/web/20060224090117/http://5ichc-portugal.ulusofona.pt/uploads/PaperLong-MarcoFontani.doc|archivedate=2006-02-年2月24|accessdate = 2007-04-08|conference=}}</ref>。その後彼はエカ-セシウムの物性の予測を発表し、そこで彼は祖国の名を取ってこの元素を ''russium'' と名付けた<ref name="vanderkroft">{{cite web| last = Van der Krogt| first = Peter| title = Francium| work = Elementymology & Elements Multidict| date = 2006-01-10| url = http://elements.vanderkrogt.net/element.php?sym=Fr| accessdate = 2007-04-08}}</ref>。その後すぐに、彼は[[オデッサ]]のクライストチャーチ・ポリテクニック工科大学での教育活動に専念し、その元素に関する更なる研究を続けなかった<ref name="fontani"/>。
 
その翌年、[[イギリス]]の化学者 Gerald J. F. Druce および Frederick H. Loring は、[[硫酸マンガン(II)]]の[[X線]]写真の解析を行い<ref name="vanderkroft"/>、彼らは観測した[[スペクトル線]]をエカ-セシウムであると推定した。彼らは87番目の元素の発見を発表し、それが最も重いアルカリ金属元素であることから ''alkalinium'' という名前を提案した<ref name="fontani"/>。
 
1930年、[[オーバーン大学]]の{{仮リンク|フレッド・アリソン|en|Fred Allison}}は、[[リチア雲母]]および{{仮リンク|[[ポルックス石|en|Pollucite}}]]を彼の[[磁気光学効果|磁気光学機器]]を用いて解析した際に原子番号87の元素を発見したと主張した。アリソンは、彼の故郷である[[ヴァージニア州]]から ''virginium'' と名付け、その[[原子記号]]を Vi および Vm とするように要請した<ref name="vanderkroft"/><ref>{{cite news| title = Alabamine & Virginium| publisher = TIME| date = 1932-02-15|url = http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,743159,00.html| accessdate = 2007-04-01}}</ref>。しかし、1934年、[[カリフォルニア大学バークレー校]]のH. G. マクファーソンは、アリソンの装置の効果と、この間違った発見の有用性について反証した<ref>{{citation| last = MacPherson| first = H. G.| title = An Investigation of the Magneto-Optic Method of Chemical Analysis| journal = Physical Review| volume = 47| issue = 4| pages = 310–315| publisher = American Physical Society|year=1934|doi = 10.1103/PhysRev.47.310}}</ref>。
 
1936年、[[ルーマニア]]の化学者{{仮リンク|ホリア・フルベイ|en|Horia Hulubei}}と、彼のフランスの同僚{{仮リンク|イヴェット・コショワ|en|Yvette Cauchois}}もまた、彼らの高解像度X線装置を用いたポルックス石の分析を行った<ref name="fontani"/>。彼らはいくつかの弱い輝線を観測し、それを原子番号87の元素であると推定した。フルベイおよびコショワはこの発見を報告し、彼らが仕事をしていたルーマニアの行政区からその名前を ''moldavium''、原子記号を Ml と提唱した<ref name="vanderkroft"/>。1937年、フルベイの仕事は、フルベイの研究手法を拒絶した[[アメリカ合衆国]]の[[物理学者]] F. H. Hirsh Jr. によって批判された。Hirsh はエカ-セシウムは自然界には存在しないと確信しており、フルベイは[[水銀]]もしくは[[ビスマス]]のX線の輝線を見たのであろうとした。しかしフルベイは、彼のX線装置と手法はそのような取り違いをするにはあまりに精密であると主張した。このため、[[ノーベル物理学賞]]受賞者でありフルベイの師である[[ジャン・ペラン]]は、[[マルグリット・ペレー]]が発見した ''francium'' よりも、エカ-セシウムとしての ''moldavium'' を支持した。しかし、ペレーは、彼女が原子番号87の元素のただ一人の発見者であると信じられるまで、フルベイの仕事を批判し続けた<ref name="fontani"/>。
 
=== ペレーの分析 ===
フランシウムは、[[マルグリット・ペレー]] (M. Perey) が[[フランス]]の[[パリ]]にある{{仮リンク|[[キュリー研究所 (パリ)|en|Curie Institute (Paris)}}キュリー研究所]]において[[1939年]]に発見した。彼女が <sup>227</sup>Ac のサンプルを精製した際、220 k[[電子ボルト|eV]]の崩壊エネルギーがあることが報告された。しかし、彼女は80 keV以下のエネルギー準位の崩壊素粒子に着目した。彼女は、このサンプルの崩壊は、精製しきれなかった未確認の崩壊生成物に起因するのかもしれないと考えたが、再び純粋な <sup>227</sup>Ac を用いて試験を行っても同一の結果となった。様々な試験の結果、この未知の物質が[[トリウム]]、[[ラジウム]]、[[鉛]]、[[ビスマス]]、[[タリウム]]である可能性が消去された。この新しい生成物は、セシウム塩と共沈するようなアルカリ金属の化学的性質を示し、<sup>227</sup>Ac の[[アルファ崩壊]]によって生成した、原子番号87の元素であるとペレーは信じた<ref name="chemeducator" />。ペレーはその後、<sup>227</sup>Ac のアルファ崩壊と[[ベータ崩壊]]の割合の測定を試みた。彼女の初めの試験では、アルファ崩壊への分岐は0.6 %であり、その後彼女はその数字を1 %に修正した<ref name="mcgraw">{{citation| contribution = Francium| year = 2002| title = [[McGraw-Hill Encyclopedia of Science & Technology]]| volume = 7| pages = 493–494| publisher = McGraw-Hill Professional|isbn = 0-07-913665-6}}</ref>。
 
ペレーは新しい同位体元素をアクチニウム-K(現在は<sup>223</sup>Frとして知られる)と命名した<ref name="chemeducator" />。そして、1946年に、彼女は新しく発見された元素の名前を ''catium'' とするよう提案した。これは、彼女がこの元素が全ての元素の中で最も電気陽性 (cation) であると考えていたためである。ペレーの監督者の一人である[[イレーヌ・ジョリオ=キュリー]]は、''cation'' よりむしろ ''cat'' の含意のためにその名称に反対した<ref name="chemeducator"/>。ペレーはその後、フランスにちなんだフランシウムという名前を提案した。フランシウムという名称は1949年に[[国際純正・応用化学連合]]によって公式に採用され<ref name="andyscouse" />、[[ガリウム]]に次いで2つ目のフランスにちなんで名づけられた元素となった。フランシウムは初め、元素記号 Fa を割り当てられたが、その後まもなく Fr に修正された<ref name="hackh">{{citation| last = Grant| first = Julius| contribution = Francium| year = 1969| title = Hackh's Chemical Dictionary| pages = 279–280| publisher = McGraw-Hill| isbn = 0-07-024067-1}}</ref>。フランシウムは1925年に発見された[[レニウム]]に続いて発見された、自然界で発見された最後の元素であり、その後発見された元素は全て合成されたものである<ref name="chemeducator" />。フランシウムの構造に関する更なる研究は、1970年代から1980年代にかけて、Sylvain Liebermanおよび彼のチームによって[[欧州原子核研究機構]]において行われた<ref>{{citeCite web|title = History|work = Francium|publisher = [[State University of New York at Stony Brook]]|date = 2007-02-20|url = http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/history.HTM|accessdate = 2007-03-26|archiveurl = https://archive.is/19990203121919/http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/history.HTM|archivedate = 1999-02-03|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}</ref>。
 
== 特徴 ==
フランシウムは自然に産出する元素の中で最も不安定な元素である。最も長い半減期を持つフランシウム223でも半減期が22分しかないため、秤量可能な量の単体金属及び化合物として取り出すことがほとんどできない。よってフランシウムの化学的、物理的性質は実験結果として求められた実際の数値は少なく、理論的な推定値が大半を占める。対照的に、自然に産出する元素の中で2番目に不安定な元素であるアスタチンの最大の半減期は8.5時間である<ref name="andyscouse">{{cite web| last = Price| first = Andy| title = Francium| date = 2004-12-20| url = http://www.andyscouse.com/pages/francium.htm| accessdate = 2007-03-25}}</ref>。フランシウムの全ての同位体は崩壊してアスタチン、ラジウムもしくはラドンとなる<ref name="andyscouse"/>。<sup>215m</sup>Frは半減期がわずか3.5ナノ秒しかなく、原子番号105([[ドブニウム]])までの合成された元素の内、最も不安定なものである<ref name="CRC2006">{{citation|year =2006 |title = CRC Handbook of Chemistry and Physics |volume = 4|page= 12|publisher = CRC|isbn= 0-8493-0474-1}}</ref>。単体は銀白色の金属と推定されている。また、フランシウムは高度に[[放射性]]である。
 
フランシウムは、化学的性質の大部分が[[セシウム]]に似たアルカリ金属元素である<ref name="CRC2006"/>。1個の[[価電子]]を持つとても重い元素であり<ref>{{cite web| last = Winter| first = Mark| title = Electron Configuration| work = Francium| publisher = The University of Sheffield| url = http://www.webelements.com/webelements/elements/text/Fr/eneg.html| accessdate = 2007-04-18}}</ref>、[[化学当量|元素の当量]]は最も大きい<ref name="CRC2006" />。もし体の金属フランシウムが作られたならば、その融点において[[表面張力]]はおそらく0.05092 [[ニュートン (単位)|N]]/mである<ref>{{citation|last = Kozhitov| first = L. V.| coauthors = Kol'tsov, V. B.; Kol'tsov, A. V.| title = Evaluation of the Surface Tension of Liquid Francium|journal = Inorganic Materials| volume = 39| issue = 11|pages = 1138–1141| year = 2003|doi = 10.1023/A:1027389223381}}</ref>。フランシウムの融点は計算上およそ27 {{℃}}付近になると主張推定されている<ref name="losalamos">{{cite web| title = Francium| publisher = Los Alamos National Laboratory|date = 2003-12-15| url = http://periodic.lanl.gov/elements/87.html|accessdate = 2007-03-29}}</ref>。しかし、融点はフランシウム元素の非常な希さと放射性のためはっきりと確認されておらず、主張及び推定の域にとどまっていないこのよう同様に、推定された677 {{℃}}という沸点もまた未確認である。放射性元素は放熱するため、その熱によって金属フランシウムはほぼ間違いなく液体であると考えられている。
 
[[ライナス・ポーリング]]は、フランシウムの[[電気陰性度]]を、その値が正しいとするような実験データはないものの、セシウムのもつ0.79という[[電気陰性度#ポーリングの電気陰性度(1932年)|ポーリング・スケール]]からポーリング・スケールで0.7と推測した<ref>{{citation| last = Pauling| first = Linus| title = The Nature of the Chemical Bond (3rd Edn.)| authorlink = Linus Pauling| publisher = Cornell University Press| year = 1960| pages = 93}}</ref><ref>{{citation|author= Allred, A. L. |year= 1961 |journal= J. Inorg. Nucl. Chem.|volume= 17 |issue= 3–4 |pages= 215–221 |title= Electronegativity values from thermochemical data |doi= 10.1016/0022-1902(61)80142-5}}</ref>。フランシウムの[[イオン化エネルギー]]は[[不活性電子対効果]]より想定されるように、セシウムの375.7041(2) k[[ジュール|J]]/molよりわずかに高い392.811(4) kJ/molであり<ref>{{citation|author = Andreev, S.V.; Letokhov, V.S.; Mishin, V.I.,|title = Laser resonance photoionization spectroscopy of Rydberg levels in Fr|journal = [[Physical Review Letters]]|year = 1987|volume = 59|pages = 1274–76|doi = 10.1103/PhysRevLett.59.1274|pmid=10035190|bibcode=1987PhRvL..59.1274A}}</ref>、これはセシウムがフランシウムよりも電気陰性度が低いことを示唆している。
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== 用途 ==
フランシウムの不安定さと希少性ゆえに、市販されたとしても用途はなく<ref>{{cite web| last = Winter| first = Mark| title = Uses| work = Francium| publisher = The University of Sheffield|url = http://www.webelements.com/webelements/elements/text/Fr/uses.html| accessdate = 2007-03-25}}</ref><ref name="s">{{cite web| last = Bentor| first = Yinon| title = Chemical Element.com - Francium| url = http://www.chemicalelements.com/elements/fr.html| accessdate = 2007-03-25}}</ref><ref name="nbb">{{citation| last = Emsley|url=httphttps://books.google.comco.jp/books?id=Yhi5X7OwuGkC&pg=PA151&redir_esc=y&hl=ja| first = John| title = Nature's Building Blocks| publisher = Oxford University Press| year = 2001| ___location = Oxford| pages = 151–153| isbn = 0-19-850341-5}}</ref><ref name="elemental">{{cite web| last = Gagnon| first = Steve| title = Francium| publisher = Jefferson Science Associates, LLC| url = http://education.jlab.org/itselemental/ele087.html| accessdate = 2007-04-01}}</ref><ref name="nostrand332">{{citation|year = 2005|title= Chemical Elements, in Van Nostrand's Encyclopedia of Chemistry|editor-last = Considine| editor-first = Glenn D.|page=332|___location= New York| publisher = Wiley-Interscience| isbn = 0-471-61525-0}}</ref>、生物学<ref name='bio'>{{citation| last = Haverlock|first = TJ|pmid = 12553788|doi= 10.1021/ja0255251|title = Selectivity of calix[4]arene-bis(benzocrown-6) in the complexation and transport of francium ion|journal = J Am Chem Soc|year = 2003|volume=125|pages=1126–7| last2 = Mirzadeh| first2 = S| last3 = Moyer| first3 = BA| issue = 5}}</ref>および原子構造の分野における研究目的で用いられるのみである。かつてさまざまな[[がん]]の潜在的な診断補助の用途も検討された<ref name="andyscouse" />が、この用途においても実用的でないとみなされた<ref name="nbb" />。
 
合成、捕集、冷却されたフランシウムの比較的単純な原子構造を専門的な[[分光学]]実験の対象に利用され、これらの実験により原子を構成する[[素粒子]]同士の[[結合定数 (物理学)|結合定数]]や[[エネルギー準位]]に関する情報の特定につながった<ref>{{citation| last = Gomez| first = E| coauthors = Orozco, L A, and Sprouse, G D| title = Spectroscopy with trapped francium: advances and perspectives for weak interaction studies| journal = Rep. Prog. Phys.| volume = 69| issue = 1| pages = 79–118| date = 2005-11-07|doi = 10.1088/0034-4885/69/1/R02}}</ref>。[[光ピンセット|レーザートラッピング]]された <sup>210</sup>Fr イオン による発光の研究は、[[量子力学]]によって予測された値と非常に類似した、原子エネルギー準位間の遷移の正確なデータを与えた<ref>{{citation|last = Peterson|first = I|title = Creating, cooling, trapping francium atoms|page= 294|journal= Science News|date = 1996-05-11|url = http://www.sciencenews.org/pages/pdfs/data/1996/149-19/14919-06.pdf|accessdate = 2009-09-11|volume=149|issue=19}}</ref>。
 
== 存在 ==
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<sup>223</sup>Fr は、<sup>227</sup>Ac のアルファ崩壊によって生産されるため、[[ウラン]]および[[トリウム]][[鉱石]]中に痕跡量存在している<ref name="CRC2006" />。ウランのサンプル中には、ウラン原子1 × 10<sup>18</sup>個中に1個のフランシウム原子が存在していると推定される<ref name="nbb" />。また、[[地殻]]中には常に多くても30 gのフランシウムが存在していると算出されている<ref>{{cite web|last = Winter|first = Mark|title = Geological information|work = Francium|publisher = The University of Sheffield|url = http://www.webelements.com/webelements/elements/text/Fr/geol.html|accessdate = 2007-03-26}}</ref>。フランシウムは、地殻中において[[アスタチン]]に次いで2番目に存在量の少ない元素である<ref name="andyscouse" /><ref name="nbb" />([[地殻中の元素の存在度]]も参照)。
 
=== 合成 ===
フランシウムは[[核反応]]によって合成することができる。
: <mathchem>\mathrm{^{197}_{\ 79}Au{} +\ {}^{18}_{\_8 8}O \longrightarrow\-> {}^{210}_{\ 87}Fr{} + 5\ ^{1}_{0}\mathit{n}</mathchem>
このプロセスは[[ニューヨーク州立大学ストーニブルック校]]物理学科によって開発され、209、210、211のフランシウムの同位体を生じさせる<ref name="sbproduction">{{citeCite web| title = Production of Francium| work = Francium| publisher = [[State University of New York at Stony Brook]]| date = 2007-02-20| url = http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/production.HTM| accessdate = 2007-03-26| archiveurl = https://archive.is/20071012010344/http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/production.HTM| archivedate = 2007-10-12| url-status=dead|url-status-date=2017-09}}</ref>。これらは[[磁気光学効果|磁気光学トラップ]] (MOT) によって分離される<ref name="sbtrapping">{{citeCite web| title = Cooling and Trapping| work = Francium| publisher = [[State University of New York at Stony Brook]]| date = 2007-02-20| url = http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/trapping.HTM| accessdate = 2007-05-01| archiveurl = https://archive.is/20071122170110/http://fr.physics.sunysb.edu/francium_news/trapping.HTM| archivedate = 2007-11-22| url-status=dead|url-status-date=2017-09}}</ref>。特定の同位体の生産率は酸素ビームのエネルギーに依存する。ニューヨーク州立大学ストーニブルック校の電子・陽電子線形加速器 (LINAC) から放たれた <sup>18</sup>O ビームは、[[金]]のターゲットにおける核反応によって <sup>210</sup>Fr を合成する。この生産は、理解と発展にいくらかの時間を要した。金のターゲットを融点の非常に近くまで操作し、その表面が非常に清浄であることを確認することが重要であった。核反応は、フランシウム原子を金のターゲットの奥深くに埋め込み、それを効率的に除去しなければならなかった。その原子は金のターゲットの表面を素早く拡散し、イオンとして放出されるが、毎回起こるわけではない。フランシウムイオンは静電レンズによって誘導され、熱された[[イットリウム]]上に誘導され、再び電気的に中性となる。その後、フランシウムはガラス球に噴射注入される。磁場とレーザービームによって冷却され、ガラス球中に留められる。とはいえ、元素を留めておくことができるのはフランシウム原子が逃げるか崩壊する前のわずか20秒ほどだけであり、新しい原子の規則的な流れが失われた原子と入れ替わを置き換えることで、数分以上の間一定数の原子の数を保持されつことができる。まず当初の実験においてじめに、およそ1,000個のフランシウム原子が実験においてトラップされた。この方法は徐々に改善され、単位時間ごと一度に300,000を超える中性のフランシウム原子をトラップできるだけの能力に改善された<ref name=chemnews>{{citation|url=http://pubs.acs.org/cen/80th/francium.html|title=Francium|journal=Chemical and Engineering News|year=2003|author=Luis A. Orozco }}</ref>。これらは中性な金属原子(フランシウム金属)であるとされているものの、結合していないバラバラな気体状態になっている。フランシウム原子によって放たれる光を蛍光として[[ビデオカメラ]]で捕らえることができるのに十分な量のフランシウムがトラップされた。原子は直径1ミリメートルの赤熱した球として現れ。これは人類がフランシウムを見た最初の瞬間であった。研究者は、トラップされた原子による発光と吸収を測定するための非常に敏感な測定器を作り、フランシウムにおける原子エネルギー準位間のさまざまな遷移に関する初めての実験結果を得た。始めの測定結果は、量子論に基実験計算値との間で非常に良い一致を示した。他の合成方法は、ラジウムを[[中性子]]で攻撃する、トリウムを[[陽子]]、[[重陽子]]もしくは[[ヘリウム]]イオンで攻撃する方法が含まれる<ref name="mcgraw">{{citation| contribution = Francium| year = 2002| title = [[McGraw-Hill Encyclopedia of Science & Technology]]| volume = 7| pages = 493–494| publisher = McGraw-Hill Professional|isbn = 0-07-913665-6}}</ref>。フランシウムは2009、2012年現在まだ十分に多くの重量は合成されていない<ref name="andyscouse" /><ref name="CRC2006" /><ref name="losalamos">{{cite web| title = Francium| publisher = Los Alamos National Laboratory|date = 2003-12-15| url = http://periodic.lanl.gov/elements/87.html|accessdate = 2007-03-29}}</ref><ref name="nbb" />。
 
== 同位体 ==
{{main|フランシウムの同位体}}
フランシウムは34の同位体が知られており、その質量範囲はフランシウム199からフランシウム232までである<ref name="CRC2006-2">{{citation|year = 2006 |title = CRC Handbook of Chemistry and Physics |editor-last = Lide |editor-first = David R. |volume = 11 |pages = 180–181 |publisher = CRC |isbn=0-8493-0487-3}}</ref>。フランシウムは7つの準安定核同位体を有している<ref name="CRC2006-2" />。安定同位体は存在せず、非常に不安定な元素である。<sup>223</sup>Fr および <sup>221</sup>Fr のみが自然に存在する同位体であり、前者の方がはるかに一般的である<ref name="nostrand679">{{citation|year = 2005|title= Francium, in Van Nostrand's Encyclopedia of Chemistry|editor-last = Considine| editor-first = Glenn D.| page= 679|___location= New York| publisher = Wiley-Interscience| isbn = 0-471-61525-0}}</ref>。
 
半減期21.8分の <sup>223</sup>Fr が最も安定であり<ref name="CRC2006-2" />、これまでに発見および合成されたフランシウムの同位体で、これより長い半減期を持つものは非常にありそうにない<ref name="mcgraw" />。<sup>223</sup>Fr は[[アクチニウム系列]]における5番目の生成元素であり、その後大部分はベータ崩壊によって1149 keVの崩壊エネルギーとともに <sup>223</sup>Ra へと崩壊し、0.006 %はアルファ崩壊の経路によって5.4 MeVの崩壊熱と共に <sup>219</sup>At へと崩壊する<ref>{{citeCite web |author=National Nuclear Data Center |year=1990 |title=Table of Isotopes decay data |url=http://ie.lbl.gov/toi/nuclide.asp?iZA=870223 |publisher=[[Brookhaven National Laboratory]] |accessdate=2007-04-04 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061031212436/http://ie.lbl.gov/toi/nuclide.asp?iZA=870223 |archivedate=2006-10-31 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>
 
<sup>221</sup>Fr は4.8分の半減期を有している<ref name="CRC2006-2" />。それは[[ネプツニウム系列]]の9番目の生成元素であり、<sup>225</sup>Ac の娘核種である<ref name="nostrand332" />。<sup>221</sup>Fr はα崩壊によって6.457 MeVの崩壊熱と共に <sup>217</sup>At  へと崩壊する<ref name="CRC2006-2" />
 
最も不安定な[[基底状態]]の同位元素は <sup>221</sup>Fr であり、0.12マイクロ秒の半減期を有し、9.54 MeVの崩壊熱と共に <sup>211</sup>At へと崩壊する<ref name="CRC2006-2" />。準安定状態の[[核異性体]]である <sup>215m</sup>Fr はさらに不安定であり、その半減期はわずか3.5ナノ秒である<ref name="NNDClist">{{citeCite web |author=National Nuclear Data Center |year=2003 |title=Fr Isotopes |url=http://ie.lbl.gov/education/parent/Fr_iso.htm |publisher=[[Brookhaven National Laboratory]] |accessdate=2007-04-04 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070630041029/http://ie.lbl.gov/education/parent/Fr_iso.htm |archivedate=2007-06-30 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>。
 
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