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{{暴力的}}
{{Otheruses|行動の一つ|テレビやラジオの編成上の都合による打ち切り|飛び降り (放送)}}
{{複数の問題|出典の明記=2007年12月|独自研究=2021年3月}}
{{Medical}}
<!--飛び降り (放送)、飛び乗り (放送)、飛び乗り は削除されています-->
{{出典の明記|date=2007年12月}}
'''飛び降り'''(とびおり)は、広義には「[[高い]]ところから低いところへ飛び移る」行動全般を指し、転じて「[[放送ネットワーク]]による[[放送番組]]のネット受けを時間など<!--例:選挙特番で内容進行に応じてローカルを入れること-->で打ち切ること」などの意味もあるが、多くは[[人間]]が高所から[[落下]]すること、その中でも落下を利用した[[自殺]]方法に限定して「飛び降り」と呼ぶ場合が多い。本稿では、この「'''飛び降り自殺'''」に関連する事項について述べる。
[[ファイル:Jumper (suicide) in Dallas.jpg|thumb|300px|[[ダラス]]で飛び降りを逡巡する女と説得する警察官。飛び降りの決行には非常な恐怖が伴い、しばしばこのような逡巡が起こる。]]
'''飛び降り'''(とびおり)は、人間がとる行動のひとつ。広義には「高いところから低いところへ飛び移る」行動全般を指すが、その中でも高所から落下することを利用した[[自殺]]の方法のことに限定して「飛び降り」と呼ぶ場合が多い。本稿では、この「'''飛び降り自殺'''」に関連する事項について述べる。
 
== 方法・概要 ==
{{Anchors|方法・概要}}
ビルやマンションといった高層建造物からの飛び降りが代表的な方法であり、他にも断崖の上や[[歩道橋]]の上、果ては飛んでいる飛行機の上まで、高いところ全般が対象となる。特に道具などの準備は必要とされず、十分な高さを取れば失敗する確率も割合低いということもあり<ref>9階から転落したにも拘らず致命傷に至らなかった[[窪塚洋介]]の例もある</ref>、自殺の代表的な方法のひとつとして用いられる。こういった飛び降りの対象となる場所の中には、特定箇所で飛び降り自殺が相次ぎ、「[[自殺の名所]]」として有名な場所もある([[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[サンフランシスコ]]の[[ゴールデンゲートブリッジ]]、日本・東京都[[板橋区]][[高島平]]の高層アパート、[[天ヶ瀬ダム]](ただし、高島平・天ヶ瀬ダムではすでに自殺予防対策が実施されている)など。
高所より飛び降りることで位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、自身の身体を地面あるいは水面に高エネルギーで衝突させることにより破壊し命を絶つ手法である。
 
[[オフィスビル|ビル]]や[[マンション]]といった[[高層建築物]]からの飛び降りが代表的な方法であり、他にも[[橋]]や[[横断歩道橋|歩道橋]]の上から、[[断崖]]から、果ては飛んでいる[[飛行機]]からといった高さのある場所全般が対象となる。特に道具などの準備は必要とされず、十分な高さを取れば失敗する確率も割合低いということもあり{{Efn2|[[事故]]で9階から転落したが一命を取り留めた、[[窪塚洋介]]の例はある。}}、[[自殺]]の代表的な方法の一つとして用いられる。
飛び降りる高さが高いほど地面への激突する速度が高くなり、落下中にバランスを崩し回転しながら激突するなど、致死率は確実に高くなる。最高速度で舗装道路などに激突すれば、死体を地面からはがすようにして回収しなければならない場合もあるという。下に植え込みや[[雪]]が積もっていた場合などは衝撃が幾分やわらげられて生還する可能性も高まる。ただし生還した場合でも[[打撲|全身打撲]]による[[骨折]]、内臓破裂、[[脳挫傷]]などを負っていることが多く、重傷でも緊急手術で救助される場合もあるが、重度の障害を負う場合が多い。
 
飛び降りる高さが高いほど地面に衝突する速度が速くなり、落下中にバランスを崩し回転しながら衝突するなど、致死率は確実に高くなる。例えば、10 m(ビルの3階相当)の高さから落下すると着地時の速度は50 km/hほどである。このような高速で舗装道路に衝突すれば身体にかなりの衝撃を受け絶命する、もしくは生還しても重傷を負うことになる。また、より高速で衝突すれば死体を地面から剥がすようにして回収しなければならない場合もあるという。落下地点に植え込みがあったり[[雪]]が積もっていたりした場合には、衝撃が幾分緩和され生還する可能性も高まる。ただし生還した場合でも[[打撲|全身打撲]]による[[骨折]]、内臓破裂、[[脳挫傷]]等を負っていることが多く、重傷でも緊急手術で救命される場合もあるが重度の障害を負う場合が多い。落下時には[[ジェットコースター]]に匹敵する浮遊感を感じる。
着地点が地面の場合45メートル以上(ビルの12階相当)、水面の場合75メートル以上からの落下であれば確実に死に至る(生還例がほぼない)とされる。しかし一方で、実際に飛び降りを図った者の大半はこれよりもかなり低いところから飛び降りているという統計もあり、自殺を志願しながらも本能的に一応の「躊躇」をしていることが窺える。
 
:逆に落下点が地面の場合は高さ45メートル m以上、水面地点から飛び降りて助かっ場合は75 m以上であれば生還例がほぼないめ、確実に死に至るとされる。しかし、極稀な生還例としては、[[2007年]]に[[アメリカ合衆国]]の[[ニューヨーク]]にて窓の清掃員がビルの47階(約150 m)からたにもかかわらず助かった例やまた[[2010年]][[8月31日]]に同じニューヨークにて22歳男性が39階建アパートの屋上(地上120メートル) m)から22歳の男性が飛び降りたものの、駐車中の車の後部ガラスを突き破って座席の上に落ち、両足骨折で助かったという例がある<ref>{{Cite Wayback|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100902-OYT1T00345.htm |title=39階から飛び降り…奇跡!両足骨折で助かった - 読売新聞 |date=20100904031453}}</ref>。
|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100902-OYT1T00345.htm
|title=39階から飛び降り…奇跡!両足骨折で助かった
|work=YOMIURI ONLINE
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|date=2010-09-02
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}}</ref>。
 
落下の恐怖心が何らかの理由で麻痺した状態では、飛び降りるという行為と死の結果が結びつけられなくなっていることもあるという。
落下の恐怖心がなんらかの理由で麻痺した状態では、飛び降りるという行為と死の結果が結びつけられなくなっていることもあるという。また、死ぬのではなく「楽になる」<ref>倉嶋 厚「やまない雨はない―妻の死、うつ病、それから… 」文春文庫</ref>という思考で、その価値の比較も生と死ではなく、楽と苦の比較へと置き換わっている場合すらあり、その結果として飛び降りに至る場合もあるという。また、低い所からの飛び降り自殺を繰り返す自殺未遂者が、精神的な治療が成功せずに徐々に飛び降りる高さが高くなるケースもあるという。日本における10代の自殺の方法のうち、首つりについで頻度の高い方法となっている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/6.html 厚生労働省 統計 手段別にみた自殺]</ref>。
<br/>[[厚生労働省]]のデータ(外部リンク参照)によれば、自殺者が選ぶ自殺の手段における飛び降り自殺の割合は、男性で全体の7.1%で第3位、女性で全体の12.8%で第2位([[2003年]]度)となっている。また地域別の自殺手段における飛び降り自殺の割合を見ると、高い建造物の多い都市部で圧倒的に高い。
 
日本における10代の自殺の方法のうち、首吊りに次いで頻度の高い方法となっている<ref>[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/6.html 厚生労働省 統計 手段別にみた自殺]</ref>。
=== 巻き込まれ事故 ===
また、ビルやマンションなどの飛び降り自殺の場合、下に偶然歩いている歩行者などに直撃した例があり、最悪の場合には「死ぬつもりで飛び降りた人が生き残り、直撃を受けたまったく無関係の人が亡くなる」といった非常に[[不条理]]な事例もある。{{要出典範囲|飛び降り自殺をした人の遺族が、自殺に巻き込まれ死亡した人の遺族に[[損害賠償|賠償請求訴訟]]を起こされ、高額の賠償金を支払うことになったケースも存在する|date=2009年12月}}一部にはわざと巻き込んだ、または巻き込みの可能性が高いことを認識していたのではないかと推測される場合も有り、複雑な心境が窺える。
<br/>ビルの管理者が屋上への出入り口の施錠を徹底管理し、監視カメラ、赤外線センサーなどを利用することで屋上への侵入者を完全にシャットアウトすることで巻き込まれ事故を防止することは可能である。また建物の階下に転落衝撃吸収の網を張ることで、第三者が事故に巻き込まれる可能性を軽減することが可能である。
 
[[厚生労働省]]のデータ(外部リンク参照)によれば、自殺者が選ぶ自殺の手段における飛び降りの割合は、男性で全体の7.1 %で第3位、女性で全体の12.8 %で第2位([[2003年]]度)となっている。また地域別の自殺手段における飛び降り自殺の割合を見ると、高い建造物の多い都市部で圧倒的に高い。
==== 巻き込まれ事故の例 ====
過去において再三巻き込まれ事故は起きている。以下では巻き添えで双方が死亡した例を列挙する。
*1954年9月13日 東京都東京都中央区日本橋の[[白木屋デパート]](現[[コレド日本橋]])屋上から主婦(27)が飛び降り、真下で営業していた[[宝くじ]]売りの女性(53)を直撃した。飛び降りた主婦と女性はまもなく死亡した。
*1962年11月25日 東京都中央区の[[そごう]]有楽町店(現[[ビックカメラ]]有楽町店)屋上から埼玉県在住で自殺未遂を繰り返していた少年(18)が飛び降り、路上を歩いていた女性(43)を直撃した。飛び降りた少年と女性はまもなく死亡した。
*2004年8月8日 兵庫県西宮市の市営住宅(12階建て)の非常階段から同住宅在住の無職男(30)が飛び降り、歩道付近で友人と雑談していた県立高校定時制の男子生徒(20)を直撃した。飛び降りた男は全身打撲でまもなく死亡。男子生徒も1時間半後に病院で死亡が確認された。
*2004年12月31日 東京都武蔵村山市の団地において、埼玉県在住で同団地に帰省中だった無職女(42)が、12階通路の側壁を乗り越えて飛び降り、同団地に住む男性(54)を直撃した。飛び降りた女と男性はまもなく死亡した。
*2007年11月6日 東京都豊島区の「[[パルコ|池袋PARCO]]」(8階建て)の屋上から無職女(25)が飛び降り、千葉県在住の男性会社員(38)を直撃した。飛び降りた女は死亡。男性は重体に陥り、その後11月10日に死亡した。警視庁池袋署は飛び降りた女を[[業務上過失致死#重過失致死傷罪|重過失致死]]容疑で被疑者死亡のまま書類送検した。
 
== 清水の舞台から「飛び降り」 ==
 
 
以下は巻き添えをうけながら、被害者は死亡には至らなかった例を列挙する。
*2000年5月30日 東京都新宿区の[[京王百貨店]]新宿店(8階建て)の屋上から男が飛び降り、下を歩いていた東京都在住の男性会社員(27)を直撃した。飛び降りた男は死亡。男性は首や肩に重傷を負った。
*2006年7月12日 東京都渋谷区の[[タカシマヤタイムズスクエア]](14階建て)の13階テラスの3mの柵を乗り越えて50代の男が飛び降り、2階デッキの休憩所に落下。ベンチに座っていた男性(45)を直撃した。飛び降りた男は死亡し、男性は左足を骨折する重傷。また付近にいた男性(27)と女性(26)が衝撃で飛んできたひさしの破片に当たり、軽傷を負った。
*2006年10月11日 東京都調布市の[[電気通信大学]]総合研究棟の9階と10階の間の非常階段踊り場から同市在住の無職女(55)が飛び降り、下を歩いていた同大2年の女子学生(20)を直撃した。飛び降りた女は死亡、女子大生は頭蓋骨骨折および全身打撲の重傷を負った。
*2007年4月27日 東京都台東区の[[丸井|マルイシティ上野]](9階建て)の屋上から20代の女が飛び降り、東京都荒川区在住の無職男性(60)を直撃した。飛び降りた女は死亡。男性は肩を脱臼し打撲を負ったが命に別状は無かった。
*2008年3月26日 東京都立川市のマンション(14階建て)から、無職男(56)が飛び降り、歩道を自転車で走っていた同市内の女性(46)を直撃した。飛び降りた男は死亡、女性は大腿骨を折る大けがを負った。
 
==清水の舞台から「飛び降り」る==
[[画像:Kiyomizu-dera in Kyoto.jpg|thumbnail|240px|清水の舞台]]
[[京都府]][[京都市]][[東山区]]清水の[[清水寺]]にまつわる有名な慣用句であるが、その由来は[[江戸時代]]に庶民に広まった[[民間信仰]]にある。これは、同寺に祀られる[[千手観音|観音様]]に自らの命を預けて「清水の舞台から飛び降り」、もし助かれば願い事が叶い、またたとえ死んだとしても[[成仏]]し観音様の元へ行ける、というものである
 
清水寺が独自に行った調査では、清水寺[[塔頭]]の成就院が記録した文書成就院日記の中に、[[1694年]]([[元禄]]7年)から幕末の[[1864年]]([[元治]]元年)までの間に取られた148年分<!--途中紛失があるらしい-->の記録中、未遂も含め234件の「飛び降り」の記録が残っているという。これには件数だけでなく生死の状況など詳細な統計も残っており、そこから「生存率」を計算したところ85.4 %というかなり高い数字で、10~20代に限れば90 %を超え、年齢なったともに低下していく(ちなみに舞台から地面までは13メートル mの高さ)。下は12歳から上は80歳代まで老若男女が飛び降りを図っており、彼等は[[東北地方]]から[[四国]]までの全国から「飛び降り」にやって来ていたようである。相次ぐ飛び降りを近隣住民は快く思うはずもなく、対策を同院に嘆願していたという記録も残っており、[[1872年]](明治5年)にによる飛び降り禁止令によってを出し、ようやく収束している。
 
現代においても禁止されているが、[[1995年]]2月に[[阪神・淡路大震災]]で被災した80歳代の男性が、そして[[2006年]][[5月15日]]には30~40歳代と見られる男性がそれぞれ清水の舞台から飛び降り、いずれも死亡している。一方で、2009年9月30日には、18歳の男子大学生が自殺を図って飛び降りたものの、一命を取り留めた。
 
== 火事場からの「飛び降り」 ==
高層建造物等における[[火災]]の際に、建物の中にいた人が高階から飛び降りるという現象が見られる。この場合の飛び降りは死を望んでの自殺行動ではなく、炎や煙、内装の倒壊などで逃げ場を失ったことに伴って、死にたくない一心から「最終手段」として取った行動と考えられ、非常時の行動心理としては十分に理解しうるものである。
 
このような行動を「取らされる」要因としては、火災の熱によって建物周辺の大気が熱せられたことや煙による呼吸困難の苦しさから逃げようとした人が、極度の緊張状態において窓から下を覗いたときに、地面が実際よりも比較的近くに見え、「飛び降りても大丈夫かもしれない」と錯覚してしまう(言わば地面の[[蜃気楼]]を見ている)ことが考えられている。これは、緊張から来る視覚の収斂効果により、地面や他の建物の屋上などが実際より近く感じられる錯覚による物であり、これに、わずかな望みにでもすがりたいという希望的観測が加わり、思い切って飛び降りを選択してしまうものと思われる。
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日本の戦後史上最悪の建造物火災として知られる、[[1972年]][[5月13日]]に[[大阪府]][[大阪市]]南区(現在の[[中央区 (大阪市)|中央区]])[[千日前]]で起きた[[千日デパート火災]](7階建てで3階から出火)では、犠牲者118名中、飛び降りによる死者が22名。また[[1982年]][[2月8日]]に[[東京都]][[千代田区]]で起きた[[ホテルニュージャパン火災]](火災が起きたのは建物の9、10階)の際には、犠牲者33名中、飛び降りによる死者が13名と実に3分の1以上に上っている。
 
[[2001年]][[9月11日]]の[[アメリカ同時多発テロ事件|アメリカ同時多発テロ]]の際は、飛行機の突入による[[ワールドトレードセンター (ニューヨーク世界貿易センタービル) |世界貿易センタービル]]の火災で、燃焼部分より上にいた人の中に、飛び降りを行った人が多数200人程いた。[[消防士]]や救急隊員、避難者の一部のうち、落ちてきた人に直撃されて命を落とした者も少なくはな
 
== 動物の「飛び降り」 ==
[[動物]]がとる異常行動のひとつとして飛び降りをすることがあり、世界中で報告されている。近いところでは[[2005年]]7月に、[[トルコ]]のとある地区で放牧をしていた羊1,500頭あまりが次々と崖から身を投げ450頭以上が死ぬ、という事件が発生している。この異常な行動に対しては諸説あり未だ解明に至っていないが、自殺ではなく単なる集団移動の結果に生じる「集団事故死」とする見方が有力である。
 
== 交通機関からの「飛び降り」 ==
{{see also|鉄道人身障害事故}}
[[鉄道]]の[[プラットホーム]]から線路上に飛び降りる行為が自殺目的で行われ「飛び降り」とされることがある。しかしホーム上から路盤への落差は通常低く、むしろ列車への「飛び込み」とも呼べるものであろう。また、運行中の[[入水|船舶から飛び降りる]]例もあり、スクリューに巻き込まれて即死することがある。
 
これらのほか更に[[跨線橋]]や駅舎から、さらには[[高速道路]]等の[[跨道橋]]から、逆に高架橋や橋梁から飛び降りる例もある。高速道路や[[線路 (鉄道)|線路]]への飛び降りは、同落差の通常の建物から飛び降りるよりも危険性が高く、また関係する交通機関への損害や悪影響も大きい。
 
自殺目的以外では、無賃乗車や隣接ホームへの移動を目的にホームから線路上へ飛び降り、列車に轢かれた事故例もある。
 
また、走行中の鉄道車両やバスからの飛び降りは、自殺目的の例もしばしばあるが、駅・停留所以外からの降車や、完全に停車する前に早く降車するなどの目的で行われる場合が多くみられた。列車暴走事故を避けようとして飛び降りる例もあるが、高速走行中の列車からの飛び降りは[[日本の鉄道事故 (1949年以前)#信越本線横川駅 - 軽井沢駅間乗務員乗客転落事故|脱出に失敗し死亡した事故例]]が多々あるように非常に危険であり、困難な決断を迫られる
 
かつて日本の鉄道では、客用扉が走行中にも開閉可能な旧型客車や、オープンデッキの古典路面電車などで、走行中列車での[[駆け込み乗車|飛び乗り]]や飛び降りが横行していた<ref>[http://hokuso-kashiwa.com/shigo/html-shigo-032.html 「飛び降り」鉄道死語事典](文中に出典表記あり)</ref>。転落事故もあり、著名人では[[宮城道雄]]が列車から[[転落死]]している。
 
国鉄およびJRグループでは、[[国鉄20系客車|国鉄20系客車]]([[1958年]])にて全ての客用扉が走行中施錠されるようになり、[[国鉄12系客車(|12系客車]]([[1969年]])で客車として初めて自動扉が装備された。[[1990年]]には[[和田岬線]]の気動車化により定期旅客列車から旧型客車が全廃された。イベント等で走行する旧型客車にも保安要員の添乗が義務付けられており、飛び降りなどの危険行為は制止される。
 
しかし現在でも、新興国、特に高温多湿な諸国では、非冷房のバスや鉄道車両の客用扉を開放して走行する例がみられ、しばしば扉から乗客がはみ出した危険な状態で運行される。先進国の例として、従来ロンドン等で路線バスとして使用されていた[[ルートマスター]]は出入り口がオープンデッキであり、現在は動態保存目的の運行を除き引退している。[[サンフランシスコ市営鉄道|サンフランシスコ・ケーブルカー]]にも、オープンデッキの古典車両が珍しくない。
 
また、スキー場等では[[索道]]からの飛び降りも散見され、特に旧型の[[チェアリフト]]では容易に搬器からの飛び降りが可能である。しかし索道は未整備の箇所やコース外をしばしば通過し、場所により落差も大きく、コース外での滑落・遭難、雪崩の誘発、硬い凍結した圧雪面への落下や工作物との衝突など、管理者・行為者の予期せぬ事故により死亡あるいは重傷を負うことが考えられ、支柱等には飛び降り禁止の警告が表示されている<ref>スキー場の安全基準として定められている。全国スキー安全対策協議会[http://www.nikokyo.or.jp/safety-snow.com/d-6index.htmhtml 全国スキー安全対策協議会公式サイト]参照]。2018年2月12日閲覧。</ref>。また、人が搬器から落下すると、他の搬器も反動で大きく揺れ、場合によってはワイヤーが支柱から脱する場合があり、他の乗客にとっても大変危険である。
 
== 巻き込まれ事故 ==
== 飛び降りにより自ら命を絶った著名人 ==
ビルやマンションなどの飛び降り自殺の場合、下に偶然歩いている歩行者などに直撃した例があり、最悪の場合には「死ぬつもりで飛び降りた人が生き残り、直撃を受けたまったく無関係の人が亡くなる」といった非常に[[不条理]]な事例もある<ref>{{Cite news|title=【海外発!Breaking News】12歳少年、歩道橋から飛び降り 下を走っていた車の22歳ドライバー即死(米)|url=https://japan.techinsight.jp/2017/10/ac10301219.html|newspaper=Techinsight|date=2017-10-30|accessdate=2024-09-01}}</ref>。一部にはわざと巻き込んだ、または巻き込みの可能性が高いことを認識していたのではないかと推測される場合も有り、複雑な心境が窺える。また、説得に向かった市民や警官が[[転落死]]する事故も起きている<ref>{{Cite news |title= 過激な抗議行動、説得の警官が殉職|newspaper= 香港ポスト|date= 2011-6-17|url= http://www.hkpost.com.hk/index2.php?id=1689#.WDAq8FK7rIU|accessdate=2016-11-19}}</ref><ref>{{Cite news|title=制止した工事作業員も死亡 高3男子飛び降り、大阪|url=https://web.archive.org/web/20210818232104/https://nordot.app/800732990887886848?c=39546741839462401|newspaper=共同通信|date=2021-08-18|accessdate=2022-01-05}}</ref><ref>{{Cite news|title=【海外発!Breaking News】飛び降りようとする女性の足を掴んだ消防隊員、一緒に転落し死亡(中国)|url=https://japan.techinsight.jp/2021/11/ai141530.html|newspaper=Techinsight|date=2021-11-14|accessdate=2022-01-08}}</ref>。
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*[[藤村操]](学生、[[華厳滝]]から飛び降りたことで有名)
ビルの管理者が屋上への出入り口の施錠を徹底管理し、[[監視カメラ]]、赤外線センサーなどを利用することで屋上への侵入者を完全にシャットアウトすることで巻き込まれ事故を防止することは可能である。また建物の階下に転落衝撃吸収の網を張ることで、第三者が事故に巻き込まれる可能性を軽減することが可能である。
 
飛び降り自殺の現場は、発生から処理されるまでの時間、不特定多数の人々に目撃・発見されることになるが、目撃・発見者は大きなショックを受けるため、PTSD([[心的外傷後ストレス障害]])や[[強迫性障害]]などの様々な重篤な[[精神障害]]を発症する場合が多い<ref> 河西千秋 2009 『自殺予防学』 新潮選書 </ref>。前段落の身体的な巻き込まれ事故に対して、これは精神的な巻き込まれ事故である。目撃者だけではなく自殺当事者にかかわったことのある人々もその事実を伝え聞いたとき非常に大きなショックを受け、トラウマや罪責感、大きなショックなど様々な心理的苦痛に圧倒され、PTSD、[[うつ病]]、[[不安障害]]、希死念慮などの深刻な精神障害・疾患を患う場合が多い<ref>高橋祥友 2014 『自殺の危険(第三版)臨床的評価と危機介入』 231ページ 金剛出版</ref>。これは二次的な巻き込まれ事故である。
 
=== 巻き込まれ事故の例 ===
過去において再三巻き込まれ事故は起きている。以下では、[[日本]]国内において巻き添えで双方が死亡した例を列挙する。
* [[1954年]][[9月13日]] - 東京都中央区日本橋の[[白木屋デパート]](現[[コレド日本橋]])屋上から主婦(27)が飛び降り、真下で営業していた[[宝くじ]]売りの女性(53)を直撃した。飛び降りた主婦と女性はまもなく死亡した。
* [[1962年]][[11月25日]] - 東京都中央区の[[読売会館]](当時[[そごう]]有楽町店、現[[ビックカメラ]]有楽町店)屋上から埼玉県在住で自殺未遂を繰り返していた少年(18)が飛び降り、路上を歩いていた女性(43)を直撃した。飛び降りた少年と女性はまもなく死亡した。
* [[2004年]][[8月8日]] - 兵庫県西宮市の市営住宅(12階建て)の非常階段から同住宅在住の無職の男性(30)が飛び降り、歩道付近で友人と雑談していた県立高校定時制の男子生徒(20)を直撃した。飛び降りた男性は全身打撲でまもなく死亡。男子生徒も1時間半後に病院で死亡が確認された。
* [[2004年]][[12月31日]] - 東京都武蔵村山市の団地において、埼玉県在住で同団地に帰省中だった無職の女性(42)が、12階通路の側壁を乗り越えて飛び降り、同団地に住む男性(54)を直撃した。飛び降りた女性と男性はまもなく死亡した。
* [[2007年]][[11月6日]] - 東京都豊島区の「[[池袋パルコ|池袋PARCO]]」(8階建て)の屋上から無職の女性(25)が飛び降り、千葉県在住の男性会社員(38)を直撃した。飛び降りた女性は死亡。男性は重体に陥り、その後11月10日に死亡した。警視庁池袋署は飛び降りた女性を[[業務上過失致死傷罪#重過失致死傷罪|重過失致死]]容疑で被疑者死亡のまま書類送検した<ref>[https://web.archive.org/web/20080220000951/http://www.asahi.com/national/update/0217/TKY200802170211.html 自殺女性を書類送検へ 男性巻き添え死で重過失致死容疑]朝日新聞、2008年2月20日時点の[http://www.asahi.com/national/update/0217/TKY200802170211.html オリジナル]よりアーカイブ、2008年2月20日閲覧。</ref>。
* [[2020年]][[10月23日]] - 大阪市北区の「[[HEP|HEP FIVE]]」(10階建て)の屋上から大阪府内の男子高校生(17)が飛び降り、知人と現場付近を歩いていた兵庫県在住の女子大学生(19)を直撃した。飛び降りた男子生徒はまもなく死亡。女性は重体に陥り、翌日に死亡した<ref>{{Cite news|url=https://www.asahi.com/sp/articles/ASNBR6SM6NBRPTIL038.html|title=梅田の商業施設から男性転落死、通行人の女性に衝突か|work=朝日新聞DIGITAL|date=2020-10-23|accessdate=2020-10-24}}</ref><ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20201027114118/https://this.kiji.is/692643764993098849|title=転落巻き添えの女子大生死亡|work=共同通信|date=2020-10-24|accessdate=2020-10-24}}</ref>。翌年1月13日、大阪府警曽根崎署は飛び降りた男子生徒を重過失致死容疑で容疑者死亡のまま書類送検した<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20210114011316/https://this.kiji.is/721990527069175808?c=39546741839462401|title=飛び降りの男子高生を書類送検|work=共同通信|date=2021-01-13|accessdate=2021-01-14}}</ref>。
* [[2021年]][[7月31日]] ‐ 大阪府交野市の[[関西創価中学校・高等学校|関西創価高等学校]](4階建て)の屋上から京都府在住の高校3年の男子生徒(17)が飛び降り、まもなく死亡。校舎の外装工事で訪れ、複数の教員とともに説得していた大阪府大東市の工事作業員の男性(54)が生徒の背後から体を掴んで止めようとしたが、生徒とともに12メートル下に転落し、8月7日に死亡した。生徒は直前に他の生徒とともに複数の教員から指導を受けていた。9月28日に府警交野署は、生徒には「男性が制止に入った時点で直ちに飛び降りを断念して安全な場所に移動する注意義務があった」と判断し、重過失致死容疑で容疑者死亡のまま書類送検した<ref>{{Cite web|和書|title=<独自>飛び降り死の高校生を書類送検 制止男性死亡 大阪府警 |url=https://www.sankei.com/article/20210928-FL3J7Z5H2BLT5E2KSR5YKUVAGM/ |website=産経ニュース |date=2021-09-28 |access-date=2022-12-24 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。
* [[2024年]][[8月31日]] - 横浜市西区の「[[NEWoMan|NEWoMan横浜]]」(12階建て)の屋上から千葉県内の女子高生(17)が飛び降り、友人3人と現場付近を歩いていた同市在住の女性会社員(32)を直撃した。2人は心肺停止の状態で搬送され、まもなく死亡が確認された<ref>{{Cite news|url=https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240901/1000108605.html|title=女性飛び降り 歩行者の女性巻き込まれる 2人の死亡確認 横浜|work=NHK NEWS
WEB|date=2024-09-01|accessdate=2020-09-01}}</ref><ref>{{Cite news|url=https://www.asahi.com/sp/articles/ASS804FX6S80ULOB008M.html|title=横浜駅商業施設12階から女性転落 下で歩いていた女性ともに死亡|work=朝日新聞|date=2024-08-31|accessdate=2024-09-01}}</ref>。11月25日、神奈川県警は飛び降りた女子生徒を重過失致死容疑で容疑者死亡のまま書類送検した<ref>{{Cite news|url=https://www.asahi.com/sp/articles/ASSCT1J2TSCTULOB006M.html|title=巻き添え死亡事故 ビルから転落した高校生書類送検 重過失致死容疑|work=朝日新聞|date=2024-11-25|accessdate=2024-11-26}}</ref>。
* 2025年5月19日 - 大阪市北区本庄西1丁目の44階建てのタワーマンションの43階から、70歳の男性が転落。自転車に乗っていた50代男性に直撃し、2人とも死亡した<ref>[https://news.yahoo.co.jp/articles/665e0c41a8f95e6869a99848a9f27fc4bbec8fbd タワマンから70歳転落か、大阪 男性巻き込み2人死亡(共同通信) - Yahoo!ニュース] - 2025年6月21日閲覧。</ref><ref>[https://www.sankei.com/article/20250520-O2QSCPCPNJLXXMPW7A7TGDRYHA/ 転落巻き添え各地で…死亡の場合は刑事責任問えずも、被害者給付金「支給ケースも」 - 産経ニュース] - 2025年6月21日閲覧。</ref><ref>[https://www.fnn.jp/articles/-/874407 タワマンから転落の男性は“自ら飛び降り”か 実家に帰省中だった自転車の通行人が巻き込まれ2人とも死亡|FNNプライムオンライン] - 2025年6月25日閲覧。</ref>。
 
== 飛び降りにより自ら命を絶った著名人 ==<!--
年代順-->
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*[[佐藤次郎]](戦前期の[[テニス]]プレイヤー)
*[[ジェームズ・フォレスタル]](アメリカの初代国防長官)※死因は推定による
92 ⟶ 86行目:
*[[シャーンドル・コチシュ]]([[サッカーハンガリー代表|ハンガリー]]のサッカー選手)
*[[春風亭一柳]]([[落語家]])
*中田治雄(芸人・漫才コンビ[[Wヤング]]のメンバー)
*[[沖雅也]]([[俳優]])
*[[大友柳太朗]](俳優)
103 ⟶ 98行目:
*[[可愛かずみ]]([[俳優|女優]])
*[[伊丹十三]]([[映画監督]])<!--他殺とする説もある-->
*[[ゲオルク・ティントナー]]([[オーストリア]]出身の[[指揮者]])
*[[高野光]](元[[プロ野球選手]])
*[[レスリー・チャン髙野光]]([[香港プロ野球選手]]の俳優
*[[レスリー・チャン]]([[香港]]の歌手、俳優)
*[[ポール牧]]([[コメディアン]])
*[[見沢知廉]]([[作家]])
115 ⟶ 111行目:
*[[永田寿康]](元[[衆議院議員]])
*[[盧武鉉]]([[大韓民国|韓国]]第16代[[大統領 (大韓民国)|大統領]])
*[[渡辺省三]](元プロ野球選手)
*[[後藤時子]](歌手・[[後藤真希]]の母親)
*[[小瀬浩之]]([[プロ野球]]・[[オリックス・バファローズ]]所属の外野手)
*[[山本真純]]([[日本テレビ放送網|日本テレビ]]所属の[[アナウンサー]])
*[[池田敏春]]([[映画監督]])
*[[中村とうよう]]([[音楽評論家]])
*[[トニー・スコット]]([[イギリス]]出身の[[映画監督]])
*[[牧伸二]](ウクレレ漫談家)
*[[藤圭子]](歌手)
*[[神田沙也加]](女優、声優)
}}
 
== 音楽 ==
* ツバメのように - [[松任谷由実]]
* [[夜に駆ける]] - [[YOASOBI]]
* [[児童カルテ|るるちゃんの自殺配信]] - [[神聖かまってちゃん]]
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist2}}
=== 出典 ===
<references />
 
== 関連項目 ==
{{Wikt|飛び降り自殺}}
*[[自殺した有名人の一覧]]
* [[自殺した有名人の一覧]]
* [[自殺・自決・自害した日本の著名人物一覧]]
* [[自殺の名所]]
 
== 外部リンク ==
* [httphttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/index.html 自殺死亡統計の概況(厚生労働省ホームページ内)]
 
[[Category:自殺]]
{{DEFAULTSORT:とひおりしさつ}}
 
{{DEFAULTSORT:とひおり}}
[[en:Jumper (suicide)]]
[[Category:自殺の方法]]
[[fr:Saut (suicide)]]
[[zh:跳落]]