「利用者:頭痛/sandbox」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
頭痛 (会話 | 投稿記録)
頭痛 (会話 | 投稿記録)
ページの置換: '1 > 2 > 3 > 4 > 利用者:頭痛/sandb...'
 
(同じ利用者による、間の87版が非表示)
1行目:
[[利用者:頭痛/sandbox|1]] > [[利用者:頭痛/sandbox2|2]] > [[利用者:頭痛/sandbox3|3]] > [[利用者:頭痛/sandbox4|4]] > [[利用者:頭痛/sandbox-s|s]]
 
{{基礎情報 書籍
|title = 『不思議の国のアリス』
|orig_title = Alice's Adventures in Wonderland
|image = AlicesAdventuresInWonderlandTitlePage.jpg
|image_size = 160px
|image_caption = 初版本のタイトルページ
|author = [[ルイス・キャロル]]
|translator = <!-- 訳者 -->
|illustrator = [[ジョン・テニエル]]
|published = [[1865年]]
|publisher = マクラミン社
|genre = [[児童文学]]、[[ファンタジー]]
|country = [[イギリス]]
|language = [[英語]]
|type = <!-- 形態 -->
|pages = <!-- ページ数 -->
|preceded_by = <!-- 前作 -->
|followed_by = 『[[鏡の国のアリス]]』
|website = <!-- 公式サイト -->
|id = <!-- コード -->
|portal1 = 文学
}}
『'''不思議の国のアリス'''』(ふしぎのくにのアリス、[[英語|英]]:Alice's Adventures in Wonderland)は、[[イギリス]]の[[数学者]]にして[[作家]]チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、[[ルイス・キャロル]]の筆名で[[1865年]]に出版した児童小説である。主人公の少女アリスが、白うさぎを追ってうさぎ穴に落ち、そこから人間の言葉をしゃべる動物や人間のようなトランプの札の住む[[ファンタジー]]の世界を冒険するさまを描いている。
 
『不思議の国のアリス』の本文には、ドジソンとその友人たちに関わる逸話をもとにしたエピソードや、イギリスの学童の授業風景の[[風刺]]・パロディが数多く含まれている。従来の教訓物語から開放された新たな児童文学の出発点であり、言語遊戯、論理学、夢(精神分析)などに関する多くの論点をはらむ作品として、英文学史上でも特筆される。今日に至るまで、世界各地で訳され、子供だけでなく大人にも親しまれている。
 
本書の英語の原題「{{lang|en|Alice's Adventures in Wonderland}}」の直訳は、『不思議の国でのアリスの冒険』となるが、日本では後述するように『不思議の国のアリス』の訳題で知られている。英語でも、しばしば省略形である 「{{lang|en|Alice in Wonderland}}」 の題名が使われる。この略題は近年の本作品の映画化などによって、広く用いられるようになった。
 
本書には『[[鏡の国のアリス]]』({{lang-en-short|Through the Looking-Glass, and What Alice Found There}})と題された続編があり、両編の要素を組み合わせた[[映画|映像化]]が何度も行われている。
 
{{TOC limit|3}}
== 背景 ==
=== 成立 ===
[[ファイル:Alice Liddell.jpg|thumb|アリス・リデル(当時7歳)チャールズ・ドジソン撮影(1860)]]
『不思議の国のアリス』成立の発端は、作品出版のちょうど3年前である[[1862年]][[7月4日]]にまで遡る。この日キャロル(ドジソン)は、かねてから親しく付き合っていたリデル家(キャロルの住む[[オックスフォード大学]]の学寮[[トリニティ・カレッジ]]の学寮長の一家)の三姉妹、すなわちロリーナ(Lorina Charlotte Liddell、13歳)、[[アリス・リデル|アリス]](Alice Pleasance Liddell、10歳)、イーディス(Edith Mary Liddell、8歳)、それにオックスフォード大学[[トリニティ・カレッジ]]の同僚ロビンスン・ダックワースとともに、アイシス川(オックスフォードでは[[テムズ川]]をこう呼んだ)をボートで遡る[[ピクニック]]に出かけた<ref>ストッフル、67頁。</ref>{{refnest|group="注釈"|このピクニックは、一行にとってはじめてのボート遊びというわけではない。キャロルは同年6月、ダックワースとリデル三姉妹に加えて、自身を訪ねに来ていた姉のファニー、エリザベス、叔母のルーシーの8人のメンバーで、ニューナムへボートのピクニックに出かけている。このとき一行は帰りのボートで雨に降られてずぶぬれになり、途中でボートを降りて知人の家に避難しており、このときの体験が本作第2章の「涙の池」のエピソードの元になっている<ref>ストッフル、67-68頁。</ref>。その後、7月3日にふたたびニューナムへのピクニックが計画されたが、雨で中止され、翌4日はニューナムには入れない日であったので、代わりにゴットストウへのピクニックに変更されたのである<ref>ストッフル、68-69頁。</ref>。}}。
 
[[File:AAUG p01.png|thumb|180px|キャロル直筆による『地下の国のアリス』挿絵]]
この行程は[[オックスフォード]]近郊のフォーリー橋から始まり、5マイル離れたゴッドストウ村で終わった。その間キャロルは少女たち、特にお気に入りであったアリスのために、「アリス」という名の少女の冒険物語を即興で語って聞かせた(このときの様子は作品の巻頭に「黄金色の昼下がりに」([[#詩と童謡|後述]])という題の戯詩によって描かれている)。キャロルはそれまでにも彼女たちのために即興で話をつくって聞かせたことが何度かあったが、アリスはその日の話を特に気に入り、自分のために物語を書き留めておいてくれるようキャロルにせがんだ<ref>ストッフル、71頁。</ref>。キャロルはピクニックの翌日からその仕事に取り掛かり、8月にゴッドストウへ姉妹と出かけた際には物語の続きを語って聞かせた<ref>ストッフル、72頁。</ref>。この手書きによる作品『[[地下の国のアリス]]』が完成したのは1863年2月10日のことであったが、キャロルはさらに自分の手で挿絵や装丁まで仕上げたうえで、翌1864年11月26日にアリスにこの本をプレゼントした<ref>ストッフル、72-73頁。</ref>{{refnest|group="注釈"|もっとも、完成したこの本をプレゼントしたときにはキャロルとリデル家との関係はすでに冷えこんでいた。その経緯を書いた部分と思われる箇所がキャロルの日記から(おそらくキャロルの死後に姪によって)削除されているため原因は不明であるが、キャロルがアリスに求婚してリデル夫人に断られたのではないかとも推測されている<ref>ストッフル、86-87頁。</ref>。}}。<!--なおオリジナル原稿のほうはこの際にキャロル自身により破棄されたようである。-->
 
さらにこの間、キャロルは知己であり幻想文学・児童文学の人気作家であった[[ジョージ・マクドナルド]]の一家に原稿を見せた。マクドナルド夫妻は手紙で、作品を正式に出版することをキャロルに勧め、また夫妻の6歳の息子グレヴィルが「この本が6万部あればいいね」と言ったことがキャロルを励ました<ref>ストッフル、73-74頁。</ref>。こうしてキャロルは出版を決意し、『地下の国のアリス』から当事者にしかわからないジョークなどを取り除き、「チェシャ猫」や「狂ったお茶会」などの新たな挿話を書き足して、もとの18,000語から2倍ちかい35,000語の作品に仕上げ、タイトルも『不思議の国のアリス』に改めた<ref>ストッフル、81頁。</ref>。出版社は1863年末にロンドンのマクラミン社と決まった。マクラミン社は当時、自社で出したばかりの{{仮リンク|チャールズ・キングズリー|en|Charles Kingsley}}{{refnest|group="注釈"|チャールズ・キングスリーの弟ヘンリー・キングスリーも小説家であった。彼もある日リデル家を訪れた際に『地下の国のアリス』を目にし、リデル夫人を介してキャロルにこの作品の出版を勧めている<ref>コーエン、222-223頁。</ref>。}}の児童書『{{仮リンク|水の子|en|The Water-Babies, A Fairy Tale for a Land Baby}}』が好評を得ていたため、キャロルの物語に興味を示したものと思われる<ref>ストッフル、80-81頁。</ref><ref>コーエン、223-224頁。</ref>。挿絵は『[[パンチ]]』の編集者トム・テイラーの紹介によって、同誌の看板画家[[ジョン・テニエル]]に依頼された。挿絵にこだわりを持っていたキャロルはテニエルと何度も連絡をとり、細かい注文をつけてテニエルを閉口させたが、二人のやりとりのあとを示す書簡は今日では残っていない<ref>ストッフル、76-77頁。</ref>。
 
=== 出版 ===
『不思議の国のアリス』は、前述の『水の子』と同じ18センチ×13センチの判形に、赤い布地に金箔を押した装丁と決まり、1865年7月に2000部が刷られた<ref name=STOFFEL81>ストッフル、81頁。</ref>。出版はマクラミン社だが、挿絵代もふくめ出版費用はすべてキャロル自身が受け持っている(当時こうしたかたちの出版契約はめずらしくなかった)。このためキャロルは自分が好むままの本作りをすることができたのである<ref name=STOFFEL81/>。ところが、挿絵を担当したテニエルが初版本の印刷に不満があるとただちに手紙で知らせてきたため、キャロルはマクラミン社と相談のうえで出版の中止を取り決め、初版本をすべて回収し文字組みからやり直すことにした{{refnest|group="注釈"|出版中止した初版本2000部のうち、製本されていなかった1950部は、テニエルの了承を経たうえでアメリカ合衆国のアプルトン社に売却され(翌1866年刊行)出版費用の足しにされた<ref>笠井勝子 「アリス―物語の誕生」 『不思議の国の"アリス"』 32頁。</ref><ref>ハンチャー、171頁。</ref>。この1950部はコレクターの間で高い値が付けられているが、製本済みであった50部の初版本(22部の現存が確認されており、現在は5部を除いて博物館・図書館が所蔵)はさらに高額で取引される。しかしもっとも高額で取引されたのは、1928年にアリス・ハーグリーブス(リデル)がやむを得ず手放した『地下の国のアリス』原本である。『地下の国のアリス』は当時[[サザビーズ]]のオークションで史上最高の15400ポンドで落札されたが、その後1948年に有志に買い戻され、現在は[[大英博物館]]に所蔵されている<ref>ストッフル、84-85頁。</ref>。}}。
 
印刷のやり直しは費用を負担しているキャロルにとって痛手であったが、こうして1865年11月に刊行された『不思議の国のアリス』は着実に売れていき、1867年までに1万部、1872年には3万5000部、1886年には7万8000部に達した<ref>ストッフル、82-83頁。</ref>。キャロルは本を寄贈した知人たち(その中には[[ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ]]や、前述のチャールズ・キングスリーの弟ヘンリー・キングスリーらがいた<ref>コーエン、231-232頁</ref>)から好評を得たばかりでなく、各紙の書評でいずれも無条件の賞賛を受けた。キャロルは当時の日記に、『アリス』を「輝かしい芸術的宝物」と評した『リーダー』紙をはじめ『プレス』『ブックセラー』『ガーディアン』など19の書評を記録している。『パブリッシャー・サーキュラー』は、その年の200冊の子供の本のうち「もっとも魅力のある本」に『アリス』を選んだ。「わざとらしい懲りすぎた話」として批判した『アシニーアム』は唯一の例外であった<ref>コーエン、232-233頁。</ref><ref>グリーン、89頁。</ref>。
 
この『不思議の国のアリス』の出版により、ルイス・キャロルの名は1,2年の間に広く知られるようになった<ref>グリーン、89-90頁。</ref>。好評を受けたキャロルは『アリス』の続編を企画しはじめ、1866年頃より
『[[鏡の国のアリス]]』の執筆をはじめた<ref>コーエン、233頁。</ref>{{refnest|group="注釈"|ルイス・キャロル=チャールズ・ドジソンが『不思議の国のアリス』の次に出版した本は児童書ではなく、ドジソン名義で出版した数学書『行列式初歩』(1867年)であった(これはドジソンの最初の数学に関する著作である)。このため、『不思議の国のアリス』を気に入った[[ヴィクトリア女王]]がキャロルに次の著作を送るよう求めたところ、この『行列式初歩』が送られてきた、といったエピソードが広まったが、これはまったくの作り話であると、キャロル自身が生前『記号論理学』第二版の広告文の中ではっきり否定している<ref>ストッフル、94-95頁。</ref>。}}。この続編は1871年のクリスマスに出版、翌年のキャロルの誕生日(1月27日)までの間に1万5000部を売り上げた。二つの『アリス』の物語は以後途切れることなく版を重ね続け、、マクラミン社はキャロルが死去した1898年までに、『不思議の国のアリス』を15万部以上、後述の続編『鏡の国のアリス』も10万部以上出している<ref>コーエン、237頁。</ref>。
 
1886年、『不思議の国のアリス』の原型である『地下の国のアリス』の複製本が出版された。キャロルが『アリス』の人気をみて、読者が元となった手書き本を見たいのではないかと考えたもので、キャロルは出版にあたり、ハーグリーブス夫人となっていたアリスに許可を求めて原本を借り受けた<ref>ストッフル、120頁。</ref>。1889年にはキャロル自身の手で幼時向けに脚色された『[[子供部屋のアリス]]』が出版された。この作品ではまたテニエル自身が自分の過去の挿絵に彩色を施している<ref>ストッフル、119頁。</ref>。
 
== 物語 ==
[[File:Alice par John Tenniel 03.png|left|190px]]
アリスが川辺の土手で、読書中の姉の傍に退屈を感じながら座っていると、そこに服を着た白ウサギが人の言葉を喋りながら通りかかる。驚いたアリスは白ウサギを追いかけてウサギ穴に落ち、壁の棚に様々なものが置いてあるその穴を長い時間かけて落下する。着いた場所は広間になっており、アリスはそこで金の鍵と小さな扉を見つける。その傍には不思議な小瓶があり、それを飲んだアリスはみるみる小さくなるが、鍵をテーブルに置き忘れたために扉を通ることができない(第1章 ウサギ穴に落ちて)。小さくなったアリスは今度は不思議なケーキを見つけるが、それを食べると今度は身体が大きくなりすぎてしまう。アリスは泣き出し、その大量の涙であたりに池ができる。アリスは白ウサギが落としていった扇子の効果で再び小さくなるが、足をすべらせて自分のつくった池にはまり込んでしまう。そこにネズミをはじめとして様々な鳥獣たちが泳いで集まってくる(第2章 涙の池)。
 
[[File:Alice par John Tenniel 11.png|250px|right]]
アリスと鳥獣たちは岸辺に上がり、体を乾かすために「コーカスレース」という、円を描いてぐるぐるまわる競走を行う。それからアリスはネズミにせがんで、なぜ彼が犬や猫を怖がるのかを話してもらう。この話に対してアリスは飼い猫のダイナの自慢話をはじめてしまい、この猫がネズミも鳥も食べると聞いた動物たちは逃げ去ってしまう(第3章 コーカス・レースと長い尾話)。一人になったアリスのもとに白ウサギが戻ってきて、アリスをメイドと勘違いして自分の家に使いに行かせる。家の中でアリスは小瓶を見つけて飲んでしまい、この効果で再び身体が大きくなり部屋の中に詰まってしまう。白ウサギは「トカゲのビル」を使ってアリスを追い出そうとするが失敗に終わる。その後白ウサギたちは家のなかに小石を投げ入れ、この小石が体を小さくさせるケーキに変わったため、アリスは再び小さくなって家から出られるようになる(第4章 白ウサギがちびのビルを使いに出す)。
 
[[File:Alice par John Tenniel 21.png|250px|left]]
動物たちや大きな子犬から逃れて森に入ったアリスは、キノコの上で大きなイモムシに出会う。ぞんざいな態度でアリスにあれこれ問いただしたイモムシは、キノコの一方をかじれば大きく、反対側をかじれば小さくなれると教えて去る。アリスはキノコを少しずつかじり調節しながら元の大きさにもどるが、次に小さな家を見つけ、そこに入るために小さくなるほうのキノコをかじる(第5章 イモムシの助言)。その家は公爵夫人の家であり、家の前ではサカナとカエルの従僕がしゃちほこばった態度で招待状のやり取りを行っている。家の中には赤ん坊を抱いた無愛想な公爵夫人、やたらとコショウを使う料理人、それにチェシャ猫がおり、料理人は料理の合間に手当たり次第に赤ん坊にものを投げつける。アリスは公爵夫人から赤ん坊を渡されるが、家の外に出るとそれは豚になって森に逃げていく。アリスが森を歩いていくと樹上にチェシャ猫が出現し、アリスに道筋を教えたあと、「笑わない猫」ならぬ「猫のない笑い」 (grin without cat) を残して消える(第6章 豚とコショウ)。
 
[[File:Alice par John Tenniel 25.png|right|280px]]
三月ウサギの家の前に来ると、そこでは三月ウサギ、帽子屋、ネムリネズミがテーブルを出して、終わることのないお茶会を開いている。帽子屋は同席したアリスに答えのないなぞなぞをふっかけたり、女王から死刑宣告を受けて時間が止まってしまったといった話をするが、好き勝手に振舞う彼らに我慢がならなくなったアリスは席を立つ。すると近くにドアのついた木が見つかり、入ってみるとアリスが最初にやってきた広間に出る。そこでアリスはキノコで背を調節し、金の鍵を使って今度こそ小さな扉を通ることができる(第7章 狂ったお茶会)。通り抜けた先は美しい庭で、そこでは手足の生えたトランプが庭木の手入れをしている。そこにハートの王と女王たちが兵隊や賓客をともなって現われる。かんしゃくもちの女王は庭師たちに死刑宣告をした後、アリスにクロッケー大会に参加するよう促すが、そのクロッケー大会は槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりにハリネズミ、ゲートの代わりに生きたトランプを使っているので、すぐに大混乱に陥る。そこにチェシャ猫が空中に頭だけ出して出現し、女王たちを翻弄するが、女王が飼い主の公爵夫人を連れてこさせるころにはチェシャ猫はふたたび姿を消す(第8章 女王陛下のクロッケー場)。
 
[[File:Alice par John Tenniel 34.png|left|200px]]
やってきた公爵夫人はなぜか上機嫌で、アリスが何かを言うたびに教訓を見つけ出して教える。女王は公爵夫人を立ち去らせ、クロッケーを続けようとするが、参加者につぎつぎと死刑宣告をしてまわるので参加者がいなくなってしまう。女王はアリスに代用ウミガメの話を聞いてくるように命令し、[[グリフォン]]に案内をさせる。アリスは代用ウミガメの身の上話として、彼が本物のウミガメだったころに通っていた学校の教練について話す(この教練はキャロルの言葉遊びによってでたらめな内容になっている。例えば読み方 (Reading) ではなく這い方 (Reeling)、絵画 (Drawing)ではなくだらけ方(Drawling) などである)(第9章 代用ウミガメの話)。しかしグリフォンが口をはさんだので、今度は遊びの話をすることになる。代用ウミガメとグリフォンはアリスに「ロブスターのカドリール」のやり方を説明し、節をつけて実演してみせる。そのうちに裁判の始まりを告げる呼び声が聞こえてきたので、グリフォンは唄を歌っている代用ウミガメを放ってアリスを裁判の場へ連れてゆく(第10章 ロブスターのカドリール)。
 
[[ファイル:Alice par John Tenniel 42.png|right|190px]]
玉座の前で行われている裁判では、ハートのジャックが女王のタルトを盗んだ疑いで起訴されており、布告役の白ウサギが裁判官役の王たちの前でその罪状を読み上げる。アリスは陪審員の動物たちに混じって裁判を見物するが、その間に自分の身体が勝手に大きくなりはじめていることを感じる。裁判では証人として帽子屋、公爵夫人の料理人が呼び出され、続いて3人目の証人としてアリスの名が呼ばれる(第11章 誰がタルトを盗んだ?)。アリスは何も知らないと証言するが、王たちは新たな証拠として提出された詩を検証して、それをジャックの有罪の証拠としてこじつける。アリスは裁判の馬鹿げたやり方を非難しはじめ、ついに「あんたたちなんか、ただのトランプのくせに!」と叫ぶ。するとトランプたちはいっせいに舞い上がってアリスに飛び掛ってきたので、アリスは悲鳴をあげると、次の瞬間に自分が姉の膝をまくらにして土手の上に寝ていたことに気がつく。自分が夢をみていたことに気づいたアリスは、姉に自分の冒険を語って聞かせたあとで走り去ってゆく。一人残った姉はアリスの将来に思いを馳せる。
 
== 諸要素 ==
=== キャラクター ===
{{main|不思議の国のアリスのキャラクター}}
[[File:Cheshire Cat Tenniel.jpg|thumb|150px|チェシャ猫]]
[[File:MadlHatterByTenniel.svg|thumb|150px|帽子屋]]
作中に登場する多彩なキャラクターのいくつかは、本作を特徴付ける言葉遊びによって創作されたものである。アリスに道を教えた後に「猫のない笑い」となって消える[[チェシャ猫]]は、「チェシャ猫みたいにニヤニヤ笑う」(grin like a Cheshire cat) という、当時はよく知られていた英語の慣用句がもとになっている<ref>ガードナー (1980)、89-90頁。</ref>。第7章で「狂ったお茶会」を開いている[[帽子屋]]、[[三月ウサギ]]は、ともに「帽子屋のように気が狂っている」(“mad as a hatter”) 「三月のうさぎのように気が狂っている」(mad as a march hare) という、やはり当時は一般的であって英語の慣用句をもとにキャロルが創作したキャラクターである<ref>ガードナー (1980a)、97頁。</ref>。第9章、第10章に登場する[[不思議の国のアリスのキャラクター#代用ウミガメ|代用ウミガメ]] (The Mock Turtle) は、「代用ウミガメスープ」“Mock Turtle Soup”という言葉から作られている。これはウミガメの変わりに子牛の肉を使ったスープで、従って「ウミガメスープに似せたスープ」のことだが、これを「代用ウミガメ」の「スープ」と解した言葉遊びになっている<ref>平倫子 「登場人物・事項インデクス にせうみがめ」『ルイス・キャロル小事典』 118頁。</ref>。
 
もともとは身内向けの物語であった本作には、その名残としてキャロルとアリス・リデルの身辺の人々を暗示するキャラクターや言及がある。第3章で行われるコーカス・レースは、この作品自体が作られたキャロルたちのピクニックでの出来事をほのめかしており、そこに登場する動物の[[ドードー鳥]]はキャロル(ドジソン)、[[アヒル]](Duck) はロビンソン・ダックワース、[[インコ]] (Lory) はロリーナ・リデル、子[[ワシ]] (Eaglet) はイーディス・リデルをそれぞれ暗示している<ref>ガードナー (1980)、47-48頁。</ref>。リデル三姉妹はまた、[[不思議の国のアリスのキャラクター#眠りネズミ|ネムリネズミ]]の物語の中の3人の小さな姉妹としてもほのめかされている<ref>ガードナー (1980)、110-111頁。</ref>。ほかにも、[[白ウサギ (不思議の国のアリス)|白ウサギ]]はリデル家のかかりつけの医師であったヘンリー・アクランド<ref>坂井妙子 『おとぎの国のモード』 勁草書房、2002年、98頁。</ref>、「尾話」を披露する[[ネズミ]]はリデル家の家庭教師ミス・プリケット<ref>ガードナー (1980)、50頁。</ref>、代用ウミガメの身の上話に言及される教師の[[アナゴ]]は、リデル家の美術家庭教師であった[[ジョン・ラスキン]]をそれぞれモデルにしているなど<ref>ガードナー (1994)、185-186頁。</ref>、登場人物ごとに様々な推定がなされている。
 
=== 詩と童謡 ===
本作品に挿入されている詩や童謡の多くは、当時よく知られていた教訓詩や流行歌のパロディになっており、元になっている作品は若干の例外を除いて今日では忘れ去られている<ref>ガードナー (1980), 42頁。</ref>。以下特にタイトルのないものは書き出しを示す。
* 「'''黄金色の昼下がりに・・・'''」 (''All in the golden afternoon ...'') :巻頭に掲げられている献呈詩。全体として、この物語成立の発端となった1862年7月24日のボート遊びと、そこで3人姉妹にお話をせがまれた情景を詠んでいる<ref>ガードナー (1980), 21-22頁。</ref>。
* 「'''小さな鰐の、なんと・・・'''」 (''How doth the little crocodile ...'') :第2章で、教訓詩を暗誦しようとしたアリスがなぜか間違えてそらんじてしまう、小さな鰐が鱗を磨きあげる様子を描いた戯詩。アリスが暗誦しようとしたのは、著名な賛美歌作者[[アイザック・ウォッツ]](1676-1748) の、当時もっともよく知られていた詩「怠惰と悪戯心に抗って」 (''Against Idleness and Mischief'') であり、「小さな鰐の」はこの教訓詩のパロディになっている。原詩は蜜蜂の熱心な働きを讃えて勤勉を称揚する内容<ref>ガードナー (1980), 43-44頁。</ref>。
* 「'''ヒューリーがネズミに言った、・・・'''」 (''Fury said to a mouse, That ...'') :第3章で、アリスに請われたネズミが、自分が犬や猫を嫌うようになった理由として披露する詩。一種の[[カリグラム]]になっており、この部分は文字がネズミの尻尾のようにうねって配列されている。内容は、あるネズミが犬のフューリーから、突然告訴すると言い立てられ、陪審員も裁判官も自分で担当して死刑にしてやると脅されるという不条理なもので、猫は登場しない。キャロルは詩人のテニソンから、長い行から始まってだんだん詩行が短くなってゆく妖精の詩を夢に見たという話を聞いたことがあり、これがこの詩の着想のもとになっている。手書き本『地下の国のアリス』では、この部分は犬と猫が連れ立ってマットの下のネズミたちをつぶしてしまうという、もっと話の流れに合った内容のものであった<ref>ガードナー (1980), 55-57頁。</ref>。
[[File:Alice 05e.jpg|thumb|240px|「もう年だろう、ウィリアム父さん。…」]]
* 「'''もう年だろう、ウィリアム父さん、・・・'''」 (''"You are old, Father William" ...'') :第5章で、イモムシに促されて教訓詩を暗誦しようとしたアリスが誤ってそらんじてしまう戯詩で、ノンセンス詩の傑作として評価されているものの一つ。老年に達したウィリアム父さんが、にもかかわらず逆立ちや宙返りといった驚異的な身体能力を見せるので、その秘訣を息子から問われてそれに答えるというもの。アリスが暗誦しようとしたのは、同じ詩句ではじまる[[ロバート・サウジー]]の教訓詩「老いた男の安楽、それはいかにして得られたか」(''The Old Man's Comforts and How He Gained Them'')であり、「ウィリアム父さん」はそのパロディになっている。原詩は、ウィリアム神父 (Father William) が老年の健康で静謐な生活の秘訣を若者から問われて、若いころの慎み深い信仰生活の大切さにあると答えるというもの<ref>ガードナー (1980), 75-78頁。</ref>。
* 「'''幼な子はどなりつけろ、・・・'''」 ''Speak roughly to your little boy...'') :第6章で公爵夫人が赤ん坊への子守唄として唄う、幼な子を手荒く扱うように勧める内容の詩。元になっているのは「優しく語りかけよ」 (''Speak Gently'') という、様々な人に優しい言葉をかけることの大切さを説く感傷的な詩で、当時は非常によく知られていた流行詩であった<ref>ガードナー (1980), 91-93頁。</ref>。この原詩の作者は確定しておらず、フィラデルフィアのデイヴィッド・ベイツ説、アイルランド生まれのジョージ・ワシントン・ラングフォード説などがあったが、1986年に「D・B」と署名されたこの詩が1845年の新聞に掲載されていたことがわかり、現在ではベイツ説が有力となっている。
* 「'''きらきら光る、お空のコウモリ・・・'''」 (''Twinkle, twinkle little bat...'') :第7章で帽子屋がアリスに披露する、お盆のように空を飛ぶコウモリのことを唄った唄。帽子屋は、これを音楽会で唄ったところ女王の不興を買って死刑を宣告されたと説明する。この唄は現在でもよく知られている童謡「[[きらきら星]]」のパロディである。この原詩は18世紀のフランスのシャンソンを基にして、19世紀始めにジェーン・テイラーが作った替え歌「The Star」であり、[[マザーグース]]の一つにも数えられる。なおキャロルのオックスフォード大学の同僚の数学教授に「コウモリ」とあだ名される、難解な講義をすることで知られていたバーソロミュー・プライスという人物がおり、この戯詩は彼の講義に対する風刺になっているらしい<ref>ガードナー (1980), 108-109頁。</ref>。
* 「'''もう少し早く歩けないか、・・・'''」 (''"Will you walk a little faster?" ...'') :第10章で「ロブスターのカドリール」を実演しながら代用ウミガメが唄う唄で、子鱈がカタツムリを海辺のダンスに誘うという内容。この詩はメアリー・ハウィットによる、古い唄の言い回しを踏まえた「蜘蛛と蝿」という詩の出だしをもじったものになっている。原詩は蝿が蜘蛛に螺旋階段の上に来るよう誘うというもの<ref>ガードナー (1980), 145-146頁。</ref>。
[[File:Alice par John Tenniel 36.png|thumb||150px|「ロブスターが喋っている…」]]
* 「'''ロブスターが喋っている・・・'''」 (''Tis the voice of the lobster, ...'') :第11章で、アリスが偽ウミガメとグリフォンに促されて、自分でもわけがわからずに諳んじてしまう詩。アリスが暗誦しようとしたのは前述のアイザック・ウォッツによる、怠惰を戒める教訓詩「怠け者」(''The Sluggard'') であり、原詩はものぐさな人の見苦しい生活を詠んだものであるが、アリスはこれをロブスターが身だしなみを整えたり、フクロウと豹がパイを取り合ったりするわけの分からない内容にしてしまう<ref>ガードナー (1980), 151-153頁。</ref>。
* 「'''海亀のスープ'''」 (''Turtle Soup'') :第11章の終わりに代用ウミガメが唄う、ひたすら海亀スープを讃える唄。元になっているのは、夜空の美しい星を讃えるジェームズ・M・セイルス作詞作曲の流行歌「夜の星、美しき星」(''Star of the Evening, Beautiful Star'') である。キャロルの1862年8月1日の日記に、リデル姉妹がこの唄を唄ってくれたとある<ref>ガードナー (1980), 154-155頁。</ref>。
* 「'''[[ハートの女王]]'''」(''The Queen of Hearts'') :第12章の裁判の場面で、布告役の白ウサギがハートのジャックの罪状として読み上げる詩。これは1782年4月の『ヨーロピアン・マガジン』に掲載されていた4連からなる詩の最初の4行を手を加えずに流用したもので、キャロルが使用したことで有名になりマザーグースの一つに数えられることになった。使用部分はハートの女王が作ったタルトをハートのジャックが盗んだというもので、もとの詩にはハートのキングからスペード、クラブ、ダイヤと続いていく。
* 「'''君は彼女のところに行って・・・'''」 (''They told me you had been to her...'') :第12章で白ウサギがジャックの犯罪の証拠として読み上げる、あいまいな指示代名詞のためにほとんど理解不能なナンセンス詩。ハートの王はこの内容をこじつけてジャックの罪に無理やり結び付けようとする。これはキャロルが1855年に『ロンドン・コミック・タイムズ』に発表した8連のナンセンス詩をかなり改変して使用したものである。改変前の詩の最初の行は、ウィリアム・ミーによる感傷的な流行歌「アリス・グレイ」の第一節を真似ているが、ミーのこの歌はアリスという名の少女に思いを寄せる男を歌ったものであった<ref>ガードナー (1980), 173-176頁。</ref>。
 
=== 挿絵 ===
{{main|不思議の国のアリスの挿絵}}
[[ファイル:Alice in Wonderland by Arthur Rackham - 15 - At this the whole pack rose up into the air and came flying down upon her.jpg|thumb|190px|アーサー・ラッカムによる挿絵(1907年)は、テニエルのそれに次いで人気が高い<ref>海野弘 「イラストレーター・イン・ワンダーランド」『アリス幻想』 すばる書房、1976年、29頁。</ref>。]]
ジョン・テニエルが挿絵を付けた『不思議の国のアリス』と続編『鏡の国のアリス』は、物語とその挿絵とが非常によく合った例として知られており、児童書における挿絵の重要性を示したものとして評価されている<ref>吉田 、80頁。</ref>。物語の冒頭で主人公アリスが「挿絵も会話もない本なんて、なにが面白いんだろう」と訝るように、作者のキャロルは挿絵を重要視しており、手書き本『地下の国のアリス』を『不思議の国のアリス』として刊行する際、自分の絵の技量に不足を感じてプロのイラストレーターであるテニエルに依頼した<ref>ストッフル、76頁。</ref>。もっとも現在では、手書き本に付けられたキャロルによる挿絵に対しても、ナンセンスな物語に対してその稚拙な絵が却って効果を挙げているという評価もある<ref>吉田、 81頁。</ref>。
 
『アリス』の挿絵は、当時イギリスの出版界において一般的であった木口木版(こぐちもくはん、木材を縦軸に対して直角に輪切りにしたものを用いる[[木版画]])で刷られており、この分野でもっとも名声を得ていた{{仮リンク|ダルジール兄弟|en|Brothers Dalziel}}が彫版を担当した<ref>ハンチャー、188頁-191頁</ref>。前述のようにテニエルの挿絵に対して細かな指示を行い彼をうんざりさせたが、キャロルは『アリス』の版形が途中で変更になった際にテニエルに了承を取ったり、前述のように初版本の印刷状態に対するテニエルのクレームを受け入れて回収するなど、テニエルの仕事に対し尊敬を持って接していたこともわかる<ref>ハンチャー、170–171頁</ref>。主人公アリスの容姿についても、キャロルとテニエルの間で何度も議論を重ね、結果として実在の黒髪のおかっぱ頭であったアリス・リデルには似せず、額を出した金髪の姿にすることに決められたらしい<ref>ハンチャー、269頁(注11)。</ref>。この金髪のアリスについては、キャロルの提案でメアリー・ヒルトン・パドコックという少女の写真がモデルに使われたとしばしば言われてきたが、キャロルがこの写真を購入した時点ですでにテニエルが12点の挿絵を仕上げていることなどからして、あまり信憑性のある説ではないと考えられる<ref>ハンチャー、175–178頁。</ref>。
 
キャロルが細かな指示を与えているテニエルの挿絵は物語と不可分なものと考えられているが、1907年にイギリスで作品の著作権が切れて以降、[[アーサー・ラッカム]]、[[チャールズ・ロビンソン]]、[[ペーター・ニューエル]]、[[ウィリー・ポガニー]]、[[マーヴィン・ピーク]]、[[トーベ・ヤンソン]]、[[ラルフ・ステッドマン]]、[[金子國義]]、[[山本容子]]など、世界中の様々な挿絵画家がアリスの物語の新たな挿絵をつけ、独自の解釈でテニエルのイメージを更新し続けている<ref>吉田、80-95頁。</ref>。
 
== 受容 ==
=== 評価・分析 ===
 
=== 影響 ===
 
=== 翻訳 ===
『不思議の国のアリス』の最初の外国語訳は[[1869年]]2月、原著から3年後に刊行された[[ドイツ語]]訳で、Antonie Zimmermannという訳者によるものである。同年8月にはHenri Bueの訳による[[フランス語]]版が刊行されている。いずれも出版はロンドンのマクラミン社だが、印刷製本はドイツ、フランスでそれぞれ行われた。このドイツ語版とフランス語の出版にはキャロル自身が関わっており、本の体裁から価格設定、発行部数や紙質まで細かい意見をマクラミン社に伝えている<ref>楠本、188-189頁。</ref>。翻訳の刊行自体がそもそもキャロルの提言によるもので、キャロルは原著の刊行から1年後の1866年8月にはドイツ語およびフランス語で出版する考えを抱いたが、作中に頻出する英語の音韻や文法に依存した言葉遊び・パロディなどのために、当初は「翻訳不可能」だと判断していた<ref>楠本、10-11頁。</ref>。
 
しかしキャロルの当初の判断に関わらず、『アリス』はフランス語に続いて[[スウェーデン語]]、[[イタリア語]]、[[オランダ語]]、[[デンマーク語]]、[[ロシア語]]にただちに翻訳され大陸中に広まっていった<ref>楠本、189頁。</ref>。ルイス・キャロル協会のチャールズ・ラヴェットがまとめた1994年の調査によれば、『不思議の国のアリス』と続編『鏡の国のアリス』が翻訳された言語の数は、実際に話され・その言語による出版物があるものに限定すれば62、部分訳や未出版のもの、点字や速記体によるものなども含めれば137におよび<ref>楠本、3-4頁。</ref>、一人の作家の翻訳としては世界一である<ref>門馬義幸 「アリスを描いた挿絵にみられる二つの時代性」 『Moe』第13巻第7号、白泉社、1991年7月、16頁。</ref>。
 
==== 日本語訳 ====
日本での『不思議の国のアリス』の初訳は、おそらく須磨子([[永代静雄]])訳の『アリス物語』で、[[1908年]]([[明治]]41年)から翌年にかけて『少女の友』誌に掲載されたものである<ref>楠本、28頁。</ref>。ただし[[1899年]](明治32年)に[[長谷川天渓]]訳による『鏡の国のアリス』の翻訳(翻案・パロディに近い)が「鏡世界」として『少年世界』に掲載されており、分かっている限りでは続編の訳のほうが早かったことになる<ref>楠本、21-22頁。</ref>。『アリス物語』は12回の連載で、最初の3回が『不思議の国のアリス』の大まかな訳、以降は須磨子の創作になっている<ref>楠本、29頁。</ref>。以後つづけて様々な訳者が両アリス物語の訳を手がけているが、初期の翻訳は原文のニュアンスや言葉遊びの再現よりも、ストーリーの面白さを日本の子供に合った形にして伝えることに主眼が置かれ、従ってそれぞれの訳者によってしばしば創作に近い翻案が行われた<ref>楠本、182頁。</ref>。主人公の名前も「美(みい)ちゃん」(長谷川天渓訳、明治32年)「愛ちゃん」([[丸山薄夜]]訳 『愛ちゃんの夢物語』、明治43年)「綾子さん」([[丹羽五郎]]訳 『子供の夢』、明治44年)「あやちゃん」([[西條八十]]訳 「鏡國めぐり」<!--雑誌掲載作であるので一重鉤-->、[[大正]]10年)「すゞ子ちゃん」([[鈴木三重吉]]訳 「地中の世界」、大正10年)などのように日本風の名前に置き換えられているものが多い<ref>楠本、209頁。</ref>。
 
[[1927年]]([[昭和]]2年)11月には[[芥川龍之介]]と[[菊池寛]]の共訳による『不思議の国のアリス』の訳『アリス物語』が刊行されている。これは芥川の死去の年に出ておりで、同年7月に自殺した芥川のあとを次いで菊池が完成させて出版したものである<ref>楠本、98-99頁。</ref>。タイトルに『不思議の国のアリス』がはじめて用いられたのは、おそらく[[1929年]](昭和4年)に『初等英文世界名著全集』の一つとして出された[[長澤才助]]訳注による同名の学習者向けの書であり、読み物としては[[1934年]](昭和9年)に金の星社から刊行された[[大戸喜一郎]]訳のものが初と思われる<ref>楠本、180-181頁。</ref>。以後しばらく『不思議の国の』と『不思議な国の』が共存したあと『不思議の国のアリス』が定着するようになった<ref>楠本、181頁。</ref>。大戦後も[[矢川澄子]]、[[北村太郎]]、[[高橋康也]]、[[高山宏]]、[[柳瀬尚紀]]、[[生野幸吉]]、[[脇明子]]、[[河合祥一郎]]、[[山形浩生]]ほか多くの人物が翻訳を手がけている。両アリス物語の日本語訳は前述のような翻案に近いものや抄訳なども含めて、1998年時点で150種前後が存在しており、現在も訳者とイラストレーターとを様々に組み合わせた多数の『アリス』が書店に並んでいる<ref>楠本、4頁・6-7頁。</ref>。
 
== 翻案 ==
=== 舞台化 ===
キャロルは『不思議の国のアリス』を舞台作品にしたいという思いを早くから抱いており、そのための様々なアイディアを当時の日記に書き付けていた。しかしなかなか実現にはいたらず、[[1886年]]、劇作家の{{仮リンク|ヘンリー・サヴィル・クラーク|en|Henry Savile Clarke}}の協力を得ることによってようやく舞台化が実現した。これは{{仮リンク|ウォルター・スローター|en|Walter Slaughter}}の楽曲による[[ミュージカル]]([[オペレッタ]])で、クラークは4ヶ月かかって台本を書き、その間にキャロルが出した様々なアイディアのいくつかも採用している。主演にフィービ・カーロが抜擢されたのもキャロルの推薦によるものである<ref>ストッフル、122頁。</ref>。オペレッタ『不思議の国のアリス―子供たちのための夢の劇』は1886年12月23日、ロンドンの{{仮リンク|プリンセス・オブ・ウェールズ劇場|en|Princess of Wales Theatre}}で初演されて好評を博し、以後40年にわたってクリスマスシーズンの主要演目として上演が続けられた<ref>ストッフル、123-124頁。</ref>。キャロルの死後には、[[演劇]]、[[オペラ]]、[[バレエ]]、[[パントマイム]]など世界各国において様々な形で舞台化が行われている。
 
=== 映像化 ===
{{main|不思議の国のアリスの映像作品}}
『不思議の国のアリス』は20世紀の初頭にはじめて映画化されて以来、100年以上にわたって映像化の試みが続けられている。初の映像化は[[1903年]]、{{仮リンク|セシル・ヘプワース|en|Cecil Hepworth}}監督、{{仮リンク|メイ・クラーク|en|May Clark}}主演によるイギリス映画『不思議の国のアリス』で、紙芝居のように展開が切り替わる8分ほどの無声映画であった<ref name=ASAO22>浅尾、22頁。</ref>。[[1915年]]には[[W.W.ヤング]]監督によって初の長編(52分)が撮られており、この作品ではぬいぐるみを使いテニエルの挿絵を忠実に再現している。[[1933年]]には{{仮リンク|ノーマン・Z・マクロード|en|Norman Z. McLeod}}監督によって本格的なトーキー映画が撮られた<ref name=ASAO22/>。
 
[[File:Alice in wonderland 1951.jpg|thumb|ディズニー映画『ふしぎの国のアリス』(1951年)]]
[[1951年]]の[[ディズニー]]によるアニメ映画『[[ふしぎの国のアリス]]』は、公開当初は必ずしも高い評価を得られなかったものの、青い服を着たアリスのイメージはその後の作品解釈に大きな影響を与えている<ref name=ASAO74>浅尾、74頁。</ref>。[[ティム・バートン]]監督による、最新のCG技術を駆使して作られた[[2010年]]の実写映画『[[アリス・イン・ワンダーランド]]』は、ディズニー映画の設定を踏まえた後日談のかたちをとったものである<ref name=ASAO74/>。{{仮リンク|ウィリアム・スターリング|en|William T. Sterling}}監督による[[1972年]]の『[[アリス~不思議の国の大冒険~]]』以後は、大きな予算を投じて大物俳優をそろえたミュージカル仕立ての作品が主流になっている<ref name=ASAO22/>。
 
以降もアリス・リデルの生涯とからめて作品世界を再現した『[[ドリームチャイルド]]』(1985年)、独自の感性で原作の不条理な世界を再現した[[ヤン・シュヴァンクマイエル]]による人形アニメーション『[[アリス (1988年の映画)|アリス]]』(1988年)などがあるほか、[[キティちゃん]]や[[リカちゃん人形]]など既成のキャラクターを使って原作の物語を再現した作品も数多く作られている<ref name=ASAO22/>。
 
=== 漫画化 ===
原作の内容に沿った漫画化には以下のようなものがある(パロディ作品等は後掲)。
*大谷美恵 『不思議の国のアリス』(学研、1985年)-「ハイコミック名作」シリーズの1。
*Glenn Diddit ''Glenn Diddit's Alice's Adventures In Wonderland'' (CreateSpace Independent Publishing Platform, 1988) - 読み書き支援活動家による逐字的な漫画化で、テニエルの画風にあわせたスタイルが取られている。白黒版とカラー版で刊行されている。
*Leah Moore, John Reppion (adaptation), Erica Awano (illust) ''The Complete Alice in Wonderland'' (Dynamite Entertainment, 2005) - 作画のエリカ・アワノは日系3世のブラジル人漫画家で、日本の漫画に近いスタイルで描かれている。
*[[木下さくら]] 『ALICE IN WONDERLAND Picture Book』(幻冬舎コミックス、2006年)- フルカラーの大型本。
*[[たむら純子]] 『不思議の国のアリス』(学習研究社、2010年)- 「名著を漫画で!」シリーズの一つで、少女マンガ風のスタイルで描かれている。
*[[阿部潤]] 『コミック版 アリス・イン・ワンダーランド』(講談社、2010年、全2巻)- 原作小説ではなく、2010年の翻案映画『アリス・イン・ワンダーランド』を漫画化したもの。『TOKYO1週間』連載。
 
=== 派生作品 ===
以下では『不思議の国のアリス』をモチーフとして作られた後世の創作を挙げる。原則として『アリス』が作品全体を通して明確なモチーフとなっているものに限り、作中で引用や言及があるに過ぎないもの、題名のみのパロディなどは除く。パロディ映画などについては[[不思議の国のアリスの映像作品#パロディ]]なども参照。
 
==== 文学 ====
*[[エラリー・クイーン]] 「キ印ぞろいのお茶会の冒険」(''The Adventure of the Mad Tea-Party'', 1934年)- 短編推理小説。子供の誕生パーティのために大人たちが『不思議の国のアリス』劇の予行練習をするが、その夜、屋敷の主人が帽子屋の扮装をしたまま行方不明になる。『エラリー・クイーンの冒険』に収録。
*[[フレデリック・ブラウン]] 『不思議な国の殺人』(''Night of the Jabberwock'', 1950年)-長編推理小説。ある田舎の新聞記者が『不思議の国のアリス』マニアの集会に参加し、そこで殺人事件に巻き込まれる。
*[[別役実]] 『不思議の国のアリス』(1970年)- 別役実の第二戯曲集。アリスをモチーフにした不条理劇「ふしぎの国のアリス」「アイ・アム・アリス」を所収。[[紀伊国屋演劇賞]]受賞作品<ref>{{cite web|url=http://performingarts.jp/J/art_interview/0709/1.html |title= 別役 実(劇作家)|work=アーティスト・インタビュー |date=2007年10月 |publisher=Performing Arts Network Japan |accessdate=2013-2}}</ref>。
*[[辻真先]] 『アリスの国の殺人』(1981年)- 長編推理小説。童話編集者を志す青年が、ワンダーランドの中の「チェシャ猫」密室殺害事件に巻き込まれる。現実の事件とワンダーランドの事件とが交互に展開する構成で、後者には『アリス』をベースにしつつ『オズの魔法使い』や漫画のキャラクターなども登場する。第35回[[日本推理作家協会賞]]受賞作。
*[[中原涼]] 『アリスシリーズ』 - 『受験の国のアリス』(1987年、講談社X文庫)からつづくジュブナイル小説シリーズ。『不思議の国のアリス』を愛読する主人公タカシが、攫われたアリスを救うために仲間とともに異次元を冒険するという内容。NHKの教育番組『[[天才テレビくん]]』内で『[[アリスSOS]]』としてアニメ化された。
*河出文庫 『不思議の国のアリス・ミステリー傑作選』(1988年)- 『不思議の国のアリス』をモチーフとするミステリを集めたアンソロジー。[[海渡英祐]]「死の国のアリス」、[[石川喬司]]「アリスの不思議な旅」、[[都筑道夫]]「鏡の国のアリス」、[[邦正彦]]「不思議の国の殺人」、[[小栗虫太郎]]「方子と末起」、[[中井英夫]]「干からびた犯罪」、[[山田正紀]]「襲撃」を収録。
*[[スティーヴン・ミルハウザー]] 「アリスは落ちながら」(''Alice, Falling'', 1990年)- 『不思議の国のアリス』の冒頭の、ウサギ穴を長い時間をかけてアリスが落下する場面を、さらに原作の記述の10倍ほどの長さを使って書き綴った短編。『バーナム博物館』に収録。
*[[ジェフ・ヌーン]] 『未来少女アリス』(''Automated Alice'', 1996年)- 3作目のアリスと銘打たれたSF小説で、アリスは奇妙な生物が跋扈する未来の[[マンチェスター]]に迷い込む。文体もキャロルのそれに習った言葉遊びの多いものになっている。
 
==== 漫画 ====
* [[高河ゆん]] 『[[ありす IN WONDERLAND]]』 (1989年-1991年)- 主人公の女子高生・仙道ありすと、犬に姿を変えた207代ルイス・キャロルとのラブストーリーを描くファンタジー。『プリティ』連載、2巻。
* [[アラン・ムーア]]原作、[[メリンダ・ゲビー]]作画 『{{仮リンク|Lost Girls|en|Lost Girls}}』(1991年-1992年)- アリス、ウェンディ(『ピーターパン』)、ドロシー(『オズの魔法使い』)の3人のヒロインが成長した姿で出会い、たがいのエロティックな冒険を語りあうという趣向のアメリカンコミック。
* [[CLAMP]] 『[[不思議の国の美幸ちゃん]]』(1993年-1995年)- 主人公の女子高生・美幸ちゃんが異世界に迷い込み、毎回トラブルに見舞われるというストーリーで、『アリス』のキャラクターをベースにした女性キャラクターが多数登場する。『Newtype』連載、1巻。
* [[皆川亮二]] 『[[ARMS]]』(1997年-2002年)- 『アリス』のキャラクターを生物・科学兵器のモチーフとしたSF漫画。『週刊少年サンデー』連載、全22巻。テレビアニメ化された。
* [[介錯 (漫画家)|介錯]] 『[[鍵姫物語 永久アリス輪舞曲]]』 (2004年-2006年) - 幻の3作目のアリスの物語を巡る少年少女達の戦いを描くファンタジーコミック。『月刊コミック電撃大王』連載、全4巻。テレビアニメ化された。
* [[望月淳]] 『[[PandoraHearts]]』(2006年- )- 『アリス』ほか児童文学をモチーフにしたファンタジー作品。「チェイン」と呼ばれる特殊な生命体として『アリス』のキャラクターをベースにしたものが多数登場する。『[[月刊Gファンタジー]]』連載、19巻続巻。テレビアニメ化された。
* [[J.D.モルヴァン]]原作、[[藤原カムイ]]作画 『[[LOVE SYNC DREAM]]』(2008年-2011年)- 舞台を現代に移しながら、飲んだり食べたりすると体が伸び縮みするアイテム、チェシャ猫、ウサギ、女王などが登場する『不思議の国のアリス』をベースにしたファンタジー。『月刊コミックリュウ』連載、全2巻。
*Tommy Kovac 原作、Sonny Liew 作画 『Wonderland』(2009年) - Disney Pressより刊行されたグラフィックノベル。『不思議の国のアリス』の中で白ウサギがアリスと取り違えた女中である「メアリー・アン」を主人公にした物語。
 
==== 音楽 ====
* [[ジェファーソン・エアプレイン]] 「ホワイト・ラビット」(1967年)- サイケデリック・ロックバンドによる、アリスの世界をモチーフにした楽曲。LSD的な感覚でアリスの作品世界のキャラクターたちが言及される。アルバム『Surrealistic Pillow』収録。
* [[チック・コリア]] 『The Mad Hatter』(1978年)- ジャズアルバム。アルバム名をはじめ『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をモチーフにした構成になっている。
* [[谷山浩子]] 『もうひとりのアリス』(1978年)- アリスを題材にした「アリス」「不思議なアリス」を収録したアルバム。谷山は以降も「向こう側の王国」(『翼』)、「意味なしアリス」(『宇宙の子供』)、「ウサギ穴」(『月光シアター』)など、アリスを題材にした楽曲を数曲作っており、また作中詩「ウミガメスープ」「公爵夫人の子守歌」「ハートのジャックが有罪であることの証拠の歌」に曲をつけるといった試みも行っている<ref>{{cite web|url=http://blogs.itmedia.co.jp/nabe/2010/04/post-e5b8.html|date=2010年4月|title=谷山浩子 ~ 心の中では全部の呼びかけにお返事してます ~。|works=有縁千里来相会 |publisher=ITmediaオルタナティブ・ブログ|accessdate=2013-2}}</ref>。
* [[デイヴィッド・デル・トレディチ]] 『ソプラノと管弦楽のための「少女アリス」』(1980年-1981年) - アリスに着想を得た4部からなる楽曲で、トレディチは第一部「夏の日のおもいで」でピューリッツァー賞を受賞している。ほかにも『アリス交響曲』(1969年)、『ファイナル・アリス』(1976年)など、『アリス』に着想を得た複数の楽曲を作っている。
* [[エアロスミス]] 「サンシャイン」(2001年) - 『[[ジャスト・プッシュ・プレイ]]』収録のロック音楽。歌詞のなかでアリスをはじめとする不思議の国のキャラクターたちが言及される。ミュージックビデオではスティーヴン・タイラーがブロンドのアリスを守ろうとする映像が白ウサギ、赤の女王らの姿とともに撮られた。
* [[トム・ウェイツ]] 『[[アリス (トム・ウェイツのアルバム)|アリス]]』(2002年)- ロバート・ウィルソン演出のミュージカル版アリス(1992年初演)のために作られた楽曲を収録したロック・アルバム。
* [[アヴリル・ラヴィーン]] 「[[アリス (アヴリル・ラヴィーンの曲)|アリス]]」(2010年)- 映画『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)の主題歌として制作されたもので、主人公アリスの立場に立った歌詞になっている。映画のサウンドトラック『[[オールモスト・アリス]]』にも収録。
 
==== コンピュータゲーム ====
* [[バンダイナムコゲームス|ナムコ]] 『[[メルヘンメイズ]]』(1988年、[[アーケードゲーム]]) - 『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をベースにしたアクションシューティングゲーム。アリスを操り、攻撃手段であるシャボン玉を飛ばして敵キャラクターを倒していく。
* フェイス 『[[不思議の夢のアリス]]』(1990年、[[PCエンジン]])- 横スクロールアクションゲーム。アリスを操作して、魔女に攫われた童話の主人公たちを助け出すというもの。
* [[エレクトロニック・アーツ]] 『[[アリス イン ナイトメア]]』(2000年、[[PCゲーム]]) - 3Dアクションゲーム。原作小説の後日談というストーリー設定で、アリスを主人公にしつつホラー要素が加えられている。
*グローバル・エー・エンタテインメント 『不思議の国のアリス』(2003年、[[ゲームボーイアドバンス]]・[[PlayStation 2|プレイステーション2]]) - 『不思議の国のアリス』の世界を基にしたマップ開拓型カードゲーム・ボードゲームで、カードにテニエルのイラストがそのまま使用されている。
* [[サンソフト]] 『[[歪みの国のアリス]]』(2006年、携帯アプリゲーム)- 『不思議の国のアリス』をベースにしたホラー[[ノベルゲーム]]。
* [[QuinRose]] 『[[ハートの国のアリス 〜Wonderful Wonder World〜|ハートの国のアリス]]』シリーズ(2007年 -、PCゲーム)- 『不思議の国のアリス』をベースにした女性向けのノベルゲーム([[乙女ゲーム]])で、チェシャ猫、帽子屋、三月ウサギなどをモチーフにした美青年キャラクターが登場する。『クローバーの国のアリス』(2007年)以下複数の続編が作られており、漫画、小説およびアニメ映画にも翻案されている。
 
==== 美術 ====
*[[サルバドール・ダリ]]
*[[沢渡朔]] 『[[少女アリス]]』(1973年、河出書房新社)- アリスをモチーフにした少女写真集。
 
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
{{reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
* マーチン・ガードナー注釈 ルイス・キャロル 『不思議の国のアリス』 石川澄子訳、東京図書、1980年
* マーティン・ガードナー注釈 ルイス・キャロル 『新注 不思議の国のアリス』 高山宏訳、東京図書、1994年
* ステファニー・ラヴェット・ストッフル 『「不思議の国のアリス」の誕生』 笠井勝子監修、高橋宏訳、創元社、1998年
* モートン・N.コーエン 『ルイス・キャロル伝 (上)』 高橋康也ほか訳、河出書房新社、1999年
* ロジャー・ランスリン・グリーン 『ルイス・キャロル物語』 門馬義幸、門馬尚子訳、法政大学出版局、1997年
* マイケル・ハンチャー 『アリスとテニエル』 石毛雅章訳、東京図書、1997年
* 定松正 編 『ルイス・キャロル小事典』 研究社出版〈小事典シリーズ〉、1994年
* 桑原茂夫 『図説 不思議の国のアリス』 河出書房新社〈ふくろうの本〉、2007年
* 舟崎克彦 『不思議の国の"アリス"』 求龍堂グラフィックス、1991年
* 浅尾典彦 『アリス・イン・クラシックス』 青心社、2010年
* 楠本君恵 『翻訳の国のアリス』 未知谷、2001年
 
== 関連項目 ==
 
== 外部リンク ==