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{{Otheruses|1958年の映画|2008年のリメイク作|隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS}}
{{Infobox Film
| 作品名 = 隠し砦の三悪人
|
| 画像サイズ = 250px
| 画像
| 監督 = [[黒澤明]]
| 脚本 = [[菊島隆三]]<br />[[小国英雄]]<br />[[橋本忍]]<br />黒澤明
| 製作総指揮 =
| 製作 = [[藤本真澄]]<br />黒澤明
|
| 音楽 = [[佐藤勝]]
| 主題歌 =
| 撮影 = 山崎市雄
| 編集 = 黒澤明
|
| 配給 = 東宝
| 公開 = {{flagicon|JPN}} [[1958年]][[12月28日]]{{R|中島春雄}}
| 上映時間 = 139分{{R|中島春雄}}
| 製作国 = {{JPN}}
| 言語 = [[日本語]]
| 製作費 = 1億9500万円<ref name="尾崎">{{Citation|和書 |editor=尾崎秀樹 |date=1981-12 |title=プロデューサー人生 藤本真澄 映画に賭ける |publisher=東宝出版事業室 |pages=241-242}}</ref>
| 興行収入 = 3億4264万円{{Sfn|85回史|2012|pp=148,156}}
| 前作 =
| 次作 =
}}
『'''隠し砦の三悪人'''』(かくしとりでのさんあくにん)は、[[1958年]]公開の[[日本映画|日本]]の[[時代劇]]映画である。監督は[[黒澤明]]、主演は[[三船敏郎]]。[[モノクロフィルム|モノクロ]]、[[東宝スコープ]]、139分。
== 概要 ==
[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]を舞台に{{Refnest|group="注釈"|時代設定は明確にされていないが、作中鉄砲が使用されていることから鉄砲伝来後([[1543年]]以降)ということが判別できる。}}、敗国の侍大将が世継ぎの姫と軍用金を擁し、2人の百姓を従えて敵中突破する姿を描いた冒険活劇である{{sfn|都築|2010|p=290}}。黒澤作品初の[[画面アスペクト比|シネマスコープ]]作品で、ワイド画面を活かした迫力ある映像とアクションが中心の娯楽大作となった。製作日数の大幅な遅滞と、それによる製作費の増大を引き起こしたが、興行的に大ヒットし、[[第9回ベルリン国際映画祭]]で[[銀熊賞 (監督賞)|監督賞]]と[[ベルリン国際映画祭 FIPRESCI賞|国際映画批評家連盟賞]]を受賞した<ref name="大系2解説2">[[浜野保樹]]「解説・世界のクロサワと挫折―『隠し砦の三悪人』」({{Harvnb|大系2|2009|pp=692-695}})</ref>。
== あらすじ ==
[[File:Kinema-Junpo-1963-October-special-3.jpg|thumb|240px|前列の左から[[藤原釜足]]、[[三船敏郎]]、[[千秋実]]、[[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]]]
百姓の太平と又七は、褒賞を目当てに山名家と秋月家の戦いに参加したが、何も出来ないまま秋月の城は落ち、山名の捕虜になって焼け落ちた秋月城で埋蔵金探しの苦役をさせられる。夜、捕虜たちが暴動を起こし、それに紛れて二人は脱走する。二人は谷で、薪の中から秋月の紋章が刻まれた金の延べ棒を発見する。そこに屈強な男が現れる。
男の正体は秋月家の侍大将・真壁六郎太で、落城後、
六郎太は、気性の激しい雪姫の正体を百姓二人にも隠し通すために[[発話障害|唖(おし)]]に仕立て、太平と又七を連れて早川領を目指す。彼らが出立した後、重臣らが残る隠し砦は追っ手に攻められて燃え落ちてしまう。最初の関所でさっそく一行は怪しまれるが、六郎太は隠している金を逆に見せて、番卒に突き出す。そして「褒美をくれ」と駄々をこねるうちに、関所を通される。夜、山名の城下町にある木賃宿に泊まり、人買いに売られた百姓娘を見た雪姫は、彼女を買い戻させ仲間に入れる。
道中、六郎太一行を怪し
一行は火祭りの準備のために薪を運んでいる群集にこれ幸いと紛れ込む。しかし
又七と太平は早川の城に連行されると、本来の姿に戻った雪姫と六郎太、そして兵衛に再会し、ようやく彼等の素性を明かされて仰天する。六郎太は、運んだ金は秋月家再興に用いるため雪姫ですら自由にできないと、せめてもの褒美として大判一枚を二人に渡す。金にこだわり続けていた二人だったが、今は褒美の大判を譲り合いながら仲良く家路につく。
== キャスト ==
*真壁六郎太:[[三船敏郎]]
*太平:[[千秋実]]
*又七:[[藤原釜足]]
*雪姫:[[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]
*田所兵衛:[[藤田進]]
*娘:[[樋口年子]]
*長倉和泉:[[志村喬]]
*老女:[[三好栄子]]
*
*早川方の騎馬侍:[[土屋嘉男]]
*
*落武者:[[加藤武]]
*山名の番卒:[[三井弘次]]<small>(松竹)</small>
*橋の関所奉行:[[小川虎之助]]
*人買いの親父:[[上田吉二郎]]
*
*火祭りの男:[[田島義文]]
*バクチ打ち:[[沢村いき雄]]
*秋月の雑兵:[[大村千吉]]
*六郎太に捕
*山名の足軽:[[
*秋月の雑兵:[[小杉義男]]
*六郎太に捕
*橋の関所番卒:[[佐田豊]]
*峠の関所番卒
*屈強な若者:[[中丸忠雄]]
*山名の足軽:[[熊谷卓三|熊谷二良]]
*山名の雑兵:[[広瀬正一]]
*山名の落武者
*馬を買う侍:[[大橋史典]]
*伝令の騎馬武士
*見張りの武士:[[伊藤実]]、[[鈴木治夫 (俳優)|鈴木治夫]]、金沢重勝
*対岸の山名の足軽
*秋月の雑兵{{R|中島春雄}}:[[中島春雄]]
*秋月の雑兵:[[久世竜]]
*山名の足軽
*屈強な若者
*荷車を追う騎馬武者
*火祭りの女達:[[日劇ダンシングチーム]]
== スタッフ ==
*監督:[[黒澤明]]
*製作:[[藤本真澄]]、黒澤明
*脚本
*撮影
*美術:[[村木与四郎]]
*録音
*照明
*音楽
*美術監修
*監督助手
*特殊技術
*製作担当者
*振付:県洋二
*音響効果:[[三縄一郎]]
*監督助手:[[田実泰良]]、[[坂野義光]]、[[松江陽一]]、[[高瀬昌弘]]
*撮影助手:[[斎藤孝雄]]、[[木村大作]]
*剣術指導:[[杉野嘉男]]<small>(香取神道流)</small>
*流鏑馬指導:金子家教、遠藤茂<small>(大日本弓馬会武田流)</small>
==
[[ファイル:Horaikyo1.jpg|thumb|250px|本作の隠し砦の撮影地となった[[蓬萊峡]]。]]
[[1956年]]、[[黒澤明]]は若手監督のために3本の時代劇映画をプロデュースする話を進めていた<ref name="大系2解説">浜野保樹「解説・世界のクロサワと挫折―時代劇三部作」({{Harvnb|大系2|2009|pp=683-684}})</ref>。本作はその1本として脚本家の[[菊島隆三]]が提案した企画で、[[甲府市]]出身の菊島が子供時代に[[甲府城]]で焼米を掘って遊んだ思い出から、焼米を軍用金にして隠していたらどうなるかという発想をしてアイデアが生まれた<ref name="大系2解説"/><ref name="菊島">[[菊島隆三]]「すぐれた作品のかげにはストイックなまでの自虐」(『黒澤明ドキュメント』キネマ旬報社、1974年)。{{Harvnb|キネマ旬報|2010|pp=108-116}}に所収</ref>。当初は[[鈴木英夫]]監督で予定されたが、最終的に黒澤が監督することになった<ref>{{Cite book |和書 |author=佐藤忠男|authorlink=佐藤忠男|date=2002-10 |title=黒澤明作品解題 |series=岩波現代文庫 |publisher=[[岩波書店]] |isbn=9784006020590 |pages=202-203}}</ref>。脚本は案を出した菊島が第1稿を書くことになったが、30枚ぐらいしか書いていない段階で招集がかかり、黒澤、[[小國英雄]]、[[橋本忍]]が加わって4人で共同執筆した<ref name="菊島"/>。敵中突破などの方法は、黒澤が次々と困難な状況を設定し、その解決方法をみんなで考えながら書き進めた<ref>「黒澤明、自作を語る―隠し砦の三悪人」({{Harvnb|キネマ旬報|2010|p=53}})</ref>。
[[1958年]]5月27日、[[兵庫県]][[西宮市]]の[[蓬萊峡]]で撮影開始した<ref name="メモ">{{Cite journal|和書 |author= |date=1988-2 |title=製作メモランダ |journal=全集黒澤明 |volume=4 |publisher=岩波書店 |isbn=9784000913249 |pages=432-433}}</ref>。蓬莱峡は秋月の隠し砦の舞台となり、秋月城のセットは「農場オープン」と呼ばれた[[東宝スタジオ|東宝撮影所]]の敷地内に建てられた<ref>{{Cite web|和書|url=http://kinema-shashinkan.jp/special/-/93 |title=黒澤明第3部-PAGE6|website=日本映画写真のキネマ写真館 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160716005219/http://kinema-shashinkan.jp:80/special/-/93 |archivedate=2016-07-16 |accessdate=2019-06-30}}</ref>。8月から[[御殿場市]]の[[富士山]]麓で撮影を行うが、天候不順で雨と霧の日が続き、撮影日数は大幅に遅れた<ref name="尾崎"/>。当初は撮影実働日数が83日間、製作費が9000万円で、8月末に完成を予定していたが、最終的に撮影実働日数は147日間、製作費は1億9500万円にまで増大した<ref name="尾崎"/>。プロデューサーの[[藤本真澄]]は、完成遅延の責任を取って完成当日に社長に進退伺いを出したが、「過去は一切を問わず、今後、再びこの種の問題を起こさないような方法を考究する」として却下された<ref name="尾崎"/>。これがきっかけで、[[1959年]]に東宝と黒澤が折半出資して黒澤プロダクションを設立し、以後は黒澤も自作に対して経済的責任を負うことになった<ref>浜野保樹「解説・世界のクロサワと挫折―黒澤プロダクション」({{Harvnb|大系2|2009|pp=695-696}})</ref>。
ヒロインの雪姫役は、若くてお姫様らしい気品と野性味があるというイメージに合う人物を探すため、全国から4000人もの応募者を集めて[[オーディション]]をするが候補者は見つからず、全国の東宝系社員にも探させ、ようやく社員がスカウトした[[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]が抜擢された<ref>『芸能画報』1958年2月号、国際写真通信社、1958年、33頁。</ref>{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|p=325}}。応募者の中には[[若林映子]]や[[樋口年子]]もおり、樋口は本作で百姓娘役に抜擢された{{sfn|研究会|1999|p=204}}。黒澤は上原に[[エリザベス・テイラー]]のようなメイクを施そうとしたが、最終的に[[能面]]「喝食」の表情に似せるようにした<ref>[[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]「雪姫になって」(DVDの解説書)、東宝、2003年、37頁。</ref>。上原は演技経験のない素人であり、あまり喋らせないようにするために口が利けない設定になっている<ref name="大系2解説2"/>。また、田所兵衛役は当初[[松本白鸚 (初代)|松本幸四郎]]が演じる筈だったが、撮影日数の延長により出演できなくなり、[[藤田進]]が代役を務めた<ref name="大系2解説2"/>。
[[三船敏郎]]演じる真壁六郎太が馬で敵の騎馬武者を追いかけて斬り捨てるシーンは、三船が[[スタントマン]]を使わずに演じた<ref name="丹野">{{Citation |和書 |editor=丹野達弥 |date=1998-10 |title=村木与四郎の映画美術「聞き書き」黒澤映画のデザイン |publisher=フィルムアート社 |isbn=4845998858 |pages=115}}</ref>{{sfn|都築|2010|pp=293-294}}<ref name="松田">{{Citation|和書 |author=[[松田美智子 (作家)|松田美智子]] |date=2014-1 |title=サムライ 評伝三船敏郎 |publisher=[[文藝春秋]] |isbn=9784163900056 |page=59-60}}</ref>。三船は両手で刀を握って八双の構えをとり、膝だけで馬を制御している<ref name="松田"/>。黒澤は疾走する馬を移動撮影ではなく、3台の[[望遠レンズ]]を付けたカメラで[[パン (撮影技法)|パンニング]]で撮ることで、ダイナミックなスピード感を出した<ref name="丹野"/>{{sfn|都築|2010|pp=293-294}}。また、六郎太たちが鉄砲隊に狙撃されるシーンでは、本物の銃弾を撃たせ、わずかに狙いがそれるように撮ろうとしたが、さすがに三船も弾丸をかわすことは出来ず、編集で実弾が着弾するショットを繋いでいる<ref name="大系2解説2"/>。着弾シーンも普通は火薬を使うが、火薬だと煙が出てしまうため、実弾を打ち込むことにした<ref>{{Cite book|和書 |author=塩澤幸登 |date=2005-7 |title=KUROSAWA 映画美術編 |publisher=[[河出書房新社]] |isbn=9784309906447 |page=323}}</ref>。
== 音楽 ==
{{Infobox Album
| Name = 隠し砦の三悪人
| Type = [[サウンドトラック]]
| Artist = 佐藤優
| cover =
| released = 1958
| recorded =
| Genre = [[サウンドトラック]]
| Length = 74:04
| label = Toho Music
| producer =
}}
佐藤優作曲。サウンドトラックアルバムは65曲から構成<ref>{{cite web | url=https://www.toho-m.co.jp/cdlist-soundtrack.php | title=隠し砦の三悪人 |accessdate=2024年12月11日}}</ref>されている。
== 評価 ==
配給収入は3億4264万円で、1958年度の邦画配給収入ランキングで5位となるが{{Sfn|85回史|2012|pp=148,156}}、東宝配給映画の年間興行成績(58年7月~59年6月)では1位を記録した<ref name="尾崎"/>。[[キネマ旬報#第32回(1958年度)|第32回キネマ旬報ベスト・テン]]では日本映画第2位に選ばれ、[[橋本忍]]が脚本賞を受賞した{{Sfn|85回史|2012|pp=148,156}}。さらに[[ブルーリボン賞 (映画)#第9回(1958年度)|第9回ブルーリボン賞]]の作品賞に加え<ref>{{Cite web|和書|url=http://cinemahochi.yomiuri.co.jp/b_award/1958/ |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120529112603/http://cinemahochi.yomiuri.co.jp/b_award/1958/ |archivedate=2012-05-29 |title=ブルーリボン賞ヒストリー 第9回(1959年2月5日) | website=シネマ報知 |accessdate=2020-09-01}}</ref>、[[第9回ベルリン国際映画祭]]の[[銀熊賞 (監督賞)|監督賞]]と[[ベルリン国際映画祭 FIPRESCI賞|国際映画批評家連盟賞]]を受賞した<ref>{{Cite web |url=https://www.berlinale.de/en/archive/jahresarchive/1959/03_preistraeger_1959/03_preistraeger_1959.html |title=PRIZES & HONOURS 1959 | website=Berlinale |language=英語 |accessdate=2020年9月1日}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://fipresci.org/awards/1959/ |title=Festival Awards - 1959 | website=fipresci.org |language=英語 |accessdate=2020年9月1日}}</ref>。
キネマ旬報が発表したオールタイム・ベストでは、[[1999年]]の「オールタイム・ベスト100 日本映画編」で49位{{Sfn|85回史|2012|p=588}}、[[2009年]]の「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」で106位<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.kinejun.jp/special/90alltimebest/index.html |archiveurl=https://web.archive.org/web/20091215171829/http://www.kinejun.jp/special/90alltimebest/index.html |archivedate=2009-12-15 |title=「オールタイム・ベスト 映画遺産200」全ランキング公開 |website=[[キネマ旬報映画データベース]] |accessdate=2020-09-01}}</ref>にランクした。
映画批評集積サイトの[[Rotten Tomatoes]]には33件のレビューがあり、批評家支持率は97%で、平均点は8.48/10、観客支持率は93%となっている<ref>{{Cite web |url= https://www.rottentomatoes.com/m/1009583_hidden_fortress |title= THE HIDDEN FORTRESS | website=[[Rotten Tomatoes]] |language=英語 |accessdate=2020年9月1日}}</ref>。
== 影響 ==
[[1977年]]公開の[[ジョージ・ルーカス]]監督作『[[スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望]]』のアイデアは、本作を基にしていることを監督自らが語っている<ref name="スター・ウォーズ1">{{Cite web |url=http://www.bbc.com/culture/story/20160104-the-film-star-wars-stole-from |author=Nicholas Barber |title=The film Star Wars stole from | website=BBC |language=英語 |accessdate=2020年9月1日}}</ref>。ルーカスは[[C-3PO]]と[[R2-D2]]が、百姓コンビの太平と又七をモデルにしたことも認めている{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|pp=333}}。ほかにも、黒澤映画の特徴的技法であるワイプによる場面転換を採用し、[[レイア・オーガナ|レイア姫]]の男勝りな性格や行動には雪姫の影響がある<ref name="スター・ウォーズ1"/>。黒澤の渡米時に通訳を務めたオーディ・E・ボックによると、黒澤がルーカスや[[アーヴィン・カーシュナー]]らと会合した時に、『[[七人の侍]]』の海外放映の著作権をめぐる裁判について話をし、その後にルーカスが『スター・ウォーズ』が本作からヒントを得ていることを語ると、周りから「裁判沙汰になるのがいやだったら、間違ったって私は盗作しましたなんて、正直に告白するもんじゃないよ」と冗談交じりに言われたという<ref name="素顔">オーディ・E・ボック「素顔の黒澤明」(『話の特集』1979年6月号、佐藤美和子訳)。『大系黒澤明 第3巻』講談社、2010年2月、pp.260-271に所収</ref>。
なお、スター・ウォーズエピソード4公開当時、[[星新一]]が早くも冒頭シーンと「隠し砦の三悪人」との類似について独自に気付いており、エッセイに書き残している。
[[ジョン・ミリアス]]監督も[[1975年]]公開の『[[風とライオン]]』で、三船のアクションシーンを模倣している{{sfn|研究会|1999|p=198}}。[[2008年]]には[[樋口真嗣]]監督で[[リメイク]]作『[[隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS]]』が公開された。また、黒澤映画のファンである漫画家の[[和田慎二]]は、[[1973年]]に本作を元にした漫画『[[炎の剣]]』を『[[別冊マーガレット]]』3月号に掲載した。
== その他 ==
*劇中、火祭りの歌の歌詞は室町時代の成立である『[[閑吟集]]』の「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」に由来する。この歌集に先行する類似の文句としては、室町幕府初代将軍[[足利尊氏]]の清水寺への請願文の書き出しとして有名な「この世は夢のごとくに候」がある。
*後半、木を持って太平と又七が逃げるシーンで「県境を超えれば早川領」というセリフがあるが、当時県ではないためDVD字幕では「国境」と直されている。
== テレビ放送 ==
[[1981年]][[4月4日]]、[[フジテレビジョン|フジテレビ]][[フジネットワーク|系列]]の『[[ゴールデン洋画劇場]]』(因みにこの日が金曜から土曜へ移動した初回)の特別企画『映画ビッグスペシャル』(19:33 - 22:54)第2部(第1部は『速報![[第53回アカデミー賞]]授賞式』)でテレビ放送された<ref>{{Cite book|和書|title=[[読売新聞]] [[縮刷版]]|publisher=[[読売新聞社]]|date=1981年4月4日付けラジオ・テレビ欄}}</ref>。なお映画終了後は、黒澤監督を始め、本作の出演者である千秋実・藤原釜足・上原美佐が出演、当時を振り返った。この時上原は女優業を引退していたため「引退後、主婦、二児の母」と紹介されている。
== リメイク ==
『[[隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS]]』参照。
== 舞台 ==
[[2023年]]7月 - 8月、東京・[[明治座]]、大阪・[[新歌舞伎座 (大阪)|新歌舞伎座]]で上演予定<ref name="natalie220406">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/stage/news/519725|title=黒澤映画「隠し砦の三悪人」舞台化決定、真壁六郎太役の上川隆也「壁の高さは計り知れません」|date=2023-04-06|website=ステージナタリー|publisher=ナターシャ|accessdate=2023-04-06}}</ref>。
=== キャスト(舞台)===
* 真壁六郎太 - [[上川隆也]]{{R|natalie220406}}
* 又七 - [[風間俊介]]{{R|natalie220406}}
* 太平 - [[六角精児]]{{R|natalie220406}}
* 雪姫 - [[小林由依 (アイドル)|小林由依]]([[櫻坂46]]){{R|natalie220406}}
* 田所兵衛 - [[宇梶剛士]]{{R|natalie220406}}
* 山名竹膳 - [[佐藤アツヒロ]]<ref name="natalie230509">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/stage/news/523863|title=黒澤映画「隠し砦の三悪人」舞台版に佐藤アツヒロ登場「これは怖い…怖すぎです」|date=2023-05-09|website=ステージナタリー|publisher=ナターシャ|accessdate=2023-06-10}}</ref>
* 陽之助 - [[高木トモユキ]]{{R|natalie230509}}
* 伊織 - [[平田裕一郎]]{{R|natalie230509}}
* 三之丞 - [[岡宏明]]{{R|natalie230509}}
* カメ - [[北村由海]]{{R|natalie230509}}
* 小冬 - [[前田悠雅]]{{R|natalie230509}}
=== スタッフ(舞台)===
* 原作:黒澤明、橋本忍、小國英雄、菊島隆三「隠し砦の三悪人」
* 上演台本・演出:[[横内謙介]]{{R|natalie220406}}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2
|refs=
<ref name="中島春雄">{{Cite book|和書|title=怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄|author=中島春雄|authorlink=中島春雄|date=2010-07-31|publisher=[[洋泉社]]|pages=288、354|isbn= 978-4-86248-589-2}}</ref>
}}
==参考文献==
*{{Cite book |和書 |author=スチュアート・ガルブレイス4世|title=黒澤明と三船敏郎|publisher=亜紀書房|date=2015-10|isbn=9784750514581 |ref={{SfnRef|ガルブレイス4世|2015}} }}
*{{Citation |和書 |editor=黒澤明研究会 |date=1999-12 |title=黒澤明 夢のあしあと |series=MOOK21シリーズ |publisher=[[共同通信社]] |isbn=9784764130418 |ref={{SfnRef|研究会|1999}}}}
*{{Cite book |和書 |author=都築政昭|authorlink=都築政昭|title=黒澤明 全作品と全生涯 |publisher=[[東京書籍]] |date=2010-03 |isbn=9784487804344 |ref={{SfnRef|都築|2010}} }}
*{{Citation |和書 |editor=[[浜野保樹]] |title=大系黒澤明 第2巻 |publisher=[[講談社]] |date=2009-12 |isbn=9784062155762 |ref={{SfnRef|大系2|2009}} }}
*{{Citation |和書 |date=2010-4 |title=キネマ旬報セレクション 黒澤明 |publisher=[[キネマ旬報社]] |isbn=9784873763293 |ref={{SfnRef|キネマ旬報|2010}} }}
*{{Cite book |和書|editor=|date=2012-05|title=キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011|series=キネマ旬報ムック|publisher=キネマ旬報社|isbn=978-4873767550|ref={{Harvid|85回史|2012}}}}
== 外部リンク ==
{{commonscat|The Hidden Fortress}}
{{Portal 映画}}
* {{jmdb title|1958|ch005520|隠し砦の三悪人}}
* {{
* {{
* {{Amg movie|22325|The Hidden Fortress}}
* {{imdb title|0051808|The Hidden Fortress}}
{{黒澤明監督作品}}
{{ブルーリボン賞作品賞}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:かくしとりてのさんあくにん}}
[[Category:1958年の映画]]
[[Category:東宝製作の映画作品]]
[[Category:時代劇映画]]
[[Category:黒澤明の監督映画]]
[[Category:
[[Category:
[[Category:
[[Category:日本の戦国時代を舞台とした映画作品]]
[[Category:16世紀を舞台とした映画作品]]
[[Category:御殿場市で製作された映画作品]]
[[Category:兵庫県で製作された映画作品]]
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[[Category:三船敏郎]]
[[Category:王女を題材とした作品]]
[[Category:逃亡を題材とした作品]]
[[Category:三人組を主人公とした映画作品]]
[[Category:映画を原作とする舞台作品]]
[[Category:2023年の舞台作品]]
[[Category:日本の舞台作品]]
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