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{{Redirect|黙示録}}
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2013年2月
| 独自研究 = 2013年2月
| 言葉を濁さない = 2020年12月
}}
{{新約聖書}}
{{キリスト教終末論}}
『'''ヨハネの黙示録'''』(ヨハネのもくしろく {{lang-grc|Ἀποκάλυψις Ἰωάννου}}、{{lang-la|Apocalypsis Iōannis}}、{{lang-en|Revelation}})は、『[[新約聖書]]』の最後に配された聖典であり、『新約聖書』の中で唯一[[預言書]]的性格を持つ書である。
『ヨハネの黙示録』は、単に『'''黙示録'''』あるいは『'''ヨハネによる黙示録'''』、『'''神学者聖イオアンの黙示録'''』([[日本ハリストス正教会]])、『'''使徒聖ヨハネ黙示録'''』([[我主イエズスキリストの新約聖書|天主公教会]])、『'''ヨハネへの啓示'''』([[新世界訳聖書]])ともいわれる。
タイトルの「[[黙示]]」とは[[ギリシ
== 成立 ==
旧約・新約をとおしても『黙示録』は[[聖書]]の中で最もその扱いが議論されている。
聖書自身の自己証言による伝統的な理解では『[[ヨハネによる福音書]]』、『[[
一方で、著者「[[ヨハネ]]」に関してもほとんど知られていないとし、
[[4世紀]]には、[[東方教会|東方]]で、[[金口イオアン
伝統的に、『黙示録』の成立は[[ドミティアヌス]]帝時代の紀元[[96年]]周辺であると考えられてきたが、聖書学者の中には[[ネロ]]帝時代の[[69年]]
== 構成 ==
『ヨハネの黙示録』は、古代キリスト教の[[アナトリア半島|小アジア]]における七つの主要な教会にあてられる書簡という形をとっている。[[7つの教会|七つの教会]]とは、
# [[エフェソス]] # [[スミルナ]] # [[ペルガモン]] # [[ティアティラ]] # [[サルディス]] # [[アラシェヒル|フィラデルフィア]] # [[ラオディキア]] である。 文中では著者
#緒言(1章)
##初めの言葉(1:1-3)
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##エペソ教会: 偽りを退けたが、愛から離れた(2:1-7)
##スミルナ教会: 貧しいが富んでいる。死に至るまで忠実であれ。(2:8-11)
##ペルガモ教会: [[サタン]]の王座がある場所で忠実に証ししているが、ニコライ派の教えを悔い改めよ。(2:12-17)
##[[テアテラ]]教会: 愛、奉仕、信仰、忍耐を知っているが、[[イ
##サルデス教会: 死んでいる。目を覚まして悔い改めよ。 (3:1-6)
##フィラデルフィヤ教会: 門を開く。みことばに従い、名を否まず、力があった。(3:7-13)
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###大患難を通り、子羊の血で洗った白い衣を着た大群衆(7:9-17)
##第七の封印:しばらく沈黙があり、祈りがささげられる(8:1-5)
#[[黙示録のラッパ吹き|七人の天使]]が[[ラッパ]](
##第一のラッパ:地上の三分の一、木々の三分の一、すべての青草が焼ける (8:6-7)
##第二のラッパ:海の三分の一が血になり、海の生物の三分の一が死ぬ (8:8-9)
##第三のラッパ:[[ニガヨモギ (聖書)|にがよもぎ]]という星が落ちて、川の三分の一が苦くなり、人が死ぬ (8:10-11)
##第四のラッパ:太陽、月、星の三分の一が暗くなる(8:12-13)
##第五のラッパ:いなごが額に神の刻印がない人を5ヶ月苦しめる(9:1-12)
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###天使に渡された小さな巻物を食べた。腹には苦いが、口には甘い(10:1-11)
###二人の証人が殺されるが生き返る(11:1-14)
##第七のラッパ:この世の国はわれらの主、[[メシア]]のものとなった。天の神殿が開かれ、契約の箱が見える。(11:15-19)
#天の戦い、地における獣の増大、地の刈り入れ(12章-14章)
##女を見た。太陽を着て、月を踏み、12の星をかぶる(12:1-6)
##天で戦いが起こった。サタンが地に投げ落とされる(12:7-12)
##[[黙示録の獣|赤い竜]]が神の民を迫害する(12:13-17)
##獣が神の民と戦うために海の中から上ってくる。いのちの書に名が記されていないものはこれを拝む(13:1-10)
##獣が地から上ってくる。[[獣の数字|獣の刻印]]を付ける (13:11-18)
##[[エルサレム]]の[[シオンの山]]の子羊(14:1-5)
##三人の天使が裁きを宣言する(14:6-13)
##鎌が地に投げ入れられる(14:14-20)
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###第六の鉢:しるしを行う3匹の悪霊、[[ハルマゲドン]]に王を集める(16:12-16)
###第七の鉢:大地震 島も山も消える(16:17-21)
#大淫婦
##[[大淫婦バビロン
##バビロンの滅亡 (18:1-8)
##人々がバビロンの滅亡をなげく(18:9-19)
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##子羊の婚宴(19:7-10)
#キリストの千年の統治の開始、サタンと人々の裁き(19章11節-20章)
##
###白い馬に乗った方の名は「誠実」「真実」、血に染まった服を着る「神のことば」、「王の王」「主の主」(19:11-16)
###獣と偽預言者が火の池に投げ込まれる (19:17-21)
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###サタンが一時的に解放されて神の民と戦うが、滅ぼされる(20:7-9)
###サタンが獣や偽預言者もいる火と硫黄の池に投げ込まれて、永遠に苦しむ(20:10)
###最後の裁き:いのちの書に名が無い者がすべて火の池に投げ込まれ
#[[新天新地]]
##新しい天と新しい地 最初の天と地は去った。(21:1-8)
111 ⟶ 120行目:
##警告:この書物に(記述を)付け加える者には災害が加えられ、(記述を)取り除く者からはいのちの木と聖なる都から受ける分が取り上げられる。 (22:18-21)
== 解釈 ==
[[Image:Saint John on Patmos.jpg|thumb|250px|『[[ベリー公のいとも豪華なる時祷書]](''{{Lang|fr|Très Riches Heures du Duc de Berry}}'')』に描かれた、[[パトモス島]]の福音書記者ヨハネの図。王座の周りを四人の[[熾天使]](セラフィム)が囲み、純粋をあらわす白いローブに身を包む24人の長老が両側に座る。彼らは金の冠を頭に
ヨハネの黙示録には【ヨハネは、神の言葉とイエス・キリストの証、すなわち、自分の見たすべてのことを証しした(1-2)】【イエスの証しは預言の霊なのだ(19-10)】と記されている。
この言葉は福音書の【人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この世でも後の世でも赦されることがない(マタイ12-32)】【父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊(ヨハネ14-26)】と呼応しており、ヨハネの黙示録自体が福音書に記されている聖霊であることを示している。
また、解釈をしようとすると【これに付け加える者があれば、神はこの書に書いてある災いをその者に付け加える(22-18)】と記されており、簡単に解釈するわけにもいかない。しかし、この言葉は、逆に、この書に書かれている災いを自ら受ける覚悟を持てば、解釈も許されると言う意味ともなる。では、この災いとは何か……個人として受ける災いは、火と硫黄の燃える池(21-8)であり、ここに入るのを覚悟しさえすれば、解釈することも可能である。
つまり、解釈するためには、実際にこの火と硫黄の燃える池に飛び込むしかない。
『黙示録』は歴史の中で様々に論じられてきた。特に『聖書』の中でもここにしか現れない「[[千年王国]]」論の特殊性への賛否やキリストの再臨の解釈をめぐって多くの議論を巻き起こした。しかし、歴史の中で現れた多くの解釈をまとめると預言書、文学、普遍的イメージの三つの見方に集約することが出来るとする立場もある。
=== 預言書としての解釈 ===
この見方は『黙示録』を『[[ダニエル書]]』などの流れにある終末預言の一つであるとして、未来の事柄についても語られた終末預言書とみる見方である。
[[マルティン・ルター]]ら歴史的な[[プロテスタント]]の黙示録理解は、歴史主義解釈というもので、起こっていない未来の出来事を預言として与えられたという見方である。この立場では、未来にキリスト教の教理であるイエス・キリストの[[再臨]]、人間の体の復活、[[最後の審判]]、[[天国]]あるいは[[地獄 (キリスト教)|地獄]]への裁き、新天新地の到来があると信じられている
=== 文学類型(ジャンル)としての解釈 ===
この見方では、『黙示録』は、紀元前2世紀以降のユダヤ教で起こった終末思想とそれにしたがって書かれた『ダニエル書』などの一連の[[黙示文学]]の影響を受けたキリスト教的黙示文学であると解釈する。この見方が18世紀以降、[[自由主義神学]]の[[高等批評]]を受け入れる研究者の中では主流となっている。この解釈に沿ってみていくと、『黙示録』が『ダニエル書』などの一連の黙示文学と同じ「幻のうちに受ける啓示」、「歴史区分の提示」、「神の完全な支配の実現」などのパターンに沿って書かれているということがよくわかるとされる(「[[黙示]]」の項も参照のこと)。この立場の学者は、レンスキ、ナイルズである。[[ルドルフ・ブルトマン]]の[[非神話化]]では、イエス・キリストの来臨はすでに起こったこととされている<ref name="McGrath">
=== 普遍的テーマのイメージ化としての解釈 ===
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過去主義者の解釈では『黙示録』が1世紀の終わりに起きた大迫害を預言していたという見方があるが、ヨハネがこの書を書いたのが1世紀の後半だと考える立場からは当然に支持されない。
過去主義者の体系的記述は[[イエズス会]][[修道士]]アルカザールのもので、宗教改革者がローマ・カトリックを大淫婦バビロンとみなしたため、それを否定するためにあみだされたものであるが、その後に預言を否定するリベラルな[[ウィリアム・ラムゼー]]、[[シェイラー・マシューズ]]によって主張されている
=== キリスト教の教理 ===
ただし、[[プロテスタント]]の[[信仰告白]]では、[[ウェストミンスター信仰告白]]にも、未来に起こることがらである[[再臨]]と[[最後の審判]]の根拠の聖句としてあげられている。今日でも歴史的なキリスト教終末論の理解からは、使徒ヨハネが神の啓示を受けたと信じられている
=== 表象(イメージ)の解釈 ===
黙示録の中にはさまざまなイメージが現れ、歴史の中で多くの芸術家にモチーフを提供してきた
「文学類型」的解釈の立場に立つ学者たちは、『黙示録』のイメージを歴史的事実や、歴史上の人物などにあてはめることで解釈しようとしてきた。たとえば13章にあらわれる竜に権威を与えられた「海からの獣」は、強大な力を持ってキリスト教に対抗するものということで、[[ローマ帝国]]もしくは[[ローマ皇帝]]であると考えられる。その獣が持つ七つの頭は、アウグストゥス以来の七人のローマ皇帝にあてはめて解釈される。
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また、16章16節にあらわれる「[[ハルマゲドン]]」という言葉に関しては、本来の意味が知られずにおどろおどろしいイメージだけが独り歩きしている感があるが、「メギドの丘」という解釈が主流である。黙示録の中では神との戦いに備えて汚れた霊が王たちを集める場所をさす名称である。[[メギド]]は北イスラエルの地名で戦略上の要衝であったため、古来より幾度も決戦の地となった。このことから「メギドの丘」という言葉がこの箇所で用いられたと考えられている。
==ヨハネの黙示録を題材とした作品==
=== フィクション ===
{{Dl2
| 文学作品 |
* [[
* [[ティム・ラヘイ]]、[[ジェリー・ジェンキンズ]]『[[レフトビハインド]]』 - 後に映画化。
| 絵画 |
* {{仮リンク|マティアス・ゲールング|en|Matthias Gerung|de|Matthias Gerung}}『黙示録註解』
* [[アルブレヒト・デューラー]]『ヨハネの黙示録』
* [[オディロン・ルドン]]『ヨハネの黙示録』
| 映画 |
* 『[[アポカリプス 〜黙示録〜]]』
* 『[[第七の封印 (映画)|第七の封印]]』
* 『[[地獄の黙示録]]』(原題:''Apocalypse Now'') - 物語自体は[[ジョセフ・コンラッド]]の小説『[[闇の奥]]』を下敷きとしている。
* 『[[ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日]]』
* 『[[炎628]]』 - 原題:''{{lang|ru|Иди и смотри}}''(来たれ、そして見よ)は、第6章6:7 - 6:8の一節から採られている。
* 『[[ミスト (映画)|ミスト]]』
* 『{{仮リンク|リメイニング|en|The Remaining}}』
| テレビドラマ |
* 『[[相棒]]』Season6 第19話「黙示録」
* 『[[特捜エクシードラフト]]』
* 『[[ウルトラマンネクサス]]』
* 『[[スーパーナチュラル]]』
* 『[[グッド・オーメンズ (テレビドラマ)|グッドオーメンズ]]』
| 漫画 |
* [[青池保子]]『[[エロイカより愛をこめて]]』のうち「第七の封印」
* [[鏡貴也]]、[[山本ヤマト]]『[[終わりのセラフ]]』
* [[鈴木央]]『黙示録の四騎士』
}}
=== 評論 ===
* 『黙示録』 - [[D.H.ロレンス]]。[[福田恆存]]
* {{Cite book|和書|author1=マルクス |authorlink1=カール・マルクス |author2=エンゲルス |authorlink2=フリードリヒ・エンゲルス |editor=ドイツ社会主義統一党中央委員会付属マルクス=レーニン主義研究所 |others=[[大内兵衛]]、[[細川嘉六]] 監訳 |title=[[マルクス・エンゲルス全集]] 第21巻 「黙示録」 |date=1971-08-30 |publisher=[[大月書店]] |edition=第4刷 |isbn=978-4-2720-0210-8 |id={{NDLSearch|R100000039-I2992200}} |pages=9-15 |chapter=黙示録}}
===音楽===
: [[フランツ・シュミット]]「[[7つの封印の書]]」
: [[デイヴィット・ギリングハム]]「ヨハネ黙示録の天使達(打楽器アンサンブル曲)」
: [[マドンナ (歌手)|マドンナ]]「[[ジャスティファイ・マイ・ラヴ|ジャスティファイ・マイ・ラヴ (ビースト・ウィズイン・リミックス)]] 」
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}
== 関連項目 ==
{{wikisourcelang|el|Αποκάλυψις Ιωάννου|{{Lang|grc|Αποκάλυψις Ιωάννου}}}}
{{wikisource|ヨハネの默示録(文語訳)}}
{{wikisource|ヨハネの黙示録 (口語訳)}}
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{{Columns-list|20em|
* [[
* [[
* [[ダニエル書]]
* [[ニガヨモギ (聖書)]]
* [[バチカン]]
* [[ローマ教皇庁]]
* [[ヨハネの黙示録の四騎士]]
* [[黙示録のラッパ吹き]]
* [[黙示録の獣]]
* [[黙示録の仔羊]]
* [[神の怒り]]
* [[キリスト教終末論の相違点]]
* [[神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)]]
}}
== 外部リンク ==
*[https://www.patmosislandgreece.com/patmosapocalypse/apocalypsecave/ The Cave of the Apocalypse]{{en icon}}
*[https://www.visitgreece.gr/experiences/religious-tourism/monasteries/spiritual-sites-on-patmos/ Spiritual sites on Patmos] the Greek National Tourism Organisation{{en icon}}{{el icon}}
*{{kotobank}}
*{{kotobank|ヨハネ黙示録}}
*{{kotobank|黙示録}}
{{黙示録の7つの教会}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:よはねのもくしろく}}
[[Category:ヨハネの黙示録|*]]
[[Category:イエス・キリストの教理と教
[[Category:1世紀の書籍]]
[[Category:
[[Category:トルコのキリスト教]]
[[Category:ユネスコ記憶遺産]]
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