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{{Portal|舞台芸術}}
'''コンテンポラリー・ダンス'''({{langLang-en-short|'''contemporary dance'''}})は、文字通りには「今この時代の/当代の/現代の[[舞踊]]」という意味であるが、実際の語としては、[[フランス語]] "'''{{Lang|fr|danse contemporaine}}'''('''ダンス・コンタンポレーヌ''')" の[[意訳]]語である。また、[[日本語]]名としては、英語名の[[Wikt:音写|音写]]語「コンテンポラリー・ダ(danse contemporaine)ほかに[[漢]]「'''代舞踊'''」も通用している<ref group="注">[[語源学]]的解説チャート[ [[日本語|ja]]: 現代舞踊 < コンテンポラリー・ダンスといわ < [[英語|en]]: contemporary dance < [[フランス語|fr]]: danse contemporaine ]</ref>。[[1960年代]]以降の[[アバンギャルド]](前衛的)な[[ダンス]]に起源を求める説が有力だが、係る名称で呼ばれている舞踊芸術運動[[様式]]の発祥は、1980年代前半のが[[フランス]]あるともされており、フランス起源とする説もある。
 
== 概要 ==
[[ファイル:20th-century-concert-dance-vectorise (2).svg|none|thumb|400px|sketch showing lineage of 20th century concert dance © Ohka-<br>''Note: this sketch is provided for illustrative purposes only'']]
元は[[マース・カニングハム]]らがつくりあげた「[[ポスト・モダンダンス]]」以降のダンスをさしていたが、ドイツの[[タンツテアター]])や日本の[[暗黒舞踏]]、[[ストリートダンス]]、[[ヌーボーシルク]](現代サーカス)、各国のエスニック・ダンス、[[武術]]の型、映像やコンピューターなどの機材をつかった実験的パフォーマンスなど、考えうる限りのあらゆるパフォーマンスが取り込まれる状態が現在も進行している。
コンテンポラリー・ダンスにはアフリカン・ダンスや日本の舞踏などの、非西洋の要素が含まれる場合がある<ref>{{cite web|title=Origins of Contemporary Dance|url=http://dance.lovetoknow.com/Origins_of_Contemporary_Dance| access-date=1 December 2021}}</ref><ref>{{cite web|title=Contemporary Dance History|url=http://www.contemporary-dance.org/contemporary-dance-history.html|access-date=1 December 2021}}</ref>。行われている[[ダンス]]のうち”非古典的かつ前衛的で、時代の先端を体現している”ダンス作品およびダンステクニックを指す概念である。
[[イサドラ・ダンカン]]、[[マーサ・グラハム]]の[[モダンダンス]]や、[[マース・カニンガム]]らがつくりあげた「[[ポスト・モダンダンス]]」以降のダンスをさしていたが、ドイツの表現主義ダンス[[タンツテアター]]([[:de:Tanztheater|de]])や[[コンタクト・インプロビゼーション]]、[[暗黒舞踏]]、[[ストリートダンス]]、[[ヌーボーシルク]]([[:en:Contemporary circus|en]])(現代サーカス)、各国の[[フォークダンス|エスニック・ダンス]]、映像をつかった実験的パフォーマンスなど、考えうる限りのあらゆるパフォーマンスが取り込まれる状態が進行している。
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この現状をもって、定義づけできないことがコンテンポラリー・ダンスの本質であるかのような言説がなされることもあるが、むしろ定義づけが積極的に試みられること自体があまりなく、静観されている
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過去に[[バレエ]]や[[モダンダンス]]、[[ポスト・モダンダンス]]などの舞踊芸術を経験してきたダンサーのうち、クラシック・ダンスの伝統を解体し、創造的なダンスを目指しているダンサーやダンス・カンパニーに、コンテンポラリー・ダンスを標榜する傾向が見られる。ダンスの定義そのものを問いかける作品が増加する傾向もある。著名なダンサーには、[[ピナ・バウシュ]]や、勅使河原三郎らがいる<ref>[https://www.st-karas.com/profile_jp/ KARAS] KARAS 2022年11月26日閲覧</ref>。
 
== 詳細 ==
この現状をもって、定義づけできないことがコンテンポラリー・ダンスの本質であるかのような言説がなされることもあるが、むしろ定義づけが積極的に試みられること自体があまりなく、静観されている、という言い方がより正確だろう。
1970年代後半、フランスでは国策として文化の地方化(デサントラリザシオン)([[:fr:Déconcentration|fr]])が図られ、大きな文化予算が組まれるようになった。その一環として舞踊部門にも積極的に資金が投下されるようになり、皮切りとして1978年にアンジェの国立フランス現代バレエ団 (CNDC) が設置された。これは文化省のイゴール・エイスナーというダンス担当役人の働きによるもので、エイスナーは各地に地方振付センターを作って上からダンスのネットワーク形成を図った。首都パリの[[パリ国立オペラ|オペラ座]]にも現代舞踊部門が設置され、その指導者としてフィンランド系アメリカ人ダンサー、{{仮リンク|カロリン・カールソン|en|Carolyn Carlson (artist)}}が招聘された。このカールソンがコンテンポラリー・ダンスの母だとされている<ref group="注">カロリン・カールソンは1943年生まれの、フランス系アメリカ人の女性ダンサー。</ref>。
 
折りしもフランスにアメリカのモダンダンスやポスト・モダンダンスが紹介された時期と重なっていたこともあり、カールソンの新しい振り付けは斬新なものとして受け入れられた。ほどなくしてフランス発の前衛舞踊が振付けられるようになったが、当初は「コンテンポラリー・ダンス」ではなく「ヌーヴェル・ダンス」とよばれた。{{仮リンク|ヌーヴェル・ダンス|fr|Nouvelle danse française}}は反バレエ、あるいは脱バレエ的な試みであった。その形成には[[マース・カニンガム]]や[[ピナ・バウシュ]]、フランスで「グループMA」をつくって活動した{{仮リンク|矢野英征|fr|Hideyuki Yano}}(1943年 - 1988年)らの影響があると考えられている。
今のところ、現在行われている[[ダンス]]のうち「非古典的かつ前衛的で、時代の先端を体現している」と考えられるダンス作品およびダンステクニックを指す曖昧な概念である。
 
1990年代に入ると、新しい表現方法の追求にこだわる振付家が増え、映像、音響、照明、美術、ITを大規模かつ複合的に導入する事例がみられるようになった。同時に[[ストリートダンス]]や日本の[[舞踏]]、ヌーボーシルク、タンツ・テアター的手法が取り入れられるに至り、名称もコンテンポラリー・ダンス<ref>{{lang-fr-short|danse contemporaine}}</ref>へと変化した。CINRA Netは音楽とダンスを融合したイベントを開催したりしており、ダンサー康本雅子が出演したイベントもあった<ref>[https://www.cinra.net/article/column-201804-yasumotomasako CINRA Net] 2022年12月1日閲覧</ref>。
[[バレエ]]や[[モダンダンス]]、[[ポスト・モダンダンス]]などの舞踊芸術を実践している人々のうち、クラシックな伝統を解体し脱構築を目指しているダンサーやダンス・カンパニーには、「コンテンポラリー・ダンス」を標榜しているケースが多い(ただし、革新的なダンスを実践していてもコンテンポラリー・ダンスをあえて名乗らない、というケースも稀にある)。
 
== 世界の地域別ダンス==
近年は、ダンスの定義そのものに挑戦するような作品が増加する傾向にあり、ダンスにカテゴライズするべきかどうか判断に苦しむような場合もある。
=== ヨーロッパ ===
21世紀のヨーロッパのコンテンポラリーダンスは2つの現象が見られ、第一には見る人に想像力をはたらかせる現象、もう一つは歴史と記憶を呼び起こさせる現象で、これらの二つにその傾向を大別することが可能である<ref>[https://www.jstor.org/stable/25598226 Memory, History, Euro C dance] 2022年12月2日閲覧</ref>。<!-- 検索で該当文発見できませんでした= 前者は公立劇場のバレエ団や、モダンダンスカンパニー、コンテンポラリーダンスカンパニーなどを母体として、これまでのダンスと同じコンテクスト、身体の躍動性を観客に訴えかけることを主たる目的(あるいは作品において欠かすことのできない基盤)として有する。上演される場所も歌劇場など、伝統的劇場施設において主に発表される。後者は、テクスト、ビデオ、ファッションなど、様々なメディアを用いて、観客とユーモアや知性を共有することを目的としていて、特殊な身体特性(訓練されたダンサーの身体による躍動性)は必要ではない。また、個人作家による作品のため、ソロやデュオなど、少人数による作品が目立つ。上演場所もより小規模な劇場や、ギャラリー、あるいはしばしば屋外など、オルタナティヴなスペースで積極的に発表されている。この分け方は絶対的ではなく、例えばジェローム・ベルのように、両者の特徴を持った作品に関わるアーティストやダンサーも少なくない。--> 特にフランス、オランダ、イギリス、ギリシャ、ポルトガル、オーストリア、ドイツ、ベルギーなどにおいては、作品群が盛んに上演されている。
 
[[Image:20th-century-concert-dance-vectorise (2).svg|none|thumb|400px|sketch showing lineage of 20th century concert dance © Ohka-<br>''Note: this sketch is provided for illustrative purposes only'']]
 
=== 南アメリカ ===
==詳細==
ブラジルはCダンスがさかんであり、ブラジルのカンパニーが日本公演をおこなった。ヨーロッパの、モノトーンでスリムなダンサーが踊るといったイメージとは異なり、カラフルで肉感的なダンサーも多い。
1970年代後半、フランスでは国策として文化の地方化(デサントラリザシオン)が図られ、大きな文化予算が組まれるようになった。その一環として舞踊部門にも積極的に資金が投下されるようになり、皮切りとして1978年にアンジェの国立フランス現代バレエ団 (CNDC) が設置された。これは文化省のイゴール・エイスナーというダンス担当役人の働きによるもので、エイスナーは各地に地方振付センターを作って上からダンスのネットワーク形成を図った。首都パリの[[パリ国立オペラ|オペラ座]]にも現代舞踊部門が設置され、その指導者としてフィンランド系アメリカ人ダンサー、[[カロリン・カールソン]] (Carolyn Carlson) が招聘された。このカールソンがコンテンポラリー・ダンスの母だとされている。
 
=== 中近東 ===
折りしもフランスにアメリカのモダンダンスやポスト・モダンダンスが紹介された時期と重なっていたこともあり、カールソンの新しい振り付けは衝撃を持って受け入れられた。ほどなくしてフランス発の前衛舞踊が振付けられるようになったが、当初は「コンテンポラリー・ダンス」ではなく「ヌーヴェル・ダンス」とよばれた。
イスラエルがダンスの中心地であるバットシェバ、[[インバル・ピント&アブシャロム・ポラック]]・ダンスカンパニーの両カンパニーがその優れた身体能力を駆使した振り付けによって、国際的にも高い評価を受けている。
宗教的事情から、中東のコンテンポラリーダンスは決して盛んとはいえない。例えば[[イラン]]ではダンスそのものが非合法で、アーティストはこれをあくまでも演劇として呼称することで、存在を確保しようとしている。
 
=== 日本 ===
{{仮リンク|ヌーヴェル・ダンス|fr|Nouvelle danse française}}は反バレエ、あるいは脱バレエ的な試みであった。その形成には[[マース・カニングハム]]や[[ピナ・バウシュ]]、フランスで「グループMA」をつくって活動した[[矢野英征]](1943年 - 1988年)らの影響があると考えられている。
1990年代,「[[モダンダンス|現代舞踊]]」「[[舞踏]]([[:en:butoh|butoh]])」出身でありながら 枠におさまらない独自の活動をするダンサーの活動が活発になり、その総称として「日本のコンテンポラリーダンス」の語が使われ始めた。特に、JCDN(NPO法人 Japan Contemporary Dance Network 代表:佐東 範一)が、本来のContemporary Dance(≒Nouvelle Danse)とは関係が薄いが、この名称を使うことで、日本でもコンテンポラリーダンスという名称が普及した。
 
<!-- === アジア ===
1990年代に入ると革新的なムーブメントの追求よりも、むしろ新しい表現方法の追求にこだわる振付家が増え、映像、音響、照明、美術、ITを大規模かつ複合的に導入する事例がみられるようになった。同時に[[ストリートダンス]]や日本の[[舞踏]]、ヌーボーシルク、タンツ・テアター的手法が取り入れられるに至り、名称もコンテンポラリー・ダンス<ref>{{lang-fr-short|danse contemporaine}}</ref>へと変化した。
概してアジアではコンテンポラリーダンスを西洋舞踊の新しい型(テクニック及び方向性)として受け止めている傾向がある。したがってヨーロッパにみられるような実験的作品よりも、それまでのコンテクストにしたがい、身体的な躍動性を作品の主軸に置いていることが多い。ただし上演作品は、決して西洋舞踊をフォローしていると一概に言えるものではなく、作品のモチーフは各国独自の文化の影響を受けたものとみることができる。例えば、伝統舞踊を母体としたコンテンポラリーダンスの表現も試みられている。-->
 
== 著名な人物・集団 ==
==世界の各地域の事情==
[[ダンサー]]、[[振付家]]、[[カンパニー]]など、個人や集団のうち特筆性の高い者の一覧。
前述の通りコンテンポラリーダンスの定義は多様であり、その受け止められ方は地域、国によって様々である。現在(21世紀初頭)における海外での傾向は次の通りである(日本での受け止められ方は後述)。
=== ダンサー ===
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* [[アンジュラン・プレルジョカージュ]]({{仮リンク|バレエ・プレルジョカージュ|fr|Ballet Preljocaj}})
* [[アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル]](ローザス)
* [[イリ・キリアン]]([[ネザーランド・ダンス・シアター]])
* [[ウィリアム・フォーサイス (バレエダンサー)|ウィリアム・フォーサイス]]({{仮リンク|フランクフルト・バレエ|de|Ballett Frankfurt}}、{{仮リンク|フォーサイス・カンパニー|en|The Forsythe Company}})
* {{仮リンク|エマニュエル・ユエン|fr|Emmanuelle Huynh}}
* [[スーエン]]([[スエン舞踏カンパニー]])
* [[ジョン・ノイマイヤー]]({{仮リンク|ハンブルク・バレエ|en|Hamburg Ballet}})
* [[ピナ・バウシュ]]({{仮リンク|ヴッパタール舞踊団|de|Tanztheater Wuppertal Pina Bausch}})
* {{仮リンク|ダニエル・ラリュー|fr|Daniel Larrieu}}
* [[マギー・マラン]](カンパニー・マギー・マラン)
* {{仮リンク|ドミニク・バグエ|en|Batsheva Dance Company}}
* [[ナチョ・ドゥアト]](スペイン国立ダンスカンパニー)
* [[マイケル・クラーク]]
* [[フィリップ・ドゥクフレ]]
* [[オハッド・ナハリン]]({{仮リンク|バットシェバ舞踊団|en|Batsheva Dance Company}})
* {{仮リンク|ジョセフ・ナジ|fr|Josef Nadj}}
* {{仮リンク|エルヴェ・ロブ|fr|Hervé Robbe}}
* [[エドゥアール・ロック]]({{仮リンク|ラララ・ヒューマン・ステップス|en|La La La Human Steps}})
* {{仮リンク|サシャ・ヴァルツ|en|Sasha Waltz}}
* [[マース・カニンガム]](マース・カニンガム舞踊団)
* {{仮リンク|マリー・シュイナール|fr|Marie Chouinard}}({{仮リンク|カンパニー・マリー・シュイナール|fr|Compagnie Marie Chouinard}})
* {{仮リンク|ユーリ・ン|zh|伍宇烈}}
* {{仮リンク|メグ・スチュワート|en|Meg Stuart}}
* {{仮リンク|マチルダ・モニエ|fr|Mathilde Monnier}}
* {{仮リンク|ヴェラ・モンテロ|en|Vera Mantero}}
* {{仮リンク|マイケル・シューマッハ|de|Michael Schumacher (danser)}}
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* 別所るみ子
* 白井沙
* 鈴木アイリ
* [[佐東利穂子]]
* [[矢内原美邦]] Nibroll(カンパニー)
* [[白河直子]]([[H・アール・カオス]])
* [[伊藤直子]]([[マドモアゼル・シネマ]])
* [[康本雅子]]
* [[安藤洋子]] 
* [[勅使川原三郎]]
* [[森山開次]]
* [[伊藤キム]]([[輝く未来]])
* [[金森穣]]([[Noism]])
* [[近藤良平]]([[コンドルズ]])
* [[富野幸緒]]
* [[辻本知彦]]([[シルク・ドゥ・ソレイユ|CIRQUE DU SOLEIL]])
* [[鈴木ユキオ]]([[金魚X10]])
* [[JOU]]([[Odorujou]])
* [[山本裕]]([[Honey-B]])
* [[浅井信好]]([[PIERREMIROIR]])
* [[平原慎太郎]]([[OrganWorks]])
* {{仮リンク|バレエ・プレルジョカージュ|fr|Ballet Preljocaj}}
* {{仮リンク|DV8フィジカル・シアター|en|DV8 Physical Theatre}}
* [[Noism]]
* [[DAZZLE]]
* [[the Bambiest]]
* [[M-laboratory]]
* [[パパ・タラフマラ]]
* [[ダムタイプ]]
* [[マドモアゼル・シネマ]]
* [[珍しいキノコ舞踊団]]
* [[んまつーポス]]
* [[OrganWorks]]
{{Col-end}}
 
== イベント ==
===ヨーロッパ===
* 現代舞踊展
ヨーロッパのコンテンポラリーダンスは、主としてバレエテクニックを母体としたプロダクション-集団芸術の方向性と、個人作家によるより実験的な方向性の二つにその傾向を大別することが可能である。前者は公立劇場のバレエ団や、モダンダンスカンパニー、コンテンポラリーダンスカンパニーなどを母体として、これまでのダンスと同じコンテクスト、身体の躍動性を観客に訴えかけることを主たる目的(あるいは作品において欠かすことのできない基盤)として有する。上演される場所も歌劇場など、伝統的劇場施設において主に発表される。対して後者は、テクスト、ビデオ、ファッションなど、様々なメディアを用いて、観客とユーモアや知性を共有ことを目的としていて、決して特権的身体(訓練されたダンサーの身体による躍動性)は必要ではない。また、個人作家による作品のため、ソロやデュオなど、少人数による作品が目立つ。上演場所もより小規模な劇場や、ギャラリー、あるいはしばしば屋外など、オルタナティヴなスペースで積極的に発表されている。ただしこの分け方は絶対的ではなく、例えばジェローム・ベルのように、両者どちらの傾向性を持った作品に関わるアーティストやダンサーも少なくない。特に西欧、フランス、ポルトガル、オーストリア、ドイツ、ベルギーなどにおいては、後者の作品群が前者に劣らず盛んに上演されている。一方で、オランダ、イギリス、ギリシャ、またポーランド、エストニア、ブルガリアなどの東欧では前者の方が依然盛んである。
 
===アジア= 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
概してアジアではコンテンポラリーダンスを西洋舞踊の新しい型(テクニック及び方向性)として受け止めている傾向がある。したがってヨーロッパにみられるような実験的作品よりも、それまでのコンテクストにしたがい、身体的な躍動性を作品の主軸に置いていることが多い。ただし上演作品は、決して西洋舞踊をフォローしていると一概に言えるものではなく、作品のモチーフは各国独自の文化の影響を受けたものをみることができる。例えば、伝統舞踊を母体としたコンテンポラリーダンスの表現も試みられている。
=== 注釈 ===
 
{{Reflist|group="注"}}
===中東===
=== 出典 ===
複雑な政治的状況の影響を受け、中東のコンテンポラリーダンスは決して盛んとはいえない。例えば[[イラン]]ではダンスそのものが非合法で、アーティストはこれをあくまでも演劇として呼称することで、社会的な実現をなんとか果たしている。イスラエルにおいては、バットシェバ、[[インバル・ピント&アブシャロム・ポラック]]・ダンスカンパニーの両カンパニーがその優れた身体能力を駆使した振り付けによって、国際的にも高い評価を受けている。
{{Reflist|refs=}}
 
==日本==
1990年代日本では、それまでの「[[現代舞踊]]」「舞踏([[:en:butoh|butoh]])」出身でありながらその枠におさまらない独自の活動をするダンサーの存在が顕著になり、その総称として「日本のコンテンポラリーダンス」の語が使われたようである。特に、JCDN(NPO法人Japan Contemporary Dance Network 代表:佐東 範一)が、本来のContemporary Dance(≒Nouvelle Danse)とは関係が薄いにもかかわらず、そのような名称のみを原義を離れてあてはめたことによって、日本国内で名称が普及したと言える。「日本のコンテンポラリーダンス」と、コンテンポラリー・ダンスとは、別ジャンルであったと考えるべきであろう。
 
ただし21世紀に入り、欧米・日本とも、観客の存在をもって成立する創作的なダンスの総称として「コンテンポラリー・ダンス」の語が使われていきそうな傾向がみられ、意図的な区別は無意味であると思われる。
 
==主要ダンサー、振付家、カンパニー==
===日本以外の国===
*[[アンジュラン・プレルジョカージュ]]([[バレエ・プレルジョカージュ]])
*[[アンヌテレサ・ド・ケースマイケル]](ローザス)
*[[イリ・キリアン]]([[ネザーランド・ダンス・シアター]])
*[[ウィリアム・フォーサイス (バレエダンサー)|ウィリアム・フォーサイス]]([[フランクフルト・バレエ]]、[[フォーサイス・カンパニー]])
*[[スーエン]]([[スエン舞踏カンパニー]])
*[[ジョン・ノイマイヤー]]([[ハンブルク・バレエ]])
*[[ピナ・バウシュ]]([[ヴッパタ−ル舞踏団]])
*[[ダニエル・ラリュー]]
*[[マギー・マラン]]
*[[ドミニク・バグエ]]
*[[ナチョ・ドゥアト]](スペイン国立ダンスカンパニー)
*[[マイケル・クラーク]]
*[[フィリップ・ドゥクフレ]]
*[[オハッド・ナハリン]]([[バットシェバ舞踊団]])
*[[ジョセフ・ナジ]]
*[[エルヴェ・ロブ ]]
*[[エドゥアール・ロック]]([[ラララ・ヒューマン・ステップス]])
*[[サシャ・ヴァルツ]]
*[[マース・カニングハム]](マース・カニングハム舞踊団)
*[[マリー・シュイナール]]([[カンパニー・マリー・シュイナール]])
*[[ユーリ・ン]]
*[[DV8フィジカル・シアター]]
*[[ジェローム・ベル]]
*[[メグ・スチュワート]]
*[[ザビエール・ルロワ]]
*[[マチルダ・モニエ]]
*[[ヴェラ・モンテロ]]
*[[ヨシ・ユングマン]]
*[[ミエ・コカンポー]]
*[[マイケル・シューマッハ]]
 
===日本===
====ソロ・ダンサー====
*[[白井沙]](しらいなぎさ)
*[[別所るみ子]]
*[[鈴木アイリ]]
*[[陽かよこ]](みなみかよこ)
*[[伊藤ミカ]]
*[[川村浪子]]
*[[戸川悠野]]
*[[田中美沙子]]
*[[成澤幾波子]]
*[[伊藤郁女]]
*[[井関佐和子]]
*[[ハンダイズミ]]
*[[さとうみどり]]
*[[田中いづみ]]
*[[村上クラーラ]]
*[[宮本晴可]]
*[[黒沢美香]](黒沢美香&ダンサーズ)
*[[矢内原美邦]] Nibroll(カンパニー)
*[[森山開次]]
*[[田中千晶]]
*[[カスヤマリコ]]
*[[川野眞子]]
*[[白河直子]]([[H・アール・カオス]])
*[[伊藤キム]]([[輝く未来]])
*[[伊藤直子]]([[マドモアゼル・シネマ]])
*[[木佐貫邦子]]
*[[康本雅子]]
*[[金森穣]]([[Noism]])
*[[近藤良平]]([[コンドルズ]])
*[[安藤洋子]] 
*[[石井かおる]]
*[[神蔵香芳]]
*[[松本芽紅見]]
*[[富野幸緒]]
*[[黒田育世]]([[BATIK]])
*[[辻本知彦]]([[CIRQUE DU SOLEIL]])
*[[高襟]]
*[[鈴木ユキオ]]([[金魚X10]])
*[[JOU]]([[Odorujou]])
*[[坂本公成]]([[モノクロームサーカス]])
*[[ヤザキタケシ]]
*[[山本裕]]([[Honey-B]])
*RENATO LEAO/[[レナート・レオン]]([[FATO CIA DANCA]])
*[[浅井信好]]([[山海塾/TOILET/Arigatou]])
*[[山田うん(CO.山田うん)]]
 
====カンパニー====
*Nibroll(カンパニー)
*[[H.アール・カオス]]
*[[Noism]]
*[[水と油]]
*[[上海太郎舞踏公司]]
*[[まことクラブ]]
*[[イデビアン・クルー]]
*[[花嵐]]
*[[Dance Theater LUDENS]]
*APE
*[[大橋可也&ダンサーズ]]
*[[the Bambiest]]
*[[M-laboratory]]
*[[パパ・タラフマラ]]
*[[ダムタイプ]]
*[[SALVANILA]]
*[[ボクデス]]
*[[身体表現サークル]]
*[[冨士山アネット]]
*[[Nomade〜s]]
*[[珍しいキノコ舞踊団]]
 
==出典/脚注==
<references/>
 
==参考文献==
*[[乗越たかお]]著『ダンスバイブル コンテンポラリー・ダンス誕生の秘密を探る』 河出書房新社 2010年
*乗越たかお著『どうせダンスなんか観ないんだろ!? 激闘コンテンポラリー・ダンス』 エヌティティ出版 2009年
*乗越たかお著『コンテンポラリー・ダンス 徹底ガイド』 作品社 2003年
*乗越たかお著『コンテンポラリー・ダンス 徹底ガイドHYPER』 作品社 2006年
*桜井圭介、押切伸一、[[いとうせいこう]]共著『西麻布ダンス教室―舞踊鑑賞の手引き』白水社 1994年
 
== 関連項目 ==
* [[バレエ暗黒舞踏]]
* [[舞踏美術モデル]]
* [[暗黒舞踏ヌードモデル]]
* [[前衛ヌード]]
* [[アヴィニョモダ演劇祭バレエ]]
* [[パフォーマンス・アート]]
*[[土方巽]]
* [[シルヴィ・ギエム]]
*[[大野一雄]]
* [[乗越たかおボディアート]]
*[[美術モデル]]
 
== 外部リンク ==
*[http://www.jcdn.org/ NPO法人 ジバレエチネル「バレエファンのための! コンテンポラリーダンス・ネットワーク講座」乗越たかお [https://balletchannel.jp/genre/norikoshitakao]
* {{CRD|2000027188|舞踊・ダンスについて調べる コンテンポラリーダンスを例にして  埼玉県立久喜図書館 Milestone no.60}}
*[http://www.nibroll.com/ Nibroll HP]
*[http://www.nntt.jac.go.jp/dance/ 新国立劇場ダンス公演HP]
*[http://www.jokanamori.com/ 金森穣HP]
*[http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/ 横浜ダンスコレクションR]
*[http://www.aguagala.com/ AGUA GALA HP]
*[http://www.eudorina.com/ Eudorina HP]
*[http://www.h-art-chaos.com/ H・アール・カオスHP]
*[http://www.leni-basso.com/j-index.html Leni Basso HP]
*[http://www.idevian.com/ イデビアン・クルーHP]
*[http://www.suenbutohcompany.net SU-EN Butoh Company HP]
*[http://www.strangekinoko.com/ 珍しいキノコ舞踊団HP]
*[http://www.kisanuki.jp/ 木佐貫邦子オフィシャルウェブサイト]
*[http://members.at.infoseek.co.jp/ludens/ Dance Theater LUDENS HP]
*[http://www.thebambiest.com/ the Bambiest HP]
*[http://www.k5.dion.ne.jp/~m-labo/ M-laboratory HP]
*[http://www.odorujou.net/ JOU Odorujou HP]
*[http://pappa-tara.com/ パパ・タラフマラ 公式HP]
*[http://fannette.net/ 冨士山アネットHP]
*[http://www.cinra.net/interview/2009/09/04/000000.php 『吾妻橋ダンスクロッシング』 佐々木敦×岡田利規×桜井圭介鼎談(CINRA.NET 2009年9月4日掲載)]
*[http://www.liikekieli.com/taiteentoimijat/933-japanese-contemporary-dance-now.html Japanese contemporary dance now(英語)]
*[http://www.shibuyabunka.com/special/200610a/ ダンス・トリエンナーレ TOKYO 乗越たかお「コンテンポラリー・ダンス基本の『き』」]
*[http://www.k5.dion.ne.jp/~kurosawa/ 黒沢美香 公式HP]
*[http://www.kojiri.jp/ 小尻健太公式サイト]
*[http://www.mademoisellecinema.net/ マドモアゼル・シネマHP]
 
{{DEFAULTSORT:こんてんほらりいたんす}}
[[Category:コンテンポラリー・ダンス]]
[[Category:競技ダンス]]
[[Category:ダンス]]
[[Category:ダンスのジャンル]]
[[Category:バレエ]]