「JR東日本HB-E210系気動車」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし |
燃料搭載量の項目を追加 |
||
(78人の利用者による、間の146版が非表示) | |||
1行目:
{{鉄道車両
| 車両名 = JR東日本HB-E210系気動車
|
| 文字色 = #ffffff
| 画像 = HB-E210
| 画像説明 = [[仙石線]]で運用されるHB-E210系気動車
| 運用者 = [[東日本旅客鉄道]]
| 製造所 = [[総合車両製作所]]横浜事業所
| 製造年 = [[2015年]]
| 製造数 = 16両(2両編成×8本)
| 運用開始 = 2015年5月30日
| 投入先 = [[仙石東北ライン]]
| 編成 = 2両編成
| 軌間 = 1,067 mm([[狭軌]])
| 最高運転速度 = 100 km/h
| 設計最高速度 =
| 起動加速度 = 2.3 km/h/s と 1.8 Km/h/s を切替え可能
| 常用減速度 = 3.5 km/h/s
| 非常減速度 =
| 編成定員 = 262名(座席定員90名)
| 車両定員 =
| 自重 = 38.4 t(HB-E211形)<br />39.6 t(HB-E212形)
| 編成重量 = 78 t
| 全長 = 20,000 mm
| 全幅 =
| 全高 = 4,046 mm(空調装置キセ高さ)
| 車体長 = 19,500 mm
| 車体幅 = 2,950 mm
| 車体高 = 3,620 mm
| 床面高さ = 1,130 mm
| 車体材質 = [[ステンレス鋼|ステンレス]]
| 台車 = 軸梁式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]<br />DT75B(動力)/TR260B(付随)
| 動力伝達方式 =
| 機関 = [[DMF15HZ]]B-G直噴式直列6気筒[[ディーゼルエンジン]]<br/>燃料搭載量:550 L
| 機関出力 = 331 kW (450 PS)
| 発電機 = [[かご形三相誘導発電機]] DM113形 270kW
| 主電動機 = [[かご形三相誘導電動機]] MT78形
| 主電動機出力 = 95 kW × 2
| 駆動方式 = [[TD平行カルダン駆動方式]]
| 歯車比 = 14:99 (7.07)
| 編成出力 = 380 kW
| 制御方式 = [[パルス幅変調|PWM]]コンバータ + [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]](補助電源装置一体形・2レベル[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]])
| 制御装置 = 日立製作所製<br/>CI24形 [[主変換装置]](1C2M×2群制御)
| 制動装置 = [[回生ブレーキ|回生]]・[[発電ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]](応荷重・滑走・再粘着機能付き)[[保安ブレーキ|直通予備ブレーキ]]、[[抑速ブレーキ]]、[[鉄道のブレーキ#耐雪ブレーキ|耐雪ブレーキ]]
| 保安装置 = [[自動列車停止装置#ATS-Ps|ATS-Ps]] <br />[[列車防護無線装置|防護無線]]・[[緊急列車停止装置|EB装置]]・[[緊急列車防護装置|TE装置]]
| 備考 =
| 備考全幅 = {{ローレル賞|56|2016|link=no|align=right}}
}}
'''HB-E210系気動車'''(HB-E210けいきどうしゃ)は、[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)が
[[2016年]](平成28年)「[[鉄道友の会]]」の[[ローレル賞]]を受賞<ref name="jrc/bl2016" />。
== 導入の経緯 ==
[[東日本大震災]]により全線で被害を受けた[[仙石線]]は、その後の一部区間の高台移設を含んだ復旧工事を進め、[[2015年]][[5月30日]]より全線の運転を再開するとともに、[[仙台駅]]より[[東北本線]]を走行し、[[松島町]]の東北本線と仙石線の並走区間に新たに設けられた接続線を経由して仙石線に入線の上、[[石巻駅|石巻]]までを結ぶ「[[仙石東北ライン]]」の運転を開始することになった。
東北本線は[[交流電化|交流電化方式]]、仙石線は[[直流電化|直流電化方式]]とそれぞれ電気方式が異なることと仙石線・東北本線接続線が非電化区間となるため[[気動車]]による[[直通運転]]となり、ディーゼル[[鉄道車両におけるハイブリッド|ハイブリッドシステム]]を搭載した当車両が開発された。
== 構造 ==
=== 車体 ===
[[JR東日本E129系電車|E129系]]に準じた軽量ステンレス車体の[[sustina|sustinaS23シリーズ]]とし、客室扉のレールヒータなどを装備した耐寒耐雪構造となっている。ハイブリッドシステムの搭載に伴う車体質量増加に対応するため、側窓などの側開口周囲や車体中央部出入口の側[[梁 (建築)|梁]]を補強することで[[強度]]や[[剛性]]の強化を図っている。車幅は30 mm広い2950mmに拡大された。
[[操縦席|運転席]]前面はステンレス構体に[[繊維強化プラスチック|FRP]]製の成形品を被せた構造となっている。仙台地区の通勤需要に配慮して[[自動ドア#ボタン式半自動|半自動扉]]機構付き片側3扉としており、客室の床面高さは仙石線ホームの高さ1100mmと東北本線ホームの920mmに対応するため1130mmとなっている。
搭載量が最大550リットルの燃料タンクは車両両側からの給油が可能で、タンク体は鋼製であるが部分的に板厚を変えることで軽量化している。なお線路内で使用される[[バラスト軌道|バラスト]]などが衝突しても損傷が発生しないように、燃料タンクの中段より下部には社内で研究開発された防爆塗料を4 mm厚で塗布している<ref name="jreast/tech-49_21-24" /><ref name="R&t2105" />。また、タンクの気抜き管(ブリーザーパイプ)部に燃料漏れ検知[[センサ]]を装備して燃料漏れを検知することが可能となっている<ref group="注">燃料タンクから燃料が漏れるとそれに見合う量の空気量が気抜き管を介して燃料タンクに流入することを利用しており、ある一定の値の空気流入量を超えた場合、それを検知して燃料漏れと判断することで早期の燃料漏れに対応することができる。</ref>。
車両のデザインは、仙石線のラインカラーである青と東北本線のラインカラーである緑を基調とし、東北本線沿線の[[シオガマザクラ]]・仙石線沿線の矢本海浜緑地公園・石巻の[[日和山_(石巻市)|日和山公園]]のサクラの名所をイメージした桜色を用いた<ref name="R&M2305_30" />。二つの四角形が重なるデザインを用いることで、仙台エリアと石巻エリアをつなぐことを表現している<ref name="R&M2305_30" />。また、車体の前面の向かって右下と4位側の側面には「'''HYBRID TRAIN'''」の文字が描かれている<ref name="R&M2305_30" />。
=== 内装 ===
客室の色合い、[[つり革]]等は[[JR東日本E231系電車|E231系]]と同様としているが、[[優先席]]付近などは[[JR東日本E233系電車|E233系]]に準ずる。客室の座席は[[JR東日本E721系電車|E721系]]と同じく[[鉄道車両の座席#セミクロスシート|セミクロスシート]]の配置で、座席は[[JR東日本E129系電車|E129系]]と同一のものを採用した<ref name="R&t2105" />。ハイブリッドシステムなどの機器を内蔵した機器室が車内の山側に設置されているため、本来はボックスシートが配置されている場所が機器室や[[鉄道車両の座席#ロングシート|ロングシート]]となっている。[[貫通扉]]は、自然閉機能とブレーキ機能を持たせた水平式戸閉装置としている。客室扉に半自動機能が付いているため、車外と車内に設置された押しボタンを設けて乗客がドアを開閉できるようになっている。
室内[[照明]]には[[発光ダイオード|LED]]照明を採用しており、機器室の壁には本車のハイブリッドシステムの動作状況を表示する液晶式のハイブリッドモニタが設置されている。また仙台方のHB-E211形後位側の端部には[[車椅子スペース]]およびベビーカースペースと車椅子対応の[[列車便所|洋式トイレ]]が設置されており、トイレ内には、炎検知装置と[[車内非常通報装置|非常通話装置]]を設置している。また、トイレ内の排気はE233系と同じ床下からとなっている。
乗務員室は[[JR東日本E721系電車|E721系]]と同じく半室構造となっており、非貫通時においては引戸により[[操縦席|運転台]]と客室との間を完全に仕切ることができる。運転台はJR東日本の標準である左手操作式の[[マスター・コントローラー#ワンハンドルマスコン|ワンハンドルマスコン]]を採用しており、周囲にはリセットスイッチ・システム停止・定速スイッチが取付けられており、右手手掛け内には[[坂道発進補助装置|勾配起動スイッチ]]が取付けられている。運転台正面には[[鉄道車両のモニタ装置|モニタ装置]]が内蔵されている。[[ワンマン運転|ワンマン]]設備は準備工事のみに留められている。
[[エア・コンディショナー|空調装置]]は[[集中式冷房装置|集中式]]のAU732形で能力38.37kW(33,000kcal/h)を屋根上に1基搭載する<ref name="RailandTech225">レールアンドテック出版「鉄道車両と技術」225号「JR東日本 HB-210系 一般形ディーゼルハイブリッド車両の概要」pp.20 - 29。</ref>。
<gallery widths="150" style="font-size:90%">
ファイル:JR-HB-E210 Inside.jpg|車内
ファイル:JR-HB-E210 Inside Priority-seat.jpg|優先席
ファイル:JR-HB-E210 Inside Machine-room.jpg|機器室付近
ファイル:HB-E210 hybrid information display.JPG|車内に設置された、本車のハイブリッドシステムの動作状況を表示する液晶式のハイブリッドモニタ
ファイル:JR-HB-E210 Cab.jpg|運転台
</gallery>
== 機器類 ==
=== 電源・制御システム ===
[[File:HB-E210 main circuit.png|thumb|350px|主回路の見取り図]]
採用されているハイブリッドシステムは[[JR東日本キハE200形気動車|キハE200形]]や[[JR東日本HB-E300系気動車|HB-E300系]]と同じく、エンジンの動力は発電機を回転させる電力用として使用し、発電機からの電力と搭載された蓄電池の電力と組合わせてモーターを駆動する[[鉄道車両におけるハイブリッド#シリーズ方式|シリーズハイブリッド方式]]と呼ばれるシステムで、エンジンは発電専用とし、車両の速度制御には[[電気車の速度制御|電気車の技術]]が最大限に活かされている。
システムは、エンジンとそれに直結した発電機・主回路用蓄電池・[[主変換装置]]・車輪駆動用の主電動機(モーター)で構成されている。[[力行]]時には主回路用蓄電池からの電力または主回路用蓄電池とエンジン発電機からの両方の電力を使用して、主変換装置に内蔵されたVVVFインバータ装置により[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]でモーター([[かご形三相誘導電動機]])を駆動させる。制動時には[[回生ブレーキ]]によりモーターから発生した電力をVVVFインバータ装置を介して主回路用蓄電池に充電する<ref group="注">主変換装置内はコンバータ部とVVVFインバータ部に分かれており、その間に主回路用蓄電池が接続されている。力行時はDM113形[[かご形三相誘導発電機]]からの[[三相交流]]の電力をコンバータで[[直流]]の電力に変換した後に主回路用蓄電池からの直流の電力を加えてVVVFインバータで三相交流に変換して誘導電動機を駆動させ、制動時は誘導電動機からの三相交流をVVVFインバータで直流の電力に変換した後に主回路用蓄電池に充電される仕組みとなっている。また、補助電源装置の[[静止形インバータ]](SIV)へ送る電力は、停止時や低速域での力行時では主回路用蓄電池から、中高速域での力行時には主回路用蓄電池からの電力の他に発電機からの電力の一部が送られる、制動時は回生ブレーキにより発生した電力が主回路用蓄電池に充電するために送られる際、その一部が送られる。</ref>。また、エンジン発電機の起動または停止は主回路用蓄電池の充電状態により自動的に行われている。キハE200形やHB-E300系と同様の「エネルギー管理制御システム」を搭載しており、各装置からの情報を集約して最適な動作の指令を各装置に指示することで、エンジン発電機と最適な蓄電池の充放電の制御を行なっている。
車両の床下には主変換装置・エンジン発電機・エンジン[[ラジエーター]]・電動空気[[圧縮機]]・制御用蓄電池箱・ブレーキ制御装置などの機器を搭載しており、HB-E300系と同じくエンジン冷却性能向上のためエンジンラジエーターの大形化や後述する静止形インバータの容量増加による主変換装置の大形化が図られている。これによる床下ぎ装面積の低下は、屋根上の[[集中式冷房装置]]を挟んで前位に主回路用蓄電池を2個、後位に元空気だめの一部を搭載することで補われている(HB-E212形では前後逆)。
動力源として、エンジンと[[交流発電機]]を1基ずつ搭載する。エンジンは[[燃焼室#直接噴射式|直噴式]][[直列6気筒]]横形<ref group="注">「横形」とは、水平シリンダー式エンジンを指す[[日本国有鉄道|国鉄]]時代からの内部呼称で、[[横置きエンジン|クランクシャフトが枕木方向]]という意味ではない。</ref>ディーゼルエンジン [[DMF15HZ系エンジン|DMF15HZB-G]] を各車両に1基搭載する<ref name="R&M2305_32" />。定格出力331kW(450PS)定格回転数2100rpmであり、DMF15HZ([[JR東日本キハE120形気動車|キハE120形]]・[[JR東日本キハE130系気動車|キハE130系]])をベースに[[過給機]]を水冷式に変更している。エンジン起動の際には、主回路用蓄電池からの電力をコンバータにより制御し、発電機を起動モーターとして利用してエンジンを起動させる。このため、エンジンスターターを省略している<ref name="R&M2305_32" />。燃料噴射系は高圧電子制御システム([[噴射ポンプ#コモンレール式|コモンレール式]])を採用して、排気中の[[窒素酸化物]](NOx)を約60%低減させている。交流発電機は出力270kWのDM113形三相交流発電機を各車両に1基搭載し、エンジンと直結駆動することで車両運行に必要な電力をまかなっている<ref name="R&M2305_32" />。
主回路用蓄電池には出力密度が高く、軽量高出力のMB3形[[リチウムイオン二次電池|リチウムイオン電池]]が使用されており、1両あたりの容量は15.2kWhで電圧は直流680Vである。また、蓄電池を2群構成とすることで[[冗長性]]を持たせており、不具合が発生した場合を考慮している。主制御装置にはCI 24形[[主変換装置]]を搭載しており、補機類とサービス電源用の電源装置である[[静止形インバータ]](SIV)と一体構成となっている。なお静止形インバータの容量は70kVAで[[三相交流]]400Vを出力する。また各車には、補助電源で作動するMH3125-C600N形電動空気圧縮機(CP)を搭載している。
主電動機は、キハE200形やHB-E300系で実績のあるMT78形[[かご形三相誘導電動機]]を採用する<ref name="R&M2305_32" />。軽量化、低騒音化および保守省力化を図った構造で1時間定格出力は95 kWであり、動力台車1台につき2基搭載する<ref name="R&M2305_32" />。
このほか主変換装置には、主回路用蓄電池が不具合を起こし必要電力が得られない場合に備えて、エンジン起動専用の非常蓄電池(直流340V,1.9kWh2基直列)を内蔵している。エンジン起動の際には、非常蓄電池からの電力をコンバータ制御により、発電機を起動モーターとして利用して起動させる。その後は、エンジンで駆動させる発電機からの電力により主電動機を駆動させる電気式気動車としての運転が可能な機器回路構成となっている。この非常蓄電池は使用後または充電率低下時に、エンジン発電機からの電力により充電が可能である。また、車庫において一定の充電率まで充電操作を自動で行うことができるようになっている<ref name="hitachihyoron-2016_10_11_02" /><ref group="注">非常蓄電池は車庫内でエンジン発電機から充電する。なお、HB-E300系の2016年増備車「橅」編成にも同様のシステムが搭載された。</ref>。
車両が[[停車 (鉄道)|停車]]→発車→[[加速]]→惰行→制動→停車するまでの車両の状態は以下の通りになる。
; 停車中・惰行中
: エンジン発電機は[[アイドリングストップ]]を行い、車両の補機類とサービス用の電源は、主回路用蓄電池からの電力が補助電源装置を経由して送られる。また、エンジン発電機は起動させることも可能であり、そこから送られる電力は、主回路用蓄電池への充電と補助電源装置で使用される。電気式気動車としての運用時には、エンジン発電機は出力160kWでの待機モードとして常時発電しており、コンバータが定電圧制御(直流680V)を行いながら、補助電源装置への電力供給を行う。
; 力行時(低速時)
: 主回路用蓄電池からの電力のみでモーターを駆動させる。15 km/h程度からエンジン発電機を起動させて、主回路用蓄電池とエンジンからの電力を併用しながら増速する。電気式気動車としての運用時には、エンジン発電機は、モーター駆動用のVVVFインバータと補助電源装置の合計消費電力を基にエンジン回転数を調整して、その後にコンバータが定電圧制御(直流680V)を行い、VVVFインバータと補助電源装置の合計消費電力との収支のバランスを取りながら、補助電源装置とモーターに電力が供給される。
; 力行時 (中高速時)
: エンジン発電機を起動させ、主回路用蓄電池とエンジンからの電力を併用しながらモーターを駆動させる。惰行中からの場合はエンジン発電機を起動させる。また走行負荷の状態に応じて主回路用蓄電池の充放電を行う。電気式気動車としての運用時には、力行の低速時と同様である。
; 制動時(抑速ブレーキ時も含む)
: エンジン発電機を停止させ、回生ブレーキによりモーターから発生した電力は主回路用蓄電池に充電されるが、一部は補助電源装置に送られる。電気式気動車としての運用時には、回生ブレーキは使用できないため、空気ブレーキのみで減速停車する。エンジンは停止せず、停止惰行中と同様に補助電源装置への電力供給を行う。
[[鉄道車両の台車|台車]]は、HB-E300系用を基本としており、軸梁式軸箱支持装置を備えた[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]である<ref name="R&M2305_32" />。HB-E300系用(DT75A・TR260A)と極力部品を共通化できるように配慮しつつ、EXバネを新たに採用した<ref name="R&M2305_32" />。電動台車は DT75B、付随台車は TR260B と呼称される<ref name="R&M2305_32" />。[[スノープラウ]]、[[フランジ#鉄道車輪|フランジ]]塗油装置、[[砂撒き装置|セラジェット]]は準備工事とされている<ref name="R&M2305_32" />。[[摩擦ブレーキ|基礎ブレーキ]]には、両者とも踏面片押し式の[[踏面ブレーキ|ユニットブレーキ]]としている。
1両あたり電動台車と付随台車を1台ずつ装備しており、HB-E211形前位とHB-E212形後位が DT75B(動力台車)、HB-E211形後位とHB-E212形前位が TR260B(付随台車) となる<ref name="R&M2305_30" />。
<gallery>
File:HB-E210 DT75B Zushi 20150113.JPG|動力台車のDT75B
File:HB-E210 TR260B Zushi 20150113.JPG|付随台車のTR260B
</gallery>
===
地方線区において[[自動列車停止装置#ATS-Ps形(変周地上子組合せパターン型)|ATS-Ps]]の整備を行ってきたが、将来的に[[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P]]に統一することを念頭におき、統合形ATS車上装置 RSCU77 をHB-E212形客室内の機器室に搭載する<ref name="R&M2305_31" /><ref name="R&M2305_34" />。これは、ATS-PとATS-Psの車上装置機能を兼ね備えたものであるが、本形式においてはATS-Pは準備工事としている<ref name="R&M2305_34" />。
デジタル[[列車無線]](3形)、[[列車防護無線装置|防護無線]]、[[緊急列車停止装置|EB]]・[[緊急列車防護装置|TE装置]]のほか、[[JR東日本E233系電車|E233系]]等で導入された移動禁止システムも装備している。
== 形式 ==
以下の2形式からなる。
; HB-E211形(Mc)
: 仙台方の先頭車。前位側に運転台、後位側に身障者対応トイレと車椅子スペースを備える。定員は128名。
; HB-E212形(Mc')
: 小牛田・石巻・女川方の先頭車。前位側に運転台を備える。定員は117名。
;編成表
{|class="wikitable" style="text-align:
|+HB-E210系編成表
|style="background:#ccc;"|
|colspan="
|- style="border-top:solid
| colspan="
|- style="border-top:solid 5px #
!形式
|HB-E211<br /> (Mc)
|HB-E212<br /> (Mc')
|-
!搭載機器
|VVVF・SIV・CP・BT||VVVF・SIV・CP・BT
|-
!車両重量<br/> (t)
|39.6||38.4
|}
*{{Smaller|VVVF:VVVFインバータ装置}}
*{{Smaller|SIV:補助電源装置(静止型インバータ)}}
*{{Smaller|CP:空気圧縮機}}
*{{Smaller|BT:蓄電池}}
== 車歴表 ==
* 製造…横浜:[[総合車両製作所|総合車両製作所横浜事業所]]
* 配置…小牛田:[[小牛田運輸区]]
<div class="NavFrame" style="clear: both; border: 0px;">
<div class="NavHead" style="text-align:left;">車歴表(HB-E210系)</div>
<div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:80%; text-align:center;"
!編成番号
!HB-E211<br />(Mc)
!HB-E212<br />(Mc')
!製造
!落成日
!落成配置
!備考
|-
!C-1
|1
|1
|rowspan="8"|横浜
|rowspan="2"|2015年{{0}}1月16日<ref name="JRD-2022_33" />
|rowspan="8"|小牛田
|
|-
!C-2
|2
|2
|
|-
!C-3
|3
|3
|rowspan="2"|2015年{{0}}2月13日<ref name="JRD-2022_33" />
|
|-
!C-4
|4
|4
|
|-
!C-5
|5
|5
|rowspan="2"|2015年{{0}}3月{{0}}6日<ref name="JRD-2022_33" />
|
|-
!C-6
|6
|6
|
|-
!C-7
|7
|7
|rowspan="2"|2015年{{0}}3月{{0}}7日<ref name="JRD-2022_33" />
|
|-
!C-8
|8
|8
|
|}</div></div>
== 運用 ==
[[ファイル:JRE Series HB-E210 C-1 Mangattan-liner.jpg|サムネイル|C-1編成 マンガッタンライナー 風<br>(2025年1月25日 [[陸前小野駅]] - [[鹿妻駅]]間)]]
2015年1月に第1陣となるC-1・C-2編成が[[総合車両製作所]]横浜事業所を出場した<ref name="tetsudo-news/20150113" /><ref>https://railf.jp/news/2015/01/14/180000.html</ref>。同年3月までに2両編成8本が出揃い<ref>https://railf.jp/news/2015/02/11/092000.html</ref><ref>https://railf.jp/news/2015/03/04/150000.html</ref><ref>https://railf.jp/news/2015/03/13/173000.html</ref>、[[小牛田運輸区]]に配置された<ref name="RF201507" />。
同年5月30日から仙台 - 石巻間の「[[仙石東北ライン]]」と、仙台への[[回送|送り込み]]を兼ねた東北本線の仙台 - [[小牛田駅|小牛田]]間で、2016年8月6日からは仙石東北ラインの延長として[[石巻線]]の石巻 - [[女川駅|女川]]間で[[運用 (鉄道)|運用]]を開始した。
本形式のうち8両にラッピングが施される予定とされ<ref name="ishinomaki" />、その後動きはなかったが、2022年(令和4年)1月中旬から2編成4両が「仙石東北ライン マンガッタンライナー」として運行されることが発表された<ref group="JR東" name="jreast/sendai/press/20220106_s01" />。同年1月19日よりC-2編成が「マンガッタンライナー 夢」、27日よりC-1編成が「マンガッタンライナー 風」としてそれぞれ運行を開始した。
2022年12月3・4日には、仙石線の変電設備点検により、初めて[[松島海岸駅]]まで乗り入れた<ref>{{Cite web|和書|title= 仙石線で工事にともなう臨時ダイヤ|date=2022-12-04|url= https://railf.jp/news/2022/12/04/131000.html |website=鉄道ファン・railf.jp|accessdate=2022-12-10|language=ja}}</ref>。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|refs=
<ref name="RF201507">[[交友社]]『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2015年7月号「JR旅客会社の車両配置表」</ref>
<ref name="JRD-2022_33">[[#jr-diesel-hensei-2022|『JR気動車客車編成表』2022 p.33]]</ref>
<ref name="jreast/tech-49_21-24">{{PDFlink|[https://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_49/tech-49-21-24.pdf 落石衝撃時の車両の安全性向上に関する研究]}} - JR EAST Technical Review No.49 p21 - 24</ref>
<ref name="tetsudo-news/20150113">{{cite news|url=http://tetsudo-news.com/article/newtrain/277.html |title=JR仙石東北ライン用新型車両 HB-E210系出場・甲種輸送|publisher= 鉄道ニュース部 |date=2015-01-13}}</ref>
<ref name="ishinomaki">{{PDFlink|[https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10181000/8561/05_taikou3.pdf 施策大綱3 自然への畏敬の念を持ち自然とともに生きる]}} - 石巻市震災復興基本計画実施計画(平成27年度から平成29年度)P180 石巻市</ref>
<ref name="jrc/bl2016">{{Cite press release|和書|url=https://www.jrc.gr.jp/award/bl/bl2016|title=2016年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両|publisher=鉄道友の会|date=2016-05-24|accessdate=2016-05-24}}</ref>
<ref name="R&t2105">[[#R&t2105|『鉄道車両と技術』第23巻第5号、No.225 p.20 - 29]]</ref>
<ref name="R&M2305_30">[[#R&M2305|『Rolling stock & Machinery』第23巻第5号、p.30]]</ref>
<ref name="R&M2305_31">[[#R&M2305|『Rolling stock & Machinery』第23巻第5号、p.31]]</ref>
<ref name="R&M2305_32">[[#R&M2305|『Rolling stock & Machinery』第23巻第5号、p.32]]</ref>
<ref name="R&M2305_34">[[#R&M2305|『Rolling stock & Machinery』第23巻第5号、p.34]]</ref>
<ref name="hitachihyoron-2016_10_11_02">{{PDFlink|[http://www.hitachihyoron.com/jp/archive/2010s/2016/10-11/pdf/2016_10_11_02.pdf 蓄電池駆動システムにおける最新技術と展望]}} - 日立評論2016年10,11月合併号 p.21-22</ref>
}}
==== JR東日本 ====
{{Reflist|group="JR東"|refs=
<ref group="JR東" name="jreast/sendai/press/20220106_s01">{{PDFlink|[https://www.jreast.co.jp/press/2021/sendai/20220106_s01.pdf 「仙石東北ライン マンガッタンライナー」の運行開始について]}} - JR東日本仙台支社 2022年1月6日</ref>
}}
== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=山
* {{Cite journal|和書|author=山田孝夫(JR東日本鉄道事業本部運輸車両部車両技術C在来線車両Gr) |year=2015 |month=5 |title=仙石東北ラインHB-E210系ハイブリッド車両の概要|journal=Rolling stock & Machinery |volume = 23 |issue = 5 |pages= 29 - 34|publisher=日本鉄道車両機械技術協会 |ref = R&M2305}}
* 平成27年5月30日、「仙石東北ライン」にデビュー! HB-E210系ディーゼルハイブリッド車両 『鉄道ファン』2015年4月号、交友社、2015年、p.62 - p.67。
* 「仙石東北ライン」、東北本線、仙石線にデビュー! 「HB-E210系一般形ハイブリッド車両」 『鉄道ファン』2015年5月号、交友社、2015年、p.48 - p.54。
* 永浦康宏「[http://www.hitachihyoron.com/jp/archive/2010s/2016/10-11/02/index.html 蓄電池駆動システムにおける最新技術と展望]」『日立評論』2016年10,11月合併号、日立製作所、2016年、p.19 − p.23。
* {{Cite book|和書|author=ジェー・アール・アール編|title=JR気動車客車編成表|volume=2022|date=2022-06-16|publisher=交通新聞社|page=33|isbn=978-4-330-03222-1|ref=jr-diesel-hensei-2022}}
== 関連項目 ==
{{Commonscat|JR East HB-E210}}
* [[鉄道車両におけるハイブリッド
* [[JR東日本キ
* [[JR東日本
* [[JR東日本HB-E300系気動車]]
* [[JR東日本E129系電車]]
== 外部リンク ==
* [https://www.jreast.co.jp/train/local/hb_e210.html HB-E210系:JR東日本]
* 総合車両製作所『総合車両製作所技報』第4号(2015年12月)製品紹介{{PDFlink|[https://www.j-trec.co.jp/company/070/04/jtr04_082-087.pdf 「JR東日本 HB-E210系 一般形ハイブリッド車両」]}}(pp.82-87)
* 総合車両製作所『総合車両製作所技報』第5号(2016年12月)製品紹介{{PDFlink|[https://www.j-trec.co.jp/company/070/05/jtr05_020-023.pdf 「「sustina HYBRID」JR東日本 HB-E210系 一般形ハイブリッド車両」]}}(pp.20-23)
{{JR東日本の車両リスト}}
{{ローレル賞選定車両一覧}}
{{デフォルトソート:しえいああるひかしにほんHB-E210}}
[[Category:東日本旅客鉄道の気動車|210]]
[[Category:2015年製の鉄道車両
[[Category:総合車両製作所製の鉄道車両
[[Category:ハイブリッド]]
|