「公務員職権濫用罪」の版間の差分
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{{出典の明記|date=2022年8月}}
{{law}}
{{日本の犯罪
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| 法律・条文 = [[b:刑法第193条|刑法193条]]
| 保護法益 = 公務の公正(個人の身体・自由)
| 主体 = [[国家公務員]]・[[地方公務員]]・[[特別職|特別職公務員]]・[[みなし公務員]](真正身分犯)
| 客体 = 人
| 実行行為 = [[職権]]を[[濫用]]して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する行為
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| 実行の着手 = -
| 既遂時期 = 人が義務のないことを行わされ、又は権利の行使が妨害された時点
| 法定刑 = 2年以下の
| 未遂・予備 = なし
|}}
{{日本の刑法}}
{{ウィキプロジェクトリンク|刑法 (犯罪)}}
'''公務員職権濫用罪'''(こうむいんしょっけんらんようざい)は、[[刑法 (日本)|刑法]][[b:刑法第193条|193条]]に規定されている「[[汚職]]の罪」(刑法25章)に含まれる犯罪類型であり、[[日本の公務員|公務員]]がその[[職権]]を[[濫用]]して、人に[[義務]]のないことを行わせ、又は[[権利]]の行使を妨害する行為を内容とする。
== 概要 ==
本罪は、刑法193条以下に規定され
また、公務員職権濫用の罪は、犯罪の性質上、[[検察官]]が[[起訴]]を不当に怠る場合が生じる可能性が高いため、検察官の[[起訴独占主義]]の例外として、[[裁判所]]の決定により審判に付する手続である[[付審判制度|準起訴手続]]が適用される([[刑事訴訟法]]262条)。ただし、被疑者の身分が警察職員や検察職員の様な刑事行政関係者である必要はなく、該当する権利侵害が公務員該当者([[みなし公務員]]として職務を行っている者を含む)により行われているために問われた本罪が[[不起訴処分]]となった場合は、全てが付審判の手続きを適用されうる。
なお、「人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害」する事が行われていない公務員による職権の濫用については、他の罪により責任を問われうる(例えば[[地方公務員法]]や[[国家公務員法]]における罰則等。また[[刑事罰]]とは別にこれらの法による[[懲戒処分]]もある事に留意)。
== 「職権濫用」の意義 ==
公務員による職権濫用というためには、当該公務員が一般的職務権限(職権)を有していなければならない。[[判例]]によると、本罪でいう「職権」とは、必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要せず、それが濫用された場合、職権行使の相手方に義務のないことを行わせたり、行うべき権利を妨害するに足りる権限であれば十分であるとされる([[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]第二[[小法廷]]昭和57年1月28日決定[[刑集]]36巻1号1頁)。▼
▲
▲「濫用」とは、当該公務員の職権の範囲内にある事項につき、「実質的、具体的に違法、不当な行為」をすることをいう。
一般的職務権限に属さない事項につき人に義務のないことを行わせた場合等は、[[強要罪]]の問題となる。
=== 「正当行為」との関係 ===
刑法[[b:刑法第35条|35条]]([[正当行為]])があるが、公務員職権濫用となる行為は、その全てが、国家公務員法および地方公務員法をはじめ行政機関において取り扱われる法令や[[訓令]]・[[通達]]および[[通知]]等に違反するものとなるものである。
{{See|[[s:刑法 (日本)#a035|刑法35条]]}}
逆に、それらの法令に基づいての正当行為として保護可能な範疇に入るのに相当する妥当適切な行為であれば、公務員職権濫用罪が成立する可能性は低い(ただし、問題となっている法令等が法律・[[日本国憲法]]に反している場合については公務員職権濫用罪が成立する可能性は高い)。
== 法定刑 ==
[[法定刑]]は、2年以下の[[
== 特殊な類型 ==
[[File:Reason for non-prosecution statement (Yoshimitsu Yamauchi).jpg|thumb|弁護士の綱紀の乱れに関する[[東京弁護士会|弁護士会]]綱紀委員会委員(刑法における公務員)への処分。]]
公務員の職権濫用行為を内容とする犯罪は、公務員職権濫用罪以外にも刑法その他の法律に規定されている。▼
=== 刑法における職権濫用の罪 ===▼
;特別公務員職権濫用罪([[b:刑法第194条|刑法194条]])▼
;特別公務員暴行陵虐罪([[b:刑法第195条|刑法195条]])▼
;特別公務員職権濫用等致死傷罪([[b:刑法第196条|刑法196条]])▼
:刑法194条又は195条の犯罪を犯し、よって人を死傷させた者は、[[傷害]]の罪と比較して、重い刑により処断される([[結果的加重犯]])。すなわち、致傷については職権濫用罪又は暴行陵虐罪と[[傷害罪]]の法定刑を比べ、致死については職権濫用罪又は暴行陵虐罪と[[傷害致死罪]]の法定刑を比べ、下限・上限ともに重いほうを選ぶということである。具体的には、職権濫用致傷・拘禁者への暴行陵虐致傷の場合は「6月以上15年以下の懲役」、その他の暴行陵虐致傷の場合は「1月以上15年以下の懲役」、職権濫用致死・暴行陵虐致死の場合は「3年以上の有期懲役」となる。▼
▲公務員の職権濫用行為を内容とする犯罪は、刑法193条の公務員職権濫用罪以外にも刑法その他の法律に規定されている。
[[公安調査官]]や警察職員の職権濫用行為につき、[[破壊活動防止法]]45条や[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律]]42条・43条や[[犯罪捜査のための通信傍受に関する法律]]30条に規定がある。罰則は3年以下の懲役又は禁錮と規定されている。▼
{{See|[[s:刑法 (日本)#a194|刑法194条]]|[[b:刑法第194条|コンメンタール刑法194条]]}}
;特別公務員暴行陵虐罪
{{See|[[s:刑法 (日本)#a195|刑法195条]]|[[b:刑法第195条|コンメンタール刑法195条]]}}
{{See|[[s:刑法 (日本)#a196|刑法196条]]|[[b:刑法第196条|コンメンタール刑法196条]]}}
▲
=== 特別刑法における公務員による職権濫用の特殊な類型 ===
▲[[公安調査官]]や警察職員の職権濫用行為につき、[[破壊活動防止法]]45条や[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律]]42条・43条や[[犯罪捜査のための通信傍受に関する法律]]30条に規定がある。罰則は3年以下の
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 出典 ===
{{reflist}}
== 関連項目 ==
{{Wikibooks|刑法各論}}
*[[公務執行妨害罪]]
*[[逃走罪]]
*[[賄賂罪]]
*[[付審判制度]]
*[[拷問]]
*[[冤罪]]
{{日本の刑法犯罪}}
{{嫌がらせ}}
{{law-stub}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:こうむいんしよつけんらんようさい}}
[[Category:日本の犯罪類型]]
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