「法定推定相続人」の版間の差分
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{{出典の明記|date=2019年8月}}
'''法定推定相続人'''(ほうていすいていそうぞくにん)は、[[君主]]位や[[爵位]]の継承において将来自分より上位の継承権を持つ人物が生まれる可能性がない継承権第一位の人物をいう。典型的な例として、[[長男相続制]]および[[男子優先長子相続制]]における長男や、[[長子相続制]]における第一子がある。これに対し、現在は継承権第一位であるが将来第一位ではなくなる可能性がある人物(子の誕生により第一順位を喪失する弟や、男子の誕生により第一順位を喪失する男子優先長子相続制における女子など。)は[[推定相続人]]という。
継承権第一位が確定しているという点では、一般にいう[[皇太子]](王太子)と共通する。しかし法定推定相続人という単語は[[称号]]ではなく一般名詞であるため、本人への呼びかけなどとしては用いられない。
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=== 法定推定相続人が死亡した場合の継承法 ===
法定推定相続人であった者が君主より先に死亡した場合の例は、それぞれ以下のようになる。
;男子相続制
;男子優先長子相続制
#君主の長男の長男(君主の孫)、その子孫
#1がなければ君主の長男の次男以下の男子(君主の孫)、その子孫
#2がなければ君主の長男の長女(君主の孫)、その子孫
#3がなければ君主の長男の次女以下の女子(君主の孫)、その子孫
#4がなければ君主の次男以下、1~4の繰り返し
:男子優先長子相続制の場合、姉より弟が継承順位が上であり、単独子や妹のみであっても、父親や伯父に男子(当該女子からみて弟や従弟)が生まれる可能性が理論上無くならないため、女子は法定推定相続人にならない。
;長子相続制
#君主の長子の長子(君主の孫)、その子孫
#1がなければ君主の第二子以下、その子孫
近世以前は子供の死亡率は低くなく、頻繁に交代が起きた。次のような例があった。
;フランスの[[ブルボン朝]]
:[[ルイ14世]]→[[ルイ15世]](14世の長男の長男の三男)→[[ルイ16世]](15世の長男の三男)での継承が行われた。
ヨーロッパ王侯はそれぞれ近縁関係にあるため、継承に関し周辺国から疑義が上がれば[[継承戦争]]が起きた。
近現代においては次のような例があった。
;スウェーデン
:[[グスタフ6世アドルフ (スウェーデン王)|グスタフ6世アドルフ]]は、即位前に嗣子[[グスタフ・アドルフ (ヴェステルボッテン公)|グスタフ・アドルフ]]を事故で喪ったため、その子[[カール16世グスタフ (スウェーデン王)|カール・グスタフ]]が法定推定相続人となった(後に即位)。
== 法定推定相続人の称号 ==
{{seealso|皇太子|エルププリンツ}}
法定推定相続人は、現在の君主あるいは有爵者より長生きすれば、その君主位または爵位を継承して次代の君主あるいは有爵者となる。このため、一般的な「皇(王)太子」や「公世子」等以外に、法定推定相続人には専用の儀礼称号を設けている場合がある。
現存する具体的な例として、以下がある。
*[[イギリス]]における[[プリンス・オブ・ウェールズ|ウェールズ公]]
*[[オランダ]]における[[オラニエ公]]
*[[ベルギー]]における[[ブラバント公]]
イギリスのウェールズ公位は、推定相続人には授与されなかった(例:王女時代の[[エリザベス2世]])。一方、スペインにも[[アストゥリアス公]]の称号があるが、法定推定相続人に限定されず、推定相続人も同称号を受ける。
また[[イギリスの貴族制度]]では、爵位の法定推定相続人は他の兄弟とは別の[[儀礼称号]]で称される権利を持ち、フランスやドイツにおいても法定推定相続人に一定の称号が付されることがあった([[エルププリンツ]])。
== 法定推定相続人の継承権喪失 ==
継承法が変更されたときは法定推定相続人の地位が他の人物に移ることがある。例えば[[1980年]]に[[スウェーデン]]の王位継承法は男子優先長子相続制から長子相続制に変更され、これによってスウェーデン王位の法定推定相続人は[[カール・フィリップ (ヴェルムランド公)|カール・フィリップ]]王子から姉の[[ヴィクトリア (スウェーデン王太子)|ヴィクトリア]]王女に替わった。
継承法上、継承権の喪失や放棄などが定められている場合、法定推定相続人はこれらの理由によって継承権を失うこともある。典型的な喪失事由は国王もしくは議会の承認なき婚姻。(イギリスはこれに加えて2012年まで
現存する君主制国家では以下のような規定の例がある。
* [[イギリス]]の[[2013年王位継承法|王位継承法]](2013年改正法)では、
* [[オランダ]]の憲法では、議会の承認なく結婚した者は継承権を喪失すると定めている。
* [[スウェーデン]]の王位継承法では、[[ルーテル教会|ルーテル派]]を信仰しない者や、国王と国会の同意なく他国の統治者と結婚した者は継承権を喪失すると定めている。
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== 現在の法定推定相続人 ==
{| class="wikitable sortable"
|+ 王位等の法定推定相続人
|-
!国
!class="unsortable" |肖像
! style="width:14em" | 法定推定相続人
!年齢
!君主との続柄
!期間
|-
|{{JPN}}
|[[ファイル:Fumihito, Crown Prince Akishino (54751644693, cropped).jpg|60px]]
|[[
|{{生年月日と年齢|1965|11|30}}
|弟
|2020年11月8日~
|-
|{{
|[[File:IAEA Meeting with HRH Crown Princess Victoria of Sweden (2) (cropped).jpg|60px]]
|{{Display none|ウイクトリア}}[[ヴィクトリア (スウェーデン皇太子)|ヴィクトリア]]
|{{生年月日と年齢|1977|7|14}}
|長子
|1980年1月1日~
|-
|{{
|[[File:Alois of Liechtenstein and Karin Kneissl November 2018 (45170115774) (cropped).jpg|60px]]
|[[アロイス・フォン・リヒテンシュタイン (1968-)|アロイス]]
|{{生年月日と年齢|1968|6|11}}
|長男
|1989年11月13日~
|-
|{{NOR}}
|[[File:16-11-2015 Presidente em exercício, Michel Temer, recebe no Itamaraty o príncipe herdeiro da Noruega, Haakon Magnus (22448598613).jpg|60px]]
|[[ホーコン (ノルウェー王太子)|ホーコン・マグヌス]]
|{{生年月日と年齢|1973|7|20}}
|長男
|1991年1月17日~
|-
|{{
|[[File:
|[[アルムタデー・ビラ]]
|{{生年月日と年齢|1974|2|17}}
|長男
|1998年8月10日~
|-
|{{
|[[File:
|{{ill2|サルマーン・ビン・ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ|label=サルマーン|en|Salman, Crown Prince of Bahrain}}
|{{Birth date and age|1985|8|31|df=31}}
|長男
|1999年3月6日~
|-
|{{LUX}}
|[[File:
|[[
|{{生年月日と年齢|2020|05|10}}
|長子
|2025年10月3日~
|-
|{{
|[[File:
|[[ムーレイ・ハサン]]
|{{Birth date and age|2003|5|8|df=y}}
|長男
|2003年5月8日~
|-
|{{
|[[File:Sin foto.svg|60px]]
|{{ill2|レロソリ・セーイソ|en|Prince Lerotholi Seeiso}}
|{{Birth date and age|df=yes|2007|04|18}}
|長男
|2007年4月18日~
|-
|{{DUB}}
|[[File:H.H. Sheikh Hamdan Bin Mohammed Bin Rashid Al Maktoum in Summit on the Global Agenda.jpg|60px]]
|{{ill2|ハムダーン・ビン・ムハンマド・アール・マクトゥーム|label=ハムダーン|en|Hamdan bin Mohammed Al Maktoum}}
|{{Birth date and age|1982|11|14|df=yes}}
|次男
|2008年2月1日~
|-
|{{
|[[File:
|[[
|{{Birth date and age|1994|6|28|df=y}}
|長男
|2009年7月2日~
|-
|{{
|[[File:
|{{ill2|トゥポウトア・ウルカララ|label=ウルカララ|en|Tupoutoʻa ʻUlukalala}}
|{{birth date and age|df=yes|1985|9|17}}
|長男
|2012年3月18日~
|-
|{{
|[[File:
|[[カタリナ=アマリア・ファン・オラニエ=ナッサウ|オラニエ女公カタリナ=アマリア]]
|{{生年月日と年齢|2003|12|7}}
|長
|2013年4月30日~
|-
|{{
|[[File:2023_Princess_Elisabeth,_Duchess_of_Brabant_(cropped)01.JPG|60px]]
|[[エリザベート・ド・ベルジック|ブラバント女公エリザベート]]
|{{生年月日と年齢|2001|10|25}}
|長子
|2013年7月21日~
|-
|{{MCO}}
|[[File:Sin foto.svg|60px]]
|[[ジャック・ド・モナコ|ジャック]]
|{{birth date and age|2014|12|10|df=yes}}
|長男
|2014年12月10日~
|-
|{{
|[[File:
|[[ジグミ・ナムゲル・ワンチュク]]
|{{birth date and age|2016|2|5|df=yes}}
|長
|2016年2月5日~
|-
|{{SAU}}
|[[File:Crown Prince Mohammad bin Salman Al Saud - 2017.jpg|60px]]
|[[ムハンマド・ビン・サルマーン]]
|{{生年月日と年齢|1985|8|31}}
|子
|2017年6月21日~
|-
|{{OMN}}
|[[File:Theyazin_bin_Haitham_(cropped).jpg|60px]]
|{{ill2|ズィーヤザン・ビン・ハイサム|en|Theyazin bin Haitham}}
|{{birth date and age|1990|8|21|df=y}}
|子
|2021年1月13日~
|-
|{{GBR}}及び[[英連邦王国]]
|[[File:William Submarines Crop.png|60px]]
|[[ウィリアム (プリンス・オブ・ウェールズ)|ウィリアム]]
|{{生年月日と年齢|1982|6|21}}
|長子
|2022年9月8日~
|-
|{{ESP}}
|[[File:Leonor de Borbón en 2023 (cropped).jpg|76x76ピクセル]]
|[[アストゥリアス公|アストゥリアス女公]][[レオノール・デ・ボルボン|レオノール]]
|{{生年月日と年齢|2005|10|31}}
|長子
|2023年10月31日~
|-
|{{DNK}}
|[[File:Prins Christian til Danmark 2021.JPG |60px]]
|[[クリスチャン (デンマーク皇太子)|クリスチャン]]
|{{生年月日と年齢|2005|10|15}}
|長子
|2024年1月14日~
|}
=== その他 ===
*{{Flagicon|日本}} [[日本]]([[皇室]])では、[[秋篠宮文仁親王]]が皇位継承順位第1位である「[[皇嗣]]」の立場にあり、[[天皇の退位等に関する皇室典範特例法]]第5条に基づき、「[[皇太子]]」([[皇室典範]]での語義は皇嗣たる皇長子)同様の待遇を受ける。[[今上天皇]][[徳仁]]と[[皇后]][[雅子]]が共に[[還暦]]であり新しく[[皇太子]]となるべき[[親王]]が誕生する見込みがないため、国事行為である[[立皇嗣の礼]]が行われ法定推定相続人となった。
*{{Flagicon|スペイン}} [[スペイン]]([[スペイン・ブルボン朝]])では、[[アストゥリアス公|アストゥリアス女公]][[レオノール・デ・ボルボン|レオノール]]が王位継承順位第1位となっており、18歳の誕生日を迎えた際に[[立太子]]宣誓式が行われた。本来スペインは男子優先長子相続制であるが、王妃[[レティシア (スペイン王妃)|レティシア]]がこの時点で51歳であり新しく王子が誕生する見込みがないため法定推定相続人となった。
*{{Flagicon|タイ}} [[タイ王国]]([[チャクリー王朝]])や{{QAT}}([[サーニー家]])にも王室は存在し王太子という立場も存在するが、明確な継承順位が定められておらず、後に継承順位が変わる可能性もあり、法定推定相続人とは言えない。
== 関連項目 ==
* [[現在の君主の一覧]]
* [[王位継承順位]]
* [[推定相続人]]
{{DEFAULTSORT:ほうていすいていそうそくにん}}
[[Category:君主の継嗣|*ほうていすいていそうそくにん]]
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