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{{告知|議論|Template:鉄道車両の社色|date=2025年4月|プロジェクト‐ノート:鉄道/車両#Template:鉄道車両の社色について}}
{{pp-vandalism|small=yes}}
{{Otheruses|2011年に登場した南海本線用(代走で南海高野線にも運用)の特急形車両|かつて存在した南海本線用の特急・急行形車両12001系|南海11001系電車}}
{{鉄道車両
|車両名= 南海12000系電車<br
|社色=
|画像=
|画像説明= 南海電気鉄道12000系
|製造所= [[東急車輛製造]]<ref group="*" name="NK">南海12000系</ref><br />[[総合車両製作所]]横浜事業所<ref group="*" name="SB">[[#泉北高速鉄道12000系電車|泉北12000系]]</ref>
|製造年= [[2011年]] - [[2016年]]
|運用開始= [[南海電気鉄道]]:2011年[[9月1日]]<br/>[[泉北高速鉄道]]:[[2017年]][[1月27日]]
|投入先= [[南海本線]]・[[南海和歌山港線|和歌山港線]]<br/>([[特別急行列車|特急]]「[[サザン (列車)|サザン]]」)<br/>[[南海高野線|高野線]]([[難波駅 (南海)|難波駅]] - [[中百舌鳥駅]]間)・[[南海泉北線|泉北線]]<br/>(特急「[[泉北ライナー]]」)
|両数= 4両編成
|軌間= 1,067 [[ミリメートル|mm]]
|電気方式= [[直流電化|直流]]1,500 [[ボルト (単位)|V]]<br/>([[架空電車線方式]])
|営業最高速度= 110 [[キロメートル毎時|km/h]]
|設計最高速度= 120 km/h
|起動加速度= 2.5 [[メートル毎秒毎秒|km/h/s]]
|常用減速度= 3.7 km/h/s
|非常減速度= 4.0 km/h/s
|車両定員=
|編成
|編成重量=
|全長= 20,765 mm(先頭車)<ref name="Semboku12000">[https://web.archive.org/web/20250328100607/http://www.semboku.jp/fun/zukan/12000kei/ 泉北12000系(泉北ライナー) :車両図鑑] - 泉北高速鉄道(2025年3月28日時点でのアーカイブ)</ref><br/>20,665 mm(中間車){{R|Semboku12000}}
|全幅= 2,820 mm{{R|Semboku12000}}
|全高= 4,140 mm(先頭車){{R|Semboku12000}}<br/>4,050 mm(中間車){{R|Semboku12000}}
|車体材質= [[ステンレス鋼]]{{R|Semboku12000}}
|台車= [[鉄道車両の台車#軸箱守のないもの|モノリンク式]][[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]<br/>SS-177M・SS-177T
|モーター出力= 180 [[ワット|kW]]{{R|Semboku12000}}
|主電動機= [[かご形三相誘導電動機]]<br/>[[三菱電機]]<br/>MB-5091-A2<ref group="*" name="NK"/><br/>MB-5091-A3{{R|Semboku12000}}<ref group="*" name="SB"/>
|駆動装置= [[WN駆動方式|WNドライブ]]
|歯車比= 98:15(6.53)
|編成出力= 1,440 kW
|制御方式= [[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]][[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]
|制御装置= [[日立製作所]]<br/>VFI-HR1420V<ref group="*" name="NK"/><br/>VFI-HR1421F{{R|Semboku12000}}<ref group="*" name="SB"/>
|制動方式= [[回生ブレーキ]]併用<br/>[[電気指令式ブレーキ|全電気指令式電磁直通ブレーキ]]([[遅れ込め制御]]付)MBSA<br/>[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]
|保安装置= [[自動列車停止装置#私鉄のATS|南海型ATS]]
|備考= {{Reflist|group="*"}}
}}
'''南海12000系電車'''(なんかい12000けいでんしゃ)は、[[南海電気鉄道]]の[[特急形車両|特急形]][[電車]]である。
本項では、基本設計が共通する'''泉北高速鉄道12000系電車'''についても記述する。なお、[[2025年]]([[令和]]7年)4月1日の南海電気鉄道と泉北高速鉄道との吸収合併に伴い、同車は南海12000系電車に編入されている<ref>[https://www.nankai.co.jp/traffic/museum/muse/ji0003.html 現在の車両:鉄道博物館] - 南海電気鉄道(2025年4月1日閲覧)</ref>。
== 概要 ==
[[2011年]](平成23年)、[[特別急行列車|特急]]「[[サザン (列車)|サザン]]」[[座席指定席|座席指定車]]の次世代車両として、また[[南海10000系電車|10000系]]の後継として、4両編成×2本の計8両が製造された。愛称は「'''サザン・プレミアム'''」。同年[[9月1日]]より営業運転を開始した<ref>「[https://railf.jp/news/2011/09/02/090000.html 南海12000系が営業運転を開始]」-『[[鉄道ファン (雑誌)|railf.jp]](鉄道ニュース)』、[[交友社]](2011年9月1日)</ref>。
[[2017年]](平成29年)には、特急「[[泉北ライナー]]」専用車両としてマイナーチェンジを行った20番台1編成が泉北高速鉄道に導入された。
== 車
=== 車体 ===
[[ファイル:Nankai 12102 at Shin-Imamiya Station.JPG|サムネイル|前照灯がシールドビーム時代の12000系<br>(2015年8月23日 [[新今宮駅]])]]
「'''サウスウェイブ'''」をデザインコンセプトとし、車両先頭部から側面上部へつながるブルーのラインと、車体側面下部の丸みを帯びたブルーとオレンジのラインは、[[大阪湾]]、[[和歌山市|和歌山]]へ押し寄せる人と車両の「[[波]]」、全国から大阪[[ミナミ]]へ押し寄せる人の[[難波|「波」]]をイメージしている。
先頭部は造形・加工の容易な[[繊維強化プラスチック|FRP]]製で、併結を前提とした[[貫通扉|貫通構造]]である。[[和歌山市駅|和歌山市]]方先頭車の貫通扉には愛称ロゴのプレートを取り付けている。車号標記はデザインを考慮して、運転台上部の窓内側に収めたため、前面の[[方向幕|列車種別・行先表示器]]は[[フルカラー]]LED式1台とし、列車種別と行先を2段表示として、日英表記を3秒ごとに切り替える構成となった{{Efn2|10000系では「サザン」表示の左手に[[みなみじゅうじ座|南十字星]]が描かれていたが、本系列では省略され、代わりに列車種別「特急」を表示する。}}。
[[前照灯]]および[[尾灯]]一体型[[通過標識灯|標識灯]]は8000系に準じた配置であるが、後者の開口部は2色のラインと連続性を持たせた吊り目状のものとなり、従来車よりも大型化されている。内部には[[発光ダイオード|LED灯]]を等間隔に敷き詰め、反射面に拡散板を取り付けることで高密度・高照度な点灯を実現し、前面の表情を引き締めている。なお、前照灯は当初[[シールドビーム]]であったが、[[2016年]](平成28年)にはLEDに交換されている<ref name="RP1017_51">「車両総説」-『鉄道ピクトリアル』2023年10月臨時増刊号、P.51</ref>。
側面は窓周りを黒色にして連続窓風とし、腰板中央には愛称ロゴを配置している。1号車(和歌山市方先頭車)の後部にはNANKAIロゴと、[[南海本線]]・[[南海空港線|空港線]]を表現したイラストが入れられている。出入口は各車両1か所、有効開口幅は約900 mmで、メンテナンス性を考慮して片引き戸が採用された{{Efn2|[[南海20000系電車|20000系]]以降、南海の特急形車両は長らく折り戸を使用しており(ただし[[南海50000系電車|50000系]]は[[プラグドア]])、片引き戸の採用は[[南海11001系電車|11001系]]以来となった。}}。なお、中間車は将来の3両化を想定して出入口増設が考慮されており<ref> 「12000系 解説」-『南海電鉄車両大全』第1巻(チョッパー&VVVF制御車)、P.53、南海電気鉄道(2017年)</ref>、その開口部を「ふさぎ鋼体」により封鎖している。側面の列車種別・行先表示器は8000系と同型の横長のものである。
<gallery widths="150" style="font-size:80%">
Nankai 12000 series Logo "Nankai Line".jpg|1号車側面のロゴ・イラスト
Nankai 12000 series side logo "Southern Premium".jpg|愛称ロゴ
</gallery>
=== 車内設備 ===
「あなたの指定席」「ひとクラスうえの移動空間」をコンセプトに、日常的な移動シーンの中で快適性にグレード感を持たせることを目指している。個々の移動目的や利用客にマッチした新しい機能や設備を揃えることで、誰にでも心地良い「プレミアム」な車両となるよう設計されている。
客室の照明は従来車に準じたスリット入り半間接照明と読書灯の組み合わせで、天井には[[大手私鉄]]で初となる[[プラズマクラスター]]イオン発生機を搭載する。側窓は防音性と保温性に有利な[[複層ガラス]]、床材には[[バリアフリー]]と従来車レベルの遮音性能を両立するエルテックスを採用している{{Efn2|本系列ではバリアフリーの観点から従来の浮き床構造を採用できず、使用する床材の選択にあたっては複数素材を試験し検証を行った。ゴムチップを使用する本塗り床材の採用により、床面高さを1155 mm(8000系より5 mm高い)に留めつつ十分な遮音性能を確保できた。その後、この知見は[[京王電鉄]]に共有され、[[京王5000系電車 (2代)|5000系]]の設計に活かされた<ref>[https://m.youtube.com/watch?v=5_YLlqIH8bc 【秘話】京王5000系の開発「実は〇〇だった…」【京王ライナー7周年企画】] - 京王電鉄公式チャンネル(YouTube、2025年2月22日)</ref>。}}。
[[鉄道車両の座席|座席]]は2+2列の回転式[[リクライニングシート]]で、フットレストとセンターアームレストを備え、シートピッチは1,010 mmである。[[モケット]]は大阪湾の波をイメージした模様入りのブルーで、座席幅は460 mmに拡大されている。ヘッドレストは、リクライニング時の快適性と[[プライバシー]]を考慮して、左右の張り出しが大きく、頭部を包み込むような形状を採用した。また、[[ノートパソコン]]を使用するビジネスユーザーを意識して、座席背面に大型テーブル、足元に[[交流|AC]]電源の[[コンセント]]を完備した。
デッキへの扉は表面を[[木目調]]とした引き戸で、仕切り壁上部にはLED式[[車内案内表示装置|車内案内表示器]]を設けている。デッキには迷惑行為防止のため、新たに[[防犯カメラ]]を設置している。
[[列車便所|トイレ]]・洗面所は1号車のデッキ付近に配置され、車椅子対応大型トイレ、男性用小便器、女性専用トイレの3区画を設けている。男性用は当初、南海の一部の駅や[[南海フェリー]]で当時採用されていた[[無水トイレ]]で、尿より比重の軽い特殊な液体がフタの役目をして臭いを軽減する仕組みであったが、{{要出典範囲|後述の「泉北ライナー」用車両の登場後に、一般的なセンサー式水洗トイレに交換されている。|date=2025年6月}}
4号車([[難波駅 (南海)|難波]]方先頭車)のデッキ部には多目的室を新設している。内部には座席のほか、[[車内非常通報装置|非常通報装置]]・鏡・チェンジングボードが備わっている。通常は施錠されているため無断での使用はできないが、着替えや授乳・おむつ交換などが必要な場合は、乗務員への申し出により使用できる。また、同区画には飲料[[自動販売機]]が設置されている。
このほか、特急「サザン」初の自動放送装置を搭載しており、英語放送にも対応する{{Efn2|なお近年は、併結する自由席車側に4カ国語対応の自動放送装置が搭載されているため、本系列搭載の2カ国対応のものは使用が停止されている。}}。
なお[[2014年]](平成26年)以降、天井照明と読書灯を昼白色[[LED照明]]に交換し、サービスレベルの向上が図られている{{R|RP1017_51}}。
<gallery widths="150" style="font-size:80%">
Nankai 12000 series cabin.jpg|木目をアクセントとした車内
NK12000 LED.jpg|LED式車内案内表示器
Nankai 12000 series Plasmacluster generator.jpg|[[プラズマクラスター]]発生機
Musui-toilet.JPG|男性用トイレ(無水トイレ)
</gallery>
=== 主要機器 ===
基本設計は8000系を踏襲し、ほぼ同型の機器を搭載する。これにより便所関連機器を擁するMc2車(モハ12101形)以外の3両で機器配置が8000系と同一となり、設計コストが削減されている。
主回路システムは[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御装置]](日立製作所 VFI-HR1420V形)、主電動機は[[かご形三相誘導電動機]](三菱電機 MB-5091-A2形、定格出力 180 kW)である。また、車内[[照明]]や[[エア・コンディショナー|空調装置]]の電源用として、2レベルIGBT[[静止形インバータ]](東洋電機製造 SVH75-4045C形{{Efn2|入力側が直流1500 V、出力側が三相交流220 V・60 Hz。}})をMc1車(モハ12001形)とT2車(サハ12851形)に搭載する。
[[集電装置]]はシングルアーム式パンタグラフの PT-7144-B形、[[鉄道車両の台車|台車]]は[[住友金属工業]]製のモノリンク式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]] SS-177M形(電動台車)・SS-177T形(付随台車)、[[圧縮機|空気圧縮機]]はスクロール式で、いずれも8000系との共通品である。なお、Mc1車のパンタグラフ搭載位置は、8000系の前頭部寄りから下り方車端部寄りに変更されている。また、8000系では両先頭台車に[[砂撒き装置#セラミック噴射装置|増粘着剤噴射装置]]を設置していたが、本系列では自由席車との併結を前提にMc1車への搭載が省略されている。
空調装置も8000系と同一品であるが、空調制御器は設定温度を1両ごとに変更可能な仕様とし、座席指定車添乗の乗務員により0.1℃単位でのきめ細かな温度設定が行われる。
== 運用 ==
{{Vertical_images_list
|幅 = 200px
|枠幅 = 200px
|1 = 南海8000系8006f.jpg
|2 = [[南海8000系電車 (2代)|8000系]]<br/>(「サザン」自由席車、以下同じ)
|3 = Nankai 9000 Series 9509F.jpg
|4 = [[南海9000系電車|9000系]]
|5 = 12000と併結し特急「サザン」の運用に就く8300系(8310F).jpg
|6 = [[南海8300系電車|8300系]]
}}
2011年(平成23年)2月に[[横浜市]]の[[東急車輛製造]]で落成し、[[和歌山市駅]]まで[[JR]]線を[[車両輸送|甲種輸送]]され南海に入線した<ref>「[https://railf.jp/news/2011/02/09/143000.html 南海12000系が甲種輸送される]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年2月9日)</ref>。その後3月末から南海本線・[[南海高野線|高野線]]で[[試運転]]が行われた<ref>「[https://railf.jp/news/2011/03/23/175600.html 南海12000系が高野線で試運転]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年3月23日)</ref><ref>「[https://railf.jp/news/2011/04/06/223400.html 南海12000系が試運転]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年4月6日)</ref>。
同年7月4日には女性と子供を対象にした試乗会が行われた<ref>「[https://railf.jp/news/2011/07/05/204500.html 南海12000系の試乗会 開催]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年7月5日)</ref>ほか、8月20日には[[シャープ]]との共同で、プラズマクラスター技術の広報を目的とした親子向け試乗会が開催された<ref>{{PDFlink|[https://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/110708.pdf プラズマクラスター搭載の特急「サザン」新型車両12000系特別試乗会を実施]}} - シャープ・南海電気鉄道(2020年7月8日)</ref>。
9月1日から、南海本線・[[南海和歌山港線|和歌山港線]]の難波駅 - 和歌山市駅・[[和歌山港駅]]間で運行されている特急「サザン」の座席指定車として営業運転を開始し、自由席車4両(8000系・[[南海9000系電車|9000系]]・[[南海8300系電車|8300系]])を併結して運用されている<ref>柴田東吾『[https://books.ikaros.jp/book/b10044698.html 大手私鉄サイドビュー図鑑12 南海電鉄]』、P.110、イカロス出版(2023年9月27日、{{ISBN2|978-4-802-21331-8|link=no}})</ref>{{Efn2|かつては[[南海1000系電車 (2代)|1000系]]との併結もシステム上可能だった<ref>「車両総説」-『鉄道ピクトリアル』2023年10月臨時増刊号、P.56</ref>が、営業運転での併結実績は一度もない。}}{{Efn2|本系列の導入に伴い、10000系が[[2012年]](平成24年)と[[2013年]](平成25年)に1本ずつ廃車となった。}}。
上記以外の試乗会では、[[小原田検車区]](高野線の[[御幸辻駅]] - [[橋本駅 (和歌山県)|橋本駅]]間)や[[南海多奈川線|多奈川線]]に入線した<ref>{{PDFlink|[https://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/110609_3.pdf 特急サザン新型車両12000系 導入記念イベントを開催します]}} - 南海電気鉄道(2011年6月9日)</ref>。また[[鉄道の日]]記念イベント「南海電車まつり」の開催日には、[[南海電鉄千代田工場|千代田工場]]への臨時列車に使用されている<ref>「[https://railf.jp/news/2011/10/30/162600.html 南海12000系,臨時列車で千代田工場へ]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2011年10月30日)</ref>ほか、2014年(平成26年)10月11日には[[光明池駅|光明池]]車庫で行われたイベントに合わせ、難波駅 - 光明池車庫間を臨時列車として走行し[[泉北高速鉄道線|泉北高速線]]に初入線した<ref>「[https://rail.hobidas.com/rmnews/248635/ 【泉北】「せんぼくトレインフェスタ2014」開催]」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2014年10月15日)</ref>。
[[2024年]]([[令和]]6年)1月現在、平日ダイヤでは10000系との共通運用、土休日ダイヤでは1日12便体制で本系指定の運用に入っている<ref>[https://www.nankai.co.jp/traffic/info/southern12000.html 特急サザン12000系 特設サイト] - 南海電気鉄道(2024年4月18日閲覧)</ref>。ただし高野線特急用車両や特急「泉北ライナー」用車両が検査のため運用を離脱する際は、本系が「泉北ライナー」用として貸し出される場合がある<ref>「[https://railf.jp/news/2016/01/06/130000.html 南海12000系が“泉北ライナー”を代走]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2016年1月6日)</ref><ref>「[https://rail.hobidas.com/rmnews/253455/ 【南海+泉北高速】〈泉北ライナー〉の話題]」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2017年1月23日)</ref><ref>「[https://rail.hobidas.com/rmnews/259883/ 【南海】【泉北】「泉北ライナー」を南海12000系が代走]」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2020年1月27日)</ref>{{Efn2|貸出期間中は、土休日の本系指定の「サザン」運用の一部が10000系で代走される。また「泉北ライナー」代走時には、Mc1車が先頭に立つ姿が見られる。}}。
[[2023年]](令和5年)1月9日夜から約1ヶ月間は、特急「りんかん」の一部列車を12001Fが代走した<ref>「[https://railf.jp/news/2023/01/13/160000.html 南海特急“りんかん”の話題]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2023年1月13日)</ref>。[[南海30000系電車|30000系]]が前年の脱線事故で未復帰の中、[[南海31000系電車|31000系]]が定期検査により離脱したためで、種別表示が「りんかん」に対応しておらず「特急」を表示して運転された。
== 泉北高速鉄道12000系電車 ==
[[ファイル:Semboku12000 Semboku-Liner.jpg|thumb|200px|right|泉北高速鉄道12000系<br/>(旧デザイン)]]
[[南海高野線]]難波駅 - 泉北高速鉄道[[和泉中央駅]]間を結ぶ、特急「[[泉北ライナー]]」用に導入された車両である。[[南海グループ]]参入後初の新型車両で、南海12000系のマイナーチェンジ車として20番台に区分された。2017年(平成29年)1月27日より営業運転を開始している<ref name="RF20170128">「[https://railf.jp/news/2017/01/28/202000.html 泉北高速鉄道12000系が営業運転を開始]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2017年1月28日)</ref>。
南海12000系を基本とした設計としながら、内外装デザインを大きく変更している<ref>生産本部技術部「{{PDFlink|[https://www.j-trec.co.jp/company/070/06/jtr06_100-105.pdf 泉北高速鉄道12000系]}}」-『総合車両製作所技報』第6巻、PP.100-105、総合車両製作所(2017年)</ref>。
{{-}}
=== 車両概説 ===
==== 車体 ====
[[ファイル:SembokuLiner Emblem.jpg|thumb|200px|right|シンボルマーク]]
車体外観は金色{{Color|#cbbf79|■}}をベースに、青色{{Color|#3143ad|■}}と黒色{{Color|#1f1f20|■}}のラインを配した煌びやかなデザインとされた。金色は、アメリカの[[ゴールドラッシュ]]に人が殺到したように、「泉北地域へ人が集まるように」という願いから採用されたものである<ref>[https://x.com/srw_sembokun/status/955954322717646848 せんぼくん【公式】泉北高速鉄道(@srw_sembokun)のポスト] - [[X (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)|X]](2018年1月24日)</ref>。また、2色のラインに連続性を持たせるため、側窓にもラッピングフィルムが貼り付けられた。前照灯は当初よりLEDを採用している。
和泉中央方先頭車12121の車体側面には、「新しさ」を表現する星マークと、その周りに4色の小さな丸ドットを配したシンボルマークを取り付けている。丸ドットはそれぞれ[[泉北ニュータウン]]の地域(泉ヶ丘・栂・光明池・[[トリヴェール和泉]])を表しており、[[京セラ]]の京都[[オパール]]が使用されている。
[[ファイル:Semboku12000 12021F New Color.jpg|thumb|200px|right|新デザイン<br/>(2025年2月15日 中百舌鳥駅)]]
[[2024年]]([[令和]]6年)[[5月30日]]から、新しいデザインの外観に変更されている。引き続き金色をベースとしているが、前面と側面の窓周りは黒でシックな印象を与えつつ、側面には青と金色の流れるような曲線をダイナミックに配置し、特急列車の疾走感を表現したものとなった<ref>{{PDFlink|[https://www.nankai.co.jp/lib/groupinfo/news/pdf/240510.pdf 泉北ライナー(12000系)新デザインで運行します ~2024年5月30日営業運転開始~]}} - 泉北高速鉄道(2024年5月10日)</ref><ref>「[https://railf.jp/news/2024/05/31/075900.html 泉北高速12000系が新デザインで営業運転に復帰]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2024年5月31日)</ref><ref>「[https://rail.hobidas.com/rmnews/500692/ 【泉北高速鉄道】「泉北ライナー」リニューアル]」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、[[ネコ・パブリッシング]](2024年6月21日)</ref>。
{{-}}
==== 車内設備 ====
内装は「非日常」を演出するため、デッキ・洗面所・トイレの壁面を金色としている。またデッキには[[ダウンライト]]を増設することで、光に吸い込まれるような空間に仕上げている。
客室は、明暗2色の木目調を組み合わせたもので、側窓に貼られたフィルム{{Efn2|フィルムには微細な穴が開けられており、斜めから見ることで車外の眺望ができるよう配慮されている。}}とともに、落ち着きと安らぎのある雰囲気にまとめている。座席のモケットとカーテンには、シンボルマークの4色を1両ごとに異なるように配色し、乗車するたびに違った雰囲気を楽しめるようにしている{{Efn2|1号車が黄色、2号車が緑色、3号車が紫色、4号車が赤色。}}。
このほか、車内案内表示器には4カ国語対応の[[液晶ディスプレイ|LCD]]、客室灯にはLED照明、男子用小便器には清水式を採用し、いずれも南海12000系から変更を加えている。なお、プラズマクラスターイオン発生機は南海12000系から引き続き装備している。
<gallery widths="150" style="font-size:80%">
Senboku-liner-1 shanai.jpg|1号車の車内(黄色)
Semboku12000 deck.jpg|デッキ
Semboku12000 LCD.jpg|LCD式車内案内表示器
</gallery>
====
機器類は南海12000系とほぼ同型のもので、配置も同一である。ただし増粘着剤噴射装置は南海12000系と異なり、両先頭台車に装備する。
=== 運用 ===
[[ファイル:Semboku 12000 Series 12021F 20180820.jpg|thumb|200px|right|泉北高速12000系による特急「サザン」<br/>(2018年8月20日)]]
2016年(平成28年)10月29日から31日にかけて、製造元の[[総合車両製作所]]横浜事業所{{Efn2|泉北高速鉄道では初めての総合車両製作所製車両であり、東急車輛製造時代を含めると[[大阪府都市開発5000系電車|5000系]](5509F)以来25年ぶりとなる。}}を出場し、JR線経由で南海本線の和歌山市駅まで甲種輸送され、その後光明池車庫まで自力回送された<ref>「[https://railf.jp/news/2016/10/31/202000.html 泉北高速鉄道12000系が甲種輸送される]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2016年10月31日)</ref>。2017年(平成29年)1月21日にはデビューを記念して、南海[[羽倉崎検車区]]にて車両撮影会を行うイベントが実施された<ref>「[https://railf.jp/news/2017/01/22/201000.html 『特急“泉北ライナー”12000系デビュー! 一番乗り撮影会in羽倉崎車庫』開催]」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2017年1月22日)</ref>。1月27日から特急「泉北ライナー」として運行を開始している{{R|RF20170128}}。
== 編成表 ==
2024年(令和6年)4月1日現在<ref name="JRR2024_160・165">『私鉄車両編成表2024』、PP.160・165</ref>
4両編成×2本が所属している。また、泉北高速鉄道12000系は4両編成×1本が所属する。
{|class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%;"
|+4両編成
!colspan="7"|{{TrainDirection|難波|和歌山港・和泉中央}}
|-style="border-top:solid 3px #0822e8;"
!style="width:4em;"|号車
!style="width:6em;"|4
!style="width:6em;"|3
!style="width:6em;"|2
!style="width:6em;"|1
!rowspan="6" style="width:8em;"|竣工<ref>「民鉄車両 会社別の動向(新造・改造・廃車)」-『鉄道ピクトリアル』2012年10月臨時増刊号「鉄道車両年鑑2012年版」、P.230</ref>
!rowspan="6"|備考
|-
!形式
|{{right|> }}<br/>'''モハ12001'''<br/>(Mc1)
|<br/>'''サハ12801'''<br/>(T1)
|<br/>'''サハ12851'''<br/>(T2)
|{{left| <}}<br/>'''モハ12101'''<br/>(Mc2)
|-
!搭載機器
|CONT<br/>SIV||CP||SIV||CONT<br/>CP
|-
!自重
|41.5 t||30.5 t||32.0 t||40.5 t
|-
!定員<ref name="Nankai_Southern">[https://www.nankai.co.jp/traffic/express/sazan.html 特急サザン 12000系:座席表] - 南海電気鉄道(2025年1月24日閲覧)</ref>
|60||68||64||50
|-
!設備{{R|Nankai_Southern}}
|{{Fontsize|75%|多目的室<br/>サービスコーナー}}||||||{{Fontsize|75%|トイレ<br/>車椅子スペース}}
|-style="border-top:solid 3px #f67b13;"
!rowspan="2"|車両番号
|12001||12801||12851||12101
|rowspan="2"|2011/07/04||
|-
|12002||12802||12852||12102
|
|}
{|class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%;"
|+泉北高速鉄道12000系 4両編成
!colspan="7"|{{TrainDirection|難波|和泉中央}}
|-style="border-top:solid 3px #1f1f20;"
!style="width:4em;"|号車
!style="width:6em;"|4
!style="width:6em;"|3
!style="width:6em;"|2
!style="width:6em;"|1
!rowspan="7" style="width:8em;"|竣工{{R|JRR2024_160・165}}
!rowspan="7"|備考
|-
!形式
|{{right|> }}<br/>'''モハ12021'''<br/>(Mc1)
|<br/>'''サハ12821'''<br/>(T1)
|<br/>'''サハ12871'''<br/>(T2)
|{{left| <}}<br/>'''モハ12121'''<br/>(Mc2)
|-
!搭載機器
|CONT<br/>SIV||CP||SIV||CONT<br/>CP
|-
!自重{{R|Semboku12000}}
|41.5 t||30.5 t||32.0 t||40.5 t
|-
!定員<br/>{{R|Semboku12000}}<ref name="Nankai_SembokuLiner">[https://www.nankai.co.jp/traffic/express/senbokuliner.html 泉北ライナー 12000系:座席表] - 南海電気鉄道(2025年1月24日閲覧)</ref>
|60||68||64||50
|-
!シート色<br/>{{R|Semboku12000}}
|レッド||パープル||グリーン||イエロー
|-
!設備{{R|Nankai_SembokuLiner}}
|{{Fontsize|75%|多目的室<br/>サービスコーナー}}||||||{{Fontsize|75%|トイレ<br/>車椅子スペース}}
|-style="border-top:solid 3px #cbbf79;"
!車両番号
|12021||12821||12871||12121
|2016/12/22||
|}
; 凡例
* CONT:制御装置
* SIV:静止形インバータ
* CP:空気圧縮機
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 参考文献 ==
* 『[[鉄道ファン]]』、[[交友社]]
** 山田健太郎(南海電気鉄道(株)鉄道営業本部車両部車両課)「新車ガイド 南海電気鉄道12000系」- [https://railf.jp/japan_railfan_magazine/2011/604/ 2011年8月号(No.604)]、PP.58-65
** 「CAR INFO 泉北高速鉄道12000系」- [https://railf.jp/japan_railfan_magazine/2017/672/ 2017年4月号(No.672)]、PP.76-77
* 『[[鉄道ピクトリアル]]』、[[電気車研究会]]
** [http://www.tetsupic.com/contents/index2012.html#868 2012年10月臨時増刊号「鉄道車両年鑑2012年版」(No.868)]
** [http://www.tetsupic.com/contents/index2023.html#1017 2023年10月臨時増刊号(No.1017)]
* ジェー・アール・アール『[https://www.kotsu.co.jp/products/details/16497.html 私鉄車両編成表2024]』、[[交通新聞社]](2024年7月11日、{{ISBN2|978-4-330-03424-9|link=no}})
== 関連項目 ==
* [[サザン (列車)|サザン]]
* [[泉北ライナー]]
* [[南海8000系電車 (2代)|南海8000系電車]]
* [[南海10000系電車]]
== 外部リンク ==
{{commonscat|Nankai 12000 series}}
* [
* [https://web.archive.org/web/20250328100607/http://www.semboku.jp/fun/zukan/12000kei/ 12000系:車両図鑑] - 泉北高速鉄道(2025年3月28日時点でのアーカイブ)
* [https://www.nankai.co.jp/traffic/express/sazan.html 特急サザン] - 南海電気鉄道
* [https://www.nankai.co.jp/traffic/express/senbokuliner.html 泉北ライナー] - 南海電気鉄道
* [https://web.archive.org/web/20120413181015/http://www.j-trec.co.jp/rw/ndk12.html 南海電気鉄道12000系(サザン・プレミアム)] - 総合車両製作所(2012年4月13日時点でのアーカイブ)
{{南海電気鉄道の車両}}
{{泉北高速鉄道の車両}}
{{DEFAULTSORT:なんかい12000けいてんしや}}
[[Category:南海電気鉄道の電車|12000けい]]
[[Category:2011年製の鉄道車両|なんかい電12000]]
[[Category:東急車輛製造製の電車]]
[[Category:鉄道車両関連]]
{{リダイレクトの所属カテゴリ|redirect=泉北高速鉄道12000系電車|泉北高速鉄道の電車|2016年製の鉄道車両|総合車両製作所製の電車}}
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