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{{Otheruseslist|[[野菜]]のうち主に「長ネギ」と呼ばれるもの|同じく野菜である「玉ねぎ」タマネギ|タマネギ|神職「魔法先生ネギま!」の登場人物のネギ・スプリングフィールド|禰宜魔法先生ネギま!の登場人物#主人公}}
{{redirectlist|ねぎ|ロックバンド「Novelbright」のメンバーのねぎ|Novelbright#メンバー|お笑いコンビ「ミヤコジマ」のメンバーのねぎ|ミヤコジマ#メンバー|漫画家の春場ねぎ|春場ねぎ}}
{{出典の明記|date=2015年5月}}
{{混同|x1=神職の|禰宜}}
{{生物分類表
|名称 = ネギ<span style="font-weight: normal; font-size: smaller; ">([[APG植物分類体系]])</span>
|色 = lightgreen
|画像 = [[ファイル:Scallion Negi.jpg|240px]]
|画像キャプション =ネギ
|界 = [[植物界]] {{sname||Plantae}}
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|属 = [[ネギ属]] {{snamei||Allium}}
|種 = ネギ {{snamei|A. fistulosum}}
|学名 =
|学名 = {{snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}}
標準: {{snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} {{small|([[1753年|1753]])}}<ref name="YList">{{YList||id=4636|taxon=Allium fistulosum L. ネギ(標準)|accessdate=2023-05-09}}</ref>
狭義: {{Snamei||Allium fistulosum}} {{AU|L.}} var. {{Snamei|giganteum}} {{AU|Makino}} {{small|([[1910年|1910]])}}<ref name="YList_狭義">{{YList|id=26424|taxon=Allium fistulosum L. var. giganteum Makino ネギ(狭義)|accessdate=2023-5-09}}</ref>
|シノニム=
* {{Snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} {{Snamei|var. bouddhae}} {{AU|Prokh.}} {{small|([[1973年|1973]])}}<ref>{{YList|id=37234|taxon=Allium fistulosum L. var. bouddhae Prokh. ネギ(シノニム)|accessdate=2023-05-09}}</ref>
* {{Snamei|Allium bouddhae}} {{AU|Debeaux}} {{small|([[1878年|1878]])}}<ref>{{YList|id=29177|taxon=Allium bouddhae Debeaux ネギ(シノニム)|accessdate=2023-05-09}}</ref>
|和名 = ネギ
|英名 = Welsh onion{{sfn|金子美登|2012|p=132}}<br>Leek{{sfn|金子美登|2012|p=132}}
}}
'''ネギ'''('''葱'''、[[学名]]: {{snamei|Allium fistulosum}})は、原産地を[[中華人民共和国|中国西部]]・[[中央アジア]]とする[[植物]]。
[[ファイル:Scallion Flower1105.jpg|thumb|240px|ネギの花]]
[[File:Allium fistulosum MHNT.BOT.2011.3.23.jpg|thumb|''Allium fistulosum'']]
{{栄養価 | name=根深ねぎ 葉 軟白 生<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>| kJ =143| water=89.6 g| protein=1.4 g| fat=0.1 g| satfat=0.02 g| polyfat =0.02 g| opt1n=[[コレステロール]] | opt1v=2 mg| carbs=8.3 g| opt2n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt2v=0.3 g| opt3n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt3v=2.2 g| fiber=2.5 g| potassium_mg=200| calcium_mg=36| magnesium_mg=13| phosphorus_mg=27| iron_mg=0.3| zinc_mg=0.3| copper_mg=0.04| Manganese_mg=0.12| betacarotene_ug=82| vitA_ug =7| vitE_mg =0.2| vitK_ug=8| thiamin_mg=0.05| riboflavin_mg=0.04| niacin_mg=0.4| vitB6_mg=0.12| folate_ug=72| pantothenic_mg=0.17| opt4n=[[ビオチン|ビオチン(B<sub>7</sub>)]] | opt4v=1.0 µg| vitC_mg=14| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]}}」</ref>。別名: 長ねぎ
廃棄部位: 株元及び緑葉部  | right=1 }}
'''ネギ'''('''葱'''、Welsh onion、学名 {{snamei|Allium fistulosum}})は、原産地を[[中華人民共和国|中国西部]]・[[中央アジア]]とする植物である。東アジアでは食用に栽培されている。[[クロンキスト体系]]では[[ユリ科]]とされていたが、[[APG植物分類体系]]では[[ヒガンバナ科]][[ネギ亜科]][[ネギ属]]に分類される。
 
== 概要 ==
古名では、「冬葱」・「比止毛之」・「祢木」とされ、「き(紀)」ともいう。別名の「ひともじぐさ」は「き」の一文字で表されるからとも、枝分れした形が「人」の字に似ているからとも言う。ネギの花は[[スキンヘッド|坊主頭]]や[[擬宝珠]]を連想させるため「[[ネギ坊主|葱坊主]]」(ねぎぼうず)や「[[擬宝珠]]」(ぎぼし)と呼ばれる。「擬宝珠」は別科別属の植物「[[ギボウシ]](ギボシ)」も表す。[[萌葱色]]は葱の若芽のような[[黄]]色を帯びた[[緑]]色のことである。
[[禁葷食|五葷]]・[[五辛]]の1つ。[[東アジア]]では食用に栽培されており、[[日本]]では[[野菜]]の一つとして扱われている<ref name="JAネギ">[https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=8 >野菜のチカラをもっと知る >とれたて大百科 >ネギ] JAグループ(2020年4月25日閲覧)</ref>。[[分蘖]]して主に緑の葉の部分を食べる「葉ネギ」と、細長くのびて主に白い葉鞘の部分を食べる「長ネギ」(根深ネギ)と呼ばれる系統がある。
 
[[クロンキスト体系]]では[[ユリ科]]とされていたが{{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}、[[APG植物分類体系]]では[[ヒガンバナ科]][[ネギ亜科]][[ネギ属]]に分類される。
[[英語]]では Welsh onion と呼ばれることがあるが、本種は[[ウェールズ]]原産ではなく、[[ウェールズ料理]]で特に一般的に使われることもない。ウェールズで一般的な類似のネギ属の野菜で、[[国章]]にもなっているのは、[[リーキ]] ''A. ampeloprasum'' である。この場合の"Welsh"は[[ドイツ語]]の"welsch"に由来し「外国の」という意味である<ref>[http://www.oxforddictionaries.com/definition/english/Welsh-onion "Welsh onion"]. Oxforddictionaries.com.</ref>。
 
== 名称 ==
日本では古くから[[味噌汁]]、[[冷奴]]、[[蕎麦]]、[[うどん]]などの[[薬味]]として用いられる他、[[鍋料理]]に欠かせない[[食材]]のひとつ。[[アリル化合物|硫化アリル]]を成分とする特有の[[辛味]]と匂いを持つ。匂いが強いことから「葷」の一つ「[[禁葷食]]」ともされる。料理の脇役として扱われることが一般的だが、葉ネギは[[ねぎ焼き]]、根深ネギは[[スープ]]などで主食材としても扱われる。ネギの[[茎]]は下にある[[根]]から上1cmまでで、そこから上全部は[[葉]]になる。よって食材に用いられる白い部分も青い部分も全て葉の部分である。
[[和名]]'''ネギ'''の由来は、古名「き」によるとされる。別名は「一文字(ひともじ)」「比止毛之」。「あさつき」「浅葱色(あさぎいろ)」「分葱(わけぎ)」などにその影響が残っている。現在の「ネギ」は「根葱」からきていると言われ、茎のように見える[[葉鞘]]の基部の白い部分を、根に見立てたからとする説がある{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。日本の古名では「冬葱」「祢木」とされ、「き(紀)」ともいう。枝分れした形が「人」の字に似ているからともいう。
 
学名の[[種小名]] {{snamei|fistulosum}} は[[ラテン語]]で「中空の」という意味をもつ。ネギの標準学名は、{{Snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} であり<ref name="YList"/>、狭義のネギでは、{{Snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} {{Snamei|var. giganteum}} {{AU|Makino}} <ref name="YList_狭義"/>を学名としている。
東日本では単に「ネギ」と言うと、成長とともに土を盛上げて陽に当てないようにして作った風味が強く太い根深ネギ(長葱・白ネギ)を差し、他は「[[ワケギ]]」「[[アサツキ]]」「[[万能ネギ]]」「[[九条ネギ]]」などの固有名で呼んで区別をする。[[西日本]]では陽に当てて作った細い葉ネギを単に「ネギ」と言い、根深ネギは「白ネギ」、「ネブカ」<!--一部の関西人の呼び名 もちろん正しくない名称で正式名称ではない「東京ネギ」-->などと呼ぶ場合もある。
 
[[英語]]ではリーク({{lang|en|''Leek''}}){{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}、またはウェルシュ・オニオン({{lang|en|''Welsh onion''}}){{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}、[[フランス語|仏名]]はシブール({{lang|fr|''ciboule''}})、シヴァ({{lang|fr|''cive''}}), カタルーニャ語で冬玉ねぎ ('''''ceba d'hivern''''')、など{{sfn|講談社編|2013|p=130}}と呼ばれ、[[中国]]植物名で葱(そう){{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}という。英名の "{{lang|en|Welsh}}" は[[ドイツ語]]の "{{lang|de|welsch}}" に由来し「外国の」という意味である<ref>[http://www.oxforddictionaries.com/definition/english/Welsh-onion "Welsh onion"]. Oxforddictionaries.com.</ref>。<!--なお、[[イギリス]]の[[ウェールズ]]で一般的な類似のネギ属の野菜で、[[国章]]にもなっているのは、[[リーキ]] ''A. ampeloprasum''である。-->
== 生産 ==
[[File:Baluster finial of Gojo-ohashi Bridge 01.jpg|thumb|120px|擬宝珠(京都・五条大橋)]]
[[ファイル:Spring Onion.jpg|サムネイル]]
日本では収穫されたネギのことを、収穫時期によって「夏ネギ」と「冬ネギ」に呼び分けており、また白い部分が多いネギは「根深ネギ」、緑の部分が多いネギを「葉ネギ」と呼んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=204}}。[[東日本]]では単に「ネギ」というと、成長とともに土を盛上げて陽に当てないようにして作った風味が強く太い根深ネギ(長葱・白ネギ)を指し、他は「[[ワケギ]]」「[[アサツキ]]」「[[小ねぎ|万能ネギ]]」「[[九条葱]]」などの固有名で呼んで区別をする。[[西日本]]では陽に当てて作った細い葉ネギを「青ネギ」と言い、根深ネギは「白ネギ」「ネブカ」などと呼ぶ場合もある。こうした地域差は薄らぐ傾向にある<ref name="JAネギ"/>。
日本における出荷量は、農林水産省統計データ([[2010年]])によると[[関東地方]]を中心とする[[東日本]]がほぼ半数を占めている。
*[[千葉県]] 15.71%
*[[埼玉県]] 13.26%
*[[茨城県]] 10.05%
*[[北海道]] 6.73%
*[[群馬県]] 4.57%
日本の単位面積当たりの生産高は世界一で生産高は世界2位である。人口が多く広大な土地を持つ[[中国]]における生産高は世界1位である。
 
なお、アサツキは植物種([[学名]]:{{Snamei|Allium schoenoprasum}} var. {{Snamei|foliosum}})であるが、青果市場では葉ネギを若採りしたものを「あさつき」と呼ぶこともある<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.maruka-ishikawa.co.jp/monthly/202111/202111negi.pdf|title=葱(ねぎ)|publisher=丸果石川中央青果|accessdate=2022-09-09}}</ref>。
病虫害の予防効果を狙って、しばしば[[ユウガオ]]、[[トマト]]、[[ナス]]、[[ホウレンソウ]]などの畑に混植される(→ [[コンパニオンプランツ]])。
 
ネギにまつわる言葉も多い{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。[[抽苔]]したネギに生じる[[蕾|花蕾]]は[[スキンヘッド|坊主頭]]を連想させるため「[[ネギ坊主|葱坊主]]」(ねぎぼうず)とよぶ。橋の[[欄干]]につくネギ坊主に似た飾りを「[[擬宝珠]]」(ぎぼし){{efn|「擬宝珠」は別科別属の植物「[[ギボウシ]](ギボシ)」も表す。}}というが、「擬宝」とはネギ坊主のことを表した言葉である{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。[[萌葱色]]は葱の若芽のような黄色を帯びた緑色、[[浅葱色]]は薄い葱の葉にちなんだ明るい青緑色のことである。
他の野菜と比較して[[塩害]]に強いとされており、[[平成14年台風第21号|2002年に台風21号]]が[[関東地方]]に上陸後、[[九十九里浜]]周辺の畑では塩害によって野菜や[[街路樹]]が枯れたのに対し、ネギだけは枯れずに残っていた逸話がある<ref>[http://www.99beach.com/store/umikko/ 千葉県九十九里ビーチエリア観光ガイド「九十九里 海っ子ねぎ」より]</ref>。[[山武郡市農業協同組合|JA山武郡市]]ではこれをヒントに海水をかけて栽培した「九十九里 海っ子ねぎ」を販売している<ref>[http://www.ja-sambugunshi.or.jp/agriproducts/5.html JA山武郡市「九十九里 海っ子ねぎ」より]</ref>。
 
== 特徴 ==
[[畑]]で栽培される[[多年草]]{{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}{{sfn|田中孝治|1995|P=204}}。[[分蘖]]しにくい1本ネギの品種と、分蘖しやすい品種がある{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。また、地方ごとに多数の在来品種がある{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。
 
ネギの葉は白い[[葉鞘]](ようしょう)の部分と、緑色の葉身部からなって重なり、一見すると[[茎]]のように見えことから[[偽茎]]とよんでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=204}}{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}。葉身部は管状で太く、先端は尖り、白っぽい粉が吹いた緑色で、粘液を含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=204}}。冬の低温に感応して花芽ができ、春に薹(とう)立ちして[[花序]]がつき開花する{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}。ネギの花序は、葉の間から伸びた円柱状の[[花茎]]の先端につき、俗に「ネギ坊主」と呼ばれる。ネギ坊主は薄い膜質の[[総苞]]に包まれて、中に多数の小花があり、白緑色の花を密集して咲かせる{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。
<gallery>
ファイル:Scallion Flower1105.jpg|ネギの花(ネギ坊主)
File:Allium fistulosum MHNT.BOT.2011.3.23.jpg|{{snamei|Allium fistulosum}}
File:Leiden University Library - Seikei Zusetsu vol. 24, page 007 - 葱 - Allium fistulosum L., 1804.jpg|『[[成形図説]]』
</gallery>
 
== 歴史 ==
中国西部や[[シベリア]]、[[中央アジア]]の[[アルタイ]]地方あたりの乾燥地帯が原産といわれ{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=114}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}{{sfn|講談社編|2013|p=135}}、古代中国の[[漢]]代に書かれた『[[礼記]]』などの記録から、[[紀元前200年]]ごろには既に中国で栽培されていたことが分かっている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
日本には[[奈良時代]]に渡来し、古くから親しまれてきた野菜である{{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}。そのため、各地で在来種もつくられている{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。『[[日本書紀]]』(720年成立)の[[仁賢天皇]]6年([[493年]])9月に「秋葱」の名で登場するのが日本最古の記録といわれている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。[[ヨーロッパ]]へは16世紀になって伝わったが、あまり普及はしなかった{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
== 分類 ==
大別すると、主に白い部分を食用にする根深ネギと、緑色の部分を食べる葉ネギがある{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。ふつう[[関東]]地方では[[下仁田ねぎ]]に代表される根深ネギ系が、[[関西]]では[[九条葱|九条ねぎ]]に代表される葉ネギ系が好まれる傾向がある{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。いくつか品種群があり、下仁田ねぎなどの加賀群が寒地に分布し、[[千住ねぎ]]群が関東地方を中心に根深ねぎとして栽培され、九条ねぎ群は西日本で多く栽培されている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。このほか、[[茨城県]]の一部で栽培される千住群の赤ねぎなどがある{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
根深ねぎで商業的に多く栽培されるほとんどのものはF<sub>1</sub>種([[雑種第一代]])であるが、日本各地で栽培される長ネギは固定種(在来種)も多く栽培されている{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=114}}。在来種には、太ネギや曲がりネギ、赤ネギなど、さまざまな形態をもつネギが見られる{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。
 
=== 変種 ===
* {{snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} {{sname|var. ''giganteum''}} {{AU|Makino}} – 狭義の'''ネギ'''。
* {{snamei|Allium fistulosum}} {{AU|L.}} {{sname|var. ''viviparum''}} {{AU|Makino}} – '''ヤグラネギ'''。
 
=== 根深ねぎ ===
別名「長ネギ」「白ネギ」、あるいは「太ネギ」ともよばれる関東地方で多く出回っている系統(加賀系・千住系)で、主に白い部分(葉鞘)を食用する<ref name="農畜産業振興機構2019">{{Cite web|和書|url=https://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000313.html |title=野菜ブック |access-date=2022-06-06 |date=2019-03-28 |website=[[農畜産業振興機構]] |pages=Chapter3 主な野菜の紹介 1.葉茎菜類 (3)ねぎ |language=ja <!--|archive-url=https://web.archive.org/web/20220425034724/https://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000313.html|url-status=live |archive-date=2022-04-25-->}} (pdfファイルへの直リンク: [https://www.alic.go.jp/content/001162826.pdf 1.葉茎菜類 (3)ねぎ (001162826.pdf)])</ref>。葉鞘が伸びるにつれて、土寄せし、葉鞘を軟白栽培したもので、大抵はネギの中では丈は長い{{sfn|講談社編|2013|p=132}}。また、葉ネギとくらべて、茎の根元から[[分蘖]]しにくい品種がある<ref name="農畜産業振興機構2019" />。
* [[深谷ねぎ]]([[深谷市]])
 
* [[下仁田ネギ]]([[下仁田町]])
[[宮城県]][[仙台市]]や[[福島県]]、[[栃木県]]などでは「曲がりねぎ」という栽培法があり、土を盛上げながらある程度育てたら、新たに土を盛ったり一度抜いたりして横向きに植え直すことにより、植物の光に向かって伸びる性質によってネギが曲がる。これは、土の層が薄かったり地下水位が高かったりする土地でネギをつくる方法だと言われる。このような栽培は手間がかかるため、作付面積が少ない。
* [[千住葱]]([[千住]])
[[File:Shimonitanegi.jpg|thumb|[[下仁田ねぎ]] ]]
* [[砂村ねぎ]]([[江東区]])
* [[深谷ねぎ]] - 埼玉県[[深谷市]]の銘柄。[[薬味]]、[[鍋物]]・[[煮物料理]]などに向いている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
* [[矢切ねぎ]]([[松戸市]])
** [[妻沼町|妻沼]]ねぎ - 埼玉県[[熊谷市]]の銘柄。
* [[下植木ねぎ]]([[伊勢崎市]])
* [[下仁田ネギ]] - 群馬県[[下仁田町]]の名産で、別名「殿様ねぎ」とも呼ばれている。株が分かれない1本ネギで、太くて短いのが特徴{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。肉質はやわらかで、生では辛味があるが、加熱調理すると濃厚な甘みが出る{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。
* [[株ネギ]] ([[相模原市]])
* 上州ネギ - 下仁田ネギと長ネギをかけた、太めの1本ネギ。葉鞘部分が長くて白く、煮込むと甘みが出る{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
* [[ユーラップねぎ]]([[八雲町]])
* [[白神ねぎ千住葱]]([[能代市東京都]][[千住]])
* [[越谷ねぎ]] - 埼玉県[[越谷市]]の銘柄。白身がしっかりと締まり、料理に使っても煮崩れぜず、辛味と甘みが絶妙なのが特徴。その品質の高さから高級食材として名高く、都内の有名[[料亭]]、高級料理店や[[蕎麦屋]]などでも使われている<ref>{{Cite news|title=越谷のねぎ|url=https://www.city.koshigaya.saitama.jp/smph/citypromotion/shoku/tokusan/negi.html|publisher=越谷市公式ホームページ|date=2018-01-12|accessdate=2020-10-03}}</ref>。
* 赤ねぎ
* [[リーキ矢切ねぎ]](ポロネギ・ポワロー千葉県[poireau])([[静岡県松戸市]])
* [[株ネギ]] (神奈川県[[相模原市]])
* [[西谷ねぎ]] - 神奈川県[[横浜市]][[保土ケ谷区]]に伝わる[[伝統野菜]]の一つ。分けつする根深ねぎであり、株分けを経て1年半かけて栽培される<ref>[https://ja-yokohama.or.jp/nougyou/theatre/s_02.html 農作物の植物学「西谷ネギ」][[横浜農業協同組合|JA横浜]]</ref>
* 赤ねぎ - [[アントシアニン]]を色素に持つため、赤紫の皮があるのが特徴。皮をむくと中は白い。加熱すると独特な甘みが出る{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。
** 赤ヒゲネギ - 茨城県[[水戸市|水戸]]地方在来の選抜改良種で、5 - 10本くらいに[[分蘖]]する赤ネギの種{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。明治時代に西洋赤ネギとの交配からできた「圷(あくつ)ネギ」をもとに、改良されたうちの一品種{{sfn|金子美登|2012|p=134}}。葉・葉鞘ともに軟らかく、甘みがある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
** 平田赤ネギ - 山形県[[庄内地方]]の赤ネギ品種で、明治時代に赤タマネギと交雑したとされる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=93}}。太く、ずんぐりした形で、軟らかく苦味が少ない{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
** ひたちべにっこ - 茨城県の赤ネギ品種。葉鞘部分は赤紫に発色する。軟らかくて加熱すると甘みが増すため、鍋物に向く{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
* [[徳田ねぎ]]([[岐阜県]])
* 越津ネギ([[愛知県]])土寄せをするが、中には葉ねぎに近く葉の部分が多い品種もある
* 大和太ネギ - [[奈良県]](旧[[大和国]])の品種。葉先は柔らかく、アリシンがの他のネギよりも豊富。生では辛味が強いが、煮込み料理や焼きネギなどの加熱調理に向く{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
* 曲がりねぎ
* 曲がりねぎ:斜めに植え付けて、自然に斜めに立ち上がって曲がった形になるネギ。
** 一関曲がりねぎ([[岩手県]][[一関市]])
** 仙台曲がりねぎ - [[東北地方]]の伝統種で宮城県仙台市の銘柄。「余目一本太」(あまるめいっぽんふと)という品種で知られる{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。柔らかくて甘みがある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
** 仙台曲がりねぎ([[宮城県]][[仙台市]])
** [[新里ねぎ]](栃木県[[宇都宮市]])<ref>{{cite book|和書|author=小島博|chapter=新里ねぎの栽培―宇都宮市―|title=最新 栃木の野菜|editor=栃木県野菜研究会 編|date=1999-06|publisher=栃木県農業者懇談会|page=211-212}}</ref>
** 横沢曲がりねぎ([[秋田県]][[大仙市]])
** 阿久津曲りねぎ([[福島県]][[郡山市]])
** 新里ねぎ([[栃木県]][[宇都宮市]])
** 松本一本ねぎ([[長野県]][[松本市]])
[[仙台]]・[[福島県]]・[[栃木]]などでは「曲がりねぎ」という栽培法があり、土を盛上げながらある程度育てたら、新たに土を盛ったり一度抜いたりして横向きに植え直す事により、植物の光に向かって伸びる性質によってネギが曲る。これは、土の層が薄かったり地下水位が高い土地でネギをつくる方法だと言われる。このように栽培は手間がかかるため、作付面積が少ない。
 
=== 葉ねぎ ===
別名「青ネギ」ともよばれる系統(九条系)で、緑の部分が多くて葉が柔らかく、関西で好まれている{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。根深ネギと比べて、根に近い茎の部分から[[分蘖]]しやすい特徴がある{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。土寄せをしないで育て、長くて軟らかい葉の部分も食べる{{sfn|講談社編|2013|p=132}}。
* 難波ネギ([[大阪]])日本最古の品種で奈良時代には既にあった記録が残る。日本の主な葉ネギ(青ネギ)の原種<ref>{{cite web
* [[難波葱]]([[大阪]])
| url = http://www.asahi.com/articles/ASJ8B45PFJ8BPLZU001.html
* [[九条葱]] - 関西で好まれる[[京都]]発祥の伝統野菜。夏に収穫する細い青ネギの「九条細ネギ」(浅黄種)と、冬の「九条太ネギ」(黒種)がある{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。浅黄種のほうは、株がよく[[分蘖]]する{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。太ネギのほうは土寄せして軟白部を多く育てると甘みのあるネギになる{{sfn|金子美登|2012|p=134}}。緑の部分が長くてやわらかく、葉と茎の両方とも、和え物や鍋物、薬味などに使われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=163}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}{{sfn|金子美登|2012|p=134}}。
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20170219023530/http://www.asahi.com/articles/ASJ8B45PFJ8BPLZU001.html
| author = 天野剛志
| title = (なにわ野菜探訪記:6)難波はネギ畑だった
| work = [[朝日新聞デジタル]]
| publisher = [[朝日新聞社]]
| date = 2016-8-27
| accessdate = 2017-2-18
| archivedate = 2017-2-19
| deadlinkdate = 2018年4月9日
}}</ref><ref>[http://www.sankei.com/west/news/160204/wst1602040041-n1.html 幻の「難波ネギ」駅そばで復活 南海難波駅で提供生産者「伝統のおいしさ知って!」]</ref>。
* [[九条葱]]([[京都]])
* [[岩津ねぎ]]([[兵庫県]])
* [[結崎ネブカ]]([[奈良県]])[[大和野菜]]の一つ)
* [[観音ネギ]]([[広島県]])
* [[岩槻ねぎ]]([[埼玉県]])
* [[谷田部ネギ]] 白い部分が多い
* [[ワケネギ]] 別名「真ネギ」神奈川県[[関東地方小田原市]])
* [[地ネギ]] 別名「真ネギ」([[小田原市]])
* ヤグラネギ(さんがいねぎ)地に落ちた子ネギを栽培する
* [[小ねぎ]](万能ネギ) - 九条細ねぎの改良品種で、青ネギを若取りしたもの。和・洋・中華の食材に生でも調理して使用され{{sfn|講談社編|2013|p=133}}、主に薬味や汁物の具に使われる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}。
* [[小ねぎ]] 若取りしたもの
* みさきネギ - 九条ネギ系の細く[[分蘖]]するネギ。香りが良く、刻んで薬味に向いている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}。
* 姫ネギ - 長さ9&nbsp;cmほどの[[水耕栽培]]でつくられる極細のネギ。[[灰汁]]が少なく、香りが高いことから、汁物の具や料理の飾りに使われる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}。
 
== 料理栽培 ==
[[File:ネギ (5046706414).jpg|thumb|畑で栽培される根深ネギ。茎(葉鞘)を白くするため、土寄せして畝を高くして作る。]]
[[サラダ]]・[[豆腐|冷奴]]・[[納豆]]や[[蕎麦]]など麺類を食べる際に生のまま食用とする場合がある。また、焼いて(ネギマ等)食べる事もあるが、味噌汁やネギマ汁などの[[鍋料理]]に入れたり、炒め物に使用したり、[[カツ丼]](タマネギの場合も)や[[鴨南蛮]]などで他の食材の具として利用するのが一般的である。
ネギの旬は冬であるが周年栽培が行われていて、春に種をまいて冬に収穫する「春まき栽培」と、秋に種をまいて夏から秋に収穫する「秋まき栽培」がある{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}。栽培方法はやや難しく、栽培時期はふつう春(3月)に種をまき、冬から翌年3月の春先まで収穫する。耐寒性、耐暑性ともに強く、乾燥にも強いという性質があり{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}、栽培適温は15 - 20[[セルシウス度|度]]、発芽適温は15 - 28度とされる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。しかし、湿度には弱く、特に根深ネギは通気性のよい土壌で育てられる{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}。[[連作]]は可能という意見と{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}、[[連作障害]]があるため同じ畑では1 - 2年空けるようにするという意見がある{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。栽培に適する土壌酸度は [[水素イオン指数|pH]] 6.5 - 7.0で{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}、畑は栽培を始める1か月前に全体的に石灰と堆肥を入れてごく浅く耕しておく{{sfn|板木利隆|2020|p=185}}。基本は畑で苗を育てて、植え付けの時に堆肥や藁などを入れて、土寄せを行いながら育てていく{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。根深ネギと葉ネギの栽培方法の違いについては、関西の土壌は、関東や北日本に比べて層が浅く、土が重いために栽培方法の違いにつながったとされている{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。ネギ坊主がつく頃になると品質を損ねるため、早めに収穫する{{sfn|板木利隆|2020|p=184}}。
 
=== 根深ネギの栽培 ===
[[味噌]]を使用し「ねぎみそ」を作り、各種料理やツマミとされることもある。ねぎを食用油で揚げ、エキスを抽出したねぎ油も市販されている。
根深ネギ(長ネギ)は、春(3 - 4月)に種をまいて苗を作り、初夏(6 - 7月)に苗を畑に植え付け冬に収穫する「春まき」栽培と、秋(9月)に種をまいて翌春(4月)に苗を植え付け、秋に収穫する「秋まき」栽培の作型がある{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。白い部分を育てるには、日を当てないように株に土寄せすることが重要になり、1か月に1回の頻度で土寄せと追肥を行っていく{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。秋(10月ごろ)からが収穫期で、翌年の初春(3月)を迎えるまで冬の間は長い期間収穫できる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}。根深ネギは土寄せを繰り返しながら葉鞘部を長く育てるので、土の量が制限されるプランター栽培には向いていない{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。[[F1品種]](一代雑種)の根深ネギは、見た目よく直線的に育てるのが基本であるが、在来種の曲がりねぎ群は、栽培される産地で冬季に土壌が凍るため、浅く斜め横向きに苗を植えて、わざと曲げて作られる{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。
 
種子は発芽率は悪い方で嫌光性であるので、筋まきで少し多めに[[播種]]してから覆土をして鎮圧し、乾燥させないように水やりをする{{sfn|主婦の友社編|2011|p=167}}{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。発芽して苗ができたら覆土と追肥を行って、株間に隙間が空くように[[間引き]]を行っていく{{sfn|主婦の友社編|2011|p=167}}{{sfn|金子美登|2012|p=132}}。苗の草丈が7 - 8[[センチメートル]] (cm) のころと、その1か月後の2回にわたり、苗のわきに溝をつくって[[追肥]]を施して軽く[[土寄せ]]し、長さ20[[センチメートル]] (cm) 、鉛筆くらいの太さ(直径8 - 10&nbsp;[[ミリメートル|mm]])の苗に仕上げる{{sfn|金子美登|2012|p=133}}{{sfn|板木利隆|2020|p=185}}。植え付け前の畑は元肥は必要とせず、日当たりのムラを無くす目的で東西方向に深さ30&nbsp;cmほどの溝を掘ったところに、株間7 - 8&nbsp;cm程度、苗を斜めに立てかけるように自立させて定植する{{sfn|金子美登|2012|p=133}}{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。長ネギの根は多くの酸素を吸収する性質があり、完全に土に埋めると酸素不足で生育が悪くなる{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。これを防止するため、掘った溝の中に稲藁や刈り取った雑草を入れることが行われる{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}{{sfn|板木利隆|2020|p=186}}。
ネギは食用とすることにより人体に影響がある([[薬効]]がある)植物とされている。白い部分には、[[ビタミンC]]と共に抗菌・抗カビ作用がある[[硫化アリル]]・[[発汗]]作用などで体を温める効果がある[[アリシン]]が多く含まれていることから「[[風邪]]に良い」とされることもある。また、[[アリチアミン]]は[[ビタミンB1]]の吸収を助ける。これらとは関係の無い[[民間療法]]としても利用される。
 
根深ネギでは、定植後は2週間から1か月の間隔で追肥と土寄を行って、茎を白く育てる軟化栽培を続けていくが、一度に土を被せてしまうと生長できなくなるため、苗が伸びるにしたがって葉の分かれ目(分蘖部)まで土を被せるように、少しずつ分けて土寄せが行われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=167}}。土寄せで葉鞘が遮光されると、白く柔らかくなるのに3 - 4週間ほどかかる{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。そのため、草体を大きくつくってから軟白に取りかかるのが大切で、追肥は生育の前半に、土寄せは生育の後半に重点を置くようにする{{sfn|板木利隆|2020|p=187}}。ネギ坊主(花)が出たら、生長の妨げになるので積みとってしまう{{sfn|金子美登|2012|p=133}}。緑葉の生長が止まって秋に気温が下がってくるとネギが甘みが増して収穫期となり、「春まき」では翌春にネギ坊主が現れて固くなってしまう前までに収穫が行われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=167}}{{sfn|金子美登|2012|p=133}}。軟白部を痛めないように鍬などで土を堀り上げ、軟白部をよく出してから手で抜き取って収穫する{{sfn|板木利隆|2020|p=187}}。
[[チンパンジー]]や[[サル]]に対して生の長ネギを与えることも多い。一方、ペットに与えることによって[[タマネギ中毒]]となる可能性も指摘されている。
 
固定種は種を取ることができる{{sfn|金子美登|2012|p=133}}。種をとる場合は、交雑しやすいことから多品種とは離隔された形の良い優良なネギを畑に残し、ネギ坊主が黒く結実したころに種をとる{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。元の品種が固定種であれば、形のよい1本立ちのものを選んで採種する{{sfn|板木利隆|2020|p=188}}。F1品種を採種した場合、二代目以降は分離して両親の形質が現れてしまい、分げつしてしまうなど一代目と同じ品質の再現は望めない{{sfn|板木利隆|2020|p=188}}。
== 生薬 ==
 
分蘖ネギは株分けして育てるとよく、春(4月下旬ごろ)に畝に株間15cmほどで1本植えで株分けを行い、初秋(9月)に1、2本植えで定植する{{sfn|金子美登|2012|p=133}}。
 
=== 葉ネギの栽培 ===
葉ネギは、種まきから収穫までに約2 - 3か月ほどで収穫できる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}。年間を通じて栽培しやすく、収穫時期に合わせて品種を使い分ける{{sfn|板木利隆|2020|p=189}}。苗の育て方は、根深ネギの栽培に準じて行う{{sfn|板木利隆|2020|p=189}}。株が小さいうちは酸性土壌に弱いため、石灰で土壌酸度を中和し、畑に深さ1&nbsp;cmほどの溝を作って、種を直蒔きしていく{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}。10日ほどで発芽し、1度だけ約3&nbsp;cm間隔になるように間引きを行う{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}。一般には、[[分蘖]](株分かれ)した細ネギでの利用となるので、1カ所に5 - 6本まとめて、株間12 - 20&nbsp;cmと広めにとって植え付ける{{sfn|板木利隆|2020|p=189}}。葉ネギ栽培では土寄せはごく少量しか行わないため、植え溝は深さ6 - 8&nbsp;cmと浅めとする{{sfn|板木利隆|2020|p=189}}。2週間ごとに追肥を行い、草丈30 - 40&nbsp;cmのころに収穫期を迎える{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}。収穫は、株元から3 - 4&nbsp;cmのところでハサミで切り取って収穫を行い、追肥を続けることで葉が再生して再収穫が可能となる{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}。収穫を終えるときは株ごと引き抜く{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}。
 
[[分蘖]]種が多い葉ネギでは、種をとらなくても[[株分け]]で増やすことができる{{sfn|金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編|2011|p=115}}。なお、京都特産で西日本で広く栽培される「九条太ネギ」はほとんど分蘖しないので、根深ネギに準じて栽培する{{sfn|板木利隆|2020|p=189}}。
 
=== 病虫害 ===
ネギは病虫害に強い作物であるが{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=187}}、病虫害としては、ネギ[[ハモグリバエ]]や[[ヨトウガ|シロモジヨトウ]]<ref>【アグリフォーカス】ネギハモグリバエB系統 全国で被害拡大『[[日本農業新聞]]』2021年11月16日16面</ref>、[[アブラムシ]]がついたり、[[ベと病]]{{efn|低温多湿の梅雨や秋雨期に葉に発生するカビ(糸状菌)由来の病気。ネギ類では黄白色になって枯れる{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=240}}。}}や[[さび病]]にかかったりする場合がある{{sfn|藤田智監修 NHK出版編|2019|p=188}}。ネギの表面はろう物質に覆われていて、薬剤がつきにくいため、薬剤に展着剤を加えてから薬剤散布する{{sfn|板木利隆|2020|p=187}}。苗を植え付けるとき、根元に半熟堆肥または藁をかけるて通気をよくすることで、アブラムシや赤さび病の予防につながる{{sfn|金子美登|2012|p=133}}。べと病は高畝で水はけよく管理し、肥料過多にならないように注意して予防する{{Sfn|金子美登|2012|p=242}}。
 
ネギは他の作物の病気と害虫の予防効果を狙って、しばしば[[ユウガオ]]、[[キュウリ]]などの[[ウリ科]]野菜や、[[トマト]]、[[ナス]]、[[ホウレンソウ]]などの畑に混植される[[コンパニオンプランツ]]に利用される{{Sfn|金子美登|2012|p=241}}。
 
== 生産 ==
[[ファイル:Spring Onion.jpg|サムネイル|長ねぎの出荷状態の例]]
日本では全国的に栽培されているが、主産地は[[千葉県]]、[[茨城県]]、[[埼玉県]]、[[青森県]]などの東日本の地域である{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。一年を通じて安定的に供給されているが、夏ねぎは[[北海道]]産、秋冬ねぎは[[群馬県]]産も多い{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。輸入品は中国産が大半を占め、1997年までは冷凍主体の輸入であったが、1998年以降は生鮮品の輸入量が急増している{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
日本の単位面積当たりの生産高は世界一で、生産高は世界2位である。人口が多く広大な土地を持つ[[中国]]における生産高は世界1位である。
 
他の野菜と比較して[[塩害]]に強いとされており、[[平成14年台風第21号|2002年に台風21号]]が関東地方に上陸後、[[九十九里浜]]周辺の畑では塩害によって野菜や[[街路樹]]が枯れたのに対し、ネギだけは枯れずに残っていた逸話がある<ref>[http://www.99beach.com/store/umikko/ 千葉県九十九里ビーチエリア観光ガイド「九十九里 海っ子ねぎ」より]</ref>。[[山武郡市農業協同組合|JA山武郡市]]ではこれをヒントに海水をかけて栽培した「九十九里 海っ子ねぎ」を販売している<ref>[http://www.ja-sambugunshi.or.jp/agriproducts/5.html JA山武郡市「九十九里 海っ子ねぎ」より]</ref>。
 
日本国内の産地が集まる「全国ねぎサミット」が開かれている<ref>[https://www.city.matsudo.chiba.jp/jigyosya/nougyou/negisami2019.html 「全国ねぎサミット2019inまつど」を開催しました] 千葉県松戸市ホームページ(2020年4月25日閲覧)</ref>。
 
== 栄養価 ==
{{栄養価 | name=根深ねぎ 葉 軟白 生<ref name=mext7>[[文部科学省]]『[https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]』</ref>| kJ =143| water=89.6 g| protein=1.4 g| fat=0.1 g| satfat=0.02 g| polyfat =0.02 g| opt1n=[[コレステロール]] | opt1v=2 mg| carbs=8.3 g| opt2n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt2v=0.3 g| opt3n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt3v=2.2 g| fiber=2.5 g| potassium_mg=200| calcium_mg=36| magnesium_mg=13| phosphorus_mg=27| iron_mg=0.3| zinc_mg=0.3| copper_mg=0.04| Manganese_mg=0.12| betacarotene_ug=82| vitA_ug =7| vitE_mg =0.2| vitK_ug=8| thiamin_mg=0.05| riboflavin_mg=0.04| niacin_mg=0.4| vitB6_mg=0.12| folate_ug=72| pantothenic_mg=0.17| opt4n=[[ビオチン|ビオチン(B<sub>7</sub>)]] | opt4v=1.0 µg| vitC_mg=14| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]]『{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]}}」』</ref>。別名:長ねぎ
廃棄部位:株元及び緑葉部  | right=1 }}
 
ネギの白い部分は[[ビタミンC]]、青い部分には[[カロテン]]、[[カルシウム]]、[[ビタミンK]]などを含んでいる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。根深ねぎは[[淡色野菜]]、葉ねぎは[[緑黄色野菜]]に分類され、栄養的にも大きな差異がある{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。根深ねぎよりも葉ねぎの方が栄養素量が多く、[[ミネラル]]類は根深ねぎの1.5倍から2倍量を含んでおり、[[ビタミン]]類も多く、カロテンとビタミンCは葉ねぎのほうが圧倒的に多い{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
ネギの[[辛味]]と[[匂い]]のもとになっているのは[[硫化アリル]]で、この成分が胃液の分泌を促して、食欲増進や消化促進、胃腸を健康にする働きがあるといわれている{{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}。硫化アリルは体内で分解されることにより[[アリシン]]に変化する。アリシンは、豚肉などに多く含まれる[[ビタミンB1]]の吸収を高めて、疲労回復や睡眠改善に効果が期待されている{{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}。
 
== 食用 ==
1年を通じて流通するが、食材としての[[旬]]は冬場(12月 - 2月)である{{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}。野菜としては、白い部分は弾力があって艶があり、緑色と白色の境目がはっきりしていて、青い部分は肉厚でしっかり巻いて固く、葉先から根元まで全体に張りがあるものが良品とされる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=164}}{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。
 
日本では古くから[[冷奴]]、[[蕎麦]]、[[うどん]]などの[[薬味]]として用いられるほか、[[炒め物]]、[[ぬた]]、汁の実、[[鍋料理]]に欠かせない[[食材]]の一つ{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。ネギ特有の匂いが強いことから「葷」の一つ「[[禁葷食]]」ともされる。料理の脇役として扱われることが一般的だが、葉ネギは[[ねぎ焼き]]、根深ネギは[[スープ]]などで主食材としても扱われる。ネギの先端にみられる「ネギ坊主」も若いものなら、炒め物や[[天ぷら]]にすると、[[タマネギ]]のような甘みがあり食べられる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。
 
生を薬味として使う場合では、小口切りや千切りにしてから水にさらすと辛味を抑えられ、千切りにしたものは特に「白髪ねぎ」とよんで料理の飾りに使われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。ただし、長時間水にさらすと硫化アリルも一緒に流れ出てしまうため、水につける時間はなるべく短時間で済ますのがよい{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。
 
=== 料理 ===
[[日本料理]]に好んで使われるが、[[西洋料理]]でも使われる{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。[[サラダ]]、[[豆腐|冷奴]]、[[納豆]]や[[蕎麦]]など麺類を食べる際に生のまま食用とする場合がある。また、焼いて(ネギマなど)食べることもあるが、味噌汁やネギマ汁などの[[鍋料理]]に入れたり、炒め物に使用したり、[[カツ丼]](タマネギの場合も)や[[鴨南蛮]]などで他の食材の具として利用したりするのが一般的である。冬のネギは特有の甘みがあり、肉の脂身ともよく合うため、香味野菜として[[すき焼き]]や[[鴨鍋]]などの肉料理に使われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=166}}。
 
[[味噌]]を使用し「ねぎみそ」を作り、各種料理や[[酒肴]](ツマミ)とされることもある。ねぎを[[食用油]]で揚げ、エキスを抽出したねぎ油も市販されている。
 
=== 保存 ===
乾燥を避けて保存するのが基本である。根元を湿らせた[[キッチンペーパー]]などで包んで、時々濡らして乾燥させないように立てておくと、使いかけであっても[[常温]]で保存ができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。
 
泥付きネギは洗ったり、外皮を剥いたりしたネギよりも長期保存がきく{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。普通は[[新聞紙]]に巻いて冷暗所に立てておいて保存するが、鮮度がよい泥付きネギであれば、土に埋めておくとさらに長期保存ができる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=41}}。
 
== 薬効 ==
{{drugbox
| drug_name = ソウハク
118 ⟶ 183行目:
| synonyms = 葱白
|}}
 
ネギの白い部分は生薬として利用されてきた。
精油成分の[[アリルサルフィド]](含硫化合物)を全体に含んでおり、鎮静、緩下、発汗、利尿などの作用をもつといわれている{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。薬用とする部位はネギの白い茎の部分で、白い部分を刻んで天日乾燥したものが[[生薬]]になり、'''葱白'''(そうはく)と称して、[[風邪]]やのどの痛みに使われる{{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}。また、昔から殺菌作用があることが知られ、風邪をひいたときにネギを食べさせるのが習慣になってきた{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
ネギは[[硫化アリル]]の一種を含んでおり、この成分が血液を固まりにくくして、[[血栓]]を防ぐとともに、[[血糖値]]を下げて血圧上昇を抑える働きも認められており、[[生活習慣病]]を抑制する効果があるとみられている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。世界的に使われている[[アスピリン]]という[[消炎鎮痛剤]]があるが、ネギのこの成分は、ヒトの体内でアスピリンとほぼ同じ機能を発揮して鎮痛・解熱作用があることがわかってきている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。なお、この成分は葉ねぎよりも、根深ねぎのほうが多く含まれている{{sfn|講談社編|2013|p=135}}。
 
伝統的な[[民間療法]]では、風邪の初期症状にネギを細かく刻みいれた湯飲みに、[[味噌]]や[[しょうゆ]]と[[鰹節]]、おろし[[ショウガ]]を加えて、熱湯を注いでしばらく置いてから飲む方法が知られている{{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。生のネギを刻んで、そばやうどんの薬味に多めに入れて食べて、すぐに就寝しても同様の効果が期待できる{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。
 
[[扁桃炎]]などののどの腫れや痛みには、ネギで湿布すると役立つとされ、長さ4 - 5&nbsp;cmに切ったネギを熱湯にしばらく浸してから取り出し、すぐに縦に切り裂いてから内側のぬめり部分をのどの左右に当ててガーゼやタオルなどで抑えて温湿布にする{{sfn|貝津好孝|1995|p=108}}{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。またネギを刻んで熱湯を注いでから、冷ました液で時々うがいしても同様の効果があるといわれている{{sfn|田中孝治|1995|p=205}}。
 
== ネギ属の植物 ==
{{See also|ネギ属#分類}}
ヨーロッパでは[[チャイブ]]、[[リーキ]]などが栽培されている。
*[[File:Porre Leek.jpg|thumb|300px|[[リーキ]](ポネギ [[地中海]]料理などで普通に使われるネギの近縁種。
[[ヨーロッパ]]では[[チャイブ]]、[[リーキ]]などが栽培されている。
* [[リーキ]](ポワロ、ポロネギ) - 西洋、フランスではポピュラーな洋種ネギの一種で、別名「ポロネギ」ともよばれる。日本の長ネギよりも太い{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=42}}。加熱すると甘みが増して煮崩れしにくい。煮込み料理やグラタンなどに使われる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=165}}。
* [[チャイブ]](セイヨウアサツキ)
* [[ワケギ]](分葱) - 植物学上はネギと別種{{sfn|講談社編|2013|p=133}}。ネギとタマネギの交雑種で、複数に分かれて細く育つ。江戸時代から冬葱(ふゆぎ)とよばれて栽培されていた{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}。
* [[ワケギ]](分葱)
* [[アサツキ]](浅葱) - 万能ねぎに似たワケギと同じ仲間で、砂丘地で栽培される。香りと香味があって主に薬味として使われ、鱗茎ごと食べられる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=43}}。
* [[アサツキ]](浅葱)
 
但し、分類に関しては現在ではチャイブの変種とされ、ワケギ(玉ねぎとねぎの雑種が固定化したもの)や万能ねぎ(小葱)の仲間ではないとされている。
* [[タマネギ]]
* [[ラッキョウ]]
133 ⟶ 209行目:
* [[ノビル]]
 
== 出典動物への影響 ==
タマネギと同様に、[[イヌ]]や[[ネコ]]など動物が食べた場合には、[[アリルプロピルジスルファイド]]により[[血液]]中の[[赤血球]]が破壊され、血尿・下痢・嘔吐・発熱を引き起こす<ref>[https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf 飼い主のためのペットフード・ガイドライン] [[環境省]](2020年4月29日閲覧)</ref>。
{{Reflist}}
{{See|タマネギ中毒}}
 
== 催涙成分 ==
ネギやタマネギの催涙成分は、かつては、「含有される[[硫化アリル]]の一種」と考えられていた。しかし近年の研究で、実際の催涙成分は、[[syn-プロパンチアール-S-オキシド]]と判明している<ref>[https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20191125-1.html タマネギ催涙分子生成の複雑なプロセスを解明:食成分変化の解読へ福音]</ref>。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注釈" />
=== 出典 ===
{{Reflist|25em}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author =板木利隆|title = 決定版 野菜づくり大百科|date=2020-03-16|publisher = [[家の光協会]]|isbn=978-4-259-56650-0|pages =184 - 189|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|title = かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典|date=2012-07-10|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30997-2|pages =41 - 43|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =貝津好孝|title = 日本の薬草|date=1995-07-20|publisher = [[小学館]]|series = 小学館のフィールド・ガイドシリーズ|isbn=4-09-208016-6|page =108|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =[[金子美登]]・野口勲監修 成美堂出版編集部編|title = 有機・無農薬 家庭菜園 ご当地ふるさと野菜の育て方|date=2011-04-01|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30991-0|pages =114 - 115|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =[[金子美登]]|title=有機・無農薬でできる野菜づくり大事典|date=2012-04-01|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30998-9|pages =128 - 129|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =講談社編|title = からだにやさしい旬の食材 野菜の本|date=2013-05-13|publisher = [[講談社]]|isbn=978-4-06-218342-0|pages =130 - 135|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =主婦の友社編|title = 野菜まるごと大図鑑|date=2011-02-20|publisher = [[主婦の友社]]|isbn=978-4-07-273608-1|pages =164 - 167|ref=harv}}
* {{Cite |和書 |author=田中孝治 |title=効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法 |date=1995-2-15 |publisher=[[講談社]] |series=ベストライフ |isbn=4-06-195372-9 |pages=204 - 205 |ref=harv }}
* {{Cite book|和書|author =藤田智監修 NHK出版編|title = NHK趣味の園芸 やさいの時間 藤田智の新・野菜づくり大全|series=生活実用シリーズ|date=2019-03-20|publisher = [[NHK出版]]|isbn=978-4-14-199277-6|pages =187-191|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
{{Commons&cat}}
{{commons|Allium fistulosum}}
{{Wikispecies|Allium fistulosum}}
{{Wiktionary|ねぎ|葱}}
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ネギという植物、ネギという野菜を理解するのに役立つと思われる項目のリストです。
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* [[薬味]]
* 料理:[[根深汁]]、[[ねぎぬた]]、[[カルスターダ]]({{ill2|カルソッツ|es|Calçot}}というネギの丸焼きを食べる集まり)
* Scallion([[:en:Scallion|en]]) - Allium fistulosumを含むネギの総称
* 料理:[[根深汁]]、[[ねぎぬた]]、{{ill2|長ネギの丸焼き|es|Calçotada}}(カルソターダ:{{ill2|カルソッツ|es|Calçot}}という長ネギの丸焼き)
* [[五葷]]
 
* [[忍者ネギ蔵]] - ネギをテーマにした[[NHK教育]][[みんなのうた]]の楽曲
* ナガネギマン / ネギーおじさん - [[テレビアニメ]]『[[それいけ!アンパンマン]]』の登場キャラクター。詳細は[[アンパンマンの登場人物一覧]]参照。
{{Plant-stub}}
* [[Negicco]] - [[新潟県]]を活動拠点とするアイドルグループ。JA全農にいがたが展開する「やわ肌ねぎ」PRキャンペーンのために結成された。
 
{{ネギ属}}
 
{{Taxonbar|from1=Q27938}}
{{デフォルトソート:ねき}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ねき}}
[[Category:ネギ|*]]
[[Category:ネギ亜科生薬]]
[[Category:冬の季語]]
[[Category:薬用植物]]
[[Category:葉菜]]
[[Category:ロシアの食文化]]
[[Category:1753年に記載された植物]]