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{{未検証|date=2013年1月23日 (水) 09:00 (UTC)}}
'''無線通信'''(むせんつうしん、{{Lang-en-short|wireless communication}})は、主に[[伝送路電波]]を利用して[[線]]を使わない行う[[電気通信]]のことである<ref>{{Cite web|和書|title=無線通信とは|url=https://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E7%B7%9A%E9%80%9A%E4%BF%A1-140570|website=コトバンク|accessdate=2021-02-05|language=ja|first=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,世界大百科事典 第2版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版|last=日本国語大辞典}}</ref>。しばしば短縮して「[[無線]]」と呼ばれる。電波使わな無線通信に対して、伝送路としてケーブル等使う用いる通信の方は[[有線通信]]と呼ぶ。無線通信は軍事行動においてこそ長所際立つものの、気候変動や気温・水温などの変化によって受信が不安定なものとなる
 
== 概要 ==
「無線通信」と言えば[[電波]]による通信を意味する。電波法施行規則では「]]において、無線通信は「電波を使用して行うすべての種類の[[記号]]、[[信号 (電気工学)|信号]]、[[言葉|文言]]、[[映像動画|影像]]、[[音|音響]]又は[[情報]]の[[送信]]、発射又は[[受信]]をいう」とされておりいる([[電波法]]施行規則2条1項15号)。電波影響も受け伝わり方につ、この語はこうした用られ方をしいるのであるは[[電波伝播]]も参照
 
この意味では「無線通信には、例えば次以下のようなもの特徴入ることになる。
* [[ラジオ放送]]
* [[アマチュア無線]]、各種[[業務無線]]([[船舶無線]]、[[航空無線]]、[[車両無線]] 等)
* [[テレビ放送]]
* 無線電話による通信。現代の[[携帯電話]]による通信。
* [[無線LAN]]、[[Wi-Fi]]、[[Bluetooth]]による通信
* [[センサネットワーク]]
 
** 伝送路としての線を敷設する必要がない。
ただし、無線通信に[[光]]によるものも含むことがある(ただし、特に光によるものについては「[[光無線通信]]」と呼び分けられることも多い)。また、稀にだが、広義に[[音波]]によるものも「無線通信」に含めることもある。
* 使用する周波数や送信出力などにもよるが、非常に広い範囲にサービスを提供することができ、多数のノードとの通信が可能である。また、放送用としても好適である。
* 伝送路の状況の変化(天候の変化など)による影響を受けることがある。
** 電波などを発生する他のもの('''妨害源'''という。[[太陽]]をはじめとする地球以外の[[天体]]、[[電子機器]]や[[原動機]]など。)からの妨害による影響を受けやすいることがある
** 電波などをその伝搬の途中で受けることで、伝送される情報は、比較的容易に第三者が[[傍受]]できる。れを防ぐため、第三者による情報の復元が困難な[[変調]]方式を用いたり、そもそも情報自体内容を[[暗号化]]するなどの手段を講じるものられる
 
== 特徴用途 ==
無線通信の用途としては、次のようなものがある。
 
* [[ラジオ放送]]、[[テレビ放送]]
*[[携帯電話]]([[スマートフォン]])、[[PHS]]
* [[ワイヤレスネットワーク]]、[[無線LAN]]、[[Wi-Fi]]、[[Bluetooth]]による通信
* [[アマチュア無線]]、各種[[業務無線]]([[船舶無線]]、[[航空無線]]、[[車両警察無線]]、[[消防無線]]、[[防災無線]] 等)
*[[アマチュア無線]]
 
ただし、無線通信という語は狭義は電波による通信方法を指す場合が多いが、原義としてはケーブルを用いない通信方法を指す。そのため、広義の意味においては、テレビの[[リモコン]]などのような光による通信無線通信も含むこ一種がある(ただし、特に光によるものについては「[[光無線通信]]」と呼び分けられることも多い)。また、稀にだが、広義に[[音波]]によるものも「無線通信」に含めることもの一種である。
 
== 歴史 ==
=== 電信 ===
{{main|無線電信}}
* 1834年:アメリカ人[[サミュエル・モールス]]が電信機を発明。
* 1849年:[[プロイセン王国]]と[[オーストリア帝国]]との間で電信条約が締結
* 1865年:パリで[[万国電信連合]]が設立。本部は[[ベルン]]に置かれる
* 1872年:[[:en:Mahlon Loomis|ルーミス]]、無線通信に関する特許
* 1879年:[[デイビッド・エドワード・ヒューズ|ヒューズ]]が英国[[王立学会]]で無線マイクの実験をしたが、当時は単なる電磁誘導だと解釈されてしまった
* 1885年:ドルバ、無線通信に関する特許
* 1886年:[[志田林三郎]]、[[隅田川]]の水面を導体として用いた導電式無線通信実験
* 1887年:'''[[トーマス・エジソン|エジソン]]'''、[[列車無線]]として[[誘導無線|静電誘導方式無線通信]]を実用化
* 1888年:[[ハインリヒ・ヘルツ|ヘルツ]]、[[火花送信機]]を用い電波の発生に成功
* 1890年:[[エドアール・ブランリー]]によって[[コヒーラ検波器]]が発明される
* 1892年:プリース、[[ブリストル海峡]]間で磁気誘導方式無線通信実験に成功
* 1893年:[[ニコラ・テスラ|テスラ]]、無線機の図面を公開
* 1894年:'''[[グリエルモ・マルコーニ|マルコーニ]]'''、自宅で[[ビームアンテナ]]と電波による無線通信実験に成功
* 1895年:[[アレクサンドル・ポポフ (物理学者)|ポポフ]]、無線通信実験に成功
* 1897年:[[松代松之助]]<ref group="注釈">逓信省通信技師。日本で蓄電器用パラフィン紙製造技術を実用化</ref>、[[月島]]―[[お台場]]間で無線通信の実験に成功
* 1898年:[[オリバー・ロッジ]]、同調回路を発明
* 1900年:マルコーニ国際海洋通信会社を設立。大西洋航路の大型客船[[カイザー・ヴィルヘルム・デア・グローセ]]号に船舶局を常設し、初の海上公衆通信(電報)サービスを開始 <ref>''Marine Engineering'' Apr.1900 Aldrich & Donaldson p173</ref>
* 1906年、世界初の国際無線電信会議がベルリンで開かれ[[国際無線電信連合]]が非公式に設立 <ref>[https://www.icao.int/secretariat/PostalHistory/icao_and_the_international_telecommunication_union.htm ICAO and the International Telecommunication Union] - ICAO official website</ref>
* 1915年:[[船橋市|船橋]]に[[海軍無線電信所船橋送信所]]が開設。[[ホノルル]]の{{仮リンク|カフク|en|Kahuku|preserve=1}}の無線電信局と接続 <ref>Wikipedia ''The [[:en:List_of_Marconi_wireless_stations|List of Marconi wireless stations.]]''。</ref>
* 1924年:フランスのボルドー無線電信局、ドイツのナウエン無線電信局が、東京の[[帝国通信社]]と送受信契約 {{efn|しかしながら帝国通信社は1929年に破産解散}}
* 1927年:ワシントンで国際無線電信会議が開催 {{sfn|逓信省, 海軍省, 陸軍省,外務省|1928}}
* 1932年:万国電信連合と国際無線電信連合が[[国際電気通信連合]](ITU)に統合
 
=== 電話 ===
{{main|無線電話}}
* 1900年:[[レジナルド・フェッセンデン|フェッセンデン]]、電波に音声を乗せる実験に成功
* 1906年:フェッセンデン、[[ラジオ放送]]の実験に成功
* 1912年:[[鳥潟右一]]・横山英太郎・北村政次郎、TYK式[[無線電話]]を発明。1914年12月16日より三重県鳥羽での実用化試験を経て、1916年4月11日に実用化した。
* 1919年:マルコーニ、短波20MHzで動作する200ワットの真空管の開発に成功。[[カーナーヴォン]]と[[ホーリーヘッド]]間32kmで無線電話実験に成功<ref>C. S. Franklin "Short-Wave Directional Wireless Telegraphy" ''The Wireless World and radio review'' May 20,1922 The official organ of the wireless society of London p221</ref>
* 1920年:[[フランク・コンラッド]]、世界初の商業ラジオ局KDKAを米国[[ピッツバーグ]]で開局<ref>『日本放送史』1951年版 日本放送協会 pp16-17</ref>。
* 1921年:マルコーニ、短波3MHz帯の二波を使った同時通話式無線電話で北海横断通話(英国-オランダ)に成功<ref>Guglielmo Marconi "Radio Communications" ''Journal of the Royal Society of Arts''Vol.73 - No.3762 Dec.26,1924 pp125-126</ref>
* 1923年:AT&Tと英国郵政庁GPOが単側波帯SSB方式により大西洋横断無線電話の試験を開始<ref>丸毛登 "大西洋横断無線電話" 『無線』 1924.1 逓信省無線倶楽部 p11</ref>。1927年1月7日より本営業スタート<ref>G.C.B.Rowe 「"Hello London!" "Are you there, New York?"」 ''[[ラジオニュース (雑誌)|Radio News]]'' Mar.1927 [[エクスペリメンター出版|Experimenter Publishing Company]] p1048</ref>。
*(同年):フランク・コンラッド、ラジオ局KDKAの番組を、3MHzの短波実験局8XSで大西洋を越えて英国BBCへ同時中継放送に成功<ref>"Broadcasting Complete American Programs to All England" ''Radio Broadcast''Vol4 March1924 Doubleday Doran Inc. pp359-364</ref>。
* 1924年:マルコーニ、英国ポルドゥー2YT局の3MHz短波無線電話がオーストラリアで受信成功<ref>"WIRELESS TELEPHONY FROM ENGLAND TO AUSTRALIA" ''The Brisbane Courier'' June 4,1924 p7</ref>
* 1931年:英国のITT(International Telephone and Telegraph Corporation)研究所と、仏国のMT(Le Matériel Téléphonique)研究所が超短波1.67GHzの無線電話でドーバー海峡横断デモンストレーションに成功<ref>"Telephony on 18 centimetres" ''Wireless World'' Apr.15,1931 p393</ref>。1934年に正式運用を開始<ref>"小型反射器を使った超短波ラヂオ =英国の新しい試み=" 『読売新聞』 1934年[昭和9年]5)5月8日 朝刊p4</ref>。
* 1933年:マルコーニ、バチカン宮殿とガンドルフォ教皇宮殿を結ぶ500MHz帯二波による同時無線電話を運用開始。これはUHF帯の実用回線としては世界初のものだった<ref>"MARCONI INITIATES NEW RADIOPHONE: The First Ultrashort Wave System Links Vatican and Papal Summer Home" ''The New York Times'' Feb.12,1933 p24</ref>。
 
== 特徴 ==
{{出典の明記|section=1|date=2013年3月}}
以下のような特徴がある。
* 単位時間に伝送される[[情報]]の最大量は、原理的に[[周波数]]の高さやその幅によって決定される。
* 空間を伝送するものであるため;
** 伝送路としての線を敷設する必要がない。
** 拡散性があるため、多方向の通信が容易である。また、放送用としても好適である。
** 電波などを発生する他のもの('''妨害源'''という。[[太陽]]をはじめとする地球以外の[[天体]]、[[電子機器]]や[[原動機]]など。)からの妨害による影響を受けやすい。
** 電波などをその伝搬の途中で受けることで、伝送される情報を第三者が[[傍受]]できる。(このため、第三者による情報の復元が困難な[[変調]]方式を用いたり、そもそも情報自体を[[暗号化]]するなどの手段を講じるものが多い。)
** 電波の伝わり方については[[電波伝播]]も参照。
 
== 有線通信との比較 ==
{{複数の問題
{{出典の明記|section=2|date=2013年3月}}
| section = 1
[[移動体通信]]を行うならば'''無線通信'''によらざるをえないが、そうでない固定地点の間の通信を行おうとする場合には、有線通信と無線通信のいずれもが選択肢となる。それぞれの場合に要する費用について端的に述べれば、有線通信の場合には回線の長さに応じて費用が積みあげられるが、無線通信の場合には、送受信の設備の数に応じて費用が積み上げられることになるため、長距離の通信においては無線通信のほうが安価になるとの側面がある。
{{| 出典の明記|section=1|date = 2013年3月}}
| 更新 = 2020年6月
}}
[[移動体通信]]を行うならば'''無線通信'''にらざるをえないが、そうでない固定地点の間の通信を行おうとする場合には、有線通信と無線通信のいずれもが選択肢となる。それぞれの場合に要する費用について端的に述べれば、有線通信の場合には回線の長さに応じて費用が積みあげられるが、無線通信の場合には、送受信の設備の数に応じて費用が積み上げられることになるため、長距離の通信においては無線通信のほうが安価になるとの側面がある。
 
一方で、有線通信の場合には[[回線交換]]のための[[交換機]]を用いて(同一通信網内で)複数の通信を確立することが多いのに対して、無線通信の場合には、個々の[[送信機]]及び[[受信機]]において周波数や[[変調]]により区別することで複数の通信を確立する手法がとられ、その数は有線通信の場合の交換機の数を上回る。交換機と送信機及び受信機との価格(または、それぞれの場合において必要とする端末等までをも含めた価格)を一般論で比較することは非常に困難であるが、[[1990年代]]頃までの価格情勢において[[電気通信事業者]]がサービスを提供するという前提で述べれば、通信の起点や終点(回線へのアクセスポイントと表現されることもある)の密度が高い場合には有線通信が安価であったといわれている。
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この例としては、かつてその回線網が階層構造であった[[電話]]が掲げられる。市内の各世帯(アクセスポイント)と交換局などを結ぶ通信は有線通信であったが、交換局を越えて他の都道府県などの交換局へ向かう長距離の通信は無線通信が多かった。これは交換局同士を接続する通信網は、比較的長距離であって、アクセスポイントの密度が低く、離散的であるという理由により、当初は無線通信のほうが価格的に優位であったためである。
 
しかし、1990年代頃から、周波数が逼迫し、[[光ファイバー]]による大容量通信が非常に安価になったという要因により、電話の長距離通信は無線通信から光ファイバによる有線通信へと置き換えられてきた。[[日本電信電話公社|電電公社]](今の[[日本電信電話|NTT]])の多くの支店にある鉄塔から[[パラボラアンテナ]]が消え出し、移動体通信用の別なアンテナが設置されるようになっているのはこのため。
 
=== 軍事の世界 ===
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=== 非常時の情報伝達 ===
もう一つの重要な無線通信のメリットが非常時の情報伝達である。日本ではかつて[[関東大震災]]の時、有線の電話や海外との[[海底ケーブル]]等の施設が破壊され通信が阻害され孤立無援の事態が発生したが、東京湾にいた船舶から無線でまず[[海軍無線電信所船橋送信所]]へ、さらに[[磐城国際無線電信]]アンテナ塔のみが[[憶・原町無線塔]]として残っている)を通じてアメリカへ、と海外に伝達され世界の救援を得ることができた。初めて日本での大規模災害時に無線が活用された事例である<ref>二上英朗『ふくしま文庫39 原町無線塔物語』</ref><ref>山村武彦「関東大震災のちょっといい話/震災直後から全世界に発信し続けた富岡無線局」</ref><ref name="kata2">片寄洋一「関東大震災と無線電信(磐城無線電信局富岡局の活躍) (PDF) 」</ref><ref name="kyone11">[[米村嘉一郎]]「電波界50年」(連載「思い出の記」第11回)『電波時報』1959年9月号</ref><ref name="kyone12">米村嘉一郎「電波界50年」(連載「思い出の記」第12回)『電波時報』1959年10月号</ref>。
 
{{要出典範囲|時を大きく経て、[[東日本大震災]]の時には[[携帯電話]]が個人毎の情報伝達手段として大きな役割を果たすはずであった。しかしあまりにも過大な携帯電話の使用集中による基地局のマヒ、そして基地局および携帯電話の電池切れによる使用不可といった状態で必ずしも有効な手段であったとは言い難い。その後この反省により[[SNS]]の活用等いろいろな手段が考えられては来ているが、まだ確立された状態とは言い難い。|date=2017-12}}
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references />
 
== 関連項目 ==
{{div col}}
* [[無線用語]] - [[通話表]]
* [[無線工学]] - [[電波工学]] - [[伝送工学]] - [[通信工学]]
* [[電波]] - [[変調方式]] - [[電波型式の表記法]]
* [[電信]] - [[電話 (電波型式)]] - [[ラジオファクシミリ]]
* [[公衆無線LAN電信]]
* [[無線電話]]
* [[無線機]] - [[送信機]] - [[受信機]] - [[トランシーバー (無線機)|トランシーバー]]
88 ⟶ 99行目:
* [[ソフトウェア無線]]
* [[ZigBee]]
{{div col end }}
* [[Bluetooth]]
 
* [[公衆無線LAN]]
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite journal| 和書| author =逓信省, 海軍省, 陸軍省,外務省| authorlink =| year =1928| url=https://dl.ndl.go.jp/pid/1172880/1/5 | title =華盛頓国際無線電信会議復命書| journal =| volume =| issue =| page =| pages =| publisher =大日本帝国| ___location =| issn =| doi =| naid =| pmid =| id =| format =| accessdate =| quote =|ref=harv}}
 
{{OSI}}
{{Telecommunications}}
{{Normdaten}}
 
{{DEFAULTSORT:むせんつうしん}}
[[Category:無線|*]]