「検察側の罪人」の版間の差分
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『'''検察側の罪人'''』(けんさつがわのざいにん)は、[[雫井脩介]]による[[日本]]の[[小説]]。『[[別册文藝春秋]]』
「[[時効]]」をストーリーの着想の端緒とし、検事を作品の主題として選んでおり<ref>{{Cite web
2013年の『[[週刊文春ミステリーベスト10]]』の国内部門4位に選出された<ref>{{Cite web
== あらすじ ==
検事4年目の'''沖野啓一郎'''([[二宮和也]])は、[[東京地検]]刑事部で'''最上毅'''([[木村拓哉]])の下に配属された。最上は研修生時代の沖野の教官であり、彼に心酔する沖野は「最上流正義を継承する」と公言して憚らなかった。
沖野の事務官である橘沙穂([[吉高由里子]])は、大学時代に[[キャバクラ]]潜入暴露本を30万部売った[[ルポライター]]だった。[[国家公務員採用II種試験|国家公務員採用一般職試験]]に合格し事務官になったのも、検察の[[セクシャルハラスメント|セクハラ]]体質の潜入ルポが目的で、常に録音マイクを隠し持っていたが、沙穂は熱血で正直な沖野に次第に好意を持ち始めていた。
[[取り調べ]]の席で、時効の成立している女子高生殺害についてはあっさり自供したものの、老夫婦刺殺は一貫して犯行を否認し続ける松倉。何としても松倉の罪を確定し、法の元に死刑にと執着する最上の捜査方針に疑問を持つ沖野。
捜査が進むにつれ、'''弓岡嗣郎'''という男が老夫婦殺害を吹聴しているとの新情報が浮上した。松倉が無罪放免される可能性に恐怖した最上は、知り合いの犯罪[[ブローカー]]から拳銃を購入し、真犯人と思しき弓岡に接近した。最上がブローカーと連絡を取った事に気づき、沖野に連絡する沙穂。沖野と沙穂は弓岡を救おうと駆け付けたが、弓岡は最上と共に姿を消してしまった。
松倉が憎いから老夫婦殺しの罪を着せると話して弓岡を信用させ、自分の別荘に連れて行く最上。敷地内で弓岡を射殺した最上は、死体を埋めて隠した。東京に戻ると、ブローカーと会ったと指摘する沙穂に、娘の素行不良の後始末を頼んだと取り繕い、逆に沙穂が潜入ルポライターだと暴露する最上。
偽の証拠まで用意して松倉を犯人に仕立てようとする最上に耐えられなくなる沖野。検事を辞める覚悟を決めた沖野は沙穂と共に、松倉の[[国選弁護人]]を訪ねて情報を提供した。しかし同じ頃、弓岡の共犯者が恐怖心から出頭して老夫婦殺しを自供し、松倉の無罪は確定した。
松倉を冤罪に陥れかけた事を謝罪するつもりで、無罪の祝賀パーティーに出向く沖野。だが、厳しい取り調べをした沖野を見た松倉は激怒して暴れ、会場から飛び出した。外へ出たところでブローカーが手配した偽装の暴走自動車にはねられ即死する松倉。
最上の別荘に呼び出され、手帳など資料を見せられる沖野。それは、最上の自殺した学友で国会議員の丹野が死の直前に送って来たもので、丹野の大富豪である義父や妻が日本の軍国化のために大金を投じている証拠品だった。この巨悪を正すべき検事としての自分を葬るのかと迫る最上に対し、沖野は「最上検事は罪人です」と追求し続けることを宣言して別荘を後にした。
== 登場人物 ==
<!-- 原作の登場人物です。映画の内容を基に記述しないでください。 -->
=== 主要人物 ===
; 最上
: 東京地検の検事。
; 沖野
: 最上の部下である新人検事。
; 松倉
: 老夫婦刺殺事件の容疑者。23年前に起きた女子中学生殺人事件でも犯人ではないかと疑われていた。63歳。リサイクルショップでアルバイトをしている。
; 白川
:「無罪職人」「白馬の騎士」などの異名で知られるベテラン弁護士。人権派の弁護士の第一人者。マスコミをうまく利用して捜査のずさんさを訴えることで世論の流れを変え、裁判の勝利を勝ち取る戦法。芸能人や政治家の弁護人もつとめる
; 小田島
: 老夫婦刺殺事件の裁判で松倉重生被告の国選弁護士となる。弁護士になって3年目で、浅草橋にて小田島法律事務所を経営。妻の昌子は事務所の事務員としてともに働く。幼い子どもが1人いる。
; 諏訪部
: 闇社会の取引に関わるブローカー
: 最上に依頼され、拳銃[[マカロフ PM|マカロフ]]を手配する<ref>{{Cite book |和書 |author=雫井脩介|year=2013 |title=検察側の罪人|page=261|publisher=文藝春秋 |isbn=978-4-16-382450-5 |quote=緩衝シートに包まれたマカロフが出てきた。}}</ref>。
=== 東京地検関係 ===
; 橘
: 沖野啓一郎の立会事務官。沖野より3歳年下。優秀な事務官で、沖野は信頼を寄せる。のちに、沖野と恋仲になる。
; 長浜
: 最上毅の相棒の事務官。30代半ば。
; 脇坂
: 東京地検の最上の上司。刑事部の副部長。
; 永川
: 東京地検の最上の上司。刑事部の部長。
; 酒井
: 東京地検・公判部の副検事。
=== 最上毅の友人 ===
; 前川
:
; 小池
:
; 丹野
:
; 水野
: 学生寮「北豊寮」の先輩。通信社の政治記者から、週刊誌の契約記者となる。週刊誌『週刊ジャパン』の記者として、老夫婦刺殺事件に関する記事を執筆。
=== 最上毅の家族 ===
; 最上
:
; 最上
:
; 最上
:
; 最上
:
=== 沖野啓一郎の東京地検・同期検事 ===
; 三木
: 沖野の同期の東京地検・検事。最初は刑事部、現在、公判部に所属。
; 末入
: 沖野の同期の東京地検・検事。最初は刑事部、現在、公判部に所属。
; 栗本
: 沖野の同期の東京地検・検事。現在、公安部に所属。
=== 大田区蒲田の刺殺事件の被害者・遺族 ===
; 都築
: 74歳。大田区蒲田六郷の自宅室内で刺殺された被害者。アパート貸しや、知り合いに金貸しをしていた。
; 都築
: 71歳。夫とともに、自宅廊下で刺殺された被害者。
; 原田
: 都築晃子の妹。刺殺された夫婦の第一発見者。川崎大師に住む。姉の晃子とは月に一度くらい会っていた。
; 岩崎
: 殺された都築夫妻の一人娘。
=== 23年前の事件の被害者・遺族、「北豊寮」関係者 ===
; 久住
: 東京都文京区根津にある「北豊寮」(北海道出身者向けの学生寮)の管理人。2年前に死去。最上毅、前川直之、水野比佐夫らは、「北豊寮」で学生時代を過ごした仲間。
; 久住
: 久住義晴の妻。癌を患い、死去するが、最上は葬儀には行かなかった。
; 久住
: 久住義晴・理恵夫妻の一人娘。最上は大学生のころ、勉強をみてあげるなど、親しくしていた。23年前、中学2年生のときに、自室で絞殺される。
; 高田
: 23年前の事件当時、「北豊寮」の2階、203号室(久住由季の部屋の真上にあたる)に住んでいた人物。当時40代で、松倉重生(当時40歳)の勤め先の同僚。松倉はよく高田の部屋に遊びに来ていた。
=== 警視庁関係者 ===
; 青戸
: 警視庁刑事部捜査一課七係の係長。警部。
; 田名部(たなべ)
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; 森崎(もりさき)
: 大田区蒲田で起きた老夫婦刺殺事件の松倉重生容疑者の取調担当。警部補。
; 和泉
: 23年前の女子中学生絞殺事件の取調担当であった元刑事(警視庁OB)。当時、捜査一課の警部補。
=== その他 ===
; 弓岡
: 58歳。老夫婦刺殺事件の捜査中、松倉重生の後に、有力な容疑者に浮上した人物。犯行現場で見つかった金庫の中に保管されていた借用書の中には弓岡宛のものは無かった。犯行時に自分の借用書だけを引き抜いた疑いがある。刺殺された都築和直の競馬仲間の一人。元板前
; 矢口
: 弓岡嗣郎と焼き鳥屋でたまたま隣り合って飲食した人物。38歳。窃盗などの前科前歴者で、置き引きの現行犯で逮捕された際に、弓岡と焼き鳥屋で会話を交わしたことを語る。弓岡は自分が犯人であることを臭わせるようなことを語ったという。
; 船木
: 週刊誌『週刊平日』の記者。小田島、白川両弁護士の協力者。
== 書籍情報 ==
* 単行本:文藝春秋、2013年9月11日、
* 文庫本:文春文庫、2017年2月10日、
== 映画 ==
{{Infobox Film
| 作品名 = 検察側の罪人
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| 脚本 = 原田眞人
| 原案 =
| 原作 = [[雫井脩介]]
| 製作 = 臼井央(企画・プロデュース)<br />佐藤善宏<br />西野智也
| 製作総指揮 = [[山内章弘]]
| ナレーター =
| 出演者 = [[木村拓哉]]<br />[[二宮和也]]<br />[[吉高由里子]]<br />[[平岳大]]<br />[[大倉孝二]]<br />[[八嶋智人]]<br />[[音尾琢真]]<br />[[大場泰正]]<br />[[谷田歩]]<br />[[酒向芳]]<br />[[矢島健一]]<br />[[キムラ緑子]]<br />[[芦名星]]<br />[[山崎紘菜]]<br />[[松重豊]]<br />[[山
| 音楽 = [[富貴晴美]]<br />土屋玲子
| 主題歌 =
| 撮影 = [[柴主高秀]]
| 編集 = [[原田遊人]]
| 制作会社 = [[
| 製作会社 = [[東宝]]<br />[[ジェイ・ストーム]]
| 配給 = 東宝
| 公開 =
| 上映時間 = 123分
| 製作国 = {{JPN}}
| 言語 = [[日本語]]
| 製作費 =
| 興行収入 = 29.6億円<ref>{{映連興行収入|2018}} 2019年1月29日閲覧</ref>
| 配給収入 =
| 前作 =
| 次作 =
}}
[[2018年]][[8月24日
=== キャスト
* 最上毅 - [[木村拓哉]]
* 沖野啓一郎 - [[二宮和也]]
* 橘沙穂 - [[吉高由里子]]
* 丹野和樹 - [[平
* 弓岡嗣郎 - [[大倉孝二]]
* 小田島誠司 - [[八嶋智人]]
* 千鳥 - [[音尾琢真]]
* 前川直之 - [[大場泰正]]
*
*
* 高島進 - [[矢島健一]]
* 桜子 - [[キムラ緑子]]
* 運び屋の女 - [[芦名星]]
* [[山崎紘菜]]▼
*
*
* 船木賢介 - [[三浦誠己]]
* 田名部刑事 - [[阿南健治]]
* [[大川ヒロキ]]
* 小池孝昭 - [[田中美央]]
* 片足の兵士 - [[石田佳央]]
* 小田島の妻 - [[赤間麻里子]]
* 久住由季 - [[長田侑子]]
* 藤尾検事 - [[黒澤はるか]]
* 丹野尚子 - [[東風万智子]]
* 最上朱美 - [[土屋玲子]]
* [[久保酎吉]]
* 諏訪部利成 - [[松重豊]]
* 白川雄馬 - [[山﨑努]]
=== スタッフ
* 原作 - [[雫井脩介]]
* 監督・脚本 - [[原田眞人]]
* 音楽 - [[富貴晴美]]、土屋玲子
211 ⟶ 237行目:
* スプリクター - 西岡智子
* キャスティング - 杉野剛
* 助監督 - [[桑原昌英]]、谷口正行
* 製作担当 - 伊藤栄
* 配給 - [[東宝]]
* 製作プロダクション - [[
* 製作 - 東宝、[[ジェイ・ストーム]]
=== 公開 ===
2018年8月25日 - 26日の土日2日間全国映画動員ランキングが興行通信社より発表され、初登場1位となった<ref>{{Cite web|和書|date=2018-08-27 |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0103163 |title=木村拓哉×二宮和也『検察側の罪人』1位スタート! |publisher=[[シネマトゥデイ]]|accessdate=2018-08-27}}</ref>。
=== 受賞歴 ===
* [[報知映画賞#第43回(2018年度)|第43回報知映画賞]] 助演男優賞(二宮和也)<ref name="hochi20181127" />
* [[第42回日本アカデミー賞]] 優秀助演男優賞(二宮和也)<ref>{{Cite web |url=https://www.japan-academy-prize.jp/prizes/?t=42 |title=第42回 日本アカデミー賞 優秀賞 |publisher=日本アカデミー賞協会 |accessdate=2025-06-22}}</ref>
{{原田眞人監督作品}}▼
{{2018年日本週末観客動員数1位の映画}}
== 脚注 ==
222 ⟶ 258行目:
== 外部リンク ==
* [
*
** {{Twitter|kensatsu_movie|映画『検察側の罪人』}}
** {{YouTube|playlist = PLmnMiSXtJEB1htXrJxvtuKz5BIiCgsGen}}
▲{{原田眞人監督作品}}
{{Lit-stub}}
{{movie-stub}}
{{デフォルトソート:けんさつかわのしようにん}}
[[Category:
[[Category:
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[[Category:犯罪を題材とした小説]]
[[Category:千代田区を舞台とした小説]]
[[Category:蒲田を舞台とした作品]]
[[Category:2018年の映画]]
[[Category:日本の小説を原作とする映画]]
[[Category:日本のサスペンス映画]]
[[Category:日本の犯罪映画]]
[[Category:
[[Category:
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[[Category:千代田区を舞台とした映画作品]]
[[Category:太平洋戦争の東南アジア戦線を題材とした映画作品]]
[[Category:原田眞人の監督映画]]
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[[Category:ストームレーベルズ製作の映画]]
[[Category:検察官を主人公とした作品]]
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