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'''領土問題'''(りょうど
== 概説 ==
[[国境]]の線引きに関するわずかな見解の相違や小さな[[無人島]]の帰属といったレベルから、[[主権国家体制|主権国家]]を自称している地域全体を別の国家が自国領土と主張する場合([[台湾問題]]や[[西サハラ問題]]など)まである。後者の場合は[[国家の承認]]問題にも発展する。
領土問題を抱える国家同士の関係も様々である。係争地域の[[実効支配]]をめぐる深刻な対立・衝突がなく、友好的に[[外交]]や[[貿易]]、[[国民]]の往来が続く場合もあれば([[
{{See also|国際法}}
よく領土問題の原因になるのが、その
また、その土地を最初に占有した国家が領有を明確にしていなかったり、付近に他の国家がありながらもその国家の了解を得ていなかったり、居住民族が移動を繰り返して複数の民族が混住していたりするといった歴史的経緯も、領土問題の原因になりやすい。
各国政府は、係争地の[[実効支配]]を確実にしたり、その領有や返還を実現したりするため、国内外世論への訴えかけ、法的な理論武装、外交交渉や[[国際司法裁判所]]への付託、戦争など様々な手段をとる。領土問題について、個人が自国政府と異なる見解を示した場合、世論の批判を受けるだけでなく[[ロシア
== 領土の権原 ==
{{Main|領域権原}}
領土権を主張する根拠、すなわち領域権原として、歴史的には以下のようなものがある
* [[譲渡]]
** 売買(例:[[アラスカ州|アラスカ]]を[[アメリカ合衆国]]が[[ロシア帝国]]から[[アラスカ購入|購入]])
** 交換(例:アメリカが旧[[フランス領ルイジアナ|仏領ルイジアナ]]の[[アメリカ合衆国の歴史#領土の拡大とフロンティア|北緯49度以北と英領カナダの北緯49度以南を交換]])
** [[割譲]](例:[[下関条約]]での[[大日本帝国|日本]]の[[台湾]]取得)
* [[征服]]([[国際連合憲章]]下で現在は認められない)
* [[先占]]([[無主地]]を国家が領有意思を持ち実効的に占有すると当該土地がその国の領土になる)
* [[添付]](自然現象や[[埋立地|埋め立て]]等で土地が拡張する場合)
* [[取得時効 (国際法)|時効]](土地を領有の意思を持って相当期間平穏公然に統治することで領有権を取得する場合)
がある<ref>{{Cite book|和書
|author=塚本 孝|title=国際法から見た竹島問題|url=http://www.pref.shimane.lg.jp/soumu/web-takeshima/H20kouza.data/H20kouza-tsukamoto2.pdf|format=PDF|date=2008-10-26|pages=pp. 3-9.|accessdate=2008-11-09}}</ref>。
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== 国際司法裁判所への付託 ==
領土問題は当事国同士での外交で解決されるのが望ましいが、当事国間で解決することが困難な場合には、
|author=塚本 孝
|date=2008-10-26
46 ⟶ 47行目:
例えば、
* ICJ
**「[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]と[[ブルガリア人民共和国|ブルガリア]]、[[ハンガリー人民共和国|ハンガリー]]及び[[ルーマニア社会主義共和国|ルーマニア]]との平和諸条約の解釈に関する勧告的意見」
**「[[カメルーン]]と[[ナイジェリア]]との間の陸地及び海の境界に関する事件」の先決的抗弁に関する判決
*常設国際司法裁判所判決
**「マヴロマチス事件」([[ギリシャ王国|ギリシャ]]対[[イギリス]]
**「上部[[シレジア]]の[[ドイツ人]]の利益に関する事件」([[ヴァイマル共和政|ドイツ]]対[[ポーランド第二共和国|ポーランド]]
などの判決が客観的判定の推奨を確認されている<ref>高野雄一編『判例研究 国際司法裁判所』東京大学出版会 1965、横田喜三郎『国際判例研究 第一』有斐閣 1933</ref>。
63 ⟶ 64行目:
|pages=pp. 3-9.
}}</ref>。
# [[中世]]の事件に依拠した間接的な推定でなく、対象となる土地に直接関係のある証拠が優位。中世の権原は現代的な他の権原に置き換えられるべき。
# 徴税・課税、法令の適用、刑事裁判、[[登記]]、[[税関]]設置、人口調査、[[カメ|亀]]・亀卵採捕の規制、鳥の保護区設定、入域管理、難破事件の捜査などが、国家権能の表示・実効的占有の証拠となる。
# 紛争が発生した後の行為は実効的占有の証拠とならない。
# 住民による行為は国家の主権者としての行為ではない。
71 ⟶ 72行目:
# 相手国の領有宣言行為に適時に抗議しないと領有権を認めたことになる。
# 歴史的、原初的権原があっても相手国が行政権行使を重ね、相手国の主権者としての行動に適時に抗議しなければ主権が移ることがある。
# [[発見_(国際法)|発見]]は未完の権原である(実効的占有が行われなければ領有権の根拠にならない)。
# 地理的近接性は領有根拠にならない。領海内の無人島が付属とされることはある。
# 地図は国際法上独自の法的効力を与えられることはない。公文書付属地図が法的効力を持つ場合や信頼に足る他の証拠が不足するときに一定の証拠価値を持つ場合はある。
== 世界各地の
*領土問題のある地域(当事国)で記述。カッコ内の先頭の国が当該地域を実効支配していることを示す。
*単に国家独立の成否のみを問題とするもの([[アブハジア紛争|アブハジア問題]]など)については[[独立主張のある地域一覧]]を参照。
=== 東アジア ===
* 主に[[日本列島|日本]]沿岸部〈[[中華人民共和国|中国]]・ロシア・[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]・[[大韓民国|韓国]]・台湾([[中華民国]])〉を含む。
{{See also|日本の領土問題|Category:日本の領有権問題}}
[[File:Disputed islands in East Asia.png|right|thumb|300px|東アジアの領土問題]]
[[File:Chorography of Korea(1899).jpg|right|thumb|180px|大韓帝国時代の地誌教科書『大韓地誌』
----
竹島(独島)は日本の領土と把握されている]]
*[[択捉島]]・[[国後島]]・[[色丹島]]・[[歯舞群島]](ロシア・日本)
** [[1855年]]の[[日露和親条約]]以降、日本領だったが、[[第二次世界大戦]]末期に[[ソビエト連邦]]が[[日ソ中立条約]]を[[ソ連対日参戦|一方的に破棄して侵攻]]し、占領。[[ソビエト連邦の崩壊|ソ連解体]]後は[[ロシア]]が継承した。日本はこれら4島を[[北方地域|北方領土]]と呼称し、返還を要求している<ref>[https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/pamph/hoppo6.html 外務省:パンフレット「われらの北方領土2012年版」]</ref>。
** なお、色丹島と歯舞群島については[[1956年]]の[[日ソ共同宣言]]で日露間の[[平和条約]]締結後に日本に引き渡すことが宣言されているが、未実現。
{{main|北方領土問題}}
* [[
** 北千島・南樺太ともに日本に属したが、[[日本国との平和条約|サンフランシスコ平和条約]](第2条C項)により、日本は千島列島<ref group="注">日本の立場は、放棄対象は「[[得撫島]]以北の北千島」に限るとしている。</ref>・南樺太及びこれに近接する諸島の権利・権限及び請求権を放棄する事を認めた。前項で述べた通りソ連側は第二次世界大戦の結果獲得した領土のひとつと主張するも、アメリカなど[[西側諸国]]はソ連が同平和条約に調印しなかったためソ連による両地域の領有は認めていない立場<ref>[[1952年]](昭和27年)[[3月20日]]、[[アメリカ合衆国上院]]</ref>である。日本政府も「ロシアが実効支配し、他に北千島や南樺太に対する領土権の主張をする国家は存在せず、帰属問題(承認問題)だけが未解決という状態が継続している」<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/topic.html 外務省:「北方領土に関するQ&A(関連質問)」]</ref>という立場をとっている。{{疑問点|date=2017年9月}}
* [[竹島 (
** [[1905年]]に日本が編入したが、第二次世界大戦後の日本の主権回復直前に韓国が軍事占領
** 日本側は韓国に対して3回にわたり
{{main|日韓問題#領土問題 * [[尖閣諸島]](日本・中国・台湾)
** [[
{{main|尖閣諸島問題}} *[[中国大陸]](中国・台湾ほか)
** [[1946年]]から続いた[[国共内戦]]の末[[中国共産党]]が中華人民共和国を建国して事実上勝利したが、[[中国国民党]]率いる中華民国も台湾で「[[中国]]の正統な政府」を主張している。このため中華民国は現在、中華人民共和国の支配する中国大陸の支配権を主張している。
** なお、中華民国側は[[中華民国 (1912年-1949年)|中国大陸統治時代]]の領土主張を引き継いでいるため、[[ラオス]]を除く全ての
{{main|中国統一}}
* [[外蒙古]]([[モンゴル国|モンゴル]]・台湾)
** 台湾は、[[1945年]]から[[1952年]]まで、そして2002年から現在までモンゴルの独立を承認している。しかし、[[中華民国憲法]]の下では、この地域も領土の一部としている為、現在も正式に領有権の主張は破棄されていない。
*[[白頭山]](北朝鮮・中国・韓国)
** 現在、北朝鮮と中
*[[間島]](中国・韓国・台湾)
** 中国と北朝鮮との国境の町。中国側が実効支配しているが、歴史問題(
*[[台湾]]・[[澎湖諸島]](台湾・中国)
** 第二次世界大戦の日本の敗
{{main|台湾問題}}
*[[鹿屯島]](ロシア・北朝鮮・韓国)
** ソ連と北朝鮮の間で確定された国境線ではソ連側に属したが、朝鮮半島全体の領有を主張する韓国はこれを不当としている。
*[[丁岩礁]](韓国・中国・台湾)
** 「丁岩礁」は、中国側の名称。現在は、波浪礁(パランチョ、파랑초)として韓国が実効支配している。
*[[蘇岩礁]](韓国・中国)
** 韓国が実効支配する岩礁。中国との間に論争がある。
=== 東南アジア ===
124 ⟶ 135行目:
* [[南沙諸島]](中国ほか6か国)
** 第二次世界大戦の日本の敗戦以降[[フランス]]が領有してきたが、[[フランス領インドシナ]]解体後に各国の領有権論争が過熱。現在中国、台湾
* [[西沙諸島]](中国・ベトナム・台湾)
135 ⟶ 146行目:
** 台湾が実効支配しているが、中国も領有を主張。
* [[バクロンヴィー島]](ベトナム・台湾)
** [[1957年]]に中国からベトナムに割譲された。しかし、台湾はこれを認めておらず領有を主張。
* [[サバ州]](マレーシア・フィリピン)
** マレーシアの一つの州であるが、フィリピンが[[スールー王国]]を根拠に領有を主張。
* [[スカボロー礁]](中国・台湾・フィリピン)
** [[2012年]]の対立以降、中国による実効支配が続いている。
* [[ジェームズ礁]](マレーシア・中国・台湾)
** 台湾は、北緯4℃が最南端であるとしている。
* [[江心坡]]([[ミャンマー]]・台湾)
** 台湾は、[[ザガイン地方域]]及び[[カチン州]]北部を[[雲南省]]の一部として領有を主張している。なお、中国も[[1961年]]まで領有を主張していた。
=== 南アジア ===
{{multiple image
| align = right
| total_width = 320
| image1 = Bhutan districts english.png
| caption1 = 北部が中国の領土にされる前の[[ブータン]]。北部が北側に出ている。2006年より前の国境
| image2 = Regions of bhutan labeled-roman script.svg
| caption2 = 北部が中国の領土にされた後の[[ブータン]]。2006年の新国境線
}}
[[File:Kashmir map.svg|thumb|[[カシミール紛争]]]]
* [[ブータン]]・中国間の国境線
** 主張する国境線に食い違いが大きく、
* [[アルナーチャル・プラデーシュ州]](インド・中国)
** もともとこの地域の国境は[[グレートブリテン及びアイルランド連合王国|イギリス]]と[[チベット (1912-1950)|チベット]]の間で決められた上で[[イギリス領インド帝国|インド帝国]]が実効支配していたが、中国がこれを不当としてこの地域の領有権を主張している。現在も[[インド]]が実効支配中。
* [[カシミール]](インド・パキスタン・中国)
153 ⟶ 184行目:
=== 中央・西アジア ===
* [[パレスチナ]](イスラエル・パレスチナ)
** [[パレスチナ分割決議]]を不服とした[[アラブ人]]側が[[第一次中東戦争]]を起こし、この地は[[イスラエル]]・[[ヨルダン]]・[[エジプト]]によって分割された。しかしイスラエルは[[第三次中東戦争]]でヨルダン・エジプト占領地も併合した。
** 国際社会では第三次中東戦争での占領地の併合を認められていない([[国際連合安全保障理事会決議242|安保理決議242]]<ref group="注">ただし、決議は英文版と仏文版で文意が違い、英文版では一部の併合は認められる余地のある表現になっている。仏文版は、明確に全ての占領を否定している。</ref>、[[国際司法裁判所]]「[[東エルサレムを含む占領下のパレスチナ領域におけるイスラエルの政策と実行から生じる法的帰結]]」の勧告的意見<ref>{{Cite web |url=https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/186/186-20240719-sum-01-00-en.pdf |title=Legal Consequences arising from the Policies and Practices of Israel in the Occupied Palestinian Territory, including East Jerusalem Summary of the Advisory Opinion of 19 July 2024 |date=2024-07-19 |access-date=2024-07-22 |publisher=国際司法裁判所 }}</ref>など)。イスラエルは、外交的には占領地では無く「[[係争地]]」であると主張しつつ、[[ユダヤ人入植地]]の建設や、原住民の迫害・追放を推進し、[[実効支配]]を続けることで事実上の併合を企図している。また、エジプトやヨルダンなどごく一部を除くイスラム諸国では'''イスラエルを国家承認していなかった'''。しかし[[2020年]]、イスラエルがアメリカの仲介で[[アラブ首長国連邦]]との国交正常化にこぎつけると([[アブラハム合意]])、続いて[[コソボ]]、[[バーレーン王国|バーレーン]]、[[スーダン]]、[[モロッコ]]とも国交正常化を果たした<ref group="注">2020年にはこの他、仏教国の[[ブータン]]とも国交正常化で合意している。</ref>。この結果、占領地の返還を国交正常化の条件としているパレスチナを、イスラエルが外交面でも包囲する情勢となってきている。
{{main|パレスチナ問題}}
* [[エルサレム]]
**
** イスラエルはエルサレム全域を実効支配しており、首都と宣言しているが、国際社会では認められていない([[安保理決議478]]<ref>[https://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/RES/478(1980) Resolution 478] - 国際連合{{en icon}}</ref>)。このため、イスラエルを承認する国家も、大使館は原則として[[テルアビブ]]に置いている。また、パレスチナは東エルサレムの領有権を主張し、東エルサレムを首都と宣言している。[[2017年]]、[[エルサレムをイスラエルの首都とするアメリカ合衆国の承認|アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と承認した]]。米国の支援を受ける[[グアテマラ]]、[[ホンジュラス]]が追随し、[[2020年]]にはコソボがイスラエルとの国交正常化に際してエルサレムを首都と認めるなど、イスラエルの実効支配を追認する動きが強まっている。
{{main|エルサレムの地位}}
* [[
** シリアが領有してきたが、[[第三次中東戦争]]でイスラエルが占領、併合した。イスラエルの併合は国際社会から認められていないが、2019年、アメリカが初めて承認した。
* [[ハタイ県]]([[トルコ]]・シリア)
** [[1939年]]にトルコに併合され、シリアが領有を主張。現在、シリアによる領有権の主張は弱まりつつあるが、完全に主張を撤回した訳ではない。
* トルコ・[[アルメニア]]間の国境線
** トルコは[[アルメニア人虐殺]]によって[[アルメニア人]]の精神的象徴である[[アララト山]]を含む大アルメニアの西部からアルメニア人を強制追放し、以後、同地を実効支配している。この為、アルメニアはトルコと旧ソ連によって設定された現在の国境線を認めていない。
* [[ダヴィド・ガレジ複合修道院]]の境界線
** この修道院群は、[[ジョージア (国)|ジョージア]]と[[アゼルバイジャン]]の国境に位置しており、修道院がどちらに属するかで争っている。
* [[アラブ首長国連邦]]・[[サウジアラビア]]間の国境線
** [[1974年]]に領土交換をすることで一旦国境が画定されるも、[[2006年]]にアラブ首長国連邦側がこの画定を否定し領土問題が再発した。
=== ヨーロッパ ===
[[File:Cy-map-ja.png|thumb|[[グリーンライン (キプロス)]]]]
* [[クリミア半島]](ロシア・[[ウクライナ]])
** [[ロシア人]]が多く居住する地域であったが、[[ソビエト連邦|ソ連]]時代に[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]に移管された。移管当時はソ連国内での管轄の変更に過ぎなかったため大きな問題にはならなかったが、ソ連解体後もウクライナの支配が続いたためロシアとの領土問題になった。
** その後[[尊厳の革命|2014年ウクライナ騒乱]]の際に[[ロシアのクリミア侵攻|ロシア軍がクリミアに展開]]しロシアの支援のもと一旦[[クリミア独立宣言|独立を宣言]]。ロシア編入を問う[[2014年クリミア住民投票|住民投票]]が行われ、結果編入賛成票が多数を占めたことからロシアが併合して実効支配が移った。しかし、住民投票を含めウクライナはこれを認めていない。
* [[クロアチアとセルビアの関係|シャレングラード島、ヴコヴァル島]]([[セルビア]]・[[クロアチア]])
** [[ユーゴスラビア]]時代はクロアチアが支配していたが、[[1991年]]に[[クロアチア紛争]]が起こると[[セルビア]]が中心の[[ユーゴスラビア人民軍]]が占領。それ以降セルビアの支配下に置かれているが、クロアチアは返還を要求している。
* [[南ベッサラビア]]・北[[ブコビナ]](ウクライナ・[[ルーマニア]]・[[モルドバ]])
**ウクライナが実効支配しているが、ルーマニア・モルドバも領有を主張。
* [[ジブラルタル]](イギリス・[[スペイン]])
** イギリスが事実上の飛地として実効支配しているが、スペインも領有を主張。現在も続いている中で記録上最も古い領土問題である<ref>{{Cite web |title=6 of the World's Most Worrisome Disputed Territories |url=https://www.nationalgeographic.com/science/article/140328-disputed-territories-geography-russia-crimea |website=Science |date=2014-03-29 |access-date=2023-07-09 |language=en}}</ref>。
* [[オリベンサ]](スペイン・[[ポルトガル]])
** [[ポルトガル人]]が大半の町だがスペインが実効支配しており、ポルトガルが返還を要求している。
=== アメリカ大陸 ===
* [[フォークランド諸島]](イギリス・[[アルゼンチン]])
** イギリスが海外領土として実効支配しているが、アルゼンチンは返還を要求している。
{{main|フォークランド紛争}}
* [[グアヤナエセキバ]]([[ガイアナ]]・[[ベネズエラ]])
** [[イギリス領ギアナ]]の時代から国境紛争を抱える。現在もガイアナが実効支配しているが、ベネズエラも領有を主張。
* [[ナヴァッサ島]](アメリカ・[[ハイチ]])
** アメリカが[[合衆国領有小離島]]として実効支配しているが、ハイチも領有を主張。
* [[アベス島]](ベネズエラ・[[ドミニカ国]])
** [[1895年]]にベネズエラが領有を宣言したが、その後独立したドミニカ国が領有を主張。
* [[
**
* [[バホヌエボ]](コロンビア他4国)
** グアノ島法を根拠とするアメリカ、および全体の返還を主張するコロンビアが共に一部を実効支配しているが、[[ジャマイカ]]・ニカラグア・[[ホンジュラス]]も領有を主張。
=== アフリカ ===
* [[プラサス・デ・ソベラニア]](スペイン・[[モロッコ]])
** [[1956年]]に[[スペイン保護領モロッコ|スペイン領モロッコ]]から[[モロッコ]]が独立したが、これらの地域は本国の一部であるとしてその後もスペインが実効支配を続けており、モロッコは返還を要求している。
** なお、かつてスペインの飛地として残っていた[[タルファヤ]]は[[1958年]]、[[イフニ]]は[[1969年]]にモロッコに返還された。
* [[ハライブ・トライアングル|ハラーイブ・トライアングル]]([[エジプト]]・[[スーダン]])
** 両国の独立後もこの地域は実質的に共同統治下に置かれていたが、[[1992年]]にスーダンが一方的に外国企業に石油採掘権を与えたことに反発してエジプトが軍事占領した。現在スーダンも領有を主張。
* [[アビエイ]] (スーダン・[[南スーダン]])
** [[2011年]]に南スーダンが独立した際、この地域は住民投票によって帰属が定められるものとされたが、有権者の範囲を巡って両国が対立。結局領有は定まらず、現在もスーダン支配下にあるが南スーダンも領有を主張している。
* [[イレミ・トライアングル]]([[ケニア]]・エチオピア・南スーダン)
** [[イギリス領東アフリカ]]時代からケニアが実効支配しているが、エチオピアと南スーダンも領有を主張。
* [[マヨット|マヨット島]](フランス・[[コモロ]])
** [[1912年]]以降[[マダガスカル島|マダガスカル]]の一部としてフランスが実効支配してきたが、[[1974年]]に[[コモロ諸島]]において実施された住民投票では独立票が多数で、コモロ諸島全域を領土とするコモロが独立した。しかし、フランスは住民投票時に反対票が多かったことを理由にマヨット島をフランス領にとどめたため、コモロとの間で領土問題となった。
** なお、[[1976年]]に[[国際連合総会|国連総会]]は'''「マヨット島はコモロに帰属する」'''旨を決議したが、フランスは受け入れを拒否した。
* [[ミギンゴ島]] (ケニア・[[ウガンダ]])
** かつてよりケニアが実効支配してきたが、[[2000年代]]に付近が好漁場として注目されるとウガンダが領有主張を開始。一時両国が軍を派兵するなどしたが、現在も支配状況は変わっていない。
=== オセアニア ===
* [[ウェーク島]](アメリカ・[[マーシャル諸島]])
** アメリカが[[アメリカ海軍|軍事拠点]]として領有しているが、アメリカ[[信託統治|信託統治領]]から独立したマーシャル諸島も領有を主張している。
== 主な解決済みの事例 ==
'''※ここでは、第二次世界大戦後に解決した領土問題について記述する。'''
=== アジア ===
* [[中ソ国境紛争]]:中国とソ連の間を流れる[[ウスリー川]]の中州である[[珍宝島]](ロシア名は「ダマンスキー島」)及び[[黒瞎子島]](ロシア名は「大ウスリー島」)などの領有をめぐる紛争。[[2008年]]に最終解決した。
* 中国・ベトナム間の国境線
* [[休戦オマーン|休戦オマーン土侯国]](イギリス保護国)と[[ブーサイード朝|マスカット・オマーン]]の境界線
** 休戦オマーン側が * [[ **
*
** [[イラク]]と[[サウジアラビア]]との間にかつてあった[[中立地帯 (サウジアラビアとイラク)|中立地帯]]。 [[1991年]]に国境が正式に確定。 * [[アウジャ]]
** イスラエルとエジプトとの間にかつてあった中立地帯。
* [[チラン島]]・{{仮リンク|サナフィール島|en|Sanafir Island}}(サウジアラビア・エジプト・イスラエル)
** この二つは[[2017年]]に、サウジアラビアへと移管された。
* [[ベトナム]]
** [[1975年]]、[[ベトナム民主共和国|北ベトナム]]に支援された[[南ベトナム解放民族戦線]]が[[南ベトナム]]を武力制圧し、翌年南が北に吸収される形で南北統一。
* [[カッチ大湿地]]
** インド、[[グジャラート州|グジャラート地方]]の湿地。かつて、インドとパキスタンがそれぞれ領有を主張していたが、[[第二次印パ戦争]]後の[[1968年]]にインドが90%、パキスタンが10%を領有することで解決<ref>Indo-Pakistan international border₋[http://vrpgroupbhuj.com/About_Kutch.html] </ref>。
* [[ナゴルノ・カラバフ]](アゼルバイジャン・アルメニア)
** かつてから[[アゼルバイジャン]]の一地方であったが、アルメニア人が多く居住していることもありアルメニアも領有を主張してきた。
** ソ連解体で両国が独立国家となって以降はさらに領土問題が過熱し[[ナゴルノ・カラバフ紛争|紛争]]に発展。これ以降アルメニア影響下に樹立された[[アルツァフ共和国]]が実効支配していたが、2023年9月に[[2023年ナゴルノ・カラバフ衝突|アゼルバイジャンの攻撃]]を受け降伏し、解散宣言(後に撤回)を行った。降伏により、アゼルバイジャンが主権回復を宣言する<ref>{{Cite web |url=https://www.yomiuri.co.jp/world/20230921-OYT1T50183/ |title=アゼルバイジャン大統領が勝利宣言、アルメニア系住民は「民族浄化だ」…ナゴルノ・カラバフ紛争 |publisher=読売新聞 |date=2023-09-21 |accessdate=2023-09-28}}</ref>。
** しかし、アルツァフ共和国指導部は2023年10月以降、移転先の[[エレバン]]で亡命政府として活動している<ref name="newsam231016">{{Cite news |url=https://news.am/eng/news/787067.html |title=Karabakh representative office in Armenia now houses Artsakh government, under President’s leadership |publisher=News.am |date=2023-10-16 |accessdate=2023-10-20}}</ref>。
* [[チャゴス諸島]]
** [[イギリス]]が[[イギリス領インド洋地域]]として実効支配しているが、かつて同じ植民地として統治されていた[[モーリシャス]]が領有権を主張していた。
** 国際司法裁は2019年2月、'''「モーリシャスの独立後もイギリスが分離統治し続けているのは違法である」'''との判断を下した<ref>[https://web.archive.org/web/20190227182046/https://this.kiji.is/472922728332182625 チャゴス諸島の英領編入は違法 「統治終結を」と国際司法裁判所] 共同通信、2019年2月26日</ref>のち、2024年10月イギリスがチャゴス諸島の返還を発表した。なお、ディエゴガルシア島の米英軍基地は引き続き駐留する<ref>{{Cite news|url=https://jp.reuters.com/world/security/JOGVUEOMQFPCTM2CAQ5RME6SIA-2024-10-03/|title=英国、チャゴス諸島をモーリシャスに返還 インド洋の戦略的要衝|agency=[[ロイター]]|date=2024-10-03|accessdate=2024-10-03}}</ref>。{{see|{{仮リンク|チャゴス諸島の領有権紛争|en|Chagos Archipelago sovereignty dispute}}}}
=== ヨーロッパ ===
* [[オーデル・ナイセ線]]([[ドイツ]]・[[ポーランド]])
** 1950年のズゴジェレツ条約により暫定的に承認。[[1990年]]に国境線に関する最終確認条約により解決。<!--しかし、民族主義者を中心としてこの決定に不満を抱くドイツ人もいる。(ケベックからタタールスタンまでこの項にリストされた他の領土問題解決の全てのケースでも結果に不満を持つ人々は存在するので、オーデル・ナイセ線のケースにだけこういうことを書く必要はない)-->
* [[ドイツ]]
** [[1989年]]の[[ベルリンの壁崩壊]]により後日、[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]が[[西ドイツ]]に吸収される形で[[ドイツ再統一|東西統一]]。
* [[ロッコール島]]
** イギリス領であり、[[アイルランド]]や[[アイスランド]]が領有権を主張していたがイギリスが島としての主張を取り下げ、岩であると認めることによって紛争を解決。
* [[オーランド諸島]]
** 元は[[スウェーデン]]領であったが、紆余曲折を経て[[1922年]]に[[フィンランド]]への帰属が確定。島民らはスウェーデン帰属を強く訴えていたが、大幅な自治権が認められたため現状維持の意見が多数となる。スウェーデンへの復帰も認められている。
=== アメリカ大陸 ===
* [[コーン諸島]]
** [[カリブ海]]にあるニカラグアの島だが、[[1914年]]のブライアン・チャモロ条約により、アメリカが99年間の租借権を獲得した。しかし、いつしかアメリカは島を放置し、[[1971年]]にブライアン・チャモロ条約を破棄し、ニカラグアに返還した。
* [[スワン諸島]]
** [[1856年]]に[[グアノ島法]]により、アメリカが領有した。[[1920年]]に[[ホンジュラス]]が領有を主張し、[[1971年]]にアメリカはホンジュラスにこの島を譲渡した。
* [[サンアンドレス島]]と[[プロビデンシア島]]
** コロンビアに属する島だがニカラグアが領有を主張していた。[[1991年]]にコロンビアの憲法改正により、ニカラグアは両島のコロンビアの統治権を認めた。
* [[ハンス島]]([[カナダ]]・デンマーク)
** [[デンマーク]](自治領として[[グリーンランド]]を領有)と[[カナダ]]の双方が領有を主張。[[2022年]]に分割領有することで合意した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB169VJ0W2A610C2000000/ |title=カナダとデンマーク、北極圏の島の分割領有に合意 |publisher=日本経済新聞 |date=2022-06-16 |accessdate=2022-07-23}}</ref>。
{{main|ウイスキー戦争}}
=== アフリカ ===
* [[シナイ半島]](エジプト・イスラエル)
** [[第三次中東戦争]]中、イスラエルはシナイ半島の領有を主張していた。[[1979年]]の[[エジプト・イスラエル平和条約]]に基づき、[[1982年]]にエジプトに返還された。
* [[バドメ]]([[エチオピア]]・[[エリトリア]])
** [[1988年]]に始まった[[エチオピア・エリトリア国境紛争]]が起きるきっかけになった町である。[[2018]]年に行われた両国の首脳会談で、エチオピアに引き渡されることになった。
* [[バカシ半島]]([[カメルーン]]・[[ナイジェリア]])
** [[国際司法裁判所]]の判決と、{{仮リンク|グリーンツリー協定|en|Greentree Agreement}}によってカメルーンヘと引き渡された。
* {{仮リンク|セデュードゥー島|en|Sedudu}} ([[ボツワナ]]・[[ナミビア]])
** [[1999年]]、国際司法裁判所の判決によってボツワナが勝訴したことで、ナミビアは主張を撤回した。
== 国際司法により解決した
=== 特設仲裁裁判所 ===
*「[[クリッパートン島事件]]」([[フランス第三共和政|フランス]]対[[メキシコ]]・[[1931年
=== 常設仲裁裁判所 ===
*「[[パルマス島事件]]」(アメリカ対[[オランダ]]・[[1928年
=== 常設国際司法裁判所 ===
*「東部グリーンランド事件」(デンマーク対[[ノルウェー]]・[[1933年]])
=== 国際司法裁判所 ===
*「[[マンキエ・エクレオ
*「国境地区の主権に関する事件」(
*「[[プレア・ビヘア寺院事件]]」([[カンボジア]]対[[タイ王国|タイ]]・1962年)
*「国境紛争事件」(ブルキナファソ対マリ・1986年)
*「陸地、島および海の境界紛争に関する事件」(エルサルバドル対ホンジュラス・1992年)
*「領土紛争事件」(
*「カシキリ/セドゥドゥ島事件」(
*「カタールとバーレーンとの間の海洋境界画定及び領土問題に関する事件」(2001年)
*「カメルーン・ナイジェリア間の領土・海洋境界画定事件」(2002年)
*「リギタン島およびシパダン島の主権に関する事件」(インドネシア対マレーシア・2002年)
*「国境紛争事件」(
*「ニカラグアとホンジュラスの間のカリブ海における領土及び海洋紛争」(2007年)
*「ペドラブランカ/プラウバトゥプテ、中央岩及び南暗礁に対する主権」(
*「黒海海洋境界画定事件」(
== 凍結
*[[南極|南極大陸]]:[[南極における領有権主張の一覧]]を参照。 フランス、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、ニュージーランド、ブラジル、ドイツ等が南極大陸における領有権主張(特に英仏爾3国は海外領土の属領として領有主張)を行っていたが、[[南極条約]]によって領有権は凍結された。ただし領有権自体を否定したわけではないので、将来的に領土問題が再燃する可能性はある。また、オーストラリアやアルゼンチンのように今も南極における領土主張に意欲を見せている国もある。
== 「県境」
[[日本]]国内において、[[県境]]が定まらずもめることも
[[富士山]]の山頂は[[静岡県]]と[[山梨県]]が所有を争った末、「[[富士山#県境及び市町村境の扱い|県境を定めない]]」と、敢えて未確定としている<ref>[https://www.fujisan-net.jp/data/article/1381.html なぜ富士山頂に境界がないのか?] - 富士山NET([[山梨日日新聞社]])</ref><ref>[
==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注" />
=== 出典 ===
<references />
== 文献情報 ==
* {{PDFlink|[http://www.pref.shimane.lg.jp/soumu/web-takeshima/H20kouza.data/H20kouza-tsukamoto2.pdf 「国際法から見た竹島問題」
== 関連項目 ==
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* [[コモンウェルス]]
* [[ベルリンの壁]]
* [[最後の授業]]
* [[リオ・リコ]]
* [[民族紛争]] - [[地図混乱地域]]
* [[海外領土・自治領の一覧]]
* [[独立主張のある地域一覧]]
* [[
* [[自治・独立運動旗の一覧]]
* [[国際連合総会オブザーバー]]
* [[国際連合非自治地域リスト]]
* [[先住民族の権利に関する国際連合宣言]]
* {{仮リンク|領土問題の一覧|en|List of territorial disputes}}
* {{ill2|Debatable Lands|en|Debatable Lands}} - スコットランドとイングランド間で争われていた土地。battable は、家畜を育てるのに良い土地の意から。係争地の引き合いにでる。
* [[緩衝地帯]]、兵家必争の地、軍事的要衝 - 戦争が起こりやすい土地。
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:りようともんたい}}
[[Category:領有権問題|*]]
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