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{{Otheruseslist|'''図形・模様の十字'''|[[紋章学]]における十字|クロス (紋章学)|[[キリスト教]]のイエスの磔刑の刑具|十字架|[[祈祷]]の一部としての「十字を画く」「十字を切る」行為|十字の描き方|漫画作品|十字 (漫画)}}
[[File:Cross2.svg|thumb|150px|全ての棒が同じ長さの[[ギリシャ十字]](上)と、それを45度回転させた[[サルタイアー (紋章学)|サルタイアー]](下)]]
'''十字'''(じゅうじ、{{Lang-en-short|cross}} クロス)
なお[[日本]]では、線が垂直な場合は[[漢字]]の「十」と同じ形のため「[[十文字 (曖昧さ回避)|十文字]]」(じゅうもんじ)、斜めの場合は「[[×]]」(バツ、ペケ)と呼ばれる事もある。
== 概要 ==
十字は最も古代から存在する、人類的とも言える[[シンボル]]の1つであり、多くの地域で使用されている。特によく知られている[[キリスト教]]の[[十字架]]の他にも、[[四大元素|四大要素]]のひとつを示すシンボル、占星術や天文学のシンボルのひとつ、[[方位]]を示すシンボルとしても用いられている。
キリスト教において十字は、直接的(表面的)には「[[キリストの磔刑]]」を示しているが、その深い意味、キリスト教神学的な意味としては、「もともと天において[[ヤハウェ|神ヤハウェ]]の近くにいて[[天地創造]]にもかかわわった[[イエス・キリスト]]が、人類のためにわざわざ[[受肉]]してこの地上に現れてくださり、全人類の[[原罪|罪]]をあがなうために十字架にかかってくださった。そのお蔭でヤハウェと人類の関係が修復し、人々は来る日には[[復活 (キリスト教)|復活]]し[[永遠のいのち]]を得る状態となった。」という、[[聖書]]に記されている一連のできごとや、その神学的な意味を表すためのシンボルである。
また[[パウロ]]の哲学(神学)では「垂直線は[[ヤハウェ|神]]と人との関係。水平線は人々の間の関係。十字は両者のreconciliation 調和(和解)<ref>[https://www.jstor.org/stable/43052706]</ref>。」という意味を持ち、その哲学を示すシンボルなどとしても使われている。多くの[[キリスト教の教派]]で聖職者や信徒たちが、(ことあるごとに、身体の前、胸や顔の前あたりで)指(手)を「十字」に動かすようになった(日本語では「十字を切る」や「十字を描く」などと表現する)。キリスト教はヨーロッパに広がり、ヨーロッパの王族(の王権)や貴族はキリスト教教会(西ヨーロッパでは[[カトリック]]、東欧やロシアでは[[正教|オルトドクス]])の権威とも結びついていたので十字は王族や貴族の[[紋章]]、[[家紋]]などにも使用されるようになった。またヨーロッパの他の国々でもキリスト教の信仰を示すために国旗に十字が埋め込まれた(たとえば、[[デンマークの国旗]]、また[[北欧]]諸国の国旗に埋め込まれた十字([[スカンディナヴィア十字]]) 等々)。また[[大航海時代]]のヨーロッパ人の世界進出によって世界中に広まり、キリスト教は世界で数十億人の信者を擁するに到ったので、[[ドミニカ共和国]]の国旗や[[トンガの国旗]]を含めて、多くのキリスト教国の[[国旗]]でも使用されるようになった。→[[キリスト教神学]]、[[十字の切り方]]、[[紋章]]、[[紋章学]]、[[クロス (紋章学)]]、[[#国旗の例]]
スイスでも(十字が貴族の紋章に使われた結果、巡り巡って)[[スイスの国旗]]に用いられるようにもなった。そして[[赤十字社]]は、その設立にスイスが縁があるため(また、困っている人のためならば人種や国境を越えて手を差し伸べる、という[[人類愛]]、[[友愛]]、キリスト教的理念を暗黙裏に示すためにも)十字の標章を用いることになった。
[[占星術]]や古い時代の[[天文学]]では、[[太陽のシンボル]]として使われた。また1598年にペトルス・プランシウスによって星座群に「[[みなみじゅうじ座|南十字座]]」が加えられ、その結果それ以降、実際の星座群の中にも十字がある、と見なされるようになった。
アジア地域での十字について解説すると、中国の、[[晋 (王朝)|晋]]の時代に十字をつけた餅を食して厄除けとする風習があった<ref name="高澤">[[千鹿野茂]]監修 [[高澤等]]著『家紋の事典』[[東京堂出版]] 2008年</ref>。
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また日本では家紋に十字を埋め込んだものがある。→[[#家紋と十字]]
== 種類 ==
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ファイル:Latin Cross.svg|'''[[ラテン十字]]'''。短い横のアームが、長い縦のアームのやや上方で直角に交差する。
ファイル:Latin Cross with Equal Arms.svg|ラテン十字の1種。アームの長さが等しくギリシャ十字と似ている。
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ファイル:Crossed circle.svg|'''[[太陽十字]]'''または'''太陽車輪'''。円の中に十字。[[キリスト教]]以前の古代より使われ[[ケルト十字]]の元となった。[[日本]]では[[島津家]]の[[家紋]]としても使われる。
ファイル:CelticCross.svg|'''[[ケルト十字]]'''。ラテン十字と十字の交差部分を囲む輪から構成される。
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ファイル:Argent a fylfot azure.svg|'''{{仮リンク|フィルファット|en|Fylfot}}'''。[[卍|卍(まんじ)]]の1種。アームの折れ曲がった先が短い。
ファイル:Lauburu.svg|'''[[ラウブル]]'''。4つの[[コンマ]]で構成され、[[卍|卍(まんじ)]]や日本の[[巴]]にも似ている。
ファイル:Hands of God.svg|'''[[スラヴ]]太陽十字'''または{{仮リンク|ビャワの骨壺|label=神の手|en|
ファイル:Croix de Lorraine 2.svg|'''[[ロレーヌ十字]]'''。横のバーが2つある。古代のもので、横のバーの長さが等しい。
ファイル:Croix de Lorraine 3.svg|'''[[ロレーヌ十字]]'''の1種。横のバーは下が長い。ロレーヌ十字として現代知られているもので、[[ジャンヌ・ダルク]]の象徴とされ、[[自由フランス]]旗でも使用された。
ファイル:Patriarchal cross.svg|'''{{仮リンク|総主教十字|en|Patriarchal cross}}'''。ロレーヌ十字と極めて似ている。
ファイル:Cross of the pope.svg|'''トリプルクロス'''または'''{{仮リンク|教皇十字|en|Papal cross}}'''。横のバーが3本。[[教皇|ローマ教皇]]のシンボル。
ファイル:Russian cross.png|'''六端十字'''<ref>[https://web.archive.org/web/20090305041501/http://www.geocities.jp/fnagaya2002/Hp/Dento1.htm#1) 正教会の伝統と象徴]</ref>。東方十字の1種。ラテン十字の下に、短い横のバーが斜めに交差する。
ファイル:OrthodoxCross.svg|'''[[八端十字架|八端十字]]'''。東方十字の1種。ロレーヌ十字の下に、短い横のバーが斜めに交差する。[[ロシア正教会]]など[[スラヴ人|スラヴ]]系正教会で広く使われている。
ファイル:Cross of the Evangelists.svg|'''アークエンジェルクロス'''の1種。
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ファイル:Cross-Crosslet-Heraldry.svg|'''クロス・クロスレット'''。アームの端が十字になっている。
ファイル:Cross-Jerusalem-Potent-Heraldry.svg|'''エルサレム十字'''。[[十字軍]]の十字としても知られている。
ファイル:Cross-Potent-Heraldry.svg|'''
ファイル:Maltese-Cross-Heraldry.svg|'''[[マルタ十字]]'''。[[矢]]の形をした4つのアームが中央に向き、8つの突き出た角をもつ。[[アメリカ海兵隊]]の{{仮リンク|射撃技術章 (アメリカ合衆国)|label=射撃技術章|en|Marksmanship Badge (United States)}}の元にもなった。
ファイル:Cross-Pattee-alternate.svg|'''[[クロスパティー]]'''。[[マルタ十字]]に似ているが、アームの中央部分は細く、端部分は広い。[[ドイツ騎士団]]が使用し、[[黒十字]]や[[鉄十字]]の元ともなった。
ファイル:Bundeswehr Kreuz Black.svg|'''[[黒十字]]'''。[[ドイツ連邦軍]]でも使用されている。
ファイル:Balkenkreuz.svg|黒十字の1種。アームが直線(バー)になっている(バルケンクロイツ、{{lang-de|Balkenkreuz}})
ファイル:Cross-Bottony-Heraldry.svg|'''{{仮リンク|クロス・ボトニー|en|Bottony}}'''。アームの端が{{仮リンク|
ファイル:Cross-Pommee-Heraldry.svg|'''クロス・ポミー'''。バーの端が丸いノブの形をしている。
ファイル:ArrowCross.svg|'''[[矢十字]]'''または'''クロス・バービー'''。矢印はキリストを暗示している。[[中世]]の[[ハンガリー]]部族や1930年代の[[矢十字党]]が使用した。
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ファイル:Cross-Moline-Heraldry.svg|'''クロス・モーリン'''。アームの端が留め金の形をしており、端が2つに分岐して曲線を描いて戻っている。
ファイル:Cross Templar.svg|'''[[テンプル騎士団]]十字'''。
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ファイル:Cross Santiago.svg|'''{{仮リンク|聖ジェームズ十字|en|Cross of Saint James}}'''。{{仮リンク|クロス・フローリー|en|Cross fleury}}に似ており、[[ヤコブ (ゼベダイの子)|ヤコブ]]の象徴とされる。赤で描かれる場合が多い。
ファイル:Huguenot cross.svg|'''{{仮リンク|ユグノー十字|en|Huguenot cross}}'''
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ファイル:Cathar cross.svg|'''{{仮リンク|オクシタニア十字|en|Occitan cross}}'''。[[トゥールーズ]]の紋章が元となり、[[オクシタニア]]を代表する紋章となった。
ファイル:Ankh.svg|'''[[アンク]]'''または'''取っ手付き十字'''または'''エジプト十字'''。上部の端が取っ手の形をしている。
ファイル:Mariner's Cross.svg|'''{{仮リンク|クロス・アンキー|label=クロス・アンキー(碇十字)|en|Anchored cross}}'''。アンカード・クロス、マリナーズ・クロスとも呼ばれる。
ファイル:Te cross.svg|'''{{仮リンク|タウ十字|en|Tau Cross}}'''または'''[[大アントニオス|聖アンソニー]]十字'''。[[フランシスコ会]]が使用した。
ファイル:Simple_Labarum2.svg|'''[[ラバルム]]'''。ギリシア文字のΧ(カイ)とΡ(ロー)を組み合わせた形状で、[[イエス・キリスト]]を表す。
ファイル:Marian_Cross.jpg|'''{{仮リンク|マリアン・クロス|en|Marian Cross}}'''。ラテン十字を右下の空白が大きくなるように縦木と横木をずらし、右下の空白に「M」と記した形状。
ファイル:A Commonwealth Cross of Sacrifice or War Cross.jpg|'''{{仮リンク|
ファイル:St._Thomas_Cross.jpg|'''{{仮リンク|聖トマス十字|en|Rock crosses of Kerala}}'''
ファイル:Kruis san damiano.gif|'''{{仮リンク|聖ダミアン十字|fr|Croix de Saint-Damien}}'''
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File: Flag_of_Quebec.svg|<center>[[ケベック州の旗]]
File: Flag_of_the_Red_Cross.svg|<center>[[赤十字社]]の旗
File: Naval
File:
File: Coat of arms of the Carabinieri.svg|<center>[[イタリア]]の[[国家憲兵]]の[[カラビニエリ]]の旗
<!---【画像がコモンにない】File: 98px-Kreuzlin.gif|<center>[[スイス]]の{{仮リンク|
File: Flag_of_Madeira.svg|<center>[[マデイラ諸島の旗]]
File: PortugueseFlag1095.svg|<center>1095年の[[ポルトガル]]国旗
File: Southern_cross_appearing_on_a_number_of_flags.PNG|<center> {{仮リンク|サザンクロスを
== 家紋と十字 ==
'''十文字紋'''(じゅうもんじもん)は、漢字の「十」を図案化した[[家紋]]である。図案には「丸に十文字」「島津十文字」、「日置十文字」、「猪飼十文字」などがある。その形状から、久留子紋と混同されることが多く、また、[[島津氏]]が用いたとされる「丸に十字」は[[轡]]紋と混同されることがある。
[[鎌倉時代]]初期の、[[島津忠久]]の[[甲冑]]に記された「十文字」が現存では最古の例である。主に[[島津氏]]とその関係の[[氏族]]が用いた。[[フランシスコ・ザビエル]]が布教のために[[鹿児島]]に来た際、島津が「白い[[十字架]]」を使用していたことに驚いた、という記録がある<ref>{{Cite web
[[徳川幕府]]による[[キリスト教]]の禁教令発布後は轡紋(くつわもん)、祇園守紋(ぎおんまもりもん)、桛紋(かせぎもん)、[[卍|卍紋]]などとともに久留子紋の代用として用いられることがあった。<ref name="高澤"/>
<gallery>
File:Japanese Crest Maru ni
File:Maru
File:Japanese Crest maru ni jyuji.svg|<span style="font-size:70%">まるにじゅうじ(まるにじゅうじくるす)</span><br />丸に十字(丸に十字久留子)
File:Japanese Crest Simazu Jyumonnji.svg|<span style="font-size:70%">しまづじゅうもんじ</span><br />島津十文字
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* [[短剣符]]
* [[クロス (紋章学)]]
* {{prefix}}
* {{intitle}}
== 外部リンク ==
* [http://www.catholicrevelations.com/category/saints/the-christian-cross-of-jesus-christ-christianity-symbols-images-clip-art-designs.html The Christian Cross of Jesus Christ: Symbols of Christianity, Images, Designs and representations of it as objects of devotion]
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* [http://www.freetattoodesigns.org/cross-tattoos.html Freetattoodesigns.org], The Cross in Tattoo Art
{{DEFAULTSORT:しゆうし}}
[[Category:十字架|*しゆうし]]
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