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[[ファイル:Sakaiminato Mizuki Shigeru Road Nezumiotoko Statue 1.JPG|thumb|upright|240px|[[水木しげるロード]]に設置されている「ねずみ男」のブロンズ像。]]
'''ねずみ男'''(ねずみおとこ)は[[水木しげる]]の[[漫画]][[ゲゲゲの鬼太郎|『ゲゲゲの鬼太郎』(旧題:『墓場の鬼太郎』)]]に登場する
通称は「ゲゲゲの鬼太郎」に対して、「'''ビビビのねずみ男'''」。「ビビビの〜」の通り名は[[ビンタ]]の音が由来と言われるが、アニメ第5作では金儲けの予感がするとヒゲが「ビビビ」と震える設定になっている。'''ネズミ男'''とも表記される。
== 人物像 ==
=== プロフィール ===
* 身長:160cm
* 体重:49kg
* 年齢:約360歳<ref group="注釈">原作および第2作20話・第3作27話
* 居住地:[[日本]]
縦長の[[
妖怪としてはネズミの妖怪(同じ系統の妖怪に[[鉄鼠]]、旧鼠がいる)に属するため[[猫]]そのものや猫系の妖怪(化け猫、猫又など)にはめっぽう弱く<ref group="注釈">なお本作には、『最新版』や第3作で五徳猫を妻にした鉄鼠、『国盗り物語』で猫系妖怪に呪いをかけた旧鼠王、第4作103話で猫娘をねずみ化した旧鼠など、弱点を克服したねずみ妖怪もいる。第4作65話で巨大樹マンモスフラワーに変化し、自衛隊の攻撃で傷つき絶命間近になったねずみ男は「一度で良いから、思いっきり猫の頭を引っ叩いてみたかった」という遺言を鬼太郎に伝えている。</ref>、特に[[猫娘 (ゲゲゲの鬼太郎)|猫娘]]に対しては「我が生涯の天敵」(第5作2話)、「猫は猫娘だけでコリゴリだ」(第3作3話)と語るほど苦手にしている<ref group="注釈">しかし、普段は憎まれ口を叩き合いながらも、猫娘とは鬼太郎たちと同じく腐れ縁的に仲が良い部分も少なくない。</ref>。
厄介事を頻繁に起こすトラブルメーカーで、欲に目が眩んで鬼太郎の敵側に就くも結局最後に失敗する、鬼太郎や猫娘に懲らしめられる、改心して鬼太郎に味方するというのが典型的な行動パターンであり、善悪の中間に位置する[[トリックスター]]としての役割を担っている。
=== 出自 ===
人間と妖怪との間に生まれた半妖怪とされるが<ref>『鬼太郎大全集』4巻、163頁。『愛蔵版 ゲゲゲの鬼太郎』第2巻、809ページ。</ref>、
原作『鬼太郎地獄編』では人間界と地獄の中間に「ねずみ男の故里」が存在し、彼は幼い頃にそこから現世に迷い込んだ
=== 初期の登場 ===
原作は[[貸本漫画]]「下宿屋」から登場<ref name="gensaku">『ねずみ男大全』原作『墓場鬼太郎』『ゲゲゲの鬼太郎』「ねずみ男活躍エピソード BEST7」より。[[文藝春秋]][[電子書籍]]刊。[[2019年]]。他。</ref><ref group="注釈">最初期は現在とは容姿が異なっており、顔は縦には長くなく、鼻先が前方に突き出していて、髪の毛が額まで生えていた。</ref>。最初は四代目[[ドラキュラ伯爵|ドラキュラ]]の下男という身分で、主人の新居を探す際に夜叉に操られた鬼太郎が営む下宿屋を見付けた<ref name="gensaku"/>。またその直前、雨に流されて気絶していた目玉おやじを拾い、食欲を感じた主人に天ぷらにして食べさせている<ref name="gensaku"/>。鬼太郎親子とは多くのいさかいのすえ、幽霊電車によって実力を見せられて降参する。リメイク版の「おどろおどろ対吸血鬼」では途中で物語から消えてしまう。
鬼太郎親子との出会いについては、別に以下の2通りが描かれている。
*貸本版「おかしな奴」では、鬼太郎が父からちゃんちゃんこを授かった直後に現れ「自分は怪奇界の[[名士]]を多数育成してきた」と偽って<ref group="注釈">自分の息がかかっている名士としてフランケンシュタインやドラキュラなどを挙げているが、他の話では彼らにこびへつらう様子が見られる。</ref>鬼太郎親子に取り入る。小学館の「鬼太郎大百科」における「鬼太郎の誕生」でも同様の説明がなされ、さらにコミックボンボンで連載された「最新版 ゲゲゲの鬼太郎」の回想シーンでも、この展開が語られている。アニメ版は、「墓場」第2話で下宿屋で会うより前にこれを元にした場面がある。鬼太郎親子は原作ではその話を信じた様子だが、アニメでは信じなかった。
*講談社刊
=== 性格 ===
[[ファイル:Sakaiminato Mizuki Shigeru Road Nezumiotoko Statue 2.JPG|thumb|right|240px|[[鳥取県]][[境港市]]・[[水木しげるロード]]に設置されている「ねずみ男」のブロンズ像。]]
基本的には鬼太郎たちの仲間だが、「'''自身を守るために、強い者に絶対服従するのが当たり前'''」(アニメ第3作1話等)という考え方の持ち主であり、悪党妖怪の口車に乗せられて買収されたり、鬼太郎より敵側が強いと判断するやいとも簡単に鬼太郎たちを裏切るため、原作『妖怪獣』では目玉おやじに「'''お前は敵なのか味方なのか'''」と責められている。鬼太郎が有利になったり、自分が騙されていたと気付くとすぐに掌を返して戻ってくるが、そのくせ、恩というものを感じることが少なく(反省することはあっても懲りるということが少なく、時々その場では懲りても、直ぐ忘れる)、鬼太郎たちに助けられても口だけの感謝で済ませることがもっぱらである<ref group="注釈">恩を感じてもピントのずれた報い方をすることがあり、第3作55話では閻魔大王に死刑に処されるところを鬼太郎のおかげで財産没収と保護観察に減刑された事を知ると、「鬼太郎の友情に報いるために、もう一度金儲けのやり直しだ」と奮起するが(ねずみ男なりに本気で恩返しをする気だったのだが)、そもそも「悪質な金儲けを行い、多くの老人を苦しめた」というのが罰せられた理由であることを根本的に理解しておらず、まるで懲りていなかった。また、全てにおいて率直に感謝しないというわけではなく、原作では時折自分の悪事で引き起こした事態を庇ってくれた鬼太郎に「すまねえ」と心の中で呟いて涙ぐんだり、アニメでも第4作103話で自分を気遣ってくれたねこ娘に本気で心から感謝するなど、根は他者の善意を素直に感じ取れる純真な面もある。</ref>。時には反省心から真面目になろうと思う事もあるが、長続きせず時間が経つと当初の気持ちを忘れてしまい、つい欲望に負けて同じことを繰り返している。
普段は主に金と女性と食い物のことぐらいしか頭に無く、日頃より新たなビジネスの発見・開発や人間妖怪を問わず怪しげな[[コネ]]づくりなどを行っている。(正しい方向に発揮される事は少ないが)高い情報収集力、人間社会への適応力と対応力の高さ、探求心と想像力、頭の回転の速さ、カリスマ性等は際立っており、金には汚いが気前の良い一面もあり、羽振りが良い時には仲間の妖怪達に食事をおごったり小遣いを渡したり<ref group="注釈">第4作53話では自作の妖怪シール販売で得た金で鬼太郎に御馳走を奢り、第6作ではインチキ商売で儲けた時は頻繁に鬼太郎たちも誘ったり奢ろうとしたりする(13話、15話など)他、17話で境港の人から大量のカニを貰った際も独り占めせず鬼太郎達と分け合って楽しく食べている。また、第5作2話では小豆洗いに対価以上の代金を払って饅頭を買っている。</ref>することもある(ただ、「あの時のおごりで借りは返した」と火急の助けを渋る言い訳にしたこともある)。貧富に関して独自の美意識を持っており<ref group="注釈">岩波新書『[[妖怪画談|続・妖怪画談]]』に収録された、鬼太郎の名勝負を紹介した「鬼太郎血戦録」ではねずみ男の愛読書として『[[中野孝次|清貧の思想]]』の名が挙げられている。</ref>、何十年も前に一文無しになった際、鬼太郎親子がお茶漬けを食べさせてくれた事を「金持ちがおごるステーキより、貧乏人が食わせてくれるお茶漬けの方が何倍も価値がある」と語り、この時ばかりは恩を感じている。
[[現実主義者]]であるが、その一方で案外なロマンチストでもあり、貸本『顔の中の敵』でがま令嬢に恋した時には「今まで恋という物を罵り軽蔑してきた」と心情の変化を語っている。それ以降は度々女性に恋心を抱く女好きとして描かれ、『ねこ娘とねずみ男』以来、金儲けが好調の際は度々結婚願望を口にしている等、根底には孤独を恐れ、他者からの愛情に餓えている面がある。ただし、女性に嫌われる要素が多い為に相手にはされず、そうでない場合でもねずみ男の好みでないか女性側に利用されて終わる事が殆どである。アニメでは稀に相思相愛になったこともあるが、いずれも一話の内に哀しい結末を迎えている(第3作劇場版第4弾や第4作24話では死別、第5作80話では元彼とよりを戻すなど)。第6作24話では石妖の結婚詐欺に遭い、最初は騙された事に憤っていたものの、本当は彼女を憎みきれていない事に気付き、身体を張って赦そうとする純情さも見せている(原作では見逃さなかった)。
連載時期によっては(1980年代マガジン版など)、鬼太郎よりも積極的に妖怪退治に乗り出したり、気の毒な境遇の少年に同情して助けようとしたり、不良少年にお説教したりと、損得抜きの純粋な正義感で行動することもある。
=== 金儲け・住居 ===
普段
肉体労働のアルバイトや、マンガ家の担当編集者(『ガマ妖怪』)といった真っ当な仕事を偶にすることもある。祭りなどのイベントに便乗して商売をすることも多く、第3作劇場版第3弾では、わたあめ屋・焼きとうもろこし屋・かき氷屋、第3作84話で焼き芋売り・アイス売り、第5作25話では弁当売りといった[[露店商]]や立ち売りに精を出すことも多い。
定住している場所は作品によって異なるが、『地獄編』で彼の家が登場している。原作では鬼太郎の家に居候しており、アニメ第1、2作でも鬼太郎の家に入り浸っている描写が多い(一軒家が登場したこともある)。第3作では古アパートやテントに住んでいる。第4作では16話で廃アパート、69話で線路の下で寝ている描写などがあった。第5作では[[妖怪横丁]]で家を作っては壊して(または32話のように壊されて)移り住んでいる(38話では長屋の裏に小屋を建てていた)。第6作では古アパートの一室で暮らしている(20話では出した名刺に「住所不定」と記載されていた)。
=== 鬼太郎との友情 ===
鬼太郎とは周囲が「切っても切れない仲」「典型的な腐れ縁」と評する悪友同士。基本的に鬼太郎のことは呼び捨てにしているが、彼に助けを求める時は「鬼太郎ちゃん」「鬼太ちゃん」と呼んでいる。しょっちゅう裏切るせいで、鬼太郎に対しての友人としての振る舞いは、利用価値があるゆえの見せかけ・演技に見られることもあるが、原作・アニメ双方において、時には損得勘定なしに素直に協力し(「大海獣」等)鬼太郎のために尽力しており、この際には仲間の誰よりも進んで行動する節もある。『ゆうれい電車』では鬼太郎と二人で人間を懲らしめたり<ref name="gensaku"/>、『吸血鬼エリート』ではエリートに味方していたが鬼太郎がエリートの溶解液で溶かされそうになった際にエリートの味方になるよう説得しようとしており、強情な鬼太郎の顔を張りながら思わず涙を流す<ref name="gensaku"/>など、友情を感じさせる場面も少なからずある。原作『鬼太郎地獄編』では、せっかく会えた故里の母親と別れてまで鬼太郎たちに同行することを選んでおり、彼の「義理というものがある」という発言に「ねずみ男族がそんなことを言うとは」と母親から驚かれている(ただし、猫娘と牛鬼は「義理人情は言い訳で、興味のある所へ行くだけのエゴイスト」と酷評している)。
鬼太郎もねずみ男の言動に辟易しており彼の悪事に対し絶交を言い渡すこともあったものの、彼が命の危機に瀕すると必ず救いの手を差し伸べている。『ねこ娘とねずみ男』ではインチキ宗教「長寿教」を興しインチキ丸薬を売りつけた罪により閻魔大王が「ねずみ男を退治せよ」と鬼太郎に命令した際も、鬼太郎は彼との友情からためらいを見せたり、『妖怪大裁判』ではねずみ男のせいで無実の罪に陥れられそうになったが、最後には彼の偽証罪による1年の入牢を3か月に減刑させている<ref group="注釈">アニメ第3、4作では偽証罪を言い渡される描写は無い。第6作では小次郎らによる尻叩き100回の刑罰。実写映画版第1作では事件後に鬼太郎から絶交される。『妖怪千物語』では6か月の入牢。</ref>。しかしすべての悪事を許すわけではなく、度が過ぎるとお仕置きをしたり愛想を尽かして見捨てたりもしている。『鬼太郎夜話』の結末付近では、対立の末に人狼と組んだねずみ男が鬼太郎に毒饅頭を食わせたあげくトランク詰めにして海底に沈めようとしたり、鬼太郎の方も人狼を絞殺した後で目玉おやじと不気味に笑いながら「もうひとりの男は」「あと数分たらずであの世行きだ」と語り合うなど両者本気の殺し合いにまで発展したが、最終的にはねずみ男が降参したため許し、旅に出るあいだ家の掃除と留守番をさせることで手打ちとした。
第1作の初期においては10話で西洋妖怪軍団に捕らわれ、鬼太郎を裏切るように脅迫されながら、ハッキリと拒否する(ただし[[バックベアード]]の催眠術により無理矢理裏切らされる)など、鬼太郎との友情には厚い描写があった(第1作の後期になるに従い、友情を簡単に金で売るようなキャラクターとして描写されるようになっていった)。
第2作の15話「牛鬼」では[[牛鬼]]に乗っ取られた鬼太郎が[[迦楼羅]]の笛によって火山に誘導されて落とされた時に、「こんなことになるんならもっと鬼太郎に親切にしてやればよかった」と涙ぐみながら後悔し、「鬼太郎は村のみんなの為に死んだんだ」と語る目玉おやじに「バカ言え!みんなの幸せなんかどうだっていいんだ!俺は鬼太郎が生きててくれた方がいいんだ!」と真顔で言っていた。
第3作では鬼太郎の態度や折檻が
第4作では
第5作では互いの友誼がしばしば描かれ、悪友という面が強調されている。一緒にふらりと旅に出ることも少なくないらしく、42話では共にドライブに、84話では妖怪昆虫採集(鬼太郎はねこ娘と映画を見に行く約束をすっぽかした)に出かけたりもしている<ref group="注釈">42話での子泣き爺の弁によると、昔はよくねずみ男が運転する車に乗って日本中を渡り歩いていたという。</ref>。14話では牛鬼に憑りつかれ、体を乗っ取られたねずみ男を救うため鬼太郎が「あまり誉められた性格じゃないけど友達だもんな」と身代わりとなり活火山の火口に身を投じたり、27話ではねずみ男が[[黄泉|黄泉の国]]の霊石を盗んだ罪で無間地獄に落とされそうになった際に「どうしようもない最低の奴だが、地獄に落ちるほどの悪党ではない」と評している。ねずみ男も47話の妖怪大裁判で百々爺に協力するふりをして裁判で鬼太郎の無実を証明するなど友情に厚い面を見せており、また裏切り時も鬼太郎を放っておけず助けることもある(54話<ref group="注釈">この時は元々吸血鬼ジョニーに味方していたが、改心してジョニーに溶かされた鬼太郎を助けたため、事件後他の仲間からは責められていたが鬼太郎だけは許していた。</ref>、劇場版『日本爆裂!!』<ref group="注釈">ヤトノカミの無限毒に侵された鬼太郎を地面に埋め解毒させた(埋葬のつもりだった)、</ref>など)。その他の親しい知り合いには[[白山坊]]がおり、11話で彼が営んでいる寄席について「何百年同じネタをやってるんだ」と呆れて苦言を呈していること
第6作では羽振りが良くなった際には鬼太郎に気前よく奢ろうとしたり儲け話に誘ったりと、本人なりに鬼太郎に親切にする様子も見られるが、共に行動する頻度は少ない。だが鬼太郎がねずみ男を見捨てずに助けようとし、その際にねずみ男も彼を救うために奮闘することもある(13話
=== 妖怪仲間たちとの関係 ===
持ち前の悪臭のせいで敬遠されたり<ref group="注釈">アニメ第6作34話では、前年のゲゲゲの森の慰安旅行で温泉に入浴した際に放屁して多数の妖怪仲間に被害を及ぼした前科があった為、「今年の旅行は参加禁止」という措置を取られている(ねずみ男本人は去年のことを棚に上げ、行く気満々だった)。</ref>、[[嘘をつく子供|オオカミ少年]]よろしく半ば自業自得とはいえ、犯していない悪事の疑いをかけられ(第4作100話など)て挙句に弁明を聞き入れてもらえない<ref group="注釈">アニメ第3作52話では、ねずみ男が多くの妖怪に売った「幸運の貯金箱」が金を持って逃げるという事件が起き、盗んだ金の在処を白状するよう鬼太郎たちから詰問されるが、この一件ではねずみ男は利用されていたただけで、「あの貯金箱は貰ったもので、盗まれた金がどこにあるのかなんて知らない」とありのままを言うも全く信じてもらえなかった。</ref>等、あまり信用されてはいないのだが、お祭り騒ぎをする時はねずみ男がいないと盛り上がらないらしく、[[ムードメーカー]]、幹事役としてはその能力を買われているふしがあり、それなりに鬼太郎ファミリーとは強い絆で結ばれている。原作『妖怪軍団』で一時倒れた際には、よく彼を怒る砂かけ婆にすら「[[宇野重吉]]に並ぶ名脇役だったのに」と惜しまれており、アニメ第2作26話『大首』でポックリ病で死んだ([[大首]]とその配下の[[骨女]]に魂を抜かれた)際も、子泣き爺の家で葬式がとり行われ、[[戒名]]に「伊蚊様院小悪党居士(いかさまいんこあくとうこじ)」と付けるなど小バカにした発言も多少挟んだが皆がねずみ男を悼み、特に猫娘は泣き伏すほどの悲しみようだった<ref group="注釈">一方で、アニメ第4作3話で夜叉に魂を抜かれた際は、ねこ娘は悲しんでいたものの他の仲間からは「死んでも悲しい気がしない」「生き返っても嬉しい気がしない」と散々な言われ様だった。</ref>。また、原作『石妖』ではねずみ男の突然の結婚の知らせ(石妖の結婚詐欺だったが)に皆が驚きつつも心から祝福し、特に砂かけ婆は「お前に口うるさかったが、嫁さんがきてくれてうれしい」と感涙している<ref group="注釈">アニメ第6作24話では借金までして結婚式を挙げていた事を知ると砂かけ婆は「利子ぐらいはカンパしてやる」と財布を差し出している他、結婚詐欺に遭って憔悴しきったねずみ男のために鬼太郎ファミリー総出で仇討ちに出向いており、ねこ娘も当初は冷たい態度を取っていたが一番この件に憤り、被害者の署名を集めて訴えを起こして財産を取り戻させようとしたり、「ねずみ男の仇!」と石妖に激しく敵意を示していた。</ref>。
=== キャラクターの背景 ===
天涯孤独の存在
『不思議な家』(水木しげる漫画大全集 ゲゲゲの鬼太郎⑪大ボラ鬼太郎他 より)にて人間を調べている事件の黒幕たる存在より「理想的な心を持つ人間」「人間代表たる者」と評されており(それで事件解決となった)、そのことに鬼太郎も同意していたのはもちろん、目玉おやじも認めていたため「(この事件調査に)なんとなくねずみ男と一緒に行かせた」と述べており、'''善悪込みで人間の本質を示す存在'''であることが示唆されている。
== 能力 ==
元来の性格と保身を最優先するという信条のため、逃げ足が早く戦闘は不得手だが、鬼太郎も認める天性のしぶとさがあり、逃げられなくなった際に咄嗟の頭の切れや馬鹿力を発揮し、独自の能力を用いた奇襲を成功させることも多い。下記の悪臭技(妖力を使用する事で威力を増す)やネズミと話せる以外に妖術・特殊能力等は普段見せず、他の妖怪からも非力同然な存在のように見られることも多いが、人間では開ける事が絶対に不可能な[[刑天]]の封印を解いたり(第4作102話「凶悪!中国妖怪刑天」より。ほんの少しでも妖力があれば解封が可能)、人間よりも遥かに強い生命力や後述のいくつかの妖怪としての特殊能力も時折披露している。
=== 妖術・技 ===
全体として、
不潔であることが特徴かつ習性(偶に[[温泉]]などに入ることもあるが)。最も特徴的なのが「'''武器になるほどの強烈な悪臭'''」であ
;口臭
:[[ニホンヒキガエル|
;[[屁]]
:自他共に認めるねずみ男最大の必殺技。口臭
;衣服
:非常に不潔な布切れ一枚(原作では「皮衣」や「ガウン」とも表記される)で、ほぼ唯一の常備財産(いわゆる一張羅)。その下は全裸か褌一丁(アニメ1,2作では腹掛けを着けることも)。二百年は洗濯していないと原作『さら小僧』で言及されており<ref group="注釈">アニメ第2作30話で着たまま温泉に飛び込み中で洗うと、お湯がドブのように汚れてしまい、先に入っていた鬼太郎は思わず裸のまま飛び出した。第3作105話ではうっかりハンカチ代わりにしてユメコの涙を拭いたせいで失神させ、「ユメコちゃんを殺す気か!?」とねこ娘に怒られている。</ref>、これを被せられたさら小僧は余りの不潔さに発狂してしまった。自ら叩いたりすることでその悪臭が周囲に拡散することもあり、第3作劇場版第1弾ではこれを利用して逃走を試みている。
:;滑空
::原作『大海獣』で使用。着衣状態のまま裾を広げることで[[ムササビ]]のように滑空ができる。第6作81話では[[ウイングスーツ]]のように広がっており、『妖怪特急! まぼろしの汽車』では脱いで[[パラシュート]]代わりに使用し「何にでも使える万能マント」と称している。
:;屁バリング(ヘバリング)
::アニメ第5作38話で使用。衣服の中に屁を充満させて膨らませ、即席の救命マットにする。珍しく自身を投げ打って他者を守る技であり、高所から転落した見越し入道の赤ん坊を受け止めた。
;[[ビンタ]]
:通り名の「ビビビの~」はこのビンタ(ビビビビンタ)に由来すると言われる。概ねは片手の往復ビンタだが、一発ビンタや両手の往復ビンタの場合も同様な表現をされる場合がある。これには単に音だけではなく「ビビビ」という軍隊へ召集された時の水木が殴られた時に感じた衝撃感も含まれており、「ビーン」と振動で延ばす描写も少なくない)<ref>『水木しげるの戦場-従軍短編集-』[[中公文庫]]刊。[[2016年]]。他。</ref>。吸血鬼エリートですら「強烈なパンチ」と評している。3期では鬼太郎ですらビビビンタを食らっており、しばしばねずみ男と大喧嘩になる。
;弁舌
:プロの詐欺師並みに聴衆を誑かし金品を巻き上げる(『ねこ娘とねずみ男』等)、妖怪の存在に懐疑的な人間をも言いくるめて交渉を成立させる、鬼太郎や敵妖怪を上手く丸め込む等、天才的な口の上手さの持ち主。胡散臭い「お札付きサバイバルセット」を啖呵売で言葉巧みに完売させたり(第3作劇場版第4弾)、「妖怪ラリー」「地獄マラソン」などの競走系の大会では実況役として大いに活躍したりもしている。
;[[歯]]
:ネズミの妖怪ゆえに歯が丈夫<ref group="注釈">『鬼太郎の世界おばけ旅行』第9話では砂かけ婆のビンタを食らって歯が折れたり、アニメ第5作23話でさざえ鬼(妖力を失い退化した姿)に噛みついた際には殻が固すぎて折れてしまったりしている。</ref>。目玉おやじから「まるで[[ノコギリ]]」と評されており、壁を齧って穴をあけたり(『霧の中のジョニー』、アニメ第1作16話)、仲間を縛った縄を噛み切ったり(原作『地獄篇』1,2話、『ゲゲゲの鬼太郎新妖怪千物話』1話)、『千年呪い歌』では濡れ女を封印していた岩戸まで食い破っている。「卑しいから強い歯が育ったのか、強い歯を持つから卑しくなったのか判からない」と小学館『鬼太郎大百科』で解説されている。
:なお、原作・第4作・第5作では「'''前歯は出ているが口は描かれない'''」という状態の顔が多い(他シリーズでもたまにこの状態で描かれる)。
;ヒゲ
:
:アニメ版『墓場鬼太郎』では、彼のヒゲを煎じた毛生え薬を飲んだ死にかけの老人が若返っている(ねずみ男のようなヒゲが生え、ヒゲを切られると老衰死した)。
;皮膚粉
:全身に[[白癬|インキンタムシ]]
;生命力
:アニメ第3作劇場版『妖怪大戦争』では頭上で[[ダイナマイト]]が爆発するも無事に生還する、第4作16話冒頭で白うねりが生やした大量の[[カビ]]に覆われるも平然と寝続ける等、鬼太郎ほどではないが「'''人間ならば確実に命を落としたり、健康を害する状況(特に不潔な環境下)をものともしない強靭な生命力'''」の持ち主。幾度となく妖怪に食べられる、妖力や生気を吸い取られる、魂を奪われる等の目に遭っても結果的には元に戻っており、『アホな男』では彼から[[輸血]]された瀕死の老人が生命力を受け継いだことで全快した上に若返っている。
;悪食
:胃腸の殺菌能力が発達しているため<ref>『水木しげる 鬼太郎大百科』 41頁。</ref>、腐った物を食べても平気<ref group="注釈">第5作52話で「さすがの俺でも3年前くらいが限度」と述べているが、作中では100年前の食べ物を非常に美味しそうに平らげていた。</ref>。普段は芋虫の天ぷらやガマガエルを食べたり、人家のごみ箱を漁ったりして食料を得ており<ref>『鬼太郎大全集』1巻、147頁。</ref><ref name="bouken"/>、[[ナメクジ]]や[[ゴキブリ]]を好物としている(『のっぺらぼう』、『鬼太郎の世界お化け旅行』第1話)<ref group="注釈">だがその一方で、水は天然の綺麗な川の水を好み「都会の小便の混じった水と違って美味い」と『天邪鬼』で評している。</ref>。
;ねずみ語
:ネズミと会話できる。人探しなどの情報収集や鬼太郎への伝言を頼んだりと有用性が高く、ネズミ以外の動物では、カラス、ゲジゲジ(第4作74話)、コオロギ(第5作75話)等と会話をしている。
;寄生能力
:どんなに困窮しても、他人の生活に擦り寄って最低限の生活を確保する能力がある。小学館『鬼太郎大百科』で解説された。
; 妖力波放射(妖力付与)
: 体内で貯めた妖怪エネルギーを様々な形で撃ち出す技。仲間妖怪に放射する事で強化する事などできるが、ねずみ男のエネルギーは黄土色でくねくねした弱いもの(時には「臭い」と言われることも)。攻撃に使った事は一度もなく、ねずみ男のそれは(臭いはともかく)攻撃に転用できるほどの威力があるのかは不明。詳しくは鬼太郎の項目を参照。アニメ第4作の52話や77話では他の妖怪と同時に妖力波を放っているが、ねずみ男の妖力はあまりまともに飛ぶことができなかった(しかし、104話では他の妖怪と同等の妖力を放出している)。アニメ第4作103話では旧鼠の
; 透明化
: 鬼太郎のカメレオンの術に相当。アニメ第3作6話では透明になる(あるいは[[カメレオン]]のように身体の色を変えて背景に溶け込む)技を披露し
: 他にも第4作53話や第5作20話では鬼太郎や猫娘たちと同様に、闇の中に溶け込み姿を消す術を使用している。
; 痰壷地獄
: 劇場版『日本爆裂!!』で使用。口から黄色い痰を吐きつける。鏡爺が鏡を使えないようにした。
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: 第6作10話にて使用。体を変形させて狭い場所に身を隠したり、蛇のように細長い姿で這って逃げたり、机などの身近なものに擬態する。妖怪としての能力かどうかは不明だが、これで猫娘の目を欺いて逃げ切る程度には高い隠密性を持つ。
; 小便
: 股間から小便を出して(股間の部分は映らない)相手にかける。その尿は『陰摩羅鬼』でねずみ男を往診した医者から、「天然記念物になるかもしれない」と言及されたほど臭気が強く汚い。アニメ第3作70話では塩水が弱点の雲外鏡にかけるが、反撃を食らって股間を負傷した。第4作50話では姥ヶ火にこれで攻撃しようとしたがその前に燃やされ、猫娘に「下品」と突っ込まれた。第6作では大量に長時間出すことができ、2話では見上げ入道を封じていた札に立ち小便をかけて蘇らせてしまい、62話では黒坊主の本体である絵にかけて弱体化に成功した。
;[[マタタビ]]
:猫に襲われた時に酔わせて難を逃れるため、懐に忍ばせている。『ばけ猫』にて、猫の亡霊達に襲われた鬼太郎をこれの煙で助けた。
;霊界電話
:「鬼太郎霊団 阿部の奉連想」「セクハラ妖怪いやみ」で使用。骨のようなデザインの[[携帯電話]]状の機具で、霊界にいる鬼太郎達に連絡する際に使う。受信する鬼太郎側は特に機具を使っている様子はない。
=== その他 ===
各々の使用回数は少ないものの以下のような特殊能力を見せており、妖怪としての基本能力は持っている。
*原作『妖怪大統領』では、鬼太郎のちゃんちゃんこの力もあるが、自分のヒゲを髪の毛針のように飛ばしていた。
*『牛鬼』で牛鬼に呑み込まれた時は体内でその脳波を感知し、それで得た情報を脱出後に鬼太郎に話している。
*『幽霊家主』では、目玉
*原作『鬼太郎の世界おばけ旅行』では、キーエフ配下の吸血鬼の大群に襲われた際、瞬時に地中に潜って危機を回避した(地面からは彼の足の裏しか見えない状態で、鬼太郎は足首だけ残して食われたかと誤認した)が、自力で戻れず鬼太郎に引っ張り出してもらった。
*原作『鬼太郎の世界お化け旅行』では、[[ブードゥー教|ブードー]]の神に全身を溶かされるが、両の目玉だけで[[目玉おやじ]]のような姿となって生き残る<ref>『鬼太郎大全集』19巻、174頁。</ref>。
*漫画原作『地上絵の秘密』では古代語の「雲語(クモ語)」なるものを理解し話すことができるとされ、古代書を理解することが目玉おやじほどではないができる。「これができる者は俺と目玉おやじくらいだ」と話している場面がある。しかし理解があまかったため読み違い、古代書の中に閉じ込められたが、目玉おやじが呪文を逆さまにとなえると本から飛び出てきた。また、原作『井守』では邪馬台国で使用されていた古代日本語を完璧に理解し話す事ができた。
*アニメ第6作第48話では、オメガトークに煽られてゲゲゲの森襲撃に向かう人間の群衆から立ち上る憎悪の黒いオーラが見えている。また同作最終話では鬼太郎を応援する者たちから憎悪とは対極の白いオーラが見え、動画配信での応援呼びかけを思いつく。
また、半妖怪ゆえに妖怪に有害なものが彼には効果半減、あるいは無効になる事がある。
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== アニメでのねずみ男 ==
アニメでは原作で見せる異常性や非道さは控えめで、
=== 第1期・第2
:原作同様に悪い手で金儲けを企む。鬼太郎の住まいに入り浸って新聞を読んだり食事にありつくシーンが多い。また、原作同様に鬼太郎と一緒に行動することも比較的多い<ref name="DVDBOX2007">ゲゲゲの鬼太郎 DVD-BOX1 2007TVシリーズ SPECIAL BOOKLET 13ページ</ref>。1作目の第2話から登場しており<ref name="taizen">『ねずみ男大全』名セリフ&秘蔵資料で振り返る「ねずみ男の歴史」より。[[文藝春秋]][[電子書籍]]刊。[[2019年]]。他。</ref>、以降毎回登場し妖怪の事件に絡んでいる。
:第1作では妖怪研究家や怪奇愛好家であることを自称する傾向があり<ref name="kitaroudokuhon"/><ref name="taizen"/>、研究などの名目であくどい金儲けをすることも多々あった一方で、無償で鬼太郎に協力することも多かった。しかし、そうやって知識人ぶる割に常識的な教養を欠いた発言で呆れられる事も少なくなく、[[模倣犯]]的行動を取って警戒していた人間達に捕まり、鬼太郎親子を呆れさせるパターンもある。
:第2作では妖怪研究家の肩書は影を潜め、鬼太郎のマネージャーを名乗り鬼太郎を利用することが増える<ref name="kitaroudokuhon"/>。自分の調子の良い時に鬼太郎の親友であることを強調するが、自分の身が危うくなると鬼太郎を平然と見捨てる事も頻繁だった(鬼太郎達よりもずっと戦闘力の低いねずみ男では、「ミイラ取りがミイラになる」だけで終わったパターンも多いが)。第1作よりもあくどさが増し、口調もいかがわしさに磨きがかかり、多額の報酬目当てで鬼太郎をおびき寄せるパターンも多々ある為、目玉親父からは毎回散々な物言いをされることが多い。鬼太郎からも何度か呆れられている(逆に目論見を邪魔されてねずみ男が憤慨することもある)が、裏切って罠にはめた際に屈託なく許された事もある<ref name="taizen"/>等、比較的友人として扱われている。また、死神に兄と騙されて加担してしまった後は、鬼太郎以外の妖怪達から遂にゲゲゲの森を追い出されそうにもなったが、これに関しても自らの孤独な境遇を理解していた鬼太郎の執り成しで許されている。
:後の墓場鬼太郎の一部でも引き継がれているが、[[大塚周夫]]の担当版のみ、自分が劣勢に陥ると鬼太郎に対して女のような喋り(いわゆる[[オネエ言葉]])になることがある。
=== 第3
:第2作までと異なり、金儲けをする際にもきちんとした店舗・事務所をかまえているシーンが見られるようになり、商売の幅が広がった<ref name="kitaroudokuhon"/>。普段はアパートまたはテントに住んでおり、本作から鬼太郎と共に行動することは第2作までと比べると少なめになる<ref name="kitaroudokuhon"/>が、完全に全話登場で
:本作では鬼太郎が「正義の味方」として強調される勧善懲悪的なシーンが多い為か、悪事を働いた際に原作以上に鬼太郎に懲らしめられることもある。ただし、時には浪花節的な男振りで鬼太郎を手助けすることもあり<ref>メディアボーイMOOK『おい!鬼太郎 甦るゲゲゲの鬼太郎80's アニメ完全設定資料集 』2007年、39頁</ref>、八百八狸率いる[[隠神刑部]]の騒動の際は、人間の開拓作業に巻き込まれた側面のあるとは言え横暴な振る舞いの目立つ彼等を擁護しようとした鬼太郎に対し「同じ妖怪でもよ…あいつらは別だぜ。妙にプライドが高くってよぉ…。あいつの言いなりになってたら、俺達もこの先こき使われる事になるんだぜ。同情なんかする事ねえって…」と諌めた事もある等、妖怪側を被害者と見てしまう傾向の強い鬼太郎ファミリーとは異なる考え方をしている様子を見せる。また、本作ではコミカルな面が強められる<ref name="DVDBOX2007"/>他、 天童ユメコに惚れて彼女に言い寄る場面が多いが、[[ロリータ・コンプレックス|ロリコン]]趣味という訳でも無く、大人の美女に惚れてしまうシーンも何度かあった。また、彼女の為ならば何でもしようとし、その為に身体を張って戦うシーンも見受けられ、女好きな面だけでなく一途な面も持つのだが、ユメコには相手にされず、彼女の歓心を買う為にした事が空回りし結果として却って彼女や周囲の迷惑になった例も少なくない等、報われない展開が多い。ネコ娘との天敵関係も変わらず、引っ掻かれたり化け猫の姿で脅される機会が増えた。本作ではケンカ仲間という面が強くなった<ref name="kitaroudokuhon2"/>。また、[[ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱|劇場版第4作]]では、ゲストヒロインのカロリーヌとの心の交流が描かれ、鬼太郎に次ぐ準主人公として活躍を見せたが、カロリーヌの死によって悲恋に終わる。
:衣の色は濃い空色。風呂嫌いの設定は「自分で風呂を沸かすのが面倒くさい」という解釈もされ、温泉につかる場面は多い。本作からアニメでも皮膚病が全身に描かれるようになる。衣姿以外にタキシードや蝶ネクタイ姿など洋服を着ているシーンも比較的多くなり<ref name="kitaroudokuhon"/>、その際には頭髪を中分けの金髪にしている。
=== 第4
:本作でメイン回(第16話、第24話、第26話、第36話、第42話など)の殆どは、彼の人情味が目立つ回となっている。他の妖怪(白うねり、がんぎ小僧など)の辛い境遇を放っておけないなどの人情に厚い一面も多く見られる事も多い<ref name="kitaroudokuhon"/>。鬼太郎ファミリーに対しても、羽振りが良かった時には食事に誘ったり、結婚が決まった時には式に誘おうととする等、本人なりに気を許している面も見せるのだが、鬼太郎ファミリー(特に目玉おやじ、砂かけ婆、子泣き爺)の方からは基本的に邪険にしか扱われず、鬼太郎ファミリー内であの世鍋パーティーなどのイベントがあってもねずみ男だけが除け者にされてしまう展開もあり(流石に、妖怪なら誰でも参加していい「運動会」においては、例外無く誘われているが)、誘われても好き勝手に嫌味を言われてしまう、事件に巻き込まれたにも関わらず犯人として疑われる等、ねずみ男の行動に問題があるとはいえ、時には鬼太郎ファミリーの方が冷た過ぎるのではないかと思わせる描写もあった。一方、金や生きる為ならば意地汚い事であろうが何でもするという自分の生き方に内心では後ろめたさもある様子も見せており、金持ちの令嬢に「金だけが目的」と指摘された際も、「でなきゃ…俺ぁ生きていけねえんだよ…他に方法を知らねえんだ!!」と語っており、妖怪として大した力も持てず誰からも必要とされない「半妖」であったが故に、金に縋る事でしか生きる事さえ許されなかった孤独な人生を送ってきた事を伺わせる。その為か、マンモスフラワーに寄生され助かる見込みが無かった際は、自ら死を受け入れようとした事もある。
:女性への執着は前作と比べ控えめになったが大金で美女をはべらせたりなど女好きな描写は多い<ref name="taizen"/>。第24話では彼の悲恋が描かれ、自分を介抱してくれた少女・小百合に求婚されるが、陰摩羅鬼の罠だった<ref name="taizen"/>。
:初めて衣が原作に合わせて黄色になった<ref name="DVDBOX2007"/><ref name="taizen"/>。本作のみ袖口が小さくなり、裾がズボン型にデザインされている。キャラクターデザイン・設定資料での表情も原作を忠実に再現されており、全身皮膚病が前作よりも目立つ。第6話や第11話などでバスガイド・巫女・芸者などの[[女装]]もしている。
=== 第5
:悪事を働くことや裏切ることが歴代
:手先が器用な鍵開けの名人で、68話で地獄の牢の鍵を針金一本でものの数秒で開けており、また勘が鋭い所がある。年代物のオープンカーに乗り換えているが、これは白山坊から譲り受けたもので、よく故障する。人間社会の順応性が極めて高い為、携帯電話やノートパソコンといった近代的なアイテムも難なく使いこなしており、鬼太郎親子もその器用さには一目置いている。一方、女性に関しては好みではない女性妖怪に好かれては難儀する(骨女、雪女のお黒、大蛇女)展開が多く、女性運に恵まれていない。
:物語の後半期、ネコ娘と共に[[閻魔大王]]から鬼太郎の片腕として彼を支えていくよう指示を受ける。しかし、殆ど一人で生きてきたねずみ男にとって、例え閻魔の命令であろうが勝手に人生を決められてしまうのは耐えがたい苦痛でしかなく、その場は逆らえなかったが、内心では強い反感を抱いており、その後も自らの行動を改めようとはしなかった。
:衣の色は黄色。本作からヒゲが原作並みに太くなる。慢性の全身皮膚病も無くなっており(設定ラフの段階では皮膚病が描かれている<ref>ゲゲゲの鬼太郎 DVD-BOX2 2007TVシリーズ SPECIAL BOOKLET 30ページ</ref>)、身嗜みに気を遣っている様子も多く見せる為、不潔な描写も全体的に控えめである。『[[劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!|劇場版]]』の同時上映の短編『おまけ上映 ゲゲゲ祭りだ!!五大鬼太郎』では、映像のみながらもアニメ歴代の5人のねずみ男の競演も果たしている。
=== 第6
:過去作以上にドライな利己主義となり、半妖として人間からも妖怪からも蔑まれてきた過去から、人間も妖怪も心底から信じようとはせず常に斜に構えた態度を取っている。金儲けのために鬼太郎を利用する事が少なくなり、己の才覚のみで当世風ビジネスを開拓する能力に長けている<ref name="taizen2">『ねずみ男大全』ある時は敵に、ある時は味方に……「ねずみ男ってどんなやつ!?」より。[[文藝春秋]][[電子書籍]]刊。[[2019年]]。他。</ref>が、その分狡猾さにも磨きが掛かっている。前作よりは出番が多くなったが未登場回もあり、出ても金にならないか保身を理由に事件に関わらないか途中で手を引くこともあった。金儲けの為に新しい事柄も積極的に取り入れる為、画面がひび割れた黄色の[[スマートフォン]]を常用し、インチキ商売でネット広告を打つ、[[ステルスマーケティング]]を行う、[[仮想通貨]]事業を立ち上げる等、悪い意味でネット社会に精通している。
:ねこ娘との天敵関係は変わらないが、次第に普通に接するようになっており<ref name="taizen2"/>、直接折檻される描写も従来と比べ減っている。名無しとの戦いで絶望に陥った鬼太郎を叱咤激励し一発見舞うなど漢気も見せ<ref name="taizen2"/>、裏切る展開も歴代に比べ少なくなった他、鬼太郎ファミリーとの交流も比較的よく描かれている。鬼太郎やファミリーの彼への態度も歴代に比べ軟化している。一方で、旧知の仲でない他の妖怪や人間に対しては、歴代のように困っているのを見過ごせず助けるといった人情に厚い面は滅多に見せず、弱みに付け込んで利用するなどドライな態度が目立つ。
:半妖として人間と妖怪の双方から差別されてきた経験とコンプレックスから、利己的な人間だけでなく、自分達に都合の良い被害者意識から暴力でしか解決しようとしない妖怪に対しても何処か冷めた視点を持っており、毒舌家で皮肉屋な面も強く、冷静に正論を吐く事もあり、彼の言った言動が後でその通りになるケースも多い。が、第20話で太平洋戦争を本当に嫌な時代だったと語って慰霊碑に手を合わせたり、南島で発見された戦没者の遺骨を遺棄するよう指示を受けた伐採業者に対し強い憤りを見せる等、戦争を恐れる良識な面も多く見られる。
:恋愛回が2回あり、第10話では犬山まなに恋愛感情を抱いたが一瞬で失恋<ref name="taizen2"/>。この回を除き当初彼女には無関心な態度が目立ったが、損得抜きで共に行動したり、鬼太郎を裏切った際にまなの説得で考えを改めるなど仲は悪くない模様。第24話では石妖の結婚詐欺にあう<ref name="taizen2"/>が裏切られてなお相手を守ろうとするなど非常に純情な一面を見せた。
:衣の色は第3作以来の濃い空色。従来の皮膚病は控えめながら描写されている(半袖半ズボンを着ても隠せる個所にある)。悪臭技は34話までは使用しておらず、人間に捕まっても抵抗できない、致命傷を負うことを恐れる等、非力な描写が目立っていた。担当声優の[[古川登志夫]]は第5作でねずみ男役のオーディションを受けていたが落選しており(第5作では、準レギュラーの蒼坊主を演じている)、今作で念願叶って演じることになった<ref>{{cite tweet|user=TOSHIO_FURUKAWA|number=954095774249267201|date=2018年1月19日 |title=🔷ねずみ男のオーディションを受けたのは今回が2回目。前回は落ちたが今回は決まった!念願のねずみ男を演れる!やった~٩(^‿^)۶‼️ |accessdate=2020年05月11日}}</ref>。
=== 墓場鬼太郎 ===
:本作の第2話で正式に鬼太郎親子と初めて出会っており、鬼太郎からは初対面の時点で「虫の好かないヤツ」と言われ、その後もお互いあまり関わりたくないと言い合い、何かと争いが絶えない付かず離れずの仲となっている。
:衣の色は原作と同じ黄色。
== 水木による評 ==
{{Quotation|鬼太郎は馬鹿でしょう。正義の味方だから、[[スーパーマン]]みたいなもんだから。(中略)…金とか幸せについて考えないのです。だからねずみ男を出さないと物語が安定しないのです}}
と解説している<ref>「水木しげる画業40周年」</ref>。<br />もともと水木は勧善懲悪のヒーローを好んでおらず、当初社会風刺的な色合いの強かった鬼太郎が、編集サイドの要望により水木の意志に反して次第に超能力で妖怪と戦うヒーローと化していったことから、水木自身のスタンスに近いねずみ男の活躍が増えていったという見方もある<ref>『鬼太郎大全集』22巻、187頁。</ref><ref group="注釈">鬼太郎より先に映像作品になり、同じく社会風刺から、勧善懲悪ヒーロー活劇に変わった『[[悪魔くん]]』でも、ねずみ男と類似キャラのメフィストを登場させている。</ref>。<br />また、[[週刊実話]]版では回によっては事実上ねずみ男が主役で、鬼太郎親子は僅かしか(あるいは全く)登場しない話もある。
== モデル ==
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== 他作品への登場 ==
水木しげるの『[[コミック昭和史]]』には、ストーリーの進行役として登場。実際の報道写真の中に書き込まれていたり、当時の出来事に関する解説を行
水木しげるのアシスタントをしていたことがある[[つげ義春]]の短編漫画『噂の武士』には、[[宮本武蔵]]らしき男の噂を聞きつけて宿に集まった野次馬の中に、
このほか、水木が直接手がけた事例ではないが、2017年の長編アニメーション『[[映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活]]』では、鬼太郎と仲間たちと共に「コラボ出演」という形で登場。声はアニメで声の初代担当だった大塚周夫の息子・[[大塚明夫]]が担当した。30年後の未来の世界が舞台ゆえ、鬼太郎の存在を知る者ははごく限られているため、主人公らを危険分子と見なし鬼太郎を守るため仲間とともに現れる。しかし相手が子どもであり、目的が妖怪退治であると分かると、小金をせしめようと仲間の目前で「自分が鬼太郎だ」と騙そうとするが、背後で鬼太郎の下駄の音を聞くと、無条件で怖がるような描写がある。その後鬼太郎が最小限の助太刀はしたものの、彼らの敵を倒すのは本来の自分の役目ではないと言い残し去っていこうとした時は、「ここは恩を売ってお礼をもらえばいいんじゃないのか」と、がめつさを出しつつ遠まわしに彼らを手伝おうとする言動もした。エンディングでは報酬を貰い損ねて文句を言っているシーンがあり(セリフは無い)、鬼太郎と目玉おやじを呆れさせた。衣の色は灰色。
== 演者 ==
各種媒体にてねずみ男を演じたのは以下の通り。
* 声優
** [[大塚周夫]] -([[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第1シリーズ)|第1期]]、[[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第2シリーズ)|第2期]]、テレビアニメ『[[墓場鬼太郎 (テレビアニメ)|墓場鬼太郎]]』、[[ラジオドラマ]]『{{small|[[ラジオ劇画傑作シリーズ]]}} [[ゲゲゲの鬼太郎#ラジオドラマ|ゲゲゲの鬼太郎]]』、まんがビデオ『墓場鬼太郎』、テレビドラマ『{{small|[[NHKスペシャル]]}} [[総員玉砕せよ!#鬼太郎が見た玉砕 〜水木しげるの戦争〜|鬼太郎が見た玉砕 〜水木しげるの戦争〜]]』)
** [[富山敬]] -([[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第3シリーズ)|第3期]])
** [[千葉繁]] -([[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第4シリーズ)|第4期]]、アーケードゲーム『アニメチャンプ』)
** [[高木渉]] -([[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第5シリーズ)|第5期]])
** [[大塚明夫]] -([[映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活]]<ref>{{Cite web|和書 |date=2017-10-27 |url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1509012830 |title=『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』ジバニャン役に黒田崇矢さん、ねずみ男役に大塚明夫さん決定! 待望の本予告映像が解禁- アニメイトタイムズ(株式会社アニメイトラボ) |accessdate=2017-10-27}}</ref>、2025年版舞台『ゲゲゲの鬼太郎』)
** [[古川登志夫]] -([[ゲゲゲの鬼太郎 (テレビアニメ第6シリーズ)|第6期]]<ref>{{Cite web|和書|date=2018-01-19|publisher=東映アニメーション|work=新番組「ゲゲゲの鬼太郎」|url=https://www.toei-anim.co.jp/kitaro/news/2018011902.php|title=キャストコメント到着!|accessdate=2018-01-19}}</ref>)
** [[野沢那智]] -(ゲーム『[[ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚]]』)
** [[矢尾一樹]] -(パチスロ『ゲゲゲの鬼太郎〜ブラック鬼太郎の野望〜』)
*実写
** [[竹中直人]] -(テレビドラマ『{{small|[[月曜ドラマランド]]}} [[ゲゲゲの鬼太郎#テレビドラマ|ゲゲゲの鬼太郎]]』<ref>DVD『月曜ドラマランド ゲゲゲの鬼太郎』 [[東映ビデオ]]、2007年。</ref>)
** [[うえだ峻]] -(ビデオ映画『[[ゲゲゲの鬼太郎#ビデオ映画|妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム]]』<ref>DVD『妖怪奇伝ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム』 [[東映ビデオ]]、2007年。</ref>)
** [[大泉洋]] -(劇場映画『[[ゲゲゲの鬼太郎 (実写映画)|ゲゲゲの鬼太郎]]』シリーズ)
** [[藤井隆]] -(2022年版舞台『ゲゲゲの鬼太郎』<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/444257|title=舞台「ゲゲゲの鬼太郎」に荒牧慶彦・上坂すみれ・藤井隆が出演、新ビジュアルも|website=[[コミックナタリー]]|date=2021-09-08|accessdate=2021-09-08}}</ref>)
** [[大悟 (お笑い芸人)|大悟]] -([[P&Gジャパン]]「[[レノア (柔軟剤)|レノア]] クエン酸in 超消臭」テレビCM<ref>{{Cite news|url=https://news.mynavi.jp/article/20230629-2714871/|title=西畑大吾、鬼太郎役で千鳥・大悟と初共演 “ダイゴとダイゴ”で妄想トーク|newspaper=マイナビニュース|publisher=マイナビ|date=2023-06-29|accessdate=2023-07-21}}</ref>)
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
* 『鬼太郎大全集』は水木プロダクション刊行の電子書籍版『鬼太郎大全集』を指す。
{{reflist|2}}
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== 外部リンク ==
* [
{{ゲゲゲの鬼太郎}}
{{古川登志夫}}
{{高木渉}}
{{DEFAULTSORT:ねすみおとこ}}
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[[Category:水木しげるオリジナルの妖怪]]
[[Category:架空のネズミ]]
[[Category:米子駅]]
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