「ウィザードリィ外伝 (漫画)」の版間の差分
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|タイトル=ウィザードリィ外伝
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『'''ウィザードリィ外伝'''』(ウィザードリィがいでん)は、[[石垣環]]による[[日本]]の[[漫画]]作品。[[1989年]]から[[1993年]]まで『[[ファミコン必勝本]]』(後に『HIPPON SUPER!』に誌名変更)([[宝島社]])にて連載された。
[[コンピュータRPG]]『[[ウィザードリィ]]』の設定をベースに、独自のキャラクター・ストーリーを展開した漫画作品で、同作者によるコミック版『ウィザードリィ』の前史にあたる。なお、アスキー
『ファミコン必勝本』本誌連載と並行して別冊『FantasyLand』Vol.1(1990年11月30日増刊号)に描き下ろされた短編『召喚の書』は、本誌連載に先行して最終話の数年後を舞台にした内容であり、単行本には収録されていない。
== あらすじ ==
; 第一部 「ギルの迷宮」
: 「[[ウィザードリィ 狂王の試練場|狂王の試練場]]」の時代から約1000年前、西方の大国「リルガミン」と東方の大国「ホウライ」が大陸の覇権を争っていた
: 死闘の末、ギルを護る「召喚の書」の防御障壁を破り、蒼鬼獣魔(グレーターデーモン)の召喚を阻止するために禁じ手「鳳龍虚空斬」を放つ。ギルの片腕を切り落とし、召喚の阻止には成功したが、制御しきれずに自身の愛刀「一文字」を失った上
;第二部 「鳳凰の塔」
: 魔導師ギルとの戦いの末に150年先の未来に飛ばされて2年、ホウライの小国のひとつ・イズモにて4人は(約1名を除いて)それぞれ戦績に見合った要職に就き、平穏な日々を過ごしていた。そんな中、ショウは諜報任務でヒダカミの国へ赴いたサンザから、鳳凰が棲まい宝剣「クサナギ」が眠る「鳳凰の塔」の封印が解けて大騒ぎになっている、という情報を聞く。伝説の宝剣クサナギを手に入れるべく、ショウとサンザは新たな仲間と共に鳳凰の塔に挑む。しかし、その後を密かに追う一団の姿があった。
; 第三部「復讐鬼の城」
: ショウとサンザのヒダカミ行きに呼応するかのように、イズモ市街地では神隠しや放火などの事件が頻発していた。イズモ国主コウリュウの異母兄コウエンが国盗りを目論み、これらの事件を仕掛けていた。そうとは知らないコウリュウは外敵の仕業と判断し軍の主力を国境警備に振り向け
:
; 「召喚の書」
: 内乱から数年後。ルーシィディティを皇に立てたイズモのホウライ統一が目前に迫った折り、ヤマ国タカマ村の異変の報を受け、フィルとキャンは生き残りであるマナを伴ってタカマ村に向かう。同じ頃、将軍を務めるショウは大僧正からタカマ村の者にある依頼をしていた事実を聞き出していた。ショウは異変の裏にかつてギルが所持していた「召喚の書」の影が潜んでいることに気づく。
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: 戦闘スタイルはほぼ剣術一辺倒。卓越した剣捌きに加えて前述の鳳龍の剣技を自在に使いこなし、正に一騎当千の力を持つ。呪文は当人曰く「性格に合わない」ということで殆ど使わないが不得手では全く無く、侍の身でありながら第一部の時点で既に「窒息(ラカニト)」や「変異(ハマン)」などの高位呪文を、第二部では最高位の「爆炎(ティルトウェイト)」をも習得している。
: 父親曰く「鳳龍家創始以来最大の才覚を有している」とのこと。驚異的な回復能力を持っており<ref>過去に心臓を刺された時も、この特異体質のお陰で回復・蘇生呪文の助けも無しで死から回復した。</ref>、第三部ラストでこの能力の正体は「'''あらゆる事象の気を吸収して己の力に換える事'''」である事が判明した。
:リルガミンとの国境戦の最中に
▲: 死闘の末、ギルを護る「召喚の書」の防御障壁を破り、蒼鬼獣魔(グレーターデーモン)の召喚を阻止するために禁じ手「鳳龍虚空斬」を放つ。ギルの片腕を切り落とし、召喚の阻止には成功したが、制御しきれずに自身の愛刀「一文字」を失った上にルー達やギルまで巻き込んで150年未来のホウライに飛ばされる事態を招いてしまった。
: 第二部ではホウライの小国のひとつ「イズモ」の剣術指南兼侍マスターの役職に就いていたが、ヒダカミに眠る宝刀'''クサナギ'''を求めて鳳凰の塔に挑戦し、見事クサナギに認められその所有者になった。
: 第三部においてはイズモに勃発した反乱を収めるため、寺院から続く地下迷宮を通って城へ突入。異母妹ケイヒや異形の者との闘いの末、黒幕であったギルとの再戦に臨んでこれを制する。その際、自分を討つよう懇願したギルの意を汲み(下述のギルの項も参照)、「汝一人を逝かせはせん」と告げた後、「鳳龍地裂斬」を放つも救出されて生還。
: 後にルーシィディティと結婚し、イズモの将軍となる。実は「狂王の試練場」の主、狂王トレボーの遠い祖先。
: 作者曰くキャラクターのモデルは『[[聖戦士ダンバイン]]』の[[ショウ・ザマ]]とのこと<ref name="#1">第二部 鳳凰の塔(後編)単行本巻末記事。</ref>。
; ルーシィディティ(エルフ族・善・ロード)
: リルガミンの第二皇女で、愛称は「ルー」。ショウよりも二つ歳上。皇女の身でありながら将軍職を務め「姫将軍」と呼ばれていたが、第二部以降では後述のホウライの国事情もあって、専ら愛称で呼ばれている。
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: 第一部開始以前に既に結婚していたが、幻影陣の伝承者に選ばれた彼を妬んだザン・デンに妻と息子を殺されている。そのためショウに実の息子アイクの面影を重ね、成長した息子の理想像として見ている節があり、肉親の情に限りなく近い強い友情を抱いている。
; シェーラ(人間族とエルフ族のクォーター・悪→善・僧侶→司教<!-- <ref>経歴に加えて、ギルとの対決において彼女が使用した攻撃呪文が魔術師系ではなく僧侶系の最高位呪文「死言(マリクト)」であった事から、彼女が生え抜きの司教ではなくマスタークラスの僧侶からの転職であろう、との推測が成り立つ。</ref> -->)
: ギルの高弟にして情婦、「牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)」の一員だったが<ref>高弟の内でもギルの情婦的立場であり、極めて近しい関係であった。</ref>、ギルが「召喚の書」を入手した後の行動に疑念を抱き、組織から離反した。
: 当初から司教としてかなりの実力を持っており、第一部の時点で既に僧侶系最強の攻撃呪文である「死言(マリクト)」を習得している。
: 第二部ではサンザと結婚し(曰く、十歳以上離れた年の差夫婦)、イズモの国において司教のマスター職に就いている。サンザが諜報活動の為に国々を巡っている間に寺院の古文書を読み漁って「異形の者」の情報や失われていた呪文を研究していた。その成果である遺失呪文「凍嵐(ラダルト)」をザン・デン配下の忍者を一掃するのに行使したが<ref>この時点では「爆炎(ティルトウェイト)」も習得しており、行使もできる状態ではあったが、ギルがこの世界にいた事で後の事態のことを予測していたため、使用はあえてしなかった。</ref>、劇中の時点ではまだ調整が施されていない外法呪文のため「奪命(マバディ)」を受けた者同様の瀕死状態に陥った。治療に駆け寄ったリィナを庇って瀕死の忍者の攻撃を受け、一度斃れるもルーの「復活(ディ)」で復活
; ギル(種族不明・悪・司教)
: 「牙の教徒(プリースト・オブ・ファング)」の教主の一人であったが、「召喚の書」を手にしたのを機に配下を率いて教団から離反。世界の変革に踏み切ろうとした。
: 第一部終盤にて鳳龍虚空斬によって発生した空間の裂け目に飲み込まれて以降、時空の狭間を彷徨っていたらしく、ライカーガスによって150年後のホウライに引き上げられた際に「鳳龍虚空斬」によって喪った右腕の代わりに「異形の者」からカシナートの剣に匹敵する威力を持つ義手を貰い受け、さらに異形の技「邪波動」を身につける。顔面もおよそ半分が欠損する傷を負っており、人前では仮面を付けている。そしてショウへの復讐のため、ログ・ティとコウエンを味方に引き込み、寺院からケイヒとザン・デンを蘇らせた。
: 第一部終盤で、ギル本人もショウ達「守護者(ガーディアンズ)」の資格を持つ者だった事が判明(第二部終盤でショウもそれを知ることになった)。第三部のショウとの決戦では自身が異形の者達の手駒にされていたのを知り、彼らを抑え込んだ上でショウに自分ごと討つよう
; ル・ケブレス
: リルガミンの守護神と伝えられる龍。詳しくは鳳凰の項目、もしくは[[ウィザードリィの
; 「御老体」
: 第一部では、ギルの迷宮においてサンザ達を影ながら支援するために動いている存在であり、第一部終盤にて時空の狭間からショウ達を拾い上げた張本人。
: 第二部終盤にて、正体は「人」の意識の集合体であり、実体は無いに等しい存在であることが明らかになった。「無効化」などの人外な能力に加え、魔術師や僧侶の魔術も使えるだけでなく、「鳳龍千手斬」で斃れたリィナを失敗することなく蘇生したり、
=== 「鳳凰の塔」より登場 ===
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: ショウを付け狙う女侍で、同じく鳳龍剣術の使い手。
: ショウの異母妹であるが、先の国境戦にて彼が行方不明になった後(=第一部開始後)に生まれたため、彼自身も存在を知らず面識もなかった。
: 幼少時から鳳龍家の跡継ぎとなるべく鍛錬されていたものの、父親のショウへの妄執が原因<ref>今一度、ショウ同様の息子を生み出さんとケイヒを手篭めにするため襲いかかった。現時点でのホウライの国事情が無ければ、見ようによっては正当防衛が成立できる可能性が十分あった。</ref>で、父親を殺
: 登場当初からショウに対して敵意をあらわにしていたが、それはショウの存在により自分の運命が狂わされたことによるものであり、実際には父親からの話でしか知らない「兄」に憧れていた。
: 第三部の終盤でギルに裏切られて全てを失い、怒りの捌け口を求めるコウエン
▲: キャラクターのモデルはショウと同じく『[[聖戦士ダンバイン]]』に登場した[[聖戦士ダンバイン#マーベル・フローズン|マーベル・フローズン]]。
; キャン(ホビット族・中立・盗賊→忍者)
: ショウ達が150年後の世界に辿り着いて
: 元々はスリだったが、ショウ達に拾われた後にサンザのもとで修行に励み、
: 「俺より資質はある」とサンザから評価されるだけあって高い素質を持っているようで、第二部前編序盤のイズモの街中にて偶然遭遇した「御老体」からの異質な気配を感じ取っていた。
; テツ(人間族・中立・戦士)
: リィナの幼馴染で、ショウとサンザ
: 侍の家系に生まれたが、未だに戦士止まりであるというコンプレックスがあったため、事あるごとに侍に喧嘩を仕掛けていたが、ショウに敗北してからは今までの考えを改めるようになる。
: 「偉丈夫」と呼ばれるだけあって、恵まれた体躯と剛力の持ち主であり、戦闘に際しては第二部ではブージ(長柄武器の一種)、第三部では鳳凰から授かったグレートソードなど、両手持ちの大型武器を用いて、自らの剛力を存分に活かして闘う。
: 「物覚えが悪い」と自嘲しているが、ショウ曰く「力に頼り過ぎている」との事で、素質自体は良いものを持っているらしい。
; リィナ(人間族・善・僧侶)
: テツの二歳年下の幼馴染で、ショウたちと
: 僧侶としての実力はそれなりに高く、「快癒(マディ)」「塔炎(リトカン)」を習得しているが、第三部時点でも最高位呪文である「還魂(カドルト)」は習得していない。
: だが、第二部終盤近くケイヒの隊に接触した際、初顔合わせにも関わらずケイヒがショウを付け狙っている事に気づくなどのかなり鋭い勘も持っている。
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; シン(人間族・悪・侍)
: ケイヒの率いる小隊に属する侍。ケイヒから鳳龍の技である「鳳龍千手斬」を伝授されている。
: 坊主頭に隈が浮き出た目、という特徴的な容姿を持
: かつては人殺しを稼業としていたらしいが、とある依頼先で忍者に討たれ、100年余り寺院に収容された過去を持つ。その為忍者に対して未だに激しい憎悪を持っている。
: ケイヒほどではないが、侍としての実力も高く、「猛炎(ラハリト)」「塵化(マカニト)」を習得しており、また、「鳳龍の剣技」の本質も「使い過ぎは身体によくねぇんじゃないかと思ってな」とかすかながら見抜いている。
: 鳳凰の塔上層部でショウと別れたサンザの隊を「鳳龍千手斬」で窮地に陥れ、リィナを斃すも、サンザの「幻影陣」とテツの起死回生の奇襲により討たれた。なお彼の死体は、直後にコウが放った大凍(マダルト)によって凍結し、粉々に砕け散っている。
; コウ(ホビット族・悪・魔術師)
: ケイヒ・シンと同じ小隊に所属する老魔術師。第二部終盤までは大した動きを見せなかったが、実は相当の実力者であり、振動音のみで呪文の種類を判定できるほどの洞察力を持つ。シンが斃されると熟練された魔術でテツとサンザを追い詰め始めるが、
; 鳳凰(ほうおう)
: ホウライの守護神と伝えられる神鳥。その実体は「世界その物」であり、リルガミンの守護神ル・ケブレスと同一の存在(なお、もう一つの姿であるル・ケブレスは[[ウィザードリィの
: 最上階に辿り着いた者としてケイヒに新たな鎧を与え、イズモに「転移(マロール)」したショウを追うと決めたサンザ、テツ、リイナにも新たな装備を与えた。
; クサナギ
: 「鳳凰の塔」に伝えられていた宝刀
: 刀としての実体は既に失っていた為、「鳳龍の鎧」に姿を変え、以後ショウに纏われ、彼と行動を共にする事となった。
; リアンナ(人間・?・忍者)
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; フィル(エルフ族・善・侍)
: イズモ城主コウリュウ側近の純血エルフで、侍。
: 性格は生真面目であり忠義心も強い。また、戦闘も得意である。終盤、城からの脱出を図るコウエンを転移室の前で待ち受け、主と父の敵を討つ。
: 単行本収録話では呪文使用の描写はなかったが、単行本未収録話「召喚の書」ではライカーガス (Lycurgus)の随伴として登場した溶腐体(スライム/Slime)溶解人(ワーアメーバ/Were Amoeba)を掃討するために「猛炎(ラハリト)」を行使した。
; コウリュウ(人間・善・侍)
: イズモの前城主でコウエンの異母弟。
: 城主としての人望は厚く、侍としての実力も高い。
:
; コウエン(人間・悪・侍)
: コウリュウの異母兄で、イズモの内乱の首謀者。
: 粗暴で身勝手な性格のため、弟と違って人望がな
▲: その後半ば八つ当たり的にケイヒを不意打ちで殺害し、怒ったルーシィディティに瀕死の重傷を負わされた。なおも逃げ延びようと転移室にむかったが、待ち構えていたフィルに詰め寄られ、最後に残った部下にまで見捨てられた末に討ち取られた。
; ザン・デン(人間・悪・忍者)
: コウエン配下の忍者部隊を取り仕切る隻眼の忍者で、サンザに因縁のある人物。「(自分にとって)面白ければそれでいい」が信条で、そのためなら残虐行為も厭わないが、無粋なことは好まない。
: サンザと共に修行を積んでいたが、自分が「幻影陣」を継承できなかったこと
: その後しばらくして、魔術師の家に暗殺のために押し入ったものの返り討ちに遭い、寺院に収容された経緯がある。
: 刃を仕込んだ手甲を両腕に装着し、これを武器に戦うという特徴的な戦闘スタイルを持つ。
: サンザと再会した際に彼が幻影陣を使っていた事を指摘し、リアンナとアイク、そして師を殺害した経緯を告白する。これに怒ったサンザと死闘を繰り広げ、彼を敗死寸前に追い詰めるも、ルーシィディティの支援に力を得た彼の奇策によって形勢を逆転され、
; ログ・ティ(エルフ族・悪・僧侶)
: フィルの親友で、純血エルフの僧侶。
: だが実はギル側のスパイであり、ギルをコウエンに引き合わせた張本人。ショウ達の隊に付いて密かに闇討ちの機を狙っていた。フィルと親友というだけあって生真面目だが、
; エンカイ(人間・善・侍)
: イヅモ国の侍大将。国境に派遣されていたが、ショウが大僧正に頼んで各地に散った旗本の下に出した早馬の書状を受けて寺院へ2度目の襲撃を行ったコウエンの傭兵達を一掃、寺院の残存兵達と共に攻城戦に駆けつけた。
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: 陶器で作られた置物のような姿をした悪魔で、知能は高く人語を話せる。石化能力を持っており、自分の能力によって石化した者達を兵士(デルフズミニオン / Delf's Minions)に変えて従えており、その中には家老の職に就いていたフィルの父もいた。
; ライカーガス (Lycurgus)
: 時空の狭間に彷徨っていたギルを救い上げた張本人。マイルフィック (Maelific) がまだ召喚に至っていない時点では、悪魔の中ではかなり知能が高い部類らしく、人語を解
その他にも漢字表記を与えられなかったが、フィーンド (Fiend) やダークスティード (Dark Steed) に騎乗したダークライダー (Dark Rider) も登場している。
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: 城主に就くためにはその国の「寺院」、全ホウライの「寺院」を総括する「大本山」、そしてホウライを治める「皇」の三者の認証が不可欠であり、一者でも反対があった場合は城主の継承が不可能である<ref>劇中では「皇」は不在の状況であるため、「寺院」「大本山」の二者の認証でも継承は可である。</ref>。
; 律【りつ】
: 劇中での法律。強力な力場で守られている城・塔・洞窟などの特殊な場所以外では、呪文はそれらの場所と比して10倍以上の効果<ref>レベル3の「大炎(マハリト)」でも、およそ100メートル四方を吹き飛ばすため、レベル1の「小炎(ハリト)」であってもバカにならない被害が出る。</ref>を発揮するため、戦争時または緊急時以外での市街地・屋外での攻撃呪文行使は禁忌(タブー)とされている。
: それを破った場合は「死」を与えられた上に、寺院への無期収容の刑に処せられる。
== 鳳龍の剣技(ほうりゅう の わざ) ==
この作品独自の技能で、主にショウとケイヒの家系であるホウリュウ家に伝えられていた剣技である(ただし幻影陣のみは忍者に伝承され、喪われている)。いずれも気の制御によって繰り出される技が多く、大きく分けて「波・撃・弾・斬・陣」の5つに分けられ、基本的には左から右への順に威力が増すと言われている。ただし誰でも使えるというわけではなく、気力消耗の激しい技が大半を占め、その限界を超えた瞬間に力尽きて倒れれば良い方で、下手をすれば《死》を通り越して《灰化》、最悪の場合《消失》する。
=== 「波」位剣技 ===
一部を除いて威力より気の制御に重点を置いた技。木刀や素手で使うものも多い。
; 鳳龍曲流波
: 第二部冒頭の(こっそりとキャンと入れ替わった)サンザとの模擬戦にて、サンザに放った技。気の誘導弾を敵にぶつける。
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: 掌から障害物を透過できる気を放ち、攻撃対象物のみを攻撃する技。
; 鳳龍糸縛波
: 気の糸を相手を絡め取り、相手の動きの自由を奪う技。魔法などと違い、気というエネルギーによるものからか、異形のものである陶魔でも一度囚われると抜け出ることは不可能。
=== 「撃」位剣技 ===
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=== 「斬」位剣技 ===
; 鳳龍円月斬
: 鋭い円を描いた気の刃で相手に切りつける技。手加減無しなら手足を切り落とせるぐらいの威力があると言われる。
; 鳳龍旋風斬 / 鳳龍烈風斬 / 鳳龍渦旋斬
: 剣圧で周囲に真空を作り上げ、気で操り相手を切り裂く技。かなりの高度な技で、それぞれの名前の由来は練り上げた真空の渦の流れの違いから来ているらしい。
: 鳳龍旋風斬は他の二つに比べると、効果発揮が素早く、使用する氣の量も少ない。
: 鳳龍烈風斬は敵を巻き込むようにして竜巻を作り出して、切り刻む技。劇中で使用したショウの烈風斬の威力は、ケイヒ曰く「通常の3倍強」との事。
: 鳳龍渦旋斬は刀身から竜巻を発生させて敵に当てる技。
; 鳳龍四方斬
: 自分を中心に周囲の敵を気の刃で切り刻む、一対多数の剣技の一つ。
: 居合抜きの剣技。鳳龍旋風斬よりも更に効果発揮が素早く、使用する氣の量も少ない。
: ザン・デン相手にルーシィディティが放った技がこれ。
; 鳳龍双波斬
: 一振りの攻撃で2本の気の刃を放つ技。
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: 広範囲にある無数の気の刃で切りつける一対多数の剣技の一つ。攻撃力の高い「斬」位にあって威力こそ低いものの、その傷によって出血する血の量は半端ではなく、攻撃範囲も広い上に消費する気の量は少ない為、並の人間でもそれなりに扱える技。
; 鳳龍百撃斬
: 無数の気の刃で相手を切り刻む技。ショウがギルとの戦いの為に温存しようと思っていたところから、気を大量に消費する、かなり威力の高い技であることが
; 鳳龍水月斬
: 渾身を込めた気の刃を以って一刀両断を行う技。劇中でもかなり間を置く様子から見て相当の集中力が必要らしく、「禁じ手」を除けばかなり高度な技。
: ルーシィディティが「復讐鬼の城」最終回付近で天守閣を切り裂いた技がこれ。
: ルーシィディティは独学で鳳龍の剣技を身に着けたが、ザン相手に疾風斬相当の技を、石畳相手に撃相当の技を、そしてこの水月斬もどきと休息をほとんど取らずに三回放ったため、三度目で暴発した上に生命力を失いかけて倒れかけてしまい、鳳龍剣技の危険性を身をもって思い知った。しかし、ショウとギルの決戦の最中に割って入る形になったため、ショウの逆転勝利に図らずも貢献した。
==== 禁じ手 ====
; 鳳龍虚空斬
:
: 第一部で使用した際は、制御に失敗して空間を斬り過ぎたため、愛刀の「一文字」は砕け散り、ショウ達は150年もの未来へ飛ばされる事となった。▼
▲: 「禁じ手」の一つで、「[[ウィザードリィのアイテム#村正 Muramasa Blade!|村正]]」級の刀剣でなければうまく制御ができない。
▲: 第一部で使用した際は、制御に失敗して空間を斬り過ぎたため、「一文字」は砕け散り、ショウ達は150年もの未来へ飛ばされる事となった。
: 第三部で「景光」を用いて使用した際には辛うじて制御に成功したものの、刀身に鬆(す:芯にできる穴や隙間)が入ってしまい、だんだんと刀へ気が通らなくなる事態を招く結果となった。
; 鳳龍地裂斬
385 ⟶ 393行目:
: 「宙歩(リトフェイト)<ref>この作品ではまだ実用化されていない呪文である。</ref>」を使わなければ、確実に自身も技の威力に巻き込まれ、多くは致命的事態に陥る羽目となる。
: 「復讐鬼の城」最終話でショウが、異形の者を自分ごと討つよう懇願するギルの決意に応える形で放った。
; 攻撃呪文との複合剣技
▲; 鳳龍核撃斬
: 「禁じ手」の一つ
: 呪文複合剣技は
: その中でも、本作において最強の攻撃呪文「爆炎」と併せて行使され
: また、技を繰り出す際に刀身(兼光)が技で発生した高熱で溶け
=== 「陣」位剣技 ===
二つの技が編み出されたが、どちらも使い手にかかる負担がとてつもなく大きく、この「陣」位そのものが禁じ手となっている。
; 鳳龍波動陣
: 攻防一体の気の力場を張る技で一切の攻撃が通用しなくなり、気弾によっての攻撃も可能。
: 鳳龍の剣術といえど例外ではなく、波動陣に対して放ったケイヒの剣術は禁じ手を除き全て通用しなかった<ref>ケイヒは禁じ手を使用することがなかったので、波動陣に禁じ手が通用するかは波動陣以外の禁じ手は不明だが、ショウが敵の気の波長に合わせた波動陣をぶつけ、同化させることである程度の無力化に成功している。</ref>。
: 鳳龍の剣術の最高位である「陣」は位そのものが「禁じ手」であり、気の消耗は桁外れに大きく、使用者は9割方「消失(ロスト)」する。
: ショウは幼少時にこの技を兄から伝授されたが、使用した兄は例に漏れず消失した。
; 鳳龍幻影陣<ref>劇中では幻影陣とのみ呼称</ref>
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== 単行本 ==
# ウィザードリィ外伝 第一部・ギルの迷宮(1990年3月25日
# ウィザードリィ外伝 第二部・鳳凰の塔[前編](1990年9月1日
# ウィザードリィ外伝 第二部・鳳凰の塔[後編](1991年3月1日
# ウィザードリィ外伝 第三部・復讐鬼の城[前編](1991年11月20日
# ウィザードリィ外伝 第三部・復讐鬼の城[中編](1992年6月15日
# ウィザードリィ外伝 第三部・復讐鬼の城[完結編](1993年3月20日
== 脚注 ==
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